【文献】
鈴木 弘,圧延百話(74),機械の研究,日本,養賢堂,1996年 5月,Vol.48, No.5,p.583-588
【文献】
鈴木 弘,圧延百話(75),機械の研究,日本,養賢堂,1996年 6月,Vol.48, No.6,p.705-710
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記張力調整器が、先行するミルスタンドであり、前記先行するミルスタンドが、前記先行するミルスタンドのロールギャップを調整することによって、前記金属ストリップの前記張力を調整する、請求項11に記載の冷間圧延機。
前記張力調整器が、前記金属ストリップの長さを格納することが可能である偏向装置と、90ヘルツまたはそれ以上での速度で、前記格納された金属ストリップの長さを変更するために、前記偏向装置を操作するための少なくとも1つのアクチュエータとを備える、請求項11に記載の冷間圧延機。
請求項1に記載のシステムを用いて、前記ミルスタンド上で前記金属ストリップを圧延するときに、前記金属ストリップの前記張力を調整する方法であって、前記調整された張力が、前記金属ストリップの入口張力である、方法。
偏向装置において金属ストリップの長さを格納することをさらに含み、前記入口張力を調整することが、前記格納された金属ストリップの長さを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本開示の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特定性をもって記載されているが、本記載は、請求項の範囲を限定することを必ずしも意図していない。特許請求された主題は、他の方法で具体化されてもよく、異なる要素またはステップを含んでもよく、他の既存のまたは今後の技術と併用して用いられてもよい。本記載は、個々のステップの順番または要素の配置が明記されている場合を除き、さまざまなステップまたは要素間の任意の特定の順番または配置を含意するとして理解されるべきではない。
【0016】
本開示のある特定の態様及び特徴は、金属ストリップがスタンドに入るときに金属ストリップの張力に対する調整を行うことによって、金属圧延機での1/3オクターブの自励振動を制御することに関する。1/3オクターブの自励振動は、1つ以上のセンサによって検出及び/または測定されることができる。高速張力調整器は、金属ストリップの入口張力を(例えば、金属ストリップがミルスタンドに入るときに)すばやく調整して、検出された1/3オクターブの自励振動を補償することができる。高速張力調整器は、ブライドルロールの中央ロールに結合されてロールをすばやく引き上げるかまたは下げ、それによってストリップにおけるすばやい張力調整を引き起こす、油圧または圧電アクチュエータの任意の組み合わせを含むことができる。他の高速張力調整器が用いられることができる。
【0017】
本開示のさまざまな態様及び特徴を用いて、1/3オクターブの自励振動を制御することができる。1/3オクターブの自励振動は、90〜300ヘルツの、またはその周辺の自励振動を含むことができる。本開示のさまざまな態様及び特徴を用いて、およそ90〜200Hz、90〜150Hzの範囲の、または先に述べた範囲内の任意の好適な範囲の1/3オクターブの自励振動を制御することができる。また、本開示のさまざまな態様及び特徴を用いて、他の周波数での張力外乱を制御することができる。
【0018】
1/3オクターブの自励振動は、ロールギャップに対して、入ってくるストリップの張力が精密には制御されず、ストリップ速度が十分に高い(例えば、十分に高速な圧延速度)場合に、あらゆる圧延機に生じる可能性がある。本明細書で開示された概念は、ストリップが圧延機スタンドに入るときのストリップ張力の制御に関する。このように、本明細書で開示された概念を、別の機器、例えばデコイラから圧延機スタンドに入る金属ストリップに適用することができる。加えて、本概念を、マルチスタンドミル(例えば、2つ、3つ、またはそれ以上のスタンドのタンデム冷間ミル)のミルスタンド間を移動する金属ストリップに適用することができる。
【0019】
例えば、2つのスタンドのタンデム冷間ミルは、スタンド間の領域の金属ストリップ張力ゾーン長さを含むことができる。張力は、ストリップが張力ゾーンに入る速度と、張力ゾーンを出る速度との間の速度差によって発生する可能性がある。ゾーンに入るストリップの速度は、先行するスタンドのロール速度によって設定され得る。ゾーンを出るストリップの速度は、下流のスタンドのロール速度と、下流のミルスタンドのロールギャップとによって決定される。2スタンドタンデムミルの場合、下流ギャップを制御して、必要とされるシート厚さを達成することができる。
【0020】
スタンド間張力は、2つのスタンドのロール速度間の差異を調整することによって、及び下流スタンドのロールギャップを調整することによって制御することができる。これら2つの調整のいずれかを用いて、ミルのびびり周波数(例えば、1/3オクターブの自励振動に対する周波数)でスタンド間張力を制御することは、不可能ではないとしても、困難である可能性がある。ロール速度及びロールギャップを調整することは、大きな塊の移動を必要とする可能性があり、かつびびりを軽減するために、かなりのエネルギ量を必要とする可能性がある。これらの調整を用いて1/3オクターブの自励振動を軽減することは、現実的ではなく、及び/または経済的に阻害的である可能性がある。
【0021】
一例として、2スタンドタンデムミルが検討されてモデル化されることができる。このミルでは、第2のスタンドが1/3オクターブの自励振動を経験する可能性があり、ここで、ロール分離力(F
s)の関数としての第2のスタック(x)の垂直移動は、以下の数式1に見られるように、ラプラス領域に記載されることができ、ここでK
1は、スタック移動の変化の結果として生じる分離力を発生させるばね定数(例えば、ミルのばね定数)を表し、K
2は、スタック移動の変化の結果として生じる入口張力の駆動による分離力を発生させるばね定数(例えば、スタンド間ゾーンの剛性)を表し、sはラプラス演算子を表し、Mは、動いているスタック構成品の質量を表し(例えば、頂部バックアップロール及び頂部ワークロール−底部ワークロール及び底部バックアップロールは固定されていることができる)、Dは、スタックの自然減衰係数を表し、かつ正の値を有し、T
tは、ストリップがスタンド間を進むのにかかる通過時間(例えば、スタンド間の張力ゾーンを通過するための時間)を表す。
【数1】
【0022】
当該数式の要点は、分母における二次項
である。この項は、式(s
2+2δω
ns+ω
n2)の減衰によるばね質量系の動きを表す。固有振動数ω
nは、システムの質量及びばねによって
として決定され、システムの減衰は、比率δに依存する。このケースでは、減衰比δの値は、値
に関連している。
【0023】
したがって、スタックの垂直移動は、減衰の値
が負になったときに、持続性発振(例えば、1/3オクターブの自励振動)の状態になる可能性がある。したがって、減衰値が正のままであることを確実にすることが望ましい可能性がある。
【0024】
通過時間変数(T
t)は、なぜミルびびりがストリップ速度に関連付けられることができるかを実証する。ミル速度が上昇するに従って、減衰が低下して、負の値になる可能性がある。いったん減衰が負になると、びびり後にリニアシステムを開始すると仮定すると、ストリップが破断するまで、びびりは指数的に増大する可能性がある。
【0025】
ミルの共振びびり周波数を取り除くことは、可能ではないかもしれず、または必要とされないかもしれない。各ミルスタンドの機械的構造は、そのスタンドの共振周波数を決定する。したがって、ミルの自然減衰に対するあらゆる変化を制限し、及び/または防止することが望ましい可能性がある。
【0026】
スタンド間の速度が増大するときに、正レベルの減衰を維持するための数多くの可能性がある。いくつかの可能性は、他のものがワークロールの垂直移動とスタンド間張力との間のフィードバックループを破断しようと試みる一方で、製品に影響しないプロセスの変化に関連する。
【0027】
プロセス関連の選択肢に対して、K
2の値は、さまざまな方法で低減させることができる。K
2を低減させることは、(1)分離力に対するスタンド間張力の衝撃を減少させることによりスタンド間厚さを低減させてK
2の値を減少させること(これはまた、ストリップが第2のスタンドに入る前にストリップを硬化させる効果を有する可能性がある)、(2)スタンド間張力を減少させて第2のスタンドのロール力を増大させ(これは、分離力と退出厚さとの間のゲインを減少させる可能性がある)さらにK
2の値を減少させること、及び/または(3)面粗さを増大させ、及び/または冷却剤の潤滑性を変化させることによって、第2のスタンドの入りにおける摩擦を増大させることによって、達成されることができる。
【0028】
スタンド間速度が増大するときに正レベルの減衰を維持するための他の方法は、例えばロール力シリンダの拡張を減らすことによって、K
1の値を増大させることを含む。シリンダの剛性は、そのストロークの各端において最大であり得る。配置に依存して、シムパックの使用が有用である場合がある。これらの方法は、スタンド間のストリップの長さを増大させることをさらに含む。長さを増大させることは、最小通過時間を増大させる(T
tを増大させる)。これらの解決策のいくつかは、現実的ではないか、または実施するためには経済的に阻害的である場合がある。
【0029】
正の減衰を維持するための有効な代替の方法は、周波数の関数として、ストリップの弾性を増大させることを含む。ストリップが1/3オクターブの周波数の範囲において非常に柔軟であると思われる場合、下流スタンドのギャップにおける変化は、ロール力における対応するより小さな変化を伴う、張力のより小さな変化をもたらすことができる。実際に、K
2の値が減少し、それによって安定性の余裕度が高まる。
【0030】
いくつかの解決策は、ミル振動を測定して、逆位相のロールギャップを振動に直接変化させることによって、ミル振動を有効に制御することができる。これらのシステムの性能は、1/3オクターブの振動の始まりの正確な識別に大いに依存する可能性があり、これは、容易には遂行され得ず、本質的にミルスタンド内の数多くの異なるミル振動源がもたらす誤差となる傾向がある可能性がある。また、これらの解決策は、ミルギャップレギュレータに対する高価かつ煩わしい機械的改変を伴う。
【0031】
正の減衰を維持するための別の有効な代替案は、ギャップ変化の結果として生じる張力外乱を除外することを含む。一定のストリップ張力を維持するために使用される既存の有効な制御ループは、制限された周波数範囲を有し、1/3オクターブでの張力外乱が通過することを許す。本開示の態様は、1/3オクターブの範囲の張力外乱を防止するために用いられることができる。そのような張力外乱を防止することは、K
2の値をゼロに推し進めることに匹敵する可能性がある。入口張力をその目標値で維持することによって、びびり周波数でのミル入口ストリップ速度の変化に関わらず、完全に取り除かれない場合でも、入口張力フィードバックループによるミルスタックの共振周波数の自己拡張を軽減することができる。
【0032】
本手法は、圧延ギャップを制御して1/3オクターブの自励振動を取り消すことに有利である可能性がある。例えば、そのような手法に用いられる制御部は、既存の張力レギュレータの高周波数拡張であることができ、付随する誤差を有するプロセスを識別する必要を伴わないことがあり得る。また、これらの手法は、高価かつ煩わしいミルの改変を伴わないことがあり得る。例えば、高周波数張力レギュレータは、ロールギャップの入り口側で、ミルスタンド外の低コストのアクチュエータ、例えば改変されたブライドルロールアセンブリを用いることができる。
【0033】
本開示のある特定の態様は、2スタンドタンデム冷間ミルに関し、およそ90〜300ヘルツの周波数で、およそ90〜200ヘルツの周波数で、またはおよそ90〜150ヘルツの周波数で生じるスタンド間ストリップ張力外乱に応じて、ブライドルロールの垂直方向の配置を変更するように設計された中央ブライドルロール及び制御システムを備える。さらに、同じ概念を適用して、1/3オクターブ外のミル振動の周波数で生じる他の張力外乱を補正することができる。
【0034】
スタンドの入口の入口ブライドルの存在によって、アクチュエータは、ストリップがスタンドに入るときにストリップ張力を調整する。例えば、第2のスタンド入口ブライドルを、下流スタンドのストリップ入り速度の少量の変化に対処することができる高速ストリップ格納機構として用いてもよい(例えば、ブライドルの中央ロール周囲のストリップ長さを格納することができ、これは、一定の張力を維持するために必要に応じて繰り出すかまたは取り上げることができる)。そのような格納機構は、バックアップロール(例えば、60トンまたはそれ以上)よりもはるかに小さい質量(例えば、1トン未満)を有してもよく、びびりを制御するためにはるかに少ないエネルギを必要とすることができる。入口ブライドルは、1/3オクターブの自励振動外の周波数(例えば、90ヘルツを下回るかまたは60ヘルツを下回る等の低周波数)で張力を維持するための他の機器またはプロセスと併用することができる。
【0035】
高速張力調整器、例えば調整可能な中央ローラを備える提案されたブライドルは、超高速(例えば、60ヘルツまたはそれを上回るか、または90ヘルツまたはそれを上回る)で、少量の長さ変化を提供することができる。これらの高速張力調整器は、著しい長さ変化に対応することが可能ではない場合があるが、一方でこれらはその高速で少量の長さ変化に対応することが可能であることは重要である。速さ対距離のこの妥協点は、注目に値する。びびり周波数において、ストリップ格納要求は高くないが、これは、格納が速さの積分に関連するためである。いくつかのケースでは、他の高速張力調整器、例えばホールドダウンロール、ワイパーブレード、ハイドロプレーン、磁気張力調整器を用いることができる。例えば、磁気張力調整器は、1/3オクターブのびびり周波数で、張力変化の振幅を低減させる方向に力を作用させるように配列された磁石を備える、高速回転する永久磁石のアレイを含むことができる。例えば、8つの軸方向の磁石列を備える900rpmのロータは、120Hzで張力パルスを生成することができる。
【0036】
高速張力調整器は、制御部によって制御されることができる。制御部は、センサからの入力を受け入れ、高速張力調整器に必要な調整を決定することができる、任意の好適なプロセッサまたはシステムであることができる。1/3オクターブの自励振動の始まりを検出することができる任意の好適なセンサを用いてもよい。実施例のセンサは、1つ以上のセンサロール(例えば、内部に含まれるかまたはそれに結合された力トランスデューサを備えるロール)、スタンド装着型センサ(例えば、加速度計)、またはワークロールもしくはバックアップロール装着型センサ(例えば、加速度計)を含む。他のセンサを用いることができる。センサで検出された振動は、制御部によって用いられて、高速張力調整器に必要な調整を決定し、それによって1/3オクターブの自励振動を取り消すか、低減させるか、停止させるか、または防止するようにすることができる。
【0037】
これらの例示的な例は、読み手に、本明細書で述べられた概括的な主題を紹介するために与えられ、開示された概念の範囲を限定することを意図していない。以下に続くセクションでは、図面を参照してさまざまな付加的特徴及び例を記載し、図面において同様の参照番号は同様の構成要素を示し、指示的記載は、例示の実施形態を記載するために用いられるが、例示の実施形態のように、本開示を限定するために用いられるべきではない。本明細書における例示に含まれる要素は、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0038】
図1は、本開示のある特定の態様による、4重式の2スタンドタンデム圧延機100の概略側面図である。圧延機100は、スタンド間空間106によって分離された第1のスタンド102及び第2のスタンド104を含む。ストリップ108は、方向110に向かって、第1のスタンド102、スタンド間空間106、及び第2のスタンド104を通過する。ストリップ108は、金属ストリップ、例えばアルミニウムストリップであることができる。ストリップ108が第1のスタンド102を通過すると、第1のスタンド102は、ストリップ108をより小さな厚さまで圧延する。ストリップ108が第2のスタンド104を通過すると、第2のスタンド104は、ストリップ108をより一層小さな厚さまで圧延する。プリロール部112は、第1のスタンド102をまだ通過していないストリップ108の部分である。ロール間部114は、第1のスタンド102を通過したが、第2のスタンド104をまだ通過していないストリップ108の部分である。プリロール部112は、ロール間部114よりも厚みがあり、ポストロール部(例えば、第2のスタンド104を通過した後のストリップの部分)よりも厚い。
【0039】
4重式のスタンドの第1のスタンド102は、対向するワークロール118、120を含むことができ、ストリップ108はそれらを通過する。それぞれのワークロール118、120に対して、ストリップ108に向かう方向に、それぞれバックアップロール122、124によって力126、128を付与することができる。力126、128は、ゲージ制御部によって制御されることができる。それぞれのワークロール130、132に対して、ストリップ108に向かう方向に、それぞれバックアップロール134、136によって力138、140が付与される。力138、140は、ゲージ制御部によって制御される。バックアップロールは、ワークロールに対する堅固な支援を提供する。いくつかのケースでは、ワークロールに対して、バックアップロールを通してではなく、直接力を付与することができる。いくつかのケースでは、他の数のロール、例えばワークロール及び/またはバックアップロールを用いることができる。いくつかのケースでは、2つよりも多いかまたは少ないスタンドを用いることができる。
【0040】
図1の圧延機100では、1/3オクターブの自励振動を制御するための多数の機構が図示され、第1のスタンド102における1/3オクターブの自励振動を制御するためのブライドルロール144ベースの機構と、第2のスタンド104における1/3オクターブの自励振動を制御するためのハイドロプレーン160ベースの機構とを含む。1/3オクターブの自励振動を制御するための任意の数の機構または機構の組み合わせを用いることができる。
【0041】
図1に見られるように、ストリップ108は、第1のスタンド102に入る前に、ブライドル144を通過することができる。いくつかのケースでは、ストリップ108は、ブライドル144を通過する前に、デコイラでデコイルされることができる。ブライドル144は、ストリップ張力の変動に応じてストリップ108の張力を調整することによって、張力を維持することを助けることができる。ブライドル144は、高速リニアアクチュエータ150に結合された中央ローラ148を含むことができる。高速リニアアクチュエータ150は、1/3オクターブの自励振動を制御するために十分な速度で中央ローラ148を操作することが可能である、任意の好適な高速アクチュエータ、例えば本明細書に記載されたものであることができる。高速リニアアクチュエータ150は、中央ローラ148を直接操作することができる(例えば、2つの高速リニアアクチュエータが中央ローラの各端で中央ローラ148を操作することができる)か、または高速リニアアクチュエータ150は、中央ローラ148を支援するヨークを操作することによって、中央ローラ148を間接的に操作することができる。任意の数の高速リニアアクチュエータ150を用いることができる。
【0042】
1/3オクターブの振動がセンサ(例えば、ワークロール装着型センサ154またはバックアップロール装着型センサ152、もしくは別のセンサ)によって検出されると、制御部は、高速アクチュエータ150に中央ローラ148に対する調整を行わせて、第1のスタンド102における1/3オクターブの振動に起因する、ストリップ張力の高速な(例えば、1/3オクターブの振動範囲での)増減を補償することができる。これらの調整は、プリロール部112におけるストリップ張力を比較的一定に、少なくとも1/3オクターブの振動範囲に保持して、1/3オクターブの自励振動を軽減することができる。
【0043】
加えて、または代替的に、ハイドロフォイル160は、ストリップ張力の変動に応じてストリップ108の張力を調整することによって、張力を維持することを助けることができる。ハイドロフォイル160は、半円形状であることができるか、または他の形状を取ることができる。ハイドロフォイル160は、ハイドロフォイル160とストリップ108との間の潤滑バリヤ(例えば、水または潤滑剤による)を維持し、ハイドロフォイル160を回転させることなく、ハイドロフォイル160がストリップ108上に力を作用させることを可能にする。ハイドロフォイル160を回転させる必要がないため、最小限の材料及び最小限の質量で製造することができる。例えば、ハイドロフォイル160は、完全な円形のロールではなく、半円形状または半卵形状を有することができる。ハイドロフォイル160は、例えば中央ブライドルロールが1つ以上の高速リニアアクチュエータに(例えば、直接またはヨークを介して)結合されるのと同様に、1つ以上の高速リニアアクチュエータ162に結合されることができる。ハイドロフォイル160のユニークな形状によって、1つ以上の高速リニアアクチュエータ162が他の方法で、例えばハイドロフォイル160の幅に沿ったいずれかの位置(例えば、まさに端部とは対照的な)で、結合されることを可能にすることができる。
【0044】
1/3オクターブの振動がセンサ(例えば、ワークロール装着型センサ158またはバックアップロール装着型センサ156、もしくは別のセンサ)によって検出されると、制御部は、高速アクチュエータ162にハイドロフォイル160に対する調整を行わせて、第2のスタンド104における1/3オクターブの振動に起因する、ストリップ張力の高速な(例えば、1/3オクターブの振動範囲での)増減を補償することができる。これらの調整は、ロール間部114におけるストリップ張力を比較的一定に、少なくとも1/3オクターブの振動範囲に保持して、1/3オクターブの自励振動を軽減することができる。
【0045】
いくつかの代替のケースでは、第1のスタンド102のロールギャップを用いて、第2のスタンド104に関連付けられたセンサ(例えば、センサ156、158)によって検出された1/3オクターブの振動に応じて、ロール間部114の張力を調整することができる。そのようなケースでは、第1のスタンド102のロールを動かして、第1のスタンド102の振動を補正する必要はなく、むしろロールを調整して、第1のスタンド102と第2のスタンド104との間で一定の張力を維持する。
【0046】
図1では、第1のスタンド102及び第2のスタンド104の上部ワークロール及びバックアップロール上に、それぞれセンサ152、154及びセンサ156、158が図示されている。しかしながら、センサは、底部ワークロールに、底部バックアップロールに、スタンド自体に、またはスタンドの外部に位置付けられることができる。例えば、センサは、ブライドル144と第1のスタンド102との間に位置付けられることができる。そのようなセンサは、センサロール(例えば、一対の力トランスデューサによって支援されて、ストリップ張力における高速な変化を測定するロール)であることができる。いくつかのケースでは、超音波、レーザ等の他のセンサ、または1/3オクターブの振動を検出することが可能である他のセンサを用いることができる。
【0047】
いくつかのケースでは、ブライドル144の第3のローラ164が、センサとして機能することができる。第3のローラ164は、内部力センサを含むことができる。いくつかのケースでは、第3のローラ164は、1つ以上のロードセル166に結合されることができる。例えば、一対のロードセル166を、第3のローラ164の両端に位置させることができる。ロードセル166は、1/3オクターブの範囲での張力の変動を検出することができる。
【0048】
図2は、本開示のある特定の態様による、1/3オクターブの振動を制御するための多数の高速張力調整器204、212を有する圧延機200を図示する概略図である。金属ストリップ224は、
図2に見られるように、左から右に向かってさまざまな部位を通過することができる。左手の要素は、さらに右手の要素に近接しているかまたはその上流と考えられることができる。例えば、第1のスタンド208は、第2のスタンド216に近接しているかまたはその上流と考えられることができる。
【0049】
金属ストリップ224は、デコイラ202でデコイルされることができる。金属ストリップ224は、第1のスタンド208及び第2のスタンド216を通過することができる。
図2には2つのスタンドが示されているが、1つのスタンドまたは2つを超えるスタンドを含む任意の数のスタンドを用いることができる。第1のスタンド208と第2のスタンド216との間でなされた調整を、マルチスタンド圧延機の任意の2つのスタンド間で(例えば、第2及び第3のスタンド間で)用いることができる。デコイラ202と第1のスタンド208との間でなされた調整を、単一スタンドの圧延機に用いることができる。
【0050】
金属ストリップ224は、デコイラ202から第1のスタンド208まで動くとき、高速張力調整器204を通過することができる。高速張力調整器204は、本明細書に記載された任意の調整器であることができ、可動中央ローラを備えるブライドル、ハイドロフォイル、ワイパー、または磁気システムを含む。他の高速張力調整器を用いることができる。高速張力調整器204は、高速張力調整器204と第1のスタンド208との間のストリップ224で、または第1のスタンド208で検出された振動に基づいて、制御部220から調整信号を受信することができる。制御部220は、センサ、例えばセンサ206またはセンサ210から信号を受信することができる。センサ206は、高速張力調整器204と第1のスタンド208との間で一列に並んで位置するセンサであることができる。センサ206は、任意の好適なセンサ、例えば1つ以上のロードセルに結合された偏向ロール(例えば、平坦ロール)であることができるが、これに限定されない。センサ210は、例えば第1のスタンド208に結合された、例えばワークロール上の、バックアップロール上の、ロール止め上の、またはスタンド自体上の加速度計等のセンサであることができるが、これらに限定されない。センサ210が加速度計である場合、ロールの垂直方向の動きを検出することのみに向けられることができる。いくつかのケースでは、センサ210は、底部ワークロールに対する頂部ワークロールの垂直方向の動きを検出するように構成された多数のセンサ(例えば、頂部及び底部ワークロール上に位置付けられる)を含むことができる。他のセンサを用いることができる。
【0051】
1/3オクターブの振動を示す信号を受信すると、制御部220は、高速張力調整器204を用いて、高速張力調整を引き起こすことができる。張力調整は、第1のスタンド208において検出されたかまたは予想される振動をオフセットするかまたは取り消すように算出されることができる。いくつかのケースでは、ランダムな張力調整を引き起こすことができる。
【0052】
いくつかのケースでは、制御部220は、プロセッサまたは任意のタイプのデジタル及び/またはアナログ回路構成であることができる。いくつかのケースでは、制御部220は、本明細書に記載されたように機能するように設計された、油圧導管、チャンバ、及びアクチュエータの集合体であることができる。
【0053】
高速張力調整器204は、高周波数(例えば、1/3オクターブ)のストリップ張力外乱を排除することができる。したがって、高速張力調整器204は、蓄積されたストリップ224をびびりの周期ごとに格納するに足りるだけの早いペースで動くことが可能でなければならない。スタンド(例えば、第1のスタンド208)内のワークロールの高さは、低周波数で(例えば、1/3オクターブの周波数をかなり下回って)厳重に調節されることができ、及び全体的な張力は、他の機構によって、例えば第1のスタンドと第2のスタンドとの間の速度差に加えて、第1のスタンドのギャップを制御することによって、制御されることができる。しかしながら、びびり周波数において、平均ロール高さ(例えば、頂部ワークロールと底部ワークロールとの間の距離)が逸脱する可能性がある。制御部220は、1/3オクターブの自励振動に対応する周波数帯域での外乱を制御することに焦点を合わせることができる。制御部220が充分な動作範囲を有することを確実にするために、周波数範囲外の張力外乱を、例えば信号フィルタリングのいくつかの組み合わせを用いて、高速張力調整器204を駆動させるために用いられる信号から排除することができる。
【0054】
金属ストリップ224が第1のスタンド208から第2のスタンド216まで通過すると、その張力を調整して、第2のスタンド216における1/3オクターブの振動を排除することができる。制御部222は、制御部220と同様に、1つ以上のセンサ、例えばセンサ214及びセンサ218から信号を受信することができる。センサ214は、センサ206と同様であることができるが、第1のスタンド208と第2のスタンド216との間に位置付けられることができる。センサ218は、センサ210と同様であることができるが、第2のスタンド216上に位置付けられることができる。他のセンサを用いることができる。高速張力調整器204と同様に、高速張力調整器212が第1のスタンド208と第2のスタンド216との間に位置付けられて、制御部222からの信号に基づいて、1/3オクターブの範囲での張力を制御することができる。しかしながら、いくつかのケースでは、制御部222は、第1のスタンド208に信号を送り、第1のスタンド208におけるロールギャップを制御し、それによってストリップ224がスタンド間領域に入る速度を効果的に制御し、それによってスタンド間領域におけるストリップ224の有効張力を制御することができる。いくつかのケースでは、制御部222は、第1のスタンド208及び高速張力調整器212の1つ以上の任意の組み合わせに、信号を送ることができる。いくつかのケースでは、制御部222及び制御部220の機能は、単一の制御部によって行われる。
【0055】
高速張力調整器204、212は、ストリップ224の長さを格納及び解放して、第1のスタンド208または第2のスタンド216での1/3オクターブの振動にもかかわらず、一定の張力を維持することができる。びびり周波数は、変動するストリップ張力に起因するフィードバックを防止するために要するストリップの格納量を決定する。例えば、時間の関数としてのストリップ速さがV
strip=Asin2πf
ctであり、ここでf
cはヘルツでのびびり周波数であり、Aは速度変化の振幅であると仮定すると、その場合必要とされる最大格納量は、以下の数式2に示される。
【数2】
【0056】
圧延機は、一般的に90〜300ヘルツ付近で、及びより特定的には90〜200ヘルツまたは90〜150ヘルツ付近でびびりを起こす。より低い周波数はさらなる格納を必要とするため、この値(例えば、90Hz)を用いて、要するであろうストリップ格納長さの最大量を算出することができる。そのような値を用いて、高速張力調整器204、212におけるストリップ格納長さを設定することができる。反対に、より高い周波数は、より早く動作させなければならないため、上限(例えば、150Hz、200Hz、または300Hz)を用いて、高速張力調整器204、212が動作させる必要があるであろう最高速度を算出することができる。そのような値は、油圧流量を決定するとき、例えば油圧リニアアクチュエータが用いられる場合に有用である可能性があるが、これは油圧流量が高速調整における制限要因である可能性があるためである。
【0057】
いったん1/3オクターブの周波数範囲が確立されると、「A」の値を画定して、最大ストリップ格納長さを決定する必要がある。Aの値は、圧延されたストリップで許容可能であるゲージ変化量に依存する。一例では、いくつかの状況において、びびりによっておよそ1%のゲージ変化が生じる場合、結果として生じる破断は、スクラップとして排除されるストリップを生じさせる可能性がある。圧延されたストリップの要求及び他の要因に依存して、他のパーセンテージのゲージ変化を用いることができる。この例の目的のためには、最大入りストリップ速度変化は、1%である。2000メートル/分(MPM)で缶飲料ストック(CBS)を圧延する2スタンドタンデム圧延機については、スタンド間速度は、およそ1000MPMを超えないようにすることができる。そして、「A」の値は、10MPM(ゲージ変化は、1%の速さ変化、ギャップを通る質量流量の保存を生じさせる)または0.16666メトール/秒(MPS)であることができる。したがって、本例について90ヘルツで必要とされる格納量は、およそ0.60mmであるが、これは、
であるためである。したがって、本例では、好適な高速張力調整器204は、速度90Hzでおよそ0.60mm変位することが可能でなければならない。
【0058】
上記の算出は、他の例に対しては必要に応じて調整されることができる。また、上記の算出は、必要に応じて高速張力調整器を駆動させるために、制御部によって活用されることができる。
【0059】
図3は、本開示のある特定の態様による、ヨーク制御されたブライドル304を備える1/3オクターブの振動制御システム300を図示する等角図である。金属ストリップ302は、ブライドル304を通過して、頂部ワークロール310及び底部ワークロール312を有する圧延機スタンド308に入る。ブライドル304の中央ロール306は、高速張力調整器として機能する。中央ロール306が上下方向に操作されると、金属ストリップ302は、中央ロール306の周縁部の周辺からそれぞれ格納または解放される。中央ロール306は、ヨーク314によって支持されることができる。中央ロール306の上下移動は、ヨーク314に結合されたリニアアクチュエータ316の操作によって達成されることができる。いくつかのケースでは、1つを超えるリニアアクチュエータ316が、ヨーク314に結合されることができる。任意の好適なリニアアクチュエータ316、例えば油圧シリンダ及び/または圧電アクチュエータを用いることができる。中央ロール306のプランジ深さは、主油圧シリンダ上の可動ストップを介して調整可能であることができる。1つ以上のリニアアクチュエータ316が、主油圧シリンダの可動ストップを調整して、それによって中央ロール306のプランジ深さを調整することができる。
【0060】
このように、ブライドルの中央ロール306は、金属ストリップ302がスタンド308に入る前にその経路を修正することができる。高周波数(例えば、1/3オクターブの振動)でこのネスティング機構の剛性を変化させること(例えば、主油圧シリンダの可動ストップに対する調整)は、下流スタンドのギャップ移動の結果として生じるあらゆる張力変化を軽減することができる。
【0061】
リニアアクチュエータがヨーク314を操作する(例えば、ヨーク314自体を操作するか、またはヨーク314のエンドストップを調整する)ケースでは、差動傾斜制御ループが必要ではないことがあるが、これはヨーク314の移動が、ヨーク314の左右の上昇を維持するラックアンドピニオンアセンブリによって抑制されることができるためである。
【0062】
図4は、本開示のある特定の態様による、端制御されたブライドル404を備える1/3オクターブの振動制御システム400を図示する等角図である。金属ストリップ402は、ブライドル404を通過して、頂部ワークロール410及び底部ワークロール412を有する圧延機スタンド408に入る。ブライドル404の中央ロール406は、高速張力調整器として機能する。中央ロール406が上下方向に操作されると、金属ストリップ402は、中央ロール406の周縁部の周辺からそれぞれ格納または解放される。中央ロール406は、一対のリニアアクチュエータ416、418によって支持されることができる。一対のリニアアクチュエータ416、418は、中央ロール406の上下移動を制御することができる。任意の好適なリニアアクチュエータ416、418を用いることができる。例えば、リニアアクチュエータ416、418は、油圧シリンダ及び/または圧電アクチュエータ、または任意の他の好適なアクチュエータを含むことができる。
【0063】
いくつかのケースでは、そのような端装着型リニアアクチュエータ416、418は、ヨーク414とともに用いられることができ、これは別のリニアアクチュエータによって作動されることができる。そのようなケースでは、リニアアクチュエータ416、418によって、中央ロール406がネスティング機構(例えば、ヨーク414)とは独立して垂直に動くことが可能になる。そのような端装着型リニアアクチュエータ416、418の使用によって、中央ロール406を駆動する機構(例えば、ヨーク414及び関連する駆動機器)の大半が、びびりを制御するために操作される必要がある総質量から取り除かれる。端装着型リニアアクチュエータ416、418の使用によって、ストリップ406が傾斜する可能性をもたらすことができる。いくつかのケースでは、センサ及び制御ループを用いて、取り除かれない場合には、傾斜を最小限にすることができる。
【0064】
図3〜4を参照して上記したように、中央ロール306、406は、リニアアクチュエータ316、416、418を用いて操作されることができる。本明細書に記載されたように、他の機構、例えばハイドロフォイルを、中央ロール306、406の適所で用いて、ストリップ長さを格納することができる。加えて、リニアアクチュエータ316、416、418は、油圧、圧電、または十分な速度(例えば、およそ90Hzからおよそ150Hz、200Hz、または300Hz)で十分なリニア作動を発生させることが可能である他のリニアアクチュエータの任意の組み合わせであることができる。
図3〜4においては概ね矩形として示されているが、リニアアクチュエータ316、416、418は、円筒形かまたは他の形状にすることができる。
【0065】
いくつかのケースでは、張力は、第3のブライドルロール320、420(圧延機バイトに最も近い)を支持するロードセルによって測定されることができる。張力は、本明細書のいずれかの部分において記載された他のセンサによって測定されることができる。
【0066】
油圧リニアアクチュエータが用いられると、油圧リニアアクチュエータのボアが、ストリップ張力を維持するために要する最大負荷と、最小限にされた油圧流体(例えば、油)流とを含むさまざまな要因に基づいて、決定されることができる。一例では、およそ1600mm
2の断面積を有し、およそ20N/mm
2(20MPa)の張力を備え、2:1の形状寸法(例えば、中央ロールのラップ角度180°−ワークロールの変位のためにブライドルに格納されたストリップの量)を備えるストリップでは、ストリップ張力を維持するために要する最大負荷は、F
cyl=2*20*1600=64KNであることができる。油圧流体流を最小限にするために、供給圧力を、およそ27.5MPaになるように画定することができる。14N/mm
2のボア圧力を考慮すると、必要とされるシリンダ面積は、A
cyl=64000/14=4600mm
2となり得る。この例では、2つの油圧リニアアクチュエータを、ロールの各端に位置させて、ロールの垂直位置を支持することができる(例えば、
図4に見られる)。ストリップの経路が水平から垂直に進み、中央ロールの下を通る場合、ブライドルの第1のロール上のラップ角度は、およそ90°と想定される。ブライドルの中央ロールの周囲のおよそ180°のラップ角を用いると、最大垂直力は、およそ64KNとすることができる。また、最大ボア圧力を供給圧力の半分とすることができ、4600mm
2のシリンダ面積が得られる。しかしながら、このケースでは、当該面積は、2つのシリンダ間で分断される。必要とされるボアサイズの各々は、およそ54mmである。さらなる安全の余裕度を提供するために、60mm(2827mm
2)まで切り上げることが望ましい可能性がある。単一のリニアアクチュエータ316に対して、または他の状況(例えば、他のサイズ及び金属シートのタイプ)に対して、同様の算出をすることができる。
【0067】
油圧リニアアクチュエータのストローク長さは、さまざまな要因に基づいて決定されることができる。各シリンダストロークは、サイクルごとの最大格納量を考慮するように設定されることができる。一例では、ラップ角およそ180°及びストリップ格納要求およそ0.60mmと仮定すると、シリンダストロークは、およそ0.30mmまで低減されることができる。いくらかの誤差に対する余裕度を加えると、最小ストローク2mmを用いることが必要とされる可能性がある。
【0068】
油圧リニアアクチュエータは、サーボ弁によって作動されることができる。そのようなケースでは、油圧リニアアクチュエータのために要するサーボ弁は、さまざまな要因に基づいて決定されることができる。例えば、サーボ弁は、中央ロールの高さを30ヘルツで制御することが可能であり(より低い周波数張力外乱は、他のアクチュエータによって制御される)、一方でロールがより高いびびり周波数で動くことを可能にするように選択されることができる。最悪のケースの流量は、もっと高いびびり周波数(例えば、およそ150ヘルツまたは200Hzまたは300Hz)での可能性がある。いくつかのケースでは、サーボ弁は、スタンドと先行する装置(例えば、先行するスタンドまたはデコイラ)との間のストリップ長さが変化すると、目標ストリップ張力を保持する速度を有することができる。そのような例では、びびり周波数での長さ変化を、ガイドラインとして用いることができる。許容可能なゲージ変化90ヘルツでおよそ1%と想定すると、目標シリンダ移動量は、およそ0.33mmに設定することができる。したがって、150ヘルツにおいて、流量48lpmが必要とされる(Q
v=2827mm*0.30mm*2π*150*60/1e6=48lpm。このように、必要とされるサーボ弁を選択することができる。油圧シリンダベースの高速張力調整器に好適なサーボ弁の一例は、Moog(商標)弁タイプD765HR/38lpmであることができ、およそ150ヘルツの周波数で40%(15.2lpm)を供給することができる。圧力降下がおよそ14MPaで維持される場合、流量はおよそ21.43lpmである。この設計は、各油圧リニアアクチュエータで2つの弁を用いて、流れの要求を満たすことができる。
【0069】
高速張力調整器は、さまざまな方法で制御されることができる。一例では、高速引張ループの周囲に位置制御ループを作り出す制御方式であることができる。位置ループは、油圧アクチュエータの平均拡張を、油圧アクチュエータの最大拡張(例えば、およそ1mm)で設定することができる。油圧アクチュエータの固定された位置を保持するための位置ループの応答は、およそ30ヘルツであり、油圧アクチュエータをおよそ30ヘルツまで非常に強くする。位置制御部は、圧力基準を備える圧力ループを供給する。したがって、張力基準は、ロールに与えられる負荷の関数である。
【0070】
内部張力ループは、はるかに高い、例えばおよそ150ヘルツの応答を有することができる。その目的は、ストリップに付与された負荷が変動するに従って、ロールが垂直に動くことを可能にするためであることができる。張力が負荷のゆれに起因して変動すると、張力制御部は、少量の流体を加えたり減らしたりして、位置制御部によって供給された圧力基準を維持する。
【0071】
リニアアクチュエータが油圧リニアアクチュエータである場合、油圧コンポーネントをストリップ302の下に位置させることができ、このことは、スレッディング中にストリップ302を供給するために有利である可能性がある。リニアアクチュエータ416、418が用いられると、傾斜制御ループ(例えば、圧力ループの同一の応答を有する)を用いて、エラー源としてのロールの傾斜を取り除くことができる。いくつかのケースでは、機械的な連係を必要としない場合があるが、これは油圧アクチュエータが中央ロールの支持部シャフトに直接作用することができるためである。いくつかのケースでは、油圧アクチュエータと弁との間の密接な結合を用いて、遅れを回避することができる。いくつかのケースでは、張力ループに対して、高速なリアルタイムの制御部を用いることができる。いくつかのケースでは、アクチュエータは、広範囲の動きを有することができるが、選択されたアクチュエータの周波数応答能力に関する制御の縁に境界を接する場合がある。いくつかのケースでは、完全な150ヘルツの応答が一定の状況下で達成されることを可能にするために十分な流量を持続させることができないサーボが用いられたとしても、以前として剛性を著しく低減させ得る。
【0072】
いくつかのケースでは、1つ以上の圧電アクチュエータを用いて、ヨーク314(例えば、フレーム)の高さを調整することができる。具体的には、圧電アクチュエータを、中央ブライドルロールフレームの調整可能なエンドストップの高さを変更するように位置付けることができる。エンドストップの位置付けによって、中央ロール306のプランジ深さを設定することができる。いくつかのケースでは、フレームを動かすことが可能である圧電アクチュエータは、各側のエンドストップアセンブリの上部に位置させることができる。中央ロールのフレーム(例えば、ヨーク314)の垂直移動を用いて、一定のストリップ張力を維持することができる。そのようなケースでは、中央ロール306を直接動かすことに代えて(例えば、
図4に見られる)、圧電アクチュエータが、ヨーク314を動かすことによって、中央ロール306全体を動かす。圧電アクチュエータは、同じであることができるが、シリンダによって供給される圧縮力を取り扱うために、並行して2つまたはそれ以上のユニットを必要とする場合がある。いくつかのケースでは、ストリップ張力を維持することは、付与された張力と等しいアクチュエータ力に加えて、フレームを垂直方向に加速するために要する力を必要とする可能性がある。例えば、ロールアセンブリ及びフレームの重量がおよそ1500Kgfであり、加速率がおよそ139mm/sec
2(140ヘルツで180μm)であると仮定すると、この加速力はおよそ21.3KNである。
【0073】
いくつかのケースでは、当該コンポーネントは、固定位置に装着することができ、ストリップから遠く離れて位置することができる。
【0074】
図5は、本開示のある特定の態様による、圧電補助装置504を備える油圧アクチュエータ502を含むリニアアクチュエータ500の部分切取図である。リニアアクチュエータ500は、本明細書で開示されたリニアアクチュエータのいずれか、例えば
図3〜4のリニアアクチュエータ316、416、418に用いられることができる。リニアアクチュエータ500は、内部にピストン512を支持する本体で構成される油圧アクチュエータ502を含む。本体は、内部で油圧流体を循環させてピストン512を操作することができる駆動キャビティ516を含むことができる。
【0075】
圧電補助装置504は、チャネル514によって油圧アクチュエータ502に結合された補助装置本体510を含むことができる。補助装置本体510は、ダイヤフラム508に結合された1つ以上の圧電装置506を含むことができる。1つ以上の圧電装置506に電流が与えられると、各圧電装置506が変形して、方向518にダイヤフラム508を押すことができる。このように、ダイヤフラム508は、チャネル514を通して油圧流体を駆動キャビティ516に押し込み、それによってピストン512を方向520に推し進めることができる。電流を取り除くかまたは逆電流を付与することによって、各圧電装置506を反対方向に変形させ、ダイヤフラム508を引っ張り、ピストン512を方向520とは反対の方向に動かすことができる。
【0076】
圧電装置506が非常に高い周波数で動作することができるため、圧電補助装置504は、速度を増大させることができ、それによって油圧アクチュエータ502が機能することができる。単一の油圧アクチュエータ502が、1つ以上の圧電補助装置504を含むことができる。
【0077】
一例では、中央ロールの端に位置付けられた(例えば、
図4に見られるように)2つの油圧アクチュエータによって、各油圧アクチュエータは、最小シリンダストローク2mmを備える60mmのボアサイズを有する油圧シリンダであることができる。圧電補助装置を用いない場合と同様に、サーボ弁は、30ヘルツで中央ロールの高さを制御し、一方でロールがびびり周波数で動くことを可能にする必要がある。しかしながら、本例では、圧電補助装置を用いない場合とは異なり、この要件は、最大30ヘルツの周波数に制限される。
【0078】
この例では、びびり周波数での長さ変化をガイドラインとして用いることができ、30ヘルツで1%のゲージ変化を備え、目標ストリップ格納量1.76mmをもたらす。ロールのラップ角度がおよそ180°である場合、垂直移動を0.88mmまで低減することができる。30ヘルツにおいて、およそ23lpmの流量が必要とされる(例えば、Q
v=2827mm*0.88mm*2π*30*60/1e6=28lpm)。この例では、適切な流量を供給することが可能であるサーボ弁を選択することができる。例えば、Moog(商標)弁タイプD765HR/38lpmは、30ヘルツの周波数で100%を供給することができる。この例では、弁は、びびり周波数で流体の流れを制御することが課せられていない。高周波数負荷変化は、圧電アクチュエータに委ねられることができる。
【0079】
油圧アクチュエータを用いて、中央ロールの平均高さを、油圧シリンダの中間ストロークで一定レベルに保持することができる。びびり周波数での力の変化は影響を及ぼさないが、これは2つのシリンダの剛性が組み合わされて、ストリップよりもはるかに大きくなるためである。
【0080】
高周波数張力外乱に対処するために、圧電アクチュエータを、弁とシリンダとの間に位置させることができる。圧電補助装置は、油圧流体圧力の関数としての油圧流体量を変化させることができる。圧電装置の長さは、圧力の変動に従って変化する。
【0081】
圧電アクチュエータがおよそ0.1%までしか長さを変化させないため、そのような装置をシリンダと並んで挿入することは、実用的ではない可能性がある。長さ50mmの圧電は、およそ0.05mm動く。代わりに、圧電装置は、シリンダ内により大きな面積をもって収納されることができる。一例では、圧電装置を収容するシリンダは、数多くの圧電装置(例えば、長さ50mmの圧電装置)を保持することが可能である油圧シリンダの面積(例えば、14,135mm
2)のおよそ5倍の面積を有する可能性がある。一例では、およそ15,000平方ミリメートルの表面積を有する数多くのそのような圧電装置を用いて、油量を706mm
3まで変化させることによって、作業用シリンダに結果として生じる長さ変化は、およそ(706mm
3/2827mm
2)、または0.25mmである。
【0082】
圧電補助装置504を備えるリニアアクチュエータ500は、任意の好適な方式を用いて制御されることができる。一例の制御方式では、簡易な1自由度の位置制御ループが作り出される。位置ループは、油圧シリンダの最大拡張(例えば、およそ1mm)の半分で、油圧シリンダの平均拡張を設定することができる。位置ループの応答は30ヘルツであることができ、これによって、シリンダを最大30ヘルツまで非常に強くすることができる。
【0083】
位置制御ループは、シリンダの平均圧力を間接的に駆動して、目標とする拡張を維持するが、別個の制御部は、びびりに関連付けられた周波数範囲(例えば、1/3オクターブの振動、例えば90〜300Hz)での張力を監視することができる。別個の制御部は、ストリップに付与された負荷が変動するに従って、ロールが垂直方向に動くことを可能にすることができる。両方の油圧シリンダの組み合わせられた圧力が負荷のゆれに起因して変動するに従って、制御部は、圧電アクチュエータを用いて、アセンブリ内の油の全量を変化させることができる。一例では、この作用によって、0.25mmの移動を作り出すことができ、これは、入りストリップ速度における変化を取り扱うのに十分に大きいものであることができる。
【0084】
いくつかのケースでは、圧電補助装置の使用によって、高速で独立型の傾斜制御ループのあらゆる必要性を取り除くことができる。いくつかのケースでは、サーボ弁の性能への依存がより低い可能性があるが、これは、圧電装置の周波数範囲がサーボ弁の流れ性能を超える場合が多いためである。いくつかのケースでは、油圧回路を用いて、ダイヤフラムの圧電側の差圧を維持することがある。いくつかのケースでは、ストリップ張力をフィードバック変数として用いることがある。一定の状況下では、中央ロールを動かすために必要とされる加速力に起因して、流体圧単独で何らかの誤差を発生させる可能性がある。
【0085】
図6は、本開示のある特定の態様による、圧電アクチュエータ604を備える高速張力調整器600の部分切取等角図である。ロール止め606は、ブライドルの中央ロール602を支持することができる。いくつかのケースでは、中央ロール602の代わりに、異なる偏向装置、例えばハイドロプレーンまたはワイパーが用いられる。
【0086】
圧電アクチュエータ604は、ロール止め606を支持部608と結合させることができる。いくつかのケースでは、支持部608は、中央ロール602全体を支持するヨークであることができる。圧電アクチュエータ604に与えられる電流によって、圧電アクチュエータ604が拡張または後退することによって変形し、それによって中央ロール602を上方または下方に動かすことができる。
図6に見られるように、中央ロール602は、各側に1つずつ2つの圧電アクチュエータ604によって支持されることができる。各圧電アクチュエータ604は、互いに対して並行に、または連続して機械的に配置され、中央ロール602に所望の移動を発生させる1つ以上の個々の圧電装置を含むことができる。中央ロール602の垂直移動を用いて、一定のストリップ張力を維持する。
【0087】
いくつかのケースでは、単一の圧電装置が、全電圧でおよそ0.1%乃至0.15%まで長さを変化させることが可能であり、30MPa/mm
2の範囲の力を生成することができる。例えば、直径およそ56mm及び長さおよそ154mmを有する市販の標準的な圧電スタックは、およそ79KNの阻止力及びおよそ180μmの長さ変化を発生させることができる。
【0088】
ストリップ張力を維持することは、与えられた張力に等しいアクチュエータ力に加えて、中央ロール602を垂直方向に加速するために要する力(例えば、ハイドロフォイルまたは中央ロール602よりも小さな質量を有する他の偏向器を用いることによって低減されることができる)を必要とする可能性がある。例えば、中央ロール602アセンブリの重量がおよそ500Kgfであり、及び加速度およそ139mm/sec
2(140ヘルツで180μm)であると仮定すると、この加速力は、およそ7.1KNである。
【0089】
いくつかのケースでは、圧電アクチュエータ604の長さを最大にして、利用可能である最も大きな長さ変化を達成する。
【0090】
圧電アクチュエータ604を制御することは、任意の好適なやり方で行われることができる。一例では、本制御方式は、ストリップ張力制御ループを作り出すことを含む。総ストリップ張力フィードバックは、センサ(例えば、隣接したブライドルロール、例えばワークロールに最も近いロールの各端に装着されたロードセル)によって測定される。制御部は、圧電アクチュエータ604を駆動して、目標ストリップ張力を維持することができる。差分制御ループは、差分張力(左右)を、可能な限りゼロに近く維持することができる。
【0091】
いくつかのケースでは、高速な実行速度(例えば、100μsecまたはその周辺、もしくはそれより早い)を有する制御部を用いることができる。デジタル及びアナログ制御の組み合わせを用いることができる。いくつかのケースでは、高電流駆動部を用いることができる。いくつかのケースでは、少なくとも0.15%の長さ変化をもたらす圧電装置を選択することができる。
【0092】
高速張力調整器で圧電アクチュエータ604のみを用いることによって、多くの可動部品及び油圧部品の必要性をなくすことができる。
【0093】
図7は、本開示のある特定の態様による、圧延機における振動を制御するためのプロセス700を図示するフローチャートである。ブロック702において、張力変動が検出される。張力変動は、任意の好適なセンサ、例えば
図1のセンサ152、154、156、158、
図1のロードセル166、または任意の他の好適なセンサによって検出されることができる。これらの検出された張力変動は、測定変動信号の形式で、制御部に送られることができる。
【0094】
オプションのブロック704において、測定変動信号をフィルタリングして、1/3オクターブの範囲外(例えば、90〜300Hzの範囲外、90〜200Hzの範囲外、または90〜150Hzの範囲外)で検出されたあらゆる張力変動を取り除くことができる。いくつかのケースでは、1/3オクターブの範囲に近い他の範囲を用いることができる。
【0095】
ブロック706において、張力調整を決定することができる。張力調整は、測定変動信号またはフィルタリングされた信号に基づく単純なフィードバック制御ループに基づくことができる。いくつかのケースでは、張力調整を算出して、適用された張力調整と、測定されたストリップ張力変動との緩衝を最大にすることができる。結果として生じる張力調整は、張力調整信号として送信されることができる。
【0096】
ブロック708において、張力調整信号を用いて、張力調整を適用することができる。張力調整信号は、駆動部に、または高速張力調整器のリニアアクチュエータに直接送られることができる。高速張力調整器によってなされた張力調整は、一定のストリップ張力を維持することを助けることができ、金属ストリップにおける、及び/または圧延機スタンドにおける1/3オクターブの振動を低減させることができる。
【0097】
プロセス700の使用によって、張力外乱を導入して、例えば1/3オクターブの範囲での自励振動を低減させることができる。プロセス700は、
図1〜6を含む本明細書に記載されたさまざまなシステム及びアセンブリのいずれかを用いて行うことができる。プロセス700は、ストリップが圧延機スタンドに、または圧延機スタンド間に入る前に適用することができる。いくつかのケースでは、プロセス700の使用によって、圧延機スタンドが、プロセス700なしよりも早い速度で圧延することを可能にすることができる。加えて、1/3オクターブの自励振動の心配なく、圧延機を、スクラップ(例えば、1/3オクターブの自励振動に起因するスクラップ)をより少なくして、より長くかつより早く動作させることができる。プロセス700を用いて、時間、費用、及び資源の著しい節約を達成することができる。
【0098】
図8は、本開示のある特定の態様による、圧電補助装置814が拡張状態である油圧アクチュエータ800の断面図である。油圧アクチュエータ800は、任意の油圧アクチュエータ、例えば
図1、3、及び4を参照して本明細書で開示されたものであることができる。油圧アクチュエータ800は、内部にピストン804を支持するシリンダ本体802を含むことができる。シリンダ本体802は、その内部に油圧流体806を循環させてピストン804を操作することができる駆動キャビティ808(例えば、流体チャンバ)を含む。油圧流体806は、制御部824(例えば、
図2の制御部220、222等)によって制御可能である油圧駆動部826(例えば、サーボ弁及び/または他の部品)によって循環させることができる。油圧流体806は、シリンダポート810、812を通して循環させて、ピストン804を上下させることができる。
【0099】
ピストン804は、1つ以上の凹部830を有するピストンヘッド828を含むことができる。圧電補助装置814は、各凹部830内部に位置することができる。いくつかのケースでは、多数の凹部830は、全ピストンヘッド828にわたって広がり、圧電補助装置814によって作動可能である表面積量を最大にすることができる。代替のケースでは、圧電補助装置が駆動キャビティ808の容積を変化させることが可能である限り、圧電補助装置は、ピストンヘッドのそばの他の場所に位置することができる。
【0100】
図8に見られるように、各圧電補助装置814は、サブピストン816に結合された圧電装置832(例えば、圧電スタック)を含む。サブピストン816は、凹部830内部でピストンのように作用し、軸方向に動いてエンドプレート834の位置を調整する。多数のサブピストン816が、単一のエンドプレート834に作用して、さらなる作動力を提供することができる。いくつかのケースでは、エンドプレート834を用いないか、または多数のエンドプレート834を用いる。サブピストン816の移動によって、例えばエンドプレート834の移動を通して、駆動キャビティ808の容積の変化を生じさせることができる。
【0101】
圧電装置832に電流が与えられると、圧電装置832は、拡張するかあるいは後退するように変形して、それによってサブピストン816を推し進めるかまたは引っ張ることができ、そしてこれによってエンドプレート834を押し進めるかまたは引っ張ることができる。逆方向電流を与えて、圧電装置832を反対方向に変形させることができる。圧電補助装置815が拡張状態にある場合、これらは駆動キャビティ808の容積を減少させる。
【0102】
配線818は、配線ポート820を通して、各圧電装置832を制御部824と結合させることができる。任意には、圧電駆動部は、圧電装置832を駆動することができ、圧電デライバは、制御部824によって制御されることができる。ピストン804の内側凹部は、エンドキャップ822によって覆われることができ、これはピストン804に結合される。
【0103】
圧電装置832が非常に高い周波数で動作することができるため、圧電補助装置814は、速度を増大させることができ、それによって油圧アクチュエータ800が機能することができる。単一の油圧アクチュエータ800が、1つ以上の圧電補助装置814を含むことができる。
【0104】
高周波数張力外乱に対応するために、圧電アクチュエータは、弁とシリンダとの間に位置させることができる。圧電補助装置は、油圧流体圧力の関数として、油圧流体の容積を変化させることができる。圧力の変動に従って、圧電装置の長さが変化する。
【0105】
図9は、本開示のある特定の態様による、圧電補助装置814が後退状態である
図8の油圧アクチュエータ800の断面図である。圧電補助装置814内部の圧電装置832の作動によって、サブピストン816をピストンヘッド828の凹部830の中に後退させ、それによって駆動キャビティ808の有効容積を低減させることができる。エンドプレート834を用いた場合、サブピストン816の後退によって、エンドプレート834の後退が生じ、それによって駆動キャビティ808の有効容積が低減する。
【0106】
サブピストン816が後退して、駆動キャビティ808の有効容積が低減すると、ピストン804及びエンドキャップ822は、特に油圧流体806が非圧縮性である場合には、シリンダ本体802に対して内側に(例えば、
図8〜9の上方に)動く必要がある。油圧流体806が、シリンダ本体802のシリンダポート810、812間を流れることを可能にすることができる。制御部824は、油圧駆動部826の制御を継続することができ、電気ポート820を通した配線818を介して、圧電装置832を制御することができる。
【0107】
圧電補助装置814の作動を通して達成された、例えば拡張状態(例えば、
図8)と後退状態(例えば、
図9)との間でのこの少量のリニア移動は、きわめて高速で(例えば、またはおよそ90ヘルツを上回る)生じさせることができる。圧電補助装置814が油圧流体806とピストン804との間に位置付けられるため、ピストン804の移動を実現するために、油圧流体806の移動は最小限である。
【0108】
図に図示されるかまたは上述された構成要素の異なる配置に加えて、図示されていないかまたは記載されていない構成要素及びステップが可能である。同様に、いくつかの特徴及び副次的な組み合わせが有用であり、他の特徴及び副次的な組み合わせに対する言及なしに使用され得る。
【0109】
例示の実施形態を含む、先に述べられた実施形態の記載は、例示及び説明のみを目的として提示され、開示された厳密な形式に徹底するかまたは限定することが意図されていない。当業者においては、数々のその改変、適用、及び使用が明らかであろう。
【0110】
以下で用いられる場合、一連の実施例に対するあらゆる言及は、それらの実施例の各々に対する選言的な言及として理解されるべきである(例えば、「実施例1〜4」は、「実施例1、2、3、または4」として理解されるべきである)。
【0111】
実施例1は、スタンド間に、中央ブライドルロール、作動偏向ロール、または作動シートワイパーからなる群から選択される張力調整装置と、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じるスタンド間ストリップ張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように設計された制御システムとを含む、2つ(またはそれ以上)のスタンドのタンデム冷間圧延機である。
【0112】
実施例2は、実施例1の圧延機であって、制御システムが、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの油圧シリンダと、位置制御ループ及び高速引張ループを有する制御部とを備え、高速引張ループが、通常はおよそ90〜150ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成され、位置制御ループが、より低い周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を維持するように構成される。
【0113】
実施例3は、実施例1の圧延機であって、制御システムは、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの油圧シリンダと、少なくとも2つの油圧シリンダの各々と張力調整装置との間に位置付けられた複数の圧電アクチュエータと、位置制御ループ及び別個の制御部を有する制御部とを備え、別個の制御部は、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成され、位置制御ループは、より低い周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を維持するように構成される。
【0114】
実施例4は、実施例3の圧延機であって、1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数は、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0115】
実施例5は、実施例1の圧延機であって、制御システムは、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの圧電スタックと、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成されたストリップ張力制御ループを有する制御部とを備える。
【0116】
実施例6は、実施例5の圧延機であって、1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数は、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0117】
実施例7は、実施例1の圧延機であって、制御システムは、少なくとも2つの圧電スタックであって、各圧電スタックが、張力調整装置を支援する中央フレームの各側の調整可能なエンドストップの上面に位置する、圧電スタックと、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成されたストリップ張力制御ループを有する制御部とを備える。
【0118】
実施例8は、実施例7の圧延機であって、1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数は、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0119】
実施例9は、圧延機スタンドの上流に位置付けられたアンコイラと、中央ブライドルロール、作動偏向ロール、または作動シートワイパーからなる群から選択される張力調整装置と、アンコイラと圧延機スタンドとの間の張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように設計された制御システムとを備える、単一スタンドの圧延機である。
【0120】
実施例10は、実施例9の圧延機であって、制御システムは、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの油圧シリンダと、位置制御ループ及び高速引張ループを有する制御部とを備え、高速引張ループは、通常はおよそ90〜150ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成され、位置制御ループは、より低い周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を維持するように構成される。
【0121】
実施例11は、実施例9の圧延機であって、制御システムが、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの油圧シリンダと、少なくとも2つの油圧シリンダの各々と張力調整装置との間に位置付けられた複数の圧電と、位置制御ループ及び別個の制御部を有する制御部とを備え、別個の制御部が、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成され、位置制御ループが、より低い周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を維持するように構成される。
【0122】
実施例12は、実施例11の圧延機であって、1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数は、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0123】
実施例14は、実施例9の圧延機であって、制御システムが、張力調整装置の各端に近接して位置する少なくとも2つの圧電スタックと、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成されたストリップ張力制御ループを有する制御部とを備える。
【0124】
実施例14は、実施例13の圧延機であって、1/3オクターブの周波数圧延機スタンド共振が、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0125】
実施例15は、実施例9の圧延機であって、制御システムが、少なくとも2つの圧電スタックであって、各圧電スタックが、張力調整装置を支援する中央フレームの各側の調整可能なエンドストップの上面に位置する、圧電スタックと、通常はおよそ90〜300ヘルツの範囲の1/3オクターブの圧延機スタンド共振の周波数で生じる張力外乱に応じて、張力調整装置の垂直方向の配置を変更するように構成されたストリップ張力制御ループを有する制御部とを含む。
【0126】
実施例16は、実施例15の圧延機であって、1/3オクターブの周波数圧延機スタンド共振が、通常はおよそ90〜200ヘルツの範囲である。
【0127】
実施例17は、圧延機スタンドの入口に近接して位置付け可能であり、圧延機スタンドに入る金属ストリップの張力を調整するための張力調整器と、圧延機スタンドに入る金属ストリップの、90ヘルツまたはそれ以上での張力変動を測定するためのセンサと、センサ及び前記張力調整器に結合されて、張力調整器を作動させて、測定された張力変動に応じて金属ストリップの張力を調整するための制御部とを備えるシステムである。
【0128】
実施例18は、実施例17のシステムであって、張力調整器が、金属ストリップの長さを格納することが可能である偏向装置と、偏向装置を操作して、およそ90ヘルツまたはそれを上回る速度で、格納された金属ストリップの長さを変更するための少なくとも1つのアクチュエータとを含む。
【0129】
実施例19は、実施例18のシステムであって、偏向装置が、中央ブライドルロール、偏向ロール、シートワイパー、及びハイドロプレーンからなる群から選択される。
【0130】
実施例20は、実施例18または19のシステムであって、少なくとも1つのアクチュエータが、偏向装置の両端に位置付けられた一対のリニアアクチュエータである。
【0131】
実施例21は、実施例18または19のシステムであって、少なくとも1つのアクチュエータが、ヨークを通して偏向装置に結合される。
【0132】
実施例22は、実施例18または19のシステムであって、少なくとも1つのリニアアクチュエータの各々が、圧電アクチュエータである。
【0133】
実施例23は、実施例18または19のシステムであって、少なくとも1つのリニアアクチュエータの各々が、油圧アクチュエータである。
【0134】
実施例24は、実施例23のシステムであって、少なくとも1つのリニアアクチュエータの各々が、油圧アクチュエータに結合された圧電補助装置をさらに備える。
【0135】
実施例25は、実施例17〜24のシステムであって、センサが、金属ストリップの張力変動を示す振動を検出するために、圧延機スタンドに結合される。
【0136】
実施例26は、実施例17〜24のシステムであって、センサが、圧延機スタンドに近接して位置付け可能であるローラに結合された、少なくとも1つのロードセルである。
【0137】
実施例27は、それらの間に金属ストリップを通過させることができる頂部ワークロール及び底部ワークロールを有する圧延機スタンドと、金属ストリップが圧延機スタンドに入るときに金属ストリップの張力を調整するために、圧延機スタンドの上流に位置付け可能である張力調整器と、1/3オクターブの自励振動を示す振動を検出するために、圧延機スタンドに、またはその近傍に位置付け可能であるセンサと、センサ及び張力調整器に結合されて、1/3オクターブの自励振動を示す振動の検出に応じて、金属ストリップの張力の調整を引き起こす制御部とを備える冷間圧延機である。
【0138】
実施例28は、実施例27の圧延機であって、張力調整器が、先行する圧延機スタンドであり、先行する圧延機スタンドが、先行する圧延機スタンドのロールギャップを調整することによって、金属ストリップの前記張力を調整する。
【0139】
実施例29は、実施例27の圧延機であって、張力調整器が、金属ストリップの長さを格納することが可能である偏向装置と、およそ90ヘルツまたはそれ以上での速度で、前記格納された金属ストリップの長さを変更するために、偏向装置を操作するための少なくとも1つのアクチュエータとを備える。
【0140】
実施例30は、実施例29の圧延機であって、少なくとも1つのアクチュエータが、圧電装置を備える。
【0141】
実施例31は、圧延機スタンド上で金属ストリップを圧延することであって、金属ストリップが入口張力を有することと、およそ90ヘルツまたはそれ以上での入口張力の変動を検出することと、検出された変動に応じて金属ストリップの入口張力を調整することとを含む方法である。
【0142】
実施例32は、実施例31の方法であって、入口張力を調整することが、圧延機スタンドの上流に位置する先行する圧延機スタンドのロールギャップを調整することを含む。
【0143】
実施例33は、実施例31の方法であって、偏向装置において金属ストリップの長さを格納することをさらに含み、入口張力を調整することが、格納された金属ストリップの長さを調整することを含む。
【0144】
実施例34は、実施例31〜33の方法であって、入口張力を調整することが、圧電アクチュエータを作動させることを含む。
【0145】
実施例35は、検出された変動をフィルタリングして、およそ90ヘルツを下回り、およそ300ヘルツを上回る変動を除外することをさらに含む、実施例31〜34の方法である。
【0146】
実施例35は、実施例31〜35の方法であって、入口張力の変動を検出することが、圧延機スタンドのロールギャップの変化を検出することを含む。