(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータを備えた風水力機械の設置場所によっては、ロータに対する流体の速度や向きが絶えず大きく変動することが想定され得るが、そのような設置場所でも、安定的に良好な発電効率が得られることが好ましい。なお、一般的に、より幅広い周速比の範囲に対して、十分良好な風水力機械の出力係数が得られれば、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性がより高いといえる。
しかしながら、従来のロータでは、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性について、十分に最適化されておらず、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためにされたものであり、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性が向上された、風水力機械用のロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、次の通りである。
【0007】
本発明のロータは、
主軸に支持されるハブと、該ハブに基端が結合されたブレードとを備える、風水力機械用のロータであって、
ロータの回転中心軸線に対して垂直な投影面において、前記ブレードの前縁が、互いに異なる2つのロータ径方向位置のみで、ロータ回転方向前側へ山状に突出した前縁山部を有することを特徴とする。
本発明のロータによれば、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性を向上できる。
【0008】
本発明のロータにおいては、
前記投影面において、
前記ブレードの前記基端のロータ周方向中心点における前記ハブの接線を、第1仮想線VL1とし、
前記第1仮想線VL1に平行で、前記第1仮想線VL1から前記ハブとは反対側へ前記ブレードの長さBLの0.50倍の長さだけ離れた位置にある仮想線を、第2仮想線VL2としたとき、
前記ブレードの前縁は、前記第2仮想線VL2よりもロータ径方向内側の部分に、一方の前記前縁山部の突出先端を有し、前記第2仮想線VL2よりもロータ径方向外側の部分に、他方の前記前縁山部の突出先端を有していることが好ましい。
この構成によれば、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0009】
また、本発明のロータにおいては、
前記投影面において、
前記第1仮想線VL1に平行で、前記第1仮想線VL1から前記ハブとは反対側へ前記ブレードの長さBLの0.25倍、0.75倍、1.00倍の長さだけ離れた位置にある仮想線を、それぞれ第3仮想線VL3、第4仮想線VL4、第5仮想線VL5としたとき、
前記第1仮想線VL1に沿う前記ブレードの幅BW1と、前記第2仮想線VL2に沿う前記ブレードの幅BW2と、前記第3仮想線VL3に沿う前記ブレードの幅BW3と、前記第4仮想線VL4に沿う前記ブレードの幅BW4と、前記第5仮想線VL5に沿う前記ブレードの幅BW5とが、不等式
BW1<BW3
BW3>BW2>BW4>BW5
を満たしていることが好ましい。
この構成により、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0010】
また、本発明のロータにおいては、
前記投影面において、
前記2つの前縁山部のうちの、ロータ径方向内側のほうの前記前縁山部の突出先端が、前記ブレードの前縁のロータ径方向内側端と、ロータ径方向外側のほうの前記前縁山部の突出先端とを結んだ、第1線分L1に対して、ロータ回転方向前側にあることが好ましい。
この構成によれば、周速比が比較的低い時における出力係数をより大きく向上できる。
【0011】
また、本発明のロータにおいては、
前記投影面において、
前記2つの前縁山部のうちの、ロータ径方向外側のほうの前記前縁山部の突出先端が、ロータ径方向内側のほうの前記前縁山部の突出先端と、前記ブレードの前縁のロータ径方向外側端とを結んだ、第2線分L2に対して、ロータ回転方向前側にあることが好ましい。
この構成によれば、周速比が比較的高い時における出力係数をより大きく向上できる。
【0012】
また、本発明のロータにおいては、
前記投影面において、
前記ブレードの後縁は、前記ブレードの後縁におけるロータ径方向内側端とロータ径方向外側端とを結んだ、第3線分L3と、1点で交差しており、
前記ブレードの後縁のうち、前記第3線分L3との交点よりもロータ径方向内側の部分が、前記第3線分L3よりもロータ回転方向後側にあり、
前記ブレードの後縁のうち、前記第3線分L3との交点よりもロータ径方向外側の部分が、前記第3線分L3よりもロータ回転方向前側にあることが好ましい。
この構成によれば、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性が向上された、風水力機械用のロータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0016】
本発明の一実施形態を、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1は、本発明のロータの一実施形態を示す正面図である。
図2は、
図1に示すロータ1を示す斜視図である。本実施形態のロータ1は、風水力機械に用いられるものであり、より具体的に、本例では、風力発電機に用いられるものである。
なお、本発明でいう「風水力機械」とは、風力発電機(風車等)又は水力発電機(水車等)等の、風力又は水力により得られる動力を利用する機械を意味するものとする。
本実施形態のロータ1は、風力発電機だけでなく、水力発電機又は他の風水力機械にも用いることができる。
【0017】
本実施形態のロータ1は、例えば直径Φが741〜1111mmであることが好ましく、図の例では、ロータ1の直径Φが926mmである。
【0018】
本実施形態のロータ1は、主軸(図示せず)に支持されるハブ10と、ハブ10に基端21が結合された3つのブレード20とを、備えている。図示されない主軸は、
図1で見たときに、ハブ10の背面から後方に延在し、この例では水平に設置されている。そして、主軸の中心軸線が、ロータ1の回転中心軸線Oとなる。
なお、ブレード20の数は、3つに限られず、任意の数とすることができる。
また、ロータ1の各ブレード20は、本例では互いに同一形状を有しているが、一部のブレードが他のブレードとは異なる形状を有していてもよい。
【0019】
本実施形態では、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において(すなわち
図1の平面内において)、ブレード20の前縁31が、互いに異なる2つのロータ径方向位置のみで、ロータ回転方向RDの前側へ山状に突出した前縁山部36、37を有する。
ここで、前縁山部36、37に関し、ロータ回転方向RDの前側へ「山状に突出した」とは、すなわち、上記投影面における前縁山部36、37の形状が、例えばガウス曲線や三角形状等のように、突出先端の両側部分で後退したような形状であって、例えば傾斜線や比例曲線等のように、突出先端の片側部分だけが後退したような形状ではないことを指している。
なお、本例では、上記投影面における前縁山部36、37の突出先端部分が、丸みを帯びた曲線状に形成されており、これは、空気抵抗の低減ひいては発電効率の向上の観点から好ましい。ただし、上記投影面における前縁山部36、37の突出先端部分は、鋭利に尖った形状に形成されてもよい。
【0020】
ブレード20の前縁31が、2つの前縁山部36、37のうち、よりロータ径方向内側にある第1前縁山部36を有することにより、周速比が比較的低い時における風力発電機の出力係数を、十分良好に得ることができる。一方、ブレード20の前縁31が、2つの前縁山部36、37のうち、よりロータ径方向外側にある第2前縁山部37を有することにより、周速比が比較的高い時における風力発電機の出力係数を、十分良好に得ることができる。よって、本実施形態によれば、例えば前縁31が前縁山部を1つのみ有する場合に比べて、より幅広い周速比の範囲に対して、十分良好な風力発電機の出力係数が得られるので、風の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性を向上できる。
ここで、「周速比」は、風速に対するブレード先端速度(ブレードの、ロータ径方向外側端部の回転方向の速度)の比であり、周速比をλ、風速をU (m/s)、ロータの回転速度をN (rpm)、ロータの直径をΦ (mm)とすると、λ=ΦN/(2U)で表すことができる。
また、「出力係数」は、ロータ受風面積を単位時間に通過する自由空気流の運動エネルギーに対する風力発電機の正味出力の比である。
【0021】
図1の例では、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、ブレード20の基端21のロータ周方向中心点21aにおけるハブ10の接線を、第1仮想線VL1とし、第1仮想線VL1に平行で、第1仮想線VL1からハブ10とは反対側へブレード20の長さBLの0.50倍の長さ(0.50BL)だけ離れた位置にある仮想線を、第2仮想線VL2としたとき、ブレード20の前縁31は、第2仮想線VL2よりもロータ径方向内側の部分に、第1前縁山部36(一方の前縁山部)の突出先端36aを有し、第2仮想線VL2よりもロータ径方向外側の部分に、第2前縁山部37(他方の前縁山部)の突出先端37aを有している。
この構成によれば、例えば第1前縁山部36の突出先端36aと第2前縁山部37の突出先端37aとの両方が第2仮想線VL2に対して同じ側にある場合に比べて、第1前縁山部36と第2前縁山部37とのロータ径方向位置が、ブレード20の前縁31内でより好適に分散されるので、より幅広い周速比の範囲に対して、十分良好な風力発電機の出力係数が得られるようになる。これにより、風の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
ここで、前縁山部の「突出先端」とは、前縁山部が有する山形状の頂点を指すものとする。「ブレード20の長さBL」とは、ロータ10の半径(Φ/2)からハブ10の半径rを差し引いた長さ((Φ/2)−r)を指す。また、「ロータ10の半径(Φ/2)」とは、ハブ10の回転中心軸線O(ひいてはロータ1の回転中心軸線O)から、ブレード20のロータ径方向最外端までの、距離を指す。なお、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、ハブ10が円形状を有していない場合、「ハブ10の半径r」とは、当該投影面における、ハブ10の外接円の半径を指すものとする。
本例では、ブレード20の長さBLが349mmであり、ハブ10の半径rが114mmである。
【0022】
図1の例では、上記投影面において、ブレード20の前縁31が、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2との間に、第1前縁山部36の突出先端36aを有している。
【0023】
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、第1仮想線VL1に平行で、第1仮想線VL1からハブ10とは反対側へブレード20の長さBLの0.25倍、0.75倍、1.00倍の長さだけ離れた位置にある仮想線を、それぞれ第3仮想線VL3、第4仮想線VL4、第5仮想線VL5としたとき、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW1と、第2仮想線VL2に沿うブレード20の幅BW2と、第3仮想線VL3に沿うブレード20の幅BW3と、第4仮想線VL4に沿うブレード20の幅BW4と、第5仮想線VL5に沿うブレード20の幅BW5とが、次の不等式(1)と(2)を満たしている:
BW1<BW3 ・・・(1)
BW3>BW2>BW4>BW5 ・・・(2)
上記不等式(1)と(2)を満たすことにより、例えば第1仮想線VL1と平行に測ったブレード20の幅が、第1仮想線VL1から第5仮想線VL5に向かって徐々に減少する場合(すなわち、BW1>BW3>BW2>BW4>BW5を満たす場合)に比べて、風の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0024】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW1と、第5仮想線VL5に沿うブレード20の幅BW5とが、次の不等式(3)を満たしている:
BW1>BW5 ・・・(3)
【0025】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW1と、第2仮想線VL2に沿うブレード20の幅BW2と、第4仮想線VL4に沿うブレード20の幅BW4とが、次の不等式(4)を満たしている:
BW4<BW1<BW2 ・・・(4)
【0026】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、2つの前縁山部36、37のうちの、ロータ径方向内側のほうの第1前縁山部36の突出先端36aが、ブレード20の前縁31のロータ径方向内側端33と、ロータ径方向外側のほうの第2前縁山部37の突出先端37aとを結んだ、第1線分L1に対して、ロータ回転方向RDの前側にある。
この構成によれば、例えば第1前縁山部36の突出先端36aが第1線分L1に対してロータ回転方向RDの後側にある場合に比べて、周速比が比較的低い時(例えば周速比が0.926の時)における出力係数をより大きく向上できる。
【0027】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、2つの前縁山部36、37のうちの、ロータ径方向外側のほうの第2前縁山部37の突出先端37aが、ロータ径方向内側のほうの第1前縁山部36の突出先端36aと、ブレード20の前縁31のロータ径方向外側端35とを結んだ、第2線分L2に対して、ロータ回転方向RDの前側にある。
この構成によれば、例えば第2前縁山部37の突出先端37aが第2線分L2に対してロータ回転方向RDの後側にある場合に比べて、周速比が比較的高い時(例えば周速比が5.56の時)における出力係数をより大きく向上できる。
【0028】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、ブレード20の後縁41が、ブレード20の後縁41におけるロータ径方向内側端43とロータ径方向外側端45とを結んだ、第3線分L3と、1点で交差しており、ブレード20の後縁41のうち、第3線分L3との交点42よりもロータ径方向内側の部分46が、第3線分L3よりもロータ回転方向RDの後側にあり、ブレード20の後縁41のうち、第3線分L3との交点42よりもロータ径方向外側の部分47が、第3線分L3よりもロータ回転方向RDの前側にある。
この構成によれば、例えば前記投影面においてブレード20の後縁41がその全体にわたって直線状である場合に比べて、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0029】
また、
図1に示す例のロータ1においては、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、両方の前縁山部36、37の突出先端36a、37aが、ブレード20の前縁31におけるロータ径方向内側端33とロータ径方向外側端35とを結んだ、第4線分L4に対して、ロータ回転方向前側にある。
この構成によれば、例えば前記投影面においてブレード20の前縁31がその全体にわたって直線状である場合に比べて、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0030】
また、
図1の例では、ブレード20の前縁31が、その全体にわたって、第4線分L4よりもロータ回転方向RDの前側にある。
この構成によれば、例えばブレード20の前縁31がその全体にわたって直線状である場合に比べて、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
【0031】
また、本例では、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な投影面において、前縁31のロータ径方向外側端35と後縁41のロータ径方向外側端45との両方が、第5仮想線VL5上にあるが、前縁31のロータ径方向外側端35又は後縁41のロータ径方向外側端45が、第5仮想線VL5よりもハブ10側にあってもよい。
【0032】
図2に示すように、本例では、ブレード20の厚さが、ブレード20の基端21からロータ径方向外側端に向かうにつれて、徐々に減少している。これにより、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
本明細書において、「ブレード20の厚さ」は、第1仮想線VL1を含むとともにロータ1の回転中心軸線Oに平行な仮想面に対して平行な、任意の仮想面内において、ブレード20の前縁31と後縁41とを通る仮想線に対して垂直に測ったときのブレード20の厚さのうち、最大のものを指すものとする。
【0033】
また、
図2に示すように、本例では、ブレード20のピッチ角(「ねじり角」とも呼ばれる。)が、ブレード20の基端21からロータ径方向外側端に向かうにつれて、徐々に減少している。これにより、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
本明細書において、「ピッチ角」とは、第1仮想線VL1を含むとともにロータ1の回転中心軸線Oに平行な仮想面に対して平行な、任意の仮想面内における、ブレード20の前縁31と後縁41とを通る仮想線と、該任意の仮想面とロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な仮想面との交線との、鋭角側のなす角度である。
なお、第1仮想線VL1を含むとともにロータ1の回転中心軸線Oに平行な仮想面内におけるピッチ角は、36.2〜40.0°であることが好ましく、本例では38.1°である。また、第5仮想線VL5を含むとともにロータ1の回転中心軸線Oに平行な仮想面内におけるピッチ角は、7.13〜7.89°であることが好ましく、本例では7.51°である。
【0034】
図3は、
図1に示すブレード20を、ロータ1の回転中心軸線Oに対して垂直な方向に展開した図であり、すなわち、ブレード20のピッチ角をブレード20の全長にわたって0°にした状態を示している。
本例では、
図3の展開図において、ブレード20の前縁31が、互いに異なる2つのロータ径方向位置のみで、ロータ回転方向RDの前側へ山状に突出した前縁山部136、137を有している。
【0035】
また、本例では、
図3の展開図において、ブレード20の前縁31は、第2仮想線VL2よりもロータ径方向内側の部分に(より具体的には、第1仮想線VL1と第2仮想線VL2との間に)、第1前縁山部136の突出先端136aを有し、第2仮想線VL2よりもロータ径方向外側の部分に、第2前縁山部137の突出先端137aを有している。
【0036】
本例のロータ1では、
図3の展開図において、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW11と、第2仮想線VL2に沿うブレード20の幅BW12と、第3仮想線VL3に沿うブレード20の幅BW13と、第4仮想線VL4に沿うブレード20の幅BW14と、第5仮想線VL5に沿うブレード20の幅BW15とが、次の不等式(4)と(5)を満たしている:
BW11<BW13 ・・・(5)
BW13>BW12>BW14>BW15 ・・・(6)
【0037】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW11と、第5仮想線VL5に沿うブレード20の幅BW15とが、次の不等式(6)を満たしている:
BW11>BW15 ・・・(7)
【0038】
また、本例のロータ1においては、
図3の展開図において、第1仮想線VL1に沿うブレード20の幅BW11と、第2仮想線VL2に沿うブレード20の幅BW12とが、次の不等式(8)を満たしている:
BW12<BW11 ・・・(8)
【0039】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、2つの前縁山部136、137のうちの、ロータ径方向内側のほうの第1前縁山部136の突出先端136aが、ブレード20の前縁31のロータ径方向内側端33と、ロータ径方向外側のほうの第2前縁山部137の突出先端137aとを結んだ、第1線分L11に対して、ロータ回転方向RDの前側にある。
【0040】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、2つの前縁山部136、137のうちの、ロータ径方向外側のほうの第2前縁山部137の突出先端137aが、ロータ径方向内側のほうの第1前縁山部136の突出先端136aと、ブレード20の前縁31のロータ径方向外側端35とを結んだ、第2線分L12に対して、ロータ回転方向RDの前側にある。
【0041】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、ブレード20の後縁41が、ブレード20の後縁41におけるロータ径方向内側端43とロータ径方向外側端45とを結んだ、第3線分L3と、1点で交差しており、ブレード20の後縁41のうち、第3線分L3との交点142よりもロータ径方向内側の部分146が、第3線分L3よりもロータ回転方向RDの後側にあり、ブレード20の後縁41のうち、第3線分L3との交点142よりもロータ径方向外側の部分147が、第3線分L3よりもロータ回転方向RDの前側にある。
【0042】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、両方の前縁山部136、137の突出先端136a、137aが、ブレード20の前縁31におけるロータ径方向内側端33とロータ径方向外側端35とを結んだ、第4線分L4に対して、ロータ回転方向前側にある。
【0043】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、ブレード20の前縁31が、その全体にわたって、第4線分L4よりもロータ回転方向RDの前側にある。
【0044】
また、本例のロータ1では、
図3の展開図において、第1仮想線VL1、第2仮想線VL2、第3仮想線VL3、第4仮想線VL4、第5仮想線VL5上において、ブレード20の前縁31と後縁41とから等距離にある点を、それぞれ第1中心点P1、第2中心点P2、第3中心点P3、第4中心点P4、第5中心点P5としたとき、第2中心点P2と第3中心点P3とは、第1中心点P1と第4中心点P4とを結んだ線分上にある。また、本例では、第1中心点P1と第4中心点P4とを結んだ線分と、第4中心点P4と第5中心点P5とを結んだ線分との、なす角度θが、133°である。
これにより、流体の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性をさらに向上できる。
ただし、上記のなす角度θは、その他の値をとってもよく、120〜146°であるのが好ましい。
図3の例では、その展開図において、第1中心点P1と、ブレード20の基端21のロータ周方向中心点21aとが、重なっている。
【実施例】
【0045】
比較例1〜4のロータと本発明の実施例1のロータとの性能を、解析により評価した。比較例1〜4、実施例1の各ロータは、互いにブレードの形状のみを異ならせたものとし、いずれも、ロータの直径Φを926mm、ブレードの長さBLを349mm、ハブの半径rを114mmし、ブレードの数を3つとした。
比較例1のロータは、ブレードの前縁及び後縁が、ブレードの全長にわたって直線状であるものとした。
比較例2〜4のロータは、ブレードの前縁及び後縁が、それぞれ、第3仮想線VL3、第2仮想線VL2、第4仮想線VL4の位置で、ロータ回転方向前側に凸に湾曲するものとした。
実施例1のロータは、上述した
図1〜
図3の例におけるブレード形状を有するものとした。
各ロータの他の諸元を、表1に示す。
表1において、「ブレード幅中心線」とは、ブレードにおける、第1中心点P1、第3中心点P3、第2中心点P2、第4中心点P4、及び第5中心点P5を、この順番で線分により繋げてなる仮想線を指している。「0.25BLで屈曲」、「0.50BLで屈曲」、「0.75BLで屈曲」とは、それぞれ、上記のブレード幅中心線が、第3中心点P3で屈曲、第2中心点P2で屈曲、第4中心点P4で屈曲していることを指している。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から判るように、実施例1のロータは、比較例1〜4のロータと比較して、周速比λ=0.926、λ=2.78、λ=5.56の全ての場合において、十分に良好な出力係数が得られていることから、風の速度や向きの変動に対する発電効率の安定性がより高いといえる。
なお、実施例1のロータでは、周速比λ=3.7のときに出力係数が最大(0.398)となった。