(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490587
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】複数のRFIDリーダを備えた保管キャビネット
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20190318BHJP
G08B 13/14 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G08B13/14 Z
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-543120(P2015-543120)
(86)(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-507442(P2016-507442A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】US2013070811
(87)【国際公開番号】WO2014078860
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/727,956
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/084,349
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ダンブロジオ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガネル、オンネ
(72)【発明者】
【氏名】ムーディ、ナット
(72)【発明者】
【氏名】モレノ、ジェラード
【審査官】
小金井 匠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0019358(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0079240(US,A1)
【文献】
特開2000−310476(JP,A)
【文献】
特開2005−046420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
B65G 61/00
G06F 19/00
G06Q 10/00−10/10
G06Q 30/00−30/08
G06Q 50/00−50/20
G06Q 50/26−99/00
A61J 1/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグ付きアイテムを監視するキャビネットシステムであって、
アイテムを保管する内部と、
前記アイテムへのアクセスを提供する少なくとも1つの扉と、
を備えるキャビネットと、
前記キャビネット内に置かれた前記アイテムの少なくともいくつかに位置するRFIDタグに埋め込まれたデータを読み取り識別する静的RFIDシステムであって、前記少なくとも1つの扉が閉鎖されているとき、前記キャビネットの内部に配置されるほぼすべての前記アイテムをスキャンするように構成される静的RFIDシステムと、
前記キャビネットから前記アイテムのうちの1つが取り出される時に、前記キャビネット内におけるその他のアイテムをスキャンすることなく、取り出される前記アイテムのRFIDタグのデータのみを読み取るトランザクションRFIDシステムであって、前記扉が開放されているときに動作可能であるトランザクションRFIDシステムと、
前記少なくとも1つの扉の開閉を検出するように構成されるコンピュータシステムと、
を備え、
前記コンピュータシステムがユーザを識別する入力を受信し、
前記コンピュータシステムが前記静的RFIDシステムと前記トランザクションRFIDシステムとによって前記RFIDタグから読み取られるデータを定期的に記録するように構成されるキャビネットシステム。
【請求項2】
前記キャビネットが複数の扉をさらに備え、前記内部が複数の保管領域を備え、前記複数の扉がそれぞれ前記複数の保管領域の対応する保管領域へのアクセスを制御する、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項3】
前記複数の保管領域のそれぞれが異なるアクセスレベルを備える、請求項2に記載のキャビネットシステム。
【請求項4】
前記トランザクションRFIDシステムが、約2秒未満の検出時間で前記RFIDタグのうちの1つのデータを読み取るように構成される、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項5】
前記コンピュータシステムが前記キャビネット内のアイテムと使用期限情報とを相関させて記録するように構成され、前記アイテムのそれぞれの使用期限が近づいている、あるいは使用期限切れであるという表示を提供する、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項6】
前記入力が、生体認証識別子、ユーザ名、パスワード、ユーザに割り当てられた無線装置からの信号のうち1つ以上を備える、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項7】
外部アイテムリーダをさらに備え、前記外部アイテムリーダがRFIDスキャナとバーコードリーダの少なくとも一方を備える、請求項1に記載のキャビネットシステム。
【請求項8】
RFIDタグ付きアイテムの監視方法であって、
アクセス制御領域を画定する筐体の内部に複数のアイテムを記憶することであって、前記内部へのアクセスが1つ以上の扉を介して取得され、前記アイテムの少なくともいくつかが電子的に読取可能な識別データに関連付けられることと、
前記扉が閉鎖されているとき、前記アクセス制御領域内に位置するほぼすべてのRFIDタグのデータを読み取り、ほぼすべての前記アイテムを監視するために1つ以上の静的RFIDスキャナを用いることと、
在庫をデータベースに記憶することと、
前記アクセス制御領域へのアクセスを要求するユーザを認証することと、
前記アクセス制御領域に補充される、あるいは前記アクセス制御領域から取り出されるアイテムに関して入力された目的を受信することと、
前記扉が開放されている間、ユーザが前記アクセス制御領域から前記アイテムを取り出す、あるいは前記アクセス制御領域に前記アイテムを補充する際に、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを用いて、前記アクセス制御領域内におけるその他のアイテムをスキャンすることなく、取り出されるあるいは補充される前記アイテムのRFIDタグのみをスキャンすることと、前記データベースに前記アイテムの取出または補充を記録することと、
を備える方法。
【請求項9】
ユーザを認証することが、生体認証識別子、ユーザ名、パスワード、前記ユーザに割り当てられた無線装置からの信号から選択される1つ以上のユーザ入力を認証することを備える、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項10】
1つ以上の静的RFIDスキャナを用いることが、予定された間隔でほぼすべての前記アイテムを定期的にスキャンすることを備える、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項11】
RFIDタグをスキャンすることが約2秒未満で完了する、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項12】
前記アイテムと使用期限情報とを相関させて記憶することと、前記アイテムが使用期限に近づいている、あるいは使用期限切れであるという表示を提供することとをさらに備える、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項13】
前記1つ以上の扉が開放されているとき、前記1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを始動することと、前記1つ以上の扉が閉鎖されているとき、前記1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを停止することとをさらに備える、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項14】
前記1つ以上の扉が閉鎖されているとき、前記1つ以上の静的RFIDスキャナを起動することと、前記1つ以上の扉が開放されているとき、前記1つ以上の静的RFIDスキャナを停止することとをさらに備える、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項15】
外部スキャナを用いて、前記アクセス制御領域の外部に位置するアイテムから情報を読み取る、請求項8に記載のアイテムの監視方法。
【請求項16】
RFIDタグ付きアイテムの監視方法であって、
アクセス制御領域へのアクセスを制御する1つ以上の扉が閉鎖されているとき、アクセス制御領域内に配置された少なくともいくつかのアイテムに位置するRFIDタグに埋め込まれたデータを読み取り識別して、ほぼすべての前記アイテムの在庫を監視するために1つ以上の静的RFIDスキャナを使用することと、
前記在庫をデータベースに記憶することと、
在庫管理システムのユーザを認証することと、
前記ユーザに前記アイテムへのアクセスを提供するため前記1つ以上の扉を解錠することと、
前記ユーザが前記アクセス制御領域から前記アイテムのうちの1つを取り出す際に、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを用いて、前記アクセス制御領域内におけるその他のアイテムをスキャンすることなく、取り出される前記アイテムのRFIDタグのみをスキャンすることと、
前記ユーザが前記アイテムにアクセスするのを防止するため前記1つ以上の扉を施錠することと、
前記データベースに前記アイテムの取出を記録することと、
を備える方法。
【請求項17】
アクセス制御領域内のアイテムに関して入力された目的を受信することをさらに備える、請求項16に記載のRFIDタグ付きアイテムの監視方法。
【請求項18】
1つ以上の静的RFIDスキャナを用いることが、予定された間隔でほぼすべての前記アイテムを定期的にスキャンすることを備える、請求項16に記載のアイテムの監視方法。
【請求項19】
前記1つ以上の扉が開放されているとき、前記1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを起動することと、前記1つ以上の扉が閉鎖されているとき、前記1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを停止することとをさらに備える、請求項16に記載のアイテムの監視方法。
【請求項20】
前記1つ以上の扉が閉鎖されているとき、前記1つ以上の静的RFIDスキャナを起動することと、前記1つ以上の扉が開放されているとき、前記1つ以上の静的RFIDスキャナを停止することとをさらに備える、請求項16に記載のアイテムの監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のRFIDリーダを備えた保管キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
医療業界では、薬品を含む補給品の入手可能性は極めて重要である。アイテムだけでなくそれらの位置を正確に管理できることも重要である。リアルタイムでの位置と使用の追跡は、困難で骨の折れる仕事であることが分かっている。
【0003】
また、必要なデータを入力せずにアイテムを取り出すことを防止して、上記の追跡と流用または窃盗の防止とを図る閉鎖キャビネットシステムが存在する。このようなシステムは、手術室(OR)やカテーテルラボで使用される高価なアイテムに特に適用可能である。しかしながら、閉鎖キャビネットシステムは、医療施設外で大量に使用される電池、包帯、シャンプー、ペンといった安価なアイテムにも適用可能であり、これらは、ユーザが「窃盗」とみなすには細かすぎるアイテムとみなすかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムの開発に際し、簡便性と、ユーザ、製品、会計番号、または患者を特定するのに必要なデータの入力に伴うアクセス速度とのバランスを採るのが難しい。簡便性とセキュリティを満たしつつ、キャンディマシンと同様に製品を一つずつ払い出すシステムは、通常非常に高額であり、特殊な包装を必要とし、病院に備蓄すべき製品の多様な寸法と構造に対して柔軟性に欠ける。さらに、個別にスペースを確保してアイテムを収容するために、スペースが非常に非効率的である。
【0005】
製品にRFIDタブを付与することは、高額な払出しシステムを必要とせずに個々の製品を追跡する機会を提供する。これは、RFIDタグを貼付する追加費用を費やす価値のある高額製品に特に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1実施形態では、RFIDタグ付きのアイテムを監視する無線周波数識別(RFID)キャビネットシステムが提供される。該システムは、アイテムを保管する開放内部を有するキャビネットを含む。該システムは、アイテムへのアクセスを提供する少なくとも1つの扉も含む。少なくとも第1のRFIDシステムは、キャビネット内に置かれたアイテムの少なくともいくつかに位置するRFIDタグに埋め込まれたデータを読み取り識別するために設けられる。第1のRFIDシステムは、扉が閉鎖されているときRFIDキャビネットの内部に配置されるほぼすべてのアイテムを監視するように構成される。少なくとも第2のRFIDシステムは、RFIDキャビネットからの関連アイテムの取出時、RFIDタグのうち1つ以上を読み取るために設けられる。第2のRFIDシステムは、扉が開放されているときに動作可能である。たとえば、ユーザはキャビネット内のアイテムをつかみ、第2のRFIDシステムを通じてアイテムを取り出し、実質上、アイテムの取出を記録する「トンネルリーダ」を介してアイテムを引き出すことができる。コンピュータシステムは、扉の開閉を感知するように構成される。また、コンピュータシステムは、ユーザを識別する入力を受信し、第1のRFIDシステムと第2のRFIDシステムとによってRFIDタグから読み取られたデータを定期的に記録するように構成される。
【0007】
1態様によると、本発明の実施形態は、RFIDタグ付きアイテムを監視するキャビネットシステムを提供する。該システムは、アイテムを保管する内部と、アイテムにアクセスを提供する少なくとも1つの扉とを有するキャビネットを含むことができる。該システムは、キャビネット内に置かれたアイテムの少なくともいくつかに位置するRFIDタグに埋め込まれたデータを読み取り識別する静的RFIDシステムをさらに含むことができる。静的RFIDシステムは、少なくとも1つの扉が閉鎖されているとき、キャビネットの内部に配置されるほぼすべてのアイテムをスキャンするように構成される。該システムは、RFIDキャビネットからの関連するアイテムの取出時、RFIDタグのうちの1つのデータを読み取るトランザクションRFIDシステムも設ける。トランザクションRFIDシステムは、扉が開放されているときに動作可能である。該システムは、少なくとも1つの扉の開閉を検出するように構成されるコンピュータシステムをさらに含む。コンピュータシステムは、ユーザを識別する入力を受信するように構成することができる。コンピュータシステムは、静的RFIDシステムとトランザクションRFIDシステムとによってRFIDタグから読み取られたデータを定期的に記録するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、キャビネットは複数の扉をさらに含み、内部は複数の保管領域をさらに含む。複数の扉はそれぞれ、複数の保管領域の対応領域へのアクセスを制御する。他の実施形態では、複数の保管領域はそれぞれ異なるアクセスレベルを有する。トランザクションRFIDシステムは、約2秒未満の検出時間でRFIDタグのうちの1つのデータを読み取るように構成することができる。コンピュータシステムは、キャビネット内のアイテムと使用期限情報とを相関させて記憶し、各アイテムの使用期限が近づいている、あるいは使用期限切れであるという表示を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、入力は、生体認証識別子、ユーザ名、パスワード、ユーザに割り当てられた無線装置からの信号のうち1つ以上を含む。他の実施形態では、該システムは外部アイテムリーダをさらに含むことができる。外部アイテムリーダは、RFIDスキャナとバーコードリーダのうち少なくとも一方を含むことができる。
【0009】
別の態様によると、本発明は、RFIDタグ付きアイテムの監視方法を提供する。該方法は、アクセス制御領域を画定する筐体の内部に複数のアイテムを保管することを含むことができる。内部へのアクセスは1つ以上の扉を介して取得することができ、アイテムの少なくともいくつかは電子的に読取可能な識別データを有するRFIDタグに関連付けられる。該方法は、扉が閉鎖されているとき、アクセス制御領域内に位置するほぼすべてのRFIDタグのデータを読み取り、ほぼすべてのアイテムの在庫を監視するために1つ以上の静的RFIDスキャナを使用することをさらに含むことができる。該方法は、データベースに在庫を記憶することと、アクセス制御領域へのアクセスを要求するユーザを認証することとをさらに含む。該方法は、アクセス制御領域に補充される、あるいはアクセス制御領域から取り出されるアイテムに関して入力された目的を受信することを含むことができる。該方法は、扉が開放されている間、ユーザがアクセス制御領域からアイテムを取り出す、あるいはアクセス制御領域にアイテムを補充する際、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを用いてアイテムのRFIDタグをスキャンすることをさらに含むことができる。該方法はデータベースにアイテムの取出または補充を記録することも備えることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ユーザを認証することは、生体認証識別子、ユーザ名、パスワード、ユーザに割り当てられた無線装置からの信号から選択される1つ以上のユーザ入力を認証することを含むことができる。1つ以上の静的RFIDスキャナを使用することは、予定された間隔でほぼすべてのアイテムを定期的にスキャンすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、RFIDタグをスキャンすることは約2秒未満で完了する。いくつかの実施形態では、アイテムと使用期限情報とを相関させて記憶することと、アイテムが使用期限に近づいている、あるいは使用期限切れであるという表示を提供することとが備えられる。該方法は、1つ以上の扉が開放されているとき、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを起動することと、1つ以上の扉が閉鎖されているとき、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを停止することとをさらに含むことができる。該方法は、1つ以上の扉が閉鎖されているとき、1つ以上の静的RFIDスキャナを起動することと、1つ以上の扉が開放されているとき、1つ以上の静的RFIDスキャナ停止することとをさらに含むことができる。
該方法は、第2のアイテムが目的のために必要か否かを判定することと、ユーザがアクセス制御領域に保管される新たなアイテムに関して新たな目的を有するか否かを判定することとを含むことができる。本発明の実施形態では、該方法はアクセス制御領域の外部に位置するアイテムからの情報を外部スキャナを用いて読み取ることを含む。
【0011】
別の態様によると、本発明はRFIDタグ付きアイテムの監視方法を提供する。該方法は、アクセス制御領域へのアクセスを制御する1つ以上の扉が閉鎖されているとき、アクセス制御領域内に配置された少なくともいくつかのアイテムに位置するRFIDタグに埋め込まれたデータを読み取り識別して、ほぼすべてのアイテムの在庫を監視するために1つ以上の静的RFIDスキャナを用いることを含む。該方法は、データベースに在庫を記憶することと、在庫管理システムのユーザを認証することとをさらに含むことができる。該方法は、アイテムへのアクセスをユーザに提供するために1つ以上の扉を解錠することを含むことができる。該方法は、ユーザがアクセス制御領域からアイテムを取り出す際に、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを用いてアイテムのRFIDタグをスキャンすることをさらに含むことができる。該方法は、ユーザがアイテムにアクセスするのを防ぐために1つ以上の扉を施錠することと、アイテムの取出をデータベースに記録することとを含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、該方法は、アクセス制御領域内のアイテムに関して入力された目的を受信することをさらに含むことができる。本発明の実施形態では、1つ以上の静的RFIDスキャナを用いることが、予定された間隔でほぼすべてのアイテムを定期的にスキャンすることと、を備えることができる。いくつかの実施形態では、該方法は、1つ以上の扉が開放されているとき、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを起動することと、1つ以上の扉が閉鎖されているとき、1つ以上のトランザクションRFIDスキャナを停止することとをさらに含むことができる。該方法は、1つ以上の扉が閉鎖されているときに1つ以上の静的RFIDスキャナを起動することと、1つ以上の扉が開放されているときに1つ以上の静的RFIDスキャナを停止することとをさらに備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図面を参照して、各種実施形態の性質と利点についての理解を深めることができる。添付図面では、類似の構成要素または特徴には同一の参照符号を付す場合がある。さらに、同種の様々な構成要素は、参照符号にダッシュを付すことによって区別することができ、第2の参照符号は類似の構成要素を区別する。第1の参照符号のみが明細書で使用される場合、明細書は第2の参照符号とは関係なく、第1の参照符号を有する類似の構成要素のいずれにも適用可能である。
【
図1】本発明の1実施形態に係るRFIDキャビネット在庫管理システムを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るRFIDキャビネット在庫管理システムの使用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のいくつかの例示の実施形態を説明する。説明の便宜上、特定の例示の実施形態に関連して特定の特徴を説明したが、当業者であれば、本願の開示に基づき本発明の多くの異なる実施形態による様々な本発明の特徴を組み合わせることができると認識するであろう。従って、以下の例示の実施形態は単に例示のために提示するものであり、添付の請求項によってのみ定義される本発明の範囲を限定するとみなすべきではない。
【0015】
本発明の実施形態は、RFIDタグに関連付けられるアイテムのワークフローを管理する方法に関する。これは、本願に記載の複数のRFIDリーダを用いて達成される。
本発明は医療施設内の保管キャビネット、カート、または位置などの使用場所で採用されるRFID技術を利用するが、医療施設にのみ限定されない。RFID技術は、キャビネット、またはRFIDリーダとアンテナによって監視されるその他の密閉領域内のアイテムの定期的スキャンを通じて、自動在庫管理性能を提供するのに使用される。また、RFID技術は、アイテムがRFIDキャビネットまたはその他の監視位置から抜き取られる際に、アイテムを個別にスキャンするためにも採用される。
【0016】
本発明で採用されるRFID技術を構成するうえでの課題の1つは、保管位置内の全アイテムをスキャンするとき、たとえば約5〜30秒またはそれ以上の遅延が生じてユーザに不便を感じさせることである。よって、失われた、あるいは抜き取られたアイテムを判定するまでに相当の時間が経過することがある。この遅延を避ける方法は面倒である。たとえば、外部RFIDスキャナまたはバーコードの前でアイテムを揺らしたり、患者プロフィールにアイテムを手動でくっつけたりする。
【0017】
本発明の実施形態は、キャビネットまたは保管位置内のアイテムをスキャンするとともに、いつアイテムが抜き取られたかを最小時間、通常は2秒未満で判定する機能を提供する。該システムはエンドユーザ向けに完全自動化して、エンドユーザがスキャナの前でアイテムを揺らせる必要を省く。これは、介護士が複数の患者のためにアイテムを取り出すときに特に有益である。アイテムを取り出す(あるいは返却する)過程で、介護士は看護師識別情報と患者識別情報をキャビネットに入力することができる。1人の患者用のアイテムを取り出した後、介護士は別の患者の患者識別情報をキャビネットに入力し、5〜30秒のスキャンプロセスの完了を待たずに、第2の患者用のアイテムをすぐに取り出し始めることができる。
【0018】
1実施形態では、これは、キャビネットに複数のRFIDリーダを組み込んだRFIDキャビネットを使用することによって達成される。1つのリーダ(または1セットのリーダ)とそれに接続されるアンテナは、在庫管理目的専用である。たとえば、このリーダ用のアンテナは、キャビネットの全領域を高精度に読み取るように特別に構成される。このようにして、定期的にすべてのアイテムを同時スキャンすることができる。たとえば、リーダは、予定された間隔で完全キャビネットスキャンを実行するように設定することができる。1側面によると、このリーダは、キャビネット扉が閉鎖されるたびに完全キャビネットスキャンを実行するように始動させることができる。しかしながら、スキャンは、扉の閉鎖後にのみ実行されることに限定されない。たとえば、ユーザが扉を閉鎖してから追加アイテムを取り出すまで完全スキャンを待つ必要がないように、スキャンはキャビネットの非使用時に実行することができる。リーダは、キャビネットが開放されているとき、動作不能にして、実行中の操作を一時停止または終了させるように構成することもできる。このように、完全在庫スキャンは、扉が閉鎖されており、システムが利用されていないときのみ(および定期的に)実行される。
【0019】
第2のRFIDリーダ(複数のリーダ)とそれに関連するアンテナは、アイテムの取出または補充などのアイテムトランザクション情報を捕捉することのみに専念する。たとえば、このリーダ用のアンテナは、キャビネットまたは保管位置から取り出される、あるいはキャビネットまたは保管位置に返却される際に移動中のタグを読み取るように特別に構成することができる。1態様によると、第2のリーダは、キャビネット扉が開放されているときのみ動作可能となる。その後、キャビネット扉が閉鎖されているとき、第2のリーダは動作不能になる。このため、取出または補充中のアイテムを(キャビネット内または保管位置のその他の全アイテムをスキャンせずに)スキャンすることができる。この結果、略リアルタイムのデータがキャビネットコンピュータシステム(または、ネットワーク上で動作するバックエンドコンピュータシステムなどのその他の関連するコンピュータシステム)に提供されて、アイテムの在庫および位置のデータベースを管理する。また、キャビネットの表示画面は、アイテムの取出または返却の実行中、そのトランザクションをエンドユーザに対して表示することができる。たとえば、キャビネットの表示画面には、「シリンジ1個を取り出し中です」と表示することができる。第2のRFIDリーダのもう1つの特徴は、アイテムの移動方向を感知するように構成することができる。このようにして、RFIDリーダは、アイテムが取り出されるのか、あるいは返却されるのかを検知することができる。
【0020】
上述したように、RFIDシステムはキャビネット、カート、または保管位置と連携して使用することができる。1例として、キャビネットは施錠扉または複数の個別制御される施錠扉を有することができる。別の例として、本発明は電子制御ロック付きの単独の部屋(または複数の部屋)を提供することができる。キャビネット、カート、または部屋は様々な量の複数のアイテムを収容することができる。
【0021】
リーダ(または複数のリーダ)を含むRFIDシステムがキャビネットの内部に配置される。RFIDリーダのうちの1つが、各製品のタグに埋め込まれたデータの識別など、キャビネット内のアイテムの継続的監視を行う。このRFIDリーダは、全製品を短時間で繰り返しスキャンすることができる。別個のリーダは、いつアイテムが取り出されたかを判定する役割を果たす。取り出し中のタグを読み取るスキャン時間は短いため、本発明はユーザがキャビネットの近傍を離れ、コンピュータを制御する前に警告を発する。
【0022】
RFIDタグと関連付けられるデータは様々な形式を取ることができる。1例では、本発明は、永久に使用されるタグの領域にとって固有の固定識別(ID)番号を使用する。適切な時点で、キャビネット、あるいは中央在庫の別個のワークステーションまたはシステムにおいて、この固有番号がデータベースに読み込まれる。製品に関するその他のデータも、後の検索のためにデータベースにも入力される。このデータは、アイテムの種類ID、アイテムの個別製品番号(UPN)、使用期限、製造番号、製造業者、またはその他のパラメータを含むことができる。
【0023】
別の例では、RFIDタグはWORM(追記型、読取可能)タグである。WORMタグの場合、データの一部または全部はタグの読取可能メモリに1回のみ書き込まれるために、RFIDタグから直接読み取ることができる。中央データベースが使用不能な場合も、製品を識別することができる。また、中央サーバへのアクセスが不能な場合、ローカルコンピュータおよびキャビネットシステムは、取出時にユーザに警告を発することができる。
【0024】
さらに別の例では、RFIDタグは書込可能タグを利用する。書込可能タグの場合、ユーザが製品に情報を追加することができる。たとえば、書込可能タグは、患者ID、ユーザID、取出の日付と時間など、ユーザが選択する情報を含むことができる。どの場合も、タグに関連付けられるデータフォーマットはソフトウェアシステムに準拠しているはずなので、アイテムレベルの詳細に至るまでの正確な記録を自動化することができる。
【0025】
使用可能なキャビネットとRFIDリーダの種類は米国特許第7,348,884号に記載されており、参照によりその開示全文を本文書に組み込む。キャビネット内に保管される全アイテムのスキャンを可能とするようにキャビネットを構成する方法について説明する。
【0026】
取出または返却中のアイテムをスキャンするため、コンピュータシステムは、扉の開放を検出することができる。扉の開放時、第1の静的RFIDリーダ(または複数のリーダ)による全アイテムのスキャンは停止または回避される。その後、第2のトランザクションリーダ(または複数のリーダ)が始動され、取り出される、あるいは返却される1つまたは複数のアイテムをスキャンするのに使用される。これにより、取り出される、あるいは返却されるアイテムのみがスキャンされているので取出または返却を記録する時間が低減される。次に、コンピュータシステムは、第2のRFIDリーダによって検出されるように取り出された1つまたは複数のアイテムを加算または減算することによってアイテムの在庫を含むデータベースを更新することができる。扉が閉鎖されているとき、第1のRFIDリーダはすべてのアイテムの通常スキャンを実行し、データベースの正確性を確認することができる。
【0027】
図1は、本発明によるキャビネット100に組み込まれたRFID在庫管理システムの1例を示す。キャビネット100に組み込まれるように図示されているが、本文書に記載のRFID在庫管理システムは保管カート、その他の病院内の位置、その他のアクセス制御領域に組み込むこともできる。本文書に記載の特徴を含むように変更可能な他の種類のカートおよびキャビネットは、以下の米国特許および特許出願に記載されており、参照によりその内容を本願に組み込む。2001年8月7日にLippsに交付された米国特許第6,272,394号;2002年5月7日にLippsに交付された米国特許第6,385,505号;2004年7月6日にLippsに交付された米国特許第6,760,643号;1998年9月8日にLippsに交付された米国特許第5,805,455号;2003年8月19日にLippsに交付された米国特許第6,609,047号;1998年9月8日にHighamらに交付された米国特許第5,805,456号;1998年4月28日にHighamらに交付された米国特許第5,745,366号;1999年5月18日にHighamらに交付された米国特許第5,905,653号;1999年7月27日にGodlewskiに交付された米国特許第5,927,540号;2000年3月21日にHolmesに交付された米国特許第6,039,467号;2003年10月28日にHolmesらに交付された米国特許第6,640,159号;2000年11月21日にArnoldらに交付された米国特許第6,151,536号;1995年1月3日にBlechlらに交付された米国特許第5,377,864号;1993年3月2日にBlechlに交付された米国特許第5,190,185号;2005年12月13日にDuncanらに交付された米国特許第6,975,922号;2009年8月4日にDuncanらに交付された米国特許第7,571,024号;2010年11月16日にDuncanらに交付された米国特許第7,835,819号;2000年1月4日にHolmesに交付された米国特許第6,011,999号;2008年3月25日にHighamに交付された米国特許第7,348,884号;2010年3月9日にHighamに交付された米国特許第7,675,421号;2001年1月9日にWilsonらに交付された米国特許第6,170,929号;2008年12月25日に公開されたVahlbergらの米国特許出願公開第2008/0319579号,および2010年2月18日に公開されたLevyらの米国特許出願公開第2010/0042437号。
【0028】
キャビネット100は、施錠扉102を備えたハウジング枠を含む。キャビネット100および/または扉102は、ユーザがキャビネット100内に保管されたアイテムを見ることができるように透明材料製とすることができる。また、キャビネット100および/または扉102は、RFID送信機からの無線周波数がキャビネット100外に伝播しないように(金属)メッシュまたはその他の材料を含むことができる。RF信号を遮断する方法は米国特許第7,348,884号に記載されており、参照により全文を本願に組み込む。扉102は1つ以上の保管領域104へのアクセスを提供することができる。これらの保管領域104は、仕切り、棚、引き出し、容器などによって分離することができる。キャビネット100は1つ以上の静的RFIDリーダ106をさらに含むことができ、静的RFIDリーダ106は、扉102が閉鎖されているときにキャビネット100内に保持されるアイテムをスキャンするように構成される。静的RFIDリーダ106は、キャビネット100(または1セットのキャビネット、および/またはその他のアクセス制御領域)内のアイテムの在庫の判定を支援するのに使用することができる。キャビネット100は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、コンピュータコードを有するコンピュータシステム110を介して中央サーバに関連付けられ、キャビネット100(スキャナ、扉ロック、光表示など)と対応付けられる各種システムの動作を制御することができる。コンピュータシステム110のデータベースはアイテムの在庫を更新することができる。中央サーバまたはその他の遠隔に配置されたコンピュータシステムは、コンピュータネットワークを介して更新された在庫情報をコンピュータシステム110から受信することができる。このようにして、医療施設内に配置される複数のキャビネットからのデータは、リアルタイムで在庫情報を更新することができる。さらに、キャビネット100は1つ以上のトランザクションRFIDリーダ108を含むことができる。トランザクションRFIDリーダ108は、1つ以上の扉102が開放されているとき(コンピュータシステム110から受信する信号に応じて)動作して、キャビネット100から取り出される、あるいはキャビネット100に補充されるアイテムをスキャンするように構成される。トランザクションRFIDリーダ108は、キャビネット100から取り出される、あるいはキャビネット100に補充されるアイテムの移動を検出するように構成される。
したがって、トランザクションRFIDリーダ108は、扉102が開放され、アイテムがキャビネットの内部から取り出されている、あるいはキャビネットの内部に補充されているときにスキャンを実行できるように、扉102に対して適切に位置決めすることができる。上記アイテムの取出または補充に関する情報は、コンピュータシステム110を用いてデータベースに記憶させ、あるいはデータベースと照合(遠隔コンピュータシステムに送信する)することができる。個々のアイテムの検出および記憶プロセスは約2秒未満で実行し、多忙な医師のために遅延を最小限にする、あるいは排除することができる。アイテムを含むトランザクションはデータベースに記録する、および/またはデータベースと照合することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、キャビネット100は外部リーダ116を含むことができる。外部リーダ116は、アイテムを含むトランザクションの関連データを入力しやすいように、コンピュータシステム110の近傍などのキャビネット100の外部に配置することができる。外部リーダ116は、バーコードスキャナ、RFIDスキャナ、アイテムを特定するように構成されるその他のリーダ、または上記リーダとスキャナの組み合わせとすることができる。外部リーダ116は、アイテムをキャビネット100から取り出すとき、あるいはアイテムをキャビネット100に補充するときに使用することができる。場合によっては、外部リーダ116はトランザクションRFIDリーダ108の代わりに使用することができる。たとえば、外部リーダ116は、トランザクションRFIDリーダ108が故障するか動作不能になるとき、アイテムがRFIDタグを含まない、あるいはRFIDタグが脱落するか除去されるときに使用することができる。場合によっては、トランザクションRFIDリーダ108は、たとえば品質保証チェックの際に外部リーダ116と併せて使用することができる。なお、任意数の扉102をキャビネット100で使用することができ、各扉はアイテムを保管する1つ以上の棚、仕切り区画、またはその他の保管領域104へのアクセスを提供することができる。複数の扉102と保管領域104とを使用することで、特定のアイテムが特定のアクセスレベルのユーザのみからアクセスされるなど、何らかの用途において有効な別のアクセス領域が生成される。たとえば、アクセス区域A1およびA2はアクセス区域Bと異なるアクセスレベルを有することができる。任意数のアクセス区域は、個別に施錠可能な扉102を用いて形成することができる。
【0030】
キャビネット100は、アイテムにとって正確なキャビネット100、扉102、および/または保管領域104の位置を特定するために誘導灯またはその他の表示信号を含むことができる。誘導灯の使用は米国特許第5,745,366号、第5,805,455号、第5,805,456号、第6039,467号、第6,272,394号、第5,385,505号に記載されており、あらゆる目的のため参照により本願に組み込む。
【0031】
コンピュータシステム110は、キャビネット100に埋め込む、キャビネット100に近接して形成する、あるいはキャビネット100に搭載することができる。ここで、コンピュータシステム110はキャビネット100上に搭載され、キャビネット100の各種電機部品に直結される。もしくは、コンピュータシステム110は、イーサネット(登録商標)、光赤外線、シリアルケーブル、USB、ブルートゥース、その他の無線通信インタフェースまたはその他の任意のデータ通信手段によってキャビネット100(キャビネット100内の各種電機部品を含む)に接続することができる。キャビネット100に近接する、あるいはキャビネット100に搭載される外部コンピュータの使用によって、様々な形状係数で汎用コンピュータを使用することができる。たとえば、外部コンピュータの種類、寸法、形状、および/または構造はキャビネット設計によって制限されない。このようなコンピュータの使用により、既存のキャビネットに一般的なコンピュータおよび/または1つ以上のRFIDセンサを後付けし、所望効率のアイテム追跡を実現することができる。RFIDキャビネット在庫管理システム制御のためのソフトウェアが急速に進化するにつれ、新バージョンは新たなオペレーティングシステムを要することが多く、ひいては新たなコンピュータを必要とする。コンピュータシステム110を外部に保持しておくことによって、ソフトウェアとコンピュータハードウェアの両方のアップグレードが簡易かつ安価になる。
【0032】
コンピュータシステム110は、コンソール画面114と入力領域112とを含むことができる。たとえば、入力領域112は、キーボード、数字パッド、タッチスクリーンなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、入力領域110はユーザを識別するために使用することができる。たとえば、ユーザはユーザID、パスワード、PIN、および/またはその他の識別子を入力領域112に入力して、ユーザの身元を検証または認証し、アクセスを許可することができる。いくつかの実施形態では、RFIDバッジ、磁気カード、またはその他の識別装置がRFID在庫管理システムへのアクセスを提供することができ、他の実施形態では、入力領域112は、生体認証的にユーザを識別する、指紋、顔、または網膜スキャナなどの生体認証センサを含むことができる。いくつかの実施形態は、ユーザが身につけた、または手にした、あるいはその他の方法でユーザに近接させた無線装置を組み込むことができる。無線装置はコンピュータシステム110と無線通信を行い、ユーザがキャビネット100に近づくときにユーザを識別する。入力領域112は、キャビネット100内のアイテムに関連する様々な選択肢から選択を行うために使用することもできる。たとえば、ユーザは取り出される、あるいは補充されるアイテムのアイテム名または識別子を選択することができる、患者の名前またはIDを入力領域112を介してコンピュータシステム110に入力することができる、および/またはアイテムの目的をコンピュータシステム110の記録に登録することができる。たとえば、目的は、患者の使用、第1の位置から第2の位置への移送、新たな形状/アセンブリへの商品の転換、廃棄などを含むことができる。
【0033】
さらに、コンピュータシステム110は、扉102を施錠および解錠するように構成することができる。たとえば、コンピュータシステム110は、検証されたユーザID、パスワード、アイテム要求などの入力後、少なくとも1つの扉102を解錠および/または開放することができる。各扉102は他の扉102とは無関係に施錠することができるため、選択/許可領域へのアクセスのみが可能になる。このため、異なる保管領域104は異なるアクセスレベルを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアイテムの使用期限をRFIDタグに関連付けることができる。第1のRFIDシステムがキャビネットをスキャンする際、キャビネット内のアイテムが使用期限切れである、あるいは使用期限に近づいているか否かを判定することができる。コンピュータシステムは、このようなアイテムを期限切れ前に使用する、あるいは期限切れ後にキャビネットから取り出す必要があるという警告またはその他の表示を提供するように構成することができる。
【0035】
図2は、上述のキャビネット100などのキャビネットシステムに組み込まれるRFID在庫管理システムの使用方法を示す。なお、類似の方法を、カート、他の医療位置、他のアクセス制御領域に組み込まれるRFID在庫管理システムと併せて使用することができる。ブロック200で、システムのユーザを識別することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、生体認証識別子、コンピュータシステムに入力されるパスワード、および/またはユーザがシステムに近接するときにコンピュータシステムと通信する無線装置を用いて識別されて、キャビネットの内部へのアクセスを得ることができる。ブロック202で、ユーザはカートから取り出される、あるいはカート内に補充されるアイテムの目的または使用を選択することができる。たとえば、ユーザは目的をコンピュータにキー入力する、あるいはコンピュータ上のリストまたはメニューから目的を選択することによって目的を入力し、患者のリストバンドのスキャンなどによりカスタマIDをスキャンすることができる。目的は、限定はしないが、患者の使用、第1の位置から第2の位置への移送、新たな形状/アセンブリへの商品の転換、廃棄などを含むことができる。通常、目的はカートからアイテムを取り出すことと、カートにアイテムを補充することを含むことができ、目的がユーザによって選択されない場合、ブロック228でシステムは物理的在庫に関係しないタスクを実行することができる。たとえば、システムはブロック230でカートの扉を施錠し、ブロック232で内部RFIDスキャナを始動し、および/またはブロック234で外部動作センサを「スリープ」モードとすることができる。
【0036】
ユーザが実際に目的を選択する場合、システムは物理的在庫に関係する1つ以上のタスクを実行することができる。たとえば、システムはブロック204で、特定の扉を解錠して選択された1個または複数のアイテムへのアクセスを許可する、ブロック206で、内部静的RFIDスキャナを「スリープ」モードに設定する、あるいはその他の形で静的RFIDスキャナを動作不能にする、および/またはブロック208で、動作センサ(トランザクションRFIDスキャナ)および/または外部静的RFIDスキャナを始動することができる。該システムはブロック210で、目的がカートからのアイテムの取出かカートへのアイテムの補給かを判定する。目的がアイテムの取出ではなくカートへのアイテムの補充である場合、ユーザがブロック216でカートにアイテムを補充する際に、ブロック212で外部スキャンは実行する、および/またはブロック214で自動取出スキャンを実行することができる。本願で使用される「自動取出スキャン」は、カートに補充されるアイテムのスキャンとカートから取り出されるアイテムのスキャンの両方を指すことができる。ユーザはアイテムの外部スキャンが望ましいか否かを選択するように促される、あるいはユーザがアイテムを外部でスキャンしたいと望めば外部スキャナを始動させることができる。たとえば、バーコードをスキャンする、UPNを入力する、アイテムのRFIDタグを外部からスキャンする、あるいはアイテムを識別するその他の方法を使用することができる。自動取出スキャンは、トランザクションRFIDスキャナを使用して、ユーザによってカートから出し入れされる物体を感知することができる。大抵の場合、ユーザは、特定用途向けに実行される外部スキャンまたは自動取出スキャンのみを有する。たとえば、ユーザはトランザクションRFIDスキャナに頼って、ほとんどの場合は在庫管理目的のためにカートから取り出される、およびカート内に補充されるアイテムを検知することができる。いくつかの例では、外部スキャナはRFIDタグを含まないアイテムを追跡する、あるいはトランザクションRFIDスキャナが故障する、動作不能になる、あるいはそれ以外の理由で無効になるときに使用することができる。場合によっては、外部スキャンと自動取出スキャンの両方を、品質保証チェックなどのために一緒に利用することができる、自動取出スキャンの実行または省略後、システムはブロック224で第2のアイテムが目的のために必要であるか否かを選択するようにユーザに促すことができる。ユーザがその目的用に第2のアイテムを必要とする場合、システムはブロック220で、アイテムをカートから取り出すべきなのか、カートに補充すべきなのかを判定することができる。該システムは、選択された目的に基づき、第2のアイテムが必要であるか否かを自動的に判定することができる。目的のために余剰のアイテムが必要な場合、ブロック226で、新たな目的があるか否かを選択するようにユーザに要求することができる。ユーザが新たな目的を有する場合、ブロック202でユーザは目的を選択することができる。ユーザが第2の目的を有していない場合、システムはブロック230で扉を施錠する、ブロック232で内部静的RFIDスキャナを始動する、および/またはブロック234で外部動作センサ(トランザクションRFIDスキャナ)を「スリープ」モードに設定することができる。その後、ブロック236で、該システムは静的RFIDセンサによって検出されるように在庫に関して在庫データベースを更新することができる。次に、ブロック200に戻ることによって、新たなユーザまたは後の時点で同一ユーザが該システムにアクセスすることができる。
【0037】
最初に選択された目的がカートからアイテムを取り出すことを含む場合、ブロック218で、ユーザはアイテムを選択し、取り出すことができる。ユーザがブロック222でアイテムを取り出す際に、ブロック220で自動取出スキャンを実行することができる。次に、ユーザはアイテムの外部スキャンを実行する選択肢を有する。上述したように、自動取出スキャンと外部スキャンの一方または両方を、ユーザの嗜好に応じて実行することができる。アイテムのスキャン後、システムはブロック224で目的のために第2のアイテムが必要であるか否かを選択するようにユーザに促すことができ、上述したようにプロセスを継続することができる。
【0038】
トランザクションRFIDスキャナおよび/または静的RFIDスキャナによるスキャン中、特定のトランザクションをデータベースに記憶する、および/またはデータベースと照合することができる。いくつかの実施形態では、選択された目的を、アイテムの外部スキャンによって入力することができる。コンピュータは、アイテムをキャビネットに補充する目的としてこのスキャンを認識するように構成することができる。次に、コンピュータは1つ以上の扉を解錠する、内部静的RFIDセンサを「スリープ」モードに設定する、動作センサ(トランザクションRFIDスキャナ)を始動することができる。アイテムがキャビネット内に補充されると、自動取出スキャンを実行することができる。該システムは、カート内へのアイテム補充のために上述の在庫プロセスを継続することができる。
【0039】
静的および動的(トランザクション)RFIDスキャナの両方を使用することにより、ユーザは正確な在庫を保持しつつ、カートからアイテムを効率的に検索することができる。静的スキャナは、扉が閉鎖されているときに実行されるスキャンなど、キャビネット内の全アイテムの定期的スキャンを実行して、全アイテムの在庫を維持することができる。すべてまたはほぼすべてのアイテムがこのときにスキャンされるため、スキャンに5〜30秒かかることがある。アイテムが必要とされるとき、ユーザがこうした遅延を体験をしないように、扉の開放中は動的スキャナを起動させることができる。動的スキャナはキャビネットからのアイテムの取出またはキャビネットへのアイテムの補充を検出することができる。取り出された、および/または補充されたアイテムのみがスキャンされるため、スキャンの要する時間は約2秒未満に抑えることができる。この遅延の低減は、介護士が複数の患者用のアイテムを取り出しているときに特に有益である。1人の患者用のアイテムを取り出した後、介護士は別の患者に関する患者識別情報をキャビネットに入力し、完全在庫スキャンプロセスの完了を,たとえばあと5〜30秒待たずに、第2の患者用のアイテムを直ちに取り出し始めることができる。
【0040】
なお、上述の方法、システム、装置は単に例示であることを目的とする。各種実施形態は各種手順または構成要素を適宜省略、置換、または追加することができることを強調しておかねばならない。たとえば、別の実施形態では、該方法は説明と異なる順番で実行することができ、各種ステップの追加、省略、または結合が可能であると理解すべきである。また、特定の実施形態に関して説明された特徴は、様々な他の実施形態と組み合わせることができる。実施形態の異なる態様および要素も同様に組み合わせることができる。また、技術は進化しているので、要素の多くは例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことも強調しておかねばならない。
【0041】
実施形態を完全に理解してもらうために、明細書では具体的な細部を説明する。しかしながら、当業者であれば、実施形態はこれらの具体的細部なしでも実施できることを理解するであろう。たとえば、周知のプロセス、構造、技術は、実施形態を曖昧にするのを避けるために不要な細部を描かずに図示する。本明細書は例示の実施形態のみを提示し、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定することを目的としない。逆に、実施形態の上記の説明は、当業者が本発明の実施形態を実施できるように提示される。本発明の精神と範囲を逸脱せずに、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができる。
【0042】
なお、実施形態は、フロー図またはブロック図として描かれるプロセスとして説明することができる。それぞれが順次的なプロセスとして動作を説明しているが、動作は並行して、あるいは同時に実行することができる。また、動作の順番は入れ替えることができる。プロセスは図面に含まれない追加のステップを有することができる。
【0043】
いくつかの実施形態について説明したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱せずに、様々な変更、代替の構成、等価物を使用できることを認識するであろう。たとえば、上記要素は単により大きなシステムの単に1構成要素とすることができ、他のルールが優先される、あるいはその他の形で本発明の適用を変更することができる。さらに、いくつかのステップは、上記要素の検討前、中、または後に実行することができる。したがって、上記の説明は本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0044】
本発明は明瞭で分かりやすくするために詳細に説明した。しかしながら、添付の請求項の範囲内で変更や修正を行うことができると理解される。