(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490199
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンの燃焼器用の音響減衰システム
(51)【国際特許分類】
F23R 3/18 20060101AFI20190318BHJP
F23R 3/44 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
F23R3/18
F23R3/44
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-513485(P2017-513485)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公表番号】特表2017-529511(P2017-529511A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2014054639
(87)【国際公開番号】WO2016039725
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レインハード スキルプ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エム. リットランド
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイシュリー シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ スコット マーコヴィッツ
【審査官】
西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0198854(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0074501(US,A1)
【文献】
特表2004−509313(JP,A)
【文献】
特表2012−520982(JP,A)
【文献】
特開2006−097981(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0102235(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0169992(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/057994(WO,A2)
【文献】
特表2010−539435(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0302924(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0006028(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0138812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/24
F23R 3/06、16−24、42−46
F01D 25/00
F23M 5/00
F23M 20/00
G10K 11/16
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(10)用の音響減衰共鳴器システム(14)であって、
少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)が設けられており、該共鳴器ハウジング(18)は、前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)の内側表面(34)と、該内側表面(34)とは反対の側の外側表面(38)とで以て、少なくとも1つの内部通路(36)を画定しており、
前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)内に配置され且つ少なくとも1つの開口(40)から形成された、少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)が設けられており、
少なくとも部分的に前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)内に配置された、少なくとも1つの共鳴器室(26)が設けられており、
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)と、前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)を画定する前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)との間に、接合部(28)が形成されており、
前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)は、該少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)の少なくとも一部を画定する、半径方向外側に湾曲した少なくとも1つの縁部(62)を有し、該少なくとも1つの縁部(62)は、少なくとも1つの結合フランジ(54)を形成しており、
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記少なくとも1つの結合フランジ(54)により画定される前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)内に嵌合しており、
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)の前記内側表面(34)から半径方向外側にずらされた、少なくとも1つの内側表面(32)を有している、
ことを特徴とする、音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの結合フランジ(54)は、前記少なくとも1つの共鳴器室(26)の半径方向高さの1/2未満の高さを有している、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの結合フランジ(54)は、前記少なくとも1つの共鳴器室(26)の半径方向高さの1/2を上回る高さを有している、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項4】
更に、前記少なくとも1つの内側表面(32)には、少なくとも1つの冷却流体排気開口(64)が配置されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)と、前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)を画定する前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)との間に生じる前記接合部(28)の所に、割れ目(30)が形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、少なくとも1つの湾曲した外縁(60)を有している、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)を取り換える必要無しに取外し及び交換可能である、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの結合フランジ(54)は、前記少なくとも1つの共鳴器ハウジング(18)を形成するために使用される材料から形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの結合フランジ(54)は、前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)の全周にわたって延びている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記少なくとも1つの共鳴器室受容部(24)内に配置されたときに締まり嵌めが生じるように寸法決めされている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記少なくとも1つの結合フランジ(54)に溶接されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は、前記内側表面(32)と、少なくとも1つの外側表面(46)と、少なくとも1つの側面(48)とを有する共鳴器ボックス(44)から形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの側面(48)は環状であり、これにより円筒形の共鳴器室(26)が形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの側面(48)は、少なくとも2つの面から形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの側面(48)は、4つの側面から形成されており、これにより1つの共鳴器ボックス(44)が形成されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの共鳴器室(26)は更に、共鳴器室ハウジング(52)に結合された共鳴器キャップ(50)により画定されている、請求項1記載の音響減衰共鳴器システム(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジン内の燃焼器におけるダイナミクス減衰用の音響減衰システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは典型的に、圧縮機の下流側であり且つタービンアセンブリの上流側に配置された、複数の燃焼器バスケットを有している。運転中、これらの燃焼器バスケット内ではしばしば縦モードダイナミクスが生じる。縦モードダイナミクスは通常、燃焼器バスケット内の空気流路の入口で発生して、下流側のタービン入口へ移っていく。このダイナミクスは、比較的新しいガスタービンに益々求められている低エミッション運転を行うための、ガスタービンエンジンの柔軟な調整を制限することになる。
【0003】
縦モードダイナミクスを減衰するために、燃焼器に共鳴器が組み込まれてきた。共鳴器は、特定の音響同調に対応するように寸法決めされて構成されている。様々な構成の共鳴器が採用されてきた。典型的には、共鳴器は最も効果的であるように、燃焼器内の最大放熱領域に配置されている。この位置で、共鳴器はかなりの温度・熱勾配に晒されることになる。初期の構成には、共鳴器を燃焼器に直接溶接することが含まれていたが、残留応力や、溶接部とライナとの間の温度勾配に基づく亀裂形成によりしばしば破損して、高い修理費につながっていた。別の構成も用いられたが、亀裂やかなりの修理費のために成功は限られていた。よって、縦モードダイナミクスを減衰するための、より効率的で費用のかからない構成が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
音響減衰共鳴器システムを備えたガスタービンエンジン燃焼器を有する、音響減衰式のガスタービンエンジンが開示される。音響減衰共鳴器システムは、1つ又は複数の共鳴器から形成されていてよく、共鳴器は、ガスタービンエンジン燃焼器内で燃焼器バスケットを形成し且つ燃焼器内で周方向に延在するアウタハウジングに配置された共鳴器ハウジングから形成されている。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器ハウジングは、1つ又は複数の共鳴器室を支持する1つ又は複数の共鳴器室受容部を有していてよく、共鳴器室は、所定の位置で共鳴器室受容部内に溶接されていてよいが、共鳴器ハウジングを損傷させることなく容易に交換可能であってよい。別の実施形態では、共鳴器室と共鳴器ハウジングとの間に形成された接合部が、割れ目を形成していてよく、共鳴器室の内側表面は、共鳴器ハウジングの内側表面から半径方向外側にずらされており、これにより、流路が断続的に形成されていると共に、共鳴器室の加熱が低減されている。音響減衰共鳴器システムはダイナミクスを緩和することができ、これによりエンジン運転範囲を拡大し、且つエミッションを減少させる。
【0005】
少なくとも1つの実施形態では、タービンエンジン用の音響減衰共鳴器システムは、1つ又は複数の共鳴器ハウジングを有していてよく、共鳴器ハウジングは、少なくとも1つの共鳴器ハウジングの内側表面と、この内側表面とは反対の側の外側表面とで以て、少なくとも1つの内部通路を画定している。音響減衰共鳴器システムは、共鳴器ハウジング内に配置され且つ少なくとも1つの開口から形成された、1つ又は複数の共鳴器室受容部を有していてよい。音響減衰共鳴器システムは、少なくとも部分的に共鳴器室受容部内に配置された、1つ又は複数の共鳴器室を有していてよい。音響減衰共鳴器システムは、共鳴器室と、共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジングとの間に形成された接合部を有していてよい。共鳴器室は、共鳴器ハウジングの内側表面にほぼ整合した、1つ又は複数の内側表面を有していてよい。別の実施形態では、共鳴器室は、少なくとも1つの共鳴器ハウジングの内側表面から半径方向外側にずらされた、1つ又は複数の内側表面を有していてよい。共鳴器室の内側表面には、1つ又は複数の冷却流体排気開口が配置されていてよい。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、共鳴器室と、共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジングとの間に生じる接合部の所に、割れ目が形成されていてよい。共鳴器室は、1つ又は複数の湾曲した外縁を有していてよい。共鳴器室受容部を画定する1つ又は複数の縁部は、半径方向外側に湾曲していてよい。共鳴器室受容部は、共鳴器室受容部の少なくとも一部を画定する、1つ又は複数の結合フランジを有していてもよい。少なくとも1つの実施形態では、結合フランジは、少なくとも1つの共鳴器室受容部の全周にわたって延びていてよい。共鳴器室は、結合フランジにより画定される共鳴器室受容部内に嵌合していてよい。共鳴器室は、結合フランジに溶接されていてよい。
【0007】
共鳴器室は、内側表面と、1つ又は複数の外側表面と、1つ又は複数の側面とを有する共鳴器ボックスから形成されていてよい。側面は環状であってよく、これにより円筒形の共鳴器室が形成されている。別の実施形態では、側面は少なくとも2つの面から形成されていてよい。側面は、4つの側面から形成されていてよく、これにより1つの共鳴器ボックスが形成されている。共鳴器室は更に、共鳴器室ハウジングに結合された共鳴器キャップにより画定されていてよい。
【0008】
少なくとも1つの実施形態では、音響減衰共鳴器システムは、共鳴器ハウジングの内側表面と、この内側表面とは反対の側の外側表面とで以て少なくとも1つの内部通路を画定している1つ又は複数の共鳴器ハウジングと、共鳴器ハウジング内に配置された、少なくとも1つの開口から形成された1つ又は複数の共鳴器室受容部とを有していてよい。音響減衰共鳴器システムは、共鳴器室受容部の少なくとも一部を画定する1つ又は複数の結合フランジと、共鳴器室受容部内に少なくとも部分的に配置された1つ又は複数の共鳴器室とを有していてよい。共鳴器室は、結合フランジにより画定された共鳴器室受容部内に嵌合していてよい。共鳴器室と、共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジングとの間には、接合部が形成されていてよい。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器ハウジングは、金属薄板リングから形成されていてよい。
【0009】
別の実施形態では、音響減衰共鳴器システムは、共鳴器ハウジングの内側表面と、この内側表面とは反対の側の外側表面とで以て1つ又は複数の内部通路を画定している1つ又は複数の共鳴器ハウジングと、共鳴器ハウジング内に配置された、少なくとも1つの開口から形成された1つ又は複数の共鳴器室受容部とから形成されていてよい。音響減衰共鳴器システムは、少なくとも部分的に共鳴器室受容部内に配置された1つ又は複数の共鳴器室と、共鳴器室と、少なくとも1つの共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジングとの間に形成された接合部とを有していてよい。共鳴器室は、共鳴器ハウジングの内側表面から半径方向外側にずらされた、1つ又は複数の内側表面を有していてよい。共鳴器室は、1つ又は複数の湾曲した外縁を有していてよい。共鳴器室受容部を画定する1つ又は複数の縁部は、半径方向外側に湾曲していてよい。共鳴器室と、共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジングとの間に生じる接合部の所には、割れ目が形成されていてよい。
【0010】
使用中、音響減衰共鳴器システムは、縦モード燃焼ダイナミクスを減衰することができ、これにより、タービンエンジン運転範囲の拡大が可能になる。音響減衰システムは、燃焼器入口により均一な流れを生じさせ且つ下流側により良好な混合プロフィルを生じさせることで、流れ調整器として機能してよい。
【0011】
これらの利点と他の利点及び目的は、以下に記載する本発明の詳細な説明を参照することにより明らかになる。
【0012】
明細書に組み込まれてその一部を形成する添付図面は、本発明の各実施形態を示すものであり、詳細な説明と共に、本発明の原理を開示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ガスタービンエンジン内に位置する燃焼器の側方部分断面図である。
【
図2】音響減衰共鳴器システムを備えた燃焼器ライナの斜視図である。
【
図4】共鳴器ハウジングの共鳴器室受容部内に配置された共鳴器室の斜視断面図である。
【
図5】共鳴器ハウジングの共鳴器室受容部内に配置された共鳴器室の別の斜視断面図である。
【
図6】共鳴器ハウジングの共鳴器室受容部内に配置された共鳴器室を、必要なときに共鳴器室を外して交換するために分離可能な溶接接合部を表す断続線と共に示す斜視断面図である。
【
図7】共鳴器ハウジングの共鳴器室受容部内に配置された共鳴器室の別の実施形態の斜視図である。
【
図8】共鳴器ハウジングの共鳴器室受容部内に配置された、
図7に示した共鳴器室の詳細図である。
【
図9】共鳴器室と共鳴器ハウジングとの間の接合部を、よどみ冷却ポケット内の残留空気が、共鳴器室の内側表面の半径方向内側の高温ガス通路内よりも低温であることを表す空気温度と共に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図9に示すように、音響減衰共鳴器システム14を備えたガスタービンエンジン燃焼器12を有する、音響減衰式のガスタービンエンジン10が開示されている。音響減衰共鳴器システム14は、1つ又は複数の共鳴器16から形成されていてよく、共鳴器16は、ガスタービンエンジン燃焼器12内で燃焼器バスケット22を形成し且つ燃焼器12内で周方向に延在しているアウタハウジング20に配置された共鳴器ハウジング18から形成されている。少なくとも1つの実施形態において、共鳴器ハウジング18は、1つ又は複数の共鳴器室26を支持する1つ又は複数の共鳴器室受容部24を有していてよく、共鳴器室26は、所定の位置で共鳴器室受容部24内に溶接されていてよいが、共鳴器ハウジング18を損傷させることなく容易に交換可能であってよい。別の実施形態では、共鳴器室26と共鳴器ハウジング18との間に形成された接合部28が、割れ目30を形成しており、共鳴器室26の内側表面32は、共鳴器ハウジング18の内側表面34から半径方向外側にずらされており、これにより、流路が断続的に形成されていると共に、共鳴器室26の加熱が低減されている。音響減衰共鳴器システム14はダイナミクスを緩和することができ、これによりエンジン運転範囲を拡大し、且つエミッションを減少させる。
【0015】
音響減衰共鳴器システム14は、ガスタービンエンジン10内の1つ又は複数の燃焼器12内に、燃焼器ライナ15と一緒に配置されている。燃焼器12は、あらゆる適切な構成を有していてよい。燃焼器12は、圧縮機13の下流側に配置されていて、燃焼器バスケットを画定する少なくとも1つのアウタハウジングと、このアウタハウジングに取り付けられた少なくとも1つの上流側の壁とから形成されていてよく、少なくとも1つの燃料ノズルが燃焼器12内へ延びている。少なくとも1つの実施形態では、音響減衰共鳴器システム14は、1つ又は複数の共鳴器ハウジング18を有していてよく、共鳴器ハウジング18は、共鳴器ハウジング18の内側表面34と、この内側表面34とは反対の側の外側表面38とで以て、1つ又は複数の内部通路36を画定している。共鳴器ハウジング18は、あらゆる適切な構成を有していてよい。少なくとも1つの実施形態では
図7〜
図9に示すように、共鳴器ハウジング18は、ほぼ円筒形であってよい。共鳴器ハウジング18は、燃焼器12内で典型的に見られる高温に耐えることのできる、あらゆる材料から形成されていてよい。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器ハウジング18は、金属薄板から成るリングとして形成されていてよい。このようにして共鳴器ハウジング18を形成する製造プロセスは、共鳴器ハウジング18に従来は必要とされていたフライス加工を無くすと共に、材料費を低下させる。
【0016】
共鳴器システム14は、共鳴器ハウジング18内に配置された、1つ又は複数の共鳴器室受容部24を有していてよい。1つ又は複数の共鳴器室受容部24は、共鳴器ハウジング18を貫通して延びる少なくとも1つの開口40から形成されていてよい。共鳴器室受容部24は、あらゆる適切な形状を有していてよい。例えば、共鳴器室受容部24は、
図7及び
図8に示すように円形に形成されていてもよいし、
図3〜
図6に示すように多角形、四角形に形成されていてもよいし、又は別の形状に形成されていてもよい。
【0017】
共鳴器システム14は、少なくとも部分的に1つ又は複数の共鳴器室受容部24内に配置された、1つ又は複数の共鳴器室26を有していてよい。少なくとも1つの実施形態では、1つの共鳴器室受容部24内には1つの共鳴器室26が配置されていてよい。別の実施形態では、1つの共鳴器室受容部24内に、2つ以上の共鳴器室26が配置されていてよい。共鳴器室26は、1つの共鳴器室受容部24内に配置されたときに締まり嵌めが生じるように寸法決めされていてよい。別の実施形態では、共鳴器室26は、共鳴器室受容部24内に緊密に、但しまだ締まり嵌めは生じないように嵌められていてよい。共鳴器室26は共鳴器室受容部24に、すみ肉溶接といった溶接等の結合法で結合されていてよいが、これに限定されない。
【0018】
共鳴器室26は、あらゆる適切な構成を有していてよい。少なくとも1つの実施形態では
図4〜
図6に示すように、共鳴器室26は、内室42を形成する共鳴器ボックス44から形成されていてよい。共鳴器ボックス44は、直線的な辺を有していてもよいし、又は有していなくてもよい。共鳴器室26を形成する共鳴器ボックス44は、内側表面32と、少なくとも1つの外側表面46と、少なくとも1つの側面48とを有する共鳴器ボックス44から形成されていてよい。
図7及び
図8に示すように、共鳴器室26は、1つ又は複数の環状の側面48を有していてよく、この場合は円筒形の共鳴器室26が形成されている。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器室26の側面48は、少なくとも2つの面から形成されていてよい。
図4〜
図6に示すように、共鳴器室26の側面48は4つの側面48から形成されていてよく、これにより共鳴器ボックス44が形成されている。
【0019】
図7に示す共鳴器室26は、共鳴器室ハウジング52に結合された共鳴器キャップ50から形成されていてよい。共鳴器キャップ50と共鳴器室ハウジング52とは、別個のコンポーネントとして形成されていてよく、すみ肉溶接といった溶接等の結合法で互いに結合されていてよいが、これに限定されない。共鳴器キャップ50は、円形、多角形、長方形又は別の形状等の、あらゆる形状を有していてよいが、これらに限定されない。共鳴器室ハウジング52は、円筒形又は別の形状等の、あらゆる形状を有していてよいが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施形態では
図7に示すように、共鳴器キャップ50は、共鳴器室ハウジング52の外径にほぼ等しい外径を有していてよい。少なくとも1つの実施形態では
図7に示すように、1つ又は複数の冷却流体排気開口68が、共鳴器室26の半径方向外側の表面70に配置されていてよい。冷却流体排気開口68は、あらゆる適切な形状又は寸法を有していてよく、所定のパターンで又はランダムに配置されていてよい。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、1つ又は複数の共鳴器室受容部24は、共鳴器室受容部24の少なくとも一部を画定する、1つ又は複数の結合フランジ54を有していてよい。別の実施形態では、結合フランジ54は、共鳴器室受容部24の全周にわたって延びていてよい。結合フランジ54は、共鳴器ハウジング18を形成するために使用される材料から形成されていてよい。結合フランジ54は、共鳴器室受容部24を形成する開口40の周りに、連続したリングを形成していてよい。結合フランジ54は、共鳴器室26の半径方向高さの1/2未満だけ、半径方向外側に延びていてよい。別の実施形態では、結合フランジ54は、共鳴器室26の半径方向高さの1/2を上回る、別の高さを有していてよい。1つの共鳴器室26が、結合フランジ54により画定された共鳴器室受容部24内に嵌合していてよい。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器室26は、すみ肉溶接といった溶接等の結合法で、結合フランジ54に結合されていてよいが、これに限定されない。結合フランジ54は、溶接箇所を半径方向外側に向かって内側表面34から離して移動させている。
【0021】
図4、
図5及び
図9に示すように、接合部28は、共鳴器室26と、共鳴器室受容部を画定する共鳴器ハウジング18との間に形成されていてよい。接合部28は、共鳴器室26と共鳴器ハウジング18との間の結合部を形成していてよい。少なくとも1つの実施形態では、接合部28は溶接部を有していてよい。少なくとも1つの実施形態では、共鳴器室26と、共鳴器室受容部24を画定する共鳴器ハウジング18との間に生じる接合部28の所に、割れ目30が形成されている。共鳴器室26は、1つ又は複数の湾曲した外縁60を有していてよい。共鳴器室受容部24を画定する1つ又は複数の縁部62は、半径方向外側に湾曲していてよい。
図4に示すように、共鳴器室26は、共鳴器ハウジング18の内側表面34にほぼ整合した内側表面32を有していてよい。共鳴器室26は、共鳴器ハウジング18を取り換える必要無しに取外し及び交換可能である。
【0022】
別の実施形態では
図7及び
図8に示すように、共鳴器室26は、共鳴器ハウジング18の内側表面34から半径方向外側にずらされた内側表面32を有していてよい。
図8に示した実施形態も、内側表面32に形成された1つ又は複数の冷却流体排気開口64を有していてよい。冷却流体は、フィルム冷却を発生させるために、共鳴器室26から排気されてよい。付加的に、共鳴器ハウジング18の内側表面34から半径方向外側にずらされた内側表面32で以て、高温ガス流路内に不連続性が生じている。ずらされた内側表面32は、部分的にこのずらされた内側表面32と共鳴器室受容部24の縁部62とによって画定された、よどみ冷却ポケット66を形成していてよい。よどみ冷却ポケット66には、冷却流体排気開口64から放出された冷却流体が集まる。その結果、内側表面32は従来の構成よりも低い温度に晒されることになる。
【0023】
使用中、音響減衰共鳴器システム14は、縦モード燃焼ダイナミクスを減衰することができ、これにより、タービンエンジン運転範囲の拡大が可能になる。音響減衰システム14は、燃焼器入口により均一な流れを生じさせ且つ下流側により良好な混合プロフィルを生じさせることで、流れ調整器として機能してよい。共鳴器室26の内側表面32に亀裂が生じた場合、亀裂は共鳴器室26の内側表面32内のみに入っていて、共鳴器ハウジング18へ広がることはない。共鳴器室26は、共鳴器ハウジング18を取り換える必要無しに取外し及び交換可能である。
【0024】
上記事項は、本発明の図示、説明及び各実施形態の説明のために提供されたものである。上記各実施形態に対する変更及び適合は、当業者には明らかであり、本発明又は以下の請求項の範囲又は意図から逸脱することなく行われてよい。