(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態の画像形成装置1の構成を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、例えばカラー電子写真プリンタである。画像形成装置1は、筐体30内に、給紙カセット2(収納部)と、給紙部10(分離部)と、搬送部11と、画像形成部13と、転写ベルトユニット15と、定着装置19と、排出部25とを有している。
【0010】
給紙カセット2は、媒体としての用紙Pを収納する収納部である。給紙カセット2は、用紙Pを積載するシートプレート3と、シートプレート3を上方に付勢するスプリング4とを有している。
【0011】
給紙部10は、給紙カセット2に収納された用紙Pを1枚ずつ分離して搬送路8に給紙するものである。給紙部10は、給紙カセット2に収納された用紙Pを繰り出す給紙ローラ5と、繰り出された用紙Pを一枚ずつ搬送路8に送り出すフィードローラ6およびリタードローラ7(分離部材)とを備えている。
【0012】
給紙ローラ5は、ピックアップローラとも呼ばれ、給紙カセット2のシートプレート3上に積載された一番上の用紙Pに当接するように配置されている。給紙ローラ5は、後述する給紙モータ119(
図7)の駆動力によって
図1に矢印で示す方向に回転し、シートプレート3上に積載された一番上の用紙Pを分離して繰り出す。
【0013】
フィードローラ6およびリタードローラ7は互いに対をなしており、給紙ローラ5によって繰り出された用紙Pを挟み込むように設けられている。フィードローラ6およびリタードローラ7は、後述する給紙モータ119(
図7)の駆動力によって
図1に矢印で示す方向にそれぞれ回転し、用紙Pを一枚ずつ搬送路8に送り出す。なお、リタードローラ7は、その表面(外周面)の移動方向が用紙Pの送り出し方向と反対方向となるように回転する。
【0014】
これら給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7のうち、給紙ローラ5とフィードローラ6は用紙Pの裏面(画像が形成される面と反対側の面)に接触し、リタードローラ7は用紙Pの表面(画像が形成される面)に接触する。
【0015】
給紙部10(給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7)は、給紙カセット2に配設されているが、画像形成装置1の本体側に配設されていてもよい。
【0016】
搬送部11は、給紙部10によって搬送路8に送り出された用紙Pを、画像形成部13に向けて搬送するものである。搬送部11は、搬送路8に沿って、第1のレジストローラ対9と、第2のレジストローラ対12とを有している。
【0017】
搬送部11において、用紙Pの搬送方向(媒体搬送方向)の上流側に配置された第1のレジストローラ対9は、搬送路8を挟んで対向する一対のレジストローラ9a,9bを有し、両者の間で用紙Pを挟み込むように構成されている。
【0018】
一対のレジストローラ9a,9bのうち、用紙Pの表面に接するレジストローラ9aは、金属またはプラスチック等の低摩擦部材で構成されている。用紙Pの裏面に接するレジストローラ9bは、金属のシャフトの表面に、ゴム等の高摩擦部材で形成された弾性層を設けたものである。レジストローラ9bは駆動ローラであり、レジストローラ9aはレジストローラ9bに追従して回転する。
【0019】
また、搬送部11において、用紙Pの搬送方向の下流側に配置された第2のレジストローラ対12は、搬送路8を挟んで対向する一対のレジストローラ12a,12bを有し、両者の間で用紙Pを挟み込むように構成されている。
【0020】
一対のレジストローラ12a,12bのうち、用紙Pの表面に接するレジストローラ12a(ここでは上側のローラ)は、金属またはプラスチック等の低摩擦部材で構成されている。用紙Pの裏面に接するレジストローラ12b(ここでは下側のローラ)は、金属のシャフトの表面に、ゴム等の高摩擦部材で形成された弾性層を設けたものである。レジストローラ12bは駆動ローラであり、レジストローラ12aはレジストローラ12bに追従して回転する。
【0021】
レジストローラ9bおよびレジストローラ12b(駆動ローラ)のシャフトには、搬送モータ120(
図7)からの駆動力伝達をオンオフする電磁クラッチ121(
図7)が設けられている。電磁クラッチ121により、第1のレジストローラ対9および第2のレジストローラ対12の回転タイミングを制御する。
【0022】
用紙Pの搬送方向において第1のレジストローラ対9の上流側の近傍には、用紙Pの通過を検知する給紙センサS1が設けられている。第1のレジストローラ対9は、給紙センサS1が用紙Pの先端の通過を検知してから所定のタイミングで回転を開始する。すなわち、第1のレジストローラ対9は、用紙Pの先端をニップ部に突き当てた後に回転を開始することで、用紙Pの斜行を矯正して搬送する。
【0023】
また、用紙Pの搬送方向において第2のレジストローラ対12の上流側の近傍には、用紙Pの通過を検知する給紙センサS2が設けられている。第2のレジストローラ対12は、給紙センサS2が用紙Pの先端の通過を検知すると直ちに回転を開始し、用紙Pを画像形成部13に向けて搬送する。
【0024】
また、用紙Pの搬送方向において第2のレジストローラ対12の下流側の近傍には、用紙Pの通過を検知する書き込みセンサS3が設けられている。この書き込みセンサS3の出力信号は、後述する感光体ドラム20の露光(書き込み)を開始するタイミングを決定するために用いられる。
【0025】
第1のレジストローラ対9と第2のレジストローラ対12との間の搬送路8に対向するように、マルチパーパストレイ(MPT)50が設けられている。マルチパーパストレイ50は、用紙を収納するトレイ部51と、トレイ部51の用紙を繰り出す給紙ローラ52と、繰り出された用紙を第2のレジストローラ対12に向けて一枚ずつ送り出すフィードローラ53およびリタードローラ54とを備えているが、これらについての詳細説明は省略する。
【0026】
画像形成部13は、用紙Pの搬送方向に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンのプロセスユニット(画像形成ユニット)14K,14Y,14M,14Cを有している。プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cは、それぞれ画像形成装置1の筐体30に着脱自在に設けられている。
【0027】
プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cは、使用するトナー(現像剤)を除き、共通の構成を有しているため、ここでは「プロセスユニット14」として説明する。プロセスユニット14は、像担持体としての感光体ドラム20を有している。感光体ドラム20は、導電性を有する円筒状の支持体の表面に、電荷発生層および電荷輸送層からなる感光層を形成したものであり、駆動モータ117(
図7)の駆動力により図中時計回りに回転する。
【0028】
感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20の回転方向に沿って、帯電部材としての帯電ローラ21と、露光装置としてのLEDヘッド22と、現像装置23と、クリーニング部材24とが配置されている。
【0029】
帯電ローラ21は、感光体ドラム20の表面に当接するように配置され、感光体ドラム20に追従して回転する。また、帯電ローラ21には帯電電圧が印加され、これにより感光体ドラム20の表面を一様に帯電させる。LEDヘッド22は、LED(発光素子)アレイを有し、感光体ドラム20の表面に光を照射することにより、感光体ドラム20の表面に静電潜像を形成する。
【0030】
現像装置23は、感光体ドラム20の表面に当接して回転する現像ローラ23a(現像剤担持体)と、現像ローラ23aの表面に当接(または対向)して回転する供給ローラ23b(現像剤供給部材)とを有している。現像ローラ23aには現像電圧が印加され、供給ローラ23bには供給電圧が印加される。供給ローラ23bは、現像ローラ23aにトナーを供給する。現像ローラ23aは、感光体ドラム20の表面の静電潜像にトナーを付着させて現像し、トナー像を形成する。
【0031】
クリーニング部材24は、例えば、感光体ドラム20の表面に当接するように配置されたクリーニングローラ(例えばスポンジローラ)である。クリーニング部材24は、後述するトナー像の転写後に、感光体ドラム20の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去する。なお、クリーニング部材24は、クリーニングローラに限らず、クリーニングブレードであってもよい。
【0032】
転写ベルトユニット15は、画像形成部13の下側に対向配置されている。転写ベルトユニット15は、プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cの各感光体ドラム20に対向配置された転写ローラ16を有している。転写ベルトユニット15は、さらに、各感光体ドラム20と転写ローラ16との間を通過するように設けられた転写ベルト17と、この転写ベルト17が張架されるベルト駆動ローラ18aおよびテンションローラ18bとを有している。
【0033】
ベルト駆動ローラ18aは、ベルトモータ122(
図7)の駆動力により回転し、転写ベルト17を走行させる。転写ベルト17は、表面に用紙Pを静電吸着し、用紙Pをプロセスユニット14K,14Y,14M,14Cに沿って搬送する。転写ローラ16は、転写電圧が印加され、各感光体ドラム20に形成されたトナー像を、転写ベルト17上の用紙Pの表面に転写する。
【0034】
定着装置19は、用紙Pの搬送方向において画像形成部13および転写ベルトユニット15の下流側に配置されている。定着装置19は、定着ローラ19aと加圧ローラ19bとを有している。定着ローラ19aは、ヒータ116(
図7)を内蔵し、後述する定着モータ118によって回転する。加圧ローラ19bは、定着ローラ19aの表面に押圧され、ニップ部(定着ニップ部)を形成する。定着ローラ19aおよび加圧ローラ19bは、用紙Pを挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙Pに定着する。
【0035】
排出部25は、用紙Pの搬送方向において定着装置19の下流側に配置されている。排出部25は、定着装置19から排出された用紙Pを排出搬送路27に沿って搬送して装置外に排出する第1の排出ローラ対26および第2の排出ローラ対28を有している。また、画像形成装置1の上部には、排出された用紙Pを載置するスタッカ部29が設けられている。
【0036】
画像形成装置1の筐体30において搬送部11が設けられた側(
図1における右側)には、開閉フレーム31が設けられている。開閉フレーム31は、その下端部に設けられた支軸33を中心として、筐体30に対して回動可能に構成されている。開閉フレーム31が
図1に示す閉位置にあるときには、開閉フレーム31は画像形成装置1の側壁をなしている。
【0037】
図2は、開閉フレーム31を支軸33を中心に回動させて開放した状態を示す図である。開閉フレーム31を開放位置まで回動させると、画像形成装置1の搬送部11の一部が開放される。開閉フレーム31を開放位置まで回動させることにより、例えば紙詰まりを起こした用紙Pを搬送部11から容易に取り除くことができる。なお、開閉フレーム31には、上述したマルチパーパストレイ50(
図1)が取り付けられるが、
図2では取り外されている。
【0038】
<紙粉掻き取り部材>
次に、本実施の形態の紙粉掻き取り部材40について説明する。
図1に示すように、第2のレジストローラ対12のレジストローラ12a(搬送ローラ)の表面すなわち外周面に接するように、紙粉掻き取り部材40が設けられている。紙粉掻き取り部材40は、例えばフィルムで構成されている。
【0039】
図3は、紙粉掻き取り部材40の構成を示す斜視図である。
図4(A)は、紙粉掻き取り部材40の取り付け構造を示す図である。
図3に示すように、紙粉掻き取り部材40は、フィルムを略L字状に折り曲げたものであり、鉛直面に沿って延在する基部41と、基部41の下端でレジストローラ12a側に折り曲げられた当接部(折り曲げ部)42とを有している。紙粉掻き取り部材40を構成するフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂で形成されている。
【0040】
紙粉掻き取り部材40の基部41は、長さL1(例えば20mm)を有し、当接部42は、長さL2(例えば6mm)を有している。そして、当接部42は、基部41に対して一定の角度αで折り曲げられている。
【0041】
図4(A)に示すように、基部41は、その裏面41aにおいて、ネジまたは両面テープにより開閉フレーム31の内側の鉛直面32に固定されている。紙粉掻き取り部材40は、基部41が開閉フレーム31に固定された状態で、当接部42の先端部42aがレジストローラ12aの表面に当接するように、長さL1,L2(
図3)および折り曲げ角度が設定されている。
【0042】
すなわち、紙粉掻き取り部材40は、その当接部42の先端部42aをレジストローラ12aに当接させることにより、レジストローラ12aの表面から紙粉を掻き取るように構成されている。レジストローラ12aの表面から掻き取った紙粉は、基部41と当接部42との間に形成される領域(滞留部44)に溜めることができる。
【0043】
図4(B)に示すように、紙粉掻き取り部材40の基部41を開閉フレーム31に固定する際には、レジストローラ12aに押し当てられる当接部42と基部41とのなす角が角度β(<α)となるようにする。これにより、紙粉掻き取り部材40を構成するフィルムの弾性力により、当接部42の先端部42aがレジストローラ12aの表面に押し当てられる。
【0044】
紙粉掻き取り部材40の当接部42の先端がレジストローラ12aの表面に当接することにより変位する変位量を、当接量σとする。ここでは、紙粉掻き取り部材40を構成するフィルムの厚さTを0.3mmとし、当接量σを2mmとしている。後述するように、紙粉の掻き取り能力を確保しつつ、なお且つ第2のレジストローラ対12の回転負荷の増大を抑えるためである。
【0045】
紙粉掻き取り部材40の当接部42は、レジストローラ12aの回転方向に対してカウンタ方向にレジストローラ12aの表面に当接している。なお、「カウンタ方向に当接する」とは、レジストローラ12aの回転方向に対して抗する方向に当接することを言う。紙粉掻き取り部材40の当接部42がこのように当接することで、レジストローラ12aの表面に付着した紙粉を、効率よく掻き取ることができる。
【0046】
なお、基部41の下端部には、当接部42の幅方向両側に位置するように、下方に突出する突出部43(
図3)が設けられている。これらの突出部43は、紙粉掻き取り部材40を開閉フレーム31に正確に位置決めして固定するためのものである。
【0047】
図5は、給紙部10および搬送部11を含む部分の斜視図である。
図6は、
図5における矢印VI方向から見た図である。なお、
図6では、図示の便宜上、給紙ローラ5とフィードローラ6とを重ねて示している。
【0048】
図6に示すように、給紙部10の給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7は、それぞれ、金属製のシャフト5a,6a,7aの表面に、ゴム等の高摩擦部材で構成されたローラ部分5b,6b,7bを設けたものである。
【0049】
給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の各ローラ部分5b,6b,7bは、いずれも、用紙Pの幅方向(矢印Dで示す)において搬送路8の中央部に配置されている。
【0050】
以下では、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の各ローラ部分5b,6b,7bの幅(すなわち用紙Pの幅方向における寸法)を、それぞれのローラの幅と称する。給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7は、同じ幅W1を有している。幅W1は、用紙Pの幅よりも狭く、ここでは30mmである。
【0051】
紙粉掻き取り部材40は、矢印Dで示す用紙Pの幅方向(すなわちレジストローラ12aの軸方向)におけるレジストローラ12aの中央部に当接するように配置されている。紙粉掻き取り部材40の当接部42の幅W2は、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の幅W1よりも若干広く、ここではW2は40mmである。
【0052】
紙粉掻き取り部材40の当接部42の幅W2と、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の幅W1との比W2/W1は、後述するように1.1≦W2/W1≦1.7の範囲にあることが望ましい。
【0053】
なお、
図5に示すように、第1のレジストローラ対9および第2のレジストローラ対12は、筐体30の一部をなす一対のフレーム35によって支持されている。また、このフレーム35には、第1のレジストローラ対9から第2のレジストローラ対12まで用紙Pを案内する搬送ガイド36が取り付けられている。紙粉掻き取り部材40は、用紙Pの搬送方向において、搬送ガイド36とレジストローラ12aとの間に位置している。
【0054】
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。
図7は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部100と、I/F(インタフェース)制御部101と、受信メモリ102と、画像データ編集メモリ103と、操作部104と、センサ群105と、帯電ローラ用電源106と、現像ローラ用電源107と、供給ローラ用電源108と、転写ローラ用電源109と、ヘッド制御部110と、ヒータ制御部111と、駆動制御部112と、定着駆動制御部113と、搬送制御部114と、ベルト駆動制御部115とを備える。
【0055】
制御部100は、マイクロプロセッサ、メモリ、入出力ポート、タイマ等を有して構成されている。制御部100は、上位装置からI/F制御部101を介して印刷データおよび制御コマンドを受信し、画像形成装置1の印刷動作を行う。
【0056】
受信メモリ102は、上位装置からI/F制御部101を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ103は、受信メモリ102に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。操作部104は、画像形成装置1の状態を表示するための表示部および操作者が指示を入力するための操作部を備える。センサ群105は、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば給紙センサS1,S2、書き込みセンサS3、温湿度センサ、および濃度センサ等を含む。
【0057】
帯電ローラ用電源106は、帯電ローラ21に帯電電圧を印加する。現像ローラ用電源107は、現像ローラ23aに現像電圧を印加する。供給ローラ用電源108は、供給ローラ23bに供給電圧を印加する。転写ローラ用電源109は、転写ローラ16に転写電圧を印加する。
【0058】
ヘッド制御部110は、画像データ編集メモリ103に記録されたイメージデータをLEDヘッド22に送り、LEDヘッド22を発光制御する。ヒータ制御部(定着制御部)111は、温度調節回路を有し、定着装置19に設けた温度センサ(サーミスタ等)からの信号に基づき、定着ローラ19a内のヒータ116に電流を供給する。
【0059】
駆動制御部112は、プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cの各感光体ドラム20、現像ローラ23a、供給ローラ23b等を回転させるための駆動モータ(ドラムモータ)117の回転を制御する。
【0060】
定着駆動制御部113は、定着装置19の加圧ローラ19bを回転させるための定着モータ118の回転を制御する。搬送制御部114は、
図1に示した給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7を回転させる給紙モータ119を制御し、さらに、第1のレジストローラ対9および第2のレジストローラ対12を回転させる搬送モータ120および電磁クラッチ121を制御する。ベルト駆動制御部115は、ベルト駆動ローラ18aを回転させるベルトモータ122を制御する。なお、第1の排出ローラ対26および第2の排出ローラ対28は、定着モータ118からの回転伝達によって回転する。
【0061】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1の画像形成(印刷)の基本動作について、
図1および
図7を参照して説明する。画像形成装置1の制御部100は、上位装置からI/F制御部101を介して印刷コマンドと印刷データを受信すると、受信メモリ102に印刷データを一時的に記録し、記録した印刷データを編集処理してイメージデータを生成し、画像データ編集メモリ103に記録する。
【0062】
制御部100は、また、搬送制御部114により給紙モータ119を駆動して給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7を回転させ、給紙カセット2に収納された用紙Pを一枚ずつ搬送路8に送り出す。
【0063】
搬送路8に送り出された用紙Pの先端が給紙センサS1を通過すると、所定のタイミングで第1のレジストローラ対9が回転を開始し、用紙Pの斜行を矯正しながら搬送する。さらに、用紙Pの先端が給紙センサS2を通過すると、第2のレジストローラ対12が回転を開始し、用紙Pを画像形成部13に向けて搬送する。
【0064】
制御部100は、また、ベルト駆動制御部115によりベルトモータ122を駆動してベルト駆動ローラ18aを回転させ、転写ベルト17を走行させる。転写ベルト17は、第2のレジストローラ対12から搬送されてきた用紙Pを吸着保持して、プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cの順に搬送する。
【0065】
制御部100は、プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cにおいて、各色のトナー像の形成を行う。すなわち、制御部100は、各プロセスユニット14の帯電ローラ21、現像ローラ23aおよび供給ローラ23bに対し、帯電ローラ用電源106、現像ローラ用電源107および供給ローラ用電源108から、帯電電圧、現像電圧および供給電圧をそれぞれ印加する。
【0066】
制御部100は、また、駆動制御部112により駆動モータ117を回転させ、感光体ドラム20を回転させる。感光体ドラム20の回転に伴って、帯電ローラ21、現像ローラ23aおよび供給ローラ23bも回転する。帯電ローラ21は、その帯電電圧により、感光体ドラム20の表面を一様に帯電させる。
【0067】
制御部100は、画像データ編集メモリ103に記録されているイメージデータに基づき、ヘッド制御部110を発光制御する。ヘッド制御部110は、LEDヘッド22により、感光体ドラム20の表面に光を照射して静電潜像を形成する。
【0068】
現像装置23では、供給ローラ23bから現像ローラ23aにトナーが供給される。感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ23aの表面に担持されたトナーによって現像され、感光体ドラム20の表面にトナー像が形成される。制御部100は、転写ローラ用電源109から転写ローラ16に転写電圧を印加し、これにより、感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像が転写ベルト17上の用紙Pに転写される。用紙Pに転写されなかったトナー(転写残トナー)は、クリーニング部材24によって掻き取られる。
【0069】
このように、各プロセスユニット14K,14Y,14M,14Cで形成された各色のトナー像が用紙Pに順次転写され、互いに重ね合される。各色のトナー像が転写された用紙Pは、転写ベルト17によってさらに搬送され、定着装置19に到達する。
【0070】
定着装置19では、定着ローラ19a内のヒータ116が、ヒータ制御部111によって所定の定着温度に加熱されている。定着ローラ19aおよび加圧ローラ19bによって用紙Pに熱および圧力が加えられ、トナー像が溶融して用紙Pに定着する。トナー像が定着した用紙Pは、第1の排出ローラ対26および第2の排出ローラ対28によって排出搬送路27に沿って搬送されて排出され、スタッカ部29上に載置される。用紙Pへのカラー画像の形成が完了する。
【0071】
<紙粉掻き取り部材の作用>
次に、上記の画像形成装置1の動作における紙粉掻き取り部材40の作用について説明する。給紙カセット2から用紙Pを給紙する際には、給紙ローラ5が回転して給紙カセット2内に積載された一番上の用紙Pを繰り出し、さらにフィードローラ6およびリタードローラ7が回転して用紙Pを1枚ずつ搬送路8に送り出す。
【0072】
給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7は、用紙Pを一枚ずつ分離する性能を確保するため、上記のとおり、表面がゴムなどの高摩擦部材で構成されている。そのため、これら給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7と用紙Pとの接触により、用紙Pの表面の繊維質が剥がれて紙粉が発生する。
【0073】
用紙Pの給紙能力を高める上では、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の幅W1(
図6)は広い方が有効である。しかしながら、各ローラの幅W1を広くし過ぎると、製造コストが上昇し、また用紙Pと各ローラとの接触状態がローラの軸方向両端(左右両端)で不均一になりやすく、用紙Pが斜めに給紙される等の給紙不良の原因になる。
【0074】
そのため、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7は、数十mmの幅W1を有し、給紙カセット2に対して用紙Pの幅方向のほぼ中央部に配置されるのが一般的である。
【0075】
給紙カセット2から送り出された用紙Pは、上記のように発生した紙粉を表面および裏面に付着させた状態で搬送される。そして、用紙Pが第1のレジストローラ対9および第2のレジストローラ対12によって搬送される際に、用紙Pに付着した紙粉の多くが、第1のレジストローラ対9(レジストローラ9a,9b)の表面および第2のレジストローラ対12(レジストローラ12a,12b)の表面に付着することになる。
【0076】
しかしながら、用紙Pの搬送枚数が増加し、第1のレジストローラ対9の表面および第2のレジストローラ対12の表面で紙粉を回収しきれなくなると、用紙Pが紙粉を付着させた状態で画像形成部13に送られる。画像形成部13では、用紙Pに付着した紙粉がプロセスユニット14K,14Y,14M,14Cの各感光体ドラム20の表面に吸着し、次いで感光体ドラム20の表面からクリーニング部材24に転写される。そのため、クリーニング部材24に紙粉が詰まった状態となり、感光体ドラム20上の転写残トナーを掻き取る機能が低下する。その結果、トナー像の転写不良を招き、印刷画像に汚れが生じる可能性がある。
【0077】
本実施の形態では、紙粉掻き取り部材40を、画像形成部13の直前の(すなわち用紙Pの搬送方向において上流側に隣接する)レジストローラ12aに当接するように配置している。そのため、用紙Pからレジストローラ12aに付着した紙粉を、紙粉掻き取り部材40で掻き取って回収することができる。従って、用紙Pの搬送枚数が増加しても、レジストローラ12aに用紙Pの紙粉を付着させて回収することができる。すなわち、用紙Pが画像形成部13に到達する前に、用紙Pの紙粉を効率よく除去することができ、印刷品質を向上することができる。
【0078】
また、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7のうち、用紙Pの表面(画像が形成される面)に接触するのはリタードローラ7である。本実施の形態では、紙粉掻き取り部材40の幅W2がリタードローラ7の幅W1よりも若干広いため、リタードローラ7と用紙Pとの接触によって発生した紙粉を、紙粉掻き取り部材40で効率よく除去することができる。
【0079】
ここで、紙粉掻き取り部材40の当接部42の幅W2と、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7の幅W1との比W2/W1は、1.1≦W2/W1≦1.7の範囲にあることが望ましい。W2/W1が1.1未満の場合、紙粉掻き取り部材40の幅方向両端から紙粉が漏れやすくなるためである。また、W2/W1が1.7よりも大きい場合、レジストローラ12aに対する当接圧力(すなわち第2のレジストローラ対12の回転負荷)が増加し、また軸方向における当接圧力の不均一(いわゆる片当たり)が発生する可能性があるためである。
【0080】
また、紙粉掻き取り部材40が、用紙Pの表面(画像が形成される側の面)に接するレジストローラ12aに当接するため、用紙Pの紙粉が各プロセスユニット14の感光体ドラム20に吸着されることを防止することができる。
【0081】
また、紙粉掻き取り部材40の基部41と当接部42との間に、レジストローラ12aから掻き取った紙粉を溜める滞留部44が形成されるため、紙粉の飛散を防止することができる。すなわち、掻き取った紙粉が再び用紙Pに付着することを抑制することができる。また、画像形成装置1の清掃やメンテナンスが行われるまでの期間、滞留部44に紙粉を保持しておくことができる。
【0082】
また、紙粉掻き取り部材40が画像形成部13の直前に設けられたレジストローラ12aに当接するように配置されているため、用紙Pが給紙カセット2およびマルチパーパストレイ50のどちらから供給された場合も、その用紙Pの紙粉を掻き取ることができる。
【0083】
また、紙粉掻き取り部材40は、開閉フレーム31に取り付けられているため、紙詰まりを起こした用紙Pを取り除く際に、開閉フレーム31を開放することで、紙粉掻き取り部材40に溜まった紙粉を除去し、紙粉掻き取り部材40を清掃する作業を容易に行うことができる。
【0084】
ここで、紙粉の掻き取り能力を高めるためには、紙粉掻き取り部材40を構成するフィルムの厚さTを厚くし、当接量σ(紙粉掻き取り部材40の当接部42の先端がレジストローラ12aの表面に当接することにより変位する変位量)を大きくすることで、紙粉掻き取り部材40のレジストローラ12aに対する当接圧力を大きくすることが望ましいが、レジストローラ12aに対する当接圧力が大きくなると、第2のレジストローラ対12の回転負荷が増加する。
【0085】
そのため、本実施の形態では、紙粉掻き取り部材40(フィルム)の厚さを0.3mm以下、より具体的には0.1mm〜0.3mmの範囲内とし、さらに、紙粉掻き取り部材40のレジストローラ12aに対する当接量σ(
図4(B))を1.0mm〜3.0mmの範囲内とすることが望ましい。これにより、第2のレジストローラ対12の回転負荷を抑制しながら、紙粉の掻き取り能力を向上することができる。
【0086】
上記の説明では、給紙ローラ5、フィードローラ6およびリタードローラ7が同じ幅W1を有していたが、これらの幅が互いに異なる場合には、紙粉掻き取り部材40の幅W2(
図6)をリタードローラ7の幅よりも広くすればよい。
【0087】
また、紙粉掻き取り部材40は、フィルム(例えばPET等)で構成されていることが望ましいが、レジストローラ12aの表面に付着した紙粉を掻き取ることができるものであれば、フィルム以外の部材で構成してもよい。
【0088】
また、上記の説明では、紙粉掻き取り部材40を、第2のレジストローラ対12のレジストローラ12aに当接するように配置したが、第2のレジストローラ対12のレジストローラ12aに限らず、画像形成部13の直前の搬送ローラ(すなわち、画像形成部13の上流側に隣接する搬送ローラ)に当接するように配置されていればよい。
【0089】
また、上記の説明では、画像形成装置1が4つのプロセスユニット(画像形成ユニット)14K,14Y,14M,14Cによりカラー画像を形成する例について説明したが、画像形成装置1は単色(例えば黒色)の画像を形成するものであってもよい。
【0090】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1によれば、紙粉掻き取り部材40を設けるだけで、用紙Pの給紙時に発生した紙粉を効率よく掻き取ることができ、これにより印刷不良の発生を抑制することができる。
【0091】
特に、近年では環境対策および運転コスト低減のため、再生紙の利用や印刷済み用紙の再利用が行われるケースが増加しているが、これらの用紙は一般の用紙と比較して紙粉の発生量が多いため、上述した紙粉掻き取り部材40による紙粉の掻き取りは特に有用である。
【0092】
また、紙粉掻き取り部材40の幅W2を、リタードローラ7の幅W1よりも若干広くすることにより、リタードローラ7と用紙Pとの接触によって発生した紙粉を、紙粉掻き取り部材40で効率よく除去することができる。
【0093】
また、紙粉掻き取り部材40をフィルムで構成することにより、簡単な構成で紙粉を除去することができる。特に、フィルムを折り曲げて基部41および当接部42とし、当接部42の先端部42aをレジストローラ12aの表面に押し当てるようにしたため、簡単な構成且つ小さい占有スペースで、効率よく紙粉の掻き取りを行うことができる。
【0094】
また、紙粉掻き取り部材40の基部41と当接部42との間に、掻き取った紙粉を溜めることができる滞留部44を設けることにより、紙粉の飛散を防止することができる。加えて、例えば画像形成装置1の清掃やメンテナンス等が行われるまで紙粉を保持しておくことができる。
【0095】
また、紙粉掻き取り部材40が開閉フレーム31に取り付けられているため、開閉フレーム31を開放することで、紙粉掻き取り部材40に溜まった紙粉を除去することができ、ユーザによる清掃やメンテナンスも容易になる。
【0096】
本発明は、カラーまたは単色の画像を形成する、プリンタ、ファクシミリ、コピー機、複合機等の画像形成装置に適用することができる。