(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学補償層は、SiNx、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)からなる群から選択された物質で形成されることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光表示素子。
前記光学補償層は、SiNx、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)からなる群から選択された物質で形成されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
前記画素電極を形成する段階の後に、形成された層を所定時間の間真空状態で真空キュアして、前記形成された層に含まれる異物を前記孔から排出する段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明による有機電界発光表示素子の等価回路図である。
図1に示すように、本発明による有機電界発光表示素子1は、縦横に交差するゲートラインG及びデータラインDにより定義される複数の画素からなり、各画素内にはパワーラインPがデータラインDと平行に配列されている。
【0023】
各画素内には、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、キャパシタC、及び発光素子Eが備えられる。スイッチング薄膜トランジスタTsのゲート電極はゲートラインGに接続され、スイッチング薄膜トランジスタTsのソース電極はデータラインDに接続され、スイッチング薄膜トランジスタTsのドレイン電極は駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極に接続されている。また、駆動薄膜トランジスタTdのソース電極はパワーラインPに接続され、駆動薄膜トランジスタTdのドレイン電極は発光素子Eに接続されている。
【0024】
このような構成の有機電界発光表示素子1においては、走査信号がゲートラインGに入力されることにより、スイッチング薄膜トランジスタTsのゲート電極に信号が供給されて、スイッチング薄膜トランジスタTsが駆動される。そして、スイッチング薄膜トランジスタTsが駆動されることにより、データラインDに入力されるデータ信号がソース電極及びドレイン電極を介して駆動薄膜トランジスタTdのゲート電極に入力されて、駆動薄膜トランジスタTdが駆動される。
【0025】
このとき、パワーラインPには電流が流れ、駆動薄膜トランジスタTdが駆動されることにより、パワーラインPの電流がソース電極及びドレイン電極を介して発光素子Eに供給される。ここで、駆動薄膜トランジスタTdを介して出力される電流の大きさは、ゲート電極とドレイン電極間の電圧によって変化する。
【0026】
発光素子Eは、有機発光素子であって、駆動薄膜トランジスタTdを介して電流が入力されることにより発光して画像を表示する。ここで、発光する光の強さは供給される電流の強さによって変化するので、電流の強さを調節することにより光の強さを調節することができる。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施の形態による有機電界発光表示素子の構造を示す断面図である。同図を参照して本発明の第1の実施の形態による有機電界発光表示素子の構造を説明する。
【0028】
図2に示すように、本発明の第1の実施の形態による有機電界発光表示素子は、赤色光を出力するR画素、緑色光を出力するG画素、及び青色光を出力するB画素からなる。図示していないが、本発明による有機電界発光表示素子は、白色光を出力するW画素を含んでもよい。この場合、W画素から白色光を出力することにより、有機電界発光表示素子の全体輝度を向上させることができる。
【0029】
R、G、B画素にはそれぞれカラーフィルタ層が形成されており、有機発光部から出力される白色光を特定のカラーの光にして出力するが、W画素を含む場合、W画素は、カラーフィルタ層を必要とせず、発光した白色光をそのまま出力する。
【0030】
図2に示すように、ガラスやプラスチックなどの透明物質からなる第1基板16はR、G、B画素に分けられ、R、G、B画素にはそれぞれ駆動薄膜トランジスタが形成されている。
【0031】
前記駆動薄膜トランジスタは、第1基板16上のR、G、B画素にそれぞれ形成されたゲート電極11R、11G、11Bと、ゲート電極11R、11G、11B上に形成された半導体層12R、12G、12Bと、半導体層12R、12G、12B上に形成されたソース電極14R、14G、14B及びドレイン電極15R、15G、15Bとからなる。図示していないが、半導体層12R、12G、12Bの上面の一部にはエッチングストッパが形成されており、ソース電極14R、14G、14B及びドレイン電極15R、15G、15Bのエッチング工程中に半導体層12R、12G、12Bがエッチングされることを防止するようにしてもよい。
【0032】
ゲート電極11R、11G、11Bは、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、又はAl合金などの金属で形成してもよい。また、ゲート絶縁層22は、SiO
2やSiNxなどの無機絶縁物質からなる単一層でもよく、SiO
2及びSiNxからなる二重層でもよい。半導体層12R、12G、12Bは、非晶質シリコン(a−Si)、結晶質半導体、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明酸化物半導体、又は有機物半導体で形成してもよい。また、ソース電極14R、14G、14B及びドレイン電極15R、15G、15Bは、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、又はAl合金などの金属で形成してもよい。
【0033】
前記駆動薄膜トランジスタが形成された第1基板16には第1絶縁層24が形成される。第1絶縁層24は、SiO
2などの無機絶縁物質を用いて約4500Åの厚さで形成してもよい。第1絶縁層24上のR、G、B画素には、それぞれRカラーフィルタ層17R、Gカラーフィルタ層17G、Bカラーフィルタ層17Bが形成される。
【0034】
Rカラーフィルタ層17R、Gカラーフィルタ層17G、Bカラーフィルタ層17B上には第2絶縁層26が形成される。第2絶縁層26は、第1基板116平坦化するためのオーバーコート層であり、フォトアクリルなどの有機絶縁物質を用いて約3μmの厚さで形成してもよい。
【0035】
第2絶縁層26上には光学補償層27が形成される。光学補償層27は、カラーフィルタ層17R、17G、17Bに入力される光を屈折させて光の視野角特性を向上させるためのものであり、屈折率1.5〜2.7のSiNx層を1500〜2000Åの厚さで積層することにより形成してもよい。光学補償層27は、SiNx層に限定されるものではなく、屈折率1.5〜2.7の透明物質であればいかなる物質でも使用可能である。例えば、透明なITOやIZOを使用して光学補償層27を形成してもよい。ここで、光学補償層27は、第1基板16全体にわたって形成されるので、ITOやIZOの組成比を調節して電気伝導度を最小限に抑えることで導電性を除去することが好ましい。
【0036】
ここで、光学補償層27は、水素を含有しない層であり、例えば光学補償層27としてSiNx層を形成する際に、水素を含まない雰囲気で形成することにより、薄膜トランジスタのチャネル層に水素が浸透して薄膜トランジスタが劣化することを防止することができる。
【0037】
光学補償層27上のR、G、B画素にはそれぞれ画素電極21R、21G、21Bが形成される。このとき、R、G、B画素にそれぞれ形成された駆動薄膜トランジスタのドレイン電極15R、15G、15Bの上部の第1絶縁層24及び第2絶縁層26にはコンタクトホール29(
図3D参照)が形成されており、光学補償層27及び画素電極21R、21G、21Bがコンタクトホール29に形成され、画素電極21R、21G、21Bは、それぞれ露出した駆動薄膜トランジスタのドレイン電極15R、15G、15Bと電気的に接続される。
【0038】
また、第2絶縁層26上の各画素境界領域にはバンク層(bank layer)28が形成される。バンク層28は、一種の隔壁であり、各画素を区画して隣接する画素から出力される特定のカラーの光が混合されて出力されることを防止するためのものである。また、バンク層28は、コンタクトホール29の一部を埋めて段差を減少させ、その結果、有機発光部23を形成する際に、過度な段差により有機発光部23に不良が発生することを防止する。
【0039】
画素電極21R、21G、21Bは、ITOやIZOなどの透明な酸化金属物質からなるが、本発明においては、画素電極21R、21G、21BをそれぞれのR、G、B画素に約500Åの厚さで形成してもよい。
【0040】
画素電極21R、21G、21Bは光学補償層27に直接接触する。従って、光学補償層27をITOやIZOで形成した場合、画素電極21R、21G、21Bに供給される信号が第1基板16全体にわたって供給されるので、光学補償層27のITOやIZOは、画素電極21R、21G、21BのITOやIZOに比べて電気伝導度をはるかに低くする。
【0041】
有機発光部23は、白色光を発光する白色有機発光層を含む。前記白色有機発光層は、R、G、Bの単色光をそれぞれ発光する複数の有機物質を混合して形成してもよく、R、G、Bの単色光をそれぞれ発光する複数の発光層を積層して形成してもよい。図示していないが、有機発光部23には、有機発光層に加えて、有機発光層にそれぞれ電子及び正孔を注入する電子注入層及び正孔注入層、並びに有機発光層にそれぞれ電子及び正孔を輸送する電子輸送層及び正孔輸送層が形成されてもよい。
【0042】
有機発光部23上には、第1基板16全体にわたって共通電極25が形成される。共通電極25は、Ca、Ba、Mg、Al、Agなどからなる。
【0043】
ここで、共通電極25は有機発光部23のカソードであり、画素電極21R、21G、21Bは有機発光部23のアノードであり、共通電極25と画素電極21R、21G、21Bに電圧が印加されると、共通電極25からは有機発光部23に電子が注入され、画素電極21R、21G、21Bからは有機発光部23に正孔が注入されることにより、有機発光層内に励起子が生成され、その励起子が消滅すると、有機発光層のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)とHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)のエネルギー差に相当する光が発生し、外部(
図2の第1基板16側)に発散する。このとき、有機発光層に含まれるR、G、B発光層からそれぞれ赤色光、緑色光、青色光が発光し、これらの光が混合されて白色光が発散する。そして、発散した白色光は、それぞれR、G、Bカラーフィルタ層17R、17G、17Bを透過し、該当画素に対応するカラーの光のみが出力される。
【0044】
共通電極25上に接着剤が塗布されて接着層42が形成され、接着層42上に第2基板50が配置され、接着層42により第2基板50が第1基板16に貼り付けられる。
【0045】
前記接着剤としては、接着力、耐熱性、及び耐水性に優れた物質であればいかなる物質でも使用可能であるが、本発明においては、主にエポキシ系化合物、アクリレート系化合物、又はアクリル系ゴムなどの熱硬化性樹脂を使用する。ここで、接着層42は、約5〜100μmの厚さで塗布され、約80〜170度の温度で硬化する。接着層42は、第1基板16と第2基板50とを貼り合わせる役割を果たすだけでなく、前記有機電界発光表示素子の内部に水分が浸透することを防止するための封止剤の役割も果たす。つまり、本発明の詳細な説明においては符号42を接着層という用語で表現するが、これは説明の便宜のためであり、当該接着層を封止層と表現してもよい。
【0046】
第2基板50は、接着層42を封止するための封止キャップ(encapsulation cap)であって、PS(Polystyrene)フィルム、PE(Polyethylene)フィルム、PEN(Polyethylene Naphthalate)フィルム、又はPI(Polyimide)フィルムなどの保護フィルムからなるようにしてもよい。また、第2基板50としては、ガラスやプラスチックを使用してもよく、第1基板16に形成された構成物を保護できればいかなる物質でも使用可能である。
【0047】
図示していないが、前記有機電界発光表示素子の外郭領域における第1基板16と第2基板50との間には、共通電極25に共通電圧を供給する補助電極が形成されてもよい。
【0048】
前述したように、本発明においては、有機発光部23の下部に光学補償層27を形成することにより、有機発光部23からR、G、Bカラーフィルタ層17R、17G、17Bに入射する白色光を補償し、視野角特性を向上させる。
【0049】
ここで、光学補償層27は、水素非含有層からなるため、光学補償層27を形成する際に薄膜トランジスタのチャネル層に水素が浸透して薄膜トランジスタが劣化することを防止することができる。
【0050】
以下、このような構造の本発明の第1の実施の形態による有機電界発光表示素子の製造方法を説明する。
【0051】
図3A〜
図3Fは、本発明の第1の実施の形態による有機電界発光表示素子の製造方法を示す図である。
【0052】
まず、
図3Aに示すように、ガラスやプラスチックなどの透明物質からなる第1基板16を準備し、その上にCr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、又はAl合金のように導電性に優れた不透明金属をスパッタリング法により積層し、フォトリソグラフィ法によりエッチングして、ゲート電極11R、11G、11Bを形成する。
【0053】
その後、ゲート電極11R、11G、11Bが形成された第1基板16全体にわたってCVD(Chemical Vapor Deposition)法により無機絶縁物質を積層して、ゲート絶縁層22を形成する。ここで、ゲート絶縁層22は、SiNxを用いて約2000Åの厚さで形成してもよい。
【0054】
その後、第1基板16全体にわたって非晶質シリコン(a−Si)などの半導体物質、IGZOなどの透明酸化物半導体、又は有機物半導体をCVD法により積層した後にエッチングして、半導体層12R、12G、12Bを形成する。そして、図示していないが、半導体層12R、12G、12Bの一部に不純物をドーピングするか、又は不純物が添加された非晶質シリコンを積層して、オーミックコンタクト層を形成してもよい。
【0055】
その後、第1基板16上にCr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、又はAl合金のように導電性に優れた不透明金属をスパッタリング法により積層した後にエッチングして、半導体層12R、12G、12B上、厳密にはオーミックコンタクト層上にソース電極14R、14G、14B及びドレイン電極15R、15G、15Bを形成する。
【0056】
次に、
図3Bに示すように、ソース電極14R、14G、14B及びドレイン電極15R、15G、15Bが形成された第1基板16全体にわたって無機絶縁物質を積層して、第1絶縁層24を形成する。ここで、第1絶縁層24は、SiO
2を用いて約4500Åの厚さで形成してもよい。その後、第1絶縁層24上のR、G、B画素にそれぞれRカラーフィルタ層17R、Gカラーフィルタ層17G、Bカラーフィルタ層17Bを形成する。
【0057】
次に、
図3Cに示すように、Rカラーフィルタ層17R、Gカラーフィルタ層17G、Bカラーフィルタ層17Bが形成された第1基板16全体にわたってフォトアクリルなどの有機絶縁物質を塗布して、第2絶縁層26を積層し、第1絶縁層24及び第2絶縁層26をエッチングして、薄膜トランジスタのドレイン電極15R、15G、15Bを露出するコンタクトホール29(
図3D参照)を形成する。ここで、第2絶縁層26は、約3μmの厚さで形成してもよい。なお、同図においては、第1絶縁層24と第2絶縁層26を同時にエッチングしてコンタクトホール29を形成しているが、第1絶縁層24をエッチングした後にその内部に形成された第2絶縁層26をエッチングしてコンタクトホール29を形成してもよい。
【0058】
その後、第2絶縁層26上にSiNxなどの物質を積層した後にエッチングして、光学補償層27を形成する。ここで、光学補償層27は、コンタクトホール29の内部にも形成されるが、パターニングされてドレイン電極15R、15G、15Bは外部に露出する。
【0059】
光学補償層27はCVD法により形成される。例えば、真空チャンバ内にSiH
4とN
2を混合したガスを供給してCVD法を行うことにより、SiNx層を形成してもよい。
【0060】
もちろん、前記SiNx層は、SiH
4とNH
3を混合したガスを用いて形成してもよいが、この場合は、NH
3に含まれる水素が工程中に薄膜トランジスタのチャネル層に浸透する。このような水素の浸透は、薄膜トランジスタのチャネル層に衝撃を加えて薄膜トランジスタの劣化を起こす主な原因となる。
【0061】
しかし、本発明においては、SiH
4とN
2を混合したガスを用いてSiNx層を形成するため、水素が工程中に薄膜トランジスタのチャネル層に浸透せず、その結果、水素の浸透による薄膜トランジスタの劣化を防止することができる。
【0062】
一方、本発明においては、SiH
4とNH
3を混合したガス及びSiH
4とN
2を混合したガスを交互に供給してCVD法を行うことにより、SiNx層を形成してもよい。SiNx層を形成する際にSiH
4とNH
3を混合したガス及びSiH
4とN
2を混合したガスを交互に供給してCVD法を行うほうが、SiH
4とN
2を混合したガスを供給してCVD法を行うより、成膜速度が速い。つまり、本発明においては、成膜速度を向上させて工程が円滑に行われるようにすると共に、光学補償層27の水素含有量を最小限に抑えることにより、薄膜トランジスタの劣化を防止することができる。
【0063】
次に、
図3Dに示すように、光学補償層27上にITOやIZOなどの透明な導電物質をスパッタリング法により積層した後にエッチングして、画素電極21R、21G、21Bを形成する。ここで、画素電極21R、21G、21Bは、コンタクトホール29の内部に延びて駆動薄膜トランジスタのドレイン電極15R、15G、15Bと電気的に接続される。また、該当画素の画素電極21R、21G、21Bは、隣接する画素の画素電極21R、21G、21Bとは電気的に絶縁される。
【0064】
次に、
図3Eに示すように、画素と画素との間にバンク層28を形成する。バンク層28は、各画素を区画して隣接する画素から出力される特定のカラーの光が混合されて出力されることを防止し、コンタクトホール29の一部を埋めて段差を減少させる。バンク層28は、無機絶縁物質をCVD法により積層した後にエッチングして形成してもよく、有機絶縁物質を積層した後にエッチングして形成してもよい。
【0065】
その後、バンク層28及び画素電極21R、21G、21Bが形成された第1基板16全体にわたって有機発光部23を形成する。有機発光部23は、電子注入層、電子輸送層、白色有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層からなり、前記白色有機発光層は、R有機発光物質、G有機発光物質、B有機発光物質が混合された層でもよく、R有機発光層、G有機発光層、B有機発光層が積層された構造でもよい。前記電子注入層、電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層は、現在使用されている様々な物質を積層して形成してもよい。
【0066】
その後、有機発光部23上にCa、Ba、Mg、Al、Agなどの金属を積層して、共通電極25を形成する。
【0067】
次に、
図3Fに示すように、第2基板50全体にわたってエポキシ系化合物、アクリレート系化合物、又はアクリル系ゴムなどの熱硬化性樹脂からなる接着層42を約5〜100μmの厚さで形成し、その後、第2基板50を第1基板16上に配置した状態で第1基板16及び第2基板50に圧力を加えることにより、第1基板16と第2基板50とを貼り合わせる。
【0068】
ここで、前記接着剤又は接着フィルムを第1基板16上に塗布又は貼付し、その上に第2基板50を配置して貼り合わせてもよい。
【0069】
第2基板50としては、ガラスやプラスチックを使用してもよく、PSフィルム、PEフィルム、PENフィルム、又はPIフィルムなどの保護フィルムを使用してもよい。
【0070】
前記のように第1基板16と第2基板50とを貼り合わせた後、接着層42を約80〜170度の温度に加熱して接着層42を硬化する。このような接着層42の硬化により有機電界発光表示素子がシールされ、外部から水分などが浸透することが防止される。また、第2基板50は、有機電界発光表示素子を封止するための封止キャップとして作用し、有機電界発光表示素子を保護する。
【0071】
前述したように、本発明においては、有機発光部23の下部に光学補償層27を形成して有機発光部23から発光する光を屈折させることにより、R、G、Bカラーフィルタ層17R、17G、17Bを透過する光の色視野角を向上させることができる。また、本発明においては、光学補償層27としてSiNxを使用し、かつ当該SiNx層を、SiH
4とNH
3を混合したガス雰囲気ではなく、SiH
4とN
2を混合したガス雰囲気で形成することにより、光学補償層27を形成する際に薄膜トランジスタに水素が浸透して薄膜トランジスタが劣化することを効果的に防止することができる。
【0072】
図4は、本発明の第2の実施の形態による有機電界発光表示素子の構造を示す断面図である。なお、第2の実施の形態の構造は
図2に示す第1の実施の形態の構造と類似しているので、同じ構造については簡単に説明し、異なる構造については詳細に説明する。
【0073】
図4に示すように、第1基板116のR、G、B画素にそれぞれ形成された駆動薄膜トランジスタは、第1基板116上のR、G、B画素にそれぞれ形成されたゲート電極111R、111G、111Bと、ゲート電極111R、111G、111B上に形成された半導体層112R、112G、112Bと、半導体層112R、112G、112B上に形成されたソース電極114R、114G、114B及びドレイン電極115R、115G、115Bとからなる。
【0074】
前記駆動薄膜トランジスタが形成された第1基板116には第1絶縁層124が形成される。第1絶縁層124は、SiO
2などの無機絶縁物質を用いて約4500Åの厚さで形成してもよい。第1絶縁層124上のR、G、B画素には、それぞれRカラーフィルタ層117R、Gカラーフィルタ層117G、Bカラーフィルタ層117Bが形成される。Rカラーフィルタ層117R、Gカラーフィルタ層117G、Bカラーフィルタ層117B上には第2絶縁層126が形成される。
【0075】
第2絶縁層126上には光学補償層127が形成される。光学補償層127は、1.5〜2.7の屈折率を有する物質であり、SiNx、ITOやIZOなどの透明物質を使用してもよい。ここで、光学補償層127は、水素を含有しない層であり、光学補償層127としてSiNx層などを形成する際に、水素を含まない雰囲気で形成することにより、薄膜トランジスタのチャネル層に水素が浸透して薄膜トランジスタが劣化することを防止することができる。本実施の形態においては、光学補償層127に水素を含有することもある。
【0076】
光学補償層127には複数の孔127aが形成される。複数の孔127aは各画素領域の外周壁に形成されている。孔127aは、第2絶縁層126又は他の層で発生する異物を排出する。後述するが、光学補償層127の上部には有機発光層が形成されるが、当該有機発光層を形成する前に、有機発光層の下部に形成された層の異物などを除去するために、真空状態で下部層を所定時間露出する真空キュア工程を行う。このような真空キュア工程で、第2絶縁層126などで発生する異物をガスの形で外部に排出しなければならないが、光学補償層127が形成されている場合は、異物が排出されなくなり、不良が発生する。
【0077】
本発明においては、光学補償層127に複数の孔127aを形成することにより、真空キュア時に孔127aから異物が排出されるようにする。ここで、孔127aは、光学補償層127全体にわたって形成してもよく、R、G、B画素に対応する光学補償層127の領域にのみ形成してもよく、規則的に形成してもよく、不規則的に形成してもよい。
【0078】
光学補償層127上のR、G、B画素にはそれぞれ画素電極121R、121G、121Bが形成される。このとき、R、G、B画素にそれぞれ形成された駆動薄膜トランジスタのドレイン電極115R、115G、115Bの上部の第1絶縁層124及び第2絶縁層126にはコンタクトホール129が形成されており、光学補償層127及び画素電極121R、121G、121Bがコンタクトホール129(
図5D参照)に形成され、画素電極121R、121G、121Bは、それぞれ露出した駆動薄膜トランジスタのドレイン電極115R、115G、115Bと電気的に接続される。
【0079】
また、第2絶縁層126上の各画素境界領域にはバンク層128が形成される。光学補償層127及びバンク層128上には、白色光を発光する有機発光部123が形成され、有機発光部123上には、第1基板116全体にわたって共通電極125が形成される。
【0080】
共通電極125上に接着剤が塗布されて接着層142が形成され、接着層142上に第2基板150が配置され、接着層142により第2基板150が第1基板116に貼り付けられることにより、有機電界発光表示素子が完成する。
【0081】
以下、このような構造の本発明の第2の実施の形態による有機電界発光表示素子の製造方法を説明する。
【0082】
図5A〜
図5Fは、本発明の第2の実施の形態による有機電界発光表示素子の製造方法を示す図である。
【0083】
まず、
図5Aに示すように、第1基板116を準備し、その上に導電性に優れた不透明金属をスパッタリング法により積層し、フォトリソグラフィ法によりエッチングして、ゲート電極111R、111G、111Bを形成する。
【0084】
その後、ゲート電極111R、111G、111Bが形成された第1基板116全体にわたって無機絶縁物質を積層して、ゲート絶縁層122を形成し、第1基板116全体にわたって非晶質シリコン(a−Si)などの半導体物質、IGZOなどの透明酸化物半導体、又は有機物半導体をCVD法により積層した後にエッチングして、半導体層112R、112G、112Bを形成する。そして、図示していないが、半導体層112R、112G、112Bの一部に不純物をドーピングするか、又は不純物が添加された非晶質シリコンを積層して、オーミックコンタクト層を形成してもよい。
【0085】
その後、第1基板116上に導電性に優れた不透明金属をスパッタリング法により積層した後にエッチングして、半導体層112R、112G、112B上、厳密にはオーミックコンタクト層上にソース電極114R、114G、114B及びドレイン電極115R、115G、115Bを形成する。
【0086】
次に、
図5Bに示すように、ソース電極114R、114G、114B及びドレイン電極115R、115G、115Bが形成された第1基板116全体にわたって無機絶縁物質を積層して第1絶縁層124を形成し、第1絶縁層124上にそれぞれRカラーフィルタ層117R、Gカラーフィルタ層117G、Bカラーフィルタ層117Bを形成する。
【0087】
次に、
図5Cに示すように、Rカラーフィルタ層117R、Gカラーフィルタ層117G、Bカラーフィルタ層117Bが形成された第1基板116全体にわたって、第2絶縁層126を積層し、第1絶縁層124及び第2絶縁層126をエッチングして、薄膜トランジスタのドレイン電極115R、115G、115Bを露出するコンタクトホール129を形成する。なお、同図においては、第1絶縁層124と第2絶縁層126を同時にエッチングしてコンタクトホール129を形成しているが、第1絶縁層124を形成してから第1絶縁層124をエッチングしてコンタクトホールを形成し、その後、第2絶縁層126を形成してから第2絶縁層126をエッチングしてコンタクトホールを形成することにより、第1絶縁層124及び第2絶縁層126にコンタクトホール129を形成してもよい。
【0088】
その後、第2絶縁層126上にSiNxなどの物質を積層した後にエッチングして光学補償層127を形成し、光学補償層127に複数の孔127aを形成する。同図において、孔127aは、R、G、B画素に対応する光学補償層127の領域にのみ形成しているが、光学補償層127全体にわたって形成してもよい。
【0089】
光学補償層127はCVD法により形成される。例えば、真空チャンバ内にSiH
4とNH
3を混合したガスを供給してCVD法を行うことにより、SiNx層を形成してもよく、真空チャンバ内にSiH
4とN
2を混合したガスを供給してCVD法を行うことにより、SiNx層を形成してもよい。また、SiH
4とNH
3を混合したガス及びSiH
4とN
2を混合したガスを交互に供給してCVD法を行うことにより、SiNx層を形成してもよい。
【0090】
次に、
図5Dに示すように、光学補償層127上にITOやIZOなどの透明な導電物質を積層した後にエッチングして、画素電極121R、121G、121Bを形成する。
【0091】
次に、
図5Eに示すように、画素と画素との間にバンク層128を形成し、その後、バンク層128及び画素電極121R、121G、121Bが形成された第1基板116全体にわたって有機発光部123を形成する。有機発光部123は、電子注入層、電子輸送層、白色有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層からなり、前記白色有機発光層は、R有機発光物質、G有機発光物質、B有機発光物質が混合された層でもよく、R有機発光層、G有機発光層、B有機発光層が積層された構造でもよい。前記電子注入層、電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層は、現在使用されている様々な物質を積層して形成してもよい。
【0092】
図示していないが、バンク層128を形成してから有機発光部123を形成する前に、形成された層を所定時間真空にさらして真空キュアを行う。
【0093】
その後、有機発光部123上にCa、Ba、Mg、Al、Agなどの金属を積層して、共通電極125を形成する。
【0094】
次に、
図5Fに示すように、第2基板150全体にわたって接着層142を形成し、その後、第2基板150を第1基板116上に配置した状態で第1基板116及び第2基板150に圧力を加えることにより、第1基板116と第2基板150とを貼り合わせる。ここで、前記接着剤又は接着フィルムを第1基板116上に塗布又は貼付し、その上に第2基板150を配置して貼り合わせてもよい。
【0095】
前記のように第1基板116と第2基板150とを貼り合わせた後、接着層142を約80〜170度の温度に加熱して接着層142を硬化することにより、有機電界発光表示素子を完成する。
【0096】
前述した詳細な説明においては、有機電界発光表示素子として特定の構造の有機電界発光表示素子が提示されているが、本発明がこのような特定の構造の有機電界発光表示素子に限定されるものではない。
【0097】
例えば、前述した詳細な説明においては、有機発光部が電子注入層、電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層からなるが、有機発光部は、有機発光層のみからなるようにしてもよく、電子注入層及び有機発光層のみからなるようにしてもよく、有機発光層及び正孔注入層のみからなるようにしてもよく、他にも様々な構成が可能である。
【0098】
つまり、本発明の要旨といえる、水素含有量を最小限に抑えて光学補償層を形成することができ、光学補償層に複数の孔を形成することができるものであれば、既知の全ての構造の有機電界発光表示素子に適用できるであろう。