(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490379
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】トイレットペーパー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/16 20060101AFI20190318BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20190318BHJP
D21H 27/32 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
A47K10/16 Z
D21H27/00 F
D21H27/32 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-200610(P2014-200610)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-67633(P2016-67633A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】小沼 敦嗣
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−213508(JP,A)
【文献】
特開2014−170203(JP,A)
【文献】
特開2011−236546(JP,A)
【文献】
特開2010−173250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/00、10/16
D21H 27/00、27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一過性の湿潤紙力剤が配合されていない原紙に対して、糊又は樹脂が転写によって付与され、
糊又は樹脂の付与部分は、
所定範囲を有しかつ平面視においてしだいに幅狭になる部分を有する複数の単位付与部位が紙面に分散配置されているとともに、
各単位付与部位が、単位付与部位のしだいに幅狭になる部分の先端部分と他の単位付与部位とが接する狭小な部分である易分離部のみを介して連接するパターンとなっている、
ことを特徴とするトイレットペーパー。
【請求項2】
前記易分離部は、各単位付与部分が、実質的に点で接する部分である請求項1記載のトイレットペーパー。
【請求項3】
複数の原紙が重ね合わされた複数プライのトイレットペーパーであり、その積層内面に糊又は樹脂の付与部分が位置されている、請求項1又は2記載のトイレットペーパー。
【請求項4】
糊又は樹脂の付与量が、固形分で0.1〜2.0g/m2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレットペーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパーに関する。特にシャワートイレの使用後における拭き取り時の水分の吸収性に優れるとともに、廃棄時の水解性にも優れるトイレットペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便座付トイレ又はシャワートイレなどと称される便や尿等の体液排泄後の排泄部位を水・温水によって洗浄可能としたトイレ装置の普及にともない、トイレットペーパーにおいては、このようなトイレ装置による排泄部位の洗浄後の清拭作業の向上が求められている。具体的には、トイレットペーパーでは、排泄部位に付着した汚物を擦りとるようにして拭き取る際の拭き取り性、柔らかさ、肌触りに優れることが一般に要求されるが、係るトイレ装置とともに用いられる際には、さらに排泄部位等に付着した水分の吸収性と、その水分吸収された状態での拭き取りに耐えうる強度が要求される。
【0003】
その一方で、トイレットペーパーは、使用態様として、使用後に便器内に投入して汚物とともに下水道等へと流して廃棄されることが多く、その際の配管を詰まらせない水解性も要求される。
【0004】
従来は、水分吸収状態での拭き取り時の強度を向上させるべく、原紙中に乾燥紙力剤や一過性の湿潤紙力剤を配合することが行われているが、このような乾燥紙力剤や一過性の湿潤紙力剤は、トイレットペーパーの柔らかさや肌触り、水解性を悪化させるため、この点が十分ではないことがあり、その機能向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−46679号公報
【特許文献2】特開2012−213508号公報
【特許文献3】特開2013−94238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、水分の吸収性、水分を吸水した状態での強度に優れ、しかも水解性や肌触りにも優れるトイレットペーパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0008】
〔請求項1記載の発明〕
一過性の湿潤紙力剤が配合されていない原紙に対して、糊又は樹脂が転写によって付与され、
糊又は樹脂の付与部分
は、
所定範囲を有しかつ平面視においてしだいに幅狭になる部分を有する複数の単位付与部位が紙面に分散配置されているとともに
、
各単位付与部位が
、単位付与部位のしだいに幅狭になる部分の先端部分と他の単位付与部位とが接する狭小な部分である易分離部のみを介して連接するパターンとなっている、
ことを特徴とするトイレットペーパー。
【0009】
〔請求項2記載の発明〕
前記易分離部は、各単位付与部分が、実質的に点で接する部分である請求項1記載のトイレットペーパー。
【0010】
〔請求項3記載の発明〕
複数の原紙が重ね合わされた複数プライのトイレットペーパーであり、その積層内面に糊又は樹脂の付与部分が位置されている、請求項1又は2記載のトイレットペーパー。
【0011】
〔請求項4記載の発明〕
糊又は樹脂の付与量が、固形分で0.1〜2.0g/m
2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトイレットペーパー。
【発明の効果】
【0012】
以上の本発明によれば、水分の吸収性、水分を吸水した状態での強度に優れ、しかも水解性や肌触りにも優れるトイレットペーパーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態のトイレットペーパーを説明するための断面図である。
【
図2】本発明の実施形態の糊又は樹脂の付与部分の例を説明するための平面図である。
【
図3】本発明の実施形態の糊又は樹脂の他の付与部分の例を説明するための平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る易分離部を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態のトイレットペーパーの他の例を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を
図1〜5を参照しながら以下に説明する。但し、本発明は、この実施形態に限られない。
【0015】
本実施形態に係るトイレットペーパー1は、原紙10の少なくとも一方の面11に糊又は樹脂が転写によって付与されており、特に、その糊又は樹脂の付与部分2が、複数の所定範囲を有する単位付与部位20が紙面に分散配置されているとともに、各単位付与部位20が狭小な易分離部30のみを介して連接するパターンとなっている。なお、
図1に示すトイレットペーパー1は、2プライのものであり、各原紙10,10の対面する一方面11,11に付与部分を形成した例を示している。
【0016】
本実施形態に係るトイレットペーパー1では、糊又は樹脂が、複数の所定範囲を有する単位付与部位20が紙面に分散配置されているため、紙全体における吸水時の強度が向上され、また、特に各単位付与部分20が連接しているため排泄部位を水・温水によって洗浄可能としたトイレ装置によって、排泄部位を洗浄したのちに清拭作業をする際に、当該排泄部位やその近傍に付着する程度の水分が吸収されて清拭操作が行われても破れ難い。また、その一方で、各単位付与部分20が分散配置されていることから非付与部分40も分散的に位置しているため、水分の吸収性も確保される。すなわち、吸水性と吸水時の強度とがともに向上される。さらに、付与部分2は、各単位付与部分20が狭小な易分離部30のみを介して連接するパターンとなっているため、便器の水溜りへの廃棄後など多量の水の中に位置した際には、繊維全体のほぐれや水洗廃棄時の水流等によってその易分離部で各単位付与部分が容易に分離され小片となるため、水解性にも優れる。以下、さらに本実施形態の構成と作用効果等について詳述していく。
【0017】
まず、本実施形態に係る単位付与部分20は、付与部分2を構成する紙面に分散配置される一つの糊又は樹脂の配置部であり、その形状及び面積については限定されない。ただし、単位付与部分20一つ当たりの面積は、1〜400mm
2であるのが望ましい。1mm
2未満であると水分吸収時の強度が高まりがたく、400mm
2を超えると廃棄に単位付与部分が大きく残り水解性の向上が十分でなくなるおそれが高まる。
【0018】
また、付与部分2を構成する各単位付与部分20の形状、面積はすべて同一でなくてもよい。したがって、付与部分は、
図2に示す同一形状・同一面積の三角形の単位付与部分20が各頂点で接して易分離部30を形成しているような、同一形状・同一面積の各単位付与部で構成されるものに限らず、
図3に示す四角形と円形の単位付与部分20で構成されるような、複数種の形状・さらには面積の単位付与部分を有し、それらが接する部分を易分離部とするようなパターンで構成されていてもよい。ただし、上記の同一形状、同一面積の単位付与部分20が整列配置されていると、紙面における強度及び吸水性のムラなく均一となるため、かかる同一形状、同一面積の単位付与部分から構成される付与部分のパターンであるのが望ましい。
【0019】
なお、本実施形態に係る単位付与部分20により囲まれる非付与部分40一つ当たりの面積は、225mm
2以下とするのが望ましい。225mm
2を超えるとその部分が水分吸収時に破れるおそれがでてくる。
【0020】
他方、本実施形態に係るトイレットペーパー1では、糊又は樹脂を付与した付与面11における付与部分2の総面積率は、30〜70%とするのが望ましい。30%未満では、吸水時における強度の発現が十分ではなく、70%を超えると非付与部分40の範囲が小さくなり吸水性が悪化し、また、柔らかさや肌触りの向上効果が十分とならないおそれがある。
【0021】
糊又は樹脂の具体的な付与量としては、付与面11当たり固形分で0.1〜2.0g/m
2とするのが望ましい。0.1g/m
2未満では、吸水時における強度の発現が十分ではなく、2.0g/m
2を超えると水解性が悪化するおそれが高まる。また、柔らかさや肌触りの向上効果が十分とならないおそれがある。特に、上記付与部分2の総面積率の範囲とともに、この付与量とすると水分吸収時の強度と水解性とのバランスにより優れ、効果的である。
【0022】
本実施形態に係る付与部分2における易分離部30は、水解性を向上させるために廃棄時に単位付与部分20の分散を助長する各単位付与部分20間における分離しやすくした部位である。その易分離部30は、各単位付与部分20が実質的に点で接する部位であるのが望ましい。係る各単位付与部分20の分離が極めて容易になされるからである。なお、実質的にとは、糊又は樹脂の付与の際に完全な点となることはなく、付与時の若干のにじみ等によって製造上形成される、ある程度の幅を許容する意味である。ここで点による易分離部30としては、各単位付与部20の形状によって適宜に形成され、具体的には、
図4に示すように、頂点と頂点の接点(
図4(A))、頂点と線との接点(
図4(B))、曲線と曲線との接点(
図4(C))、曲線と直線との接点(
図4(D))等の各単位付与部分20間の実質的な接点である。ただし、易分離部30は、必ずしも接点に限られるわけではなく、
図4(D)に示すようなくびれ部分でもよい。ただし、好ましくは、分離のしやすさからして上記接点が易分離部とされるパターンである。
【0023】
糊又は樹脂の紙面への転写方法は、ロール転写が望ましく、グラビア印刷機、フレキソ印刷機などの公知の塗布設備によりパターン印刷して行うことができる。ここで、本実施形態に係るトイレットペーパー1では、糊又は樹脂を転写によって所定範囲を有する単位付与部分20を紙面に形成するため、糊又は樹脂が付与されるトイレットペーパー1の原紙10の特に表層面に留まりやすい。換言すれば紙に付与した際に過度に紙層に浸透するようなものでは拡散して単位付与部分20や易分離部30が形成されない。そして、本実施形態に係るトイレットペーパー1では、乾燥紙力剤や一過性の湿潤紙力剤を原紙に配合する等して紙全体を改質するのではなく、転写によって糊又は樹脂を付与することで紙の表層面にその糊又は樹脂が留まるようにして、とりわけ便器の水溜りへの廃棄後など多量の水の中に位置した際に、非付与部分40や糊又は樹脂が転写されていない非付与面から紙層内に水分が多量に迅速に浸透して繊維全体がほぐれ、また水洗廃棄時の水流等によって上記易分離部30で各単位付与部分20が容易に分離され小片となり水解性に優れるようになる。また、排泄部位を水・温水によって洗浄可能としたトイレ装置によって、排泄部位を洗浄したのちに清拭作業をする際に、当該排泄部位やその近傍に付着する程度の水分が吸収されて清拭操作が行われても、その程度の水分は非付与部分40や非付与面において浸透拡散することで易分離部30での分離が助長されず清拭時には破れ難い。かかる水分の浸透・拡散による本実施形態に付与部分及びその転写による形成よる機能は、後述の一般的なトイレットペーパーの米坪、紙厚及びそれから算出される密度の範囲において、その機能が十分に発揮される。
【0024】
一方、本実施形態に係る糊又は樹脂は、転写に応じた付与パターンで付与部分2を形成可能なものであればよい。転写設備に応じて、より具体的にはその設備において刷版に形成した塗布パターンに応じた付与部分を形成可能なものを適宜選択すればよい。選択は、例えば、転写可能な粘度、紙層への浸透性、付与態様の紙の組成等を適宜に考慮する。上記の紙面表層面に留まりやすく、本実施形態の効果を効果的に発揮する糊の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、澱粉糊が挙げられる。特に、澱粉糊は、水溶性であるとともに適当な粘度でパターン印刷しやすく、また、付与時に紙表層部に留まらせやすい。また、安定性があり製造装置を構成する金属部材と触れても悪影響を及ぼすことはない。
【0025】
樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、さらに印刷用の樹脂性インクが挙げられる。特に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂は、適当な粘度でパターン印刷しやすく、紙表層部に留まらせやすい。また、樹脂としては安価であり、耐水性に優れて水分吸収時における強度が発揮されやすく、さらに、柔軟性に優れ紙の柔らかさや肌触りを悪化させないとともに、その柔軟性からして水流等によって容易に易分離部で単位付与部の分離が生ずる。なお、糊又は樹脂は、適宜の溶媒、例えば、水、エタノール、有機溶媒により希釈して粘度調整するなどして用いることができる。また、インクは着色することを目的としているため、状況に応じて樹脂や糊と使い分けたり、組み合わせたりすることが好ましい。
【0026】
他方、本実施形態に係るトイレットペーパー1においては、糊又は樹脂の付与面11が、両面であっても片面であってもよいが、片面のみに形成しても十分に水分吸収時の強度向上が得られるので、上述の非付与面からの水分浸透によって奏する水解性の観点から片面のみに形成するのが望ましい。
【0027】
また、本実施形態にかかるトイレットペーパー1は、プライ数は限定されないが、好ましくは2プライ以上の複数プライであり、
図1に示すように、そのような複数プライにおける積層内面に付与部分2が位置しているのが望ましい。積層内面は、使用時に肌に触れない面であるため、当該積層内面に付与部分を位置させると、使用者に安心感を与えるものとなる。また、糊又は樹脂の付与面は付与部分と非付与部分との表面性の差から肌触りに違和感が生ずるおそれがあるが、積層内面であれば肌触りには影響がない。また、糊又は樹脂を付与したのちに、当該付与面が加工設備と接触した際に当該加工設備に糊又は樹脂が付着したり、また、付与面にチリ等が付着するおそれがあっても、積層内面に位置させれば、少なくとも積層後においては、そのようなおそれはなくなる。また、複数プライの積層内面に付与面を形成する場合には、プライ同士を接着するプライ接着糊として機能させることもできる。他方で、特に
図5に示す3プライ以上のトイレットペーパーでは、表裏を構成する原紙10A,10Aの積層内面に糊又は樹脂が付与された付与面11とし、中層を構成する原紙10Bについては糊又は樹脂を付与しないようしてもよい。もちろん、中層10Bの各面又は一方面に付与部分2を形成してもよい。
【0028】
本実施形態に係るトイレットペーパー1において糊又は樹脂を付与する原紙10については特に限定されない。一般的なトイレットペーパーに用いる原紙を用いることができる。上述のとおり本実施形態に係る効果が十分に発揮される原紙を一般的な原紙を例示すれば、米坪10〜30g/m2、紙厚90〜250μm、パルプ原料の組成比率(NBKP:LBKP)が10:90〜90:10のものである。なお、ここでの米坪は、JIS P 8124(1998)に準じて測定した値であり、紙厚は、JIS P 8118(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所)を用いて測定した値である。なお紙厚の具体的な測定は、まず、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリがないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと紙面に対し垂直に下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
【0029】
以上詳述のとおり本実施形態のトイレットペーパーでは、排泄部位を水・温水によって洗浄可能としたトイレ装置によって、排泄部位を洗浄したのちに清拭作業をする際に、当該排泄部位やその近傍に付着する程度の水分が吸収されて清拭操作が行われても破れ難く、また、その一方で、水解性も確保され、しかも、肌触りや柔らかさにも優れる。
【実施例】
【0030】
次いで、本願発明と実施例及び比較例を作成し、拭き取り性、水解性について試験し、評価した。各例の製造条件・組成・物性等及び試験結果については、下記表1に示す。なお、実施例及び比較例は、パルプ配合比(NBKP:LBKP)を30:70で原紙を抄造した。また、各実施例には、紙力剤を添加せず、比較例には、一過性の湿潤紙力剤(TS4070(星光PMC社製))を2kg/t添加した。
【0031】
また、実施例1,2は、
図2に示す糊の付与パターンとし、実施例3は、
図3に示す糊の付与パターンとし、その糊付与面を内面として、2プライのティシュペーパーとした。糊は、澱粉糊を用いた。付与量は、下記表1中に示す。比較例については、糊を付与せずに、2プライのティシュペーパーとした。
【0032】
〔拭き取り性〕拭き取り性の試験は、被験者10名に、実際に温水便座付トイレの使用後に、各例に係るトイレットペーパーで拭き取りを行なってもらうことにより行なった。評価は、使用後に「使用に問題なかった」ものを○、「破れる等の不具合で使用が困難であった」ものを×と評価してもらい、○をつけた人の割合が50%以上のものを良(表1中○で示す)、×をつけた人の割合が50%より少ないものを不適と判断した。
〔水解性〕JIS P 4501で規定される、ほぐれやすさの試験方法に基づいて試験した。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示されるように、本発明の実施例は、拭き取り性及び水解性において良好な結果となった。比較例については、拭き取り性については問題がなかったが、水解性については、解れるまでに本願発明の約3倍程度の時間を要しており、本願発明の実施例が極めて水解性が向上されていることが示されている。
【符号の説明】
【0035】
1・・・トイレットペーパー、10・・・原紙、11・・・付与部分形成面(付与面)、2・・・付与部分、20・・・単位付与部分、30・・・易分離部、40…非付与部分、10A…表裏面を構成する原紙、10B…中層を構成する原紙。