特許第6490583号(P6490583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490583
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】保護デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/76 20060101AFI20190318BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20190318BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   H01H37/76 F
   H01M10/44 P
   H01M10/44 101
   H02H9/02 B
   H02H9/02 H
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-528253(P2015-528253)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2014069038
(87)【国際公開番号】WO2015012193
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-155462(P2013-155462)
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516119106
【氏名又は名称】Littelfuseジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】蓮沼 貴司
(72)【発明者】
【氏名】田中 新
(72)【発明者】
【氏名】山岡 俊和
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−032696(JP,A)
【文献】 実開昭59−047954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 85/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つのPTC素子、および
(ii)温度ヒューズ素子
を含んで成る保護デバイスであって、
PTC素子および温度ヒューズ素子が、相互に電気的に並列に接続されており、
温度ヒューズ素子は少なくとも1つのPTC素子の熱影響下にあり、
平常時には、各PTC素子および温度ヒューズ素子を電流が実質的に流れ、保護デバイスを過電流が流れた場合に、PTC素子が動作し、ついで、温度ヒューズ素子が動作し、各PTC素子のトリップ後の温度は、温度ヒューズの動作温度よりも高いこと
を特徴とする保護デバイス。
【請求項2】
2つ以上のPTC素子を含んで成る、請求項1に記載の保護デバイス。
【請求項3】
さらに、PTC素子に電気的に並列に接続され、かつ、温度ヒューズ素子に電気的に直列に接続されている1つまたはそれ以上の抵抗体を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の保護デバイス。
【請求項4】
PTC素子の抵抗値、またはPTC素子が複数存在する場合にはそれらの合成抵抗値と、温度ヒューズ素子の抵抗値、または抵抗体が存在する場合には温度ヒューズ素子と抵抗体の合成抵抗値の比が、1:10〜10:1であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の保護デバイス。
【請求項5】
各PTC素子を流れる電流値の合計値と、温度ヒューズ素子を流れる電流値の比が、10:1〜1:10であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の保護デバイス。
【請求項6】
過電流が保護デバイスの定格電流の1.2〜5倍であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の保護デバイス。
【請求項7】
保護デバイスの周囲温度が所定の温度以上になった場合に、温度ヒューズ素子が動作し、ついで、PTC素子が動作することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の保護デバイス。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の保護デバイスを有して成る電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電気回路において、定格電流より大きい電流が流れるなど異常状態が生じた場合に、回路に組み込まれた電気・電子装置および/または電気・電子部品、あるいは電気・電子回路を保護するために保護素子または保護デバイスが回路に組み込まれている。
【0003】
そのような保護素子として、例えば過電流・異常高温に対して保護を提供するPTC(positive temperature coefficient)素子、温度ヒューズ素子、電流ヒューズ素子等が知られている。
【0004】
また、保護デバイスとして、バイメタルスイッチとPTC素子とを並列に接続して用いることが提案されている(特許文献1)。そのような保護デバイスでは、過電流条件となった時に、バイメタルスイッチのバイメタル部分が高温となってその接点が離間して開き、電流がPTC素子に転流される。その結果、PTC素子は過電流によって高温・高抵抗状態にトリップしてPTC素子を流れる電流を実質的に遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/114650号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した保護素子のうち、PTC素子は、一般的に保持電流がそれほど大きくなく、例えばパーソナルコンピューターなどの高容量電池の用途に必ずしも適していない。また、一般的に、PTC素子は、トリップ温度が比較的高温、例えば100℃を超える温度であり、異常高温が比較的低温、例えば80℃である場合には、適切な保護を提供するのが必ずしも容易でない。
【0007】
温度ヒューズ素子は、異常高温に対しては、それが比較的低温であっても、感度よく適切な保護を提供することができるが、過電流に対しては、感度がそれほど高くなく、溶断までに時間を要するので、適切な保護を提供するのが必ずしも容易ではない。また、高容量、特に6Aを超える電流値に対しては、素子毎の溶断特性のばらつきが大きく、必ずしも適切な保護を提供することができない。
【0008】
電流ヒューズ素子は、過電流に対しては適切な保護を提供できるが、異常高温に対しては適切な保護を提供することが必ずしも容易ではない。また、過電流に対する保護に関しても、定格電流をそれほど大きく上回らない過電流、例えば定格電流の2倍程度の過電流に対しては、迅速かつ確実な保護を提供することが必ずしも容易ではない。
【0009】
バイメタルスイッチとPTC素子とを組み合わせた特許文献1のような保護デバイスは、保持電流を大きくすることができ、また、感度などの保護特性も良好であるが、機械的な接点を有しているため、腐食などによる接点不良、衝撃による瞬断などが生じるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、過電流および異常高温に対して適切な保護を提供でき、保持電流が大きく、機械的接点を有さない保護デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の要旨において、
(i)少なくとも1つのPTC素子、および
(ii)温度ヒューズ素子
を含んで成る保護デバイスであって、
各PTC素子および温度ヒューズ素子が、相互に電気的に並列に接続されており、
温度ヒューズ素子は少なくとも1つのPTC素子の熱影響下にあり、
平常時には、各PTC素子および温度ヒューズ素子を電流が実質的に流れること
を特徴とする保護デバイスを提供する。
【0012】
第2の要旨において、上記保護デバイス記載を有して成る電気装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の保護デバイスは、PTC素子と温度ヒューズ素子とを電気的に並列に接続し、温度ヒューズ素子をPTC素子の熱影響下にあるように配置し、PTC素子および温度ヒューズ素子に電流を分流させることによって、過電流および異常高温のいずれに対しても適切な保護を提供することができ、また、大きな保持電流を有する。また、本発明の保護デバイスは、機械的な接点を有しないので、腐食などによる接点不良および衝撃による瞬断を起こさず、耐環境性および耐衝撃性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の保護デバイスの1つの態様の回路図である。
図2図2は、本発明の保護デバイスの別の態様の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照して、本発明の保護デバイスを詳細に説明する。但し、本発明の保護デバイスは、図示する態様に限定されない。
【0016】
なお、本明細書において「保持電流」とは、温度ヒューズ素子、PTC素子または保護デバイスが、動作することなく流すことができる最大電流を意味する。
【0017】
本明細書において「定格電流」とは、温度ヒューズ素子、PTC素子または保護デバイスを安全に使用することができる最大電流を意味し、一般的に製造業者により設定されている。
【0018】
本明細書において「動作電流」とは、温度ヒューズ素子、PTC素子または保護デバイスが動作する最小電流を意味する。
【0019】
本明細書において「動作温度」とは、温度ヒューズ素子、PTC素子または保護デバイスが動作する最低温度を意味する。
【0020】
図1に、本発明の保護デバイスの一の態様に対応する回路図を示す。図1に示されるように、本発明の保護デバイス1は、PTC素子2および温度ヒューズ素子4を含んで成る。PTC素子2と上記温度ヒューズ素子4とは、互いに電気的に並列に接続されており、温度ヒューズ素子はPTC素子の熱影響下にある。平常時には、保護デバイス1を流れる電流は、PTC素子2および温度ヒューズ素子4に分流され、PTC素子および温度ヒューズ素子を実質的に流れる。ここに、「平常時」とは、過電流または異常発熱などの異常状態が生じておらず、保護デバイスおよび保護すべき回路・機器ならびにそれらの周囲環境の状態が想定の範囲内にあることを意味する。
【0021】
本発明の保護デバイス1は、上記のような構成を有することにより、大きな保持電流を有し得る。PTC素子と温度ヒューズ素子とを互いに電気的に並列に接続した従来の保護デバイスでは、一般的に温度ヒューズ素子の抵抗値がPTC素子の抵抗値より十分に小さいため、電流は温度ヒューズ素子側の回路を流れ、PTC素子には実質的に流れない。したがって、従来の保護デバイスの保持電流は、温度ヒューズ素子の保持電流と実質的に同じになる。一方、本願発明の保護デバイスは、PTC素子および温度ヒューズ素子の両方を電流が流れるため、温度ヒューズ素子の負荷電流を軽減することができる。したがって、保護デバイスに、温度ヒューズ素子の保持電流よりも大きな電流を流すことが可能になり、結果として、保護デバイスの保持電流が大きくなる。
【0022】
本発明の保護デバイス1は、過電流が生じた場合、そこを流れる電流を遮断することができる。特に、本発明の保護デバイス1は、上記温度ヒューズ素子4が上記PTC素子2の熱影響下にあるので、過電流に対して応答よく電流を遮断することができる。ここに、「熱影響下」とは、PTC素子がトリップした場合に、PTC素子で生じるジュール熱が温度ヒューズ素子に伝わり、温度ヒューズ素子を溶断する、または温度ヒューズ素子の溶断を補助する環境にあることを意味する。一般的に、温度ヒューズ素子は、保持電流を超える過電流が流れた場合、一応溶断し得るものの、その応答性は悪く、例えば過電流が流れてから溶断するまでに数十秒〜数分を要する。上記のように、温度ヒューズ素子がPTC素子の熱影響下にあるように配置することにより、過電流によりPTC素子がトリップした後、そこで生じるジュール熱が温度ヒューズ素子を溶断する、または溶断を補助するので、過電流に対する応答性が向上する。この態様においては、PTC素子が温度ヒューズよりも先に動作することが好ましい。即ち、保護デバイス1を過電流が流れた場合、まず過電流によりPTC素子2がトリップ(動作)し、PTC素子2を流れていた電流は温度ヒューズ素子4に転流され、温度ヒューズ素子4に保持電流を超える電流が流れ、温度ヒューズ素子4が発熱する。さらに、トリップしたPTC素子2において生じたジュール熱が温度ヒューズ素子4に伝わることにより、温度ヒューズ素子4が溶断し、保護デバイス1を流れる電流が速やかに遮断される。
【0023】
この態様において、PTC素子のトリップ後の温度は、温度ヒューズ素子の動作温度よりも高いことが好ましい。PTC素子のトリップ後の温度は、温度ヒューズ素子の動作温度よりも高くすることにより、より効率よく温度ヒューズ素子を溶断する、または溶断を補助することができる。
【0024】
本発明の保護デバイス1は、異常発熱が生じた場合、そこを流れる電流を遮断することができる。ここに、「異常発熱」とは、回路・機器またはそれらの周辺で想定していない発熱が生じ、保護デバイスの周囲温度が異常高温に達することを意味する。「周囲温度」とは、ある素子、例えばこの場合保護デバイスを取り囲む雰囲気の温度、または保護デバイスに接する他の部材の温度を意味する。「異常高温」とは、特定の温度を意味するものではなく、用途、保護すべき回路・機器等に応じて、適宜決定されるものであり、例えば機器の通常動作時に許容される温度範囲よりも高い温度、用いられる部品の定格温度を超える温度などを意味する。保護デバイス1の周囲で異常発熱が生じた場合、PTC素子2または温度ヒューズ素子4の温度が動作温度を超え、動作温度以上となった素子(PTC素子2または温度ヒューズ素子4)が動作して電流が遮断され、そこを流れていた電流が他方の素子に転流することにより他方の素子も動作して、保護デバイス1を流れる電流が遮断される。特に、本発明の保護デバイス1は、温度ヒューズ素子の動作温度を調整することにより、保護デバイスの動作温度を変更することができる。例えば、温度ヒューズ素子の動作温度を、例えば80〜100℃とすると、異常高温としては比較的低温、例えば80〜100℃の温度に対しても確実な保護を提供することができる。
【0025】
この態様においては、温度ヒューズ素子が先に動作することが好ましい。温度ヒューズ素子が先に動作することにより、温度ヒューズ素子が溶断する際に、そこを流れていた電流がPTC素子に転流できるので、温度ヒューズ素子の溶断に伴うアークの発生を抑制することができる。
【0026】
本発明の保護デバイス1は、上記のように、過電流および異常発熱(本明細書において、まとめて「異常状態」ともいう)のいずれに対しても、適切な保護を提供することができる。
【0027】
本発明の保護デバイスに用いられるPTC素子は、特に限定されるものではなく、従来用いられているPTC素子、例えばポリマーPTC素子またはセラミックPTC素子を用いることができる。好ましいPTC素子は、ポリマーPTC素子である。
【0028】
上記ポリマーPTC素子とは、導電性充填剤(例えば、カーボンブラック、ニッケル合金等)が分散しているポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオライド等)を含んで成る導電性組成物を押出することによって得られる層状のPTC要素およびその両側に配置された電極(例えば金属箔)を有して成る。ただし、PTC要素に直接リードなどの他の要素を接続してもよく、その場合電極は省略できる。
【0029】
本発明の保護デバイスは、1つまたはそれ以上、例えば2つ、3つまたはそれ以上のPTC素子を用いることができる。2つ以上のPTC素子は、同じであってもよく、異なっていてもよい。PTC素子を複数用いる場合、それらは互いに電気的に並列に、かつ、温度ヒューズ素子と電気的に並列に接続される。このように並列に複数のPTC素子を用いることにより、PTC素子全体の合成抵抗値を小さくすることができ、温度ヒューズ素子に流れる電流値をPTC素子に分流することが容易になる。
【0030】
上記PTC素子の抵抗値(複数用いる場合は、その合成抵抗値)は、特に限定されないが、25℃で、100mΩ以下、好ましくは50mΩ以下、より好ましくは10mΩ以下、さらに好ましくは5mΩ以下、例えば、0.1〜10mΩ、好ましくは0.1〜5mΩである。抵抗値をより小さくすることにより、PTC素子に流れる電流をより大きくすることができ、即ち、保護素子の定格電流をより大きくすることができる。
【0031】
本発明の保護デバイスに用いられる温度ヒューズ素子は、一般的に温度ヒューズ素子として用いられるものであれば特に限定されない。
【0032】
上記温度ヒューズ素子の抵抗値は、特に限定されないが、100mΩ以下、好ましくは50mΩ以下、より好ましくは10mΩ以下、さらに好ましくは5mΩ以下、例えば、0.1〜10mΩ、好ましくは0.1〜5mΩである。
【0033】
本発明の保護デバイスは、PTC素子および温度ヒューズ素子の抵抗値の組み合わせ調整することにより、それぞれの素子に流れる電流値を調整することができる。
【0034】
上記温度ヒューズ素子の動作温度は、特に限定されないが、例えば、80〜200℃、好ましくは80〜150℃、例えば80〜130℃または80〜100℃の範囲であり得る。この温度ヒューズ素子の動作温度を比較的低温に設定することにより、本発明の保護デバイスは、比較的低温、例えば80〜100℃である異常高温に応答して、電流を遮断することができる。
【0035】
一の態様において、本発明の保護デバイスは、図2に示されるように、PTC素子2に電気的に並列に接続され、かつ、温度ヒューズ素子4に電気的に直列に接続されている抵抗体6を含んでいてもよい。なお、図2では、抵抗体は1つであるが、これに限定されず、本発明の保護デバイスが適切に動作し得る範囲で、直列に複数個用いてもよい。好ましくは、前記抵抗体は、PTC素子および温度ヒューズ素子に熱的影響を与えないように配置される。このような抵抗体を用いることにより、温度ヒューズ素子4に流れる電流をPTC素子2に分流させることが容易になる。
【0036】
上記抵抗体の抵抗値は、特に限定されないが、上記温度ヒューズ素子との合成抵抗値が、100mΩ以下、好ましくは50mΩ以下、より好ましくは10mΩ以下、さらに好ましくは5mΩ以下、例えば、0.1〜10mΩ、好ましくは0.1〜5mΩとなるように選択される。
【0037】
本発明の保護デバイスにおいて、PTC素子の抵抗値(PTC素子が複数存在する場合にはそれらの合成抵抗値)、および温度ヒューズ素子の抵抗値(抵抗体が存在する場合には温度ヒューズ素子と抵抗体の合成抵抗値)は、使用する温度において、PTC素子および温度ヒューズ素子の両方に電流が流れるように適宜選択される。
【0038】
好ましくは、PTC素子の抵抗値、またはPTC素子が複数存在する場合にはそれらの合成抵抗値と、温度ヒューズ素子の抵抗値、または抵抗体が存在する場合には温度ヒューズ素子と抵抗体の合成抵抗値の比は、1:10〜10:1、例えば1:5〜5:1である。かかる比は、用いるPTC素子および温度ヒューズ素子の保持電流に応じて、適宜決定できる。
【0039】
本発明の保護デバイスにおいて、電流はPTC素子および温度ヒューズ素子を実質的に流れており、好ましくは、PTC素子を流れる電流値(PTC素子が複数存在する場合にはその合計値)と、温度ヒューズ素子を流れる電流値の比は、10:1〜1:10、例えば5:1〜1:5である。かかる比は、用いるPTC素子および温度ヒューズ素子の保持電流に応じて、適宜決定できる。
【0040】
本発明の保護デバイスは、上記した抵抗値または電流値の比を調整することにより、保護デバイスの定格電流の1.2〜5倍で迅速かつ確実に過電流を遮断することができる。好ましい態様において、本発明の保護デバイスは、1.2〜3.0倍、好ましくは1.5〜2.0倍の過電流が流れた場合であっても、迅速かつ確実に過電流を遮断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の保護デバイスは、保持電流が大きく、タブレット型またはノートブック型のパーソナルコンピューター等の高い放電電流が要求される機器の電池用の保護デバイスとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1…保護デバイス
2…PTC素子
4…温度ヒューズ素子
6…抵抗体
図1
図2