(54)【発明の名称】アイソレーター/サーキュレータージャンクション、アイソレーター/サーキュレータージャンクションを形成する方法、および分割型アイソレーター/サーキュレーター
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複合誘電体は、1.8〜2.7GHzの周波数範囲に対応できる25mm以下の直径を有する、請求項1に記載のサーキュレーター/アイソレータージャンクション。
前記複数の第1誘電セグメントの各々の幅は、伝送線路の製造公差の範囲を超える前記伝送線路の幅を可能にするのに十分である、請求項12に記載の分割型サーキュレーター/アイソレーター。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願明細書に記載の1つ以上の特徴を有する材料を設計、作製および使用することのできる方法を概略に示す図である。
【
図2】イットリウム系ガーネットの結晶格子構造を示す図である。
【
図3】化学式Y
2.15−2xBi
0.5Ca
0.35+2xZr
0.35V
xFe
4.65−xO
12(式中、x=0.1〜0.8)により表される結晶性組成物中のバナジウムレベルの変化に対して材料特性の変化を表すグラフ例である。
【
図4】化学式Bi
0.9Ca
0.9xY
2.1−0.9x(Zr
0.7Nb
0.1)
xFe
5−0.8xO
12(式中、x=0.5〜1.0)により表される結晶性組成物中の(Zr,Nb)レベルの変化に対して材料特性の変化を表すグラフ例である。
【
図5A】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5B】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.1)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5C】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.2)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5D】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.3)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5E】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.4)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5F】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.5)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図5G】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(式中、x=0.6)により表される結晶性組成物中のバナジウムの変化しているレベルにおける焼成温度とさまざまな特性との関係を示すグラフ例である。
【
図6】化学式Bi
0.9Ca
0.9+2xY1.2−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12(x=0〜0.6)により表される結晶性組成物中のバナジウム含有量を変化させた組成物に対して最良線幅を表すグラフ例である。
【
図7】化学式Bi
1.4Ca
1.05−2xZr
0.55V
xFe
4.45−xO
12(x=0〜0.525)により表される結晶性組成物の特性を示すグラフ例である。
【
図8】本願明細書に記載される1つ以上の特徴を有する改質された合成ガーネットを製造するための処理フロー例を示す図である。
【
図9】本願明細書に記載の1つ以上のガーネット特徴を有するフェライト装置の例を示す図である。
【
図10】組成物例Bi
0.5Y
2.5−xCa
xZr
xFe
5−xO
12中のZr含有量(Bi
3+の含有量が実質的に約0.5に固定され、Zr
4+の含有量が0〜0.35に変化されること)に応じて変化するさまざまな特性を示す図である。
【
図11】組成物例Bi
xY
2.65−xCa
0.35Zr
0.35Fe
4.65O
12中のBi含有量(Zr
4+の含有量が実質的に約0.35に固定され、Bi
3+の含有量が変化されること)に応じて変化するさまざまな特性を示す図である。
【
図12】
図11の組成物例のBi含有量に応じて変化する誘電率および密度を示す図である。
【
図13】
図10の組成物例の0.35限界を超えるZr含有量に応じて変化するさまざまな特性の曲線を示す図である。
【
図14】
図13の組成物例のBi含有量が約1.4であり、Zr含有量が約0.55であるときに、V
5+含有量に応じて変化するさまざまな特性の曲線を示す図である。
【
図15A】本願明細書に記載の1つ以上の特徴を有するフェライト装置のサイズ縮小を実現できる一例を示す図である。
【
図15B】本願明細書に記載の1つ以上の特徴を有するフェライト装置のサイズ縮小を実現できる別の例を示す図である。
【
図16A】本願明細書に記載のフェライト装置を有する例示的なサーキュレーター/アイソレーターの組立前の様子を示す図である。
【
図16B】本願明細書に記載のフェライト装置を有する例示的なサーキュレーター/アイソレーターの組立後の様子を示す図である。
【
図17】14.4の誘電率を有するYCaZrVFeガーネット系列をベースにした一例の25mmサーキュレーターと、26.73の誘電率を有するイットリウムを含まないBiCaZrVFeガーネット系列をベースにした他の例の25mmサーキュレーターとの各々の挿入損失曲線および戻り損失曲線を示す図である。
【
図18A】
図17に示された高誘電率のイットリウムを含まないBiCaZrVFeガーネット系列を有する例示的な10mmサーキュレーター装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図18B】
図17に示された高誘電率のイットリウムを含まないBiCaZrVFeガーネット系列を有する例示的な10mmサーキュレーター装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図19】パッケージ化されたサーキュレーターモジュールの例を示す図である。
【
図20】本願明細書に記載された1つ以上のサーキュレーター/アイソレーター装置を実装することができるRFシステムの例を示す図である。
【
図21】サーキュレーター/アイソレータージャンクションの概略を示す図である。
【
図22】従来のサーキュレーター/アイソレータージャンクションの実施形態を示す図である。
【
図23】一実施形態に従った中心導体と伝送線路とを有するサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す分解図である。
【
図24】一実施形態に従ったサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す側面図である。
【
図25】一実施形態に従ったエッチング工程中の伝送線路を示す図である。
【
図26A】本開示の一実施形態に従った高誘電率材料および低誘電率材料の両方を有する本開示のサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す図である。
【
図26B】本開示の一実施形態に従った高誘電率材料および低誘電率材料の両方を有する本開示のサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す図である。
【
図26C】本開示の一実施形態に従った高誘電率材料および低誘電率材料の両方を有する本開示のサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す図である。
【
図26D】本開示の一実施形態に従った高誘電率材料および低誘電率材料の両方を有する本開示のサーキュレーター/アイソレータージャンクションを示す図である。
【
図27】本開示の一実施形態に従った高誘電率材料および低誘電率材料の両方を有するサーキュレーター/アイソレータージャンクションを形成する方法を示す図である。
【
図28A】本開示の一実施形態に従ったサーキュレーター/アイソレータージャンクションを用いた低共鳴帯域装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図28B】本開示の一実施形態に従ったサーキュレーター/アイソレータージャンクションを用いた低共鳴帯域装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図28C】本開示の一実施形態に従ったサーキュレーター/アイソレータージャンクションを用いた低共鳴帯域装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図28D】本開示の一実施形態に従ったサーキュレーター/アイソレータージャンクションを用いた低共鳴帯域装置のSパラメータデータを示す図である。
【
図29】本願明細書に記載の1つ以上の特徴を有するセラミック材料を製造するように実施することができる工程を示す図である。
【
図30】本願明細書に記載の粉末材料から成形物を形成するように実施することができる工程を示す図である。
【
図32】
図30および31の例により形成された成形物を焼結するように実施することができる工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本願明細書の見出しは、いずれも便宜のために提供されたものであり、必ずしも本開示の範囲または意味を影響しない。
【0015】
高周波(RF)設備に有用な高誘電体を製造するための装置およびその方法に関する実施形態は、開示されている。具体的には、本願明細書に開示された装置は、高RF特性を維持しながらより小型化することができるため、電子部品における使用に有利であり得る。たとえば、特定の材料を選択することによって、改良されたRF特性を有する部品を形成することができる。また、部品の特定構造は、装置のRF特性に有利であり得る。また、構造および材料の組合わせは、特に有利であり得る。
【0016】
以下、アイソレーターおよびサーキュレーターを詳細に説明するが、理解すべきことは、本開示は、これらの特定の設備に限定されず、高周波設備に応用される任意の部品に有用であり得ることである。
【0017】
図1は、1つ以上の化学元素(ブロック1)、化合物(ブロック2)、化学材料(ブロック3)および/または化学混合物(ブロック4)を処理して、本願明細書に記載の1以上の特徴を有する1つ以上の材料(ブロック5)を得ることができる方法を概略的に示している。いくつかの実施形態において、これらの材料を、望ましい誘電特性(ブロック7)、磁気特性(ブロック8)および/または先進材料特性(ブロック9)を含むように構成されたセラミック材料(ブロック6)に形成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つ以上の前述特性を有する材料は、高周波(RF)設備などの設備(ブロック10)に実装することができる。このような設備は、本願明細書に記載された1つ以上の特徴を有する実装を装置12に含ませることができる。いくつかの設備において、これらの装置をさらに製品11に実装することができる。このような装置および/または製品の例は、本願明細書において説明する。
【0019】
改質された合成ガーネット組成物
本願明細書において、合成ガーネット組成物中の希土類金属の使用を減らすまたはなくすように、イットリウム鉄ガーネット(YIG)のような合成ガーネット組成物を改質する方法が開示されている。合成ガーネットは、一般的に式量単位A
3B
5O
12(AおよびBが三価の金属イオンである)を有する。イットリウム鉄ガーネット(YIG)は、3
+酸化状態であるイットリウム(Y)および3
+酸化状態である鉄(Fe)を含む式量単位Y
3Fe
5O
12を有する合成ガーネットである。YIGの式量単位の結晶構造は、
図2に示されている。いくつかの実施形態において、合成ガーネット組成物の改質は、得られた材料がマイクロ波設備に望ましい磁気特性を維持するように、イットリウム鉄ガーネット(YIG)におけるイットリウム(Y)の一部または全部を他のイオンの組合わせにより置換するステップを含む。
【0020】
一実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式I(Bi
xCa
y+2xY
3−x−y−2zFe
5−y−zZr
yV
zO
12)で表すことができる。式中、x=0〜3,y=0〜1,z=0〜1.5、より好ましくはx=0.5〜1.4,y=0.3〜0.55,z=0〜0.6。別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式II(Bi
xY
3−x−0.35Ca
0.35Zr
0.35Fe
4.65O
12)で表すことができる。式中、x=0.5〜1.0、好ましくはx=0.6〜0.8、より好ましくはx=0.5。別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式III(Bi(Y,Ca)
2Fe
4.2M
I0.4M
II0.4O
12)で表すことができる。式中、M
Iは、八面体部位上のFeの置換物であり、1つ以上の元素In,Zn,Mg,Zr,Sn,Ta,Nb,Fe,TiおよびSbから選択することができ、M
IIは、四面体部位上のFeの置換物であり、1つ以上の元素Ga,W,Mo,Ge,VおよびSiから選択することができる。
【0021】
別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式IV(Y
2.15−2xBi
0.5Ca
0.35+2xZr
0.35V
xFe
4.65−xO
12)で表すことができる。式中、x=0.1〜0.8。
図3は、バナジウムレベルの変化に関連した材料特性の変化を示す図である。別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式V(Bi
0.9Ca
0.9xY
2.1−0.9x(Zr
0.7Nb
0.1)
xFe
5−0.8xO
12)で表すことができる。式中、x=0.5〜1.0。この実現例において、Biを0.9に固定しながら、Zr
4+とNb
5+との2つの高原子価イオンを用いて八面体部位の置換を行う。
図4は、(Zr,Nb)レベルの変化に関連して材料特性の変化を示す図である。別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式VI(Bi
0.9Ca
0.9+2xY
2.1−0.9−2xZr
0.7Nb
0.1V
xFe
4.2−xO
12)で表すことができる。式中、V=0〜0.6。この実現例において、ZrおよびNbに加えて、バナジウムは、八面体部位に導入される。V=0.6のとき、Yが完全に置換される。
図5A〜5Gは、バナジウムのレベルが0から0.6まで増加するときに、焼成温度とさまざまな材料特性との関係を示す図である。
図6は、好ましい一実施形態に従い、バナジウムのレベルが変化している組成物に対し、変化している焼成温度における最良線幅を示している。別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式VI(Bi
1.4Ca
0.55+2xY
1.05−2xZr
0.55V
xFe
4.45−xO
12)で表すことができる。式中、x=0〜0.525。
図7は、バナジウムの量が変化しているときの材料の特性を示す図である。
【0022】
別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、化学式VII(Y
2CaFe
4.4Zr
0.4Mo
0.2O
12)で表すことができる。他の実現例において、改質合成ガーネット組成物は、BiY
2Fe
4.6In
0.4O
12、BiCa
0.4Y
1.6Fe
4.6Zr
0.4O
12、BiCa
0.4Y
1.6Fe
4.6Ti
0.4O
12、BiCa
0.8Y
1.2Fe
4.6Sb
0.4O
12、BiY
2Fe
4.6Ga
0.4O
12、BiCa
1.2Y
0.8Fe
4.2In
0.4Mo
0.4O
12、BiY
1.2Ca
0.8Fe
4.2Zn
0.4Mo
0.4O
12、BiY
1.2Ca
0.8Fe
4.2Mg
0.4Mo
0.4O
12、BiY
0.4Ca
1.6Fe
4.2Zr
0.4Mo
0.4O
12、BiY
0.4Ca
1.6Fe
4.2Sn
0.4Mo
0.4O
12、BiCa
2Fe
4.2Ta
0.4Mo
0.4O
12、BiCa
2Fe
4.2Nb
0.4Mo
0.4O
12、BiY
0.8Ca
1.2Fe
4.6Mo
0.4O
12、およびBiY
0.4Ca
1.6Fe
4.2Ti
0.4Mo
0.4O
12からなる群から選択される化学式で表すことができる。
【0023】
別の実現例において、改質された合成ガーネット組成物は、一般式VI(Bi
1.4Ca
0.55+2xY
1.05−2xZr
0.55V
xFe
4.45−xO
12)で表すことができる。式中、x=0〜0.525。
図7は、バナジウムの量が変化しているときの材料の特性を示す図である。
【0024】
改質された合成ガーネット組成物の作製
改質された合成ガーネット材料の作製は、既知のセラミック技術を用いて達成することができる。処理フローの具体例は、
図8に示されている。
【0025】
図8に示すように、処理は、原料を称量するステップ106から始まる。また、エトキシドおよび/またはアクリレートを得るために、ゾル−ゲル法において、有機系材料を使用してもよく、クエン酸塩に基づく技術を使用してもよい。また、水酸化物の共沈などの当技術分野における他の既知の方法は、材料を得るための方法として用いることができる。原料の選択およびその用量は、特定の製剤に依存する。原料を秤量した後、ステップ108において、混合プロペラを使用する水性混合若しくは鋼またはジルコニア媒体を有する振動ミルを使用する水性混合を含む、セラミック分野の最近技術に相応する方法を用いて、混合される。いくつかの実施形態において、原料を混合すると同時に反応させるために、グリシン硝酸塩または噴霧熱分解法を使用することができる。
【0026】
混合した酸化物は、その後、ステップ110において乾燥される。乾燥は、スラリーをペインに注入してからオーブンに入れて好ましくは100〜400℃の温度で行うことができ、または噴霧乾燥または当該分野における他の既知技術によって達成することができる。乾燥した酸化物混合物は、ステップ112において篩過処理される。この篩過処理は、焼成時高密度粒子の形成につながる可能性のある柔らかい凝集塊を砕き、粉末を均質化する。
【0027】
その後、材料は、ステップ114において事前焼結により焼成処理される。材料は、アルミナまたはコージェライトからなる焼成容器に投入され、好ましくは約800〜1000℃、より好ましくは約900〜950℃の温度範囲で熱処理される。より高い焼成温度が線幅に悪影響を与えるため、焼成温度が低い方が好ましい。
【0028】
焼成後、材料は、ステップ116において粉砕され、好ましくは振動ミル、アトリッションミル、ジェットミルまたは他の標準粉砕技術により、平均粒径を約0.5〜10ミクロンの範囲に減少するように粉砕される。粉砕は、好ましくは水性のスラリーで行われるが、エチルアルコールまたは他の有機系溶媒中で行うことも可能である。その後、材料は、ステップ118において噴霧乾燥される。噴霧乾燥処理の間、結合剤および可塑剤のような有機添加剤を当技術分野に既知の技術を用いてスラリーに添加することができる。噴霧乾燥された後、材料は、加圧に適する顆粒に、好ましくは粒径が約10〜150ミクロン範囲の顆粒に形成される。
【0029】
噴霧乾燥した顆粒は、その後、ステップ120において加圧され、好ましくは、加圧後の密度を可能な限りX線理論密度の60%に近づくように、単軸加圧または等方静的加圧によって加圧される。また、未焼成体を形成するために、テープ成形、テープカレンダーまたはテープ押出などの他の既知の方法を使用することもできる。加圧した材料は、その後、ステップ122において焼成処理により処理される。好ましくは、加圧した材料は、ガーネット材料と反応し難いアルミナのような材料から作られたセッター板上に置かれる。高密度のセラミック成形体を得るために、セッター板は、空気または高圧酸素環境の単独窯あるいはトンネル窯中において、約850〜100
0℃に加熱される。このステップにおいて、誘導加熱などの他の既知の処理技術を使用することもできる。この高密度のセラミック成形体は、特定の設備に適切な寸法を達成するために、ステップ124において加工される。
【0030】
図9は、ガーネット構造および化学性質を有し、したがって複数の十二面体構造、八面体構造および四面体構造を有する高周波(RF)装置200を示す図である。装置200は、十二面体構造212、八面体構造208および四面体構造204から形成されたガーネット構造(たとえば、ガーネット構造220)を含むことができる。
【0031】
多結晶ガーネット中のBi置換
八面体部位上のBi
3+および十二面体部位上のZr
4+の組合わせにより生じ得る効果(たとえば低磁気結晶異方性およびそれによって生じた低磁気損失)を検証するために、以下の手法が行われた。
図10は、第1構造式(Bi
0.5Y
2.5−xCa
xZr
xFe
5−xO
12)中のZr含有量(Bi
3+の含有量が約0.5に固定され、Zr
4+の含有量が0〜0.35に変化された)に応じて変化するさまざまな特性を示す図である。
図11は、第2構造式(Bi
xY
2.65−xCa
0.35Zr
0.35Fe
4.65O
12)中のBi含有量(Zr
4+の含有量が約0.35に固定され、Bi
3+の含有量が変化された)に応じて変化するさまざまな特性を示す図である。
図12は、同一構造式中のBi含有量に応じて変化する誘電率および密度を示す図である。
図13は、
図10を参照して説明した0.35限界を超えるZr含有量に応じて変化するさまざまな特性の曲線を示す図である。
図14は、V
5+含有量に応じて変化するさまざまな特性の曲線を示す図である。
【0032】
希土類を減らしたまたは希土類を含まないガーネットを備える装置の例
本開示における好ましい実施形態に従って作られた改質された合成ガーネット組成物は、フェライト材料として、磁気マイクロ波設備に利用される多くの異なる装置、たとえばフェライト系アイソレーター、フェライト系サーキュレーターおよびフェライト系共振器などに利用することができる。アイソレーターおよびサーキュレーターは、すべての移動通信基地局において、RFエネルギーの誘導およびエネルギーの逆流による回路部品の破壊を防ぐために必要とされる。共振器は、移動通信基地局において、信号をフィルタリングするために使用することができる。本願明細書に開示された改質された合成ガーネット材料は、磁気共鳴線幅を減らすとともに、サーキュレーターおよびアイソレーターにおけるフェライトの誘電率を高めるように設計され、望まれたサーキュレーター部材の小型化を可能にする。
【0033】
たとえば、偏光分離横電磁波(TM)モードで動作する(ガーネットディスクのような)フェライト装置の中心周波数が1/(ε)
1/2に比例するため、誘電率(ε)を2倍にすれば、周波数を2の平方根(約1.414)に小さくすることができる。本願明細書において詳細に説明するように、たとえば、誘電率を2倍に大きくすれば、フェライトディスクの横寸法(たとえば、直径)を2の平方根に小さくすることができる。よって、フェライトディスクの面積を2倍に小さくすることができる。このようなサイズの縮小は、RF回路基板上の装置の設置面積を小さくすることができるため(たとえば、誘電率を2倍に大きくした場合、設置面積が2倍に小さくなる)、有利であり得る。例において、2倍に大きくすることに関連して説明したが、3倍以上に大きくする構成でも、同様な利点を実現することができる。
【0034】
高誘電率のフェライトを備える小型サーキュレーター/アイソレーター
いくつかの実現例において、フェライト装置のサイズと誘電率と動作周波数との関係は、以下のように表すことができる。異なる式を用いて、異なる伝送線路の表現を特徴付けることができる。たとえば、高共鳴ストリップライン構成において、フェライトディスクの半径Rは、次のように特徴付けることができる。
【0035】
R=1.84/[2π(実効透磁率)×(誘電率)]
1/2 (1)
式中、(実効透磁率)=H
dc+4πM
s/H
dc。H
dcは、バイアス磁界である。式1は、周波数およびバイアス磁界が固定された場合、半径Rが誘電率の平方根に反比例することを示している。
【0036】
別の例では、低共鳴ストリップライン構成において、式1と同く、フェライトディスクの半径Rの関係は、低いバイアス磁界に対応する低共振で動作する弱結合1/4波長のサーキュレーターに利用することができる。(たとえば、ディスクまたはロッド導波路における)低共振導波路の構成に対し、フェライトの横寸法(たとえば、半径R)および厚さdの両方は、周波数に影響を与えることができる。それでも、半径Rは、Rおよび誘電率の関係を表す式1と同じく、次のように表すことができる。
【0037】
R=λ/[2π(誘電率)
1/2][((πR)/(2d))
2+(1.84)
2]
1/2 (2)
式2の例示的な関係は、円盤形のフェライトに関連する。同様の導波路の表現が三角形の共振器に使用することができるが、この場合、円盤形のフェライトの半径の代わりに、3.63×λ/2πに等しい(三角形の高さ)Aを使用する。
【0038】
前述したすべての例において、誘電率を(たとえば2倍に)大きくすることにすると、(たとえば、円盤形または三角形)フェライトのサイズを2の平方根に小さくすることができ、よって、フェライトの面積を2倍に小さくすることができることを期待することができる。式2を参照して説明されるように、フェライトの厚さを小さくすることもできる。
【0039】
また、フェライト装置をRF装置として使用する実現例において、これらのRF装置のサイズを小さくすることもできる。たとえば、ストリップライン装置において、装置の設置面積は、使用されるフェライト装置の面積により決められる。したがって、同様の装置サイズの低減を達成することが期待できる。導波路装置において、使用されるフェライト装置の直径は、導波路装置のサイズを制限する要因である。しかしながら、フェライト装置の直径の低減は、導波路に関連するジャンクションの金属部品の寸法を保持する需要により相殺される可能性がある。
【0040】
イットリウムを含まないガーネットを備える小型フェライトの例
本願明細書に記載したように、フェライトのサイズは、ガーネット構造に関連している誘電率を大きくすることによって大幅に縮小することができる。また、本願明細書に記載したように、イットリウムの含有量および/または非イットリウム希土類の含有量を減らしたガーネットは、適切なビスマス置換によって形成することができる。いくつかの実施形態において、このようなガーネットは、イットリウムまたは他の希土類を含まないガーネットを含むことができる。増加した誘電率およびイットリウムを含まないガーネットを有するフェライト装置を備えるRF装置の例は、
図15〜17を参照して説明する。
【0041】
図15Aおよび15Bは、本願明細書に記載されたフェライトのサイズ縮小例をまとめている。本願明細書に記載されかつ
図15Aに示すように、フェライト装置200は、縮小した直径2R′および厚さd′を有する円盤状のディスクであってもよい。厚さは、縮小されてもよく縮小されなくてもよい。式1を参照して説明したように、円盤状のフェライトディスクの半径Rは、フェライトの誘電率の平方根に反比例することができる。したがって、図示されたフェライト装置200の誘電率が増加すると、直径2R′が縮小することになる。本開示の1つ以上の特徴は、円盤状および三角形のフェライト例に関連して説明したが、他の形状のフェライトで実現することもできる。
【0042】
上述した誘電率が動作周波数(いくつかの実現例においてサイズ)に対する影響を実証するために、サーキュレーター装置(アイソレーターとして呼ばれることもある)が構築された。1つのサーキュレーターは、トランステック社の製品TTVG−1200(直径17.56mm、厚さ1mm)として入手できる現行のフェライトを備えるように構築された。別のサーキュレーターは、イットリウムを含まないフェライトを備えるように、同じ寸法で構築された。説明のため、イットリウムを含まないフェライトは、「TTHiE−1200」と称される。2つのサーキュレーター例の各々は、約25mm直径を有する。
【0043】
TTVG−1200フェライトは、イットリウム−カルシウム−ジルコニウム−バナジウム−鉄ガーネットの構成および約14.4という典型的な誘電率を有する。イットリウムを含まないフェライト(TTHiE−1200)は、約1%以下の希土類酸化物を含有するビスマス−カルシウム−ジルコニウム−バナジウム−鉄ガーネットの構成および約26.73の誘電率を有する。
【0044】
前述したサーキュレーター例に関するさらなる詳細は、
図16Aおよび16Bを参照して説明される。説明に言及された「フェライト」は、第1種のフェライト(TTVG−1200)であってもよく、第2種のフェライト(TTHiE−1200)であってもよい。
【0045】
図16Aおよび16Bは、一対の円筒状の磁石306,316の間に配置された一対のフェライトディスク302,312を備えるサーキュレーター300の一例を示す図である。フェライトディスク302,312の各々は、本願明細書に記載された1つ以上の特徴を有するフェライトディスクであってもよい。
図16Aは、組立前の例示サーキュレーター300の一部を示す図である。
図16Bは、組立後の例示サーキュレーター300の側面図を示す図である。
【0046】
図示の例において、第1フェライトディスク302は、第1接地面304の下面に取付けられている。第1接地面304の上面は、第1磁石306を収納かつ保持するような寸法にされた凹部を規定する。同様に、第2フェライトディスク312は、第2接地面314の上面に取付けられている。第2接地面314の下面は、第2磁石316を収納かつ保持するような寸法にされた凹部を規定する。
【0047】
上記のように配置された磁石306,316は、フェライトディスク302,312を通過する概ね軸方向の磁力線を生成することができる。フェライトディスクは、11Oe以下の磁気共鳴線幅を有することができる。フェライトディスク302,312を通過する磁場の磁束は、部品320,318,308および310により形成された戻り経路を介して回路を完成させることによって、フェライトディスク302,312に適用される磁場を強化することができる。いくつかの実施形態において、戻り経路の部品320,310は、磁石306,316の直径よりも大きい直径を有するディスクであってもよく、戻り経路の部品318,308は、戻り経路を形成するディスク320,310の直径と概ね一致する内径を有する中空円筒であってもよい。上述した戻り経路の部品は、単一部品または複数の部品からなる組立品として、形成されることができる。
【0048】
例示のサーキュレーター装置300はさらに、2つのフェライトディスク302,312の間に配置された内部磁束導体(本願明細書において、中心導体とも称する)322を含むことができる。このような内部磁束導体は、ネットワークをポート(図示せず)にマッチングさせる共振器として機能するように構成することができる。
【0049】
図17は、上述した2つの25mmサーキュレーター(TTVG−1200フェライト(14.4の誘電率を有するYCaZrVFeガーネット)に基づいたサーキュレーターと、イットリウムを含まないTTHiE−1200フェライト(26.73の誘電率を有するBiCaZrVFeガーネット)に基づいたサーキュレーターと)の挿入損失曲線および戻り損失曲線を示す図である。
【0050】
本願明細書に記載されたTTHiE−1200フェライトをさらに特徴付けるために、TTHiE−1200フェライトディスク(半径約7.00mm、厚さ約0.76mm)を用いて、より小さい10mmサーキュレーターを製作した。
図18Aおよび18Bは、各々25℃および100℃の動作温度における10mmサーキュレーターのSパラメータデータを示す図である。10mmサーキュレーターの相互変調も25℃で測定した。
図18Aおよび18Bに基づき、Sパラメータデータが一般的に正数であることが分かる。表4に基づき、IMD性能がこのサイズのパッケージに一般的に期待されているものである。たとえば、20mmサーキュレーター装置の典型的なIMD性能は、約−70dBcであり、15mmサーキュレーター装置の典型的なIMD性能は、約−60dBcである。
【0051】
いくつかの実施形態において、本願明細書に記載された1つ以上の特徴を有するフェライト系サーキュレーター装置は、パッケージ化されたモジュール式装置として実装することができる。
図19は、パッケージ化された装置例400を示す図である。パッケージ化された装置400は、パッケージングプラットフォーム404に搭載され、ハウジング構造402に囲まれたサーキュレーター装置300を有する。図示されたプラットフォーム404は、パッケージ化された装置400の取付けを可能にする寸法を有する複数の穴408を備える。図示されたパッケージ化された装置400は、電気接続を容易にするように構成された例示的端子406a〜406cをさらに含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、
図19の例のようなパッケージ化されたサーキュレーター/アイソレーターは、回路基板またはモジュールに実装することができる。このような回路基板は、1つ以上の高周波(RF)に関連する操作を実行するように構成された複数の回路を含むことができる。回路基板は、回路基板と回路基板の外部部品との間にRF信号および電力の転送を可能にするように構成された複数の接続特徴を含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、前述した例示の回路基板は、RF装置の前置モジュールに接続されたたRF回路を含むことができる。
図20に示すように、RF装置は、RF信号の送信および/または受信を容易にするように構成されたアンテナ412を含むことができる。RF信号は、送受信機414によって生成されおよび/または処理されることができる。送信の場合、送受信機414は、送信信号を生成して、この送信信号が電力増幅器(PA)により増幅され、(Txフィルタにより)フィルタされ、アンテナ412により送信される。受信の場合、アンテナ412により受信した信号は、送受信機414に伝送される前に、(Rxフィルタにより)フィルタされ、低雑音増幅器(LNA)により増幅される。図示されたTx径路およびRx径路の場合、本願明細書に記載の1つ以上の特徴を有するサーキュレーターおよび/またはアイソレーター400は、たとえば、PA回路およびLNA回路に実装されまたはそれらに連結されることができる。いくつかの実施形態において、本願明細書に記載された1つ以上の特徴を有する回路および装置は、無線通信基地局などのRF設備に実装することができる。
【0054】
インピーダンス整合を有するアイソレーター/サーキュレータージャンクション
本願明細書に記載したように、希土類含有量が減らされたまたは希土類を含まないガーネットを備えるフェライト装置は、高誘電率特性を有するように構成することができる。以下、誘電率をRF設備に適用する際に、さまざまな設計上の考慮事項を説明する。いくつかの実現例において、高誘電率を有するガーネットを利用する設計は、上記の希土類を含まない構成を含んでもよく、含まなくてもよい。したがって、開示されたインピーダンス整合設計に係るいくつかの実施形態は、従来技術に公知の標準的なRF材料を使用してもよい。
【0055】
上述したように、アイソレーターおよびサーキュレータージャンクションは、他の設備にも使用することができるが、一般的にマイクロ波および/または高周波信号伝達と併せて使用される。典型的には、ジャンクションは、3つまたは4つの非可逆ポートを有する受動装置である。ポートの数は、特に制限されていない。
図21は、ポート1、ポート2およびポート3を有するジャンクションの基本例を示している。これらのポートは、上記の
図16Aを参照して説明したように、外部導波路または伝送線路が装置と接続する点である。いくつかの実施形態において、信号がサーキュレーターまたはアイソレーターのポートのいずれか1つに入射した場合、この信号は、隣接するポートから出射するように案内される。
【0056】
一般的に、アイソレーターおよびサーキュレータージャンクションは、同様の物理的な外観を有してもよいが、RF設備において異なる目的のために使用される。典型的には、アイソレーターとサーキュレータージャンクションとの間の区別は、開放または閉塞されたポートの数にある。たとえば、
図21に示された3つのポートの構成を有するジャンクションの場合、すべてのポートが開放されると、このジャンクションは、サーキュレーターと見なされる。よって、信号は、ポートを介してサーキュレーターに入射した場合、隣接するポートから出射する。たとえば、
図21の構成では、信号は、ポート2に入射した場合、ポート3から出射する。
【0057】
本願明細書に記載された用語「サーキュレーター」および「アイソレーター」は、一般に理解されるように、設備に応じて互換できるまたは別々に使用することができる。たとえば、サーキュレーターは、RF信号をアンテナ、送信機および受信機の間に選択的案内するように、RF設備に用いられる受動装置であってもよい。信号が送信機とアンテナとの間に案内される場合、受信機は、好ましくは単離されるべきである。したがって、このようなサーキュレーターは、アイソレーターと呼ばれる場合がある。単離性能は、サーキュレーターの性能を表すことができる。
【0058】
一方、1つのポート(たとえば、
図21のポート3)が閉塞された3ポート構成の場合、信号が残りのポート間のに一方向しか移動できないため、このジャンクションは、アイソレータージャンクションであると考えられる。典型的には、アイソレータージャンクションは、たとえば入力側の機器を出力側の条件の影響から防ぐために使用することができ、マイクロ波源を整合していない負荷により離調されないように保護する。
【0059】
図22は、従来技術によく使用されるジャンクション2302の構成を示している。図示のように、ジャンクション2302は、一般に、2つの異なる部分、すなわち、内側のフェライトディスク2202および外側の単一誘電材料のリング2204から構成されている。誘電リング2204の機能は、ジャンクションの種類に依存する。たとえば、誘電リング2204は、1)共振周波数を維持しながら、相互変調を改善するために、アイソレーター/サーキュレーターの本体からフェライト2202を磁気的に隔離するように使用されてもよく、2)整合回路の一部として、中心導体およびその周囲の誘電体により形成されたインピーダンス転換体を保持するように使用されてもよく、または3)(以下で説明する)中心導体とともに、フェライト装置のジャンクションを有する外部回路、典型的には50オームの外部回路に接続するように使用されてもよい。しかしながら、誘電体の上記用途は、例示のみであり、これらの例示に限定されない。
【0060】
図23は、トリプレート式ストリップ線路の構成を示している。この構成において、
図22を参照して説明した2つのジャンクション2302は、中心導体2304を挟んでいる。ジャンクション2302および導体2304の組立体は、その後、一対の接地板2306の間に挿入される。よって、接地板2306は、(
図25の側面図に示されているように)組立体の両側に位置する。中心導体2304は、組立体の中心から離れて延在する伝送線路2308を有する。伝送線路2308は、ジャンクション2302のポート内に信号の入射およびポートから信号の出射を案内するように構成されている。ジャンクション2302の誘電リング2204は、伝送線路2308と整合したインピーダンスおよび転換体を提供することができる。いくつかの実施形態において、開示された装置は、マイクロストリップ伝送線路とともに使用することができる。これらのマイクロストリップ伝送線路は、増幅器に容易に一体化することができる。
【0061】
図24は、中心導体2304を備えるアイソレーター/サーキュレータージャンクション構成の側面図を示している。図示のように、このアイソレーター/サーキュレータージャンクションは、接地板2306、ジャンクション2302、導体2304、ジャンクション2302、接地板2306の順に構成される。
【0062】
中心導体2304は、銅または他の類似の高導電性材料から、板状または箔状に形成することができる。材料の種類および材料の一般的な形状は、限定されない。中心導体2304は、約0.1〜約0.25mmの厚さを有してもよい。中心導体の厚さは、限定されておらず、異なる目的のために異なる厚さを採用してもよい。所定のインピーダンスの場合、中心導体2304の伝送線路2308の幅は、接地板2306の間隔および導体2304を取囲むジャンクション2302の誘電率によって決定される。間隔およびインピーダンスが一定の場合、伝送線路2308の幅は、誘電リング2204の誘電率の逆数の平方根に比例する。したがって、誘電リング2204の誘電率が増加すると、十分なインピーダンスと転換体とのバランス(すなわち、インピーダンス整合)を得るために、伝送線路2308の幅を減少しなければならない。このことは、小型化のときに重要である。その理由は、伝送線路2308の寸法における小さな変化がジャンクションの性能を大きく影響することができるからである。以下に説明するように、従来の技術を使用して適切な小型化を達成することは、不可能ではないが、製造上の制約によって困難である。
【0063】
トリプレート装置内の中心導体2304は、具体的な方法に限定されないが、一般的にはフォトリソグラフィ、従来の切削工具を用いたNCミリング、水圧ジェット、またはレーザー切断によって形成される。しかしながら、フォトリソグラフィは、RF部品を小型化するために使用された最も一般的な処理方法である。一般的には、
図25に示された両面リソグラフィ方法が使用される。一般的に、中心導体2304の両側にエッチング液を適用することによって、特徴的なエッチング角を作成する。このエッチング角によって、リソグラフィ処理は、銅製シートの厚さに依存して、得られた銅製シートの線形寸法の精度に制限される。
図25に示すように、銅製シートが技術的に必要な幅まで延在する間に、エッチング角は、一箇所でまたはごく一部の箇所で発生する。小型化したサイズの部品を使用する場合、エッチング角は、最終製品の中心導体2304の整合性に大きな影響を与えることができる。また、寸法の精度は、銅製シートを必要な幅に切断する時点で、エッチング処理を停止することにも依存する。エッチング処理の停止時間を長くすると、銅製シートの幅が減少する。エッチング処理の停止時間は、銅製シートの幅がミリサイズまたはサブミリサイズの場合に重要である。よって、リソグラフィ処理において、機械公差を設けることによって、銅導体がさらに小型になることを防ぐ。
【0064】
図21のジャンクション2302を使用する場合、より大きなサーキュレーター/アイソレータージャンクションに適切な性能を提供することができるが、装置を小さくすることに連れて、主に中心導体2304の形成に起因する機械的な制約によって、従来技術のジャンクション2302を使用することができなくなる。したがって、
図22に示され、従来技術に使用されたジャンクションは、小型化工程に適切ではない。アイソレーター/サーキュレーター設備の場合、サイズの縮小は、高誘電率の誘電材料/フェライト材料を使用することによって、実現することができる。上述したように、材料の誘電率が増加すると、伝送線路の幅を減少する必要がある。しかしながら、リソグラフィ処理によって、伝送線路の幅をさらに減少することが大きく制約され、エッチング工程が必要な機械的精度ひいてはインピーダンス精度を実現するのに困難であるため、ミリサイズまたはサブミリサイズの幅の伝送線路を実現することが技術的に不可能である。基本的に、このような小さい幅は、エッチング工程の許容誤差に非常に近く、したがって、結果として生じたインピーダンスの許容誤差に非常に近い。よって、従来技術のジャンクションは、一般的に最大30の誘電率を有する。その原因は、対応寸法を有する中心導体があまりにも脆弱であり、一般的に使用されたインピーダンスおよび接地面/フェライトの厚さに必要されたインピーダンス精度まで加工できないからである。したがって、従来技術のジャンクションは、低誘電率を必要とするため、小型化には適していない。
【0065】
図26A〜26Dは、現行のものよりも有利な改良を提供することができるサーキュレーター/アイソレータージャンクションの実施形態を示している。一般的に、上記に詳細に説明したような高誘電体は、伝送線路の幅をフォトリソグラフィなどの現行処理技術の誤差許容範囲内に維持するとともに、サーキュレーター/アイソレータージャンクションの実施形態に組込むことができる。したがって、開示されたジャンクションの実施形態は、適切なインピーダンスおよび転換体整合を維持しながら、RFおよび電子部品をさらに小型化するために使用することができる。これにより、電力伝達を最大化することができおよび/または信号反射を最小化することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、分割型複合誘電リングは、フェライトディスクを取囲むために使用することができるため、従来技術のアイソレーター/サーキュレータージャンクション(
図22に示す)を形成するためによく使用されたフェライト中心ディスクの周りに設けられた単一材料からなるリング構造を置換することができる。具体的には、低誘電材料のセグメントは、伝送線路の上方に形成することができる一方、高誘電材料のセグメントは、低誘電材料のセグメントの間に形成することができる。低誘電材料のみを中心導体の伝送線路の周りに使用する場合、伝送線路の導体幅をより広くすることができるが、フェライトの他の場所の周りに非常に高誘電率の誘電材料を使用すると、フェライトおよび低誘電率の誘電材料のみからなる組立体に比べて、複合式のフェライト/誘電体組立体の全体的なサイズをより小さくすることができる。よって、電子装置のサイズをさらに小さくすることができる小型化が達成され、フェライトおよび低誘電率の誘電材料のみを用いた場合に生じることができなかった偉業を達成することができる。また、低誘電セグメントを含むことは、高誘電率領域の面積に対する低誘電セグメントの面積によって、ジャンクションの周波数に変化を殆ど引起さない。したがって、高周波特性に大きな損失を引起さないように、小型化をすることができる。
【0067】
図26Aは、このような分割型ジャンクションの実施形態を示している。
図26Aに示すように、ジャンクションは、高誘電率のフェライト中心ディスク2602を含むことができる。従来公知の他の磁性材料を用いることもできるが、ディスク2602は、たとえばフェライトから構成される。ディスク2602は、環状構造を有し且つディスク2602を概ね取囲むように構成された複合組立体2604により取囲まれる。複合組立体2604は、
図22に示された従来技術のものと概ね同一の形状を有することができる。組立体の概ね形状は、限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態において、
図26Aに示すように、組立体2604(たとえば、ジャンクション)は、複数の異なる誘電率のセグメントから形成することができる。たとえば、組立体2604は、高誘電セグメント2606および低誘電セグメント2608を有するように形成することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608を並べて、
図22に示された中心導体の伝送線路を覆うように配置することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、伝送線路と実質的に同一の幅を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、伝送線路の幅よりも小さい幅を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、伝送線路の幅よりも大きい幅を有することができる。高誘電セグメント2606は、組立体2604の残りの部分を形成することができる。特に明記しない限り、セグメントのサイズおよび形状は限定されていない。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の数は、開放ポートの数に等しくすることができる。たとえば、サーキュレータージャンクションは、2つの低誘電セグメント2608を有する一方に、アイソレータージャンクションは、3つの低誘電セグメント2608を有する。しかしながら、低誘電セグメント2608および高誘電セグメントの数は、限定されず、任意の数にすることができる。いくつかの実施形態において、ディスク2602の周りに、3種以上の異なる誘電率の材料からなるセグメントを使用することができる。
【0069】
図26Bは、組立体2604の切欠図を示している。組立体2604において、伝送線路2308は、低誘電セグメント2608を通過して、導体2304に達している。図示のように、低誘電セグメント2608は、伝送線路2308を覆うことができる。高誘電セグメント2606は、伝送線路2308から離れて形成されている。
【0070】
図26Cは、フェライトディスク2602および外側のフェライトリング2603を備える実施形態を示している。ディスク2602およびリング2603は、異なる材料から形成されてもよく、同一の材料から形成されてもよい。
図26Cに示すように、類似の分割型リング構造を本実施形態に適用することができる。中心部に異なる材料を設けることは、材料の誘電率をさらに調整することができる。
【0071】
図26Dは、外側リングに比べて大幅に大きくしたフェライトディスク2602を有するジャンクション2604の別の実施形態を示している。各部の寸法は、特に限定されていない。
【0072】
いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の幅は、伝送線路の幅の約0.5
%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%に広くすることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の幅は、伝送線路の幅の約0.5
%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%を超えて広くすることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の幅は、伝送線路の幅よりも小さくすることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の厚さは、伝送線路の厚さの約0.5
%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%に薄くすることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の厚さは、伝送線路の厚さの約0.5
%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%を超えて薄くすることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608の厚さは、伝送線路の厚さの約0.5
%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%未満に薄くすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、組立体2604は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの低誘電セグメント2608を含むことができる。低誘電セグメントの数は、限定されていない。好ましくは、低誘電セグメント2608は、ディスク2602の周りに対称的に配置される。たとえば、3つの低誘電セグメント2608を使用する場合、概ね120°の角度をもって低誘電セグメント2608を配置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608を対称的に配置しなくてもよい。いくつかの実施形態において、たとえば、低誘電セグメント2608は、アイソレータージャンクションに使用された場合、閉塞されたポートを覆う必要がない。いくつかの実施形態において、たとえば、低誘電セグメント2608は、アイソレータージャンクションに使用された場合、閉塞されたポートを覆ってもよい。
【0075】
使用することができる低誘電材料の例は、チタン酸マグネシウム/チタン酸カルシウムを混合したセラミック誘電材料を挙げることができる。混合物中のチタン酸カルシウムの含有百分率を増加することにより、これらのセラミック誘電材料の誘電率を変更することができる。このようなセラミック誘電材料、たとえばトランステック社のMCT系誘電材料は、市販されている。他のケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、スズ酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、ニオブ酸塩およびタンタル酸塩またはそれらの組合わせを周期表グループ1、グループ2またはグループ3の元素と併せて使用して、類似の誘電材料を作ることができる。また、上記セラミック組成物およびそれらの元素の酸化物、窒化物、または弗化物のいずれかをポリマー複合体に組込むことによって、任意の同様の誘電率を有する誘電体たとえばエマーソンおよびカミング社のHIE系複合誘電体、または印刷回路材料として使用された複合積層体を形成することができる。しかしながら、誘電材料の種類は、限定されていない。
【0076】
使用することができるいくつかの高誘電材料の例は、上記開示ならびに国際特許出願WO2012082642、WO2012170259およびWO2011075123に記載される。これらの国際特許出願の全体が本願明細書中に参考として援用される。具体的には、これらの材料は、チタン酸マグネシウム/チタン酸カルシウムを混合したセラミック誘電材料であってもよい。混合物中のチタン酸カルシウムの含有百分率を増加することにより、これらのセラミック誘電材料の誘電率を変更することができる。このようなセラミック誘電材料、たとえばトランステック社のMCT系誘電材料は、市販されている。他のケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、スズ酸塩、ジルコン酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、ニオブ酸塩およびタンタル酸塩またはそれらの組合わせを周期表グループ1、グループ2またはグループ3の元素と希土類(14f)からの任意の希少元素とイットリウムと併せて使用して、類似の誘電材料を作ることができる。また、上記セラミック組成物およびそれらの元素の酸化物、窒化物、または弗化物のいずれかをポリマー複合体に組込むことによって、任意の同様の誘電率を有する誘電体たとえばエマーソンおよびカミング社のHIE系複合誘電体、または印刷回路材料として使用された複合積層体を形成することができる。しかしながら、誘電材料の種類は、限定されていない。
【0077】
いくつかの実施形態において、異なる誘電率のセグメント2506/2508は、必要に応じて内側および外側に交換することができる。いくつかの実施形態において、、組立体2604は、セグメント2506/2508を取外すおよび交換することができないように、形成されている。セグメント2506/2508を接合する手段の種類は、限定されていない。いくつかの実施形態において、たとえば接着剤または膠を使用して、セグメント2506/2508を接合してもよい。いくつかの実施形態において、セグメント2506/2508の間の摩擦力または嵌合片などによる他の機械力によって、組立体2604を一体に保持してもよい。いくつかの実施形態において、同時焼成を使用してもよい。同時焼成中に、誘電材料および/またはフェライトの機械的な収縮および/または相互拡散によって、セグメント2506/2508を互いに接合することができる。その全体が参照により本願明細書に組込まれる米国特許第7687014号および第8282763号は、同時焼成および/または膠接着を介してセグメントを接合するためのいくつかの非限定的な実施例を開示している。
【0078】
いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、組立体2604の外部に露出できるように、高誘電セグメント2606の厚さを完全に貫通するように、形成されることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、高誘電セグメント2606の厚さを部分的に貫通するように形成されることができる。よって、低誘電セグメント2608は、たとえば、上部側、底部側または両側において、高誘電セグメント2606の内部に封入されることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、高誘電セグメント2606の幅を完全に貫通するように、形成されることができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608は、高誘電セグメント2606の幅を部分的に貫通するように形成されることができる。従って、低誘電セグメント2604の内径または外径のいずれかの上面に、高誘電セグメント2608が存在することになる。
【0079】
いくつかの実施形態において、リングの全体は、高誘電材料から形成することができる。しかしながら、低誘電材料をリング周りの一部に塗布することによって、
図26Aに示された同様の構造を形成することができる。たとえば、低誘電材料は、液体または固体として塗布され、硬化により高誘電材料に付着させられてもよく、低誘電材料は、高誘電材料に焼結することができる組成物であってもよい。低誘電材料を塗布する方法は、限定されていない。
【0080】
いくつかの実施形態において、組立体2604は、
図26Aに示されたような別個のセグメントから形成されなくてもよい。たとえば、組立体2604は、
図26Aに示されたものと同様に、高誘電材料と低誘電材料とが遷移できる一体構造に形成することができる。いくつかの実施形態において、組立体2604は、低誘電材料から高誘電材料に徐々に遷移することができる。したがって、組立体2604の全体に勾配を形成する。
【0081】
いくつかの実施形態において、低誘電材料は、高誘電材料の全体にチェッカーボードのようなパターンをもって遍在してもよい。したがって、低誘電材料は、
図26Aに示すようにバンドを形成しないが、その代わりに組立体2604の全体に遍在する。チェッカーボードは、ランダムに形成されてもよく、特定のパターンに形成されてもよい。低誘電セグメントは、チェッカーボードに類似した円または三角形などの異なる形状およびサイズに形成されてもよい。また、セグメントのサイズは、組立体2604の全体を通して変化してもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、4つまたは6つの中心導体「アーム」に応じて、4または6ポートの循環モードを使用することができ、したがって、4つまたは6つの低誘電セグメントは使用されるであろう。
【0083】
いくつかの実施形態において、伝送線路は、1つ以上の転換体を含むことができる。いくつかの実施形態において、中心導体に第2転換体を追加することができる。この第2フェライト体は、第1フェライト体よりも低いインピーダンスを有することができる。いくつかの実施形態において、第2フェライト体は、フェライト
界面により近付くように設けることができ、よってより大きな帯域幅を与える。いくつかの実施形態において、この第2フェライト体は、高誘電セグメントまたは低誘電セグメントのいずれかの内部に挿入することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、組立体2604は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、または200mmの外径を有することができる。いくつかの実施形態において、組立体2604は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、または200mm未満の外径を有することができる。いくつかの実施形態において、フェライトディスク2502は、約1、3、5、10、15、20、25、または30mmの外径を有することができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2508は、約0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、1.5、2.0、または2.5mmの幅を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2508は、約0.1、0.3、0.5、0.7、1.0、1.5、2.0、または2.5mm未満の幅を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2508は、約3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、11、12、13、または15mm
2の上面面積を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2508は、約3、4、5、6、7、7.5、8、9、10、11、12、13、または15mm
2未満の上面面積を有することができる。
【0086】
上記に開示された寸法は、開示された装置の実施形態に使用することができるが、本発明の装置は、これらの特定の寸法に限定されるものではなく、特に異なる周波数範囲に対応する他の寸法を使用することもできる。
【0087】
いくつかの実施形態において、低誘電材料は、約10、14、15、20、または30の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電材料は、約30、20、15、14、または10未満の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態において、低誘電材料は、約14〜30よりも大きい誘電率を有することができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、高誘電材料は、約30、50、100、150、200、250、または300の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態において、高誘電材料は、約30、50、100、150、200、250、または300よりも大きい誘電率を有することができる。いくつかの実施形態において、高誘電材料は、約30、50、100、150、200、250、または300よりも小さい誘電率を有することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、低誘電セグメント2608を高誘電セグメント2606に追加することは、組立体2604の物理的特性に最小限の影響を与えることができる。いくつかの実施形態において、静電容量における実際の変化は、一体の誘電リングと実施形態に開示されたリングとの間の比として示す場合、約1.000、1.005、1.010、1.0141、1.020、または1.030である。いくつかの実施形態において、静電容量における実際の変化は、一体の誘電リングと実施形態に開示されたリングとの間の比として示す場合、約1.000、1.005、1.010、1.0141、1.020、または1.030未満である。いくつかの実施形態において、周波数における実際の変化は、一体の誘電リングと実施形態に開示されたリングとの間の比として示す場合、約1.001、1.002、1.003、1.004、1.005、1.006、1.007、1.008、1.009、または1.010である。いくつかの実施形態において、周波数における実際の変化は、一体の誘電リングと実施形態に開示されたリングとの間の比として示す場合、約1.001、1.002、1.003、1.004、1.005、1.006、1.007、1.008、1.009、または1.010未満である。
【0090】
従来に使用されたものに比べて、実施形態に開示されたジャンクションは有利である。よって、得られた装置は、インピーダンス整合を維持しながら、構造をはるかに小さくすることができる。これらの装置は、第4世代またはより高世代の生成伝送隔離設備に使用されるブロードバンド装置に特に有用である。既存の高共振装置は、必要な帯域幅を有していない。一方、既存の低共振装置は、十分な帯域幅を有しても、現在検討されているトランシーバに対して大き過ぎる。
【0091】
いくつかの実施形態において、開示されたサーキュレーター/アイソレータージャンクションを異なるRF部品に組込むことができる。たとえば、このジャンクションをトランシーバに組込むことができる。いくつかの実施形態において、このジャンクションをトランシーバに組込むことによって、より大きな伝送隔離を可能にすることができるため、より大きな帯域幅を使用可能にする。いくつかの実施形態において、1.8〜2.7GHzの帯域幅を使用することができる。さらに、実施形態に開示されたジャンクションは、高共振技術に使用することができる。いくつかの実施形態において、サーキュレーター/アイソレータージャンクションは、増幅器の前に配置され、信号の反射を防止する。他の実施形態において、サーキュレーター/アイソレータージャンクションは、増幅器の間に使用されてもよい。トランシーバ内の配置位置は、限定されていない。
【0092】
図27は、高誘電体に挿入された低誘電セグメントを有する上記実施形態のアイソレーター/サーキュレータージャンクションを製造する方法を示している。いくつかの実施形態において、フェライトロッドは、高誘電材料からなるチューブの内側に固定することができる(2702)。その後、フェライトロッドまで貫通するように、誘電チューブに溝を切出すことができる(2704)。溝の切出は、たとえば、水切断、レーザー切断、機械的切断、ワイヤ切断、または他の切断方法によって行うことができる。溝を切出す方法は、これらに限定されていない。また、上述したように、チューブに任意数の溝を形成することができる。溝を形成した後、低誘電材料からなるセグメントを溝に固定することができる(2706)。一体に固定した後、組立体の全体を任意の所望の外径に研磨して、任意の所望の厚さにスライスする(2708)。いくつかの方法において、セグメントは、チューブまたはリングを用いてセグメントに切断することによって、フェライトとは別々に作られ、その後、同一の誘電率または異なる誘電率を有する他のセグメントと組合わられ、チューブまたはリングを形成する。得られたチューブまたはリングを所望の厚さに最終的に研磨またはスライスする前に、フェライトディスクまたはチューブを挿入することができる。いくつかの実施形態において、異なる別個のセグメントをたとえば接着によりフェライトロッドに取付けることによって、ロッドの周りにリングを形成することができる。いくつかの実施形態において、異なる誘電材料からなる2つの異なるチューブ(たとえば、一方が高誘電率を有し、他方が低誘電率を有する)は、たとえばワイヤ鋸を使用して長さ方向に沿ってセグメントに切断され、切断された長さのセグメントをガーネットロッドに交互に取付けることによって、リングを形成することができる。
【0093】
図28A〜28Dは、上記の実施形態に開示された分割型ジャンクションの1.8〜2.7GHzにおけるSパラメータデータを示している。図示のように、分割型ジャンクションは、有利な高周波特性を有することができる。たとえば、
図28A〜28Dに示すように、分割型ジャンクションは、2.7GHz付近の有利な範囲を含む広範囲の共振周波数を有することができる。よって、ジャンクションが高周波設備に使用することができる。
【0094】
工程
図29〜33は、本願明細書に記載された1つまたは複数の特徴を有するフェライト装置を製造するための工程を示している。図
29は、前述した特性の1つ以上を有するセラミック材料を製造するために実施することができる工程20を示している。ブロック21において、粉末を作製することができる。ブロック22において、作製した粉末から成形物を形成することができる。ブロック23において、形成された成形物を焼結することができる。ブロック24において、焼結体は、仕上げられ、1つ以上の所望の特性を有するセラミック仕上げ品を得ることができる。
【0095】
セラミック仕上げ品が装置の一部である実現例では、ブロック25において、この装置を組立てることができる。装置またはセラミック仕上げ品が製品の一部である実現例では、ブロック26において、この製品を組立てることができる。
【0096】
図29は、例示プロセス20の一部のステップまたは全てのステップが設計仕様などにより決められてもよいことをさらに示している。同様に、一部のステップまたは全てのステップは、検査、品質管理などを含んでもよく、検査、品質管理などを受けてもよい。
【0097】
いくつかの実現例において、
図29の粉末作製ステップ(ブロック21)は、
図8を参照して説明した例示処理により行うことができる。このように作製された粉末は、本願明細書に記載の1つ以上の特性を含むことができ、および/または本願明細書に記載の1つ以上の特性を有するセラミック体の形成を容易にすることができる。
【0098】
いくつかの実現例において、本願明細書に記載したように作製された粉末は、異なる形成技術によって異なる形状に形成されることができる。例として、
図30は、本願明細書に記載したように作製された粉末材料を加圧することによって成形物を形成することができる処理50を示している。ブロック52において、所望の量の粉末を成形金型に充填することができる。
図31において、配置
図60は、成形金型61を示している。金型61は、粉末63を収納しかつ粉末を加圧することを可能にするように寸法された容積62を画定する。ブロック53は、金型内の粉末を加圧することによって、成形物を形成するができる。配置
図64は、ピストン65が(矢印66の方向に沿って)金型61によって画定される容積62に押圧することにより、粉末を中間圧縮形態67に形成することを示している。ブロック54において、金型から圧力を解除することができる。ブロック55において、金型61からピストン65を取出すことにより、容積62を開放することができる。配置
図68は、開放された金型61の容積62を示している。金型が開放され、金型から成形物69を取出すことを可能にする。ブロック56において、金型61から成形物69を取出すことができる。ブロック57において、今後の処理のために、成形物を保存することができる。
【0099】
いくつかの実現例において、本願明細書に記載したように製造された成形物は、セラミック装置として望ましい物理的特性を得るために、焼結することができる。
図32は、成形物を焼結するために実施することができる処理70を示している。ブロック71において、成形物を提供することができる。ブロック72において、成形物を窯内に導入することができる。
図33は、焼結トレイ80に装入された複数の成形物69を示している。図示の焼結トレイ80は、これらの成形物69を表面82上に支持し、トレイの上縁が成形物69の上部よりも高くなるように寸法された凹部83を画定する。このような構成は、焼結処理の間に、装入済みのトレイを堆積することを可能にする。トレイが堆積された場合においても、凹部83内の高温ガスの循環を改善することを可能にするために、図示のトレイ80は、側壁に切欠き83をさらに画定している。
図36は、複数の装入済みトレイ80からなるスタック84を示している。一番上部のトレイに装入された成形物が下部トレイに装入された成形物とほぼ同様の焼結条件を受けるように、一番上部のトレイにトップカバー85を設けることができる。
【0100】
ブロック73において、焼結物を得るために、成形物に熱を適用することができる。このような熱の適用は、窯を使用することによって達成することができる。ブロック74において、窯から焼結物を取出すことができる。
図36は、複数の装入済みトレイを含むスタック84を窯87に導入すること(段階86a)を示している。所望の時間および温度プロファイルに基づいて、スタックを窯の内部で移動させること(段階86bおよび86c)ができる。段階86dは、スタック84を冷却するために窯から取出すことを示している。
【0101】
ブロック75において、焼結物を冷却することができる。冷却は、所望の時間および温度プロファイルにより決めることができる。ブロック
76において、冷却された焼結物は、1つ以上の仕上げ作業を受けることができる。ブロック
77において、1つ以上の検査を行うことができる。
【0102】
さまざまな形態の粉末およびさまざまな形状の成形物に対する熱処理は、軽焼き(calcining)、焼成(firing)、焼鈍(annealing)、および/または焼結(sintering)として本願明細書に記載される。これらの用語は、適切な状況または特定の内容において交換可能に使用してもよく、それらの組合せで交換可能に使用してもよいことが理解されるべきである。
【0103】
以上の説明から、創意のある共振器が開示されていることが理解されるであろう。いくつかの構成要素、技術および局面をある程度の詳細をもって説明してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本願明細書に記載の具体的設計、構造および方法に対する多くの変更ができるということは、明らかである。
【0104】
別々の実現例に関連して本開示において記載された特定の特徴は、組合わせて単一の実現例において実施することもできる。逆に、単一の実現例に関連して説明されたさまざまな特徴は、別々でまたは任意の適切な部分組合せで複数の実現例において実施することができる。さらに、上記の特徴が特定の組合わせで作用してもよいが、場合によって、特許請求された組合わせから1つ以上の特徴をその組合わせから除外することができ、その組合わせを任意の部分組合せとしてまたは任意の部分組合せの変形として請求することができる。
【0105】
また、方法は、特定の順序で図面に図示されまたは明細書に記載されたが、これらの方法は、示された特定の順序または順番で行う必要がなく、望ましい結果を達成するために、すべての方法を実行する必要がない。図示されていないまたは記載されていない他の方法は、例示の方法および処理に組込むことができる。たとえば、1つ以上の追加の方法は、記載された方法の前でまたは後で行うことができ、記載された方法と同時に行うことができ、または記載された方法の間に行うことができる。さらに、方法は、他の実現例において再配列するまたは順序を変えることができる。また、上述の実現例においてさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実現例において構成要素を分離する必要があると理解されるべきではなく、一般的に、記載の構成要素およびシステムは、単一の製品に統合されるかまたは複数の製品にパッケージ化されることができるように理解すべきである。さらに、他の実現例は、本開示の範囲内に含まれる。
【0106】
「できる」または「可能である」などの条件付き表現は、特に明記しない限りまたは使用される文脈の理解に反しない限り、一般的に、特定の実施形態が、特定の特徴、要素および/またはステップを含んでもよく含まなくてもよいということを意図している。したがって、このような条件付き表現は、一般的に、これらの特徴、要素および/またはステップが1つ以上の実施形態に必要されると意味していない。
【0107】
「X、YおよびZのうち少なくとも1つ」などの接続表現は、特に明記しない限りまたは使用される文脈の理解に反しない限り、一般的に、そのアイテムまたはタームなどがX、YまたはZのいずれであってもよいということを意図している。したがって、そのような接続表現は、一般的に、特定の実施形態において少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZが存在する必要があると意味していない。
【0108】
本願明細書に使用された「およそ」、「約」、「一般的に」および「実質的に」などの程度を示す表現は、明記された値、量または特徴に近いであり、所望の機能を実行するまたは所望の結果を達成することができる特性、量または特徴を表す。たとえば、「およそ」、「約」、「一般的に」および「実質的に」という用語は、明記された量の10%以下、5%以下、1%以下、0.1%以下、または0.01%以下である量を意味してもよい。明記された量が0(すなわち、無しまたは含んでいない)である場合、上記の範囲は、特定の範囲にあり、特定パーセントの値に含まれておらず、たとえば、明記された量の10重量%または10体積%以下、5重量%または5体積%以下、1重量%または1体積%以下、0.1重量%または0.1体積%以下、または0.01重量%または0.01体積%以下である。
【0109】
いくつかの実施形態は、添付の図面に関連して説明されてきた。図面は一定の縮尺で描かれているが、縮尺が図面を限定するものではない。図示されているもの以外の寸法および比率が考えられ、開示された発明の範囲内に含まれる。距離および角度などは、単なる例示であり、必ずしも例示の装置の実際の寸法および配置の正確な関係を示すものではない。構成要素を追加、除外および/または再配置することができる。または、本願明細書において、さまざまな実施形態に関連して開示された任意の特定の特徴、局面、方法、特性、特徴、品質、属性および要素などは、本願明細書に記載されたすべての他の実施形態に使用することができる。さらに、本願明細書に記載された任意の方法は、記載されたステップを実行するのに適した任意の装置を使用して実施され得ることが認識されるであろう。
【0110】
複数の実施形態およびその変形は詳細に説明されてきたが、他の変更およびたの方法は当業者にとって明らかであろう。したがって、さまざまな応用、変更、材料および置換は、本願明細書の開示または特許請求の範囲から逸脱することなく、同等物であることが理解されるべきである。