(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490179
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】医療デバイス、ならびに、調整及び切断のための器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20190318BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20190318BHJP
A61B 17/00 20060101ALN20190318BHJP
A61B 17/42 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
A61F2/08
A61B17/32
!A61B17/00 600
!A61B17/42
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-219814(P2017-219814)
(22)【出願日】2017年11月15日
(62)【分割の表示】特願2014-509487(P2014-509487)の分割
【原出願日】2012年5月4日
(65)【公開番号】特開2018-57887(P2018-57887A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】61/482,430
(32)【優先日】2011年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/496,127
(32)【優先日】2011年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044561
【氏名又は名称】エーエムエス リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バイカー,トーマス オー.
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー,ジェームズ エー.
(72)【発明者】
【氏名】トールソン,ミカ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハミズ,チャオキー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューエルマン,ジャスティン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】トリミューリス,ウィリアム エス.
【審査官】
近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−508341(JP,A)
【文献】
米国特許第04848341(US,A)
【文献】
特表2009−539558(JP,A)
【文献】
特表2010−534512(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/016141(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長部又は細長片、支持部片、および調整素子を含み、上記細長部又は細長片は上記支持部片から上記調整素子へ調整可能に延び、上記細長部又は細長片はメッシュ部を含む、マルチピースのインプラントと、
調整及び切断のための器具とを備え、
上記調整及び切断のための器具は、上記細長部又は細長片と係合可能な遠位端部を備え、当該遠位端部は、上記支持部片に対する上記細長部又は細長片の調整を容易にし、かつ、上記細長部又は細長片の切断を容易にするものであり、
上記遠位端部は、当該遠位端部の厚さ方向に延びる開口を備え、
上記細長部又は細長片は、上記開口から挿入されるように構成され、
上記遠位端部は、上記開口の内側へ延びる切断部材を備え、
上記切断部材は、上記開口内で互いに相対的に傾斜している少なくとも2つの切断面を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
第1方向での上記器具の動きが、上記支持部片に対する上記細長部又は細長片の調整を容易にし、かつ、上記第1方向とは異なる第2方向での当該器具の動きが、上記細長部又は細長片の切断を容易にすることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
上記器具は、細長いシャフト、近位端部、および上記遠位端部を備え、上記遠位端部は上記細長部又は細長片と係合可能であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
上記器具は、縦軸を有し、上記切断部材は、上記縦軸に対して所定角度で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
上記細長部又は細長片は、当該細長部又は細長片の遠位端にアンカーを備え、当該アンカーは、螺旋状アンカー及び自己定着チップのいずれか一方を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
上記開口は、上記細長部又は細長片が上記遠位端部の内部を通過するように構成された貫通口であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
上記切断部材は、上記器具を近位方向に引っ張ることにより、上記開口の内部に配された上記細長部又は細長片に切断を生じさせるように配向されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
上記切断部材は、上記開口の縦軸に対して非垂直かつ非平行な方向に切断を生じさせるように配向されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
上記2つの切断面は、上記開口の内部でV字を形成するように交差することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
上記器具の、ユーザから離れる方向への移動は、上記細長部又は細長片を切断することなく上記支持部片に対する上記細長部又は細長片の操作を容易にし、上記器具の、ユーザへ向かう方向への移動は、上記細長部又は細長片の切断を容易にすることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
上記調整素子は、上記細長部又は細長片が通過する開口を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
上記調整及び切断のための器具は、当該器具の上記遠位端部が上記調整素子に接触するまで上記細長部又は細長片に沿って調整方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
細長いシャフトと、
上記細長いシャフトから延びる遠位端部と、
上記細長いシャフトから延びる近位端部とを備え、
上記遠位端部は、第1面と、当該第1面と対向する第2面とを有し、
上記遠位端部は、上記第1面上の第1の開口と、上記第2面上の第2の開口と、上記第1の開口と上記第2の開口との間に伸びるチャネルとを備え、
上記遠位端部は、切断部材を備え、
上記切断部材は、上記チャネル内で互いに相対的に傾斜している少なくとも2つの切断面を備え、
上記チャネルは、移植可能な物品の支持部片に対する上記移植可能な物品のメッシュ部の操作を容易にし、かつ上記切断部材による上記メッシュ部の切断を容易にするように、上記メッシュ部と係合可能であることを特徴とする調整及び切断のための器具。
【請求項14】
上記切断部材は、上記チャネルに対して固定されており、移動不可能であることを特徴とする請求項13に記載の調整及び切断のための器具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「骨盤の症状を治療するための、器具、及び方法」と題された2011年6月13日出願の米国仮特許出願第61/482,430号、及び、「骨盤の症状を治療するための、インプラント、器具、及び方法」と題された2011年5月4日出願の米国仮出願第61/496,127号について、35U.S.C§119(e)に基づく権利を主張する。両方の文献共、参照されることによって、それらの全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、骨盤組織をサポートするための骨盤インプラントを用いて骨盤の症状(状態)を治療する器具及び関連方法に関するものである。骨盤の治療には、例えば、腹腔鏡下での、開腹での、及び経膣での、外科手術による脱膣の治療、が含まれる。
【0003】
〔背景〕
男性及び女性の骨盤の健康は、人々の高齢化のために、少なくとも幾分は重要性が増している医療分野である。一般的な骨盤の病気の例としては、失禁(例えば、便失禁や尿失禁)、骨盤組織の脱出症(例えば、女性の膣脱)、そして骨盤底に影響を与える他の症状が含まれる。このような骨盤障害は、衰弱又は通常の骨盤を支えるシステムの損傷によって引き起こされることがある。共通の病因は、分娩、子宮の摘出、結合組織の欠陥、長期の肉体重労働、及び閉経後の萎縮症を含む。
【0004】
より詳細には、骨盤底障害は、膀胱瘤、直腸瘤、そして、肛門、子宮、及び膣円蓋脱のような脱出症を含む。膣円蓋脱は、膣の上部が通常の形を失い膣管に下方に移動したときに発生する症状である。その最も危険な形状においては、膣円蓋脱は膣尖の膣外部への膨張をもたらすこともある。膣円蓋脱は、骨盤及び膣の組織や筋肉の弱さが原因で引き起こされるように、単独で発生する可能性があり、あるいは、直腸瘤、膀胱瘤、及び/又は腸ヘルニアと関連付いて発生することもある。直腸瘤は、その場所で直腸を保持した組織及び筋肉の弱体化あるいは伸縮によって引き起こされ、結果として、直腸を通常の位置から膣の奥壁に直腸を押し込む位置へと移動させることになる。膀胱瘤は、通常、膣及び膣口の中への、膀胱のヘルニアである。腸ヘルニアは、小腸の一部を含む腹膜嚢が直腸膣空間に延びている膣ヘルニアである。これらの症状の全ては、外科医が治療するのに取り組み甲斐のある骨盤疾患の形態を成すことがあり、その治療処置は、比較的長い外科的手術時間を必要とする。これらの治療のいくつかは、例えば、腹腔鏡下で実行される仙骨膣固定術(SCP)、及び、経膣での仙骨膣固定術(TSCP)を含み、これらの処置は、異なる種類の器具、インプラント、及び外科的方法を用いて行われる。棘上靭帯に膣円蓋を(例えば、ステッチによって)縫合したり、メッシュ又は筋膜を通して仙骨に膣円蓋を取り付けたりすることによって、膣円蓋脱を修復することが知られている。
【0005】
失禁、膣脱(例えば、膣円蓋脱)、及びその他の骨盤臓器脱の症状を含む骨盤の症状を治療するための改善された方法及び関連する器具を医師に提供する継続的な必要性がある。そのような方法は、安全であり、低侵襲性であり、かつ、非常に効果的な器具を含んでいてもよい。
【0006】
〔概要〕
本明細書に記載された、器具、システム、及び方法は、例えば、失禁(例えば、大便失禁、腹圧性尿失禁、急迫性失禁、混合型尿失禁などの種々の症状)、膣脱(例えば、腸ヘルニア、膀胱瘤、直腸瘤、尖部又は円蓋の脱症状、子宮降下などの様々な症状)、及び、筋肉や靭帯の衰弱、子宮摘出などによって引き起こされる他の症状、のような骨盤の症状を治療するために使用できる。本発明によれば、仙骨膣固定術の処置は、開腹した開口部を介して、腹腔鏡下で、又は経膣で、行うことができ、その処置は、本発明の手段及び/又は方法の実施形態を使用できるそれぞれ異なるアプローチが必要になる。
【0007】
仙骨膣固定術の処置において、外科医が困惑しないよう手順を簡略化することが望まれる。近年、マルチピースインプラントは、膣組織を支持(サポート)するために開発されている。これらのマルチピースインプラントは、調整エリア又は機構にて互いに係合する少なくとも2つの部分(例えば、延長部片(延長部部分)と支持部片(支持部部分))を含むことがある。他のインプラントは、ベース部材及びベース部材から延びる2つの支持部材を含むY字型のインプラントを含むことがある。ここで、Y字型インプラントの取付部は、患者にあるそれぞれの取り付け点(例えば、仙骨)に対して調整可能になっている。本明細書に記載の本発明の手段や器具は、調整及び切断のための器具として参照される。この器具は、調整可能なインプラントの2つの断片の間、あるいは、インプラントとアンカー又は取り付け点との間、の係合を調整し、かつ、同じ器具を使用してインプラントの一部の切断する方法を提供する。これらの調整及び切断のための器具の有益な特徴は、近位端と遠位端との間に延在するシャフトを有することであり、ここでは、近位端は、患者の外部で操作でき、この遠位端はインプラントが2つの片の間で調整できるように2つの断片に連結できる調整機構を備えている。遠位端はまた、遠位端がインプラントの要素の切断に使用されるのを可能にする切断機構を備えている。
【0008】
様々な外科用器具、インプラント、及び処置の改良点が、本明細書に開示されており、そこでは、仙骨膣固定術の処置において前部と後部の区画を別個に引っ張り上げる(張力を付与する)ことを含み、さらに追加的に、ねじれの防止又はねじれを最小限に抑えるために単一アームでの張力の付与を含むことができる。本明細書に開示の方法及びインプラントの特定の実施形態は、仙骨岬角に固定するように設計されているY字型のメッシュ要素の使用を伴い、さらに、前部の及び後部の膣壁に縫合されている2つの頂端(尖)メッシュ片を含んでいてもよい。インプラント及び方法の実施形態は、最小サイズの切開のために、骨盤組織を支持するためのインプラントの配置を含んでもよい。
【0009】
特定の実施形態は、骨盤メッシュインプラントを配置するための、固定又は取付手段(「アンカー」)及び関連する方法、そして、失禁、膣脱、筋肉及び靭帯の衰弱に起因するその他の症状と言った骨盤の症状を治療するための方法に、一般的に関連する。インプラントの実施形態は、組織支持部、及び1つ以上のアンカー、アーム等を含むことができる。さらに、例えば尿失禁と言った骨盤底疾患、骨盤底(挙筋剥離)の正常化、及び/又は仙骨固定、のための他の処置を伴う、前部の又は後部の脱出症の治療に有用な、併用手段(インプラント、器具、及びアンカー等)、及び、関連する方法を開示する。例示的な挙筋及び支持手段(デバイス、装置)は、従来の経膣メッシュの修繕及び他のアプリケーションとの連結のために、膣切開を通して導入でき、あるいは、開腹にて(例えば、腹腔鏡にて)導入することができる。移植後、調整や切断の器具は、長さ及び/又は互いに対する構成要素(コンポーネント)の位置を最適化するために使用することができる。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
本発明を、さらに、添付の図面を参照しながら説明する。ここでは、同様の構造は、いくつかの図面を通して同じ番号にて参照される。
【0011】
図1は、患者の解剖学的構造に対して配置できるY字型インプラントの概略図である。
【0012】
図2Aは、本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の斜視図である。
【0015】
図2Dは、
図2Cに示される器具の遠位端の端面図である。
【0016】
図2Eは、
図2Cに示される器具の遠位端の端面図であり、
図2Dの端面図の反対方向から得られる図である。
【0017】
図3Aは、本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の側面図である。
【0019】
図3C及び3Dは、それぞれ、中立位置と切断位置とにおいて回転する切削刃(カッティングブレード)を備えた、
図3A及び
図3Bに示される器具の遠位端の拡大図である。
【0020】
図4Aは、本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の側面図である。
【0021】
図4Bは、
図4Aに示す器具の遠位端の端面図である。
【0022】
図4C及び4Dは、
図4Aの調整と切断のための器具の遠位端の側面図である。
【0023】
図5Aは、本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の遠位端の側面図である。
【0024】
図5Bは、
図5Aに示される器具の部分の遠位端の側面図であり、調整の処置中にそれを配置できるような材料の長さを示している。
【0025】
図5Cは、
図5Aに示される器具の部分の遠位端の側面図であり、切断の処置中にそれを配置できるような材料の長さを示している。
【0026】
図6A及び6Bは、本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との斜視図である。
【0027】
図7は、本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【0028】
図8は、本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【0029】
図9は、本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【0030】
図10は、本発明の調整可能なインプラントの実施形態の上面図である。
【0031】
図11は、本発明の実施形態で利用される前方及び後方メッシュ片の上面図である。
【0032】
図12は、本発明に係るY型インプラント部材を伴った
図11のメッシュ片の上面図である。
【0033】
図13は、本発明のインプラントの実施形態の上面図である。
【0034】
図14は、本発明のインプラントの実施形態の上面図である。
【0035】
図15は、本発明に係る組み立て及び引き離しの両方が示されるいくつかのシステム構成要素を有するインプラントシステムの実施形態の上面図である。
【0036】
〔詳細な説明〕
ここで説明する方法及び器具は、仙骨膣固定術の処置(例えば、経膣での、及び開腹での)に限定されるものではなく、一緒に行う直腸脱、膀胱瘤、腸ヘルニア及び他の原因に起因する膣円蓋脱を治療するための処置を含む、膣組織を支持する処置に有用である。仙骨膣固定術は、膣円蓋の吊り上げを行う処置であり、メッシュ又は他の材料から成る帯(細長片)のようなインプラントの使用によって達成することができる。他の材料とは、仙骨(骨自体)、周辺仙靭帯、子宮仙骨靱帯、又は仙骨岬角での前縦靱帯などの仙骨の解剖学的構造の部位又は要素に対する後方の膣組織(例えば、膣カフ)のものであり、仙骨に移植される骨ねじを用いて達成することができる。仙骨固定術は、腹部切開、膣切開、又は腹腔鏡を介して実行されてもよい。合成メッシュのようなインプラントは、慎重に外科医によって、特殊な形状にカスタマイズされたり、組み立てられたりすることができる。また、子宮摘出を含むいくつかの仙骨膣固定術の処置では、インプラントは、子宮及び子宮頸部の除去後に残る膣組織後部に代替的に取り付けることができる。また、解剖学的構造に、仙骨の又はその周りの膣組織をサポートするために、例えば、子宮仙骨神経の靭帯又は仙骨自体に(すなわち、仙骨の解剖学的構造の要素に)取り付けることができる。
【0037】
本明細書にて議論するインプラントの多くは、本発明について更に詳細に説明するように、アンカーを使用する。本明細書で使用する際、用語「アンカー」は、骨盤部位の組織にインプラントを接続することができる任意の構造を非特異的に指す。組織は、筋肉、筋膜、靭帯、腱などの骨又は軟組織であってもよい。本明細書の特定の方法、インプラント、及びアンカーは、組織、好ましくは、前縦靱帯のような軟組織内に挿入(例えば、駆動)することが可能なねじ又はコイルなどの螺旋状アンカーを組み込んでもよい。縦軸を中心に回転させることによって、螺旋状アンカーが縦方向に組織内を進む。他の方法は、「自己定着チップ」型のアンカーを含んでもよく、これは、直鎖状の又は湾曲した針を用いてアンカーを押すことで挿入できる。
【0038】
本発明の実施形態は、脱出症の様々な症状のような骨盤底障害を治療するための、外科用器具、アセンブリ、及び移植可能な物品を概ね対象とする。本明細書に記載の実施形態によれば、外科用インプラントは、膣円蓋脱のような骨盤の症状を治療するための外科用インプラントを外科的に配置する具体的な例を含む骨盤の症状の治療に、使用することができる。外科用インプラント、手術用器具、手術システム、外科用キット、及びインプラントを取り付けるために有用な手術方法についての様々な特徴が、本明細書に記載される。
【0039】
このような骨盤疾患を治療するために使用できるインプラントの一実施形態は、1つ又は複数の延長部に沿って、膣組織などの骨盤組織を支持するために使用される組織支持部を備えたインプラントである。使用中には、組織支持部は、縫合糸の使用を介する等して、支持される組織に接触して配置されて取り付けられ得る。この種のインプラントは、さらに、組織支持部に取り付けられた1つ又は複数の延長部を備えていてもよい。任意の組織ファスナ(締結具)(例えば、軟組織アンカー又は自己定着チップ)は、延長部の先端において、組織に対して延長部の遠位端を確保するために、骨盤部位の組織に取り付けられるように設計された組織ファスナと延長部(複数)とを伴って、備えられ得る。
【0040】
上述のインプラントの組織支持部は、補正する欠陥に応じて、膣組織の特定の部分(前部、後部、尖部(頂端)等)を支持するように設計されている。組織支持部は、(例えば、「スリング」や「ハンモック」等として)導入する際に、所望の組織に接触し、かつ、膣組織に接触して支持するような大きさ及び形状とすることができる。2つ以上の延長部の間に位置する組織支持部は、「中央支持部」又は「支持部」として言及されるようになっていてもよい。組織支持部は、組織(例えば、ブタの組織)、メッシュ、又は他の材料、あるいは材料の組み合わせ、と言ったいくつかの異なる材料を含んでもよい。
【0041】
上述のインプラントの延長部(複数)は、組織支持部から延びて、そして、それによって組織支持部及び支持された組織に対して支持を提供するために、骨盤部位の組織を介して通過するあるいは骨盤部位の組織に取り付けるのに有用な、細長い断片(細長片)であってもよい。延長部は、組織支持部から延び、組織支持部に接続するあるいは接続可能な材料(例えば、メッシュ、縫合糸、又は生物学的物質)の細長い断片である。そして、延長部は、(例えば、自己定着チップ、又は組織ファスナの別の形状を使用して)骨盤部位において解剖学的特徴又は「支持組織」に付着するのに有用であり、組織支持部と支持された組織とのためにサポートをそれによって提供する。1つ以上の延長部は、骨盤部位における組織に取り付けるために、組織支持部から延びてもよい。例えば、(骨アンカー、組織ファスナ等によるアタッチメントのための)内部のアンカーポイントへ、あるいは、外部の切開へ、組織経路を通った延伸によるものであってもよい。
【0042】
延長部片は、仙骨解剖学的構造の要素等において、骨盤部位の組織に。アンカー(例えば、自己定着チップ又はヘリカルアンカー)によって、一端で接続することができる。延長部片の他端は、支持部片に、調整係合部を介して接続することができる。調整係合部は、例えば、グロメット、一方向又は双方向の摩擦調整素子(摩擦調整要素)等のような摩擦係合要素を含んでもよい。次に、支持部片は、膣脱の治療において、膣組織などの組織に接触して支持できる。
【0043】
例示的なインプラントは、以前のインプラントに従って、材料から作り、一般に形状を整えサイズを決めてよいが、摩擦調整素子、マルチピース構造、多層組織支持部等、本明細書に記載されるような特徴を含むように修正される。例えば、インプラントは、以下の例示的な文書に記載されているような特徴を有することができる。2004年4月30日提出の米国特許出願第10/834,943号、2002年11月27日提出の米国特許出願第10/306,179号、2006年2月3日提出の米国特許出願第11/347,063号、2006年2月3日出願の米国特許出願第11/347,596号、2006年2月3日提出の米国特許出願第11/347,553号、2006年2月3日提出の米国特許出願第11/347,047号、2006年2月3日提出の米国特許出願11/346,750号、2005年4月5日提出の米国特許出願第11/398,368号、2005年10月5日提出の米国特許出願第11/243,802号、2004年5月7日提出の米国特許出願第10/840,646号、及び、国際出願日が2006年7月25日の国際特許出願第PCT/US2006/028828号である。これらの各々に開示されている全体は、参照されることによって本明細書に組み込まれるものとする。
【0044】
例示的なインプラントは、骨盤脱(膣円蓋脱、膀胱瘤、腸ヘルニア等を含む)の治療に使用するための、商号「Apogee」、「Perigee」、及び「Elevate」と称される、ミネトンカMNのアメリカメディカルシステムズ社によって商業的に販売されているものと同様の特徴を成す、様々な材料から形成され、かつ、一般的なサイズ及び形状を表す。さらに、これらのインプラントは、合成材料及び/又は生物材料(例えば、ブタ、死体等)から形成される部分や区分を含むことができる。材料の単一片から又は材料の複数片から作ることができる延長部は、ポリプロピレンメッシュなどの合成メッシュであってもよい。一方で、組織支持部は、合成物(例えば、ポリプロピレンメッシュ)又は生物学的なものであってもよい。
【0045】
本明細書で論じるように、一般的に有用である例示的なインプラントの種類は、「スリング」、「ストリップ(帯)」、「メッシュ・ストリップ」、「ハンモック」、骨盤インプラントのための他の用語、にて称されるこれらのインプランを含む、以前及び現在の骨盤の症状の治療に使用されるものを含み得る。膣脱の治療のためのインプラントの特別な具体例としては、中央支持部を備えることができ、2から4の6の延長部にあり、モジュール方式で取り付けられたメッシュの集積された片あるいはメッシュの複数の片の形を取ることができる。例えば、譲受人の同時係属米国特許出願番号第11/398,369号、第10/834,943号、第11/243,802号、第10/840,646号、PCT/2006/028828号が、とりわけ、参照できる。
【0046】
本発明に関する、特定の骨盤疾患を治療するために使用できるインプラントの別の実施形態は、予め組み立てられた移植可能な物品を備えたインプラントであり、これは、外科手術用にカスタマイズされた移植可能な物品を作成する必要性を無くすことにより、外科医が直面する課題を低減することができる。特定の一実施形態としては、ベース部とヘッド部とを備えたY字型に予め組み立てられているインプラントであり、ヘッド部はベース部からそれぞれ延びる第1及び第2組織係合部を備える。第1及び第2組織係合部は、ベース部から組織係合部の一方又は両方を分離する傾向がある力を分配するasusing構成のような、多種多様な構成及び材料を使用して、ベース部分に固定することができる。このような構成は、組織接着剤、組織シーラント、生体適合性結合剤(例えば、シリコーン)、及び生体適合性接着剤のような生体適合性材料の使用を含んでもよい。その代わりに、RF又は超音波溶接、又はヒートシールを、単独で、又は分離力配分手段を作成するための他の技術と組み合わせて、使用してもよい。
【0047】
予め組み立てられたインプラントの実施形態では、インプラントは、組織内殖を生じさせ、かつ、感染症に抵抗する複数の細孔を備えることができ、そして、被覆されたバッキング(基材)を備えることができる。基材は、1つ以上の不織布、編物、又はインターリンクされたフィラメントか複数の繊維接合を形成する繊維であってもよく、及び/又はモノフィラメント及びマルチフィラメントの実現例であってもよい。繊維接合は、織物、接着、超音波溶接、編物、又はそれらの組み合わせ含む他の接合形成技術によって形成されてもよい。さらに、移植可能な物品の合成開口又は細孔の大きさは、成長中の組織が成長し、周囲の組織内に固定するのを可能にするのに十分でなければならない。
【0048】
予め組み立てられたインプラントは、プロレン(登録商標)、ナイロン、ポリプロピレン、デクレン(登録商標)、ポリLラクチド(PLLA)、ポリエチレングリコール(PGA)、ポリエステル、及び材料の任意の組み合わせを含む様々な材料から作られるが、これらに限定されることはない。所望の治療に応じて、インプラント又はその一部は、吸収性、非吸収性、及び/又は再吸収性であってもよい。非合成構造もまた、本発明の範囲に含まれる。インプラントのために使用するのに適した他の合成及び非合成材料としては、合成生体材料、同種移植片、同種移植、異種移植片、自家組織、米国仮出願第60/263,472号、第60/281,350号、及び第60/295,068号に開示された材料(参照により本明細書に組み込まれる内容)、合成材料(例えば、メタリック、重合体、プラスチック等)、及びこのような材料の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。使用に適した合成材料の特定の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PLLA及びPGAが挙げられるが、これらに限定されるものではない。材料は、一般に、生体組織及び体液と反応しないのを最小限にし、その特定の材料の特徴/特性を無期限又は所定の長さの期間保持する材料から選択することができる。所望の外科処置(外科手術)と整合性が取れている場合、材料の一部又は全てが再吸収されることがある。
【0049】
本発明のいずれかのインプラントの寸法は、特定の、導入手順、治療、患者の解剖学的構造に有用となるように、そして、特定の組織あるいは組織の種類をサポートするように、決定される。例示的な寸法としては、組織支持部が支持される組織に接触するのに十分なサイズであってもよく、そして、延長部が骨盤部位の組織に固定され又は骨盤部位の組織を通過して組織支持部を支持するように、延長部が組織支持部から所望の解剖学的位置まで延びるのに十分なサイズであってもよい。
【0050】
延長部の遠位端は、本発明の実施形態によれば、骨盤部位の組織に取り付けられた組織ファスナを備えていてもよい。組織ファスナは、例えば、軟組織アンカー、自己定着チップ、生物学的接着剤、組織クランプ、一緒に押されたときに確実に係合する雄型及び雌型のコネクタ要素、又は、延長部の遠位端を骨盤部位の組織へ固定する任意の他のデバイスであってもよい。インプラントはまた、例えば、遠位端が他の方法(例えば、縫合)にて組織に固定されるように設計されている場合、又は、外部切開を通して通過するよう意図されている場合には、延長部の遠位端に組織ファスナを有さない延長部を備えていてもよい。又は近くに、又は組織、インプラントの導入時に、組織ファスナは、例えば、繊維状、筋肉、靭帯及び/又はその周囲の組織、又は腱及び/又はその周囲の組織、坐骨棘の又はその近くの組織と言った任意の所望の組織に固定することができる。
【0051】
組織部及び1つ以上の延長部材を備えたインプラントの例示的な移植処置では、延長部のようなインプラントの一部は、骨盤部位の軟支持組織に配置され、軟支持組織を通過し、軟支持組織を介して延長部を導き通過させる。軟支持組織は、所望の又は延長部に取り付けるのに有用な組織であってもよく、例えば、次のものが挙げられる。閉鎖孔の筋肉組織(例えば、内閉鎖筋)、腱弓の組織又は腱弓を取り巻く組織、仙棘靭帯の組織、仙棘靭帯部位の組織、尾骨部位の組織、坐骨棘部位の組織、尾骨筋の組織、腸骨尾骨筋の組織、子宮仙骨靭帯の組織、挙筋の組織、又はこれらの組み合わせが挙げられる。坐骨棘の「部位」内の組織は、肛門挙筋(例えば、腸骨尾骨筋)及び腱弓の組織を含む坐骨棘から1センチメートル以内の組織とすることができる。
【0052】
軟支持組織を通して延長部を配置するとき、本発明の実施形態は、挿入位置で軟支持組織の表面へ延長部を導くことができ、1種以上の軟支持組織の塊を介して延長部を通過させ、その後、軟支持組織の表面上の出口位置で軟支持組織を出る。挿入位置と出口位置とは両方共、一般に、例えば、会陰切開、膣切開、又は腹部切開から、骨盤部位内でアクセスできる組織の側の表面にて、組織の片側の表面に配置することができる。換言すれば、延長部は、組織の一方の側(一般的に、骨盤部位内側)に入り、軟支持組織の長さを通って横方向に通過又は「トネリング(tunneling)」し、その後、骨盤部位に戻りながら、挿入方向の略反対方向に出る。延長部は、組織の一方の側に入り、組織の厚さを横断し、かつ、反対側に出ることによる軟支持組織の横断は、行わない。
【0053】
特定の実施形態によれば、例えば、挿入位置及び出口位置の両方が、同じ、筋肉、靭帯又は腱の表面に配置されている場合には、組織の同じ側の組織表面に配置されている挿入位置及び出口位置は、同じ組織の表面にあることがあり得る。例えば、延長部は、尾骨筋の片側の面にて軟支持組織に入り、延長部は、尾骨筋の長さを介して横方向に通過し、例えば、筋肉を通って横向きに又は横方向にトンネリングする。そして、延長部は、その後、挿入位置と筋肉の同じ側の面の出口位置を通して尾骨筋から出る。延長部は筋肉を通して横向き又は横方向にトンネリング、例えば、内閉鎖筋を通して横方向に渡すことができる。その代わりに、延長部は、片側内閉鎖筋の表面にて軟支援組織に入ることができる。延長部は、内閉鎖筋を介して横方向に通過し、例えば、筋肉を通して横向きに又は横方向にトネリングする。そして、延長部は、その後、挿入位置と内閉鎖筋の同じ側の表面の出口位置を介して内閉鎖筋から出る。
【0054】
本発明の他の実施形態によれば、出口位置と挿入位置とは、例えば、異なる筋肉、靭帯、腱、又はこれらの組み合わせの隣接面等の近接あるいは隣接組織の、近くに、隣接して、あるいは、近接位置に、配置してもよい。例えば、延長部は、尾骨筋の片側の面にて軟支持組織に入ることができ、延長部は、尾骨筋を通過することができ、例えば、筋肉を通して横向きに又は横方向に、及び仙棘靭帯の後ろの位置まで、トンネリングする。延長部は、その後、尾骨筋上の挿入位置に隣接している靭帯の側の出口位置を通じて、仙棘靭帯の表面に出てくることができる。
【0055】
延長部の端部を取り付けるための位置の他の例は、通過する組織路にあり、又は、2006年4月5日提出の出願人の同時係属米国特許出願第11/398,368号に記載されているように、尾骨部位で終端する。この出願は、全体が参照によって本明細書に組み込まれる。この出願は、インプラントを用いて膣脱(例えば、ボルト脱出症、腸ヘルニア、膀胱瘤、直腸)を治療するためのインプラントの使用について開示しており、使用されるインプラントは、組織支持部と延長部とを備え、延長部は、尾骨の骨の部位(すなわち、「尾骨域」、又は「経尾骨」の組織経路)を含む組織経路を通過する。
【0056】
例示的な方法は、尾骨の骨の近位の尾骨部位における支持部材の延長部の配置を含む、脱出した組織を支持するための支持部材の配置を伴い、例えば、に接続されているか、筋肉(例えば、尾骨筋、腸骨尾骨筋)、又は尾骨の骨の側方の靭帯(仙棘靭帯)に、取り付けられている、あるいは、通って延在している。例示的な組織パスは、膣円蓋組織を囲む部位から始まり、直腸を越えて尾骨の骨の近位の位置まで拡張することができる。支持部材の延長部は、一般的に、筋肉又は他の組織内に用意された通路を介して案内され、直腸を通過し、尾骨の骨の近位まで来て、この部位にて内部組織に取り付けられる。延長部の遠位端は、組織ファスナを用いて、尾骨部位の筋肉や靭帯(例えば、棘靭帯)に延長部の遠位端を固定するように、尾骨部位の任意の組織に取り付けることができる。その代わりに、延長部の遠位端は、尾骨部位の組織を通って表皮の外部切開口に延びてもよい。
【0057】
本明細書の他所にて説明するように、(任意の組織経路を通って延びる)延長部の長さは、外科医が移植の前、最中、又は後において延長部の長さを変更できるように、任意に、固定又は調整可能である。一方、調整及び張力(伸張)機構も、インプラントの実施例から、又は、例えば、閉鎖孔に取り付けられる優れた延長部、あるいは、外部切開まで及ぶ組織経路に配置される延長部といった、特定の延長部から、除外することができる。
【0058】
図面を参照すると、
図1は、調整可能なインプラントを使用して、仙骨の解剖学的構造の要素から固定及び支持することによって、膣10尖部への支持の提供に関連する、例示的なインプラント、器具、及び方法を概して示している。この実施形態は、一般に参照番号12によって指定される仙骨(すなわち、前縦靱帯などの仙骨の解剖学的構造の要素)に取り付けるための後方部分24及び、2つのメッシュ又はポリマーのロッドアーム34を有するY型インプラント20を備える。2つのメッシュ又はポリマーのロッドアーム34は、膣尖部を支持するために膣壁組織に取り付け可能な2つの前方部のそれぞれ又は支持部26の開口部(例えば、ロック・アイレット32)を経由して、経路決めされてもよい。膣10に対する例示的な取り付け部位は、点14にて示されている。前方部又は支持部26は、膣壁への取り付けのための前方部位28と、2つのアーム34のそれぞれと調整可能に係合するためのアイレット32を含む後方部位30と、を備えている。仙骨の解剖学的構造の要素に固定されたインプラント20、及び、膣壁組織に取り付けられた前方支持部26の各々と共に、各アーム34は、アイレット32の1つを介して導かれてもよい。本発明の調整と切断のための器具のような器具は、次に、特定の張力(テンション、引っ張り上げる力)に達するまで、アーム34及び取り付けられたメッシュの上までアイレット32を押し上げるために使用することができる。このような器具は、次に、アーム34又は取り付けられたメッシュ素材の任意の望ましくない余分な長さを切断することができる。
【0059】
(例えば、仙骨膣固定術の処置にて実行され得るような)膣組織を支持するための調整可能なインプラントの位置決めなどの方法に使用される、本発明の調整及び切断のための器具40の例示的実施形態が、
図2A〜2Eに概して示される。切断器具40は、膣円蓋の組織と言った膣組織の近く等の有用な場所に配置することができる切断構造及び調整構造の両方が含まれる遠位端を備える。このような調整と切断のための器具は、図示のように一般的に設定された、あるいは、異なる形状やサイズにすることができる、細長い器具であってもよい。いずれにしても、一般的に、インプラントの細長部(例えば、調整可能なマルチピースインプラントの延長部片の、細長いメッシュあるいはロッド部)に係合する遠位端を備えており、細長部の操作を可能にし、調整及び調整後の細長部を切断する。調整及び切断のための器具の利点として、組織損傷及び外傷を防止しながら、インプラントの一部を安全に制御して切断する動作、そして、調整係合部にインプラントを所望の長さ残して確保できる制御された切断を含んでいてもよい。
【0060】
図2A及び2Bは、例示的な調整及び切断のための器具40を図示している。器具40は、一般的に、細長い部材42、近位端44、及び遠位端46を備える。切断器具40の遠位端46の拡大図である
図2Cに示すように、遠位端46は、遠位チャネル開口50から近位チャネル開口48に延びるチャネル52を備えている。チャネル52は、図中ではほぼ直線として示されているが、チャネル52は、その代わりに、遠位チャネル開口50及び近位チャネル開口48が互いにオフセットされるような方法にて、角度をつけてもよく又は湾曲していてもよいと考えてられている。いずれの場合においても、チャンネル開口及びチャネル自体は、その中に挿入される材料よりも大きい内径を有するように寸法決めされている。チャネル52と、近位端の開口部48及び遠位端の開口部50との寸法は、インプラントの細長部又は片に係合するのに有用であり得る。チャネル52は、例えば、その内部に挿入される材料の大きさに応じて、0.5から1.2センチメートル(例えば、0.5から1.0センチメートルまで)の範囲の直径を有する開口部を規定できる。
【0061】
遠位端46は、さらに、チャネル52内に延びる、その切断面の少なくとも一方に位置するブレード62(さらに詳細に後述する)を備える。ブレード62は、チャネル52を通過するインプラントの細長部を切断するために使用される。使用時には、調整可能なインプラントの細長部又は片(例えば、メッシュ又はポリマーの、インプラントの第1片と称される延長部片のロッド)は、チャネル52をくぐり、あるいは、押し込まれ/引っ張られ、そして、調整可能なインプラントの別の片(例えば、支持部片)に対して細長部あるいは片の位置を調整するために、近位又は遠位に移動される。遠位端46の遠位面60は、調整可能なインプラントの第2要素あるいは片(例えば、グロメット、アイレット、メッシュ、又は支持部片のような調整係合部)に圧力を加え、チャネル52をくぐったインプラントの細長部又は片に対して、第2要素又は片を移動させるために使用できる。第2片に対する第1片の相対的移動が、また、膣組織の位置、第1片及び第2片、又はその両方の張力も調整できるように、第1(延長部)片が、先に骨盤部位の組織に固定され、そして、第2(支持部)片が膣組織に固定されてもよい。インプラントの所望の調整時に、器具40は、刃62が第2(支持部)片の近位側の位置にて調整可能なインプラントの細長部あるいは片を切断するように、操作され(例えば、近位に引っ張られ)得る。
【0062】
図2Cに最良に示される一実施形態では、チャネル52は、比較的真直線状又は円筒形であるが、一対のターン部に対して近位及び遠位である2つの直線部分を分離する「ジョグ」を形成する一対のターン部又はコーナ部と共に、任意に設計することができる。その代わりに、チャネル52は、1つ又は複数の湾曲部分、2つ以上の直線部分、及び/又は他の構成を備えていてもよい。チャネルが単一のジョグを含む場合、ブレード62は、例えば、チャネルの近位ターンに配置することができる。
【0063】
ブレード62の例示的な実施形態が、
図2D及び2Eに示されており、このようなブレードは、所望の位置にてインプラントを切断できる1つ又は複数の切断面を供するように、配置及び構成されている。任意に(及び図示されるように)、ブレード62は、互いに対してある角度で配置された2つの切断面63,64を備える。これは、それ自体が複数の切断面を備えたブレードを用いて、又は、実際のマルチ要素ブレードアセンブリであるブレードを提供することによって、達成することができる。図示の実施形態は、V字状の交差部に集まるような切断面63,64を示しているが、これらに代えて、面63,64、は、互いに対して異なる配置とすることができる。さらに、ブレード62は、その代わりに、2つ以上あるいは以下の切断面を含み得ることが企図される。いずれの場合においても、切断面は、材材料に損傷を与えることなく切断面(複数)上で一方向に材料がスライドされるように、あるいは、単指向性の面、又はテーパ面を用いて、提供され得るが、材料が切断面(複数)に対して反対にスライドされる際、材料は、1つ以上の鋭い面で切断される。このように、材料は、材料の切断に対して損傷を与えることなく先に調整され得る。
【0064】
ブレード62は、切断面63,64を近位端44に対向するように配置するために、細長い部材42に対して非垂直かつ非平行の角度で配向させてもよい。
図2Cは、シャフト42に対して例示的に約45度の角度で配向されたブレード62を含む器具40の遠位端46の側面図を示す。シャフト42に対するブレード62の相対的なこの角度は、器具440に所望の切断能力を与えるのを要求するよう変化させる(例えば、30度と60度との間、あるいは20度から70度)ことができる。本実施形態では、インプラントの細長部は、チャネル52をくぐることができ、よって、遠位端46は、インプラントを切断することなく、インプラントの細長部に沿って遠位側に移動可能となり、次いで、近位側に移動可能となって、切断面63,64がインプラントの細長部に係合し切断する。したがって、図示するように近位側の切断面63,64を用いて、器具40は、切断面63,64の少なくとも1つが、インプラントの細長部を通って係合し分断するようにユーザに向けて近位側に移動させることができる。これは、インプラントの細長部にテンションを配置しつつ、実行され得る。さらに、器具40は、切断面63,64が、インプラントの細長部に係合又は切断しないように、ユーザから離れる遠位側に移動させることができる。ブレード62は、必要に応じて器具40から取り外し可能で交換可能とすることができ、また、ブレードを所望の位置に固定するカバーや他の特徴を備えていてもよい。及び/又は、ブレードは、そうでなければ、摩擦嵌め、接着剤などによって、器具40内の所望の位置に固定され得る。
【0065】
別の実施形態では、器具40は、更に、その近位端44において調整機能を備え得る。近位端44は、ブレード62のような切削機能を備えていないチャネル又は開口部を含む。そのような調整機能は、例えば、近位端44から延びるフランジ又は外延部上に設けられ得る。
【0066】
図3A及び3Bは、とりわけ、それぞれ、他の例示的な、調整及び切断のための器具140の他の例における側面図及び上面図を示している。調整及び切断のための器具140は、インプラントの取り付け及び調整の処置において、調整可能な(例えば、マルチピース)インプラントの細長部あるいは片を調整及び切断をする。器具140は、細長い部材142、近位端144、及び遠位端146を備える。遠位端146は、遠位開口部150と近位開口部148との間に延びるチャネル152を備える。チャネル152は、チャネル152を介して調整可能なインプラント(例えば、メッシュ又はポリマーロッド)の細長部又は片を配置(例えば、ねじ切り)させ、及び、(第1の)細長部又は片の位置を調整するために、調整可能なインプラントの別の(第2の)部分(例えば、支持部片)に対して近位側又は遠位側の部分を移動させる、ことにより使用することができる。チャネル152は、また、チャネル152内に配置されるインプラントの細長部又は片を切断するために使用できる回転切削ヘッドの一部としてブレード162を含む。
【0067】
器具140は、細長い部材142の近位端144に隣接するアクチュエータ166も備える。アクチュエータ166は、
図3Aでは、作動位置と休止位置との両方が示されている。アクチュエータ166は、フィンガーグリップ部分を含むものとして示されている。フィンガーグリップ部分は、チャネル152内に配置されたインプラントの細長部を、所望の際に選択的に切断するブレード162を作動又は移動するために、近位側及び遠位側に移動させることができる。特に、インプラントの細長部(例えば、延長部片)は、チャネル152を通してねじ込むことができる。遠位端146の遠位表面160は、調整可能なインプラントの第2の(異なる)要素又は片(例えば、グロメット、アイレット、メッシュ、あるいは支持部片のような調整係合部)に圧力を加えるために使用することができ、チャネル152を介して通されたインプラントの(第1の)細長部又は片に対して、第2の要素又は片を移動させる。インプラント(及び、組織、例えば、膣組織)の所望の縦の調整において、作動可能にブレード162に取り付けられているアクチュエータ166は、切断しない位置(
図3C参照)から切断位置(
図3D参照)までブレード162が向きを変えるように(例えば、近位側に引っ張られたり、遠位側に押されたり)操作され得る。切断位置では、ブレード162は、チャネル152に対する所望の位置にて調整可能なインプラントの細長部又は片を分断又は切断できる。
【0068】
図4A〜4Dは、別の例示的な実施形態の調整及び切断のための器具240を示している。器具240は、移植処置において調整可能なインプラントの一部分又は細長部を調整及び切断するために使用される。器具240は、細長部材242、近位端244、及び遠位端246を備える。遠位端246は、遠位開口250から近位開口248まで延びるチャネル252を備える。
図4Bに示すように、端部から見ると、遠位端246は、さらに、切断スロット270及び少なくとも1つの調整溝272を備えるものとして示されている。器具240は、チャネル252と調整溝272とを通して調整可能なインプラント(例えば、メッシュ)の細長部又は片を配置し(例えば、ネジ切り)、そして、細長部又は片を近位又は遠位に移動させる、ことによって使用することができる。細長部又は片を近位又は遠位に移動させることで、調整可能なインプラントの別の(第2の)片(例えば、支持部片)に対する細長部又は片の位置を調整することができる。チャネル252は、切断スロット270と連絡し、切断スロット270は、チャネル252及び切断スロット270を通過するインプラントの細長部を切断するために使用される切削ブレード262を備えている。
【0069】
インプラントの細長部又は(第1の)片が調整溝272内に配置されると、遠位端246の遠位表面260は、調整可能なインプラントの異なる要素又は第2の片(例えば、グロメット、アイレット、メッシュ、あるいは支持部片等の調整係合部)に圧力を加えるために使用することができ、チャネル252をくぐって、インプラントの(第1の)細長部又は片に対して上記要素又は第2の片を移動させる。インプラントが調整された後、遠位端246においてチャネル252を通ってねじ込まれるインプラント材料は、遠位端242に対して横方向に切断スロット270まで移動させられ、そこでは、ブレード262は、調整可能なインプラントの細長部又は片を切断できる。
【0070】
図5A〜5Cは、調整機能及び切断機能を有する遠位端を備えた器具の別のバージョンの遠位端346を示している。この器具は、インプラントの細長部又は片の調整とその後の切断とに別々に使用できる。
図5Aを参照すると、遠位端346は、チャネル532の近位開口部384の近くに横方向に拡張する拡張構造の形態の中に、チャネル352、遠位開口350、近位開口348、遠位表面360、ブレード362、及び「タワー」又は「エレベータ」372を備えている。遠位端346は、遠位開口350から近位開口348まで伸びるチャネル(例えば、孔又は開口部)352を備えている。タワー372は、開口部348の近位側にある構造であり、インプラントの近位端の部分又は片の操作によって、ブレード362に対して、チャネル352を通過し、レバレッジを獲得し、遠位端346に配置されたインプラント374の細長部又は片の動きを生成するために用いることができる。ブレード362は、チャンネル352内に部分的に延び、ブレード362に対して相対的に近位方向に移動する際(例えば、器具340が遠位側に移動する際)に、インプラント374の細長部又は片が自由に通過できるように、研がれた切断端を近位方向に向くように配置するための角度が付けられている。インプラントの細長部又は片が、タワー372に配置されるように操作されることによって利用され、器具340が近位に移動されると、インプラント374の細長部又は片は、ブレード362の切断面と接触し、切断される。
【0071】
図6A及び6Bは、例示的な調整及び切断のための器具498を用いたマルチピース骨盤インプラント486の移植例を示している。なお、この図に示す器具498の端部は、必ずしも特定の切断器具を示しているものではなく、その代わりに、本発明の調整及び切断のための器具の遠位端と、移植における使用方法との一般的な描写であり、この器具は、その等価物と共に、上述した切断の特徴及び構成のいずれかを備える、ということを述べておく。この実施形態では、一方向の摩擦調整素子は、支持部片に固定されており、延長部片のセグメントは、調整可能に摩擦調整素子に係合されている。特に、インプラント486は、摩擦調整素子490及び492を有する支持部片488を備える。摩擦調整素子490及び492は開口を備え、この開口を通して延長部494のセグメントがねじ込まれる。延長部片のセグメントが、反対方向の移動に抵抗しながら、一方向に摩擦調整素子490を通って移動できるように、複数の歯又はその他の機能を、開口を介して通過する延長部494のセグメントに連絡するよう配置することができる。
【0072】
延長部片494は、図示されるように、摩擦調整素子490に調整可能に接続されている。延長部片494のセグメントは、摩擦調整素子490を通って延び、組織ファスナ496(例えば、自己定着チップを備えていてもよい)は、延長部片494の遠位端に配置されている。摩擦調整素子490及び492は、延長部片494が、反対方向の移動に抵抗しながら一方向に摩擦調整素子を通って移動できるようにし、図示されるように、摩擦調整素子490又は492を通って延びる延長部片494の量を調整することによって、インプラント486の延長部の長さを調整する。
【0073】
図6A及び6Bに示されたタイプのインプラントは、移植され、その後、インプラントの1以上の部分を互いに対して動かすのを助ける器具498の助けを借りて、調整及び切断され得る。器具498は、図示のように、延長部494を受け取るチャネル又は遠位端における開口を備える。使用時には、先端部496が組織に固定されると、器具498は、摩擦調整素子490に接触する器具498の遠位端まで、調整方向402に、延長部片494に沿ってスライドされ得る。調整方向402における調整用器具498のさらなる移動は、さらに、先端部496と支持部片488との間の距離を調整し、インプラント486の延長部の長さを低減することができる。この時点で、器具498の切断機構は、所望の位置にて延長部494を切断するよう稼働され、この稼働は、切断ブレードの延長部に対する相対的な移動、ブレードが延長部を切断することする方向とは反対の方向への器具498の移動あるいは、切断を容易にする他の移動を含んでもよい。
【0074】
図7は、実施形態が上記されている本発明の調整及び切断のための器具の一つを用いて調整できる、別の例示的なマルチピース骨盤インプラント406を示している。この実施形態では、摩擦調整素子は、支持部片の開口を通って延在する延長部の部分に沿って可動に係合されている。摩擦調整素子の配置は、例えば、延長部の長さを調整するに支持部片と延長部片の遠位端との間の長さとして測定されるように、延長部の長さを調整するために、(例えば、開口部412に向いて調整する方向に)移動させることができる。
【0075】
インプラント406は、緩い開口(例えば、グロメット又は開口)410及び412を有する支持部片408を備える。延長部414は、一方向又は双方向の移動を可能にするように各開口410及び412を介して緩くねじ込まれている。摩擦調整素子416は、少なくとも一方向に調整可能であってもよく、好ましくは、一方向に調整可能であり、かつ、他の方向には可能でない。摩擦調整素子416は、延長部414のセグメントに沿って摩擦調整素子416が移動するのを可能にするために、延長部414のセグメントに配置されており、摩擦調整素子416とファスナ418との間の長さを縮める(一方向の摩擦調整素子416を使用)、又は、縮めて延ばす(双方向の摩擦調整素子416を使用)のを可能にするために、支持部片408に隣接している。
【0076】
使用において、支持部片408は、配置され、組織を支持するために所望の位置へと調整され、ファスナ418は、患者におけるそれらが所望される位置に配置され得る。支持部片408の所望の位置を維持するために、摩擦調整素子416は、延長部片414に沿って移動又はスライドされ得る。これは本発明の切断及び調整のための器具の助けを借りて、そして本明細書に記載するようにして、実行されてもよい。延長部片414の移動は、開口412と先端418との間の延長部ピース414の長さを調整及び固定でき、支持部片408の解剖学的位置を調整及び維持することができる。その後、延長部片414を、調整及び切断のための器具を用いて、切断することができる。
【0077】
図6A、6B、及び7は2つの延長部を備えたインプラントを示しているが、本発明の調整及び切断のための器具は、様々な形状及びサイズの組織支持部を備えたインプラントに並んで、2つ以上又は以下の延長部を備えたインプラントにて使用されるように意図されている。
【0078】
図8及び9は、2層から成る「多層」の又は「ハイブリッド」の組織支持部(又は支持部片)を備えた骨盤インプラントの更なる実施形態を示しており、1つの層は合成層であり、もう1つの層は生物学的層である。必要に応じて、ハイブリッドの組織支持部は、本明細書に記載のような任意のインプラントの中に、例えば、上記した延長部及び摩擦調整素子を備えたマルチピースインプラントの支持部の区分(セクション)の中に、組み込むことができる。そのようなインプラントはまた、本発明の調整及び切断のための器具を用いて、調整及び切断され得る。
【0079】
特に、
図8は、例えば、尿失禁の症状が任意に伴う膀胱瘤のような前方膣脱を治療するために使用することができる、例示的なハイブリッドの又は多層のインプラント580示している。支持部片582を備えたインプラント580は、組織支持部586(例えば、生物学的材料又はメッシュ)、そして、リベット592で支持部片582に取付けられる第1及び第2メッシュバンド583及び585を備える。上位又は「前」のメッシュバンド583は、支持部片582に取り付けられ、第1及び第2の調整不可能なスーパーメッシュ延長部584及び586を提供する。第1及び第2の調整不可能なスーパーメッシュ延長部584及び586は、それぞれが、図示のように、その遠位端に組織ファスナ(例えば、自己定着チップ) 594を有する。上位の延長部584及び586は、インプラント580の前方部分をサポートするように設計されてもよく、インプラント580は、膣組織、膀胱頸部、又は尿道のうちの1つ以上を支持することができ、膣脱を治療し、かつ付随する失禁の症状を緩和する。各組織ファスナ594は、閉鎖孔の組織に移植することができる。あるいは、上位の延長部584及び586は延長することができ、恥骨後隙、腹部切開、恥骨に達し、又は閉鎖孔を通して太ももの内側にて外部切開に達することがある。上位の延長部584及び586は、長さが固定されていることが示されているが、その代わりに、本明細書に記載されるように調整可能とすることができる。支持部片582に取り付けられた第2メッシュバンド585は、遠位端に固定された摩擦調整素子596をそれぞれ有する第1及び第2の支持部片アーム587及び589を提供する。第1及び第2の下位の延長部片588及び590は、その遠位端に組織ファスナ(例えば、自己定着チップ)594を有し、図示されるように、調整可能に摩擦調整素子596に接続されており、本発明の調整及び切断のための器具を用いて調整及び切断可能である。
【0080】
図9は、例えば、尖部脱又は円蓋脱、直腸、腸ヘルニア等の後方の膣脱の治療に使用できる他の例示的な骨盤インプラントを示している。インプラント600は、例えば、実質的に組織支持部を構成している生物材料又はメッシュ材料で作られた支持部片602、及び実質的に支持部片602の幅にわたって延びる補強メッシュバンド603を有している。補強メッシュバンド603は、ポリマーリベット608にて支持部片602に取り付けられており、第1及び第2の支持部片アーム601及び605を提供する。第1及び第2の延長部片604及び606は、支持部片アーム601及び605の遠位端にて、摩擦調整素子610を介して支持部片アーム601及び605に接続する。本明細書に記載のインプラントの他の実施形態と同様に、本発明の調整及び切断のための器具は、
図9に示す実施形態のインプラントにて使用することができる。
【0081】
本明細書に詳述された様々なシステム、装置、及び方法は、(例えば、男性及び女性の)既知のインプラント及びその修復システム又は改良に使用できることが想定される。特徴及び方法は、米国特許第7,500,945号、第7,407,480号、第7,351,197号、第7,347,812号、第7,303,525号、第7,025,063号、第6,691,711号、第6,648,921号、及び第6,612,977号、国際特許公開第WO2008/057261号、第WO2007/097994号、第WO2007/149348号、第WO2009/017680号、及び米国特許公開第2002/151762号、第2010/0174134号、第2010/0298630号、第2002/0028980号、第2006/0069301号、及び第2002/14738号、国際出願第PCT/US10/62577号(2010年12月30日提出)に開示されているものを含む。従って、上記の文献番号が開示されたものは、参照されることでその全体が完全に本明細書に組み込まれる。
【0082】
開示された器具、方法、及びアンカー(例えば、螺旋アンカー、自己定着チップ、又は他の物)、及びそれらの様々な構成要素、構造、特徴、材料、及び方法を用いて配置されるインプラントは、先に組み込まれた参考文献又は本明細書又は他に記載された、いくつかの適切な構成を有してもよい。先に組み込まれた参考文献に開示された、失禁、脱出症、又は他の骨盤の症状を治療するためのインプラントの、導入、展開、アンカリング、及び操作のための様々な方法及び器具は、本明細書に記載の装置及び方法の使用に適合可能にすることが想定される。
【0083】
本明細書に記載されるように使用されるインプラントは、任意の所望のサイズ、形状、及び、調整などの付随の機能を含む、所望の治療に有用な任意の構造的特徴を有することができる。これらの特徴のいずれかは、既知であっても、あるいは本明細書に組み込まれる文献に記載されてもよく、又は、いくつかの特定のインプラント及び方法のために、本明細書に記載されていてもよい。備えた、又は説明したように、固定され、調整され、操作されたインプラントは、男性又は女性の患者の骨盤の症状のいくつかの種類の治療に有用であるかもしれない。例えば、単一の非限定的な例としては、記載されたようなインプラント及び方法は、開腹、腹腔鏡、及び/又は経膣SCP処置にて使用され、仙骨靭帯(例えば、前縦靱帯、別名「前方の靭帯」又は「縦靱帯」 )のような仙骨の解剖学的構造の部位に取り付けられたインプラントを通して、膣組織(膣カフなど)への支援を提供する。
【0084】
本発明の装置及び方法で使用することができる組織ファスナの1つのタイプは、自己定着チップである。「自己定着チップ」は、一般に、自己定着チップの位置を維持して、取り付けられたインプラントを支持する方法において、軟組織(例えば、筋肉、筋膜、靭帯など)に移植することができる延長部(又は延長部片)の遠位端にて接続された構造(時には軟組織アンカーと称される)であり得る。例示的な自己定着チップはまた、挿入器具(例えば、細長い針、細長いチューブなど)の端部に係合するよう設計されていてもよく、挿入器具は、移植のために組織を通って組織の中に自己定着チップを押し込むために使用することができる。また、骨盤部位(例えば、閉鎖孔の位置で)の内部に到達するために、内側切開を介すのが好ましい。挿入器具は、基材の外表面のような外部の場所にて、横方向の延長部にて、あるいは所望されれば、挿入工具が、自己定着チップを患者の切開を通し、支持組織を通って支持組織の中に押し込むことができる任意の方法にて、自己定着チップの内部チャネルにて自己定着チップに係合してもよい。
【0085】
例示的な自己定着チップは、自己定着チップが軟組織内に挿入し、かつ効果的に組織に固定されるようにする、1つ以上の横方向の延長部を備えることができる。横方向の延長部は、可動又は固定であってもよい。自己定着チップ及び任意の横方向の拡張部のサイズは、組織の中に浸透し、固定されるようになることに役立つ。例示的な自己定着チップが、譲受人の同時係属国際特許出願第PCTUS2007/004015号に記載されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の構造も有用であり得る。
【0086】
自己定着チップは、近位ベース端及び遠位ベース端を有するベースを備える構造を有することができる。近位ベース端は、延長部の遠位端に(直接又は間接的に、例えば、結合縫合糸によって)接続することができる。ベースは、近位ベース端から遠位ベース端に延び、近位ベース端から少なくとも部分的に遠位ベース端に向かってベースの長さに沿って延びる内部チャネルを、任意に備えることができる。任意の内部チャネルは、挿入器具が患者の骨盤組織内の位置で自己定着チップを配置するのに使用できるように、挿入器具の遠位端と相互作用する(すなわち、係合する、任意に選択的に係合及び解除できる解除機構を用いて)ように設計することができる。自己定着チップは、一般的に、所望の構造に成型又は形成され、そして、インプラントの延長部の遠位端に接続又は取り付けることができる材料を含む任意の有用な材料から作ることができる。有用な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、などのプラスチック、及び他の熱可塑性又は熱成形可能な材料だけでなく、金属、セラミック、他のタイプの生体適合性及び任意の生体吸収性の材料、又は生体吸収性材料を含むことができる。例示的な生体吸収性材料としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド(PLA)、PGAとPLAとのコポリマーが挙げられる。
【0087】
記載したような様々なシステムによれば、1つ以上の器具、挿入器具、調整器具等は、記載されたインプラント又は方法に組み込むことができ、あるいは、共に使用することができる。有用な器具の例としては、一般に、1つ以上の(固定又は可動の)薄い、ハンドルから伸びる、薄い細長い部材、比較的硬いシャフト、あるいは針を含むものが含まれる。シャフトは、ハンドルから延びる、単一の細長いシャフト又は複数の別々の細長いシャフトであってもよく、あるいは、ハンドルから延び、主軸の端にて区切られた複数の支部又は「歯」シャフトを含む、1つ又は複数のシャフトであってもよい。ハンドルは、装置の近位端に位置し、シャフトの一端に取り付けられている。いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数のシャフトの遠位端は、挿入器具が、組織ファスナと係合し、組織通路を通って組織ファスナ押し、そして、骨盤部位の支持組織に組織ファスナと接続できるように、例えば、組織ファスナ(例えば、自己定着チップ)のようなインプラントの一部に係合するように適合させることができる。このタイプの器具の例は、自己定着チップが組織内に押し込まれることを可能にする挿入器具の遠位端に係合されるように設計された内部チャネルを備えた自己定着チップと共に使用することができる。挿入器具の他の一般的なタイプも有用であろうが、例えば内部チャネルを必要としない代替の方法で、自己定着チップ又は他の組織ファスナに係合してもよい。
【0088】
失禁及び膣脱の治療のための例示的な挿入器具は、例えば、米国特許出願第10/834,943号、第10/306,179号、第11/347,553号、第11/398,368号、第10/840,646号、PCT出願第2006/028828号、第2006/0260618号、第WO2010/093421号、及び米国特許公開第US2010/0256442号に開示されており、これらの全体が全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
付随的に、インプラントは、組織支持部の位置にて、又は延長部の長さに沿った位置にて、組織ファスナを備えることができる。組織ファスナのこの形態は、補強された(例えば、コーティング、熱治療、又は織物又はストリップの補強によって)エッジの延長の形態であってもよく、メッシュの複数の層及び延長部におけるエッジの延長等は、例えば、出願人の同時係属米国特許第7422557号、かつ出願人の同時係属米国特許公開第US2006/0195011号、第US2006/0195007号、及び第US2006/0195010号に開示されており、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。他の例としては、例えば、歯、フック、シェブロン、棘、矢等を含み、軟組織に摩擦で係合するように成形された、金属、プラスチック、又は、他のポリマー又は非ポリマー構造、又はそれらの組み合わせ、あるいは、組織内の固定を改善するために延長部の端部又は表面に加える任意の構造、等の比較的剛性の構造を含む。この構造は、例えば、1つ以上の延長部の長さに沿って方向付けられた複数の尖った面のような、インプラントと隣接組織との間の摩擦力を増加させる任意の形状又は形態を有し、組織支持部に向かっており、かつ、インプラントの表面又は端部(例えば、延長部)から離れて延びている。組織ファスナは、インプラントが尿道の下方に配置されている組織支持部の中心線に配置される際に、筋肉又は筋膜などの支持組織に組織ファスナが配置されるようにするインプラントの位置に、配置することができる。例えば、組織ファスナは、インプラントの組織支持部分又は延長部に、組織支持部の正中線から2又は3センチメートルなどの近さで、配置することができ、正中線が尿道の下に配置される際に、閉鎖孔の組織に到達する距離まで、例えば、正中線から最大7センチメートルまでに、配置することができる。
【0090】
以下に記載のインプラントの実施形態によれば、インプラントは、調整係合部によって調整可能に互いに接続された複数の片を含むことができる。延長部片は、支持部片から分離することができ、2つの片は、調整可能な係合部を介して接続することができ、支持部片は、組織支持部を含むことができる。
【0091】
図10を参照すると、膣円蓋の吊り上げ及び仙骨岬への取り付けに使用することができる移植システム700の実施形態が示されている。この移植システム700は、前部及び後部の膣部位を別個に引っ張り上げる(張力を与える)のを有利に可能にする。特に、本実施形態の移植可能なシステムは、一般に参照番号704によって指定される第1端部での仙骨岬に取り付けられるように設計されたY字型のメッシュ要素702を備える。Y字型のメッシュ要素704は、交点又は頂点領域710を提供するために、V字状に配置された2つの細長いメッシュ部706,708を備えている。あるいは、これらの細長いメッシュ部706,708のうちの1つ以上は、その代わりに、細長い重合体部とすることができる。延長ベース部712は、2つの細長いメッシュ部706,708が交わる頂点領域710から延びている。図示のように、延長ベース部712は、例えば、仙骨岬にこの部分を取り付けるために使用することができる少なくとも1つのアイレット又は開口714を備える。ロッド716は、図示するように、必要に応じて、様々に異なる長さ及び断面を有し得る細長いメッシュ部706,708の一方又は両方から延びることができる。細長いメッシュ部706,708は、一端でテーパである概ね平坦な矩形状の部材であるとして示されているが、それは、細長いメッシュ部706,708が、代わりに異なる構成を有し得ることが理解される。
【0092】
このシステムは、さらに、2つの頂端メッシュ片を含み、これらは、前方頂端メッシュ片720及び後方頂端メッシュ片722と称してもよい。前方及び後方頂端メッシュ片720、722は、それぞれ、前部及び後部の膣壁に縫合あるいは取り付けることができる。これらのメッシュ片720、722は、それぞれが、上述したように細長いメッシュ部706,708から延びるロッド716の一方の端部を受けるように構成された孔(アイレット)又は開口部724を設けることができる。一実施形態では、アイレット724の一方又は両方は、一方向ロックアイレットであり、ロッド716が挿入方向にアイレット724を通って押されると、それがアイレットから後方に引き抜かれることを防止される(すなわち、挿入方向とは反対方向にて)。いずれの場合においても、ロッド716とアイレット724との間の取り付けは、接続に対する調整機能を提供し、装置において特定の張力が達成されるまで、ロッド716の長さは、アイレット724を介して押し出すことができる。同様にして、延長ベース部712のアイレット724は、仙骨岬への装置の調整可能な取り付けのために設けられている。すなわち、延長ベース部712のアイレット724は、システムに追加の調整機能を提供するために、仙骨岬に対して移動可能である。
【0093】
このような張力装置などの器具(図示せず)、及び/又は、調整及び切断のための器具は、特定の張力に達するまで、細長いメッシュ部及び/又はベース部の長さに沿ってアイレットをさらに押すために、任意に使用することができる。必要に応じて張力を測定する張力指標計(張力インジケータゲージ)を備える器具を、使用することができる。さらに、器具は、外科手術中に、仙骨がクリアに見えるように、直腸を移動するように配置することができる。
【0094】
図1のシステムは、膣脱の症状を軽減するために、仙骨に向かって膣尖を持ち上げるのを可能にするように設計された調整機構を提供する。本発明の一実施形態では、システムは、前部及び後部の膣メッシュ片で構成されるY字型のメッシュ要素と、Y字型のメッシュ要素に設けられている係止孔を介して挿入することができる1つのロッド(例えば、プラスチック棒)を備えている仙骨取付片とを備えることができる。このような構成は、膣尖を持ち上げることができる。このシステムは、従って、膣壁と仙骨又は仙骨岬との両方で調整ができ、仙骨の解剖学的構造部位から固定及び支持によって膣尖を支持する、経膣、開腹、及び/又は腹腔鏡を用いた方法のいずれでも使用することができる。
【0095】
図11〜15を参照すると、前部及び後部の区画を別個に引っ張り上げる(張力を与える)、調整可能な膣尖支援システムが示されている。
図11を参照すると、最初に、膣尖を支持するための仙骨膣固定術又は関連する処置は、前方インプラント730及び後方インプラント732を用いて行うことができる。前方インプラント730は、後端に仙骨の解剖学的構造の部位(例えば、前縦靱帯)、及び前端に膣壁(例えば、前膣壁)を取り付け可能である。後方インプラント732は、後端に仙骨の解剖学的構造の部位、及び前端に膣壁(例えば、後膣壁)を取り付け可能である。これらの別々のメッシュ部分は、膣尖への所望の支援を得るために、生体内での独立した調整を可能とする。
【0096】
さらに
図12を参照すると、前方インプラント740及び後方インプラント742の各々は、隣接する一方の端部に調整されてそれぞれ位置する開口又はアイレット744,746を備えて示されている。これらのインプラント740,742の各々は、開口又はアイレット744,746の範囲を越えて延びる延長部748を備え、この延長部788は、付加的な前方又は後方の支持を可能にする。この膣尖支援システムは、さらに、仙骨への固定のために設けられた追加部材750を備える。このように、
図12は、前方部片740、後方片742、及び仙骨への固定のために設計された補助片750を備えた調整可能な膣尖支持装置を備えた調整可能なインプラントシステムを示す図である。これらの片は、膣尖の適切に支持できるように、インビボで独立した調整が可能なシステムにて使用される。前方片及び後方片740,742は、それぞれ、前部と後部の膣壁に固定可能である。補助片750は、仙骨の解剖学的構造の部位(例えば、前縦靱帯、又は仙骨)に固定可能である。補助インプラント750の延長片752は、前方片及び後方片にアイレット744,746を介して挿入される。各延長片752は、対応するアイレットを介して調整され、仙骨の解剖学的構造に固定されている補助片を用いて、膣尖に別個に張力を与える。アイレット又は開口(例えば、グロメット、又は、代替の摩擦の又はロッキング開口)介した延長片の選択的な移動によって、複合されたメッシュインプラントの張力、膣尖の配置及び支持が調整され得る。
【0097】
図13及14は、2つの本発明のインプラントシステムの追加的な実施形態を示している。
図13のシステム760は、1つの延長アームあるいは仙骨メッシュ766の一部に取り付けられる前膣メッシュ762と、別個に延長アームあるいは仙骨メッシュ766の一部に取り付けられる後膣メッシュ764とを備えている。仙骨メッシュ766には、1つ以上の開口(例えば、2つの開口)を有し、そこから2つのアームが延びるベース部768が設けられている。これらのアームの遠位端は、前方及び後方メッシュ部762,764の開口又は孔770に取り付けられている。別の実施形態のインプラントシステム780は、
図14に示され、第1端部付近の1以上の開口784(例えば、2つの開口)を有する仙骨メッシュ782を備えているが、2つのアームに枝分かれはしていない。その代わりに、本実施形態の仙骨メッシュは782、前方メッシュ786及び後方メッシュ788メッシュの両方に取り付けられる第2端部(第1端部とは反対側の端部にある)から延びる取付部材を有するメッシュ材料から成る単一ストリップ(帯)である。例えば、取付部材は、前方メッシュ786及び後方メッシュ788の両方の開口を通って延びるロッド又はポストすることができる。これらの実施形態の両方で、インプラントの長さ及び位置は、前方メッシュ、後方メッシュ、及び仙骨メッシュのいずれかの又は全ての開口にて、調整することができる。
【0098】
図15は、組み立てと切り離しとの両方が示される要素を備えた、本発明の別の実施形態のインプラントシステム800を示す。システム800は、前方部及び後方部を個別に引っ張り上げる(張力を与える)ことを可能にし、一度に1つのアームのみ必要とする。特に、このシステム800は、それぞれ少なくとも1つの孔又は開口806,808を有する前方メッシュ部802及び後方メッシュ部804を備える。この図において、後方メッシュ部804は、ベース部材811と、ベース部材811から延びるアーム部材814と、アーム部材814から延びるロッド816と、を備えた構成を有するものとして示されている。仙骨に取り付け可能であるこのシステムの補助片810は、例えば、本明細書に記載の他のいくつかの実施形態のような、延びる腕を備えたY字型というよりも、単一の細長い片である。補助片810は、一端付近の少なくとも1つの開口812、及びその他端から延びるロッド820を備える。
【0099】
本システム800の要素を組み立てるために、後方メッシュ部804のアーム部材は、そのロッド816が、前方メッシュ部802の開口806に係合する、又は前方メッシュ部802の開口806を通って延びることができるように、前方メッシュ部802に対して位置決めされる。補助部810から延びるロッド820は、それが後方メッシュ部804の開口808に係合する、又は後方メッシュ部804の開口808を通って延びることができるように、後方メッシュ部804に対して位置決めされる。このように、後方メッシュ部804は、最初に調整することができ、次いで、前方メッシュ部802は、続いて、後方メッシュ部804のアーム部材を介して調整することができる。この実施形態は、補助部810により提供される張力を与える単一アームが、外科手術中及び後のメッシュのねじれを防止及び/又は最小限に抑えることができ、そして、互いに対する要素の適切な配向及び配置に関するいくつかの混乱を防止及び/又は最小限に抑えることができる、という点でさらに有利である。本実施形態の説明では、前方メッシュ部がベース部材、アーム部材、及びロッドを有し、一方で後方メッシュ部が基本的にベース部材のみを有することを示しているが、これらの部分の代わりに、後方メッシュ部がベース部材、アーム部材、及びロッドを有し、一方で前方メッシュ部がベース部材のみを有する構成とすることができることが理解される。これら構成要素は、上記したのと同様にして組み立てることができる。
【0100】
開示されたシステム、それらの様々な構成要素、構造、特徴、材料及び方法は、先に組み込まれた参考文献に示されかつ記載されているように、いくつかの適切な構成を有することができる。本明細書に組み込まれた参考文献に開示されているような、導入のための様々な方法及び器具、展開、固定、及び操作の手段、インプラント等は、本発明でも同様に使用されることが想定される。
【0101】
本明細書で引用した、全ての特許、特許出願、及び刊行物は、個々に本明細書に組み込まれるように、参照されることによってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。そして、個々の特許、特許出願、及び刊行物内に組み込まれた参考文献も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】患者の解剖学的構造に対して配置できるY字型インプラントの概略図である。
【
図2A】調整し、本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の斜視図である。
【
図2E】
図2Cに示される器具の遠位端の端面図であり、
図2Dの端面図の反対方向から得られる図である。
【
図3A】本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の側面図である。
【
図3C】中立位置と切断位置とにおいて回転する切削刃(カッティングブレード)を備えた、
図3Aに示される器具の遠位端の拡大図である。
【
図3D】中立位置と切断位置とにおいて回転する切削刃(カッティングブレード)を備えた、
図3Bに示される器具の遠位端の拡大図である。
【
図4A】本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の側面図である。
【
図4C】
図4Aの調整及び切断のための器具の遠位端の側面図である。
【
図4D】
図4Aの調整及び切断のための器具の遠位端の側面図である。
【
図5A】本発明に係る調整及び切断のための器具の実施形態の遠位端の側面図である。
【
図5B】
図5Aに示される器具の部分の遠位端の側面図であり、調整の処置中にそれを配置できるような材料の長さを示している。
【
図5C】
図5Aに示される器具の部分の遠位端の側面図であり、切断の処置中にそれを配置できるような材料の長さを示している。
【
図6A】本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との斜視図である。
【
図6B】本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との斜視図である。
【
図7】本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【
図8】本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【
図9】本発明に係るマルチピースインプラントと調整及び切断のための器具との上面図である。
【
図10】本発明の調整可能なインプラントの実施形態の上面図である。
【
図11】本発明の実施形態で利用される前部及び後部メッシュ片の上面図である。
【
図12】本発明に係るY型インプラント部材を伴った
図11のメッシュ片の上面図である。
【
図13】本発明のインプラントの実施形態の上面図である。
【
図14】本発明のインプラントの実施形態の上面図である。
【
図15】本発明に係る組み立て及び引き離しの両方が示されるいくつかのシステム構成要素を有するインプラントシステムの実施形態の上面図である。