(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1絞り込み手段は、前記第2表示制御手段により順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果の情報のうち少なくとも1つを、前記第1提示手段により提示された診察行為に応じた身体所見の情報として入力して、前記第2記憶手段の記憶内容に基づいて、入力された前記病名の候補の絞り込みを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の病名診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
図1は、本発明の実施形態に係る病名診断装置を示す外観図である。
図1に示す病名診断装置1は、例えばパーソナルコンピュータの1機能として実現されるものであり、医療機関における医師によって操作され、病名の診断に用いられるものである。このような病名診断装置1は、キーボード2やマウス3などの入力手段を備え、入力手段に対する操作等を経て病名を診断することとなる。
【0026】
なお、以下では病名診断装置1をパーソナルコンピュータの1機能として説明するが、これに限らず、複数台のパーソナルコンピュータやサーバとがネットワーク接続されたシステムによって病名診断装置1が構成されていてもよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る病名診断装置1を示すハード構成図である。
図2に示すように、病名診断装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ディスプレイ20と、通信I/F(interface)部30と、HDD(Hard Disk Drive)50とを備えている。
【0028】
CPU10は、本実施形態に係る病名診断装置1の全体を制御するものであり、
図2に示すようにROM(Read Only Memory)10aとRAM(Random Access Memory)10bとを備えている。ROM10aは、病名診断装置1を機能させるための病名診断プログラムが記憶された読み出し専用のメモリである。RAM10bは、各種のデータを格納すると共にCPU10の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
【0029】
ディスプレイ20は、キーボード2やマウス3の操作による入力画像を表示したり、病名診断装置1により診断された病名を表示したりするものである。通信I/F部30は、他の装置と通信するためのインターフェースである。後述する各記憶部51〜59に記憶される内容は、この通信I/F部30を通じて他の装置から取得するようになっていてもよい。
【0030】
HDD50は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD50には、ROM10aと同様に、病名診断装置1を機能させるための病名診断プログラムが記憶されさていてもよい。すなわち、CPU10は、HDD50に記憶されるプログラムに従って、本実施形態に係る病名診断装置1の各機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDDに代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。
【0031】
図3は、本実施形態に係る病名診断装置1を示すソフト構成図である。
図3に示すように、CPU10は、病名診断機能部Aと、病態判断機能部Bとを備えている。病名診断機能部Aは、ROM10aやHDD50に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、第1提示部(第1提示手段)11と、第1絞り込み部(第1絞り込み手段)12と、第2提示部(第2提示手段)13と、第2絞り込み部(第2絞り込み手段)14と、第3提示部(第3提示手段)15とが機能する。さらに、病態判断機能部Bは、ROM10aやHDD50に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、表示制御部16、症状結果判断部(症状結果判断手段)17、及び病名候補判断部(病名候補判断手段)18が機能する。
【0032】
また、
図3に示すように、HDD50は、診察行為記憶部(第1記憶手段)51と、身体所見記憶部(第2記憶手段)52と、検査記憶部(第3記憶手段)53と、検査結果記憶部(第4記憶手段)54とを有している。加えて、HDD50は、症状項目記憶部55と、質問内容記憶部(第5記憶手段)56と、選択肢記憶部(第8記憶手段)57と、症状結果テーブル記憶部(第7記憶手段)58と、病名候補テーブル記憶部(第6記憶手段)59とを有している。
【0033】
まず、病名診断機能部Aとそれに関連する記憶部51〜54について説明する。
【0034】
診察行為記憶部51は、病名と病名を確定するために行うべき診察行為とを対比させて記憶する記憶部である。
図4は、
図3に示した診察行為記憶部51の記憶内容を示す概念図である。
図4に示すように、診察行為記憶部51には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応して診察行為が記憶されている。
【0035】
図4に示す例において診察行為記憶部51には、病名αに対する診察行為1として「○○1」と記憶されており、診察行為2として「○○2」と記憶されている。○○1は、例えば「左下腹部に痛みがあるかを確認するために触診を行う」であり、○○2は、例えば「呼吸音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。また、診察行為記憶部51には、病名βに対する診察行為1として「××1」と記憶されており、病名γに対する診察行為1として「△△1」と記憶されている。××1は、例えば「左下腹部にしこりがあるかを確認するために触診を行う」であり、△△1は、例えば「心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。
【0036】
図3を参照する。身体所見記憶部52は、病名と病名によって得られる身体所見とを対比させて記憶する記憶部である。
図5は、
図3に示した身体所見記憶部52の記憶内容を示す概念図である。
図5に示すように、身体所見記憶部52には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する身体所見が記憶されている。
【0037】
例えば特定の病気については、身体所見として、心音の乱れや、呼吸音の乱れが得られる傾向にある。更には、他の特定の病気については、身体所見として、特定箇所における痛みやしこりが得られる傾向にある。身体所見記憶部52は、このような医師による身体所見と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0038】
図5に示す例において、身体所見記憶部52は、病名αについて、身体所見1として「左下腹部に痛み有り」と記憶しており、身体所見2として「呼吸音に乱れ有り」と記憶している。また、病名βについては身体所見1として「左下腹部にしこり有り」と記憶しており、病名γについては身体所見1として「心音に乱れ有り」と記憶している。
【0039】
なお、身体所見記憶部52は、診察行為記憶部51に記憶される診察行為を行ったことによる身体所見を記憶するものであり、例えば診察行為記憶部51において病名γの診察行為は「△△1(心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う)」となっているのに対し、身体所見記憶部52において病名γの身体所見は「心音に乱れ有り」となっている。すなわち、診察行為記憶部51と身体所見記憶部52との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部51,52は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
【0040】
図3を参照する。検査記憶部53は、病名と病名を確定するために行うべき検査とを対比させて記憶する記憶部である。
図6は、
図3に示した検査記憶部53の記憶内容を示す概念図である。
図6に示すように、検査記憶部53には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査が記憶されている。
【0041】
例えば心臓病であるか確定するためには、心電図、胸部X線写真、心臓カテーテルなどの検査が行われる。また、大腸がんの検査には、検便が行われる。さらに、肝炎や膵炎などの検査には、血液検査が行われる(肝炎はGOT値等、膵炎は血清アミラーゼ値の検査)。検査記憶部53は、このような検査項目と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0042】
図6に示す例において、検査記憶部53は、病名αについて検査1として「血液検査(○○値)」と記憶しており、病名βについて検査1として「検便」と記憶している。また、病名γについては検査1として「血液検査(××値)」と記憶している。なお、各病名に対して検査は1つに限るものではない。
【0043】
図3を参照する。検査結果記憶部54は、病名と病名によって得られるはずである検査結果とを対比させて記憶する記憶部である。
図7は、
図3に示した検査結果記憶部54の記憶内容を示す概念図である。
図7に示すように、検査結果記憶部54には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査結果が記憶されている。
【0044】
例えば大腸がんにおいては、便に血が混じったり、便が細くなったりする。さらに、肝炎においては、例えばGOT値が35IU/I以上となる。また、膵炎においては、血清アミラーゼ値が60〜190U/dlの範囲外となる。検査結果記憶部54は、このような検査結果と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0045】
図7に示す例において、検査結果記憶部54は、病名αについて検査結果1として「○○値がX値以上」と記憶しており、病名βについて検査結果1として「便に血が混じっている」と記憶している。また、病名γについては検査結果1として「××値がY1〜Y2の範囲外」と記憶している。
【0046】
なお、検査結果記憶部54は、検査記憶部53に記憶される検査に対する結果を記憶するものであり、例えば検査記憶部53において病名αの検査は「血液検査(○○値)」となっているのに対し、検査結果記憶部54において病名αの検査結果は「○○値がX値以上」となっている。すなわち、検査記憶部53と検査結果記憶部54との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部53,54は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
【0047】
加えて、上記した各記憶部51〜54は、全て病名の項目を含んでいることから、病名を軸にして、診察行為、身体所見、検査及び検査結果の内容を記憶した1つのデータベースにより構成されていてもよい。
【0048】
再度、
図3を参照する。第1提示部11は、候補となる病名が入力された場合に、入力された病名と対応する診察行為を診察行為記憶部51から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば
図8に示す画像が表示される。
【0049】
図8は、
図3に示した第1提示部11により表示される画面を示す正面図である。
図8に示すように、例えば候補となる病名としてα,β,γが入力された場合、
図4を参照して説明した病名α,β,γに対応する診察行為が抽出されて画像表示される。
【0050】
具体的には
図8に示すように、病名αに対応した診察行為である「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1、及び、「呼吸音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC2が表示される。さらには、病名βに対応した診察行為である「左下腹部にしこりがあるか確認してください。」という診察行為内容AC3、及び、「心音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC4が表示される。医師は、上記のような診察行為内容ACが表示されることにより、誤り無く行うべき診察行為を行うことができる。
【0051】
加えて、各診察行為内容AC1〜AC4のそれぞれに隣接して身体所見の情報を入力する入力項目IT1〜IT4が表示されている。各入力項目IT1〜IT4は、ラジオボタン形式となっている。具体的に診察行為内容AC1の入力項目IT1は、「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、診察行為内容AC2の入力項目IT2は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成され、診察行為内容AC3の入力項目IT3は、「しこり有り」と「しこり無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。加えて、診察行為内容AC4の入力項目IT4は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
【0052】
そして、医師が診察行為を行うことで得た身体所見の情報を、キーボード2又はマウス3等の入力手段を通じて入力すると、第1絞り込み部12が機能することとなる。
【0053】
再度、
図3を参照する。第1絞り込み部12は、第1提示部11により提示された診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、身体所見記憶部52の記憶内容に基づいて、入力された候補となる病名の絞り込みを行うものである。
【0054】
例えば、
図8に示す画面において、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定され、入力項目IT3では「しこり有り」が指定され、入力項目IT1では「乱れ無し」が指定されたとする。この場合、第1絞り込み部12は、このような指定された入力内容と、身体所見記憶部52の記憶内容とを対比させて病名の絞り込みを行う。
【0055】
すなわち、
図5に示すように、病名αの身体所見については「左下腹部に痛み有り」且つ「呼吸音に乱れ有り」となっている。上記においては、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αである可能性がある。同様に、病名βの身体所見については「左下腹部にしこり有り」となっている。上記においては、入力項目IT3では「しこり有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名βである可能性がある。これに対して、病名γの身体所見については「心音に乱れ有り」となっている。一方、入力項目IT3では「乱れ無し」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名γである可能性がない。以上のように、第1絞り込み部12は、病名の絞り込みを行う。
【0056】
第2提示部13は、第1絞り込み部12により絞り込まれた病名と対応する検査を検査記憶部53から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部11と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば
図9に示す画像が表示される。
【0057】
図9は、
図3に示した第2提示部13により表示される画面を示す正面図である。
図9に示すように、例えば第1絞り込み部12により病名γの可能性が否定され、病名αと病名βとに絞り込まれた場合、
図5を参照して説明した病名α,βに対応する検査が抽出されて画像表示される。
【0058】
具体的には
図9に示すように、病名αに対応した検査である「血液検査(○○値)」という検査内容IC1、及び、病名βに対応した検査である「検便」という検査内容IC2が表示される。医師は、上記のような検査内容ICが表示されることにより、誤り無く行うべき検査を実施することができる。
【0059】
加えて、各検査内容IC1〜IC2のそれぞれに隣接して検査結果を問う質問項目Q1,Q2と、検査結果の情報を入力する入力項目IT5,IT6が表示されている。各入力項目IT5,IT6は、ラジオボタン形式となっている。具体的に検査内容IC1の質問項目Q1は、「○○値はX値以上であるか。」という文字表示となっており、入力項目IT5は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、検査内容IC2の質問項目Q2は、「便に血が混じっているか。」という文字表示となっており、入力項目IT6は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
【0060】
そして、医師が検査を通じて得た検査結果の情報を、キーボード2又はマウス3等の入力手段を通じて入力すると、第2絞り込み部14が機能することとなる。
【0061】
再度、
図3を参照する。第2絞り込み部14は、第2提示部13により提示された検査に応じた検査結果が入力された場合に、検査結果記憶部54の記憶内容に基づいて、第1絞り込み部12により絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うものである。
【0062】
例えば、
図9に示す画面において、入力項目IT5では「YES」が指定され、入力項目IT6では「NO」が指定されたとする。この場合、第2絞り込み部14は、このような指定された入力内容と、検査結果記憶部54の記憶内容とを対比させて更に病名の絞り込みを行う。
【0063】
すなわち、
図7に示すように、病名αの検査結果については「○○値がX値以上」となっている(すなわち、質問項目Q1に対して入力項目IT5では「YES」)。上記においては、入力項目IT5では「YES」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αであるといえる。一方、病名βの検査結果については「便に血が混じっている」となっている(すなわち、質問項目Q2に対して入力項目IT6では「YES」)。上記においては、入力項目IT6では「NO」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名βである可能性がない。以上のように、第2絞り込み部14は、病名の絞り込みを行う。
【0064】
再度
図3を参照する。第3提示部15は、第2絞り込み部14により絞り込まれた結果を医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部11と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば
図10に示す画像が表示される。
【0065】
図10は、
図3に示した第3提示部15により表示される画面を示す正面図である。
図10に示すように、例えば第2絞り込み部14により病名βの可能性が否定され、病名αに絞り込まれた場合、第3提示部15は、例えば「病名はαであると判断できます。」などと最終結果FRを画像表示させる。
【0066】
以上のように、医師は、病名の候補を入力し、提示される診察行為及び検査を行い、身体所見と検査結果を入力すれば、最終結果FRを得ることができる。しかも、診察行為や検査の誤った実施が防止されるため、病名をより精度良く診断することができる。
【0067】
なお、上記した説明においては、最終結果FRとして病名αという1つの病気が残ることとなったが、これに限らず、例えば癌などのように複数箇所に同時に発生し得るもの、すなわち複数の病気を併発しているような場合には、最終結果FRとして複数の病気が表示されることとなる。さらには、医師が初期的に入力した病名の候補に、正しい病名が無かった場合には、最終結果FRとして他の病名候補の入力を促すような画像表示がされてもよい。加えて、上記のように、検査結果の入力形式は選択肢を選択する方式であるが、可能であれば数値等を直接入力する形式であってもよい。
【0068】
ここで、医師が正しい病名の候補を入力できなかった場合には、最終結果FRとして病名が医師に提示されなくなる。よって、このような事態を防止すべく、病態判断機能部Bが重要となる。
【0069】
次に、病態判断機能部Bとそれに関連する記憶部55〜59について説明する。
【0070】
図3に示す症状項目記憶部55は、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。
図11は、
図3に示した症状項目記憶部55の記憶内容を示す概念図である。
図11に示すように、症状項目記憶部55には、X個(Xは2以上の整数であって、
図11に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、病名の候補を判断する対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」などである。
【0071】
さらに、症状項目記憶部55は、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態に係る病名診断装置1では、年齢及び性別を示す属性情報をキーボード2やマウス3への操作を通じて病名診断装置1に入力できるようになっている。病名診断装置1は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
【0072】
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部55は、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
【0073】
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が
図8に示すものと異なることはいうまでもない。
【0074】
再度、
図3を参照する。質問内容記憶部56は、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。
図12は、
図3に示した質問内容記憶部56の記憶内容を示す概念図である。
図12に示すように、質問内容記憶部56は、
図11に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
【0075】
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度などの量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か。」「熱は何度か。」などの質問である。
【0076】
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃などの時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か。」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか。」などの質問である。
【0077】
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、広義には回答が量でも時間でもないものとなる質問である。例えば「乾いた咳か。」「痰は何色か。」などは定性質問である。
【0078】
なお、症状項目のそれぞれには、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されている。
【0079】
例えば質問内容記憶部56は、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部56は、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部56は、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
【0080】
再度、
図3を参照する。選択肢記憶部57は、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部57は、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
【0081】
図13及び
図14は、
図3に示した選択肢記憶部57の記憶内容の一例を示す概念図であり、
図13は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、
図14は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、
図13及び
図14に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部57は、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
【0082】
図13に示すように、選択肢記憶部57は、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
【0083】
同様に、選択肢記憶部57は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
【0084】
また、
図14に示すように、選択肢記憶部57は、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
【0085】
同様に、選択肢記憶部57は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
【0086】
再度
図3を参照する。症状結果テーブル記憶部58は、症状ごとの結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部58は、選択肢記憶部57と同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
【0087】
図15及び
図16は、
図3に示した症状結果テーブル記憶部58の記憶内容の一例を示す概念図であり、
図15は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、
図16は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、
図15及び
図16に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部58は、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、
図15及び
図16では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部58が症状結果テーブルを記憶している。
【0088】
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されていた。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられていた。
【0089】
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部58は、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、
図15に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
【0090】
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などの情報を含むものとなっている。
【0091】
また、属性区分が12歳以下であるとき、
図16に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
【0092】
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
【0093】
再度
図3を参照する。病名候補テーブル記憶部59は、症状毎の結果に対して病名の候補が割り当てられたものである。
図17は、
図3に示した病名候補テーブル記憶部59の記憶内容の一例を示す概念図であり、通常候補テーブルを示している。また、
図18は、
図3に示した病名候補テーブル記憶部の記憶内容の一例を示す概念図であり、特定候補テーブルを示している。
【0094】
図17に示すように、通常候補テーブル(病名候補テーブル)は、症状項目ごとに記憶される症状結果テーブルが示す結果それぞれと、病名の候補とを対応させたものであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であった場合には、病名の候補として病名α,β,γ,δ,εが割り当てられており、結果がA2であった場合には、病名の候補として病名β,γ,ε,ζ,φが割り当てられている。他の結果A3〜A54についても同様に病名の候補が割り当てられている。加えて、病名候補テーブルは、
図17に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44についても同様に病名の候補が割り当てられている。すなわち、他の症状項目の結果それぞれについて病名の候補が割り当てられている。
【0095】
さらに、
図18に示す特定候補テーブル(病名候補テーブル)は、特定の症状毎の結果と病名の候補とを対応させたテーブルであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であり、「咳が出る」の結果がB3であったとする。特定候補テーブルは、これらの結果の組み合わせによって、発生している可能性が高い病名を記憶しており、例えば病名γ(例えば風邪)と記憶している。例えば或る種の風邪をひいた場合には、熱が出て、咳が出て、鼻水が出るなどといった一連の体の変化が生じる。特定候補テーブルは、このような一連の体の変化(症状毎の結果)の組み合わせと病名とを対応させて記憶している。
【0096】
なお、特定候補テーブルにおいては、特定の結果の組み合わせと1つの病名とが対応しているが、1つの病名に限らず、複数の病名が対応していてもよい。さらに、特定の結果の組み合わせに対して、上記した病態のより詳細な情報(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などのより詳細な情報)が対応付けて記憶されていることが好ましい。
【0097】
再度、
図3を参照する。表示制御部16は、ディスプレイ20に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部(第1表示制御手段)16a、第2表示制御部(第2表示制御手段)16b、第3表示制御部(第3表示制御手段)16c、及び第4表示制御部16dを備えている。
【0098】
第3表示制御部16cは、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。
図19は、
図3に示した第3表示制御部16cにより表示される画面を示す正面図である。
図19に示すように、第3表示制御部16cは、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス20aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス20bとを表示させる。
【0099】
医師は、テキストボックス20aに対して生年月日を入力し、チェックボックス20bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、医師が、画面上に表示される「次へ」のボタン20cを指定すると、属性情報が病名診断装置1に入力されることとなる。これにより、CPU10は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
【0100】
再度、
図3を参照する。第1表示制御部16aは、症状項目記憶部55に記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第1表示制御部16aは、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部55に記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、
図20及び
図21のような表示がなされる。
【0101】
図20及び
図21は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、
図20は第1の例を示し、
図21は第2の例を示している。
【0102】
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第1表示制御部16aは、
図11に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部16aは、抽出した症状項目に基づいて
図20に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
【0103】
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第1表示制御部16aは、
図11に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部16aは、抽出した症状項目に基づいて
図21に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
【0104】
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、
図4に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を医師に提示させることができる。
【0105】
さらに、
図20及び
図21に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス20dが隣接して表示されている。医師は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス20dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、医師は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報を病名診断装置1に認識させることとなる。
【0106】
再度、
図3を参照する。第2表示制御部16bは、第1表示制御部16aにより表示された画面(すなわち
図20及び
図21に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部56から読み出して順次画面表示させるものである。この際、第2表示制御部16bは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部57に記憶される選択肢が読み出されて表示させられる。
【0107】
図22及び
図23は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、
図22は第1の例を示し、
図23は第2の例を示している。なお、
図22及び
図23に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
【0108】
図22に示すように、第2表示制御部16bは、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
【0109】
また、第2表示制御部16bは、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。
図22に示す例では、属性区分が「13歳以上の男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
【0110】
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
【0111】
一方、
図23に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が
図14に示す例と異なっている。
【0112】
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は
図14に示す例と同じとなっている。
【0113】
さらに、
図22及び
図23に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス20eが表示されている。医師は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス20eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、医師は、OKボタン20fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報を病名診断装置1に認識させることとなる。
【0114】
また、OKボタン20fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部16bによって表示される。例えば医師が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン20fが指定されると、第2表示制御部16bは、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
【0115】
そして、第2表示制御部16bは、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示し、OKボタン20fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
【0116】
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
【0117】
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」などと予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか。」といったものは含まれない。
【0118】
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とは言えない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
【0119】
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
【0120】
再度、
図3を参照する。症状結果判断部17は、第2表示制御部16bにより順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部17は、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部58に記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
【0121】
ここで、本実施形態において症状結果判断部17は、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か。」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「39.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上38.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人などのように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、本装置1は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師などにより直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本装置1の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
【0122】
病名候補判断部18は、病名候補テーブル記憶部59に記憶される病名候補テーブルに、症状結果判断部17により判断された症状毎の結果を当てはめることで、病名の候補を判断するものである。ここで、当てはめる対象は、
図17に示したような通常候補テーブルと、
図18に示したような特定候補テーブルとの双方である。
【0123】
上記したように、病名候補テーブルには、症状の結果それぞれに病名の候補が割り当てられている。具体的には、
図17に示す通常候補テーブルにおいて結果A1の病名の候補には病名α,β,γ,δ,εが対応しており、結果B3の病名の候補には病名γ,δ,φ,εが対応している。さらに、
図18に示す特定候補テーブルでは、結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補には病名γが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA1とB3となった場合、病名候補判断部18は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名α,β,γ,δ,ω,φ,εと判断する。特に、病名候補判断部18は、病名γが通常候補テーブルにおける結果A1,B3との双方の候補になっており、且つ、特定候補テーブルにおける結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補にも挙がっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
【0124】
さらに、もう一例説明する。例えば
図17に示す通常候補テーブルにおいて結果A54の病名の候補には病名γ,δ,ω,φが対応しており、結果B1の病名の候補には病名θ,ω,εが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA54とB1となった場合、病名候補判断部18は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。このとき、
図18の特定候補テーブルに示すように、結果A54と結果B1との組み合わせが存在せず、病名の候補が存在しない。よって、病名候補判断部18は、通常候補テーブルのみから、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。なお、この場合において病名候補判断部18は、病名ωが結果A54,B1との双方の候補になっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
【0125】
第4表示制御部16dは、病名候補判断部18により判断された病名の候補を画面表示させるものである。
図24は、病名候補を示す画面の一例を示す正面図である。第4表示制御部16dは、例えば、症状結果判断部17により判断された症状の結果、及び、病名候補判断部18により判断された病名の候補を表示する。具体的に第4表示制御部16dは、
図24に示すように、例えば「咽頭が炎症しています。医療機関の受診をお勧めします。考えられる病名としては、風邪、咽頭炎、インフルエンザが挙げられます。」と表示させる。ここで、「咽頭が炎症しています。」が症状毎の結果に該当している。症状毎の結果が複数ある場合、その全てが表示されてもよいし、
図24に示すように、1つだけ表示されてもよい。また、第4表示制御部16dは、「終了」ボタン20gについても表示させている。なお、これらの病名は、可能性が高いものから順番に表示されることが好ましい。この場合、
図17の通常候補テーブルに示す病名に可能性の情報を付加しておく必要がある。すなわち、
図17の結果A54について病名γはXポイント、病名δはYポイント、病名ωはZポイントなど情報を付加しておくことで、可能性が高いものから順番に表示させることができる。さらに、結果A54及びB1のように、病名ωについては結果A54の可能性のポイントと結果B1における可能性のポイントとが加算されることが好ましい。加えて、特定候補テーブルに挙げられる病名については、通常候補テーブルに記憶されるポイントよりも大きなポイントの情報が付与されており、これが加算されることとなる。従って、結果A1及び結果B3が得られている場合には、病名γのポイントが他の病名よりも圧倒的に高い数値となる。
【0126】
加えて、第4表示制御部16dは、
図24に示すように、例えば「但し、確率的には低いですが、見逃してはいけない項目として天疱瘡、咽頭がんが挙げられます。」と表示させる。この場合、
図17の通常候補テーブルに示す病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。例えば、
図17の結果A54について病名γはxポイント、病名δはyポイント、病名ωはzポイントなど情報を付加しておく。他の結果A1〜A53等についても同様に致命度の情報を付加しておく。さらに、通常候補テーブルだけでなく、
図18に示す特定候補テーブルにおいても、病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。そして、第4表示制御部16dは、致命度が所定ポイント以上となる病名について見逃してはいけない旨を表示させる。すなわち、
図24に示す例では、天疱瘡及び咽頭がんについて見逃してはいけない旨を表示させる。
【0127】
医師は、画面表示される病名を認識した後に「終了」ボタン20gを指定する。これにより、CPU10は、例えば
図11に示す属性情報の入力画面に戻ることとなる。
【0128】
以上のように、病態判断機能部Bは、病名の候補を医師に提示することができる。医師は、病態判断機能部Bにより判断された候補となる病名を入力することにより、病名診断機能部Aを機能させることとなる。これにより、第1提示部11は、病名候補判断部18により判断された病名の候補が入力された場合に、診察行為記憶部51の記憶内容から、行うべき診察行為を抽出して医師に提示することとなる。なお、病態判断機能部Bにより判断された候補となる病名は、医師による手入力に拘わらず、手入力を必要とせず自動的に入力されるようになっていてもよい。さらに、自動入力される場合には、
図24に示すような表示が行われなくともよい。
【0129】
次に、本実施形態に係る病名診断装置1の動作を説明する。
図25及び
図26は、本実施形態に係る病態判断機能部Bの動作の一例を示すフローチャートであり、
図25は前半部分を示し、
図26は後半部分を示している。
【0130】
図25に示すように、まず第3表示制御部16cは、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第3表示制御部16cは、例えば
図19に示すような画面を表示させる。そして、CPU10は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。
図19に示す例の場合、CPU10は、テキストボックス20aに生年月日が入力され、チェックボックス20bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン20cが指定されたかを判断することとなる。
【0131】
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第1表示制御部16aは、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第1表示制御部16aは、例えば
図20及び
図21に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
【0132】
その後、CPU10は、症状項目が選択されたかを判断する(S4)。
図20及び
図21に示す例の場合、CPU10は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス20dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。
【0133】
次いで、CPU10は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、選択された数をi
maxとする(S5)。すなわち、
図20及び
図21に示す例の場合、CPU10は、チェックされたチェックボックス20dの数をi
maxとする。その後、CPU10は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
【0134】
次に、第2表示制御部16bは、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第2表示制御部16bは、例えば
図22及び
図23に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
【0135】
その後、CPU10は、回答があったかを判断する(S9)。
図22及び
図23に示す例の場合、CPU10は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス20eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン20fが指定されたかを判断することとなる。
【0136】
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部17は、回答調整を行う(S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人などの傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
【0137】
そして、症状結果判断部17は、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部17は、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
【0138】
次に、CPU10は、変数iがi
maxであるかを判断する(S12)。変数iがi
maxでないと判断した場合(S12:NO)、CPU10は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は
図25に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
【0139】
一方、変数iがi
maxであると判断した場合(S12:YES)、病名候補判断部18は、ステップS11にて判断された症状毎の結果が特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当するかを判断する(S14)。該当すると判断した場合(S14:YES)、病名候補判断部18は、特定候補テーブルから特定の組み合わせに対応する病名を抽出する(S15)。そして、処理はステップS16に移行する。
【0140】
一方、特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当しないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS16に移行し、病名候補判断部18は、ステップS11において判断された症状毎の結果を
図17に示した通常候補テーブルに当てはめることにより、病名の候補を抽出する(S16)。
【0141】
そして、第4表示制御部16dは、ステップS15及びステップS16において抽出された病名候補を表示させる(S17)。そして、
図25及び
図26に示した処理は終了する。なお、第4表示制御部16dが
図24に示したような画面を表示していた場合には、操作者が「終了」ボタン20gを指定することにより、
図25及び
図26に示した処理は終了することとなる。また、
図24に示すように、病名の候補のみならず症状毎の結果についても表示させることが好ましい。
【0142】
図27は、本実施形態に係る病名診断機能部Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図27に示すように、まずCPU10は病名の候補が入力されたかを判断する(S21)。ここでは手入力されたかが判断されもよいし、
図26に示したステップS13において判断された病名の候補が自動入力されたかが判断されもよい。病名の候補が入力されていないと判断した場合(S21:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0143】
一方、病名の候補が入力されたと判断した場合(S21:YES)、第1提示部11は、診察行為記憶部51に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した診察行為を抽出し医師に提示する(S22)。これにより、医師による診察行為が行われ、身体所見が得られることとなる。
【0144】
次に、CPU10は、ステップS22において提示した診察行為に対応する身体所見の情報が入力されたかを判断する(S23)。身体所見の情報が入力されていないと判断した場合(S23:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0145】
身体所見の情報が入力されたと判断した場合(S23:YES)、第1絞り込み部12は、身体所見記憶部52に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した身体所見が得られているかを判断し、候補となる病名の絞り込みを行う(S24)。
【0146】
次に、第2提示部13は、ステップS24において絞り込まれた病名を確定するための検査を、検査記憶部53から抽出して医師に提示する(S25)。これにより、患者に対して検査が実施されることとなる。
【0147】
その後、CPU10は、ステップS25において提示した検査に対応する結果の情報が入力されたかを判断する(S26)。検査結果の情報が入力されていないと判断した場合(S26:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。なお、ここでの検査結果は医師による手入力でなくともよく、検査装置等から自動入力されるようになっていてもよい。
【0148】
検査結果の情報が入力されたと判断した場合(S26:YES)、第2絞り込み部14は、検査結果記憶部54に記憶される記憶内容に基づいて、第1絞り込み部12により絞り込まれた病名に対応した検査結果が得られているかを判断し、更に絞り込みを行う(S27)。
【0149】
その後、第3提示部15は、ステップS27において得られた最終結果FRを医師に提示する(S28)。この第3提示部15は、最終結果FRとして1つの診断病名を提示する場合に限らず、何の病名も当てはまらない旨を提示するようになっていてもよいし、複数の診断病名を提示するようになっていてもよい。
【0150】
このようにして、本実施形態に係る病名診断装置1、病名診断プログラム、及び、当該プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、候補となる病名が入力された場合に行うべき診察行為を抽出して医師に提示するため、医師による勘違いや記憶違いによる誤った診察行為が行われてしまうことを防止することができる。また、診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、入力された候補となる病名の絞り込みを行い、絞り込まれた病名に対して行うべき検査を抽出して医師に提示するため、医師による勘違いや記憶違いによる誤った検査が行われてしまうことを防止することができる。さらに、検査結果が入力された場合に、絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行い、その結果を医師に提示するため、最終的な病名の診断についても誤りを防止することができる。従って、病名をより精度良く診断することができる。
【0151】
また、質問内容は、症状項目が示す症状について、量を問う定量質問と、性質を問う定性質問と、時間を問う時間質問とからなる。ここで、本件発明者は、医学的見地に基づいて、定量的、定性的、及び時間的の3つの観点から、症状そのものの重篤度等を判断し、これを統合することで漏れが無く病名の候補を抽出できることを見出した。すなわち、本件発明者は、一般に医者による誤診が、例えば量だけを問い、時間や性質などを問うことなく決めつけてしまうことなどによって発生することを見出した。よって、3つの観点の質問の回答を入力させることで、症状の結果(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)など)をより正確に判断することができ、これらの結果を統合して病名の候補を判断することで、病名候補をより精度良く判断することができる。加えて、このように精度が高い病名候補を入力して行うべき診察行為を医師に提示するため、病名をより一層精度良く診断することができる。
【0152】
また、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものである。ここで、本件発明者は、さらに、一般に医者による誤診が、問診時に、先入観から或る症状とその症状と関連がある症状とに対して同時的な質問をしてしまうことによって発生し易くなることを見出した。よって、各質問は、当該症状のみについて問うものであり、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないことが好ましいといえる。このような質問とすることで、一層正確に症状毎の結果を判断でき、病名候補をより精度良く判断することにつなげることができる。
【0153】
また、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる複数の選択肢を表示させ、選択された選択肢を症状結果テーブルに当てはめて、症状毎の結果を判断する。このため、選択肢を表示させず例えばテキストボックスを表示させて文字を入力されるような場合には的を射ない回答が入力されてしまうことがあり、症状毎の結果が誤って判断されてしまうことがある。しかし、上記であれば、症状毎の結果が誤って判断されてしまう可能性を低減することができる。
【0154】
また、属性区分に応じた1つ以上の症状項目を表示させる。例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、年齢及び性別の少なくとも一方の属性情報に応じた複数の症状項目を記憶しておくことで、年齢や性別ごとに適切な症状項目を表示させることができる。
【0155】
また、属性区分に応じて選択肢を記憶している。例えば、乳児、幼児及び児童は大人よりも熱が高い傾向にある。このため、例えば、乳児、幼児及び児童において「熱がある」の症状項目における「熱は何度か。」という定量質問の選択肢は、「37℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上40℃未満」「40℃以上」といった3つが適切である場合、大人では選択肢を「37℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」とすることが適切となる。また、女性は男性よりも便秘になり易い傾向にある。このため、例えば女性において「便秘である」という症状項目における「便が最後に出たのかいつか。」という時間質問の選択肢は、「本日から2日前」「3日前から6日前」「1週間以上前」といった3つが適切である場合、男性では選択肢を「本日」「昨日又は一昨日」「3日以上前」とすることが適切となる。このように、属性区分に応じた選択肢を記憶しておくことで、年齢や性別ごとに応じた適切な選択をさせることができる。
【0156】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0157】
例えば、本実施形態に係る病名診断装置1は、パーソナルコンピュータ1台により実現されているが、これに限らず、複数台のコンピュータをネットワーク接続して実現される自動診察システムも含む概念である。
【0158】
また、本実施形態において病名診断装置1を機能させるためのプログラムは、ROM10a、HDD50、USB、及び他の装置の記録媒体に限らず、CD−ROM、CD−Rなどの他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
【0159】
さらに、本実施形態において病名診断装置1において属性情報は年齢及び性別の双方に限らず、いずれか一方であってもよい。また、属性情報の入力を要せず、全年齢及び性別に対応するように装置1を構築してもよい。
【0160】
さらに、本実施形態に係る病態判断機能部Bにおいて、選択される症状項目が少なくとも2つ以上なければエラーとなりそれ以降の処理が実行されないようになっていてもよい。
【0161】
また、上記実施形態において定量質問、定性質問及び時間質問の内容は、属性区分間で共通のものとしているが、これに限らず、属性区分に応じて異なるものとすることが好ましい。
【0162】
加えて、上記した診察行為記憶部51、身体所見記憶部52、検査記憶部53、及び、検査結果記憶部54についても、属性情報に応じて異なる内容のものが記憶されていてもよい。
【0163】
さらには、第1絞り込み部12は、第2表示制御部16bにより順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果の情報のうち少なくとも1つを、第1提示部11により提示された診察行為に応じた身体所見の情報として入力して、身体所見記憶部52の記憶内容に基づいて、入力された病名の候補の絞り込みを行うようになっていてもよい。すなわち、一例を挙げると、
図8に示すように、「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1については、例えば
図20及び
図21に示すような症状項目の選択時の情報に基づいて、入力項目IT1の「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方が選択済みになっていてもよい。選択済みになっている場合には、診察行為内容AC1と選択済みである入力項目IT1が医師に提示されてもよいし提示されなくてもよい。
【0164】
これにより、例えば「熱が○○℃以上ある。」などの既に病態判断機能部Bにおいて入力済みの情報を再度診察する必要が無く、スムーズな病名の診断につなげることができるからである。
【0165】
加えて、病名診断装置1は、特定条件判断部を備えると共に、特定条件記憶部を備えるようになっていることが好ましい。ここで、特定条件記憶部には、特定の病気における症状の順番を示すデータが記憶されている。例えば川崎病では、まず発熱が起こり、その後目ヤニが出ない結膜の充血等が発生する。本実施形態においては病態判断機能部Bにおいて時間質問が行われることから、発熱後に結膜の充血が発生したかを判断することができる。すなわち、特定条件判断部は、病態判断機能部Bにおける時間質問の回答から、例えば「発熱後に結膜の充血が発生した」という特定条件に当てはまるかを判断し、当てはまる場合には、川崎病(特定の病気)を病名の候補に追加してもよい。さらには、症状の順番が「結膜の充血後に発熱した」という川崎病と逆になっている場合には、第1及び第2絞り込み部12,14のいずれか一方において、川崎病が排除されるように絞り込みが行われるようになっていてもよい。加えて、川崎病には、結膜の充血時に目ヤニが出ないことも特徴であることから、上記に定性質問の回答結果を絡めるようにしてもよい。