(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中継器は、前記アンテナ制御信号を直流電力信号と多重化して前記ドナーアンテナへ提供する信号多重化部を更に含む、請求項1〜6の何れか一項に記載のアンテナ制御システム。
前記ドナーアンテナは、前記信号多重化部から受信した多重化信号を、前記アンテナ制御信号と前記直流電力信号に逆多重化する信号逆多重化部を更に含む、請求項7に記載のアンテナ制御システム。
前記フェーズコントローラは、前記アンテナ制御信号に基づいて前記複数の伝送線路のうちいずれか一つを選択し、対応する指向方向へ前記アンテナモジュールの指向方向を変更する、請求項1〜8の何れか一項に記載のアンテナ制御システム。
前記アンテナモジュールの現在の指向方向に関する信号品質パラメータが一定の閾値より低い場合、前記生成部は前記アンテナモジュールの指向方向を自動的に変更するように制御し、
前記アンテナモジュールの現在の指向方向に関する信号品質パラメータが一定の閾値以上の場合、前記生成部は現在の指向方向に前記アンテナモジュールの指向方向を固定するように制御する、請求項1〜11の何れか一項に記載のアンテナ制御システム。
基地局からの信号を受信するために窓ガラスの内側に固定して配置され且つアレーアンテナで構成されるアンテナモジュール、複数の伝送線路を含むフェーズシフター、及び、前記アンテナモジュールの指向方向を変更するために前記フェーズシフターを制御するフェーズコントローラを含むドナーアンテナと、前記ドナーアンテナを保護するケースと、前記ケースの端部からはみ出すように、前記ドナーアンテナの周囲に取り付けられた板状の金属切片と、前記アンテナモジュールの指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成する生成部を含む中継器と、を有するアンテナ制御システムにおけるアンテナ制御方法であって、
フェーズシフターの複数の伝送線路のうちいずれか一つを選択するためのアンテナ制御信号を生成し、
前記アンテナ制御信号を前記フェーズコントローラに伝送して、前記アンテナモジュールの指向方向を自動的に変更しながら、それぞれの指向方向に対する信号品質パラメータを作成し、
前記それぞれの指向方向のうち第1方向に関する第1信号品質パラメータと第2方向に関する第2信号品質パラメータとを比較し、
前記第1信号品質パラメータが第2信号品質パラメータ以上である場合、前記アンテナモジュールの指向方向を前記第1の方向に固定するように制御する、
ことを有するアンテナ制御方法。
【背景技術】
【0002】
移動通信信号の強度が微弱な室内で移動通信電話機の通信ができるようにするために移動通信中継器が利用されている。移動通信中継器とは、基地局と端末との間の電波が微弱な場所または届かない場所に設置して、そこに良好な信号を提供することで、安定した無線通信サービスを可能とする装置をいう。
【0003】
一般に、電界強度の強い屋外に設置されたドナーアンテナ(Donner Antenna)は、基地局から受信した信号を、室内に設置された移動通信中継器へ供給し、移動通信中継器は、信号を適切に増幅して室内のアンテナ(サービスアンテナ:Service Antenna)へ供給する。
【0004】
しかしながら、ドナーアンテナは、隣接した基地局と対向状態になる必要があるため、屋外において、その設置方向が隣接基地局に最適に向かうように設置されている。このような移動通信中継器の構成において、屋外に設置されたドナーアンテナを室内の移動通信中継器と結合させるために、アンテナケーブルを壁面へ貫通して引き入れる必要がある。
【0005】
仮にアンテナケーブルの壁面への貫通を避けるために、ドナーアンテナを室内に設置したとしても、室内に設置されたドナーアンテナの方向を隣接基地局と対向する最適な角度に設定しなければならない。
【0006】
この場合、建物の壁面及び室内の構造物による乱反射が生じて、基地局との対向状態が最適なものにならなくなり、この乱反射による反射波が室内に設置された移動通信中継器の他のアンテナ、即ち、サービスアンテナに帰還して発振を引き起こすという問題があった。
【0007】
このように、室内に設置されて建物の壁面のアンテナ引き入れ貫通口を使用しなかったとしても、窓方向と基地局の方向が一致しない場合、基地局と壁面に取り付けられたアンテナとが対向せず、基地局からの電波は、アンテナの主輻射方向に向かわらず、ドナーアンテナは基地局と最適な電波送受信を行うことができなくなり、信号中継の機能を果たすことができなくなる。特許文献1には、ドナーアンテナとサービスアンテナを一つの筐体に収納して、室内に設置された状態で基地局と移動局との間の通信を中継する中継措置が開示されている。
【発明の概要】
【0009】
特許文献1に記載の中継装置は、建物壁面のアンテナ引き入れ貫通口を使用しない利点を有する。しかしながら、室内に設置されるため、建物の壁面及び室内の構造物による乱反射が生じる可能性があり、ドナーアンテナの指向方向を変更する必要が求められることにより、基地局とドナーアンテナとの電波の送受信を最適化することが難しくなるという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、建物の壁面及び室内の構造物による乱反射の影響を最小化するため、壁面にアンテナの引き入れ口を穿孔しないまま、ガラス窓にドナーアンテナを取り付ける構成を採用している。そして、ガラス窓に取り付けられた状態でそれぞれのビーム方向からドナーアンテナへ受信される無線信号の信号品質パラメータを作成し、作成したパラメータを分析した結果に基づいてドナーアンテナの指向方向を最適に自動設定する。これにより、設置及び保持管理のための費用を低減するとともに、ドナーアンテナと隣接基地局との最適指向点を常に保持することを可能とするアンテナ制御方法及びこれを実行するシステムを提供することを目的とする。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、以上に述べた課題に制限されることなく、述べられていない他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されると考える。
【0012】
基地局からの入力信号を受信するためのアンテナ制御システムは、窓ガラスの内側に固定して配置され且つアレーアンテナで構成されるアンテナモジュール、複数の伝送線路を含むフェーズシフター、及び、アンテナモジュールの指向方向を変更するためにフェーズシフターを制御するフェーズコントローラ、を含むドナーアンテナと、アンテナモジュールが受信した受信信号を測定する測定部、測定部の測定結果に基づいてアンテナモジュールの各々を指向方向に対する信号品質パラメータを分析する分析部、及び、分析部の分析結果に基づいてアンテナモジュールの指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成する生成部、を含む中継器と、を有する。
【0013】
また、アンテナ制御システムは、中継器は、アンテナモジュールが受信した受信信号に基づく無線信号を発信するサービスアンテナを更に含むことが好ましい。
【0014】
また、アンテナ制御システムは、アンテナ制御信号をフェーズコントローラへ伝送する給電線を更に有することが好ましい。
【0015】
また、アンテナ制御システムは、アンテナモジュールは複数の個別アンテナを含み、アンテナモジュールの各々の個別アンテナは、ガラス窓側から所定の距離を離隔して配置される第1パッチアンテナ及び、第1パッチアンテナから所定の距離を離隔して配置される第2パッチアンテナで構成されることが好ましい。
【0016】
また、アンテナ制御システムは、ドナーアンテナは、第2パッチアンテナの背面に配置された金属製反射部を更に含むことが好ましい。
【0017】
また、アンテナ制御システムは、ドナーアンテナは、第1パッチアンテナの周囲に配置された板状の金属切片を更に含むことが好ましい。
【0018】
また、アンテナ制御システムは、中継器は、アンテナ制御信号を直流電力信号と多重化して前記ドナーアンテナへ提供する信号多重化部を更に含むことが好ましい。
【0019】
また、アンテナ制御システムは、ドナーアンテナは、信号多重化部から受信した多重化信号を、アンテナ制御信号と直流電力信号に逆多重化する信号逆多重化部を更に含むことが好ましい。
【0020】
また、アンテナ制御システムは、フェーズコントローラは、アンテナ制御信号に基づいて前記複数の伝送線路のうちいずれか一つを選択し、対応する指向方向へアンテナモジュールの指向方向を変更することが好ましい。
【0021】
また、アンテナ制御システムは、複数の伝送線路それぞれは、相互に異なった位相遅延値を有することが好ましい。
【0022】
また、アンテナ制御システムは、信号品質パラメータは、中継器の出力信号の強さ又は基地局の入力信号の強さであることが好ましい。
【0023】
また、アンテナ制御システムは、アンテナモジュールの現在の指向方向に関する信号品質パラメータが一定の閾値より低い場合、生成部は前記アンテナモジュールの指向方向を自動的に変更するように制御し、アンテナモジュールの現在の指向方向に関する信号品質パラメータが一定の閾値以上の場合、生成部は現在の指向方向にアンテナモジュールの指向方向を固定するように制御することが好ましい。
【0024】
また、アンテナ制御システムは、分析部は、現在の指向方向に関する信号品質パラメータと現在の指向方向に近接している方向に関する信号品質パラメータとを比較し、現在の指向方向に関する信号品質パラメータが、現在の指向方向に近接している方向に関する信号品質パラメータ以上である場合、生成部は、現在の指向方向にアンテナモジュールの指向方向を固定するように制御し、現在の指向方向に関する信号品質パラメータが、現在の指向方向に近接している方向に関する信号品質パラメータより低い場合、生成部は、アンテナモジュールの指向方向を自動的に変更するように制御することが好ましい。
【0025】
また、アンテナ制御システムは、生成部は、予め設定された時間帯に前記基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索し、予め設定された時間帯は、基地局の無線資源の使用量が所定の基準より少ない時間帯であることが好ましい。
【0026】
基地局からの入力信号を受信するために窓ガラスの内側に固定して配置され且つアレーアンテナで構成されるアンテナモジュール、複数の伝送線路を含むフェーズシフター、及び、アンテナモジュールの指向方向を変更するためにフェーズシフターを制御するフェーズコントローラを含むドナーアンテナと、アンテナモジュールの指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成する生成部を含む中継器と、を有するアンテナ制御システムにおけるアンテナ制御方法は、フェーズシフターの複数の伝送線路のうちいずれか一つを選択するためのアンテナ制御信号を生成し、アンテナ制御信号をフェーズコントローラに伝送して、アンテナモジュールの指向方向を自動的に変更しながら、それぞれの指向方向に対する信号品質パラメータを作成し、それぞれの指向方向のうち第1方向に関する第1信号品質パラメータと第2方向に関する第2信号品質パラメータとを比較し、第1信号品質パラメータが第2信号品質パラメータ以上である場合、アンテナモジュールの指向方向を第1の方向に固定するように制御する、ことを有する。
【0027】
本発明の利点及び/又は特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳しく後述している実施例を参照すると明確になる。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、相互に異なる様々な形態に具現され、本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって同じ参照符号は同じ構成要素を指す。
【0028】
本発明に係るアンテナ制御システム及び方法によると、種々の方向から受信される信号品質パラメータを分析した結果に基づいてアンテナ方向を最適に自動設定することで、手動でアンテナの指向方向を調整することに比べて通話品質を向上させるとともに、設置及び保持管理費用を低減することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るアンテナ制御システム及び方法によると、ドナーアンテナを室内の窓に取り付けて設置することで、移動通信中継器を設置するために、アンテナの引き入れ口を穿孔する必要がなくなり、窓に取り付けられたアンテナと隣接基地局との最適指向点を常に保持させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0032】
また、当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【0033】
本明細書において使われた用語のうち、「所定レベル以上の信号を受信するための方向」は、各々の伝送線路に該当する指向角度に従ってドナーアンテナの指向方向を変更しながら、それぞれの方向の信号品質に対する評価結果を得た場合に、評価結果が特定の信号品質の閾値以上になる方向を意味する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ制御システムを説明するための図面である。
【0035】
図1を参照すると、アンテナ制御システムは、ドナーアンテナ100及び移動通信中継器200を含む。ここで、ドナーアンテナ100及び移動通信中継器200は、給電線300を通じて連結することができる。給電線300は同軸ケーブルで具現される。
図1に、ドナーアンテナ100が移動通信中継器200と分離されて移動通信中継器200の外部に設置された例を示したが、ドナーアンテナ100は移動通信中継器200の内部に設置されてもよい。ドナーアンテナ100は、移動通信中継器側200に向かって設置される。なお、ドナーアンテナ100は、移動通信中継器側200以外の方向に向かって設置されてもよい。
【0036】
ドナーアンテナ100は、基地局と無線信号を送受信するためにドナーアンテナ100の指向方向が基地局に向かうように設置される。ドナーアンテナ100は基地局から信号を受信し、受信した信号を移動通信中継器200へ提供する。ドナーアンテナ100は、それぞれのビーム方向A1、A2、A3を有する、複数の基地局400,401,402のうち無線信号を最も効率的に受信できる基地局から無線信号を受信する。
【0037】
ドナーアンテナ100は、給電線を通じて移動通信中継器200から受信したアンテナ制御無線信号に基づいて、予め設定された指向角度を有する複数の伝送線路のうちいずれか一つの伝送線路を選択し、選択した伝送線路に該当する指向角度に従ってドナーアンテナ100の指向方向を変更する。
【0038】
指向方向は、ドナーアンテナ100のビーム指向角変更方法により変更することができる。ドナーアンテナ100のビーム指向角変更方法は、ドナーアンテナ100のビームが指向する方向を変更して特定の方向を指向するようにする方法である。
【0039】
このような過程により、移動通信中継器200によって基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向が決定されると、ドナーアンテナ100の指向方向は該当方向に変更される。
【0040】
移動通信中継器200は、ドナーアンテナ100から無線信号を受信して室内にある端末機500へ提供する。移動通信中継器200は、給電線を通じてドナーアンテナ100にアンテナ制御信号を提供して特定の角度にドナーアンテナ100の指向方向が変更されるように制御することができる。移動通信中継器200は、それぞれの方向からの信号品質パラメータを利用して特定の方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向と決めてドナーアンテナ100に通知する。
【0041】
図2は、
図1の移動通信中継器の内部構造を説明するためのブロック図である。
【0042】
図2を参照すると、移動通信中継器200はサービスアンテナ210、受信信号測定部220、受信信号分析部230、アンテナ制御信号生成部240及び送受信部250を含む。
【0043】
ドナーアンテナから受信した信号は、給電線を通じて移動通信中継器200へ送られる。移動通信中継器200へ送られた信号は、送受信部250によりサービスアンテナ210へ伝達される。送受信部250は、信号多重化部251、ドナー側のデュプレクサ252、サービス側のデュプレクサ253、上向増幅器254、下向増幅器255を含む。信号多重化部251は、アンテナ制御信号と高周波信号を多重化し、これにアンテナ内部回路の動作に必要な直流電力を合成して、一つの同軸ケーブルで伝送できるようにする。信号多重化部から分離された高周波信号はドナー側のデュプレクサ252に入力され、このデュプレクサは上向と下向の方向を区分して、上向増幅器254と下向増幅器255へそれぞれ上向の信号と下向の信号を送り、それぞれの信号を増幅する。増幅のために上向と下向に区分された信号は、またサービス側のデュプレクサ253を通じて一つの経路に統合されてサービスアンテナ210へ送られる。
【0044】
サービスアンテナ210は、ドナーアンテナ100から無線信号を受信し、受信した無線信号を受信信号測定部220へ提供する。
【0045】
受信信号測定部220は、サービスアンテナ210から受信した無線信号を利用して移動通信中継器200の出力信号及び基地局の入力信号のうち少なくとも一つの信号の強さを測定する。受信信号測定部220は、隣接基地局が送信してドナーアンテナが受信した信号を下向増幅器255で増幅して信号を測定する。受信信号測定部220は、受信にかかる全帯域を統合した総合強度、帯域別に区分した信号強度等を測定する。受信信号測定部220は、測定した出力信号及び基地局の入力信号のうち少なくとも一つの信号の強さを受信信号分析部230へ提供する。
【0046】
なお、受信信号測定部220は、サービスアンテナ210から無線信号を受信し、受信した無線信号を利用して基地局の入力信号の強さを測定する。
【0047】
また、受信信号測定部220は、サービスアンテナ210から無線信号を受信し、受信した無線信号に基づく信号を室内の端末装置に提供したときの移動通信中継器200の出力信号を測定する。
【0048】
受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100が指向するそれぞれの指向方向に対する信号品質パラメータを利用して該当方向からの信号品質を分析する。受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100それぞれの方向からの信号品質の分析結果をアンテナ制御信号生成部240へ提供する。
【0049】
受信信号分析部230は、それぞれの方向に対する信号品質パラメータのうち第1方向に対する信号品質パラメータが第2方向に対する信号品質パラメータ以上であるか否かを判断する。受信信号分析部230は、第1方向に対する信号品質パラメータが第2方向に対する信号品質パラメータ以上である場合、第1方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向と定める。
【0050】
なお、受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100が指向するそれぞれの指向方向のうち、特定の方向に対する信号品質パラメータが特定の信号品質閾値以上であるか否かによって該当方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向と定めてもよい。
【0051】
また、受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100が指向するそれぞれの指向方向のうち第1方向から信号品質パラメータを測定して第1方向に対する信号品質を評価し、評価結果が特定の信号品質閾値以上である場合、第1方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向と定めてもよい。
【0052】
また、受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100が指向するそれぞれの指向方向のうち第1方向から信号品質パラメータを測定して第1方向に対する信号品質(例えば、信号の強さ及び信号のレベル)を評価し、評価結果が特定の信号品質閾値以下である場合、第1方向が基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向ではないと決定してもよい。
【0053】
また、受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100の指向方向を第2方向に自動的に変更して該当方向に対する信号品質パラメータを測定し、第2方向に対する信号品質パラメータを利用して第2方向に対する信号品質(例えば、信号の強さ及び信号のレベル)を評価して評価結果が特定の信号品質閾値以上であるか否かを分析する。受信信号分析部230は、第2方向に対する信号品質の評価結果が特定の信号品質閾値以上である場合、第2方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向と定めてもよい。
【0054】
即ち、受信信号分析部230は、特定の信号品質閾値以上の品質パラメータが測定されるドナーアンテナ100の指向方向が検索されるまで、上記の処理を繰り返し行う。この際に、受信信号分析部230は、予め設定された時間帯に基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索する。受信信号分析部230は、基地局の無線資源の使用量が所定の基準より少ない時間帯に基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索する。例えば、受信信号分析部230は、使用者によって通話の無い時間帯に基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索することができる。
【0055】
受信信号分析部230は、それぞれの方向に対する信号品質パラメータを測定して該当方向からの信号を評価して評価結果を記録し、現在の指向方向の信号品質と記録された評価結果とを比較して現在の指向方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向に決定する。
【0056】
また、受信信号分析部230は、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果と記録された評価結果のうち、現在の指向方向に対する評価結果と近接している方向に対する評価結果を比較し、比較した結果、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果が、現在の指向方向と近接している方向に対する評価結果より良好な場合、現在の指向方向が基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向であると決定してもよい。
【0057】
また、受信信号分析部230は、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果と記録された評価結果のうち、現在の指向方向に対する評価結果と近接している方向に対する評価結果を比較し、比較した結果、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果が、現在の指向方向と近接している方向に対する評価結果より悪い場合、現在の指向方向が基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向ではないと決定してもよい。
【0058】
受信信号分析部230は、ドナーアンテナ100の指向方向を他の方向に自動的に変更しながら該当方向に対する信号品質パラメータを測定して該当方向からの信号品質を評価し、該当方向が基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向であるか否かを決定する。即ち、受信信号分析部230は、基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を決定するまで上記の過程を繰り返し行う。
【0059】
アンテナ制御信号生成部240は、受信信号分析部230から特定の方向に対する信号品質パラメータの分析結果を受信し、受信した特定の方向に対する信号品質パラメータの分析結果を利用してドナーアンテナ100の指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成する。アンテナ制御信号生成部240は、生成したアンテナ制御信号を送受信部250の信号多重化部251へ提供する。
【0060】
アンテナ制御信号生成部240は、受信信号分析部230からの要求に従ってドナーアンテナ100を過去とは異なる方向に指向させるアンテナ制御信号を生成する。例えば、過去に第1方向に指向させるアンテナ制御信号を生成していた場合、アンテナ制御信号生成部240はドナーアンテナ100を第2方向に指向させるアンテナ制御信号を生成することができる。
【0061】
アンテナ制御信号生成部240は、受信信号分析部230から受信したドナーアンテナ100が指向するそれぞれの指向方向に対する信号品質パラメータの分析結果に基づいて、特定の方向にドナーアンテナ100の指向方向を変更させるアンテナ制御信号を生成する。例えば、受信信号分析部230によって第1方向ないし第7方向のうち、第4方向が基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向であると分析された場合、アンテナ制御信号生成部240は、第4方向にドナーアンテナ100の指向方向を変更させるアンテナ制御信号を生成する。
【0062】
送受信部250の信号多重化部251は、直流電源、RF信号及びアンテナ制御信号生成部240から受信したアンテナ制御信号を多重化して多重化信号を生成する。信号多重化部251は、生成した多重化信号を給電線300を通じてドナーアンテナ100へ提供する。
【0063】
本発明の一形態において、信号多重化部251は、アンテナ制御信号生成部240からアンテナ制御信号を受信し、アンテナ制御信号をドナーアンテナ100へ提供される直流電力と多重化して多重化信号を生成することができる。
【0064】
図3は、
図1のドナーアンテナ100の内部構造を説明するためのブロック図である。
【0065】
図3を参照すると、ドナーアンテナ100は、信号逆多重化部110、フェーズコントローラ120、フェーズシフター130及びアンテナモジュール140を含む。アンテナモジュール140は、個別のアンテナ141,142、143を含む。
【0066】
フェーズコントローラ120は、アンテナ制御信号に基づいてフェーズシフター130にある、それぞれ予め設定された指向角度を有する複数の伝送線路のうちいずれか一つの伝送線路をコントロールするようにフェーズシフター130を制御する。フェーズシフター130は、個別の構成要素131,132、133で構成され、それぞれの構成要素は制御信号c
1、c
2、c
3により制御される。
【0067】
フェーズシフター130は、フェーズコントローラ120の制御に従って複数の伝送線路のうちいずれか一つの伝送線路が有する位相遅延を利用して、アンテナモジュール140の指向方向を変更する。ここで、複数の伝送線路それぞれは、位相遅延値に応じて相互に異なる長さにすることができる。ここで、指向方向は、アンテナモジュール140のビーム指向角変更方法により変更されることができる。
【0068】
図4は、
図3のフェーズシフター130とアレーアンテナ140の動作を説明するためのブロック図である。
【0069】
アンテナの主ビーム方向を電気的に変更できる可変指向性アンテナは、2以上の複数のアンテナを配列して、各アンテナの位相をそれぞれ変更し、その出力を合成する。アンテナモジュール140の各アンテナは同一の性能を有し、フェーズシフター130は各アンテナに到達する入射波の角度による位相遅延値を調整することができる。
【0070】
図4は、3番目のアンテナの位相s
3より2番目のアンテナの位相s
2がt
2の程に遅延され、2番目のアンテナの位相s
2より1番目のアンテナの位相s
1がt
1の程に遅延されている例を示す。フェーズシフター130は、内臓されたマイクロプロセッサーの演算に基づいて、1番目のアンテナの出力s
`1と2番目のアンテナの出力s
`2が3番目のアンテナの出力s
`3と同位相になるようにそれぞれ遅延させて、同位相になった3つの信号を信号合成器150で合成して最大の出力Sを得る。
【0071】
図5は、
図3のフェーズシフター130の伝送線路を説明するための図面である。
【0072】
フェーズシフター130はそれぞれ異なる長さを有する複数の伝送線路m
1、m
2、m
3を有し、フェーズコントローラ120は、内蔵されたマイクロプロセッサーにより、中継器からの入力信号の条件にもっとも適合する伝送線路を選択し、制御信号c
1により、アンテナモジュールのアンテナ141のビーム方向を調整する。
【0073】
図6は、
図3のドナーアンテナ100の信号逆多重化部110を詳細に説明するためのブロック図である。
【0074】
信号逆多重化部110は、信号分離モジュール111、アンテナ制御信号抽出モジュール112及び直流電流抽出モジュール113を更に含む。
【0075】
信号逆多重化部110は、給電線300を通じて移動通信中継器200から多重化信号を受信し、受信した多重化信号を逆多重化する。信号逆多重化部110は移動通信中継器200から多重化信号510を受信し、信号分離モジュール111と直流遮断キャパシタ310により高周波520が分離され、信号分離モジュール111は受信した多重化信号510からアンテナ制御信号540及び直流電流530を分離してアンテナ制御信号抽出モジュール112及び直流電流抽出モジュール113にアンテナ制御信号540及び直流電流530をそれぞれ提供する。アンテナ制御信号抽出モジュール112は、信号分離モジュール111から受信した信号530からアンテナ制御信号540を抽出して、フェーズコントローラのマイクロプロセッサーへ提供する。直流電流抽出モジュール113は、分離モジュール111から受信した信号530から直流電流550を抽出してフェーズコントローラのマイクロプロセッサーへ提供する。
【0076】
図7は、
図6の各ブロックから抽出された信号を示す図面である。
【0077】
図7は、中継器とドナーアンテナを連結する給電線路を通じて伝送される信号、即ち、高周波信号520、アンテナ制御信号540、直流電力信号550及びこれらを多重化した信号510を時間軸を基準に示している。
図7の各信号510〜550は、
図6のドナーアンテナを各部分に、510〜550で測定した信号である。移動通信中継器200の信号多重化部251からドナーアンテナへ送られてきた信号510には、ドナーアンテナ制御信号540、電気信号550、高周波信号520が含まれている。そして、信号分離モジュール111と直流遮断キャパシタにより、信号510は、ドナーアンテナ制御信号540及び電気信号550を含む直流信号530と高周波信号520とに分離される。直流信号530は、アンテナ制御信号抽出モジュール112と直流電流抽出モジュール113により、アンテナ制御のためのデジタル信号540と電源供給のための電気信号550とに分離され、フェーズコントローラに内蔵されたマイクロプロセッサーの入力として提供される。
【0078】
図8は、移動通信中継器による処理を説明するためのフロー図である。
【0079】
図8の各ステップの制御は、アンテナ制御信号生成部240の記憶部に記憶されている制御プログラムに基づいて、アンテナ制御信号生成部240のプロセッサーにより実行される。
【0080】
図8を参照すると、移動通信中継器200のアンテナ制御信号生成部240は、ドナーアンテナ100の指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成する(ステップS610)。移動通信中継器200の受信信号測定部220は、アンテナ制御信号をドナーアンテナ100へ提供してドナーアンテナ100の指向方向を変更させながらそれぞれの方向(例えば、7つの方向)に対する信号品質パラメータを測定する(ステップS620)。指向方向は、ドナーアンテナ100のビーム指向角変更方法により変更される。
【0081】
移動通信中継器200の受信信号分析部230は、それぞれの方向に対する信号品質パラメータのうち、第1方向に対する信号品質パラメータが第2方向に対する信号品質パラメータ以上であるか否かを比較する(ステップS630)。移動通信中継器200のアンテナ制御信号生成部240は、第1方向に対する信号品質パラメータが第2方向に対する信号品質パラメータ以上である場合(ステップS640)、第1方向にアンテナのビームを固定させる(ステップ S650)。すなわち、移動通信中継器200は、それぞれの方向に対する信号品質パラメータを互いに比較して基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を決定し、該当方向にドナーアンテナ100の指向方向を固定させる。
【0082】
移動通信中継器200は、それぞれの方向のうち特定の方向に対する信号品質パラメータを測定して該当方向からの信号品質(例えば、信号の強さ及び信号のレベル)を評価し、評価結果が特定の信号品質閾値以下の場合、他の方向に指向方向を変更して該当方向に対する信号品質パラメータを測定して該当方向からの信号品質を評価する。
【0083】
このとき、移動通信中継器200は、基地局の無線資源の使用量が所定の基準より少ない時間帯に、基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索することができる。例えば、移動通信中継器200は、使用者によって通話の無い時間帯に基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を検索する。
【0084】
図8には図示していないが、移動通信中継器200の受信信号測定部220は、それぞれの方向に対する信号品質に対する評価結果を測定し、受信信号分析部230は該当方向からの信号を評価して評価結果を記録し、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果と、上記記録された評価結果のうち、現在の指向方向と近接している方向に対する評価結果を比較する。移動通信中継器200のアンテナ制御信号生成部240は、比較した結果、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果が、上記記録された評価結果のうち現在の指向方向と近接している方向に対する評価結果より悪い場合、他の方向に指向方向を自動的に変更し、受信信号測定部220は該当方向に対する信号品質パラメータを更に測定して該当方向からの信号品質を評価する。一方、移動通信中継器200のアンテナ制御信号生成部240は、比較した結果、現在の指向方向の信号品質に対する評価結果が、上記記録された評価結果のうち、現在の指向方向と近接している方向に対する評価結果より良好な場合、現在の指向方向を基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向に決定する。
【0085】
移動通信中継器200は、移動通信中継器200の出力信号の強さが特定の強さ以下になる場合、
図8の処理を繰り返して実行し、基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を決定し、該当方向にドナーアンテナ100の指向方向を固定させる。ここで、移動通信中継器200の出力信号の強さが特定の強さ以下になる理由は、ドナーアンテナと上記移動通信中継器200に内蔵されたサービスアンテナとの間のアイソレーション(電力伝達量の比)が小さくなるためである。移動通信中継器200は、出力信号の強さが特定の強さ以上になる場合、
図8の処理を繰り返して実行し、基地局から所定レベル以上の信号が受信できる方向を決定し、該当方向にドナーアンテナ100の指向方向を固定させる。ここで、移動通信中継器の出力信号の強さが特定の強さ以上になる理由は、移動通信中継器200の周りに新たな基地局が新設されるためである。
【0086】
図9は、ドナーアンテナによる処理を説明するためのフロー図である。
【0087】
図9の各ステップの処理は、フェーズコントローラ120の記憶部に記憶されている制御プログラムに基づいて、フェーズコントローラ120のマイクロプロセッサーにより実行される。
【0088】
図9を参照すると、ドナーアンテナ100は、移動通信中継器200からアンテナ制御信号を受信する(ステップS710)。ドナーアンテナ100のフェーズコントローラ120は、アンテナ制御信号に基づいて、それぞれ予め設定された指向角度を有する複数の伝送線路のうちいずれか一つの伝送線路を選択する(ステップS720)。ドナーアンテナ100のフェーズコントローラ120は、複数の伝送線路のうち選択した伝送線路に該当する指向角度に従って指向方向を変更する(ステップS730)。ここで、指向方向はドナーアンテナ100のビーム指向角変更方法により変更されることができる。ドナーアンテナ100のフェーズコントローラ120は、移動通信中継器200の制御信号を受信したか否かによって(ステップS740)特定の方向にアンテナの指向方向を固定する(ステップS750)。
【0089】
図10は、
図1のドナーアンテナ100の断面図を説明する図面である。
【0090】
図10を参照すると、ドナーアンテナ100は、ガラス窓800に取り付けられるアンテナ前面板840、ガラス窓800と特定の距離だけ離して配置される第1パッチ810(例えば、無給電(parasitic)パッチ)、第1パッチから所定の距離だけ離して配置される第2パッチ820(例えば、マイクロストリップ(micro strip)パッチ)、及びドナーアンテナの構成要素を保護するケース860を含む。すなわち、ドナーアンテナ100は、第1パッチ810及び第2パッチ820を利用するダブルパッチ構造を有する。
【0091】
第1パッチ810は、ガラス窓800から6−9mmの間隔で離して配置される。一般的に、ドナーアンテナ100の共振周波数は、高誘電率の物体、例えば、ガラス窓800に近づいていると変わる。これを防ぐために、ドナーアンテナ100の共振周波数を調節可能な範囲内で、ドナーアンテナ100とガラス窓800との間の間隔、例えば7mmだけ離して第1パッチ810を配置することができる。
【0092】
このように、第1パッチ810がガラス窓から特定の距離だけ離れることにより共振周波数の変化量は5%前後となる。このような共振周波数の変化量は、ドナーアンテナ100自体の動作周波数の帯域幅の変化量をカバーする帯域幅に設計することができる。また、ガラス窓800に取り付けられる場合に発生する共振周波数の変化量を予想してドナーアンテナ100自体の共振周波数を予め考慮してパッチアンテナを作製することができる。
【0093】
第2パッチ820の背面にはフェーズシフター130、フェーズコントローラ120、信号逆多重化部110のような構成要素を取り付けるフェーズ制御部850があり、ケースの背面862又は第2パッチアンテナの背面に金属製反射部を設置することができる。金属製反射部は、例えばアルミニウムのような導電性金属でケースの背面をコーティングすることにより具現する。この金属製反射部は反射板として機能し、乱反射等の影響を最小化して信号の品質を高めることを可能とする。
【0094】
図11は、
図10で説明したドナーアンテナ及びケースの各構成要素についての分解斜視図である。
【0095】
ガラス窓側に配置される第1パッチアンテナ810は、アンテナボード811と、金属パッチ812を有する。第1パッチアンテナ810と所定の距離だけ離して配置される第2パッチアンテナ820は、アンテナボード821と、金属パッチ822を有する。アンテナ前面板840は、ガラス窓に直接取り付けられる部分である。ドナーアンテナ100を窓ガラスに取り付けるとき、アンテナ前面板840は、例えば両面テープ等でガラス窓に取り付けられる。フェーズ制御部850は、フェーズシフター130、フェーズコントローラ120、信号逆多重化部110等を有する。ケース860はドナーアンテナを保護し、アンテナ前面板840と結合され、ガラス窓にドナーアンテナを固定することを可能とする。
【0096】
図12は、ドナーアンテナのケース860を室内側から見た平面図である。
【0097】
ケース860には、ケースの端部からはみ出すように、第1パッチアンテナの周囲に板状の金属切片861が取り付けられている。板状の金属切片861は、ケース860の正面部に設置され、アンテナ前面板840の端部841と接することもできる。この板状の金属切片は追加的な反射板として機能し、乱反射等の影響を最小化して信号の品質を高めることを可能とする。