(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490216
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】中空繊維血液処理装置用の弾性保護管
(51)【国際特許分類】
A61M 1/18 20060101AFI20190318BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20190318BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20190318BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20190318BHJP
D01F 6/14 20060101ALI20190318BHJP
D01F 6/70 20060101ALI20190318BHJP
D01F 6/46 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
A61M1/18 510
A61M1/18 525
B01D63/02
B01D63/00
B01D71/26
D01F6/14 A
D01F6/70 Z
D01F6/46 Z
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-525543(P2017-525543)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2018-502613(P2018-502613A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】IB2014065987
(87)【国際公開番号】WO2016075514
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】508230905
【氏名又は名称】ソリン・グループ・イタリア・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Sorin Group Italia S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ザニボーニ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】メノッツィ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ベナッティ,フランチェスコ
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−239885(JP,A)
【文献】
特開昭52−126681(JP,A)
【文献】
特開2000−093510(JP,A)
【文献】
特公昭44−005526(JP,B1)
【文献】
特開昭63−283709(JP,A)
【文献】
特開2004−216143(JP,A)
【文献】
特許第3574902(JP,B2)
【文献】
特開平08−168525(JP,A)
【文献】
特開昭59−147603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/18
B01D 63/00
B01D 63/02
B01D 71/26
D01F 6/14
D01F 6/46
D01F 6/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液入口と血液出口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記血液入口を通して血液を受け取るように構成されたシェルであって、表面と、前記シェルの外部に血液が流れることを可能にする、前記表面を貫通して延びる1つまたは複数の開口とを含むシェルと、
ガスがガス交換体中空繊維を通って流れるように、および、血液が前記ガス交換体中空繊維を横切って流れるように、前記シェルの周りに配置された前記ガス交換体中空繊維を含む繊維束と、
前記繊維束の周りに配置され、前記繊維束の一方または両方の端部の少なくとも一部の周囲に適合し、前記ハウジング内へ挿入される間、前記ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護するように構成された繊維布を含む弾性管であって、前記繊維布が血液から微小栓子をろ過することなく前記繊維布を横切って血液が流れることを可能にする150マイクロメートル〜800マイクロメートルの範囲の最良適合円に合う平均孔直径を前記繊維布が有する、弾性管と、
を備え、
前記繊維束上に配置される伸張状態の前記弾性管の直径(L1)に対する、伸張していない状態における前記弾性管の直径(L2)の比(L2/L1)が、0.5未満である、血液処理装置。
【請求項2】
前記繊維布が、350マイクロメートルの最良適合円に合う平均孔直径を有する、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項3】
前記繊維布が、200マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲の最良適合円に合う平均孔直径を有する、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項4】
前記繊維布が、200マイクロメートルより大きな最良適合円に合う平均孔直径を有する、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項5】
前記繊維布が、最良適合円の直径が120マイクロメートル未満である固体および気体の微小栓子をろ過することなく、前記繊維布を横切って血液が流れることを可能にする、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項6】
前記繊維布が、血栓と気泡とを含む固体および気体の微小栓子をろ過することなく、前記繊維布を横切って血液が流れることを可能にする、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項7】
前記繊維布は、20マイクロメートル〜120マイクロメートルの平均孔径であれば捕捉される固体および気体の微小栓子をろ過することなく、前記繊維布を横切って血液が流れることを可能にする、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項8】
前記弾性管が、弾性糸を含む、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項9】
前記弾性管が、弾性糸の編織物を含む、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項10】
前記弾性管が弾性糸を含み、前記弾性糸は、ナイロン糸で覆われたポリウレタン弾性繊維の内側心部を含む、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項11】
前記繊維布が、表面の接触角を小さくして湿潤性を改善する湿潤剤の被膜を含む、
請求項1に記載の血液処理装置。
【請求項12】
血液入口と血液出口とを含むハウジングと、
前記ハウジング内に配置された熱交換器であって、前記血液入口を通して血液を受け取り、前記血液の温度を調節するように構成された熱交換器と、
前記熱交換器の周りに配置されたシェルであって、表面と、前記シェルの外部に血液が流れることを可能にする、前記表面を貫通して延びる1つまたは複数の開口とを含むシェルと、
ガスがガス交換体中空繊維を通って流れるように、および、血液が前記ガス交換体中空繊維を横切って流れるように、前記シェルの周りに配置された前記ガス交換体中空繊維を含む繊維束と、
管内部と管外部とを含む弾性管であって、前記繊維束が前記管内部内に配置され、前記管外部が前記ハウジングに隣接して配置され、前記繊維束と前記弾性管とが前記ハウジング内に導入されて前記ハウジング内に維持されるときに、前記弾性管が前記ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護するように前記弾性管が前記繊維束の一方または両方の端部の少なくとも一部の周囲に適合するように構成されている、弾性管と、
を備え、
前記弾性管が、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、前記管内部から前記管外部まで血液が流れることを可能にする、150マイクロメートル〜800マイクロメートルの範囲の最良適合円に合う平均孔直径を有する、
血液処理装置。
【請求項13】
前記弾性管が、血流に対する液圧抵抗の低減をもたらす、350マイクロメートルの最良適合円に合う平均孔直径を有する、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項14】
前記弾性管が、血流に対する液圧抵抗の低減をもたらす、500マイクロメートル以下の最良適合円に合う平均孔直径を有する、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項15】
前記弾性管が、20マイクロメートル〜120マイクロメートルの平均孔径であれば捕捉される固体および気体の微小栓子をろ過することなく、前記管内部から前記管外部まで血液が流れることを可能にする、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項16】
前記弾性管が、血栓と気泡とを含む固体および気体の微小栓子をろ過することなく、前記管内部から前記管外部まで血液が流れることを可能にする、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項17】
前記繊維束上に配置される伸張状態の前記弾性管の直径が、L1により表され、伸張していない状態における前記弾性管の直径が、L2であり、L2/L1が、0.5未満である、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項18】
前記ガス交換体中空繊維が、耐血漿ポリメチルペンテン(PMP)中空繊維を含む、
請求項12に記載の血液処理装置。
【請求項19】
ガス交換体中空繊維を提供するステップと、
血液入口と血液出口とを有するハウジングを提供するステップと、
前記血液入口を通して血液を受け入れるように前記ハウジング内に配置され、表面と、前記シェルの外部に血液が流れることを可能にする、前記表面を貫通して延びる1つまたは複数の開口とを含むシェルを提供するステップと、
前記シェル上に前記ガス交換体中空繊維を巻き付けて、前記シェル上に繊維束を提供するステップと、
血液から微小栓子をろ過することなく繊維布を横切って血液が流れることを可能にする、150マイクロメートル〜800マイクロメートルの範囲の最良適合円に合う平均孔直径を有する前記繊維布を含む弾性管を提供するステップと、
前記弾性管が前記繊維束の一方または両方の端部の少なくとも一部の周囲に適合するように、前記弾性管内に前記繊維束と前記シェルとを導入するステップと、
前記繊維布が前記ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束し、前記ガス交換体中空繊維を前記ハウジングによる機械的損傷から保護するように、前記繊維束と前記シェルとを収容した前記弾性管を前記ハウジング内に導入するステップと、
を含む、血液処理装置を製造する方法。
【請求項20】
ガス交換体中空繊維を提供するステップと、シェル上に前記ガス交換体中空繊維を巻き付けるステップとが、
耐血漿ポリメチルペンテン(PMP)中空繊維を提供するステップと、
前記シェル上に前記耐血漿ポリメチルペンテン(PMP)中空繊維を巻き付けるステップと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
弾性管を提供するステップが、弾性糸を編んで前記弾性管を提供するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記弾性管を提供するステップが、円形機械を使用して弾性糸を編んで前記弾性管を提供するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、血液処理システムに関し、より詳細には、血液灌流システムにおいて使用される血液処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]血液灌流は、体の血管を通した血行を促進することを伴う。典型的には、血液灌流システムは、患者の脈管系と相互接続された体外の回路内の1つまたは複数のポンプを含む。心肺バイパス手術において、血液灌流システムは、心拍の一時的な停止に備えて、心臓と肺との機能を置換することにより動かない手術領域を作り出す。このような遮断は、血管狭窄、弁障害、および先天性心欠損を含む医療的な問題の手術による矯正を可能にする。心肺バイパス手術で使用される血液灌流システムは、心臓と肺との機能を置換するため、少なくとも1つのポンプと酸素供給装置とを含む体外血液回路を含む。
【0003】
[0003]心肺バイパス療法において、低酸素血液すなわち静脈血は、右心房に入る大静脈または体内の大腿静脈などの他の静脈から重力排出または真空吸引される。低酸素血液は、体外の回路における静脈ラインを通して搬送され、血液への酸素移動をもたらす酸素供給器にポンプ搬送される。微多孔膜を通した搬送により、または、あまり利用されないが、血液を通して酸素を泡立てることにより、酸素が血液中に導入され得る。同時に、膜を通して二酸化炭素が除去される。酸素を豊富に含んだ血液は、次に、動脈ラインを通して、大動脈、大腿動脈、または他の動脈に戻される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]執刀医および患者は、血液灌流システムにおいて使用される血液処理システムにおける進歩を歓迎する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本開示に記載のいくつかの実施形態において、血液処理装置は、ハウジングと、シェルと、繊維束と、弾性管とを含む。ハウジングは、血液入口と血液出口とを含み、シェルは、ハウジング内に配置され、血液入口を通して血液を受け取るように構成される。シェルは、表面と、シェルの外部に血液が流れることを可能にする、表面を貫通して延びる1つまたは複数の開口とを含む。繊維束は、ガスがガス交換体中空繊維を通って流れるように、および、血液がガス交換体中空繊維を横切って流れるように、シェルの周りに配置されたガス交換体中空繊維を含む。弾性管は、繊維束の周りに配置された、ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護するように構成された繊維布を含み、血液から微小栓子をろ過せずに繊維布を横切って血液が流れることを繊維布が可能にするような孔径を繊維布が有する。
【0006】
[0006]本開示に記載のいくつかの実施形態において、血液処理装置は、ハウジングと、熱交換器と、シェルと、繊維束と、弾性管とを含む。ハウジングは、血液入口と血液出口とを含み、熱交換器は、ハウジング内に配置され、血液入口を通して血液を受け取るように、および血液の温度を調節するように構成される。シェルは、熱交換器の周りに配置され、表面と、シェルの外部に血液が流れることを可能にする、表面を貫通して延びる1つまたは複数の開口とを含む。繊維束は、ガスがガス交換体中空繊維を通って流れるように、および、血液がガス交換体中空繊維を横切って流れるように、シェルの周りに配置されたガス交換体中空繊維を含む。弾性管は、繊維束が管内部内に配置され、管外部がハウジングに隣接して配置されるように、管内部と管外部とを含む。繊維束と弾性管とがハウジング内に導入され、ハウジング内に維持されるとき、弾性管は、ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護する。さらに、弾性管は、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、管内部から管外部に血液が流れることを可能にする200マイクロメートルより大きな最良適合円に合う平均孔直径(average pore size diameter)を有する。
【0007】
[0007]本開示に記載のいくつかの実施形態において、血液処理装置を製造する方法は、ガス交換体中空繊維を提供するステップと、シェル上にガス交換体中空繊維を巻き付けて、シェル上に繊維束を提供するステップと、血液から微小栓子をろ過することなく繊維布を横切って血液が流れることを可能にする繊維布を含む弾性管を提供するステップと、弾性管内に繊維束とシェルとを導入するステップと、繊維布が、ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束し、導入中、ハウジングによる機械的損傷からガス交換体中空繊維を保護するように、繊維束とシェルとを収容した弾性管をハウジング内に導入するステップと、を含む。
【0008】
[0008]本開示に記載のいくつかの実施形態において、血液処理装置において使用される弾性管を事前洗浄する方法は、溶剤を使用して弾性管を洗浄するステップと、精製水を使用して弾性管を洗浄するステップと、蒸気滅菌により弾性管を滅菌するステップとを含む。
【0009】
[0009]複数の実施形態が開示されるが、例示的な実施形態を示して説明する以下の詳細な説明から、異なる他の実施形態が当業者には明らかとなると考えられる。従って、図面と詳細な説明とは、必然的に例示的なものとみなされ、限定とはみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本開示に記載の実施形態による、血液処理装置の概略図である。
【
図2】[0011]本開示に記載の実施形態による、第1の血液入口端部キャップの図である。
【
図3】[0012]本開示に記載の実施形態による、第2の水入/出端部キャップの図である。
【
図4】[0013]本開示に記載の実施形態による、熱交換器心部の斜視図である。
【
図5A】[0014]本開示に記載の実施形態による、熱交換器とガス交換体との間における障壁を形成する円筒シェルの斜視図である。
【
図5B】[0015]本開示に記載の実施形態による、
図5Aに示す円筒シェルの断面図である。
【
図6】[0016]本開示に記載の実施形態による、
図5Aと
図5Bとに示す円筒シェル内に配置された
図4に示す熱交換器心部の斜視図である。
【
図7】[0017]本開示に記載の実施形態による、
図1に示す血液処理装置の断面図である。
【
図8】[0018]本開示に記載の実施形態による、
図1に示す血液処理装置の縦断面図である。
【
図9】[0019]本開示に記載の実施形態による、血液処理装置の繊維束上に配置される前の、伸張せず緩んだ状態にある弾性管の図である。
【
図10】[0020]本開示に記載の実施形態による、弾性管の一部分の顕微鏡拡大図である。
【
図11】[0021]本開示に記載の実施形態による、繊維束の周りに配置された弾性管の図である。
【
図12】[0022]本開示に記載の実施形態による、伸張せず緩んだ状態と、繊維束上に配置された伸張状態とにおける弾性管を示す、弾性管の断面図である。
【
図13】[0023]本開示に記載の実施形態による、繊維束の周りに配置されて、ハウジング内に導入された弾性管の図である。
【
図14】[0024]本開示に記載の実施形態による、血液処理装置を製造する方法を示す図である。
【
図15】[0025]本開示に記載の実施形態による、血液処理装置において使用される弾性管を事前洗浄する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0026]実施形態は、図面において例示的に示され、以下で詳細に説明される。目的は、説明される特定の実施形態に本開示を限定することではない。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲により規定されるとおり、本開示の範囲内に入るすべての変形例、均等物、および代替例を包含することが意図される。
【0012】
[0027]本開示は、いくつかの実施形態において、熱交換器とガス交換体とを含む血液処理装置について説明する。血液処理装置は、ポンプ、血液容器、および酸素供給器などの様々な構成要素をいくつか含む、心肺バイパス療法において使用されるものなどの体外血液回路において使用され得る。いくつかの実施形態において、酸素供給器という用語は、熱交換器とガス交換体とを単一装置に組み合わせた一体型の構造体を指す。いくつかの実施形態において、熱交換器とガス交換体とは、一方の構成要素が他方の構成要素内に配置された状態で、同心に配置される。いくつかの実施形態において、熱交換器とガス交換体とは、互いに動作可能に接続された構造的に区別される構造体である。
【0013】
[0028]本開示は、ガス交換体中空繊維の繊維束の周りに配置された弾性管を含むガス交換体を備える血液処理装置について説明する。弾性管は、繊維束の周りに配置されて、ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護する。
【0014】
[0029]いくつかの実施形態において、繊維束は、シェルの周囲に巻かれ、弾性管と繊維束とシェルとは、血液入口と血液出口とを含むハウジング内に配置される。シェルは、血液入口を通して血液を受け取り、表面と、シェルと繊維束との外部に血液が流れることを可能にする、表面を通って延びる少なくとも1つの開口とを含む。ガスがガス交換体中空繊維を通って流れ、血液がガス交換体中空繊維を横切って流れることにより、血液に酸素を供給し、血液から二酸化炭素を除去する。弾性管は、血液から微小栓子をろ過することなく、弾性管を横切って血液出口から外に血液が流れることを可能にする孔径を有する。いくつかの実施形態において、弾性管/繊維束/シェルの組立体は、単一ユニットとしてハウジング内に導入される。いくつかの実施形態において、血液処理装置は、ハウジング内に配置されて、血液を受け取るように、および血液の温度を調節するように構成された熱交換器を含む。
【0015】
[0030]
図1は、本開示に記載の実施形態による、血液処理装置または酸素供給器10の概略図である。この図において血液処理装置10の内部構成要素のいくつかは示されないが、血液処理装置10は、破線で示される弾性管8を含むガス交換体を備える。弾性管8は、血液に酸素を供給し、血液から二酸化炭素を除去するために使用されるガス交換体中空繊維を含む繊維束の周りに配置される。弾性管8は、繊維束の周りに配置されて、ガス交換体中空繊維を弾性的に拘束および保護する。さらに、弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、弾性管8を横切って血液が流れることを可能にする孔径を有する。
【0016】
[0031]血液処理装置10は、ハウジング12と、ハウジング12に固定された第1の端部キャップ14と、ハウジング12に固定された第2の端部キャップ16とを含む。弾性管8と繊維束とを含むガス交換体は、ハウジング12内に配置される。いくつかの実施形態において、血液処理装置10は、熱交換器を含む。いくつかの実施形態において、血液処理装置10が熱交換器を含み、熱交換器とガス交換体とが単一の構造体に一体化される。いくつかの実施形態において、ハウジング12は、他の装置へのハウジング12の装着を可能にする他の構造体を含む。
【0017】
[0032]ハウジング12は、概して円柱形として示されるが、いくつかの実施形態において、ハウジング12は、直方体形状、三角柱形状、または六角柱形状などの他の形状を有する。さらに、いくつかの実施形態において、ガス交換体は、ハウジング12と同じ形状またはハウジング12とは異なる形状を有し、いくつかの実施形態において、熱交換器は、ハウジング12と同じ形状またはハウジング12とは異なる形状を有する。いくつかの実施形態において、血液処理装置10が熱交換器とガス交換体とを含み、熱交換器がガス交換体の内部に配置される。いくつかの実施形態において、熱交換器とガス交換体とは、互いに同心に位置合わせされる。
【0018】
[0033]ハウジング12と第1の端部キャップ14と第2の端部キャップ16とは、それぞれ、ハウジング12内およびハウジング12外へのガスと流体との流れのための多くの入口と出口とを含む。血流のため、血液入口18は、ハウジング12内まで延び、血液出口20は、ハウジング12から出る。ガス流のため、ガス入口22は、ハウジング12内まで延び、ガス出口24は、ハウジング12から出ており、熱交換器を含む実施形態において、熱交換器流体のため、熱交換器流体入口26は、ハウジング12内まで延び、
図1に示す熱交換器流体入口26の背後にある熱交換器流体出口28がハウジング12から出る。いくつかの実施形態において、熱交換器流体入口26は、ハウジング12の一端に配置され、熱交換器流体出口28は、ハウジング12の反対側端部に配置され、いくつかの実施形態において、血液処理装置10は、血液から出るガス、例えば、気泡が放出または吸引されて、血液処理装置10から除去されることを可能にするように動作するパージポート30を含む。いくつかの実施形態において、パージポート30は、弁またはねじ山付きキャップを含む。
【0019】
[0034]入口18、22、および26と、出口20、24、および28と、パージポート30との位置は、他の構成および設定も意図されるので、例示にすぎない。
[0035]
図2と
図3とは、それぞれ、本開示に記載の実施形態による、第1の端部キャップ14と第2の端部キャップ16とを示す。第1の端部キャップ14と第2の端部キャップ16とは、各々、ハウジング12に固定されるように構成される。いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14および/または第2の端部キャップ16は、定位置に、接着により固定される。いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14および/または第2の端部キャップ16は、定位置にスナップ留めされるか、または、ハウジング12のそれらのそれぞれの端部にねじ込まれる。
【0020】
[0036]
図2は、本開示に記載の実施形態による、第1の端部キャップ14の図である。第1の端部キャップ14は、独立した、すなわち、ハウジング12に装着されない部分として示されるが、
図1に示す血液処理装置10における弾性管8の外周の位置が、参考のため破線で示される。
【0021】
[0037]いくつかの実施形態において、血液入口18および/またはガス入口22は、第1の端部キャップ14と一体的に形成される。例えば、いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14は、射出成形部分の一部として形成される血液入口18および/またはガス入口22と共に射出成形され得る。いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14は、血液入口18および/またはガス入口22が装着される開口を含むように形成され得る。
【0022】
[0038]第1の端部キャップ14は、第1の端部キャップ14の周辺部の周りに配置されて、いくつかの実施形態において、ハウジング12に第1の端部キャップ14を固定するための装着点として機能する環状リング32を含む。いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14は、熱交換器の構成部分を取り付ける環状リング34をさらに含む。
【0023】
[0039]
図3は、本開示に記載の実施形態による、第2の端部キャップ16の図である。第2の端部キャップ16は、独立した、すなわち、ハウジング12に装着されない部分として示されるが、
図1に示す血液処理装置10における弾性管8の外周の位置が、参考のため破線で示される。
【0024】
[0040]いくつかの実施形態において、熱交換器流体入口26および/または熱交換器流体出口28は、第2の端部キャップ16と一体的に形成される。例えば、いくつかの実施形態において、第2の端部キャップ16は、射出成形部分の一部として形成される熱交換器流体入口26および/または熱交換器流体出口28と共に射出成形され得る。さらに、いくつかの実施形態において、第2の端部キャップ16は、射出成形部分の一部として形成されるガス出口24と共に射出成形され得る。いくつかの実施形態において、第2の端部キャップ16は、1つまたは複数の熱交換器流体入口26、熱交換器流体出口28、および/またはガス出口24が装着される開口を含むように形成され得る。
【0025】
[0041]第2の端部キャップ16は、第2の端部キャップ16の周辺部の周りに配置され、いくつかの実施形態において、ハウジング12に第2の端部キャップ16を固定するための装着点として機能する環状リング36を含む。いくつかの実施形態において、第2の端部キャップ16は、熱交換器の構成部分を取り付ける環状リング38をさらに含む。
【0026】
[0042]いくつかの実施形態において、熱交換器流体入口26と熱交換器流体出口28との1つが、第1の端部キャップ14内に位置し、熱交換器流体入口26と熱交換器流体出口28との他方が、第2の端部キャップ16内に位置する。さらに、いくつかの実施形態において、熱交換器流体入口26と出口28とは、第1の端部キャップ14内に位置し得る。
【0027】
[0043]
図4は、本開示に記載の実施形態による、熱交換器心部40の斜視図である。熱交換器心部40は、第1の端部42と第2の端部44とを含む。いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、第1の端部42が第1の端部キャップ14付近にあり、第2の端部44が第2の端部キャップ16付近にあるように、血液処理装置10内に配置される。熱交換器心部40は、いくつかの実施形態において、第1の端部キャップ14に対して第1の端部42を位置決めしやすくする環状部46を含む。さらに、いくつかの実施形態において、第2の端部44は、第2の端部キャップ16に対して第2の端部44を位置決めしやすくなるように構成される。熱交換器心部40は、概して円柱形として示されるが、いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、直方体形状、三角柱形状、または六角柱形状などの他の形状を有する。
【0028】
[0044]熱交換器心部40は、血液入口18から流入する血液が当たる錐形偏向面48を含む。錐形偏向面48は、半径方向に血液を偏向させる。いくつかの実施形態において、錐形偏向面48は、特定の方向に血液を方向付けすることを補助する分割体50を含む。
【0029】
[0045]熱交換器心部40は、外面52を含む。心部開口54は、錐形偏向面48に当たる血液が心部開口54を通って半径方向外向きに偏向されるように、外面52内に形成される。いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、熱交換器心部40の周りで放射状に離間した1つ、2つ、3つ、またはそれを上回る心部開口54を含む。
【0030】
[0046]熱交換器心部40は、第1の半径方向に配置された心部リブ56と第2の半径方向に配置された心部リブ58とを含む。心部リブ(または、突起)56および58は、半径方向外向きに外面52から離れるように血液を偏向させ、血流の通り道に半径方向要素を提供する。熱交換器心部40は、熱交換器心部40の外まで続く長手方向の流路形成を促進するように機能する長手方向に延びるリブ60をさらに含む。いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、2つを上回る心部リブ56および58を含む。いくつかの実施形態において、リブ56および58は、熱交換器心部40の外面の周囲において、または実質的に周囲において円周方向に延びる。
【0031】
[0047]
図5Aは、本開示に記載の実施形態による、熱交換器心部40とガス交換体との間において少なくとも部分的な障壁を形成する円筒シェル62の斜視図である。
図5Bは、本開示に記載の実施形態による、
図5Aに示す円筒シェル62の断面図である。いくつかの実施形態において、
図4に示す熱交換器心部40は、円筒シェル62内に配置され、
図6に示されるように円筒シェル62と同軸に構成される。いくつかの実施形態において、円筒シェル62は、ハウジング12内に配置され、
図7に示されるようにハウジング12と同軸に構成される。シェル62は、概して円柱形として示されるが、いくつかの実施形態において、シェル12は、直方体形状、三角柱形状、または六角柱形状などの他の形状を有する。
【0032】
[0048]円筒シェル62は、第1の端部64と第2の端部66とを含む。いくつかの実施形態において、円筒シェル62は、第1の端部64が第1の端部キャップ14付近にあり、第2の端部66が第2の端部キャップ16付近にあるように、ハウジング12内に配置される。
【0033】
[0049]円筒シェル62は、外部または外面68をさらに含む。熱交換器心部40の外面52と円筒シェル62の内面72との間を流れる血液は、円筒シェル62からシェル開口70を通って外面68に流出し得るように、外面68内にシェル開口70が形成される。いくつかの実施形態において、円筒シェル62は、円筒シェル62の周りで放射状に離間した1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回るシェル開口70を含む。
【0034】
[0050]いくつかの実施形態において、円筒シェル62の内面72は、内面72から突出し、熱交換器心部40に向けて延びる1つまたは複数のシェルリブ80を含む。これらのシェルリブ80は、半径方向内向きに内面72から離れるように血液を偏向させる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシェルリブ80は、心部リブ56および58と組み合わせて、長手方向の血流に干渉し、熱交換器を通る血流に半径方向の、すなわち、熱交換器心部40の外面52と円筒シェル72の内面72との間における流れ成分をもたらす。いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、熱交換器心部40と円筒シェル62との間における長手方向の流路形成を促進する1つまたは複数の長手方向に延びるリブ75を含む。
【0035】
[0051]
図6は、本開示に記載の実施形態による、
図5に示す円筒シェル62内に配置された
図4に示す熱交換器心部40の斜視図である。心部開口54とシェル開口70とは、熱交換器心部40の外面52と円筒シェル62の内面72との間の容量部に入る血液が、円筒シェル62から流出する前に、実質的に血液処理装置10の全長にわたって流れることを強制されるように、血液処理装置10の反対側に配置される。
【0036】
[0052]
図7は、本開示に記載の実施形態による、
図1に示す血液処理装置10の断面図である。血液処理装置10は、
図5Aと
図5Bとに示す円筒シェル62内に配置された
図4に示す熱交換器心部40を含む。円筒シェル62は、ハウジング12内に配置される。さらに、熱交換器心部40は、円筒シェル62と同軸に位置合わせされ、円筒シェル62は、ハウジング12と同軸に位置合わせされる。
【0037】
[0053]血液処理装置10は、熱交換器心部40と円筒シェル62との間に配置された熱交換器要素74を含む。さらに、血液処理装置10は、円筒シェル62とハウジング12との間に配置されたガス交換体要素76を含む。弾性管8は、ガス交換体要素76の周りに配置される。
【0038】
[0054]いくつかの実施形態において、熱交換器要素74は、多くの中空繊維を含み、この中空繊維を通って水などの加熱流体が流れ得る。血液は、中空繊維の周囲で中空繊維を越えて流れ、血液の温度を調節する。いくつかの実施形態において、中空繊維は、ポリマーである。いくつかの実施形態において、中空繊維は、金属繊維である。いくつかの実施形態において、中空繊維は、ポリウレタン、ポリエステル、または他の適切なポリマーもしくはプラスチック材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、中空繊維は、0.2ミリメートルから1.0ミリメートルの間の外径を有し、いくつかの実施形態において、中空繊維は、0.25ミリメートルから0.5ミリメートルの間の外径を有する。
【0039】
[0055]熱交換器中空繊維は、例えば、幅80ミリメートルから200ミリメートルの範囲であり得るマットへと織られ得る。いくつかの実施形態において、マットは、十字交差形態で構成される。いくつかの実施形態において、マットは、互いに平行に構成され得る。他の実施形態において、熱交換器要素74は、血液との熱伝達を促進する、例えば、フィンといった、十分な表面積を有する金属蛇腹部または他の構造部を含み得る。
【0040】
[0056]ガス交換体要素76は、多くの微多孔中空繊維を含み、この微多孔中空繊維を通して、酸素などのガスが流れ得る。微多孔中空繊維は、円筒シェル62の外面68の上および周りに配置されて、円筒シェル62上に繊維束78を提供する。血液は、微多孔中空繊維の周囲において、微多孔中空繊維を越えて流れ、濃度勾配により、酸素が、中空繊維を通って血液中に拡散し、二酸化炭素が、血液から出て中空繊維内に拡散する。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、円筒シェル62の周囲に巻き付けられて、円筒シェル62の外面68上に繊維束78を提供する。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、円筒シェル62の周囲に巻き付けられた繊維マットへと織られ、円筒シェル62の外面68上に繊維束78を提供する。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、例えば、幅80ミリメートルから200ミリメートルの範囲であり得る繊維マットへと織られる。いくつかの実施形態において、繊維マットは、十字交差形態で織られる。
【0041】
[0057]いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、耐血漿漏出材料であるポリメチルペンテン(PMP)で作られる。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、他の耐血漿漏出材料で作られる。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、約0.38ミリメートルの外径を有する。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、0.2ミリメートルから1.0ミリメートルの間の外径を有し、いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、0.25ミリメートルから0.5ミリメートルの間の外径を有する。他の実施形態において、微多孔中空繊維は、ポリプロピレン、ポリエステル、または他の適切なポリマーまたはプラスチック材料で作られる。
【0042】
[0058]弾性管8は、ガス交換体要素76の周りに配置されて、繊維束78の微多孔中空繊維を弾性的に拘束および保護する。弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく弾性管8を横切って血液が流れることを可能にし、血流に対する液圧抵抗の低減をもたらすのに十分な大きさの孔径を有する。
【0043】
[0059]いくつかの実施形態において、血液処理装置10のハウジング12内への弾性管8と繊維束78と円筒シェル62とを含む組立体の挿入前に、弾性管8が繊維束78の周りに配置される。弾性管8は、繊維束78の微多孔中空繊維を弾性的に閉じ込めまたは拘束し、弾性管8は、組立体がハウジング12内に導入されるときに、繊維束78の微多孔中空繊維が損傷を受けないように保護する。これは、微多孔中空繊維を通した、その後の漏れを防止する。弾性管8は、血液処理装置10から取り外されないので、弾性管8は、血液処理装置10の保管および動作中、ハウジング12内に留まる。
【0044】
[0060]
図8は、本開示に記載の実施形態による、
図1に示す血液処理装置10の縦断面図である。熱交換器心部40は、熱交換器要素74が熱交換器心部40の周りで同軸に配置された状態で、中央に配置される。円筒シェル62は、熱交換器要素74の周りで同軸に配置される。ガス交換体要素76は、円筒シェル62の周りで同軸に配置されて、円筒シェル62の外面68の周りに繊維束78を提供する。弾性管8は、繊維束78の周りに配置され、ハウジング12は、弾性管8と他の構成要素との周りで同軸に配置される。いくつかの実施形態において、熱交換器心部40は、熱交換器要素74を横切る血流の通り道に半径方向要素を提供する心部リブ56および58を含む。いくつかの実施形態において、円筒シェル62は、熱交換器要素74を横切る血流の通り道に半径方向要素を提供するように構成された、半径方向に配置されたシェルリブ80を含む。
【0045】
[0061]動作時、血液は、血液入口18を通って血液処理装置10に入り、心部開口54を通って半径方向に方向付けられることにより、血液が、熱交換器要素74内の中空繊維の上および周囲を流れる。血流の少なくとも一部が、円筒シェル62の内面72に当たり、熱交換器心部40の外面52に向けて、半径方向に戻るように方向付けられ、心部リブ56および58により、血流の少なくとも一部が半径方向外向きに方向付けられる。血液は、シェル開口70に達するまで、半径方向に往復移動し続ける。血液は、シェル開口70を通り、円筒シェル62とハウジング12との間の空間内の繊維束78の微多孔中空繊維の上および周囲を流れる。血液は、さらに、弾性管8を通って流れ、弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、弾性管8を横切って血液が流れることを可能にするのに十分な大きさの孔径を有する。血液は、血液処理装置10から血液出口20を通って出る。
【0046】
[0062]
図9は、本開示に記載の実施形態による、血液処理装置10の繊維束78上に配置される前の、平坦化されて緩んだ状態における弾性管8の図である。
[0063]弾性管8は、弾性的に伸張して繊維束78の周りに配置される弾性糸により形成される。いくつかの実施形態において、弾性糸は、ナイロン糸で覆われたポリウレタン弾性繊維の内側心部を含む。いくつかの実施形態において、弾性糸は、ナイロン糸で覆われたスパンデックスまたはエラステインの内側心部を含む。いくつかの実施形態において、表面の接触角を小さくして、弾性管8の湿潤性を改善するため、弾性糸に対して被膜が付与される。
【0047】
[0064]弾性管8は、弾性糸を管または靴下の形状へと編むことにより製造される。いくつかの実施形態において、弾性管8は、靴下を製造する円形の機械と同様の円形の機械により編まれる。いくつかの実施形態において、弾性管8は、管または靴下の形状へと織られ得る。
【0048】
[0065]
図10は、本開示に記載の実施形態による、弾性管8の一部分の顕微鏡拡大図である。弾性管8は、孔84を含む繊維布82を含み、その孔84を通って血液が流れ得る。孔径と呼ばれる孔84の寸法は、弾性管8の孔84に円86などの最良適合円を重ねることにより測定される。最良適合円の直径Dが、孔径の測定値である。
【0049】
[0066]弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく繊維布を横切って血液が流れることと、孔84を通り弾性管8を横切る血流の液圧抵抗を低減させることとを可能にする孔径を提供するように作られる。血栓と気泡とを含む微小栓子は、最良適合円技術により測定されたとき、120マイクロメートル未満の直径を有する。弾性管8は、最良適合円の直径において120マイクロメートル未満の固体または気体の微小栓子の著しいろ過が起こらないように作られる。
【0050】
[0067]いくつかの実施形態において、孔84は、350マイクロメートルの最良適合円に合う平均孔直径を有する。いくつかの実施形態において、孔84は、200マイクロメートルから500マイクロメートルの範囲内の最良適合円に合う平均孔直径を有する。いくつかの実施形態において、孔84は、150マイクロメートルから800マイクロメートルの範囲内の最良適合円に合う平均孔直径を有する。いくつかの実施形態において、孔84は、200マイクロメートルより大きな最良適合円に合う平均孔直径を有する。
【0051】
[0068]
図11は、本開示に記載の実施形態による、繊維束78の周りに配置された弾性管8の図である。弾性管8は伸張して、円筒シェル62上の繊維束78の周囲に適合する。いくつかの実施形態において、弾性管8は、繊維束78の端部88と端部90との一方または両方の少なくとも一部の周囲に適合し、このことが、繊維束78上に弾性管8を固定するのに役立ち得る。
【0052】
[0069]
図12は、本開示に記載の実施形態による、92における伸張せず緩んだ状態にある弾性管8と、94における伸張状態にある(繊維束78上に配置された)弾性管8とを示す、弾性管8の断面図である。弾性管8は、半径方向Rに伸張して、繊維束78上に配置される。94に示す伸張状態において、弾性管8は、直径L1を有し、92に示す伸張せず緩んだ状態において、弾性管8は、直径L2を有する。いくつかの実施形態において、直径L2/L1の比は、0.5未満である。
【0053】
[0070]弾性管8は、管内部96と管外部98とを含む。94に示す伸張状態において、繊維束78上に配置され、血液処理装置10内に配置されたとき、繊維束78は、管内部96に隣接して配置され、ハウジング12は、管外部98に隣接して配置される。
【0054】
[0071]
図13は、本開示に記載の実施形態による、繊維束78の周りに配置されて、ハウジング12内に導入された弾性管8の図である。前述のように、弾性管8は、ガス交換体要素76の周りに配置されて、繊維束78の微多孔中空繊維を弾性的に拘束および保護する。さらに、弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、管内部96から管外部98まで弾性管8を横切って血液が流れることを可能にするのに十分な大きさの孔径を有する。弾性管8は、血液処理装置10から取り外されないので、弾性管8は、血液処理装置10の保管および動作中、ハウジング12内に留まる。いくつかの実施形態において、血液処理装置10のハウジング12内への、弾性管8と繊維束78と円筒シェル62とを含む組立体の挿入前、繊維束78の周りに弾性管8が配置される。
【0055】
[0072]
図14は、本開示に記載の実施形態による、血液処理装置10を製造する方法を示す図である。
[0073]100において、本方法は、ガス交換体微多孔中空繊維を提供するステップを含む。ガス交換体74は微多孔中空繊維を含み、血液に酸素を供給するため、および、血液から二酸化炭素を除去するため、微多孔中空繊維の周囲で微多孔中空繊維越えて血液が流れる。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、耐血漿漏出PMP中空繊維で作られる。他の実施形態において、微多孔中空繊維は、ポリプロピレン、ポリエステル、または他の適切なポリマーまたはプラスチック材料で作られる。
【0056】
[0074]102において、本方法は、円筒シェル62上に微多孔中空繊維を巻き付けて、繊維束78を提供するステップを含む。微多孔中空繊維は、円筒シェル62の外面の上および周りに配置されて、円筒シェル62上に繊維束78を提供する。いくつかの実施形態において、微多孔中空繊維は、円筒シェル62の周りに巻き付けられた繊維マットへと織られ、繊維束78を提供する。他の実施形態において、シェル62は、円筒ではなく、直方体形状、三角柱形状、または六角柱形状などの他の形状である。
【0057】
[0075]104において、本方法は、血液から微小栓子をろ過することなく、繊維布82を横切って血液が流れることを可能にする繊維布82を含む弾性管8を提供するステップを含む。いくつかの実施形態において、弾性管8を提供するステップは、弾性糸を編んで弾性管8を提供するステップを含む。いくつかの実施形態において、弾性管8を提供するステップは、円形の機械を使用して、弾性糸を編んで弾性管8を提供するステップを含む。
【0058】
[0076]106において、本方法は、弾性管8内に繊維束78と円筒シェル62とを導入するステップを含む。弾性管8は、繊維束78の微多孔中空繊維を弾性的に拘束および保護する。さらに、弾性管8は、血液から微小栓子をろ過することなく、および、血流に対する液圧抵抗を低減させながら、管内部92から管外部94に弾性管8を横切って血液が流れることを可能にするのに十分な大きさの孔径を有する。
【0059】
[0077]108において、本方法は、繊維布82がガス交換体中空繊維を弾性的に拘束するように、および、ハウジング12により損傷を受けないようにガス交換体中空繊維を保護するように、繊維束78と円筒シェル62とを収容した弾性管8をハウジング12内に導入するステップを含む。弾性管8は、血液処理装置10から取り外されないので、弾性管8は、血液処理装置10の保管および動作中、ハウジング12内に留まる。
【0060】
[0078]
図15は、本開示に記載の実施形態による、血液処理装置10の組立て前に、弾性管8を洗浄する方法を示す図である。本方法は、120において、溶剤を使用して弾性管8を洗浄するステップと、122において、精製水を使用して弾性管8を洗浄するステップと、124において、蒸気滅菌により弾性管8を滅菌するステップとを含む。次に、弾性管8は、血液処理装置10において使用され得る。
【0061】
[0079]本開示の範囲から逸脱することなく、説明される例示的な実施形態に様々な変形および追加が適用され得る。例えば、前述の実施形態は、特定の特徴を参照するが、本開示の範囲は、異なる組み合わせの特徴を含む実施形態と、説明される特徴のすべてを含むわけではない実施形態とをさらに含む。従って、本開示の範囲は、その均等物のすべてと共に、特許請求の範囲内に入るような、このような代替例、修正例、および変形例のすべてを包含することが意図される。