(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクチュエータ制御部が、前記扉の開状態が所定時間継続していると判断した場合に、前記第1動作又は前記第2動作を行う請求項2又は3記載の冷蔵庫用制御装置。
【背景技術】
【0002】
この種の冷蔵庫用制御装置としては、例えば特許文献1に示すように、扉が所定時間開いていることが検知された場合に、開状態にある扉を自動で閉じるように構成されたものがある。
【0003】
ところで、従来の冷蔵庫には、機体の傾きなどにより開状態にある扉が意図せず動いてしまうことを防ぐべく、扉の下端部に設けられた上カムと、上カムに対向するように例えば扉の下端部及び筐体を接続するヒンジに設けられた下カムとからなるカム機構を備え、扉が所定の開度となったときに、上下のカムが噛み合うように構成されたものがある。
【0004】
このような冷蔵庫に上述した制御装置を適用すると、上下のカムが噛み合った状態で扉が開状態となっており、さらにこの扉の収容物が多い場合には、扉を動かすためのアクチュエータの動力が足らず、扉を自動で閉じることができないという問題が生じ得る。
【0005】
上述した問題に対して大型のアクチュエータを用いることが考えられるが、この問題は、上下のカムが噛み合っており、かつ、扉の収容物が多い場合に生じる稀なものであり、このような稀な場合を想定して大型のアクチュエータを用いることはオーバースペックになり兼ねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、アクチュエータを大型化することなく、開状態にある扉を確実に自動で閉状態にすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る冷蔵庫用制御装置は、冷蔵庫の扉を動かすためのアクチュエータを制御して、前記扉を自動で閉じるものであって、前記扉を閉める場合に、前記扉を開方向に所定量移動させた後に閉方向に移動させることを特徴とするものである。
【0009】
このような冷蔵庫用制御装置であれば、扉を一度開方向に所定量移動させた後に閉方向に移動させるので、扉を閉める場合に慣性が働く。これにより、アクチュエータの動力以上の力で、勢いをつけて扉を閉じることができるため、アクチュエータを大型化することなく開状態にある扉を確実に閉状態にすることが可能となる。
【0010】
前記扉が開閉状態を示す開閉状態信号を受け付ける開閉状態信号受付部と、前記開閉状態信号受付部より受け付けられた開閉状態信号を用いて前記アクチュエータを制御して前記扉を移動させるアクチュエータ制御部とを備え、前記アクチュエータ制御部が、前記扉が開状態の場合に、前記扉を閉方向に移動させる第1動作と、当該第1動作により前記扉が閉状態とならない場合に、前記扉を開方向に所定量移動させた後に閉方向に移動させる第2動作とを行うものが好ましい。
これならば、第1動作により扉が閉状態とならない場合に、該扉を開方向に所定量移動させるので、扉を閉めるたびに開方向に移動させる場合と比べて、扉の動きを効率良く制御することができ、消費エネルギーを抑えることができる。
【0011】
具体的な実施態様としては、前記第1動作により前記扉が閉状態とならないことを示す第1動作未完信号を記憶する記憶部を有し、前記アクチュエータ制御部が、前記記憶部により前記第1動作未完信号が記憶されている場合に、前記第2動作を行う構成が挙げられる。
【0012】
簡易な構成で開状態の扉を自動で閉じるようにするためには、前記アクチュエータ制御部が、前記扉の開状態が所定時間継続していると判断した場合に、前記第1動作又は前記第2動作を行うものが好ましい。
【0013】
本実施形態の効果がより顕著になる冷蔵庫の実施態様としては、前記扉が閉じる方向に動くことを規制するカム機構を具備しているものが挙げられる。
【0014】
また、本発明に係る冷蔵庫は、上述した冷蔵庫用制御装置を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、アクチュエータを大型化することなく、開状態にある扉を、該扉の位置や収容量に関わらず、確実に自動で閉状態にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る冷蔵庫の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る冷蔵庫100は、
図1及び
図2に示すように、前面が開口した筐体Hと、前記筐体Hの開口に設けられた左右の扉Dと、扉Dの下端部に設けられたカム機構10と、筐体Hと扉Dとの間に介在して該扉Dを開閉する扉開閉機構20と、前記扉開閉機構20を制御して扉Dの動作を制御する冷蔵庫用制御装置30(以下、単に制御装置30ともいう)とを具備している。
【0019】
前記カム機構10は、扉Dが意図せず動くことを防ぐものであり、
図1に示すように、互いに対向して設けられた一対の下カム11及び上カム12から構成されている。
以下、説明の便宜上、扉Dの回転軸を中心として該扉Dが開く方向を開方向と定義し、閉状態にある扉Dを前記開方向において0度に位置しているものとする。
【0020】
前記下カム11は、扉Dと筐体Hとを接続するヒンジZに固定されたものであり、上カム12に対向する対向面において、扉閉位置である第1角度に凹部111と、前記開方向に沿った所定の角度範囲に凸部112とが形成されている。
具体的にこの下カム11は、
図3に示すように、前記開方向に沿って、扉閉位置である第1角度から徐々に厚さ寸法が大きくなった後、第2角度まで徐々に厚さ寸法が小さくなるように形成されており、ここでは、第1角度である4度から第2角度である90度までの範囲が前記凸部112として形成されている。
【0021】
前記上カム12は、扉Dの下端部に取り付けられるとともに該扉Dと連動して回転するものであり、下カム11に対向する対向面において、扉閉位置である第1角度に凸部121が形成されている。
この凸部121は、扉Dが所定の開度となった場合に、前記凸部112を乗り越えるように形成されている。ここでは、前記凸部121は、扉Dの開度が90度となった場合に、前記凸部112にあたって、扉Dが意図せず閉まってしまうことを規制する。
【0022】
前記扉開閉機構20は、
図2に示すように、扉Dを動かすための動力を出力するアクチュエータ21と、前記アクチュエータ21と扉Dとの間に介在し、アクチュエータ21からの動力を扉Dに伝達するリンク機構22とを具備している。
【0023】
前記アクチュエータ21は、扉Dを開方向又は閉方向に動かすための動力を出力するものであり、本実施形態では、筐体Hの上面に設けられるとともに、制御装置30からの制御信号に基づいて正回転又は逆回転するように構成されたモータである。
【0024】
前記リンク機構22は、一端部が前記アクチュエータ21の出力軸に接続されるとともに、他端部が扉Dに接続されたものであり、アクチュエータ21の動力によって互いに連動して動く複数のアームを有している。
【0025】
次に、本発明の特徴部分である制御装置30について説明する。
【0026】
前記制御装置30は、上述したアクチュエータ21を制御して、扉Dを開方向又は閉方向に移動させるものであり、物理的には、CPU、メモリ、タイマー、モータドライバ等を備えたものである。そして、CPUやその周辺機器を協働させることによって、
図4に示すように、開閉状態信号受付部31、アクチュエータ制御部32、記憶部33としての機能を発揮するように構成されている。
【0028】
開閉状態信号受付部31は、扉Dの開閉状態を示す開閉状態信号を生成する開閉状態信号生成部40から該開閉状態信号を受け付けるものである。
なお、前記開閉状態信号生成部40は、例えば扉D又は筐体Hに設けられ、扉Dの開閉状態に応じてON/OFF信号を前記開閉状態信号として出力するスイッチング素子等を利用したものである。
【0029】
アクチュエータ制御部32は、前記開閉状態信号受付部31が受け付けた開閉状態信号に基づいて、扉Dが開状態である時間(以下、開状態時間ともいう)を計測するとともに、扉が所定時間継続して開状態となっているか、つまり前記開状態時間が所定時間に達したか(タイムアップしたか)どうかを判断するように構成されている。
なお、上述した開状態時間は、扉Dが閉状態になるとリセットされる。
【0030】
そして、アクチュエータ制御部32は、タイムアップした場合に、開状態にある扉Dを自動で閉じるものであり、具体的には、扉Dを閉方向に移動させる第1動作と、当該第1動作により扉Dが閉状態とならない場合に、扉Dを開方向に所定量移動させた後に閉方向に移動させる第2動作とを行うものである。
つまり、このアクチュエータ制御部32は、開状態にある扉Dを閉じるための一連の扉閉動作において1度目のタイムアップ信号を取得した場合は第1動作を行い、この一連の扉閉動作において2度目のタイムアップ信号を取得した場合は第2動作を行うように構成されている。なお、第1動作によって扉Dが閉じた場合は、第2動作は行われない。
【0031】
より詳細には、アクチュエータ制御部32は、第1動作を行う場合には、第1制御信号をアクチュエータ21に出力して、開状態にある扉Dを閉方向に移動させるための動力を出力させる。
また、第2動作を行う場合には、第2制御信号をアクチュエータ21に出力して、開状態にある扉Dを開方向に移動させるための動力を所定時間出力させたあとに、該扉Dを閉方向に移動させるための動力を出力させる。
【0032】
ここで、本実施形態のアクチュエータ制御部32は、第1動作を行った場合、つまり第1制御信号を出力した場合には、該第1動作によって扉Dが閉状態となったかどうかを判定して、扉Dが閉状態となっていない場合には、そのことを示す第1動作未完信号を記憶部33に出力する。
【0033】
本実施形態のアクチュエータ制御部32は、扉Dの移動を検出する扉移動検出部50から出力された扉移動信号を受け付けるとともに、前記第1動作実施信号及び前記扉移動信号に基づいて、第1動作によって扉Dが閉方向に移動していないと判断した場合に、前記第1動作未完信号を記憶部33に出力するように構成されている。
なお、前記扉移動検出部50は、例えば、扉開閉機構20や筐体Hに設けられ、扉Dの開度を検出するエンコーダ等を利用したものである。
【0034】
記憶部33は、メモリの所定領域に設定されており、前記アクチュエータ制御部32から出力された第1動作実施信号を記憶するものである。
【0035】
以下、上述した制御装置30の具体的な制御内容について
図5を参照して説明する。
【0036】
まず、開閉状態信号受付部31は、開閉状態信号を受け付けるとともに、扉Dの開閉状態を判断する(S1)。
【0037】
扉Dが開状態となった場合、アクチュエータ制御部32は、タイマーを用いて扉Dの開状態時間を計測し始める(S2)。
【0038】
そして、前記アクチュエータ制御部32は、開状態時間が所定時間となったか否か(タイムアップしたか否か)を判断して(S3)、タイムアップした場合には、記憶部33に第1動作未完信号が記憶されているかを確認する(S4)。
【0039】
記憶部33に第1動作未完信号が記憶されていない場合、前記アクチュエータ制御部32は、アクチュエータ21に第1制御信号を出力して、開状態の扉Dを閉方向に移動させる(S7)。
このとき、アクチュエータ制御部32は、前記第1制御信号を出力してもなお、扉Dが閉状態にならない場合には、第1動作未完信号を記憶部33に出力して記憶させる。
【0040】
一方、記憶部33に第1動作未完信号が記憶されている場合、前記アクチュエータ制御部32は、アクチュエータ21に第2制御信号を出力して、開状態にある扉Dを開方向に移動させたあとに(S5)、扉Dを停止させてから(S6)、閉方向に移動させる(S7)。
【0041】
ここで、本実施形態のアクチュエータ制御部32は、第1制御信号又は第2制御信号をアクチュエータ21に出力した場合、扉Dが閉方向に移動したか否かによって、扉Dが閉状態となったかを判断する(S8)。
より具体的に前記アクチュエータ制御部32は、第1動作を行ってもなお、扉Dが閉状態とならない場合には、第1動作未完信号を記憶部33に出力する(S9)。また、第2動作によって扉Dが閉状態となった場合には、前記記憶部33に記憶されている第1動作未完信号を消去(リセット)する(S10)。
【0042】
このように構成された本実施形態に係る冷蔵庫100によれば、第1動作によって扉Dが閉状態とならない場合には、第2動作によって一度扉Dを開方向に移動させてから扉Dを閉じようとするので、前記第2動作においては、扉Dに慣性が働き、勢いを付けて扉Dを閉じることができる。
これにより、開状態にある扉Dが上下のカム11、12が噛み合う位置にあったとしても、アクチュエータ21の動力以上の力で扉Dを閉じることができるため、アクチュエータ21を大型化することなく確実に自動で扉Dを閉状態にすることが可能となる。
【0043】
また、扉Dの状態が動作不可状態である場合には、第2動作が行われ、扉Dの状態が動作不可状態でない場合には、第1動作が行われるので、扉Dの動きを効率良く制御することができ、消費エネルギーを抑えることができる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0045】
例えば、前記実施形態では、第1動作によって扉が閉状態とならない場合に、第2動作を行うように構成されていたが、扉を閉める場合に、毎回第2動作を行うようにしても構わない。
このように構成することで、開状態にある扉をより確実に閉状態にすることができる。
【0046】
また、前記実施形態では、第2動作において、アクチュエータが扉を開方向に移動させるための動力を所定時間出力するように構成されていたが、例えばエンコーダからの信号に基づいて、開状態にある扉がさらに所定角度開くまでアクチュエータに動力を出力させるようにしても良い。
【0047】
さらに、前記実施形態では、第1動作によって扉が閉状態とならない場合に、第2動作が行われるように構成されていたが、例えばエンコーダからの信号に基づいて、扉の開度が上下のカムが噛み合う角度であることを検出し、この場合に第2動作が行われるようにしても構わない。
【0048】
加えて、開閉状態信号受付部が、扉開状態を計測し始めてからタイムアップ信号を出力するまでの時間は、第1動作が行われる前後で互いに異なる時間に設定しても構わないし、互いに等しい時間であっても構わない。
【0049】
そのうえ、前記実施形態では、第1制御信号及び扉移動信号に基づいて、第1動作によって扉が閉状態となったかを判断していたが、第1制御信号及び開放状態信号に基づいて判断するようにしても構わない。
【0050】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。