特許第6490189号(P6490189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490189車両の動作のための方法、装置、システム及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490189
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】車両の動作のための方法、装置、システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/176 20060101AFI20190318BHJP
   B60T 8/172 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   B60T8/176 Z
   B60T8/172 B
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-506404(P2017-506404)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-523937(P2017-523937A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2015063428
(87)【国際公開番号】WO2016020093
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】102014215306.9
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ファイナウアー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス メンゲルカンプ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレート シュトレーレ
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−278592(JP,A)
【文献】 特開2008−290474(JP,A)
【文献】 特開2004−255907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/176
B60T 8/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動作のための方法であって、
車輪の各グリップ量を求めるステップ(101)と、
前記車両のアクスル毎に、前記車輪の前記各グリップ量のうちのどれが最大であるかを求めるステップ(103)と、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップ(105)と、
補助圧力発生装置を、前記アクスル毎の前記各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御するステップ(107)と、
を含み、それにより、
前記補助圧力発生装置は、前記求められた最小グリップ量に依存して、前記車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御(109)し、それにより、
前記車両は、前記閉ループ制御された制動圧に応じて減速(111)され、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップは、
前記車輪の各車輪速度を求めるステップと、
前記求められた複数の車輪速度から最小の車輪速度を選択するステップと、
最小の車輪速度を有する車輪のグリップ量が、アクスル毎の各最大グリップ量のうちの最小グリップ量であることを定義するステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
減速期間中に、前記閉ループ制御された制動圧に応じて、全ての車輪の現行グリップ量と現行車両減速度とを求め、前記現行車両減速度が、所定の車両減速度閾値以上である場合に、前記現行グリップ量のうちのどれが最小であるかを求め、前記補助圧力発生装置は、最小の現行グリップ量に依存して開ループ制御され、それによって、前記補助圧力発生装置は、前記最小の現行グリップ量に依存して前記ブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御し、それによって、前記車両は、前記閉ループ制御された制動圧に応じてさらに減速される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホイールロックの際に、前記車両の減速期間中はアクスル毎に1つの車輪までホイールロックを許容し、それによって前記補助圧力発生装置は、前記ホイールロックに依存することなく開ループ制御され、それによって前記制動圧は、前記ホイールロックに依存することなく閉ループ制御される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップは、車両アクスル毎に各最大グリップ量に基づいて形成される複数の調整信号から1つの調整信号を選択することにより実施される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
車両の動作のための装置(201)であって、
プロセッサ(203)と、
メモリ(205)と、
プログラム(207)と、
を含んでおり、
前記プログラムは、前記メモリに格納され、かつ、前記プロセッサ上で実行されるように構成されており、
前記プログラムは、
車輪の各グリップ量を求め、
前記車両のアクスル毎に、前記車輪の前記各グリップ量のうちのどれが最大であるかを求め、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求め、
補助圧力発生装置を、前記アクスル毎の前記各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御する、
ための命令を含んでおり、それにより、
前記補助圧力発生装置は、前記求められた最小グリップ量に依存して、前記車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御可能であり、それにより、
前記車両は、前記閉ループ制御された制動圧に応じて減速可能であり、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるための命令は、
前記車輪の各車輪速度を求め、
前記求められた複数の車輪速度から最小の車輪速度を選択し、
最小の車輪速度を有する車輪のグリップ量が、アクスル毎の各最大グリップ量のうちの最小グリップ量であることを定義する、
ための命令を含む、
ことを特徴とする装置(201)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(201)と、車両の車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御するように構成された補助圧力発生装置(303)とを含んでいる、車両用のシステム(301)。
【請求項7】
プロセッサ上で実行されるように構成されており、さらに請求項5に記載の装置(201)のプロセッサ(203)上又は請求項6に記載のシステム(301)上での実行の際に、前記装置(201)又は前記システム(301)に、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法を実施させるための命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動作のための方法及び装置に関する。さらに本発明は、車両のためのシステム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
エレクトロニックスタビリティプログラム(ESP)閉ループ制御システムは公知である。これらの閉ループ制御システムは、圧力発生装置を用いて能動的に、ESP閉ループ制御又はVAF機能性のために必要とされる制動圧をポンプを介して構築し、マルチチャネル駆動制御を介して、車両の確実な制動を、下位に置かれたアンチブロックシステム(ABS)の制御アルゴリズムを用いて保証している。前述の略語「VAF」とは、例えば坂道発進補助や緊急時ブレーキ補助などのようなオプション販売可能な追加機能を意味する「付加価値機能」のことである。
【0003】
2チャネルシステム又は4チャネルシステムとして設計された閉ループ制御システムやそれらのアルゴリズムも公知である。同様に、いわゆるセレクトハイ及びセレクトロー原理に従ったアクスル毎の調停機能も公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の開示
本発明の基礎とする課題は、シングルチャネルのブレーキ回路を用いて車両を確実に制動又は減速させることのできる、車両の動作のための方法を提供することに見出すことができる。
【0005】
また本発明の基礎とする課題は、車両の動作のための対応する装置を提供することにも見出すことができる。
【0006】
さらに本発明の基礎とする課題は、車両のための対応するシステムを提供することにも見出すことができる。
【0007】
さらに本発明の基礎とする課題は、対応するコンピュータプログラム製品を提供することにも見出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの課題は、独立請求項の各態様を用いて解決される。本発明の好ましい実施形態は、各従属請求項の態様である。
【0009】
一態様によれば、車両の動作のための方法であって、
車輪の各グリップ量を求めるステップと、
前記車両のアクスル毎に、前記車輪の前記各グリップ量のうちのどれが最大であるかを求めるステップと、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップと、
補助圧力発生装置を、前記アクスル毎の前記各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御するステップと、
を含み、それにより、
前記補助圧力発生装置は、前記求められた最小グリップ量に依存して、前記車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御し、それにより、
前記車両は、前記閉ループ制御された制動圧に対応して減速される方法が提供される。
【0010】
さらなる態様によれば、車両の動作のための装置であって、
プロセッサと、
メモリと、
プログラムと、
を含んでおり、
前記プログラムは、前記メモリに格納され、かつ、前記プロセッサ上で実行されるように構成されており、
前記プログラムは、
車輪の各グリップ量を求め、
前記車両のアクスル毎に、前記車輪の前記各グリップ量のうちのどれが最大であるかを求め、
前記アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求め、
補助圧力発生装置を、前記アクスル毎の前記各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御する、
ための命令を含んでおり、それにより、
前記補助圧力発生装置は、前記求められた最小グリップ量に依存して、前記車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御可能であり、それにより、
前記車両は、前記閉ループ制御された制動圧に応じて減速可能である、装置が提供される。
【0011】
さらに一態様によれば、車両用のシステムであって、本発明に係る装置と、車両の車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御するように構成されたさらに1つの補助圧力発生装置とを含んでいるシステムが提供される。
【0012】
さらなる態様によれば、プロセッサ上で実行されるように構成されており、さらに本発明に係る装置のプロセッサ上又は本発明に係るシステム上での実行の際に、当該装置又は当該システムに、本発明に係る方法を実施させるための命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0013】
さらなる態様によれば、本発明に係る装置又は本発明に係るシステムを含んだ車両が想定される。
【0014】
即ち、本発明は、特に車両のアクスル毎に、セレクトハイ原理を使用する考察を含んでいる。このセレクトハイ原理とは、最小のホイールロック傾向を有する車輪、即ち、最大グリップ量を有する車輪が、ブレーキ回路内の共通の制動圧を決定することを表している。
【0015】
従って、本発明によれば、2つのセレクトハイ結果の間で(これは2つのアクスルの場合であるが、本発明は、例えば3つ、4つ、5つ又は6つのアクスルが設けられている場合など任意のスケーリングが可能である)、セレクトロー調停が実施されることが想定される。このセレクトロー調停は、セレクトロー原理に基づく調停である。セレクトロー原理とは、最大のホイールロック傾向を有する車輪、即ち、最小グリップ量を有する車輪が、ブレーキ回路内の共通の制動圧を決定することを表している。このセレクトロー調停(即ち、求められた最小グリップ量)の結果は、補助圧力発生装置のための駆動制御に対して使用される。即ち、このセレクトロー調停の結果は、補助圧力発生装置のための相応の制御信号に対するベースとして使用されることを意味する。
【0016】
セレクトハイ原理及びセレクトロー原理を適用する本発明によるステップにより、路面の移行部分も含めた全ての路面において、車両の制動力、安定性及び操舵性から1つの適切な妥協の達成が、好ましい方法で成し得るものとなる。このようにして補助圧力変更(シングルチャネル方式)を用いた車両の確実な減速が可能となる。それと共にさらに場合によっては、車両内の既存のESP閉ループ制御システム及び/又はABS閉ループ制御システムに対する冗長性が好ましい方法で得られる。ここでの「ESP」とは、エレクトロニックスタビリティプログラムのことであり、「ABS」とは、アンチロックブレーキシステムのことである。
【0017】
一実施形態によれば、補助圧力発生装置は、ブレーキブースターである。このブレーキブースターは、例えば電気機械式ブレーキブースターである。特にこのブレーキブースターは、ロバートボッシュ社が開発したようないわゆるiBooster(登録商標)である。
【0018】
ブレーキ回路が、シングルチャネルブレーキ回路であるということは、特にこのブレーキ回路が、全ての車輪を減速又は制動させることを意味する。即ち、個別の車輪減速は想定されていないことを意味する。それどころか全ての車輪は、シングルチャネルブレーキ回路を用いて減速又は制動される。即ち、この閉ループ制御は、シングルチャネル閉ループ制御である。
【0019】
一実施形態によれば、減速期間中に、前記閉ループ制御された制動圧に応じて、全ての車輪の現行グリップ量と現行車両減速度とを求め、前記現行車両減速度が所定の車両減速度閾値以上である場合に、前記現行グリップ量のうちのどれが最小であるかを求め、補助圧力発生装置は、最小の現行グリップ量に依存して開ループ制御され、それによって、補助圧力発生装置は、最小の現行グリップ量に依存してブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御し、それによって、車両は、閉ループ制御された制動圧に応じてさらに減速されることが想定される。
【0020】
これにより、特にタイヤを損傷させない技術的利点が生じる。特にこの技術的利点は、路面のグリップ力が片側だけ低下した場合に突発的に発生するヨーモーメントを低減できるようにする。即ち、この実施形態では、所定の車両減速度に達してからは、車両全体のセレクトロー原理による調停が実施されることを意味する。即ち、このことは、特に車両制動時又は車両減速時のグリップする路面に向けられる。即ち、所定の車両減速度からは、最小の現行グリップ量が、シングルチャネルブレーキ回路における制動圧の閉ループ制御のためのベースとして使用されることを意味する。所定の車両減速度は、特に予め設定された値であり、これは例えば固定的に装置内に記憶されている。
【0021】
別の実施形態によれば、ホイールロックの際に、車両の減速期間中はアクスル毎に1つの車輪までホイールロックを許容し、それによって補助圧力発生装置は、ホイールロックに依存することなく開ループ制御され、それによって制動圧は、ホイールロックに依存することなく閉ループ制御されることが想定される。これは即ち、特にアクスル毎に1つの車輪のホイールロックは許容されることを意味している。この場合制動圧は、ホイールロックした複数の車輪(又はホイールロックした1つの車輪)に依存することなく閉ループ制御される。
【0022】
それにより特に、制動距離、安定性及び操舵性から1つの妥協を達成することができる技術的利点が生じる。
【0023】
ホイールロックが許容されること、即ち、制動圧がホイールロックに依存することなく閉ループ制御されることは、特に、この閉ループ制御が、事前に求められたグリップ量に応じて、引き続き変わらなく実施されることを意味する。それにより、制動圧の現行の閉ループ制御は、ホイールロックによる影響を受けない。
【0024】
別の実施形態によれば、アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップは、車両アクスル毎に各最大グリップ量に基づいて形成される複数の調整信号から、1つの調整信号を選択することで実施されることが想定される。それにより、好ましくは有利な方法で、調停が簡素化され、計算時間が節約される。なぜなら4つの個別ホイールブレーキに対する4つの制御装置の代わりに、各個別ホイールブレーキ毎に1つの制御装置のための計算しか必要とされないからである。4つの制御装置の場合には、後から4つの制御装置出力が調停されなければならず、場合によってはこの調停結果を、4つの制御装置に返さなければならない。このことは著しい計算コストを要求する。即ち、これは、本発明による特にシングルチャネル駆動制御は、1つの制御装置によって行われることを意味する。即ち、1つの制御装置が、好ましくは、車両の全部で4つの個別ホイールブレーキを開ループ制御する。
【0025】
調整信号は、例えば車輪速度に基づいている。即ち、これは、例えばこの調整信号が、車輪速度であることを意味する。
【0026】
さらに別の実施形態によれば、アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求めるステップは、
車輪の各車輪速度を求めるステップと、
求められた複数の車輪速度から最小の車輪速度を選択するステップと、
最小の車輪速度を有する車輪のグリップ量が、アクスル毎の各最大グリップ量のうちの最小グリップ量であることを定義するステップと、
を含んでいる。
【0027】
一実施形態によれば、プログラムは、車両の動作のための方法のステップを実施するための命令を含んでいる。このことは、全ての開示された実施形態に当て嵌まる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、車輪の各グリップ量を求めるステップは、車輪の各ホイール回転数(即ち、ホイール回転数情報)に基づいて実施される。即ち、これは、一実施形態によれば、車輪毎に1つの回転数センサが設けられており、この回転数センサが、対応する車両のホイール回転数を検出し得る。このホイール回転数に基づいて、即ち、このホイール回転数に対応するホイール回転数信号に基づいて、各グリップ量が求められる。好ましくは、各グリップ量を求めるために、1つのアクスルの2つの車輪若しくは4つ全ての車輪のホイール回転数情報が使用されるか、又は、選択的に平均アクスル回転数情報も使用される。
【0029】
以下では本発明を、好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】車両の動作のための方法のフローチャート。
図2】車両の動作のための装置。
図3】車両用のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1には、車両の動作のための方法のフローチャートが示されている。
【0032】
ステップ101により、車輪の各グリップ量が求められる。ステップ103では、車両の各アクスル毎に、車輪の各グリップ量のうちのどれが最大であるのかが求められる。ステップ105では、各アクスル毎に各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるのかが求められる。ステップ107では、補助圧力発生装置が、各アクスル毎の各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御され、それによって、ステップ109により、補助圧力発生装置は、求められた最小グリップ量に依存して、車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御し、それによって、ステップ111では、車両が、閉ループ制御された制動圧に応じて減速される。
【0033】
従って、シングルチャネルブレーキ回路において、補助圧力発生装置を用いて閉ループ制御される圧力は、好ましくは次のように変調される。即ち、路面の移行部分も含めた全ての路面において、車両の制動力、安定性及び操舵性から1つの適切な妥協が達成されるように変調される。この場合特に、補助圧力発生装置がブレーキブースター、特に電気機械式ブレーキブースター、例えばiBooster(登録商標)であることが想定される。本発明は、ここでは特に、単にハードウエアとして補助圧力発生装置のみを必要とし、あとは、1つのアクスルの2つの車輪若しくは4つの全ての車輪のホイール回転数情報、又は、選択的に平均アクスル回転数情報を、本発明に係るアルゴリズム、即ち、本発明に係る方法ステップのために必要としているだけである点において優れている。それにより好ましくは、さらに付加的な調整器をホイール毎に個別に又はブレーキ回路毎に個別に駆動制御することが不要となる。それにもかかわらず、特に自律化/自動化された走行において、確実に可能な制動要求の支援は、例えば一方ではiBooster(登録商標)、他方では好ましくはESP油圧系を用いた、能動的制動圧発生のためのハードウエアの冗長性を利用することによって与えられる。
【0034】
図2には、車両(図示せず)の動作のための装置201が示されている。
【0035】
この装置201は、プロセッサ203を含んでいる。さらにこの装置201は、メモリ205を含んでいる。メモリ205内には、プログラム207が格納されている。このプログラム207は、プロセッサ203上で実行されるように構成されており、ここでのこのプログラム207は、
車輪の各グリップ量を求め、
車両のアクスル毎に、車輪の各グリップ量のうちのどれが最大であるかを求め、
アクスル毎の各最大グリップ量のうちのどれが最小グリップ量であるかを求め、
補助圧力発生装置を、アクスル毎の各最大グリップ量のうちから求められた最小グリップ量に依存して開ループ制御する、
ための命令を含んでおり、それにより、
補助圧力発生装置は、求められた最小グリップ量に依存して、車輪用のシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御可能であり、それにより、
車両は、閉ループ制御された制動圧に応じて減速可能である。
【0036】
このプログラム207は、図示していないさらなる実施形態では、ここで開示された実施形態の少なくとも1つにより、車両の動作のための方法のステップを実施するための命令を含んでいる。
【0037】
図3には、車両(図示せず)用のシステム301が示されている。
【0038】
このシステム301は、図2による装置201と、補助圧力発生装置303とを含んでいる。補助圧力発生装置303は、車両の車輪のためのシングルチャネルブレーキ回路における制動圧を閉ループ制御するように構成されている。
【0039】
図示していな一実施形態では、システム301は、ホイール回転数センサを含み、このホイール回転数センサは、装置201と接続されている。即ち、このことは、ホイール回転数センサのホイール回転数信号を、装置201が得られることを意味している。従って、ホイール回転数信号に基づいて、特に各グリップ量が求められる。
【0040】
即ち、要約すると、本発明は、特に、補助圧力発生装置を用いて、特にブレーキブースターを用いて、全車輪用のブレーキ回路におけるシングルチャネル式補助圧力変更を実施するという考察を含む。この場合、本発明によれば、補助圧力発生装置の駆動制御のために、まずアクスル毎に、セレクトハイ原理の適用が想定される。この場合、駆動制御は、2つのセレクトハイ結果の間で、セレクトロー調停を介して求められる。
図1
図2
図3