(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の台車装置1について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の台車装置1の寸法関係とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態の台車装置1を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、台車装置1は、進行方向Tに直交する幅方向Wに離間する一対の車輪3(
図1には片側のみ示す)を有する台車本体2と、台車装置1を操作するための操作部4(ハンドル12)と、を有している。
【0022】
本実施形態の台車装置1は、電動モーター(駆動装置)の駆動力を用いて操作者をアシストする、所謂パワーアシストカートである。
なお、
図1に示すX方向は台車装置1の長手方向Xを示している。
図1に示すW方向は台車装置1の幅方向Wを示している。また、
図1に示す矢印Tは台車装置1の進行方向Tの前方を指している。
【0023】
台車本体2は、例えば、内部を収納部とした箱型のものを採用することができる。台車本体2には扉8を取り付けることができる。
一対の車輪3は、台車本体2の幅方向Wに離間して配置されて、互いに独立した回転数で回転可能である。一対の車輪3は、左右で速度差を付けることで、左右の旋回が可能である。一対の車輪3は、台車本体2の長手方向Xの略中央に配置されている。台車本体2の長手方向Xの両端部近傍であって、幅方向Wの両端部近傍には、キャスター9が取り付けられている。
【0024】
また、台車本体2の下部には、電動モーター16(
図2参照)などを配置するための駆動部収容部10が設けられている。駆動部収容部10には、操作者のハンドル操作、及び電動モーター16の回転数を制御するための制御装置5(
図2参照)が収容されている。
【0025】
操作部4は、台車本体2の前面2aに設けられているハンドル12を有している。ハンドル12は、力を加えていない状態では、
図1に示すように、鉛直方向上方を向いている。このように、ハンドル12が幅方向Wの中央、かつ、台車本体2の最も後方側にある位置を、ハンドル12の初期位置とする。
台車装置1は、操作者がハンドル12を第二の回動軸A2を中心に前後方向に操作することによって(
図5参照)、前進・後退する機能を有している。具体的には、台車装置1は、ハンドル12を前後方向に操作することによって台車装置1の速度を調整する機能を有している。
【0026】
台車装置1は、操作者がハンドル12を第一の回動軸A1を中心に幅方向Wに傾けて回動動作させることによって(
図7参照)、旋回する機能を有している。具体的には、台車装置1は、一対の車輪3のいずれかを選択的に制動させることで、台車装置1を曲進走行させる機能を有している。操作者は、台車装置1の走行中に、ハンドル12を幅方向Wの例えば右方向に傾けて右側の車輪3を制動することにより、台車装置1を右方向に曲げることができる。台車装置1は、後述する制動装置20(
図2参照)を用いて左右の車輪3に速度差を作ることによって、台車装置1の左右旋回を行う。
【0027】
操作者は、前進・後退の操作と旋回の操作を同時に行うことができる。即ち、ハンドル12を前後方向に傾ける動作を行いながら幅方向Wに傾ける動作を行うことができる。よって、第一の回動軸A1は、ハンドル12の軸線A2回りの回動位置に応じて軸線A2回りに回動する。第一の回動軸A1がいずれに位置にあっても、第一の回動軸A1は、台車本体2の幅方向に直交する面に沿う。
【0028】
図2は、本実施形態の台車装置1の概略構成を説明する平面図である。
図2に示すように、台車装置1は、単一の電動モーター16と、電動モーター16の出力軸17の回転数に応じた出力(駆動力)を一対の車輪3に分配して車輪3を回転させる差動装置19と、一対の車輪3を制動する一対の制動装置20と、を有している。一対の車輪3は、車軸15を介して差動装置19と接続されている。
差動装置19は、台車本体2の略中央(長手方向Xの中心、かつ、幅方向Wの中心)に配置されている。
電動モーター16としては、例えば、減速機と一体となったギアードモーターを採用することができる。
電動モーター16は回転駆動する出力軸17を有しており、この出力軸17には、駆動歯車18が取り付けられている。駆動歯車18は、差動装置19のリングギヤ30と噛み合うように配置されている。
【0029】
制動装置20は、一対の車輪3に対応して設けられており、一対の車輪3をそれぞれ制動可能な装置である。制動装置20は、車輪3とともに回転する一対のブレーキローター22と、ブレーキローター22を挟み込む位置に配置されている一対のブレーキキャリパー23と、ブレーキキャリパー23と台車本体2の前面2aに取り付けられているマスターシリンダー36とを接続するホース24と、を有している油圧ブレーキである。マスターシリンダー36は、ハンドル12の動きに連動して操作されるように構成されている。
本実施形態の制動装置20は、進行方向Tに向かって右側のマスターシリンダー36が進行方向Tに向かって左側のブレーキキャリパー23と接続され、進行方向Tに向かって左側のマスターシリンダー36が進行方向Tに向かって右側のブレーキキャリパー23と接続されている。即ち、右側のマスターシリンダー36が操作されると左側の車輪3が制動され、左側のマスターシリンダー36が操作されると右側の車輪3が制動される。
【0030】
制動装置20は、ハンドル12を中央位置から幅方向Wの左方向に傾けた場合に、左側の車輪3を制動させ、ハンドル12を中央位置から幅方向Wの右方向に傾けた場合に、右側の車輪3を制動するように構成されている。具体的には、ハンドル12に加えられた力がマスターシリンダー36を介して油圧に変換され、ホース24を介してブレーキキャリパー23を作動させる。
【0031】
なお、制動装置20としては、直動軸11の動きに応じて車輪3を制動させることができれば油圧ブレーキに限らず、他の形態の制動装置の採用も可能である。例えば、制動装置20としては、直動軸11の動きをワイヤーなどを用いてブレーキキャリパー23に伝達する、機械式ブレーキの採用も可能である。また、制動装置20としては、電磁石の作用を利用してブレーキキャリパー23を作動させる電磁ブレーキの採用も可能である。
【0032】
次に、操作部4の詳細について説明する。
図3は操作部4の斜視図であり、
図4は操作部4の断面図であり、
図5は操作部4の側面図であり、
図6は操作部4を構成する中空パイプ7、直動軸11、及びブラケット部13の関係を説明する図である。
図3及び
図4に示すように、本実施形態の操作部4は、台車本体2の前面2a(
図1参照)に配置されている板状のベース部25と、ハンドル12と、ハンドルの12の第一の回動軸A1を中心とした回動運動を幅方向Wに沿う直動運動に変換する変換機構6と、変換機構6により直動運動する直動軸11と、を有している。直動軸11は、一対のマスターシリンダー36と同軸状に配置されており、マスターシリンダー36に対する入力軸として機能する。
【0033】
操作部4は、ベース部25に固定される一対の支持部材26と、一対の支持部材26に第二の回動軸A2回りに回動自在に支持されている筒状の中空パイプ7と、中空パイプ7と一体に設けられているブラケット部13と、を有している。直動軸11は、幅方向Wに延在して、中空パイプ7の内周側に配置されている。中空パイプ7は、直動軸11の幅方向Wに沿う直動運動のガイドとして機能する。
ハンドル12は、ブラケット部13に第一の回動軸A1を中心に幅方向Wに揺動自在取り付けられている。ブラケット部13と中空パイプ7とは、一体に固定されている。ブラケット部13は、ハンドル12の軸線A2周りの回動運動を中空パイプ7に伝達する機能を有する。
また、ハンドル12の軸線A2周りの回動運動は、ブラケット部13及び中空パイプ7を介して直動軸11に伝達される。即ち、直動軸11は、中空パイプ7に対する軸線A2回りの回動運動が規制されている。
【0034】
変換機構6は、ハンドル12に設けられているピニオン歯車41と、直動軸11に形成されているラック部33とを備えている。変換機構6は、ハンドル12の第一の回動軸A1を中心とした回動運動を、直動軸11の幅方向Wの直動運動に変換する。直動軸11が幅方向Wに動くことによって、直動軸11に隣接するマスターシリンダー36が操作されて制動装置20が作動する。
【0035】
図5に示すように、ハンドル12を軸線A2を中心に前後方向に回動させることで、ブラケット部13を介して中空パイプ7及び直動軸11もハンドル12と同様に回動する。
図7に示すように、ハンドル12を軸線A1を中心に幅方向Wに回動させることで、変換機構6を介して直動軸11が幅方向Wに移動する。具体的には、ハンドル12を幅方向Wの一方に向かって回動させると、ラック・アンド・ピニオン機構により直動軸11は幅方向Wの他方に向かって移動する。
【0036】
中空パイプ7は、幅方向Wに延在する第二の回動軸A2と同軸状に配置された筒状の部材であり、ハンドル12の回動軸として機能する。中空パイプ7は、支持部材26に設けられた軸受31を介して支持部材26に回動自在に取り付けられている。中空パイプ7の中央部には、軸方向に延在する長孔32(
図4及び
図6参照)と、中空パイプ7の内部に配置される直動軸11のラック部33を露出させる開口部34を有している。中空パイプ7は、幅方向Wの動きが拘束されている。
【0037】
直動軸11は、中空パイプ7の内部に第二の回動軸A2に沿って摺動自在に配置されている。中空パイプ7の中央部には複数の歯によって構成されたラックであるラック部33が設けられている。具体的には、ラック部33は、幅方向Wに連続する複数の歯から構成されている。
中空パイプ7の両端部には、ブッシュ89が取り付けられている。ブッシュ89は、直動軸11の外周面と中空パイプ7の内周面との間に介在している。ブッシュは89、保持部材88によって保持されている。保持部材88は、ボルト90によって中空パイプ7に固定されている。
ブッシュ89は、直動軸11を軸線A2回りに回動自在に支持する軸受として機能する。
【0038】
中空パイプ7の中央部であってラック部33の反対の側には、一対のマーカーピン35(規制部材)が取り付けられている。マーカーピン35は、頭部35aとネジ部35bを有するボルトである。マーカーピン35の頭部35aは、中空パイプ7の長孔32の長手方向に直交する方向の幅Wdより若干小さな直径を有しており、直動軸11が中空パイプ7の内部を摺動する際に、長孔32に沿って動く。
【0039】
また、マーカーピン35は、直動軸11が中空パイプ7に対して相対的に軸線A2回りに回転(相対回転)することを規制する。即ち、中空パイプ7が軸線A2回りに回動すると、マーカーピン35を介して、直動軸11も軸線A2回りに回動する。これにより、ハンドル12の軸線A2まわりの回動運動にラック部33が追従して、ハンドル12に設けられているピニオン歯車41がラック部33と常に噛み合う。
さらに、マーカーピン35は、直動軸11の幅方向Wの移動範囲を制限する機能も有する。
図7に示すように、ハンドル12を傾けると、一方のマーカーピン35が長孔32の幅方向Wの一端に当接する。これにより、ハンドル12の移動範囲が制限される。
【0040】
ブラケット部13は、その主面が第一の回動軸A1と直交する一対のシャフト支持板43と、シャフト支持板43の幅方向の両端同士を接続するパイプ接続板45と、を有している。パイプ接続板45の主面は、第二の回動軸A2と直交する。
【0041】
パイプ接続板45には、中空パイプ7が挿通するパイプ挿通孔46が形成されている。中空パイプ7とパイプ接続板45とは、例えばボルト47等の締結部材によって固定されている。パイプ接続板45の一面には、支持部材26の軸受31に設けられているフランジ部31aが当接しており、これにより、ブラケット部13の軸線A2に沿う方向の移動が規制される。ブラケット部13と中空パイプ7とが固定されていることにより、中空パイプ7の軸線A2に沿う方向の移動も規制される。
シャフト支持板43には、ハンドル12に設けられているシャフト38が挿通する第一シャフト挿通孔44(
図5参照)が形成されている。シャフト38は、シャフト支持板43(ブラケット部13)には固定されておらず、第一シャフト挿通孔44の内周面を摺動自在である。
【0042】
ハンドル12は、棒状の軸部51と、軸部51の一方の端部に設けられた把持部52と、軸部51の他方の端部に設けられた一対のサポート部53(
図5参照)と、サポート部53に固定されているシャフト38と、シャフト38に固定されているピニオン歯車41と、を有している。
【0043】
ハンドル12は、シャフト38を介してブラケット部13に回動自在に接続されている。
把持部52は、棒状をなし、把持部52の延在方向は、軸部51と直交している。サポート部53は、軸部51の延在方向に沿って延在する板状の部材である。
図5に示すように、一対のサポート部53は、その主面が互いに平行をなしている。サポート部53の先端には、シャフト38が挿通される第二シャフト挿通孔54が形成されている。シャフト38とサポート部53とはキー39を介して一体に固定されている。
【0044】
ピニオン歯車41は、シャフト38(第一の回動軸A1)と同軸状となるように、シャフト38(ハンドル12)に固定されている。即ち、ハンドル12を第一の回動軸A1回りに回動させることにより、シャフト38を介してピニオン歯車41も回動する。ピニオン歯車41は、直動軸11のラック部33の歯と噛み合う位置に配置されている。即ち、ハンドル12を第一の回動軸A1回りに回動させると、ピニオン歯車41及びラック部33によって構成されるラック・アンド・ピニオン機構(変換機構6)により、直動軸11が幅方向W(第二の回動軸A2)に沿って移動する。
【0045】
図3に示すように、操作部4は、ハンドル12の回転角度θ(操作量、
図5参照)を検出するためのハンドル角度検出装置14を有している。ハンドル角度検出装置14は、第一プーリ機構56を介して伝達された中空パイプ7の回転角度θを検出する。第一プーリ機構56は、中空パイプ7に中空パイプ7と同軸状に取り付けられたプーリ57と、所定の方法でベース部25に取り付けられたプーリ58と、プーリ57、58に巻回されたベルト59から構成されている。ハンドル角度検出装置14の検出軸は、プーリ58と同軸状に接続されている。
【0046】
ハンドル角度検出装置14としては、ポテンショメータを採用することができる。ハンドル角度検出装置14と制御装置5とは、電気的に接続されており、ハンドル角度検出装置14によって検出されたハンドル12の回転角度θが、制御装置5に入力される。具体的には、ポテンショメータから出力される電圧(アナログ値)が、アナログ−デジタル変換回路(A/D変換回路)を介して回転角度θ(デジタル値)に変換され、制御装置5に入力される。
また、ハンドル角度検出装置14としては角位置センサであれば他の装置も採用が可能であり、例えば、ロータリーエンコーダを使用することもできる。ロータリーエンコーダを使用する場合は、A/D変換回路の代わりにパルスカウンターボードを用いる。
【0047】
ハンドル12は、第二の回動軸A2を中心に揺動自在であるが、例えば、ねじりコイルばねのような付勢部材60(第二の付勢部材)によって、常に台車本体2の後方側に(
図5では二点鎖線で示す位置となるように)付勢されている。
【0048】
同様に、ハンドル12は、第一の回動軸A1を中心に揺動自在であるが、
図8に示す復帰機構62によって、常に幅方向Wの中央に位置するように(
図8では二点鎖線で示す位置となるように)付勢されている。
復帰機構62は、ハンドル12のサポート部53に設けられた復帰ピン63と、ブラケット部13のシャフト支持板43に設けられた規制ピン64と、シャフト38に取り付けられたねじりコイルばね65(第一の付勢部材)と、から構成されている。ねじりコイルばね65は、第一直線部66と第二直線部67とを有しており、第一直線部66と第二直線部67とが近づくように付勢されている。
【0049】
ねじりコイルばね65は、第一直線部66と第二直線部67とで、復帰ピン63と規制ピン64とを挟み込むように配置されている。これにより、
図8において、実線で示すように、ハンドル12が軸線A1を中心に揺動した場合、復帰ピン63には、ねじりコイルばね65により、幅方向Wの中央部に向かう付勢力がかけられる。即ち、ハンドル12が常に幅方向Wの中央に位置するように付勢される。
【0050】
ここで、マスターシリンダー36の詳細構造を説明する。マスターシリンダー36は、筒形状のシリンダー部48と、シリンダー部48内を摺動可能なロッド部49と、ロッド部49の先端に取り付けられているパッド部50と、を有している。マスターシリンダー36は、シリンダー部48及びロッド部49の軸方向が第二の回動軸A2沿うように、かつ、一対のマスターシリンダー36のロッド部49の先端(パッド部50)が対向するように配置されている。
【0051】
直動軸11は、ハンドル12の動きをマスターシリンダー36に伝達する部材である。直動軸11は、ハンドル12が
図4に示すような幅方向Wの中央に位置している場合に、その両端が、マスターシリンダー36のパッド部50に当接するように配置されている。
【0052】
図9及び
図10に示すように、操作部4は、衝撃吸収機構70を有している。衝撃吸収機構70は、第二プーリ機構71と、伝達軸75と、一対のショックアブソーバー78、79と、を有している。
衝撃吸収機構70は、第二プーリ機構71を介して伝達されたハンドル12の操作範囲外の動きをショックアブソーバー78、79によって吸収する。第二プーリ機構71は、中空パイプ7に中空パイプ7と同軸状に取り付けられたプーリ72と、所定の方法でベース部25に取り付けられたプーリ73と、プーリ72、73に巻回されたベルト74から構成されている。伝達軸75は、プーリ73と同軸状に接続されている。
【0053】
伝達軸75は、径方向外周側に突出する第一突起76及び第二突起77を有している。第一突起76及び第二突起77は、中空パイプ7の回動と同期して回動する。
ショックアブソーバー78、79は、例えば、オイルが封入された外筒80と外筒内に摺動自在に取り付けられたピストンと、外筒外に突出するピストンロッド81を有する形式のものを採用することができる。ショックアブソーバー78、79は、外筒が所定の方法でベース部25に固定されている。
【0054】
第一突起76及び第一ショックアブソーバー78は、ハンドル12が
図9に示すように、傾けられていない状態において、第一突起76が第一ショックアブソーバー78のピストンロッド81に当接するように配置されている。
第二突起77及び第一ショックアブソーバー78は、ハンドル12が
図10に示すように、90°近くまで傾けられている状態において、第二突起77が第二ショックアブソーバー79のピストンロッド81に当接するように配置されている。
【0055】
図3に示すように、ハンドル12の把持部52にはタッチセンサ83が設けられている。タッチセンサ83は、タッチセンサ83に対する接触の有無、即ち、操作者が把持部52を把持しているか否かを判別する検出装置であり、例えば、電極と対象物との間に発生する静電容量を検出する静電式を採用することができる。タッチセンサ83は、制御装置5と電気的に接続されている。制御装置5は、タッチセンサ83がONになっている場合のみ、ハンドル12の操作に応じて電動モーター16の制御や制動装置20の制御を行う。
【0056】
一方、制御装置5は、タッチセンサ83がOFFになっている場合は、ハンドル12が傾いても、電動モーター16などの制御を行わない。
なお、タッチセンサは、操作者が把持部52を把持しているかを判別することができればよい。即ち、タッチセンサとして、静電式に限らず、抵抗膜式、赤外線式など、他の方式を採用してもよい。
【0057】
上述したハンドル12の構成によれば、ハンドル12の前後方向の位置(回転角度θ)に関わらず、ハンドル12を軸線A1を中心に幅方向Wに揺動させることによって、制動装置20を作動させることができる。即ち、
図7に示すように、ハンドル12の回動動作が、変換機構6を介して直動動作に変換されて直動軸11が幅方向Wに沿う方向に移動してマスターシリンダー36のロッド部49が縮む方向に操作され、これによりマスターシリンダー36と接続された制動装置20(
図2参照)が作動する。
【0058】
次に、本実施形態の差動装置19の構成について説明する。
図11に示すように、差動装置19は、対向する一対のサイドギヤ27と、一対のサイドギヤ27と噛み合うピニオンギヤ28とピニオンギヤ28を支持するケーシング29と、ケーシング29に一体的に設けられ、電動モーター16の駆動力によって回転する駆動歯車18と噛み合うリングギヤ30と、を有している差動歯車(ディファレンシャルギヤ)である。
一対の車軸15は、サイドギヤ27に取り付けられている。即ち、サイドギヤ27の回転に伴い、車軸15を介して車輪3が回転するように構成されている。
【0059】
次に、本実施形態の台車装置1の動作について説明する。
操作者は台車装置1を前進させる場合、台車装置1の前後方向及び幅方向Wに操作可能なハンドル12を進行方向T前方側に操作する。ハンドル12が操作されることにより、ハンドル角度検出装置14から制御装置5に回転角度θ(検出値)が入力される。制御装置5は、回転角度θに比例した速度で台車装置1が前進するように、電動モーター16を制御する。即ち、回転角度θに基づいて決定される目標速度に基づいて電動モーター16を制御する。
なお、制御装置5による電動モーター16の制御方法は上述した方法に限ることはない。例えば、低速時においては、ハンドル12の回転角度θに対する速度の変化率を小さくするなどして、より滑らかに動き出すように制御してもよい。即ち、ハンドル角度θに対する速度のマッピングは自由に設定が可能である。
【0060】
操作者は台車装置1を旋回させる場合、ハンドル12を進行方向T前方側に傾けつつ幅方向Wに回動させる。操作者が台車装置1を右方向に旋回させる場合、ハンドル12を右方向に傾ける。この軸線A1回りの傾き角をポテンショメータ等の角度検出装置を用いて検出して、制御装置5に電気的に送信してもよい。
ハンドル12を幅方向Wの右方向に回動運動させると、ハンドル12とともにピニオン歯車41が回動し、ピニオン歯車41に噛み合うラック部33を有する直動軸が直動運動する。これにより、直動軸11が幅方向Wの左側(第一の方向)に移動する。
【0061】
そして、直動軸11を介して進行方向Tに向かって左側のマスターシリンダー36が操作される。左側のマスターシリンダー36は右側のブレーキキャリパー23と接続されているため、右側の車輪3(一方の車輪)が制動される。このとき、電動モーター16の駆動力は、差動装置19を用いて左右の車輪3に分配されているため、左側の車輪3の速度が増加され、台車装置1は右方向に旋回する。
操作者が台車装置1を左方向に旋回させる場合、ハンドル12を左方向に傾ける。これにより、直動軸11が幅方向Wの右側(第一の方向とは反対の第二の方向)に移動する。そして、左側の車輪3(一方の車輪とは反対の車輪)が制動されて台車装置1は左方向に旋回する。
【0062】
また、ハンドル12が前後方向における操作範囲外、即ち、
図1、
図9に示すような初期位置よりも後方側や、
図10に示すような傾き位置よりも下方に動かされると、衝撃吸収機構70の突起76、77がショックアブソーバー78、79に当接する。ショックアブソーバー78、79は、操作者が意図せずハンドル12を操作範囲外まで動かした場合に、操作者の腕にかかる衝撃を緩和する。
【0063】
上記実施形態によれば、ハンドル12を左右方向に旋回操作することによって、台車装置1の左右旋回の操作が可能となるため、操作者はより直感的に台車装置1を操作することができる。
また、ハンドル12の回動運動が直動運動に変換されることによって、制動装置20への入力が確実に行われるため、操作者の負担を軽減することができる。
【0064】
また、一つの電動モーター16の駆動力を差動装置19を用いて左右の車輪3に分配し、左右の車輪3のいずれかを制動することで台車装置1を曲進させる構成であるため、より低コストで、安定的な前進後退、及び左右旋回を行うことができる台車装置1を提供することができる。
【0065】
また、台車装置1が電動モーター16の駆動力によって駆動されるため、操作者の負担を軽減することができる。また、目標速度がハンドル12の操作量によって決定されるため、操作者はより直感的に台車装置1の速度を調整することが可能になる。
また、直動軸11が中空パイプ7の内周側に配置されることによって、制動装置20を操作する直動軸11と電動モーター16の制御に用いられる中空パイプ7とをコンパクトに配置することができる。
【0066】
また、タッチセンサ83が無検出の状態では、制御装置5が、電動モーター16などの制御を行わないことによって、意図せずハンドル12が動かされた場合に、台車装置1が移動することを防止することができる。
【0067】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態の台車装置を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の台車装置の変換機構6Bは、ハンドル12と一体に設けられてハンドル12とともに第一の回動軸A1を中心に回動する回動ピン85と、直動軸11と一体に形成されて、回動ピン85が挿通される長孔87が形成されたプレート86と、を有している。
【0068】
長孔87は、幅方向Wと直交する方向に延在している。長孔87は、挿通された回動ピン85の幅方向Wの移動を規制すると共に、幅方向Wと直交する長孔87の延在方向の移動を許容する形状を有している。
【0069】
図13に示すように、ハンドル12を傾けると、回動ピン85の幅方向Wの移動に伴い、回動ピン85を長孔87を介して接続されたプレート86が幅方向Wに移動する。これにより、プレート86と一体とされた直動軸11が移動してマスターシリンダー36(制動装置20)が操作される。
なお、本実施形態の直動軸11は、ハンドル12の傾き方向と同方向に移動するため、進行方向T右側のマスターシリンダー36は、進行方向T右側のブレーキキャリパー23と接続され、進行方向T左側のマスターシリンダー36は、進行方向T左側のブレーキキャリパー23と接続されている。
【0070】
上記実施形態によれば、第一実施形態の構成と比較してより少ない構成要素で変換機構を実現することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0072】
例えば、上記実施形態においては、直動軸11を中空パイプ7の内周側に配置する構成としたが、これに限ることはない。例えば、ピニオン歯車によって直動運動する直動軸を第二の回動軸A2上に配置することなく、別のリニアガイドを用いて直動運動させる構成としてもよい。
このような構成とすることによって、部品製造を容易とすることができる。
【0073】
また、上記実施形態においては、駆動装置として電動モーター16を有する構成としたが、車輪3を駆動する駆動装置を備えることなく、手動で台車本体2を移動させるカートにも本実施形態のハンドル12の適用は可能である。即ち、台車本体2の前後方向の移動は手動で行ってもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、台車装置1の進行方向Tへの直進機能のみ記載したが、これに限ることはなく、台車装置1の後退機能も同様に実現することができる。
【0075】
また、上記実施形態の台車装置1は、前後方向の前方側のみにハンドル12を設ける構成であるが、前方側に加え、後方側にもハンドル12を設けてもよい。即ち、台車本体2の前後にハンドル12を設けて、いずれのハンドル12による操作も可能な台車装置1としてもよい。
このような構成の台車装置1において制動装置20として油圧ブレーキを用いる場合、前方側のハンドル12とブレーキキャリパー23とを接続する系統と後方側のハンドル12とブレーキキャリパー23とを接続する系統の二系統のホース24が必要となる。この二系統の制動装置20の切り替えには電磁バルブ(ソレノイドバルブ)などの駆動弁を用いることが好ましい。