特許第6490280号(P6490280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000002
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000003
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000004
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000005
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000006
  • 特許6490280-胴受装置および鉄道車両 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6490280
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】胴受装置および鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61G 7/10 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   B61G7/10
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-89809(P2018-89809)
(22)【出願日】2018年5月8日
【審査請求日】2018年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛司
(72)【発明者】
【氏名】北口 純輝
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−298386(JP,A)
【文献】 特開平08−133080(JP,A)
【文献】 特開2012−081934(JP,A)
【文献】 特開平03−096472(JP,A)
【文献】 特開昭63−275476(JP,A)
【文献】 米国特許第06095350(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 7/00
B61G 7/10
B61G 7/12
B61G 7/02
B61G 7/04
B61G 7/06
B61G 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に鉄道車両の構体に取り付けられる連結器の胴部を支持すると共に前記構体に取り付けられる胴受装置であって、
枕木方向に延びて設けられると共に前記胴部を下方から支持する支持部材と、
前記支持部材に対して前記揺動軸側に配置される横梁と、
前記横梁と前記支持部材とを連結する胴受連結部と、
前記横梁を前記構体に対して上下動可能に弾性的に支持する弾性支持部とを備えることを特徴とする胴受装置。
【請求項2】
前記胴受連結部は、前記横梁に接合されて前記支持部材に連結される板状の第1部と、
前記第1部とレール方向に亘って一体化されて前記横梁に接合される板状の第2部とを備え、
前記第1部の板厚方向と前記第2部の板厚方向とが互いに異なることを特徴とする請求項1記載の胴受装置。
【請求項3】
前記支持部材は、円柱状に形成されて前記支持部材の軸心を中心として回転可能に前記胴受連結部に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の胴受装置。
【請求項4】
前記弾性支持部は、前記支持部材に対して前記揺動軸側に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の胴受装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の胴受装置を有する鉄道車両であって、
少なくとも前記鉄道車両のレール方向の端面を構成する構体と、
上下方向および枕木方向にそれぞれ前記揺動軸を中心に揺動可能に前記構体に取り付けられると共に、前記胴受装置の前記支持部材により前記胴部が下方から支持される連結器とを備え、
前記弾性支持部は、前記支持部材の枕木方向の両端よりも枕木方向の外側にそれぞれ配置され、
前記端面を構成する前記構体の一部は、前記弾性支持部および前記横梁の外形の枕木方向の最も外側の部分よりも内側であって前記支持部材を枕木方向へ延長した仮想領域に位置することを特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結器を構体に支持する胴受装置、及び、その胴受装置を有する鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両には、鉄道車両同士を連結する連結器が上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に構体に取り付けられ、連結器の上下の振動を吸収しつつ連結器の枕木方向の揺動を案内するための胴受装置が設けられている。その胴受装置には、例えば、互いに枕木方向に離隔して構体に吊り下げられた一対のばね箱に横梁の両端を架け渡し、連結器を下方から支持する支持部材を横梁の上部に設けるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、支持部材の枕木方向両側にそれぞればね箱が配置されていると共に、支持部材の直下に横梁が位置する。この場合には、揺動軸を中心に上下に振動する連結器から胴受装置に負荷される荷重を抑制するために、鉄道車両のレール方向の端面に支持部材を近づけると、その端面がレール方向に直交する平面に近づく等、レール方向の端面の形状の制約が増える。逆に、レール方向の端面の形状に合わせ、端面から支持部材を離して配置すると、連結器から胴受装置に負荷される荷重が大きくなり易く好ましくない。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、連結器から負荷される荷重を抑制しつつ、鉄道車両のレール方向の端面の形状の自由度を向上できる胴受装置および鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の胴受装置は、上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に鉄道車両の構体に取り付けられる連結器の胴部を支持すると共に前記構体に取り付けられるものであって、枕木方向に延びて設けられると共に前記胴部を下方から支持する支持部材と、前記支持部材に対して前記揺動軸側に配置される横梁と、前記横梁と前記支持部材とを連結する胴受連結部と、前記横梁を前記構体に対して上下動可能に弾性的に支持する弾性支持部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の胴受装置によれば、上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に構体に取り付けられる連結器の胴部が支持部材で下方から支持され、弾性支持部により構体に支持される横梁が支持部材に対して揺動軸側に配置される。これにより、支持部材の枕木方向両側や直下に横梁や弾性支持部を設けないようにできる。そのため、揺動軸を中心に上下に振動する連結器から胴受装置に負荷される荷重を抑制するために、鉄道車両のレール方向の端面に支持部材を近づけても(揺動軸から支持部材を遠ざけても)、鉄道車両のレール方向の端面を支持部材の枕木方向両側や直下に近づけることができる。即ち、横梁や弾性支持部による鉄道車両のレール方向の端面の形状の制約を少なくできる。よって、揺動軸を中心に上下に振動する連結器から支持部材に負荷される荷重を抑制しつつ、鉄道車両のレール方向の端面の形状の自由度を向上できる。
【0008】
請求項2記載の胴受装置によれば、胴受連結部の板状の第1部が横梁に接合されて支持部材に連結される。ここで、弾性支持部により横梁が構体に対して上下動すると、横梁からレール方向に離れた支持部材には横梁まわりの力のモーメントが生じる。そのため、横梁と支持部材とをレール方向に連結する第1部(胴受連結部)に上下方向の曲げ応力が発生する。横梁に接合される板状の第2部が第1部とレール方向に亘って一体化され、第1部の板厚方向と第2部の板厚方向とが互いに異なるので、胴受連結部を高剛性化しつつ横梁と胴受連結部との接合強度を確保できる。その結果、請求項1の効果に加え、支持部材に横梁まわりの力のモーメントが生じても、胴受連結部の耐久性を確保できる。
【0009】
請求項3記載の胴受装置によれば、支持部材は円柱状に形成され、支持部材の軸心を中心として回転可能に支持部材が胴受連結部に支持される。このような円柱状の支持部材では、例えば板状の支持部材に比べて上下寸法が大きくなる。さらに、円柱状の支持部材の直下に横梁を位置させる場合には、支持部材の回転を妨げないように支持部材と横梁との間に隙間を設定する必要がある。これらにより、連結器が接触する支持部材の上端から横梁の下端までの上下寸法が大きくなり、鉄道車両のレール方向の端面に支持部材を近づけると、その端面の形状の制約がより一層多くなる。しかし、支持部材に対して横梁が揺動軸側に配置されているので、円柱状の支持部材が胴受連結部に回転可能に支持されても、横梁や弾性支持部による鉄道車両のレール方向の端面の形状の制約を少なくできる。よって、請求項1又は2の効果に加え、支持部材の形状や構成に起因して鉄道車両のレール方向の端面の形状の自由度が低下することを抑制できる。
【0010】
請求項4記載の胴受装置によれば、支持部材に対して揺動軸側に弾性支持部が配置される。支持部材の枕木方向両側に弾性支持部がないので、鉄道車両のレール方向の端面に支持部材を近づけても、鉄道車両のレール方向の端面を支持部材の枕木方向両側に近づけることができる。即ち、弾性支持部による鉄道車両のレール方向の端面の形状の制約をより少なくできる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、揺動軸を中心に上下に振動する連結器から支持部材に負荷される荷重を抑制しつつ、鉄道車両のレール方向の端面の形状の自由度をより向上できる。
【0011】
請求項5記載の鉄道車両は、請求項1から4のいずれかに記載の胴受装置と、少なくとも鉄道車両のレール方向の端面を構成する構体と、胴受装置の支持部材により胴部が下方から支持される連結器とを備える。連結器は、上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に構体に取り付けられる。支持部材の枕木方向の両端よりも枕木方向の外側にそれぞれ弾性支持部が配置される。鉄道車両のレール方向の端面を構成する構体の一部が、弾性支持部および横梁の外形の枕木方向の最も外側の部分よりも内側であって支持部材を枕木方向へ延長した仮想領域に位置する。これにより、請求項1から4の効果に加え、鉄道車両のレール方向の端面に支持部材を近づけて連結器から支持部材に負荷される荷重を抑制しつつ、鉄道車両のレール方向の端面の形状を先細り形状に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施の形態における鉄道車両の断面図である。
図2】連結器および胴受装置の下方斜視図である。
図3】(a)は図1のIIIa−IIIa線における鉄道車両の断面図であり、(b)は従来の胴受装置を用いた鉄道車両の断面図である。
図4】(a)は図3(a)のIVa−IVa線における鉄道車両の断面図であり、(b)は図3(b)のIVb−IVb線における従来の胴受装置を用いた鉄道車両の断面図である。
図5】第2実施の形態における胴受装置の下方斜視図である。
図6】(a)は鉄道車両の断面図であり、(b)は図6(a)のVIb−VIb線における鉄道車両の断面図であり、(c)は第3実施の形態における鉄道車両の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して第1実施の形態における鉄道車両1について説明する。図1は、鉄道車両1の枕木方向と垂直な断面のうち連結器10付近を示した鉄道車両1の断面図である。図2は、連結器10及び胴受装置20の下方斜視図である。また、各図面における矢印U方向が鉄道車両1の上方向であり、同様に、矢印D方向が鉄道車両1の下方向、矢印L−L方向が鉄道車両1のレール方向(車体長さ方向)、矢印W−W方向が鉄道車両1の枕木方向(車体幅方向)である。
【0014】
図1に示すように、鉄道車両1の車体は、台枠2と、その台枠2のレール方向一端側に配置される先頭構体3と、台枠2のレール方向他端側に配置される妻構体(図示せず)と、台枠2の枕木方向両側にそれぞれ配置される側構体(図示せず)と、先頭構体3、妻構体および側構体の上部に架け渡される屋根構体(図示せず)とを備える。これらの台枠2、先頭構体3、妻構体、側構体、屋根構体により囲まれた部分が客室や運転室となる。
【0015】
先頭構体3は、アルミニウム合金などの金属製であり、台枠2の上部を覆うと共に台枠2の下方に一部が張り出す。なお、台枠2の下方に先頭構体3の一部を張り出さないように構成しても良い。先頭構体3は、鉄道車両1の外面を構成する外板4と、外板4の内側に固定される複数の骨格部5とを備える。複数の骨格部5は、互いに交差して略格子状に組まれている。なお、妻構体は、先頭構体と同様に、外板4の内側に骨格部5を固定して設けられている。
【0016】
先頭構体3の外板4の一部は、鉄道車両1のレール方向の端面7を構成している。端面7の下部には、外板4をレール方向に貫通した開口部8が設けられている。この開口部8からは、鉄道車両1同士をレール方向に連結する連結器10が突出する。
【0017】
図1及び図2に示すように、連結器10は、主に鉄鋼などの金属材料から構成される。連結器10は、台枠2に対してレール方向に移動可能な移動部11と、移動部11から端面7へ向かってレール方向へ延びる胴部12と、胴部12の先端に設けられる連結部13とを備える。
【0018】
移動部11は、台枠2の下部に設けられる筒状の案内部2a内をレール方向に移動する部位である。連結器10の使用時には、移動部11を案内部2a内の最も端面7側まで移動させ、開口部8を通して端面7から連結器10を突出させる。この状態を連結器10の使用状態とし、本明細書では、特に指定がない限り使用状態の連結器10について説明する。
【0019】
なお、連結器10を使用しないときには、移動部11を案内部2a内の最も端面7から離れた側まで移動させることで、連結器10が車体内部に収納される。連結器10の収納状態では、開口部8がカバー9で塞がれる。なお、連結器10が使用状態にあるときは、このカバー9が外されている。
【0020】
胴部12は、下面が滑らかな平面状に形成されている。胴部12は、移動部11に対して第1揺動軸14を中心に枕木方向に揺動可能に取り付けられると共に、移動部11に対して第2揺動軸15を中心に上下方向(車両高さ方向)に揺動可能に取り付けられる。即ち、胴部12は、枕木方向および上下方向に第1揺動軸14及び第2揺動軸15を中心に揺動可能に台枠2に取り付けられる。
【0021】
第1揺動軸14及び第2揺動軸15は、本実施の形態では端面7側から第2揺動軸15、第1揺動軸14の順に配置されている。なお、端面7側から第1揺動軸14、第2揺動軸15の順に配置しても良い。
【0022】
連結部13は、他の鉄道車両1の連結器10の連結部13に連結される部位である。レール方向に並ぶ2つの鉄道車両1の連結器10の連結部13同士を連結したとき、第1揺動軸14や第2揺動軸15によって2つの鉄道車両1がその連結部分で屈曲することで、カーブや傾斜の始まり等をスムーズに走行できる。2つの鉄道車両1の連結を解除したとき、第2揺動軸15を中心に胴部12及び連結部13が下方へ回転しないよう、胴受装置20で胴部12が下方から支持されている。
【0023】
胴受装置20は、連結器10の上下の振動を吸収しつつ連結器10の枕木方向の揺動を案内するものである。胴受装置20は、主に鉄鋼などの金属材料から構成される。胴受装置20は、胴部12を下方から支持する支持部材21と、支持部材21に対して第2揺動軸15側に配置される横梁22と、横梁22と支持部材21とをレール方向に連結する胴受連結部23と、横梁22を台枠2に吊り下げ支持する弾性支持部24とを備える。
【0024】
支持部材21は、枕木方向に軸心が配置される円柱状の部材である。支持部材21の長さ(枕木方向寸法)は、使用状態の連結器10の胴部12を第1揺動軸14を中心に枕木方向へ最大まで揺動させたときでも、胴部12を支持部材21で下方から支持できるように設定されている。胴部12の枕木方向の揺動によって、支持部材21の外周面上を胴部12が摺動する。
【0025】
横梁22は、枕木方向に延びて設けられる部材である。横梁22は、2つのフランジ22a,22bの上端をウェブ22cで繋いだ溝形鋼からなる第1板材22eと、フランジ22a,22bの下端に側縁が溶接される第2板材22dとを備える。フランジ22aが端面7側の部位であって、フランジ22bが第2揺動軸15側の部位である。なお、第2板材22dを省略して第1板材22eのみで横梁22を構成しても良い。
【0026】
第1板材22e及び第2板材22dの長さ(枕木方向寸法)は、支持部材21の長さよりも大きく設定される。第2板材22dの長さよりも第1板材22eの長さが大きく設定される。
【0027】
第1板材22eのフランジ22a,22bの枕木方向中央に第2板材22dが溶接されている。これにより、横梁22の枕木方向の中央部分が筒状に構成されて横梁22を高剛性化できる。また、第2板材22dが溶接されていない第1板材22eの枕木方向両端部には、ウェブ22cを上下に貫通する貫通孔(図示せず)が設けられる。なお、フランジ22a,22bに第2板材22dを溶接する場合に限らず、フランジ22a,22bに第2板材22dをボルト等で機械接合しても良く、形材として第1板材22eと第2板材22dとを一体成形しても良い。
【0028】
胴受連結部23は、支持部材21の両端をそれぞれ支持する一対の部材である。一対の胴受連結部23は、支持部材21の軸心を中心として回転可能に支持部材21を支持する。これにより、案内部2a内で移動部11を移動させて連結器10をレール方向に移動させるとき、支持部材21を回転させて胴部12をスライドさせることができる。
【0029】
一対の胴受連結部23は、横梁22に接合されて支持部材21に連結される板状の第1部23aと、第1部23aとレール方向に亘って一体化される板状の第2部23bとを備える。なお、本実施の形態では、板材を曲げ加工して第1部23aと第2部23bとを一体に構成しているが、別々の板材から構成される第1部23aと第2部23bとを溶接などで接合して一体化しても良い。
【0030】
第1部23aの板厚方向と第2部23bの板厚方向とは、互いに直交する。第2部23bは、第1部23aから相対する胴受連結部23へ向かって形成されている。第1部23aは、第2部23bよりもレール方向寸法が長い。
【0031】
第1部23aの端面7側の下縁に第2部23bが連なり、その第1部23aの端面7側で支持部材21が支持される。第1部23aの端面7側がフランジ22aに垂直に溶接されると共に、第1部23aの第2揺動軸15側がウェブ22cの上面に垂直に溶接される。第2部23bもフランジ22aに垂直に溶接される。
【0032】
第1部23a及び第2部23bは、第2板材22dの枕木方向の両端よりも内側でフランジ22a又はウェブ22cに溶接されている。なお、第1部23a及び第2部23bをフランジ22a又はウェブ22cに溶接する場合に限らず、第1部23a及び第2部23bをフランジ22a又はウェブ22cにボルトやリベットなどで接合しても良い。
【0033】
このように、レール方向に亘って一体化される板状の第1部23a及び第2部23bがそれぞれ横梁22の第1板材22eに接合され、第1部23a及び第2部23bの板厚方向が互いに異なる。これにより、第1部23aと第2部23bとで曲げ変形し難い方向が異なると共に、第1部23aや第2部23bと第1板材22eとの接合部で曲げ変形し難くできる。その結果、胴受連結部23を高剛性化できると共に、胴受連結部23と第1板材22eとの接合強度を確保できる。ここで、第2部23bを設けずに第1部23aを厚く形成した胴受連結部を第1板材22eに接合しても、胴受連結部を高剛性化しつつ胴受連結部と第1板材22eとの接合強度を確保できる。
【0034】
しかし本実施の形態では、第1部23aの板厚を薄くできるため、胴受連結部23を軽量化できる。さらに、第1部23aを薄くできるので、支持部材21の枕木方向両側における第1部23aのスペースを小さくできる。また、支持部材21が配置される部分の枕木方向のスペースが決まっている場合、第1部23aの厚さによって支持部材21が短くならないようにできる。
【0035】
第1部23aの下縁に第2部23bが連なっているので、第1部23aの上縁から下方へ向かって枕木方向視U字状の溝を形成し、その溝へ上方から支持部材21を嵌めた後、その溝を板材で塞ぐことで、支持部材21を第1部23aに支持させることができる。これにより、第1部23a及び第2部23bを横梁22に接合した状態で第1部23aに支持部材21を支持させることができるので、胴受装置20の組み立てを容易にできる。
【0036】
弾性支持部24は、台枠2にボルト(図示せず)や溶接などによって固定される四角筒状(箱状)のシリンダ24aと、シリンダ24aの下部から突出するロッド24bと、シリンダ24a内に設けられてシリンダ24aに対してロッド24bを上方へ付勢するばね(図示せず)とを備える。弾性支持部24は、ロッド24bが受ける荷重とばねの弾性力とによってシリンダ24aからのロッド24bの突出量が変化し、上下に弾性的に伸縮する。
【0037】
シリンダ24aの下部から突出したロッド24bを横梁22のウェブ22cの貫通孔に挿入し、ロッド24bの外周面に設けられたねじ山にナット24cを嵌めることで、ロッド24bに横梁22が固定される。弾性支持部24は、支持部材21より枕木方向の外側であって横梁22の枕木方向の両端にそれぞれ取り付けられる。
【0038】
2つの弾性支持部24のロッド24bに横梁22を固定することで、支持部材21や横梁22が台枠2に対して上下動可能に弾性的に支持される。これにより、鉄道車両1の走行中など、連結器10が第2揺動軸15を中心に上下に振動したとき、支持部材21を介して弾性支持部24により連結器10の振動を吸収できる。
【0039】
なお、第2揺動軸15を中心に上下に振動する連結器10から支持部材21に負荷される荷重は、第2揺動軸15まわりの力のモーメントの関係から、支持部材21が第2揺動軸15から遠いほど小さくなる。そのため、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制するために、鉄道車両1の端面7に支持部材21を近づけることが好ましい。連結器10から支持部材21(胴受装置20)に負荷される荷重を抑制することで、胴受装置20の各部の耐荷重を小さくする等して胴受装置20の設計の自由度を向上させることができると共に、胴受装置20の耐久性を向上できる。
【0040】
また、高剛性の横梁22の枕木方向の両端にそれぞれ弾性支持部24が取り付けられているので、2つの弾性支持部24の伸縮を同期させることができる。これにより、台枠2に対する横梁22や支持部材21の平行を保った状態で、横梁22や支持部材21を上下動させることができる。そのため、支持部材21と胴受連結部23との間や、横梁22と胴受連結部23との間にせん断応力などが生じ難くできるので、胴受装置20の耐久性を確保できる。
【0041】
次に図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)を参照して胴受装置20が奏する効果などについて説明する。図3(a)は図1のIIIa−IIIa線における鉄道車両1の断面図である。図3(b)は従来の胴受装置31を用いた鉄道車両30の断面図である。図4(a)は図3(a)のIVa−IVa線における鉄道車両1の断面図である。図4(b)は図3(b)のIVb−IVb線における従来の胴受装置31を用いた鉄道車両30の断面図である。図3(b)には、支持部材21を基準として、図3(a)における先頭構体3の断面部分が二点鎖線で図示されている。図4(b)には、支持部材21を基準として、図4(a)における先頭構体3の外板4の断面部分が二点鎖線で図示されている。なお、鉄道車両30において、本実施の形態における鉄道車両1と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0042】
図3(b)及び図4(b)に示すように、従来の胴受装置31は、胴部12を下方から支持する支持部材21と、支持部材21の直下に配置される横梁32と、横梁32と支持部材21とを上下方向に連結する胴受連結部33と、横梁32を台枠2に吊り下げ支持する弾性支持部24とを備える。
【0043】
横梁32は、枕木方向に延びて設けられる部材である。横梁32は、本実施の形態における横梁22の第1板材22eと同一である。即ち、横梁32は、第2板材22dが溶接されていない第1板材22eである。
【0044】
胴受連結部33は、支持部材21の両端をそれぞれ支持する一対の部材である。一対の胴受連結部33は、支持部材21の軸心を中心として回転可能に支持部材21を支持する。一対の胴受連結部33は、横梁32の枕木方向の中央に支持部材21が位置するように、横梁32の上面に溶接される。
【0045】
このように、従来の胴受装置31を有する鉄道車両30では、支持部材21の枕木方向両側に弾性支持部24が位置し、支持部材21の直下に横梁32が位置する。そのため、支持部材21の枕木方向両側に先頭構体34の一部を近づけたり、支持部材21の直下に先頭構体34の一部を近づけることができない。これにより、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制するために、先頭構体34の一部によって構成される鉄道車両30のレール方向の端面35に支持部材21を近づけるとき、レール方向に直交する平面に近づくように端面35の形状を設定する必要が生じる。即ち、従来の胴受装置31では、端面35の形状の制約が多い。
【0046】
図3(a)及び図4(a)に示すように、本実施の形態における胴受装置20は、2つの弾性支持部24により台枠2に吊り下げ支持される横梁22が支持部材21に対して端面7から離れた側(第2揺動軸15側(図1参照))に配置される。そのため、支持部材21の枕木方向両側に弾性支持部24を設けないようにできると共に、支持部材21の直下に横梁22を設けないようにできる。
【0047】
例えば、端面7の枕木方向断面(図3(a))において、端面7に支持部材21を近づけつつ、支持部材21の枕木方向両側に先頭構体3(端面7)を近づけると、レール方向に対する端面7の傾斜を緩やかにできる(端面7の形状を先細り形状に近づけることができる)。一方、図3(b)に示すように、支持部材21を基準として、本実施の形態における先頭構体3を従来の胴受装置31に配置しようとすると、弾性支持部24が先頭構体3に干渉するため先頭構体3を配置できない。
【0048】
また、図4(a)に示すように、端面7の上下方向断面において、端面7に支持部材21を近づけつつ、支持部材21の直下に先頭構体3(端面7)を近づけると、レール方向に対する端面7の傾斜を緩やかにできる。一方、図4(b)に示すように、支持部材21を基準として、本実施の形態における先頭構体3を従来の胴受装置31に配置しようとすると、横梁32が先頭構体3に干渉するため先頭構体3を配置できない。
【0049】
以上のように、従来の胴受装置31では、端面35から支持部材21を離すか、支持部材21の位置に合わせて端面35の形状を設定する必要がある。端面35から支持部材21を離して配置しようとすると、端面35の形状の制約を少なくできるが、連結器10から支持部材21に負荷される荷重が大きくなる。支持部材21に負荷される荷重が大きいと、その荷重に胴受装置31が耐えられなくなり、端面35から支持部材21を離して配置できないことがある。また、端面35から支持部材21を離して配置するために、胴受装置31の耐荷重を大きくするには、胴受装置31の設計の自由度が低下する。
【0050】
一方で、本実施の形態では、連結器10の胴部12を支持する支持部材21を横梁22や弾性支持部24の端面7側に(支持部材21に対して横梁22や弾性支持部24を第2揺動軸15側に)配置することで、支持部材21の枕木方向両側や直下に横梁22や弾性支持部24を設けないようにできる。その結果、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制するために端面7に支持部材21を近づけても、横梁22や弾性支持部24による端面7の形状の制約を少なくできる。よって、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状の自由度を向上できる。
【0051】
さらに本実施の形態では、端面7の形状の制約を少なくしつつ、端面7に支持部材21を近づけることができるので、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を小さくできる。その結果、胴受装置20の耐久性を確保できると共に、胴受装置20の耐荷重を大きくすることに起因した胴受装置20の設計の自由度の低下を防止できる。
【0052】
特に、図3(a)に示すように、横梁22及び弾性支持部24の外形の枕木方向の最も外側の部分よりも内側であって支持部材21を枕木方向へ延長した仮想領域Aに、端面7を構成する先頭構体3の一部を位置させることができる。これにより、端面7に支持部材21を近づけて連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状を先細り形状に近づけることができる。
【0053】
さらに、横梁22や弾性支持部24の端面7側に支持部材21が位置するので、支持部材21を端面7に近づけても、端面7と横梁22や弾性支持部24との距離を確保できる。これにより、仮想領域Aに先頭構体3の骨格部5が位置するように、開口部8付近に骨格部5を配置できる。その結果、開口部8付近の先頭構体3の剛性を高くできる。また、端面7と横梁22や弾性支持部24との距離を確保できるので、骨格部5の位置を比較的自由に設定でき、設計の自由度を向上できる。
【0054】
また、図4(b)に示すように従来の胴受装置31では、支持部材21が円柱状であるため、例えば板状の支持部材に比べて上下寸法が大きくなる。さらに、支持部材21の直下に横梁32が位置する場合には、支持部材21の回転が妨げられないように支持部材21と横梁32との間に隙間を設定する必要がある。これらにより、支持部材21の上端から横梁32の下端までの上下寸法が大きくなるので、支持部材21の直下に端面35をより近づけ難くなり、端面35の形状の制約がより一層多くなる。
【0055】
これに対して本実施の形態では、図4(a)に示すように、支持部材21を横梁22や弾性支持部24の端面7側に配置されているので、円柱状の支持部材21が胴受連結部23に回転可能に支持されても、横梁22や弾性支持部24による端面7の形状の制約を少なくできる。よって、支持部材21の形状や構成に起因して端面7の形状の自由度が低下することを抑制できる。
【0056】
なお、連結器10が突出する開口部8が、連結器10の収納時にカバー9で塞がれる鉄道車両1は、レール方向に連結された複数の鉄道車両1の先頭車両となるので、そのデザインや空気抵抗の観点から、カバー9を含む端面7の形状が重要となる。言い換えると、先頭車両(先頭構体3)の端面7の形状の自由度を向上させることで、デザイン性に富んだ先頭車両を設計できると共に、先頭車両の空気抵抗を低減させることができる。
【0057】
本実施の形態における胴受装置20では、弾性支持部24により横梁22が台枠2に対して上下動すると、横梁22からレール方向に離れた支持部材21に横梁22まわりの力のモーメントが生じる。即ち、横梁22と支持部材21とをレール方向に連結する胴受連結部23に上下方向の曲げ応力が発生する。
【0058】
しかし、上述したように、板状の第1部23a及び第2部23bがそれぞれ第1板材22eに接合され、第1部23a及び第2部23bの板厚方向が互いに異なるので、胴受連結部23を高剛性化しつつ胴受連結部23と第1板材22eとの溶接強度を確保できる。そのため、支持部材21に横梁22まわりの力のモーメントが生じても、胴受連結部23の耐久性を確保できる。よって、連結器10から支持部材21に負荷される荷重の抑制と、端面7の形状の自由度の向上とを両立するために、支持部材21を横梁22や弾性支持部24の端面7側に配置することによって生じる問題点を、胴受連結部23の形状によって解決できる。
【0059】
特に、胴受連結部23を高剛性化しつつ胴受連結部23と第1板材22eとの溶接強度を確保するために、第1部23aを厚くする必要がないので、支持部材21の枕木方向両側における第1部23aのスペースを小さくできる。これにより、支持部材21の枕木方向両側に先頭構体3(端面7)をより近づけることができるので、連結器10から支持部材21に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状の自由度をより向上できる。
【0060】
さらに、胴受連結部23が連結される位置の横梁22は、溝形鋼からなる第1板材22eのフランジ22a,22bの下端に第2板材22dの側縁が溶接されて筒状に形成されているので、横梁22の断面2次モーメントを大きくできる。よって、支持部材21に横梁22まわりの力のモーメントが生じても、横梁22の耐久性を確保できる。また、横梁22の枕木方向両端には第2板材22dが設けられていないため、第1板材22eのウェブ22cに弾性支持部24を取り付け易くできる。
【0061】
次に図5図6(a)及び図6(b)を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、円柱状の支持部材21が一対の胴受連結部23に回転可能に支持される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、板状の支持部材42が胴受連結部44及び横梁43と一体に構成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図5は第2実施の形態における連結器10及び胴受装置41の下方斜視図である。図6(a)は胴受装置41を有する鉄道車両40の断面図である。図6(b)は図6(a)のVIb−VIb線における鉄道車両40の断面図である。
【0062】
図5及び図6(b)に示すように、胴受装置41は、主に鉄鋼などの金属材料から構成される。胴受装置41は、連結器10の胴部12を下方から支持する支持部材42と、支持部材42に対して第2揺動軸15側に配置される横梁43と、横梁43と支持部材42とをレール方向に連結する胴受連結部44と、横梁43を台枠2に吊り下げ支持する弾性支持部24とを備える。
【0063】
支持部材42、横梁43及び胴受連結部44は、枕木方向に延びて設けられる厚板状の部材であり、各部が一体に構成されている。支持部材42及び胴受連結部44の長さ(枕木方向寸法)は、互いに等しく、横梁43の長さよりも小さい。支持部材42及び胴受連結部44は、横梁43の枕木方向の中央部分からレール方向に突出して形成されている。
【0064】
横梁43の枕木方向両端部には、横梁43を上下に貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔に弾性支持部24のロッド24bを挿入し、ロッド24bにナット24cを嵌めることで、弾性支持部24に横梁43が固定される。
【0065】
図5図6(a)及び図6(b)に示すように、第1実施の形態と同様に第2実施の形態でも、胴部12を支持する支持部材42が横梁43や弾性支持部24の端面7側に配置されるので、支持部材42の枕木方向両側や直下に横梁43や弾性支持部24を設けないようにできる。その結果、連結器10から支持部材42に負荷される荷重を抑制するために端面7に支持部材42を近づけても、横梁43や弾性支持部24による端面7の形状の制約を少なくできる。よって、連結器10から支持部材42に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状の自由度を向上できる。
【0066】
特に、横梁43及び弾性支持部24の外形の枕木方向の最も外側の部分よりも内側であって支持部材42を枕木方向へ延長した仮想領域Aに、鉄道車両40のレール方向の端面7を構成する先頭構体3の一部が位置する。これにより、端面7に支持部材42を近づけて連結器10から支持部材42に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状を先細り形状に近づけることができる。
【0067】
また、支持部材42が板状なので、支持部材42の上下寸法を小さくし易い。支持部材42の上下寸法を小さくすることで、端面7を胴部12に近づけることができるので、端面7の形状の自由度をさらに向上できる。
【0068】
なお、横梁43や弾性支持部24の端面7側に支持部材42が配置されるので、弾性支持部24による横梁43の上下動によって支持部材42に横梁43まわりの力のモーメントが生じる。支持部材42が横梁43及び胴受連結部44と一体に厚板から構成されているので、支持部材42に生じる横梁43まわりの力のモーメントに起因して支持部材42や横梁43、胴受連結部44を変形し難くできる。よって、胴受装置41の耐久性を向上できる。
【0069】
また、支持部材42、横梁43及び胴受連結部44が互いに溶接などで接合されたり、支持部材42が胴受連結部44に回転可能に支持されている場合には、その接合部分や支持部分が支持部材42に生じる横梁43まわりの力のモーメントによって比較的破壊され易い。しかし、第2実施の形態では、支持部材42、横梁43及び胴受連結部44が一体に構成されているので、支持部材42に生じる横梁43まわりの力のモーメントによって比較的破壊され易い部分をなくすことができる。よって、胴受装置41の耐久性を向上できる。
【0070】
次に図6(c)を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、支持部材42、横梁43及び胴受連結部44のそれぞれの上面が同一面である場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、横梁53の上面よりも上方に支持部材52が配置される場合について説明する。なお、第1,2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6(c)は胴受装置51を有する鉄道車両50の断面図である。なお、図6(c)は、第2実施の形態における図6(b)と同一箇所の断面図である。
【0071】
図6(c)に示すように、鉄道車両50の胴受装置51は、主に鉄鋼などの金属材料から構成される。胴受装置51は、連結器10の胴部12を下方から支持する支持部材52と、支持部材52に対して第2揺動軸15側(図6(c)紙面右側)に配置される横梁53と、横梁53と支持部材52とをレール方向に連結する胴受連結部54と、横梁53を台枠2に吊り下げ支持する弾性支持部24とを備える。
【0072】
支持部材52は、上面に胴部12が載せられる板状の部材である。横梁53は、第1実施の形態における第1板材22eのような溝形鋼から構成される。横梁53に対して上方かつ端面7側(図6(c)紙面左側)に支持部材52が配置される。胴受連結部54は、横梁53と支持部材52とを斜めに連結する板状の部材である。
【0073】
このような胴受装置51によれば、第1,2実施の形態と同様に、胴部12を支持する支持部材52が横梁53や弾性支持部24の端面7側に配置されるので、支持部材52の枕木方向両側や直下に横梁53や弾性支持部24を設けないようにできる。その結果、連結器10から支持部材52に負荷される荷重を抑制するために端面7に支持部材52を近づけても、横梁53や弾性支持部24による端面7の形状の制約を少なくできる。よって、連結器10から支持部材52に負荷される荷重を抑制しつつ、端面7の形状の自由度を向上できる。
【0074】
第3実施の形態では、横梁53よりも上方に板状の支持部材52が配置されるので、胴部12を支持部材52の上面に載せつつ、胴部12を横梁53や胴受連結部54の上面に載せないようにできる。これにより、胴部12が摺動しない横梁53や胴受連結部54の上面を滑り易くしなくても良いので、横梁53や胴受連結部54の素材や設計の自由度を向上できる。
【0075】
以上、上記各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、台枠2や先頭構体3、連結器10、胴受装置20,41,51等の各部形状や各部寸法を適宜変更しても良い。また、横梁22の第1板材22eが溝形鋼である場合に限らず、鋼以外の金属から同形状の第1板材22eを構成しても良い。
【0076】
上記第1実施の形態では、車体内部に収納可能な連結器10を下方から支持する胴受装置20について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。先頭構体3のレール方向の端面7から常時突出している連結器10を胴受装置20で支持しても良い。また、先頭構体3ではない妻構体のレール方向の端面から突出する連結器10を胴受装置20で支持しても良い。
【0077】
上記第1実施の形態では、胴受連結部23の第1部23aが横梁22のウェブ22cに垂直に接合される場合について説明したが、第1部23aとウェブ22cとの角度は適宜変更可能である。また、第1部23aと第2部23bとが垂直である場合に限らず、第1部23aと第2部23bの板厚方向が異なれば良い。また、横張22への第1部23a及び第2部23bの取り付け方にもよるが、第1部23aが第2部23bよりもレール方向寸法が長い場合に限らず、第1部23aと第2部23bとのレール方向寸法を同じにしたり、第1部23aのレール方向寸法よりも第2部23bのレール方向寸法を長くしても良い。
【0078】
上記各実施の形態では、弾性支持部24を介して横梁22,43,53が台枠2に吊り下げ支持される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。台枠2の下方に吊り下げ固定されるブラケットの一部を胴部12の下方に位置させ、そのブラケットと連結器10との間に横梁22,43,53が位置するよう、ブラケットと横梁22,43,53とを弾性支持部24で連結しても良い。この場合にも、弾性支持部24によって横梁22,43,53が台枠2に対して上下動可能に弾性的に支持される。なお、横梁22,43,53の直下に弾性支持部24やブラケットがある場合には、横梁22,43,53の直下に必要なスペースが大きいので、弾性支持部24やブラケットに干渉しないよう、レール方向に対する端面7の傾斜を比較的急にする必要がある。一方、弾性支持部24を介して横梁22,43,53が台枠2に吊り下げ支持される場合には、横梁22,43,53の直下に必要なスペースを小さくできる。その結果、レール方向に対する端面7の傾斜を緩やかにでき、端面7の形状の自由度を向上できる。
【0079】
上記各実施の形態では、シリンダ24a内のばねによってロッド24bがシリンダ24aに対して上方へ付勢される弾性支持部24について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。弾性支持部24は、台枠2に対して横梁22,43を上下動可能に弾性的に支持するものであれば良い。例えば、油圧シリンダや空圧シリンダ等を弾性支持部24としても良い。
【0080】
上記第2実施の形態では、枕木方向に延びて設けられる横梁43の両端が2つの弾性支持部24に支持される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。枕木方向に互いに離隔した2つの横梁を2つの弾性支持部24に支持させ、2つの横梁と胴受連結部44及び支持部材42とを一体に構成しても良い。
【0081】
上記第1実施の形態では、1本の横梁22に一対の胴受連結部23を介して支持部材21を支持させる場合について説明したが必ずしもこれに限られるものではない。枕木方向に互いに離隔した2つの横梁を1本の高剛性の胴受連結部で繋ぎ、その胴受連結部に支持部材21を支持させても良い。
【符号の説明】
【0082】
1,40,50 鉄道車両
2 台枠(構体の一部)
3 先頭構体(構体の一部)
7 端面
10 連結器
12 胴部
14 第1揺動軸(揺動軸)
15 第2揺動軸(揺動軸)
20,41,51 胴受装置
21,42,52 支持部材
22,43,53 横梁
23,44,54 胴受連結部
23a 第1部
23b 第2部
24 弾性支持部
A 仮想領域
【要約】
【課題】連結器から負荷される荷重を抑制しつつ、鉄道車両のレール方向の端面の形状の自由度を向上できる胴受装置を提供すること。
【解決手段】上下方向および枕木方向にそれぞれ揺動軸を中心に揺動可能に鉄道車両の構体に取り付けられる連結器の胴部を支持すると共に構体に取り付けられる胴受装置は、枕木方向に延びて設けられると共に胴部を下方から支持する支持部材と、支持部材に対して揺動軸側に配置される横梁と、横梁と支持部材とを連結する胴受連結部と、横梁を構体に対して上下動可能に弾性的に支持する弾性支持部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6