(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(A)としてα酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上を含有する。成分(A)は、主にホップに含まれるものであるが、ホップに由来するものでも、ホップ以外の配合成分に由来するものでも、新たに加えられたものであってもよい。ここで、本明細書において「α酸」とは、フムロン、アドフムロン、コフムロン、ポストフムロン及びプレフムロンの総称であり、また「イソα酸」とは、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロン、イソポストフムロン及びイソプレフムロンの総称であり、更に「β酸」とは、ルプロン、アドルプロン及びコルプロンの総称である。
【0010】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(A)の含有量は、泡立ち改善の観点から、0.2質量ppm上が好ましく、0.3質量ppm以上がより好ましく、0.4質量ppm以上が更に好ましく、0.5質量ppm以上がより更に好ましく、1質量ppm以上がより更に好ましく、また風味の観点から、400質量ppm以下が好ましく、200質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましく、50質量ppm以下がより更に好ましく、30質量ppm以下がより更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、本発明の起泡性容器詰飲料中に、好ましくは0.2〜400質量ppm、より好ましくは0.3〜200質量ppm、更に好ましくは0.4〜100質量ppm、より更に好ましくは0.5〜50質量ppmであり、より更に好ましくは1〜30質量ppmである。なお、成分(A)の含有量は、上記5種のα酸、上記5種のイソα酸及び上記3種のβ酸の合計量に基づいて定義され、成分(A)は上記13種のうち少なくとも1種を含有すればよい。成分(A)の含有量は、液体クロマトグラフィーで分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することができる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0011】
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(B)として炭水化物熱処理品を含有する。ここで、本明細書において「炭水化物熱処理品」とは、食用炭水化物を100℃未満の温度で加熱したものをいう。なお、本発明の「炭水化物熱処理品」には、食用炭水化物を100℃以上の温度で加熱焙焼処理したものや、所謂カラメルは包含されない。食用炭水化物としては、例えば、ぶどう糖、果糖、ショ糖、麦芽糖等の糖類等が挙げられる。中でも、泡立ち改善の点で、ぶどう糖が好ましい。すなわち、好適な炭水化物熱処理品は、構成糖がぶどう糖であり、かつ温度が100℃未満の炭水化物熱処理品である。このような炭水化物熱処理品としては、例えば、バーントシュガー等を挙げることができる。また、市販品として、例えば、バーントシュガー(池田糖化工業社製)等を用いることができる。
【0012】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(B)の含有量は、泡立ち改善の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.04質量%以上がより更に好ましく、0.07質量%以上が殊更に好ましく、0.13質量%以上が殊更に好ましく、0.2質量%以上が殊更に好ましく、また 風味やカロリーの観点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、0.8質量%以下がより更に好ましく、0.6質量%以下がより更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、本発明の起泡性容器詰飲料中に、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜4質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%、より更に好ましくは0.04〜2質量%であり、殊更に好ましくは0.07〜1質量%であり、殊更に好ましくは0.13〜0.8質量%であり、殊更に好ましくは0.2〜0.6質量%である。
【0013】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]は、泡立ち改善の観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、100以上が更に好ましく、200以上が更に好ましく、300以上が更に好ましく、400以上が更に好ましく、また風味やカロリーの観点から、15000以下が好ましく、10000以下が好ましく、5000以下が更に好ましく、1000以下が更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは5〜15000、より好ましくは10〜10000、更に好ましくは100〜5000であり、更に好ましくは200〜1000であり、更に好ましくは300〜1000であり、更に好ましくは400〜1000である。
【0014】
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(C)として炭酸ガスを含有する。圧入する炭酸ガスは、泡立ち改善の向上の観点から、本発明の起泡性容器詰飲料中に、ガス容量(GV)で1v/v以上が好ましく、1.5v/v以上がより好ましく、2v/v以上が更に好ましく、また風味や容器の耐圧強度の観点から、5v/v以下が好ましく、4v/v以下がより好ましく、3v/v以下が更に好ましい。本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(C)の含有量の範囲としては、ガス容量比で、好ましくは1〜5v/vであり、より好ましくは1.5〜4v/vであり、更に好ましくは2〜3v/vである。ここで、本明細書において「ガス容量(GV)」とは、1気圧、0℃における起泡性容器詰飲料中に溶解している炭酸ガスの容積と飲料の容積比を表す。成分(C)の分析は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
【0015】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(B)と成分(C)との比率[(C)/(B)](v/v/質量%)は、泡立ち改善の観点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、0.5以上が更に好ましく、1以上が更に好ましく、また起泡性飲料としての風味バランスの観点から、100以下が好ましく、80以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、20以下が更に好ましく、15以下が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜80、更に好ましくは0.1〜40であり、更に好ましくは0.5〜20であり、更に好ましくは1〜15である。
【0016】
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(D)として無機酸、カルボン酸及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上を含有することができる。無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸等が挙げられ、またカルボン酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、フィチン酸、酢酸等が挙げられる。無機酸又はカルボン酸の塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。中でも、成分(D)としては、グルコン酸、クエン酸、リン酸、コハク酸及びそれらの塩から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0017】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(D)の含有量は、泡立ち改善、起泡性飲料としての風味バランスの観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。かかる成分(D)の含有量の範囲としては、本発明の起泡性容器詰飲料中に、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。なお、成分(D)が塩の形態である場合、成分(D)の含有量はその遊離酸量に換算した値とする。なお、成分(D)の含有量は、通常知られている無機酸やカルボン酸の分析方法で分析することが可能であり、具体的には、後掲の実施例に記載の方法で分析することができる。
【0018】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(D)と成分(B)との質量比[(D)/(B)]は、泡立ち改善、起泡性飲料としての風味バランスの観点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、また泡立ち改善の観点から、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。かかる質量比[(D)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.01〜50、より好ましくは0.05〜30、更に好ましくは0.5〜10である。
【0019】
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(E)としてアスコルビン酸を含有することができる。アスコルビン酸はL体でもD体でもラセミ体であってもよいが、L体が好ましい。
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(E)の含有量は、起泡性飲料としての風味バランスの観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。かかる成分(E)の含有量の範囲としては、本発明の起泡性容器詰飲料中に、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%である。なお、成分(E)が塩の形態である場合、成分(E)の含有量はその遊離酸量に換算した値とする。なお、成分(E)の含有量は、通常知られているアスコルビン酸の分析方法で分析することが可能である。
【0020】
本発明の起泡性容器詰飲料中の成分(E)と成分(B)との質量比[(E)/(B)]は、風味バランスの観点から、0.0002以上が好ましく、0.002以上がより好ましく、0.02以上が更に好ましく、そして100以下が好ましく、10以下がより好ましく、1以下が更に好ましい。かかる質量比[(E)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.0002〜100、より好ましくは0.002〜10、更に好ましくは0.02〜1である。
【0021】
本発明の起泡性容器詰飲料のpH(20℃)は2〜7であるが、起泡性飲料としての風味バランスの観点から、2.3以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、2.7以上が更に好ましく、また泡立ち改善の観点から、6.5以下が好ましく、6以下がより好ましく、5.5以下が更に好ましく、5以下が殊更に好ましく、4.3以下が殊更に好ましい。pHの範囲としては、好ましくは2.3〜6.5、より好ましくは2.5〜6、更に好ましくは2.7〜5.5、より更に好ましくは2.7〜5であり、より更に好ましくは2.7〜4.3である。なお、pHは、起泡性容器詰飲料約100mLを300mLのビーカーに量り取り、スターラーピースを入れてスターラーで激しく20分間攪拌して、炭酸ガスを取り除いた後、温度調整をして測定するものとする。
【0022】
本発明の起泡性容器詰飲料は、更に甘味料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、エステル、乳化剤、保存料、品質安定剤、果汁、穀物エキス、野菜エキス、花蜜エキス、茶抽出物、多糖類、香料等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。茶抽出物としては、例えば、緑茶抽出物、烏龍茶抽出物、紅茶抽出物が挙げられる。香料としては、例えば、 酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ゲラニル、酢酸フェニルエチル、酢酸フルフリル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸シス−3−ヘキセニル、ヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、乳酸エチル、乳酸イソアミル、ピルビン酸エチル、サリチル酸メチル、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シス−3−ヘキセノール、1−オクタノール、フルフリルアルコール、リナロール、テルピネオール、ゲラニオール、β−フェニルエチルアルコール、ヘキサナール、ノナナール、トランス−2−ノネナール、ベンズアルデヒド、フルフラール、5−メチル−2−フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、アセトイン、ダマセノン、マルトール、2−アセチルフラン、2−アセチルピロール、ヒドロキシアセトン、シクロテン、4−ビニル−2−メトキシフェノール、4−エテニルフェノール、γーヘキサラクトン、γーノナラクトン、ミルセン、メチオノール、メチオナール、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、9−デカン酸、フェニル酢酸、及びバニリンなどが挙げられる。なお、上記の成分の他に、“日本における食品香料化合物の使用実態調査”(平成12年度 厚生科学研究報告書;日本香料工業会 平成13年3月発行)、"合成香料 化学と商品知識"(1996年3月6日発行 印藤元一著 化学工業日報社)、"Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)1,2"(STEFFEN ARCTANDER(1969))等に記載の成分を香料として使用することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0023】
本発明の起泡性容器詰飲料は、アルコール飲料でも、非アルコール飲料でもよい。非アルコール飲料としては、例えば、ビアテイスト飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、茶飲料、栄養ドリンク、美容ドリンク等を挙げることができる。中でも、本発明の効果を十分に享受しやすい点で、非アルコール飲料が好ましく、ノンアルコールビアテイスト飲料が更に好ましい。ここで、本明細書において「ビアテイスト飲料」とは、酵母等で発酵させて醸造された通常のビール飲料のような味わいを有する飲料をいい、製品名称、表示にかかわらず、香味上ビールを想起させる呈味を有するものであればビアテイスト飲料に包含される。
【0024】
ビアテイスト飲料には、発酵ビアテイスト飲料と非発酵ビアテイスト飲料がある。発酵ビアテイスト飲料とは、飲料製造工程中に発酵工程を経るものであり、一方、非発酵ビアテイスト飲料は、飲料製造工程中に発酵工程を経ないものや、料製造工程中に発酵工程を経るものの、エタノール発酵は抑制したものが含まれる。本発明においては、本発明の効果を十分に享受しやすい点から、非発酵ビアテイスト飲料が好ましい。
【0025】
本発明の起泡性容器詰飲料中の(F)エタノールの含有量は1質量%以上でも構わないが、本発明の効果を十分に享受する観点から、1質量%未満が好ましく、0.7質量%未満がより好ましく、0.5質量%未満が更に好ましく、0.3質量%未満がより更に好ましく、また0.00質量%であってもよい。なお、「エタノール含有量が0.00質量%」とは、後掲の実施例に記載の「エタノールの分析」において、エタノールの含有量が小数点二桁未満において検出限界以下である場合も包含する概念である。
【0026】
本発明の起泡性容器詰飲料は、例えば、成分(A)〜(C)、所望により他の成分を配合し、pHを2〜7に調整することにより製造することができる。
本発明の起泡性容器詰飲料は、成分(A)をホップエキスの形態で含有させることができる。ホップエキスは、例えば、ホップの球花やその圧縮物をそのまま又は粉砕した後、炭酸ガス、水、有機溶媒等の溶剤で抽出することによって調製することができる。抽出操作としては、例えば、ビール醸造等に用いられる一般的なホップエキスの調製法を適宜選択することが可能である。例えば、溶剤中にホップの球花、その粉砕物等を冷浸、温浸等によって浸漬する方法、加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法の他、パーコレーション法等も採用することができる。抽出操作によって得られた粗抽出物は、必要に応じて、ろ過、遠心分離等の固液分離に付すことができる。抽出操作後、必要により固液分離して得られた液を、そのままホップエキスとして用いてもよいが、そこに含まれる溶剤の少なくとも一部を除去した濃縮物、あるいは減圧乾燥、凍結乾燥等により乾燥させた乾燥物等を用いてもよい。また、市販のホップエキスを用いることもできる。
【0027】
本発明の起泡性容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
【0028】
本発明の起泡性容器詰飲料は、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、充填後殺菌法(パストリゼーション)等を挙げることができる。
また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶、瓶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌(例えば60〜140℃、1〜60分)できる場合にあってはレトルト殺菌や充填後殺菌法(パストリゼーション)を採用することができる。充填後殺菌法(パストリゼーション)の場合、例えば65℃で1〜60分間、好ましくは65℃で5〜30分間、更に好ましくは65℃で10〜20分間で加熱殺菌することができる。
また、PETボトルのようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件(例えば65〜140℃で0.1秒〜30分間、好ましくは70〜125℃で1秒〜25分間、更に好ましくは75〜120℃で10秒〜20分間)で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
【実施例】
【0029】
1.α酸、イソα酸及びβ酸の分析
BCOJビール分析法 6.2.2α酸、β酸−HPLC法−に準じて分析した。
【0030】
分析条件は以下の通りである。
分析用移動相;
・A液:メタノール/水/85質量%リン酸/10質量%水酸化テトラエチルアンモニウム=755mL/2255mL/17g/29.5g (pH3〜3.1)
・B液:メタノール
・C液:メタノール/水/10質量%水酸化テトラエチルアンモニウム/42.5質量%リン酸=465mL/135mL/17.7g/適量 (pH4.85)
・検出:
0−13分 254nm(イソα酸)
13.1−22分 326nm(α酸)
22.1−30分 346nm(β酸)
・試料量: 10.0μL
・流速 : 1.5mL/min
・カラム温度: 50℃
・移動相のタイムプログラム:
0−8min A液
8.01min C液
8.02−23minグラジェント 0−50容量%B液、100−50容量%C液
23.01−28min 50容量%B液、50容量%C液
28.01 A液
【0031】
2.カルボン酸の分析
試料10gに5%過塩酸5mLを加え、水で50mLに定容する。これを必要に応じて各種カルボン酸の検量線の範囲内に入るように水で希釈したものを試験溶液とする。試験溶液を高速液体クロマトグラフに注入し、電気伝導度を測定し、各種カルボン酸を検量線より算出する。
・分離カラム:Shim-pack SCR-102H(島津製作所製)
・移動相 :5mmol/L p−トルエンスルホン酸
・検出試薬 :5mmol/L p−トルエンスルホン酸、
100μmol/L EDTA、
20mmol/L Bis−Tris緩衝液
・注入量 :10μL
・流量 :0.8mL/分
・電気伝導度検出器:CDD−10AVP(島津製作所製)
・温度 :40℃
【0032】
3.炭酸ガスの分析
「最新・ソフトドリンクス(最新・ソフトドリンクス編集委員会、株式会社光琳、平成15年9月30日発行)」の第VI編 3−1−2ガス内圧力の検査に記載の方法を用いた。具体的には、以下のとおりである。
1)測定前に製品を恒温槽にて20℃まで温め、液温を均一にした。
2)ガスボリュームを測定機にかけ、スニフト(スニフトバルブを開放し、大気圧までゲージを戻す)を行う。スニフト操作を行うことによりヘッドスペース中のエアーを抜いた。
3)次に激しく振動させゲージ圧が一定値を示したら、その値を読み、製品の温度を測定し、表(スニフト用ガスボリュームチャート)よりガスボリュームを求めた。
【0033】
4.エタノールの分析
エタノールの分析は、次に示すガスクロマトグラフ法にしたがって行う。
分析機器は、GC-14B(島津製作所社製)を使用する。
分析機器の装置構成は次の通りである。
・検出器 :FID
・カラム :Gaskuropack55、80〜100mesh、φ3.2mm×3.1m
【0034】
分析条件は次の通りである。
・温度 :試料注入口及び検出機250℃、カラム130℃
・ガス圧力:ヘリウム(キャリアガス)140kPa、水素60kPa、空気50kPa
・注入量 :2μL
【0035】
以下の手順にて分析用試料を調製する。
検体5gを量りとり、これに水を加えて25mLに定容する。その溶液をディスクろ過し、試料溶液とする。調製した試料溶液をガスクロマトグラフ分析に供する。
【0036】
5.pHの測定
pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、検体約100mLを300mLのビーカーに量り取り、ビーカー内にスターラーピースを入れ、スターラーで20分間攪拌して炭酸ガスを取り除いた後、20℃に温度調整をして測定した。
【0037】
6.泡立ちの測定
泡立ち(mL)については、5℃に冷却した各起泡性容器詰飲料50mLを、100mL容メスシリンダー(IWAKI, PYREX(登録商標))の10cm上部から底部中心に目がけて注ぎ、その時に発生した泡の量(mL)を測定した。
【0038】
実施例1〜11及び比較例1
表1に示す各成分をイオン交換水に混合溶解した。次に、4℃に冷却したGV=3.3v/vの炭酸水で全量351gとし、350mL容アルミ缶に充填した後、パストリゼーションにて加熱殺菌した。殺菌条件は、65℃で20分間であった。得られた容器詰ノンアルコールビアテイスト飲料の分析結果、泡立ちの評価結果を表1に併せて示す。
【0039】
【表1】
【0040】
比較例2〜4
表2に示す各成分をイオン交換水に混合溶解した。次に、4℃に冷却したGV=3.3v/vの炭酸水で全量351gとし、350mL容アルミ缶に充填した後、パストリゼーションにて加熱殺菌した。殺菌条件は、65℃で20分間であった。得られた容器詰ノンアルコールビアテイスト飲料の分析結果、泡立ちの評価結果を、実施例4の結果とともに表2に併せて示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表1、2から、(A)α酸、イソα酸及びβ酸から選択される1種又は2種以上と、(B)炭水化物熱処理品と、(C)炭酸ガスを含有させ、pHを2〜7に制御することにより、泡立ちが大幅に改善されることが分かる。
【0043】
表3に示す各成分をイオン交換水に混合溶解する。次に、4℃に冷却した炭酸水で全量351gとし、350mL容アルミ缶に充填した後、パストリゼーションにて加熱殺菌し起泡性容器詰飲料(容器詰ノンアルコールビアテイスト飲料)を得る。殺菌条件は、65℃で20分間である。
【表3】