【文献】
Brak K. et al.,Journal of Medicinal Chemistry ,2010年,53(4),1763-1773,NIH Public Access, Author Manuscript
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
システインカセプシンは、正常細胞生理学ならびに多くのヒト疾患の病理学両方において、重要な役割を果たすプロテアーゼの一ファミリーである。したがって、多数の基質および活性に基づくプローブ(ABP)クラスが、これらの酵素の機能を研究するために開発されてきた。本明細書では、いくつかの実施形態において、フェノキシメチルケトン(PMK)求電子剤を含む、クエンチされた蛍光活性に基づくプローブのクラスが提供される。これらの試薬は、システインカセプシンに対して、増強された、広い反応性を示し、先に報告されたABPsと比べて、インビトロおよびインビボ標識化特性の劇的な改善が導かれる。プローブはさらに、本明細書で、前例のないシグナル強度およびコントラストにて、マウス中の腫瘍を強調するように実証される。これらの新規試薬は、ヒト疾患の様々なモデルにおいて、生物、組織、細胞およびタンパク質レベルにおけるシステインカセプシンの研究を可能にする。
【0037】
化合物
したがって、いくつかの様態において、本開示は、プロテアーゼ酵素、とりわけカセプシンを標識することにおける利用のための新規化合物を提供する。本開示の化合物は、式(I)
【化8】
(式中、
Lはエーテル結合脱離要素であり、
Tは標的化要素であり、
Dは検出可能要素である)
の化合物であり得る。
【0038】
本化合物の標的化要素Tは、ペプチド性または非ペプチド性構造であり得、好ましくは化合物を、システインプロテアーゼに標的化する。
【0039】
これらの目的のために、本化合物内に有用に組み込まれた非ペプチド性構造要素の非限定例は、その全てが本明細書に組み込まれている、国際公開第2012/118715号パンフレットに記述される。好ましい実施形態において、非ペプチド性標的化要素は、トリアゾール構造を有する。
【0040】
非ペプチド性標的化要素を有する、本発明の化合物の特定の例は、
【化9】
である。
【0041】
化合物をシステインプロテアーゼ、とりわけシステインカセプシンに標的化するための本化合物に有用に組み込まれ得るペプチド性構造要素の非限定例は、その全てが参照によって本明細書に組み込まれている、国際公開第2009/124265号パンフレットに記述されている。
【0042】
本化合物のいくつかの実施形態において、D−T−は、
【化10】
であり、式中、
L
1はリンカーであり、
AA
1はアミノ酸側鎖であり、
UはO、NまたはSであり、
R
1はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルまたは保護基であり、必要に応じて1〜3個のA基で置換され、
各Aが独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルクアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルクアミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カーボネート、カルバメート、グアニジニル、ウレア、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミドまたはアジドである。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂肪環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格に、30またはそれ未満の炭素原子を含み(例えば直鎖に対してC
1〜C
30、分岐差に対してC
3〜C
30)、よりとりわけ20またはそれ未満である。同様に、いくつかのシクロアルキルは、3〜10炭素原子をそれらの環構造中に含み、よりとりわけ、環構造中に、5、6または7個の炭素を有する。
【0044】
さらに、本明細書、実施例および請求項を通して使用する場合、用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「未置換アルキル」および「置換アルキル」両方を含むことが意図され、後者は、炭化水素骨格の1つまたはそれを超える炭素上の水素を置き換えている置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような構造としては、例えば、ハロ、ヒドロキシル、(ケト、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルのような)カルボニル、(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートのような)チオカルボニル、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、チオ、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキルまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。炭化水素鎖上で置換された部分が、適切な場合に、それら自身置換され得ることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基には、置換および末置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、(ホスホン酸塩およびホスフィン酸塩を含む)ホスホリル、(硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホン酸塩を含む)スルホニル、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、(ケトン、アルデヒド、カルボキシレートおよびエステルを含む)カルボニル、−CF
3、−CNなどを挙げることができる。例示置換アルキルを以下に記述する。シクロアルキルはさらに、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル−置換アルキル、−CF
3、−CNなどでさらに置換され得る。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシ」は、それに結合した酸素を有する、アルキル基、ある特定の実施形態において、低級アルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族基を意味し、「未置換アルケニル」と「置換アルケニル」両方を含むことを意図し、後者は、アルケニル基の1つまたはそれを超える炭素上の水素を置き換える置換基を有するアルケニル部分を意味する。そのような置換基は、1つまたはそれを超える二重結合中に含まれる、または含まれない1つまたはそれを超える炭素上で発生し得る。さらに、そのような置換基には、安定性が阻害される場合を除いて、上で議論したような、アルキル基に対して企図された全ての物が含まれる。例えば、1つまたはそれを超えるアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
【0047】
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアルコキシのような、化学部分と一緒に使用される場合、用語「C
x−y」は、鎖中にx〜y炭素を含む基を含むことが意味される。例えば、用語「C
x−y−アルキル」は、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなどのようなハロアルキル基を含む、x〜y炭素を鎖中に含む、直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキル基を含む、置換または未置換飽和炭化水素基を意味する。「C
0−アルキル」は、基が末端位置にある、または内部であれば結合である、水素を示す。用語「C
2−y−アルケニル」および「C
2−y−アルキニル」は、長さにして置換または未置換不飽和脂肪族基アナログ、および上述したアルキルへの可能性のある置換を意味するが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を有する。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルアミノ」は、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アルキルチオ」は、アルキル基で置換されたチオール基を意味し、一般式アルキル−S−によって表され得る。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含む脂肪族基を意味し、「未置換アルキニル」と「置換アルキニル」両方を含むことを意図し、後者は、アルキニル基の1つまたはそれを超える炭素上の水素を置き換える置換基を有する、アルキニル部分を意味する。そのような置換基は、1つまたはそれを超える三重結合に含まれる、または含まれない、1つまたはそれを超える炭素上で発生され得る。さらに、そのような置換基は、安定性が阻害される場合を除いて、以上で議論したような、アルキル基に対して企図されるもの全てを含む。例えば、1つまたはそれを超えるアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「アミド」は、基
【化11】
を意味し、式中R
xおよびR
yはそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、またはR
xとR
yは、それらが結合しているN原子と一緒に、環構造中、4〜8原子を有するヘテロ環を完結する。
【0052】
用語「アミン」および「アミノ」は、本技術分野で認識されており、未置換および置換アミンおよびその塩、例えば
【化12】
によって表すことができる部分が意味され、式中R
x、R
yおよびR
zはそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、またはR
xとR
yは、それらが結合しているN原子と一緒に、環構造中4〜8原子を有するヘテロ環を完結する。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル基を意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、環の各原子が炭素である、置換または未置換単一環芳香族基を含む。特定の実施形態において、環は、5〜7員環であり、より具体的な実施形態では6員環である。用語「アリール」はまた、2つまたはそれを超える炭素が、2つの連結している環に共通である、2つまたはそれを超える環式環を有する多環式環系を含み、そこで少なくとも1つの環が芳香族であり、例えば他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。アリール基には、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが含まれる。
【0056】
用語「カルバメート」は、本技術分野で認識されており、基
【化13】
を意味し、式中R
xとR
yは独立して、水素またはヒドロカルビル基を表し、またはR
xおよびR
yは、それらが結合している原子と一緒に、環構造中に4〜8原子を有するヘテロ環を完結する。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、環の各原子が炭素である、非芳香族飽和または不飽和環を意味する。特定の実施形態において、シクロアルキル環は、3〜10原子、より特定の実施形態において、5〜7原子を含む。
【0058】
用語「カーボネート」は、本技術分野で認識されており、基−OCO
2−R
xを意味し、式中R
xは、ヒドロカルビル基を表す。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「カルボキシ」は、式−CO
2Hによって表される基を意味する。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「エステル」は、基−C(O)OR
xを意味し、式中R
xは、ヒドロカルビル基を表す。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「エーテル」は、酸素を通して、もう一つのヒドロカルビル基に結合したヒドロカルビル基を意味する。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−であり得る。エーテルは、対称であるか、または非対称いずれかであり得る。エーテルの例としては、ヘテロ環−O−ヘテロ環およびアリール−O−ヘテロ環が挙げられるが、これらに限定されない。エーテルには、「アルコキシアルキル基」が含まれ、これらは、一般式アルキル−O−アルキルによって表され得る。
【0062】
用語「グアニジニル」は、本技術分野で認識されており、一般式
【化14】
によって表され得、式中R
xおよびR
yは独立して水素またはヒドロカルビルを表す。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「ハロ」および「ハロゲン」は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0064】
本明細書で使用する場合、用語「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」は、ヘタリール基によって置換されたアルキル基を意味する。
【0065】
用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」は、その環構造が、少なくとも1つのヘテロ原子、いくつかの実施形態において、1〜4個のヘテロ原子、より特定の実施形態において、1〜2個のヘテロ原子を含む、置換または未置換芳香族単一環構造、ある特定の実施形態において、5〜7員環、よりとりわけ5〜6員環を含む。用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」はまた、2つまたはそれを超える炭素が、2つの隣接する環に対して共通である、2つまたはそれを超える環式環を有する多環式環系を含み、少なくとも1つの環がヘテロ芳香族であり、例えば他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが挙げられる。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。典型的なヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄である。
【0067】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」および「ヘテロ環式」は、その環構造が、少なくとも1つのヘテロ原子、いくつかの実施形態において、1〜4ヘテロ原子、より特定の実施形態において、1または2ヘテロ原子を含む、置換または未置換非芳香族環構造、ある特定の実施形態において、3〜10員環、よりとりわけ3〜7員環を意味する。用語「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環式」はまた、2つまたはそれを超える炭素が、2つの隣接する環に対して共通である、2つまたはそれを超える環式環を有する多環式環系も含み、そこで少なくとも1つの環はヘテロ環式であり、例えば他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0068】
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロ環基で置換されたアルキル基を意味する。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロカルビル」は、=Oまたは=S置換基を有さず、典型的には、少なくとも1つの炭素−水素結合と、主に炭素骨格を有するが、必要に応じてヘテロ原子を含み得る、炭素原子を通して結合する基を意味する。したがって、メチル、エトキシエチル、2−ピリジルおよびトリフルオロメチルのような基が、本明細書の目的のためのヒドロカルビルであると考えられるが、(結合炭素上で=O置換基を有する)アセチルおよび(炭素でなく、酸素を通して結合する)エトキシのような置換基ではない。ヒドロカルビル基としては、アリール、ヘテロアリール、カルボ環、ヘテロ環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を意味する。
【0071】
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシのような、化学部分と一緒に使用する場合に、用語「低級」は、10またはそれ未満、特定の実施形態では、6またはそれ未満の非水素原子が置換基内に存在する基を含むことが意味される。例えば、「低級アルキル」は、10またはそれ未満、特定の実施形態において6またはそれ未満の炭素原子を含むアルキル基を意味する。特定の実施形態において、本明細書で定義したアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ置換基は、記述において、ヒドロキシアルキルおよびアラルキル(この場合、例えばアリール基内の原子は、アルキル置換基中の炭素原子を数える時に、計算に入れない)のような、単独または他の置換基との組合せで現れるであろうとなかろうと、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニルおよび低級アルコキシである。
【0072】
用語「ポリシクリル」、「多環」および「多環式」は、2つまたはそれを超える原子が、2つの隣接している環に対して共通である、2つまたはそれを超える環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)を意味し、例えば環は「融合環」である。多環の環のそれぞれは、置換または未置換であり得る。特定の実施形態において、多環の各環は、環中に3〜10原子、よりとりわけ5〜7含む。
【0073】
用語「置換された」は、骨格の1つまたはそれを超える炭素上の水素を置き換える置換基を有する部分を意味する。「置換」または「で置換された」には、そのような置換が、置換された原子と置換基の許容された価数にしたがってであること、および置換が、例えば化合物が使用されるべきである条件下、化合物が、例えば再構成、環化、削除などによってのような変形を自発的にうけることはない、安定化合物をもたらすこと、という暗黙の条件が含まれることを理解されたい。本明細書で使用する場合、用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容され得る置換基を含むことが熟考される。広い様態において、許容され得る置換基には、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環およびヘテロ環、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。許容され得る置換基は、適切な有機化合物に対して、1つまたはそれを超える、および同一または異なり得る。本発明の目的のために、窒素のようなヘテロ原子が、ヘテロ原子の価数を満足させる、本明細書で記述した有機化合物の水素置換基および/または任意の許容され得る置換基を有し得る。置換基としては、本明細書で記述した任意の置換基、例えばハロゲン、ヒドロキシル、(ケト、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルのような)カルボニル、(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートのような)チオカルボニル、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルホヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。炭化水素鎖上で置換された部分が、適切な場合、それ自身置換され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0074】
「未置換」と特に記述しない場合、本明細書の化学部分に対する参照は、置換されたバリアントを含むと理解される。例えば、「アリール」基または部分に対する参照は、置換および未置換バリアント両方を暗黙に含む。
【0075】
用語「硫酸塩」は、本技術分野で認識されており、基−OSO
3H、またはその薬学的に許容され得る塩を意味する。
【0076】
用語「スルホンアミド」は、本技術分野で認識されており、一般式
【化15】
によって表される基を意味し、式中R
xおよびR
yは独立して、水素またはヒドロカルビルを表す。
【0077】
用語「スルホキシド」は、本技術分野で認識されており、基−S(O)−R
xを意味し、式中R
xはヒドロカルビルを表す。
【0078】
用語「スルホ」または「スルホネート」は、本技術分野で認識されており、基−SO
3Hまたはその薬学的に許容され得る塩を意味する。
【0079】
用語「スルホン」は、本技術分野で認識されており、基−S(O)
2−R
xを意味し、式中R
xはヒドロカルビルを表す。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「チオアルキル」は、チオール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「チオエステル」は、基−C(O)SR
xまたは−SC(O)R
xを意味し、式中R
xはヒドロカルビルを表す。
【0082】
本明細書で使用する場合、用語「チオエーテル」は、エーテルと等価であり、酸素が硫黄に置き換えられる。
【0083】
用語「ウレア」は、本本技術分野で認識されており、一般式
【化16】
によって表され得、式中R
xおよびR
yは独立して、水素またはヒドロカルビルを表す。
【0084】
本発明の化合物は一般に、標準の合成化学技術を用いて、例えば、以下の実施例の項目にて記述した方法を用いて、合成する。他の有用な合成技術は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms,and Structure,7th Ed.,(Wiley,2013);Carey and Sundberg,Advanced Organic Chemistry 4
th Ed.,Vols.A and B(Plenum 2000,2001);Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−27(Wiley,2013);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989);Organic Reactions,Volumes 1−81(Wiley,2013);およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)(その全てが、参照によって組み込まれている)にて記述される。化合物は通常、商業的供給源より一般に入手可能であるか、当業者に周知の方法を用いて調製される開始材料を用いて容易に合成される。例えば、補遺を含む、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−27(Wiley,2013)、またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.ed.Springer−Verlag,Berlinを参照のこと。
【0085】
本発明の化合物の成分を参照する時に、用語「から由来する残基」は、共有結合を形成するために、第一成分上の第一の反応性官能基と、第二成分上の第二の反応性官能基の反応によって形成される残基を記述するために使用され得る。例示実施形態において、第一成分上のアミン基が、第二成分上の活性化カルボキシル基と反応して、1つまたはそれを超えるアミド部分を含む残基を形成し得る。第一および第二反応性官能基の他の配列が、本発明によって含まれる。例えば、アジド置換第一成分の、アルキン置換第二成分との銅触媒化、または銅を含まない反応が、当業者に理解されるように、周知の「クリック」反応を通して、チアゾール含有残基をもたらす。Kolbら、(2001)Angew. Chem.Int.Ed.Engl.40:2004;Evans(2007)Aus.J.Chem.60:384を参照のこと。「クリック」反応を用いた非ペプチド性蛍光イメージングプローブを産出する例示方法は、国際公開第2012/118715号パンフレットにて提供される。本請求項の化合物を産出、または改変するためのこれらの方法の適合が、当業者の範囲内である。
【0086】
当業者は、保護基が、分子の所望の位置に可逆的に結合し、その位置で他の薬剤の反応を制御することを理解するであろう。本発明の実施において有用な保護基は、本技術分野で周知である。例えば、P.G.M.Wuts and T.W.GreeneによるGreene’s Protective Groups in Organic Synthesis,4
th edition,(Wiley−Interscience,2006);および、P. KocienskiによるProtecting Groups(Thieme,2005)を参照のこと。
【0087】
本化合物のL
1基は、検出可能な要素Dを、標的化要素に連結する、リンカー基である。この基は、当業者によって理解されるように、任意の好適なリンカーであり得る。L
1基は好ましくはアルキルリンカー基であり、そこでアルキルリンカーは必要に応じて置換され、さらにリンカー内の炭素は必要に応じて、得られる構造が化学的に安定である程度まで、ヘテロ原子によって置換される。そのような置換基および交換が、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、エステル、アミド、カーボネート、カルバメートなどのようなリンカー内の介在基を含むと理解されるべきである。好ましいリンカーは、長さにして、5〜40結合の範囲であり、分岐鎖、直鎖であり得るか、または環を含み得る。リンカーは場合によって、二重結合を含み得る。これらは、特定の要件にしたがって所望されるように、疎水性または親水性であり得る。
【0088】
L
1基と検出可能要素D間の連結が、当業者によって理解されるように、任意の好適な化学連結であり得ることがさらに理解されるべきである。例えば、本化合物は、場合によって、検出可能要素前駆体中、例えば、アミノ基、チオール基などのような、特定の化学基と反応性である部分を含むことによって便利に調製され得る。検出可能要素を、そのような状態において、標的化要素上のこの基の反応を通して標的化要素に簡単に接続可能である。これらの型の結合はしたがって、接続の構造詳細が明確に示されない場合でさえも、開示された化合物の範囲内であると理解される。
【0089】
本化合物のAA
1基は、当業者によって理解されるように、任意の天然または非天然アミノ酸側鎖であり得る。好ましい実施形態において、AA
1基は、1〜3個のA基で必要に応じて置換されるアラルキルアミノ酸側鎖である。さらに好ましい実施形態において、AA1基は、フェニルアラニン側鎖である。
【0090】
好ましい化合物において、U基はOである。
【0091】
本化合物の検出可能な要素は、特定の実施形態において、蛍光標識、放射標識、キレータなどである。これらの化合物中での利用のために好適な放射標識およびキレータの例は、国際公開第2009/124265号パンフレットに記述される。
【0092】
本化合物の好ましい実施形態において、検出可能要素は蛍光標識である。当業者によって公知のように、蛍光標識は、入射電磁放射の吸収によって刺激される時に、電磁放射、好ましくは可視光を放射する。標識を、例えばアミノ基、チオール基などのような反応性基に結合するために有用な反応性部分を有する標識を含む、広く種々の蛍光標識が市販されている。例えば、The Molecular Probes(登録商標) Handbook−A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesを参照のこと。
【0093】
蛍光標識の例は、広く免疫蛍光標識化にて使用される、フルオレセインである。フルオレセインは、495ナノメートルにて吸収極大を有するキサンテン色素である。関連フルオロフォアが、フルオレセインのフッ素化誘導体である、オレゴングリーンである。
【0094】
本発明の化合物の検出可能な要素中で使用される蛍光標識は、いくつかの実施形態において、pH依存フルオロフォアであり得る。例えば、「LES12」および「LES13」と標識される化合物中で使用されるような、以下で示すそのような蛍光標識が、当業者によって理解されるように、標識の環境のpHに依存する蛍光スペクトルを提示し、したがって、反応後の標識の環境に関する情報、例えば反応性化合物によって標識されたプロテアーゼの型または位置についての情報を報告することにおいて有用である。本化合物の検出可能な要素中に有益に含まれる種々の標識のpH依存蛍光が周知であり得る。例えば、その全てが参照によって本明細書に組み込まれている、The Molecular Probes(登録商標) Handbook−A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesを参照のこと。
【0095】
本化合物中での使用に好適な他の例示蛍光標識は、ボラ−ジアザ−インデセン、ローダミンおよびシアニン色素である。とりわけ、ボラ−ジアザ−インデセン色素は、BODIPY(登録商標)色素として知られる、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インデセンによって表される。これらの色素の種々の誘導体が公知であり、本開示の化合物中の検出可能な要素としての使用に好適であると考えられる。例えば、Chenら、(2000)J.Org.Chem.65:2900−2906を参照のこと。
【0096】
本発明の化合物中で有益に使用される他のクラスの蛍光標識は、Li−Cor(www.licor.com)より入手可能なIRDye赤外線色素である。これらの色素の非限定例は、IRDye 800CW、IRDye 680RD、IRDye 680LT、IRDye 750、IRDye 700DX、IRDye 800RS、およびIRDye 650である。
【0097】
ローダミン色素は、ローダミン環構造に基づく色素の一クラスである。ローダミンとしてはとりわけ、テトラメチルローダミン(TMR)、タンパク質共役体、とりわけ抗体およびアビジン共役体を調製するため非常に一般的なフルオロフォア、およびカルボキシテトラメチル−ローダミン(TAMRA)、オリゴヌクレオチド標識および自動化核酸シークエンシングのために一般に使用される色素、が挙げられる。ローダミンは、フルオレセインに基づくフルオロフォアに対する天然の補足として確立され、より長い波長放射最大を提案し、次いで多重色標識化または染色化のための機会を開く。
【0098】
Alexa Fluor色素として公知のフルオロフォアのスルホン化ローダミンシリーズがまた、ローダミン色素群の範囲内に含まれる。最新のフルオロフォア技術における劇的な進歩が、Alexa Fluor色素によって例示され、Molecular Probesによって導入された。これらのスルホン化ローダミン誘導体は、スペクトル的に同様のプローブよりも、より強い蛍光放射に対して、より高い量子収率を示し、光安定性増強、共通のレーザー線に対して適合した吸収スペクトル、pH不感受性および高程度の水溶性を含む、種々の追加の改善された特性を有する。
【0099】
シアニン色素は、様々な炭素数のポリアルケンブリッジを介して連結している2つの芳香族ユニットを有する、部分的に飽和したインドール窒素ヘテロ環核に基づく、関連色素のファミリー、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7およびそれらの誘導体に相当する。これらのプローブは、フルオレセインおよびテトラメチルローダミンのような、伝統的な色素の多くと同様であるが、水溶性の増強、光安定性およびより高い量子収率を有する、蛍光励起および放射プロファイルを示す。ほとんどのシアニン色素は、それらの伝統的なカウンターパートよりも、より環境的に安定であり、それらの蛍光放射強度に、pHおよび有機マウンティング媒体(organic mounting media)に対するより少ない感度を与える。Alexa Fluorsと同様の様式において、合成色素のCyシリーズの励起波長が、とりわけ一般的なレーザーおよびアーク放電供給源との利用に対して調整され、蛍光放射が、伝統的なフィルタ組合せで検出可能である。シアニン色素は、反応性色素またはフルオロフォアとして簡単に入手可能である。シアニン色素は一般に、Alexa Fluorファミリーのメンバーよりも、より広い吸収スペクトルを有し、それらを、共焦点顕微鏡に対するレーザー励起供給源の選択において、いくらかより万能とする。
【0100】
好ましい実施形態において、本化合物の検出可能な要素は、シアニン色素、Cy5である。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物の検出可能な要素内に、多重蛍光標識、放射標識、キレータなどをを含めることが有益であり得る。例えば、以下、「LES12」および「LES13」と標識する例示化合物が、単一の検出可能要素内に、2つの異なる蛍光標識を含む。そのような多重標識化は、当業者によって理解されるように、ルーチンの結合化学反応を用いて達成可能である。例えば、「LES12」および「LES13」化合物内の蛍光標識を、「クリック」化学反応を用いて連結した。「クリック」化学反応による、検出可能な要素内に多重標識を含む化合物の合成において有用な中間化合物の例を以下に示す(「WL938」)。本化合物は、アジド基を含み、したがって、「クリック」反応にて、好適なアルキン含有試薬と簡単に反応可能である。アルキンおよびアジド基の位置はまた、所望であれば、当業者によって理解されるように、逆でもよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(I)の化合物であり、式中Tはペプチド性標的化要素であり、本化合物はさらに、以下の番号付けされたセンテンスにて記述される。
1.式中D−T−は短い検出可能ペプチド性基であり、Lはエーテル結合脱離要素である、式(I)の化合物。
2.検出可能ペプチド性基が、1〜4アミノ酸残基を含む、センテンス1の化合物。
3.D−Tが
【化17】
であり、式中、各AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4は独立して、アミノ酸側鎖であるか、−L
1−Dであり、
各R
Aは独立して、水素またはR
1であり、
R
Bは水素、R
1、−C(O)R
1、−C(O)OR
1、−C(O)SR
1または−C(O)N(R
1)(R
A)であり、
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、保護基、または−L
1−D−であり、必要に応じて1〜3個のA基で置換され、
各Aが独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルクアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルクアミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カーボネート、カルバメート、グアニジニル、ウレア、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミドまたはアジドであり、
L
1はリンカーである、センテンス2の化合物。
4.各R
Aが水素であり、R
Bが−C(O)OR
1である、センテンス3の化合物。
5.D−Tが、
【化18】
であり、
各AA
1およびAA
2が独立して、アミノ酸側鎖または−L
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
6.D−Tが、
【化19】
であり、
各AA
1、AA
2およびAA
3は独立して、アミノ酸側鎖またはL
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
7.D−Tが、
【化20】
であり、
各AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4は独立して、アミノ酸側鎖または−L
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
8.L
1は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子が必要に応じてヘテロ原子で置き換えられる、センテンス3の化合物。
9.R
Bが−C(O)OR
1である、センテンス3の化合物。
10.Dが蛍光標識、放射標識またはキレータである、センテンス3の化合物。
11.Dが蛍光標識である、センテンス10の化合物。
12.蛍光標識が、フルオレセイン、オレゴングリーン、ボラ−ジアザ−インデセン、ローダミンまたはシアニン標識である、センテンス11の化合物。
13.蛍光色素がシアニン標識である、センテンス12の化合物。
14.シアニン標識がCy5である、センテンス13の化合物。
【0103】
本化合物のこれらの実施形態において、AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4基は独立して、当業者によって理解されるように、任意の天然または非天然アミノ酸側鎖、または基「−L
1−D」であり得る。好ましい実施形態において、基は、必要に応じて1〜3個のA基で置換されるアラルキルアミノ側鎖である。さらに好ましい実施形態において、基はフェニルアラニンからの側鎖である。他の好ましい実施形態において、基は、任意の組合せで、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基からの側鎖、またはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリンまたは他のそのようなアミノ酸残基のようなアルキルアミノ酸残基からの側鎖のような酸性アミノ酸残基からの側鎖である。リシン、アルギニン、チロシン、グルタミン、アスパラギンなどのような他のアミノ酸残基からの側鎖もまた、本化合物中で好ましい。
【0104】
AA
1、AA
2、AA
3またはAA
4基が、「−L
1−D」基である化合物実施形態において、L
1リンカー成分は、アミノ酸側鎖によって提供され得る。例えば、リシン残基は便利に、好適に活性化された検出可能要素との反応のために、アミノ−アルキル基を提供する。
【0105】
「短い」検出可能ペプチド性基は、10までのアミノ酸残基を有する検出可能ペプチド性基として、本明細書で定義される。
【0106】
本化合物のエーテル結合脱離要素Lは、それらの標的酵素活性部位との化合物の反応性に影響を与え、特定の酵素に対して標的化する特異性に影響をおよぼし得る。これらの化合物内の脱離要素のエーテル結合は、アシルオキシメチルケトン(AOMKs)のような、他の活性に基づくプローブのエステル結合と対照的である。例えば、フェノールエーテル−結合脱離要素のようなエーテル結合脱離要素が、エステル結合または他の型のプローブに対して、インビボで改善された安定性を提供し得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、本化合物のエーテル結合脱離要素にはクエンチャーが含まれる。用語「クエンチャー」は、フルオロフォアの放射を調節する、化学エンティティを意味する。場合によって、クエンチャーはそれ自身、その蛍光がクエンチされている標識とは異なる、特徴的な波長にて、蛍光を放射する蛍光分子であり得る。したがって、フルオロフォアは、適切に他の色素に結合した時に、クエンチャーとして働くことができ、その逆もあり得る。これらの状況において、ドナー標識のものとは異なる波長のものである、アクセプタ分子からの蛍光の増加は、例えば、標的酵素の活性部位のような、その環境との、標識化された化合物の相互作用を別に報告することができる。場合によって、クエンチャーは、それ自身、蛍光を発しない(すなわち、クエンチャーは「暗アクセプタ」である)。そのようなクエンチャーには、例えばダブシル、メチルレッドおよびQSYジアリールローダミン色素などが含まれる。特に、ダブシル(4−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸)が、DNA検出のための「分子ビーコン」のような多くのアッセイにて広く使用される共通の暗クエンチャーである。米国特許第5,989,823号明細書。「ブラックホールクエンチャー(Black Hole Quenchers)」と呼ばれる、BHQシリーズのジアゾ色素が、多くのフルオロフォアの放射とよく重なる、広い範囲の吸収を提供する。国際公開第01/86001号パンフレット。Molecular ProbesのQSYシリーズ色素が、多くのバイオアッセイにてクエンチ試薬として広範囲にわたって使用されてきた暗クエンチャー色素の他の例である。米国特許第6,399,392号明細書。
【0108】
とりわけQSY7は、非蛍光ジアリールローダミン誘導体である。米国特許出願公開第2005/0014160号明細書。QSY21は、可視スペクトルにおいて強力な吸収を有する、非蛍光ジアリールローダミンクロモフォアであり、効果的な蛍光クエンチャーである。フルオロフォア/クエンチャー対はさらに、米国特許出願公開第2004/0241679号に例示されている。
【0109】
IRDye QC−1(Li−Corより入手可能)は、本化合物中のクエンチャーとしての利用のために好適である、非蛍光色素の他の例である。これは、可視領域から近赤外線までの波長範囲を含む、広い範囲のフルオロフォアからの蛍光を効果的にクエンチする。
【0110】
本化合物のいくつかの実施形態において、脱離基要素Lは、L
2−L
3−Qであり、式中L
2はフェノキシ基であり、L
3はリンカーであり、Qはクエンチャーである。脱離基要素は例えば、
【化21】
であり得、式中各Yは独立して、電子求引性基または水素である。そのような化合物において、各Yは独立してハロゲンまたは水素であり得る。特定の化合物において、L基は、例えば、
【化22】
である。
【0111】
上記脱離要素のL
3リンカー基は、当業者によって理解されるように、任意の好適なリンカーであり得る。特に、L
3リンカー基は、例えば上記のような、L
1基であり得る。
【0112】
他の特定の化合物において、L基は例えば、
【化23】
であり、式中RはQSYクエンチャーであり、nは1〜8の整数である。特定の実施形態において、QSYクエンチャーは、例えば、スルホ−QSYクエンチャーのような、親水性クエンチャーである。
【0113】
いくつかの特定の実施形態において、本開示の化合物は、式(II)の構造を有する。
【化24】
【0114】
いくつかのさらに特定の実施形態において、本開示の化合物は、式(III)の構造を有する。
【化25】
【0115】
これらの実施形態において、mおよびnは独立して1〜16の整数である。
【0116】
いくつかの実施形態において、RはQSY21またはスルホ−QSY21であり、DはCy5である。
【0117】
本発明の特定の非限定化合物実施形態は、
【化26】
を含み、
式中R=QSY21およびn=6、
R=スルホ−QSY21およびn=6、
R=QSY21およびn=2ならびに
R=スルホ−QSY21およびn=2。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(IV)の構造を有する化合物であって、
【化27】
式中Tはペプチド性標的化要素であり、本化合物はさらに、以下の番号付けされたセンテンスにて記述される。
1.式中D−T−は短い検出可能ペプチド性基であり、
L
3はリンカーであり、
Qはクエンチャーである、式(IV)の化合物。
2.検出可能ペプチド性基が、1〜4アミノ酸残基を含む、センテンス1の化合物。
3.D−Tが
【化28】
であり、式中、各AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4は独立して、アミノ酸側鎖であるか、−L
1−Dであり、
各R
Aは独立して、水素またはR
1であり、
R
Bは水素、R
1、−C(O)R
1、−C(O)OR
1、−(C(O)SR
1または−C(O)N(R
1)(R
A)であり、
R
1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、保護基、または−L1−D−であり、必要に応じて1〜3個のA基で置換され、
各Aが独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アラルキル、アラルコキシ、アラルカノイル、アラルクアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ、ヘテロアラルカノイル、ヘテロアラルクアミノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルカノイル、シクロアルカミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルカミノ、ヒドロキシル、チオ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、アルキルカルボキシ、カーボネート、カルバメート、グアニジニル、ウレア、ハロ、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、ホスホリル、スルホニル、スルホンアミドまたはアジドであり、L
1はリンカーである、センテンス2の化合物。
4.各R
Aが水素であり、R
Bが−C(O)OR
1である、センテンス3の化合物。
5.D−T−が、
【化29】
であり、
各AA
1およびAA
2が独立して、アミノ酸側鎖または−L
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
6.D−T−が、
【化30】
各AA
1、AA
2およびAA
3は独立して、アミノ酸側鎖またはL
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
7.D−Tが、
【化31】
各AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4は独立して、アミノ酸側鎖または−L
1−Dであり、
各R
Aは水素である、センテンス3の化合物。
8.L
1は必要に応じて置換されたアルキルリンカーであり、各炭素原子が必要に応じてヘテロ原子で置換される、センテンス3の化合物。
9.R
Bが−C(O)OR
1である、センテンス3の化合物。
10.Dが蛍光標識、放射標識またはキレータである、センテンス3の化合物。
11.Dが蛍光標識である、センテンス10の化合物。
12.蛍光標識が、フルオレセイン、オレゴングリーン、ボラ−ジアザ−インデセン、ローダミンまたはシアニン標識である、センテンス11の化合物。
13.蛍光色素がシアニン標識である、センテンス12の化合物。
14.シアニン標識がCy5である、センテンス13の化合物。
【0119】
本化合物のこれらの実施形態において、AA
1、AA
2、AA
3およびAA
4基は独立して、当業者によって理解されるように、任意の天然または非天然アミノ酸側鎖、または基「−L
1−D」であり得る。好ましい実施形態において、基は、必要に応じて1〜3個のA基で置換されるアラルキルアミノ側鎖である。さらに好ましい実施形態において、基はフェニルアラニンからの側鎖である。他の好ましい実施形態において、基は、任意の組合せで、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基からの側鎖、またはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリンまたは他のそのようなアミノ酸残基のようなアルキルアミノ酸残基からの側鎖のような、酸性アミノ酸残基からの側鎖である。リシン、アルギニン、チロシン、グルタミン、アスパラギンなどのような他のアミノ酸残基からの側鎖もまた、本化合物中で好ましい。
【0120】
AA
1、AA
2、AA
3またはAA
4基が、「−L
1−D」基である化合物実施形態において、L
1リンカー成分は、アミノ酸側鎖によって提供され得る。例えば、リシン残基は便利に、好適に活性化された検出可能要素との反応のために、アミノ−アルキル基を提供する。
【0121】
「短い」検出可能ペプチド性基は、10までのアミノ酸残基を有する検出可能ペプチド性基として、本明細書で定義される。
【0122】
本発明の他の特定の非限定化合物実施形態には、
【化32】
【化33】
が含まれる
【0123】
薬学的組成物
他の様態において、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容され得る担体を含む薬学的組成物を提供する。そのような組成物は、例えば、動物における組織のイメージングにて有用であり、さらに、動物内の酵素、例えばプロテアーゼ酵素の活性を査定することにおいて有用である。とりわけ、カセプシンを標識する本発明の化合物に対して、薬学的組成物は、がん細胞の非侵襲性光学イメージングに対するツールとして有用に働き得る。
【0124】
薬学的に許容され得る担体は、本技術分野で周知であり、例えば、水または生理学的緩衝生理食塩水のような水溶液、またはグリコール、グリセロールのような他の溶媒もしくは賦形剤、オリーブ油または注射可能有機エステルのような油が含まれる。特定の実施形態において、そのような薬学的組成物がヒト投与である場合に、水溶液は発熱物質を含まず、または実質的に発熱物質を含まない。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出に影響を与えるため、または1つまたはそれを超える細胞、組織または器官を選択的に標的化するために選択され得る。薬学的組成物は、錠剤、カプセル、スプリンクルカプセル、顆粒、粉末、シロップ、坐薬、注射などのような、単位剤形であり得る。組成物はまた、経皮伝達系、例えば皮膚パッチ内に存在し得る。
【0125】
薬学的に許容され得る担体は、例えば、本発明の化合物の吸収を安定化させる、または増加させるために働く、生理学的に許容され得る薬剤を含み得る。そのような生理学的に許容され得る薬剤には、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤または賦形剤が含まれる。生理学的に許容され得る薬剤を含む、薬学的に許容され得る担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。薬学的組成物はまた、その中に例えば本発明の化合物を組み込むことができる、リポソームまたは他のポリマーマトリックスを含み得る。例えば、リン脂質または他の脂質からなるリポソームは、作製および投与が比較的単純である、非毒性で、生理学的に許容され得、代謝可能である担体である。
【0126】
語句「薬学的に許容され得る」は、堅実な医学判断の範囲内で、過剰な毒性、炎症、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触しての利用に好適であり、合理的な利益/リスク比でふさわしいものである、化合物、材料、組成物および/または投与形態を意味するために本明細書で使用する。
【0127】
本明細書で使用する場合、語句「薬学的に許容され得る担体」は、1つの器官、または体の部分から、他の器官または体の部分に、対象化合物を運ぶまたは輸送することに関与する、液体または固体充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒、または封入材料のような、薬学的に許容され得る材料、組成物または賦形剤を意味する。各担体は、処方の他の成分と適合性であり、患者に有害ではないという点で、「許容され得」なければならない。薬学的に許容され得る担体として働き得る材料のいくつかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖と、(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンのようなデンプンと、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体と、(4)粉末化トラガカントと、(5)モルトと、(6)ゼラチンと、(7)タルクと、(8)ココアバターおよび坐薬ワックスのような賦形剤と、(9)ピーナッツ油、木綿油、ヒマワリ油、セサミ油、オリーブ油、コーン油および大豆油のような油と、(10)プロピレングリコールのようなグリコールと、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールのようなポリオールと、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステルと、(13)寒天と、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤と、(15)アルギン酸と、(16)発熱物質を含まない水と、(17)等張生理食塩水と、(18)リンガー溶液と、(19)エチルアルコールと、(20)リン酸緩衝溶液と、(21)薬学的処方中で使用される他の非毒性適合基質と、が挙げられる。The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.(Alfonso R.Gennaro ed.),2000を参照のこと。
【0128】
本発明の化合物を含む薬学的組成物は、例えば経口(例えば水性または非水性溶液または懸濁液中のような水薬、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト)、舌下、肛門内、直腸内または膣内(例えば、ペサリ、クリームまたは泡として)、(例えば、無菌溶液または懸濁液として、筋肉内、静脈内、皮下または髄膜内を含む)非経口、経鼻、腹腔内、皮下、(例えば、皮膚へ適用するパッチのような)経皮、または(例えば皮膚に適用するクリーム、軟膏またはスプレーとして)局所を含む、任意の多数の投与経路によって対象に投与され得る。化合物はまた、吸入のために処方され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、単純に滅菌水に溶解または懸濁させることができる。適切な投与経路と、その経路に好適な組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号明細書、同第5,763,493号明細書、同第5,731,000号明細書、同第5,541,231号明細書、同第5,427,798号明細書、同5,358,970号明細書、同4,172,896号明細書ならびに本明細書で引用した特許にて見ることができる。
【0129】
標識化と可視化の方法
他の様態において、本発明は、本発明の組成物を動物に投与する工程を含む、動物における腫瘍を可視化する方法を提供する。
【0130】
また他の様態において、本発明は、本発明の組成物を動物に投与する工程と、カセプシンシステインプロテアーゼと組成物の反応から、動物中に発生した検出可能なシグナルを測定する工程を含む、動物中の腫瘍を可視化する方法を提供し、そこで検出可能なシグナルは、動物内の腫瘍と関連する。
【0131】
方法のいくつかの実施形態において、検出可能なシグナルは、蛍光シグナルである。いくつかの実施形態において、蛍光シグナルは、腫瘍マージンにて発生する。
【0132】
動物へのペプチドイメージング薬剤の投与が、当業者によく理解されている。好ましい実施形態において、任意の他の好適な投与手段が本発明の範囲内であると考えられるけれども、薬剤は注射によって投与される。
【0133】
本発明の方法は、動物内の、プロテアーゼ、とりわけシステインプロテアーゼの標識化、および可視化にて指向する。好適な動物には、とりわけ腫瘍細胞内でシステインプロテアーゼを発現している動物が含まれる。好ましい実施形態において、動物は哺乳動物である。非常に好ましい実施形態において、動物はヒトである。他の好ましい実施形態において、動物は、家畜またはペットである。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、動物内に発生した検出可能なシグナルを測定する工程を含む。検出可能なシグナルを測定する方法としては、イメージング法、例えば蛍光イメージング法が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、蛍光イメージングシステムは、例えば、Xenogen IVIS100システムであるが、任意の好適なイメージングシステムが使用され得る。
【0135】
本明細書で記述する方法および適用に対する他の好適な改変および適合が、本発明またはその任意の実施形態の範囲内から逸脱することなしに実施され得ることは当業者には容易に明白となるであろう。ここで本発明を詳細に記述することで、このことが、例示のみの目的のために本明細書に含まれ、本発明を制限する意図はない、以下の実施例に対する参照によってより明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0136】
新規フェノキシメチルケトン(PMK)求電子剤を含むクエンチされた蛍光システインカセプシンイメージングプローブの合成および特性化
本研究の目的は、がんの非侵襲性光学イメージングのために使用可能であった既存のqABPsと比較して、全体の改善されたインビボ特性を有するqABPを開発することである。したがって、プローブの3つの主要な要素、クエンチャー、リンカーおよび求電子「弾頭(warhead)」を最適化することを決定した。今日までに報告されたシステインカセプシンqABPsの最も大きな障害の1つは、比較的貧弱な水溶性である。スルホネート基をしたがって、水溶性、それによってプローブのバイオ分散を改善するために、QSY21クエンチャー(Xingら、(2005)J.Am.Chem.Soc.127:4158−9)に導入した。求電子剤とクエンチャーを結ぶスペーサーの長さはまた、qABPの親油性を減少させるために変化させた。最後に、新規求電子剤を、可能性あるカセプシン標的の範囲を増加させるために調査した。システインカセプシンファミリーの様々なメンバーが、種々のがんにてアップレギュレートされるので(Mohamed&Sloane(2006)Nat.Rev.Cancer(2006)6:764−75)、腫瘍におけるより明るい蛍光シグナルが、プローブが、広いスペクトルのシステインカセプシン活性を標的化する場合に、予想されるであろう。より汎反応性プローブを得るために、求電子剤の大きさを減少させ、活性を増加させた。2,3,5,6−テトラフルオロ置換フェノキシメチルケトン(PMK)求電子剤が、2,6−ジメチル安息香酸誘導アシルオキシメチルケトン(AOMK)と比較して、システインジペプチジルアミノペプチダーゼに対してより大きな反応性を有することは以前に示されている。Deuら、(2010)Chem Biol.17:808−819。より小さな大きさのPMKがまた、システインカセプシンのいくつかの結合溝が、立体的に制限されるので、凡反応性を増加させ得る。Blumら(2005)Nat.Chem.Biol.1:203−9、Blumら、(2007)Nat.Chem.Biol.3:668−77、Paulick&Bogyo(2011)ACS Chem.Biol.6:563−72。さらに、フェノールエーテルは、エステラーゼによって分解され得るエステル結合を含む、AOMK求電子剤と比較して、インビボにてより安定であると推定される。
【0137】
本研究のための開始点として、qABP GB137(1)の7つの類似体(2〜8)を合成した。Blumら、(2007)Nat.Chem.Biol.3:668〜77。(
図1a)これらの化合物は、2つの求電子剤、2つのクエンチャーおよび2つのリンカー長の全ての組合せを表す。全てのプローブを、以下のスキーム1に関連した記述にて記述したような最適化、溶液化学反応に基づく手順を用いて合成した。プローブの特異性および強度をまず、無傷のRAW264.7細胞(マウス白血病単球マクロファージ細胞株)を標識化することによって試験した(
図1b)。種々の傾向が、プローブの特性において観察された。全てのスルホ−QSY21官能化qABPs(2、4、6および8)が、プローブを含むより疎水性のQSY21(1、3、5および7)と比較して、より強い総カセプシン標識を示した。興味深いことに、ヘキシルからエチルリンカーまでのスペーサー長における変化は、標識化プロファイルに劇的な影響を持たなかった。おそらく、最も著しい観察は、PMK求電子剤を有するqABPが、それらのAOMKカウンターパートと比較して、より広いシステインカセプシン標識化プロファイルを示したことであった。プローブ5〜8は、強固なカセプシンX標識化を示し、スルホ−QSY21官能化プローブ6および8は、カセプシンLのより高分子量プレフォームを標識化可能であった。蛍光標識したカセプシンの同一性を、免疫沈降によって決定した(
図4a)。生RAW細胞での滴定標識化実験を実施するに際して、種々の他の興味深い傾向が観察された(
図1c、d、
図4b、c)。最も疎水性のqABPs(1および5)は、0.5μMで標識化強度の減少した最大値まで達し、これは、それらの減少した水溶性が、より高い濃度でのプローブの沈降をもたらすことを示唆している。より短いスペーサー長は、有益であるように見え、全てのプローブが、それらのヘキシル含有カウンターパートと比較して、より明るい標識化を与えるエチルスペーサーを有する。AOMKsをPMKsと比較する時に、選択性における明確な差が観察される。AOMK qABPsはカセプシンSおよびLを好ましく標識し、より高い濃度でのみ、カセプシンBを標識する。驚くべきことに、先の研究で、種々の他の関連するAOMKsが、この標的を標識できなかったことが示された(Paulick&Bogyo(2011)ACS Chem.Biol.6:563−72)けれども、AOMK qABPs 2〜4はカセプシンXを標識する。PMK qABPsはまた、より低いプローブ濃度であっても、等しい強度で、全ての標的システインカセプシンを標識する。一緒に、これらの実験は、親水性の増加が、標識化強度を改善すること、および新規PMK qABPsがより広い、より汎システインカセプシン標識化プロファイルを有すること、を示している。
【0138】
PMK qABP8が、総標識化強度と、広いカセプシン反応性に関して、最も最適であったので、さらなるインビボ研究について、このプローブで進めることを決定した。標的選択性をさらに定義するために、RAW細胞溶解物を、pH5.5での増加濃度のqABP8で標識した。これらの結果は、プローブが、カセプシンBおよびXに対して最も強力であり、標識化が5nM程度の低い濃度で観察されることを示した。しかしながら、全てのカセプシン(B、S、L、X)の標識化が、500nMのプローブで飽和した(
図2a)。プローブを、500nMの設定濃度にて、生RAW細胞の時間経過標識化のために使用した時に、カセプシンXの急速な飽和が観察され、次いでカセプシンS、LおよびBの標識化がよりゆっくりであり、120分においてさえ、カセプシンB標識化シグナルが増加した(
図2b)。これらのデータは、プローブが、おそらく細胞内または細胞表面上のその位置により、カセプシンXのプールに最も迅速にアクセスすることが可能であろうことを示唆する。カセプシンBおよびXが、異なる程度まで、プローブによってアクセスされ得る細胞中の交互の位置であり得ることも示唆される。新規PMKプローブの安定性を試験するために、RAW細胞中の標識化における血清曝露の効果を試験した(
図1c)。本来のAOMKプローブ1への血清前曝露の4時間が、標的標識化のほぼ70%の欠損をもたらす一方で、標識化の80%より多くが、PMK qABP8に対して維持された。システインカセプシン阻害剤JPM−OEtでの細胞の前処理がまた、この標識化の90%より多くをブロックした。PMKプローブの安定性と改善された標識化特性を考え、生細胞蛍光顕微鏡研究を次に実施した。これらの結果は、プローブが、明るい、特定の標識化シグナルを産出したことと、主要なプローブ標識化カセプシンが、リソソーム中に残ったこととを確認した(
図2d)。
【0139】
新規PMK求電子剤の陽性の生細胞標識化資質を考え、最もよく実行するPMK qABPs2、6および8を、乳がんの同所性マウスモデルにて試験した。Taoら、(2008)BMC Cancer 8:228。さらに、これらのPMKプローブを、本来のAOMKプローブ1と比較した(
図3および
図5)。4T1細胞を、Balb/cマウスの、数字2および7乳房脂肪体に埋め込み、腫瘍増殖をモニタした。腫瘍が確立された時に、マウスに、等モル量のqABPs(20nmol)を、尾静脈を通して注射し、Cy5蛍光を経時的に、非侵襲性にイメージ化した(
図3a、b)。再び、これらの結果は、qABP8が、優れていることを証明したことを確かめた。蛍光の強固な腫瘍特異的活性化が、とりわけ、高い総コントラストにて、腫瘍領域で、プローブ8に対して観察可能であった。このシグナルは、時間経過の最後まで、経時的に増加し続けた。最終的に、プローブ8は、プローブ1と比較して、腫瘍特異的蛍光シグナルの20倍より大きな増強を達成した。良好な腫瘍特異的コントラストがまた、プローブ6に対して観察され、プローブ2に対してより少ない程度観察されたが、両方とも10倍より大きくまで、プローブ1より大きかった(
図5a、b)。時間経過の完了後、腫瘍を除去し、腫瘍蛍光をエクスビボにて測定し、続いて均質化と蛍光標識タンパク質のSDS−PAGEによる解析を実施した(
図3cおよび
図5c)。エクスビボ蛍光と、総システインカセプシン標識化の定量は、非侵襲性光学イメージング研究にて見られたものと同様の傾向を示した(
図3dおよび
図5d)。プローブ蛍光の細胞供給源を決定するために、プローブ標識マウスからの腫瘍組織切片の免疫蛍光染色を、マクロファージマーカーCD68を用いて染色した(
図3eおよび
図5e)。Cy5蛍光はCD68陽性細胞に対して局在化したが、しかしながら、全てのCD68陽性細胞がまたプローブ8陽性というわけではなく、これは腫瘍関連マクロファージの異なる活性状態を示唆している。共焦点レーザー走査性顕微鏡(CLSM)によるより詳細な解析により、プローブ8に対して陽性であった全ての細胞が、CD68陽性であること、しかしプローブ標識カセプシンとCD68シグナルは、同一のベシクルに対して共局在しないこと、を確認した(
図3fおよび
図5f)。一緒に考慮すると、これらのデータは、クエンチャーの親水性を増加させることと、スペーサーの短縮化と、より反応性で立体的に制限の少ない求電子トラップの導入とが、広いシステインカセプシン反応性と、インビボ特性の総合的な改善を有するqABPをもたらしたことを確認する。
【0140】
非常の異なる機能が、いくつかのシステインカセプシンファミリーメンバーに対して記述されてきたが(Conus&Simon(2010)Swiss Med.Wkly.140:w13042)、他の役割は重複し、1つのカプサイシンの活性の変更が、他の活性に影響を与え得る。例えば、カセプシンBの欠損は、カセプシンXの活性増加によって補われ(Sevenichら、(2010)Proc.Natl Acad.Sci.USA 107:2497−502)、カセプシンBのアップレギュレーションが、カセプシンLのダウンレギュレーションをもたらす(Gopinathanら、(2012)Gut 61:877−84)。したがって、1つの実験において多重システインカセプシンのリードアウトを促進し、互いに関して個々のカセプシンの活性比較を可能にするので、広いスペクトルプローブが高く価値がある。そのような汎反応性ABPsの実用性は、汎セリンヒドロラーゼフルオロホスホネートプローブ(Liuら、(1999)Proc.Natl Acad.Sci.USA 96:14694−9)および汎反応性プロテアソームプローブMV151(Verdoesら、(2006)Chem.Biol.13:1217−26)によって示されて来た。さらに、PMKに基づくqABPsは、カセプシンXに対して非常に反応性であり、それらの足場は、このまだほとんど理解されていないシステインカセプシンに対する選択的qABPsを産出するために使用可能である(Paulick&Bogyo(2011)ACS Chem.Biol.6:563−72)。
【0141】
結論として、新規のクラスのクエンチされた蛍光活性に基づくプローブが、先に報告されたAOMKに基づくプローブと比較して、より大きな反応性と、より広い選択性を有するPMK求電子剤を有して合成された。qABPの親水性がさらに、スルホン化クエンチャーを導入し、求電子剤とクエンチャーを結ぶスペーサーを短くすることによって増加し、より大きな水溶性と、改善されたインビボ特性をもたらし、がんの非侵襲性光学イメージングにおける増強されたコントラストをもたらす。
【0142】
方法
一般
全ての樹脂および試薬は、商業供給業者から購入し、さらなる精製なしに使用した。使用した全ての溶媒は、HPLCグレードであった。全ての水感受性反応を、アルゴンの陽圧下、無水溶媒中で実施した。反応を、API 150EX単一四極子質量分析機(Applied Biosystems)を用いて、LC−MSによって解析した。逆相HPLCを、C18カラムを用いて、ÅKTAエクスプローラ(Amersham Phrmacia Biotech)にて実施した。パルス場勾配アクセサリを備えたVarian 400MHz(400/100)、Varian 500MHz(500/125)またはVarian Inova 600MHz(600/150MHz)上でNMRスペクトルを記録した。化学シフトは、内部標準としてテトラメチルシランに対して、ppm(δ)で与える。カップリング定数をHzで示す。蛍光ゲルを、Typhoon9400フラットベッドレーザースキャナ(GE Healthcare)を用いてスキャンした。インゲル標識化強度を、Image Jソフトウェアを用いて定量した。統計解析を、Microsoft Excelを用いて実施し、s.e.m.を、s.d.をnの平方根によって割ることによって計算した。蛍光顕微鏡イメージを、10×、40×および63×対物レンズを備えるZeiss共焦点LSM710およびZeiss Axiovert 200M逆顕微鏡(Carl Zeiss)上で取得した。顕微鏡およびカメラを制御するために、そしてデータ解析(Intelligent Imaging Innovations)のために、スライドブックソフトウェアを使用した。
【0143】
qABP合成
以下の化合物の合成のための合成スキームを、スキーム1にて以下に描写する。
【0144】
安息香酸2,6−ジメチル−4−((6−(トリチルアミノ)ヘキシル)カルバモイル)(11a)。モノ−トリチル1,6−ジアミノヘキサン酢酸塩(9a)(117.2mg、0.28mmol)を、DCM中に取り、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。アミンをDMF中に溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)、および2,6−ジメチルテレフタル酸(10)(54.4mg、0.28mmol、1当量)を加え、反応混合物を一晩撹拌して、次いで真空にて濃縮した。未精製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM→DCM中5%MeOH)によって精製し、続いてDCM中に取り、水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させて、70mg(0.13mmol、47%単離収率)を得た。
【0145】
安息香酸2,6−ジメチル−4−((2−(トリアミノ)エチル)カルバモイル)(11b)。モノ−トリチルエチレンジアミン酢酸塩(9b)(97.9mg、0.27mmol)をDCMに取り、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。アミンをDMF中に溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1.04当量)、EDC(61mg、0.32mmol、1.2当量)および2,6−ジメチルテトラフタル酸(10)(52mg、0.27mmol、1当量)を加え、反応混合物を一晩撹拌し、次いで真空下濃縮した。未精製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM→DCM中5%MeOH)によって精製し、続いてDCM中に取り、水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させて、28mg(0.06mmol、22%単離収率)を得た。
【0146】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−N−(6−(トリチルアミノ)ヘキシル)ベンズアミド(13a)。モノ−トリチル1,6−ジアミノヘキサン酢酸塩(9a)(117.2mg、0.28mmol)をDCM中に取り、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。アミンをDMF中に溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)および2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸(12)(59mg、0.28mmol、1当量)を加え、反応混合物を一晩撹拌し、次いで真空下濃縮した。未精製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%→30%酢酸エチル)によって精製して、90mg(0.16mmol、58%単離収率)を得た。
【0147】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−N−(2−(トリチルアミノ)エチル)ベンズアミド(13b)。モノ−トリチルエチレンジアミン酢酸塩(9b)(100mg、0.28mmol)をDCM中に取り、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。アミンをDMF中に溶解し、HOBt一水和物(43mg、0.28mmol、1当量)、EDC(54mg、0.28mmol、1当量)および2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸(12)(59mg、0.28mmol、1当量)を加え、反応混合物を一晩撹拌し、次いで真空下濃縮した。未精製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%→35%酢酸エチル)によって精製して、90mg(0.18mmol、65%単離収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 8.77 (t, J=6.0, 1H), 7.39 (d, J=7.8, 6H), 7.27 (t, J=7.7, 6H), 7.17 (t, J=7.2, 3H), 3.40 − 3.35 (m, 2H), 2.86 − 2.77 (m, 1H), 2.14 − 2.04 (m, 2H).
【化34】
スキーム1 試薬および条件:i.EDC、HOBt、DMF。ii.a)KF、DMF。b)1%TFA、DCM。iii.a)QSY21−NHSまたはスルホ−QSY21−NHS、DiPEA、DMSO。b)TFA/DCM=1/1。c)Cy5−NHS、DiPEA、DMSO。iv.a)KF、DMF、80°C。b)1%TFA、DCM。
【0148】
中間体15。フッ化カリウム(3mg、52μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMF中に懸濁し、その後カルボン酸11a(10mg、19μmol、1.1当量)を加えた。反応混合物を、クロロメチルケトン14(9.7mg、17.3μmol、1当量)を加える前に、10分間撹拌した。2時間後、反応混合物を真空下で濃縮し、未精製物をDCM中1%TFA中に取り、30分間撹拌し、その後に溶液が無色であるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共沸(3×)の後、表題化合物を、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、15:85〜55:45、5mL/分)によって精製、次いで凍結乾燥して、白色粉末(3.12mg、3.46μmol、2段階にわたり20%)として15を得た。
【0149】
中間体16。フッ化カリウム(3mg、52μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMF中に懸濁し、その後カルボン酸11b(9.5mg、20μmol、1.1当量)を加えた。反応混合物を、クロロメチルケトン14(10mg、17.9μmol、1当量)を加える前に、10分間撹拌した。1.5時間後、反応混合物を真空下で濃縮し、未精製物をDCM中1%TFA中に取り、30分間撹拌し、次いで溶液が無色に変わるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共沸(3×)の後、中間体16を、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、15:85〜55:45、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥して、白色粉末(3.99mg、4.57μmol、2段階にわたり26%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 7.80 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.35 − 7.18 (m, 10H), 5.06 (s, 2H), 4.85 − 4.78 (m, 2H), 4.42 (dd, J = 13.1, 6.2 Hz, 1H), 4.37 (dd, J = 10.1, 4.0 Hz, 1H), 3.64 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.12 (dd, J = 13.7, 7.0 Hz, 1H), 3.01 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.94 (dd, J = 13.6, 8.9 Hz, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 1.92 − 1.82 (m, 1H), 1.67 − 1.57 (m, 1H), 1.49 − 1.26 (m, 4H), 1.42 (s, 9H).
【0150】
中間体17。フッ化カリウム(6.3mg、108μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMF中に懸濁し、その後フェノール13a(21.5mg、39μmol、1.1当量)を加えた。反応混合物を、クロロメチルケトン14(20mg、36μmol、1当量)を加える前に、10分間撹拌した。反応混合物を80℃にて5時間撹拌し、真空下濃縮した。未精製物をDCM中1%TFA中に取り、30分間撹拌し、次いで溶液が無色に変わるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共沸(3×)の後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、25:75〜70:30、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥して、白色粉末(16.6mg、17.5μmol、2段階にわたり49%)として、表題化合物を得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 7.29 (m , 10H), 5.07 (s, 2H), 4.86 (m , 2H), 4.44 (m , 2H), 3.41 (t, J = 6.8, 2H), 3.10 (dd, J = 13.5, 7.0, 1H), 3.02 (t, J = 6.8, 2H), 2.97 − 2.91 (m, 3H), 1.93 − 1.81 (m, 1H), 1.73 − 1.62 (m, 4H), 1.62 − 1.53 (m, 1H), 1.51 − 1.46 (m, 4H), 1.43 (s, 9H), 1.45 − 1.25 (m, 4H).
【0151】
中間体18。フッ化カリウム(6.3mg、108μmol、3当量)を、5分間の超音波処理によってDMF中に懸濁し、その後フェノール13b(19.4mg、39μmol、1.1当量)を加えた。反応混合物を、クロロメチルケトン14(20mg、36μmol、1当量)を加える前に、10分間撹拌した。反応混合物を80℃にて3時間撹拌し、真空下濃縮した。未精製物をDCM中1%TFA中に取り、30分間撹拌し、次いで溶液が無色に変わるまで、トリイソプロピルシランの添加によってクエンチした。トルエンとの共沸(3×)の後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、20:80〜60:40、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥して、白色粉末(15.4mg、17.3μmol、2段階にわたり48%)として、表題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 7.36 − 7.12 (m, 10H), 5.05 (s, 2H), 4.86 − 4.81 (m, 2H), 4.42 − 4.37 (m, 2H), 3.64 (t, J=6.5, 2H), 3.14 (t, J=6.5, 2H), 3.08 (dd, J=13.9, 7.2, 1H), 2.99 (t, J=6.5, 2H), 2.91 (dd, J=13.9, 8.4, 1H), 1.90 − 1.78 (m, 1H), 1.62 − 1.48 (m, 1H), 1.41 (s, 9H), 1.46 − 1.20 (m, 4H).
【0152】
プローブ1(GB137)。中間体15(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)中に取り、QSY21−NHS(1.39mg、1.7μmol、1当量)とDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜80:20、5mL/分)、続いて凍結乾燥によって精製した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、2.42mgの相当するTFA塩(1.6μmol、2段階にわたり95%)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(1.3mg、1.76μmol、1.1当量)と、DiPEA(1.4μl、8μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜75:25、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ1を暗青粉末(2.0mg、0.99μmol、62%)として得た。
【0153】
プローブ2(BMV122)。中間体15(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)中に取り、スルホ−QSY21−NHS(1.66mg、1.7μmol、1当量)とDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、スルホ−QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、30:70〜70:30、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、2.29mgの相当するTFA塩(1.39μmol、2段階にわたり81%)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(1.1mg、1.5μmol、1.1当量)と、DiPEA(1.2μl、7μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、15:85〜50:50、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ2を暗青粉末(1.83mg、0.84μmol、61%)として得た。
【0154】
プローブ3(BMV145)。中間体16(1.5mg、1.7μmol)をDMSO(50μl)中に取り、QSY21−NHS(1.39mg、1.7μmol、1当量)とDiPEA(1.5μl、8.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜80:20、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、0.86mgの相当するTFA塩(0.6μmol、2段階にわたり35%単離収率)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(0.5mg、0.66μmol、1.1当量)と、DiPEA(0.57μl、3.3μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜75:25、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ3を暗青粉末(0.67mg、0.34μmol、57%)として得た。
【0155】
プローブ4(BMV146)。中間体16(1.0mg、1.2μmol)をDMSO(50μl)中に取り、スルホ−QSY21−NHS(1.25mg、1.2μmol、1当量)とDiPEA(1.05μl、6μmol、5当量)とを加えた。1時間後、スルホ−QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、20:80〜80:20、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、1.06mgの相当するTFA塩(0.66μmol、2段階にわたり55%)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(0.55mg、0.73μmol、1.1当量)と、DiPEA(0.64μl、3.65μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、15:85〜50:50、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ4を暗青粉末(0.63mg、0.3μmol、45%)として得た。
【0156】
プローブ5(BMV118)。中間体17(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)中に取り、QSY21−NHS(1.0mg、1.3μmol、1当量)とDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)とを加えた。2時間後、QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜80:20、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、2.0mgの相当するTFA塩(1.3μmol、2段階にわたり定量的)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(1.0mg、1.3μmol、1当量)と、DiPEA(1.1μl、6.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、40:60〜85:15、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ5を暗青粉末(1.91mg、0.94μmol、72%)として得た。
【0157】
プローブ6(BMV119)。中間体17(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)中に取り、スルホ−QSY21−NHS(1.35mg、1.3μmol、1当量)とDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、スルホ−QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、30:70〜90:10、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥した。Boc保護基を除去するために、得られた暗青粉末をTFA/DCM(1/1)中に取り、トルエンとの共沸(3×)前に、30分間反応させ、1.98mgの相当するTFA塩(0.9μmol、2段階にわたり70%)を得た。アミンをDMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(0.7mg、0.9μmol、1.1当量)と、DiPEA(0.8μl、4.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、15:85〜50:50、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ6を暗青粉末(1.63mg、0.74μmol、82%)として得た。
【0158】
プローブ7(BMV108)。中間体18(1.2mg、1.3μmol)をDMSO(50μl)中に取り、QSY21−NHS(1.2mg、1.4μmol、1.1当量)とDiPEA(1.13μl、6.5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、30:70〜70:30、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥して、暗青粉末(1.43mg、0.99μmol、76%)を得た。続いて、トルエンとの共沸(3×)前に、Boc保護基をTFA/DCM(1/1)中で30分間除去した。TFA塩を、DMSO(50μl)中に溶解し、Cy5−NHS(0.83mg、1.1μmol、1.1当量)と、DiPEA(0.88μl、5μmol、5当量)とを加えた。1時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、30:70〜70:30、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ7を暗青粉末(0.95mg、0.48μmol、2段階にわたり49%)として得た。
【0159】
プローブ8(BMV109)。中間体18(5.8mg、6.5μmol)をDMSO(100μl)中に溶解した、スルホ−QSY21−NHS(9.75mg、10.39μmol、1.6当量)とDiPEA(8.4μl、50.5μmol、7.8当量)を加え、混合液を一晩撹拌した。スルホ−QSY21アミドを、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、25:75〜55:45、5mL/分)によって精製、続いて凍結乾燥して、暗青粉末を得た。Boc保護基を、トルエン(3×)での共沸の前に、続けてTFA/DCM(1/1)において30分間除去した。残余物をDMSO(250μl)中に溶解し、Cy5−NHS(10.5mg、13.9μmol、2.1当量)と、DiPEA(12μl、72μmol、11当量)とを加えた。4時間後、HPLC(プレパラトリー逆相C
18カラム、CH
3CN/H
2O 0.1%TFA、20分かけて、25:75〜45:55、5mL/分)による精製、続いて凍結乾燥で、プローブ8を暗青粉末(7.74mg、4.61μmol、3段階にわたり71%)として得た。
1H NMR (600 MHz, CD
3CN) δ 8.12 − 8.08 (m, 1H), 8.01 − 7.93 (m, 2H), 7.89 − 7.85 (m, 2H), 7.75 (dd, J = 12.0, 1.5 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 8.4, 1.7 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.3, 1.2 Hz, 1H), 7.66 (s, 2H), 7.62 − 7.57 (m, 2H), 7.51 (dd, J = 8.4, 5.1 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 9.4 Hz, 2H), 7.41 − 7.35 (m, 3H), 7.24 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.21 − 7.14 (m, 6H), 7.13 − 7.09 (m, 6H), 7.05 (dd, J = 8.8, 4.6 Hz, 1H), 6.39 (t, J = 12.8 Hz, 1H), 6.11 (t, J = 12.6 Hz, 1H), 4.87 (q, J = 12.7 Hz, 2H), 4.83 (dd, J = 39.7, 14.1 Hz, 2H), 4.23 − 4.12 (m, 4H), 3.93 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.86 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 3.34 (dd, J = 6.7, 4.1 Hz, 2H), 3.28 − 3.15 (m, 9H), 3.04 − 2.92 (m, 3H), 2.80 − 2.74 (m, 1H), 2.45 (t, J = 11.9 Hz, 2H), 2.15 − 2.09 (m, 1H), 2.09 − 2.03 (m, 2H), 1.74 − 1.58 (m, 7H), 1.57 (s, 6H), 1.55 (s, 6H), 1.49 (dd, J = 15.1, 7.4 Hz, 4H), 1.35 − 1.22 (m, 7H), 1.20 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.16 − 1.12 (m, 4H).
【0160】
生細胞および細胞溶解物の細胞培養と標識化
RAW細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO)、100ユニット/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(GIBCO)を補足したDMEM(GIBCO)中で培養した。4T1細胞(ATCC)を、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO)、100ユニット/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン(GIBCO)を補足したRPMI(GIBCO)中で培養した。全ての細胞を、5% CO
2加湿インキュベータ中、37℃で培養した。無傷細胞標識化のために、他に言及しない限り、細胞を、培養培地中、プローブ(DMSO中500×)に曝露し、37℃にて2時間インキュベートした。示したところで、細胞を1時間、阻害剤JPM−OEt(DMSO中500×)とともに前インキュベートするか、細胞添加の前に、4時間、マウス血清(9μl血清に加えたDMSO中1μlプローブストック溶液)に曝露した。標識化の後、細胞をPBSにて洗浄し、低張溶解緩衝液(50mM PIPES pH7.4、10mM KCl、5mM MgCl
2、2mM EDTA、4mM DTTおよび1% NP−40)中に再懸濁させ、15分間氷上に置き、4℃にて30分間遠心し、上清を回収し、タンパク質濃度を、BCAキット(pierce)を用いて決定した。40μgの総タンパク質を、4×SDS−試料緩衝液の添加と、3分間100℃での加熱によって変性させ(denatured be)、SDS−PAGE(15%)によって分解し、標識化プロテアーゼを、Typhoonイメージャ(GE Healthcare)にてゲルをスキャンすることによって可視化した。標識化強度を、Image Jソフトウェアを用いて定量化した。細胞溶解物中のカセプシン標識化のために、細胞を回収し、PBSにて洗浄し、クエン酸緩衝液(50mMクエン酸緩衝液pH5.5、5mM DDT、0.5%CHAPS、0.1%Triton X)中に再懸濁させた。氷上で15分、および4℃にて30分間の遠心の後、上清を集め、タンパク質濃度を、BCAキット(pierce)を用いて決定した。40μgの総タンパク質を、示唆したプローブ(DMSO中200×)に対して、1時間37℃で曝露した。4×SDS−試料緩衝液を加え、タンパク質を、100℃にて3分間変性させ、上記のように解析した。生細胞顕微鏡のために、RAW細胞を、フェノールレッドを含まない完全培地中、1・10
5細胞の密度で、35mmガラス底ディッシュ(インビトロ科学的)中に播き、一晩培養した。細胞を、DMSOまたは1μMプローブ(DMSO中500×)いずれかに2時間曝露した。最後の1時間、Lysotracker−グリーン(200nM最終濃度、DMSO中1000×)を細胞に加えた。示したところで、細胞を、阻害剤JPM−OEt(DMSO中500×)とともに1時間前インキュベートした。細胞を、Zeiss Axiovert 200M共焦点顕微鏡を用いて40×にて、Cy5およびFITCチャンネルにてイメージ化した。
【0161】
動物モデル
全ての動物取扱および実験を、現National Institutes of Health and Stanford University Institutional Animal Care and Use Committeeガイドラインにしたがって実施した。メスBALB/cマウス(6〜8週、Jackson Laboratory)を、イソフラン麻酔下、PBS中1・10
5 4T1細胞(ATCC)で、脂肪体番号2および7に注射し、腫瘍増殖をモニタした。イメージングの24時間前に、対象領域の毛を、「Nairローション」を用いて除去した。10日目に、指定したプローブ(20nmol、0.8nmol g
−1)を、100μL容量(PBS中20%DMSO)中、尾静脈を介して投与した。注射の後、マウスを、IVIS100システム(Xenogen)を用いて、指定した時間点にて、非侵襲性にイメージ化した。イメージを、Living Imageソフトウェア(PerkinElmer)にて解析した。最終点の後、マウスをイソフルオランで麻酔し、頸椎脱臼によって殺した。エクスビボ蛍光測定と、インビボプローブ標識化プロファイルの査定のために、腫瘍を取り除き、FMT2500(PerkinElmer)を用いてイメージ化し、組織を、クエン酸緩衝液(50mMクエン酸緩衝液pH5.5、5mM DDT、0.5% CHAPS、0.1% TritonX)中で超音波処理した(氷上1分間)。4℃にて30分間の遠心の後、上清を回収し、タンパク質濃度をBCAキット(pierce)を用いて決定した。40μgの総タンパク質を、SDS−試料緩衝液中、100℃にて3分間変性させ、上記のように解析した。免疫蛍光に関して、切除された腫瘍を、PBS中4% PFA溶液中で、4℃にて6時間インキュベートし、続いて30%スクロース溶液中で一晩(overnight overnight)インキュベートし、OCT培地中で組織を(fo)凍結した。6−μm切片をアセトンで固定し、PNBブロッキング緩衝液でブロックし、ラット抗−マウスCD68(1:1000、Serotec)と一晩インキュベートした。AlexaFluor−488と共役したヤギ抗−ラット(1:500;Invitrogen)を、室温にて1時間インキュベートした。切片を次いで、DAPI(2μg/mL;Invitrogen)で、5分間染色し、次いでProLong Gold Mounting Medium(Invitrogen)にマウントした。組織を次いで、Zeiss Axiovert 200M顕微鏡を用いて可視化した。
【0162】
全ての特許、特許発行物、および本明細書で言及された他の発行された参照は、それぞれが、個々に、そして特異的に、本明細書に参照として組み込まれるように、それら全てが、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0163】
特定の実施例が提供された一方で、以上の記述は、例示的であり、制限ではない。先に記述された実施形態の任意の1つまたはそれを超える特徴が、任意の様式にて、本発明の任意の他の実施形態の1つまたはそれを超える特徴と組合せることが可能である。さらに、本発明の多くのバリエーションが、本明細書を概説するに際して、当業者に明らかになるであろう。本発明の範囲はしたがって、それらの等価物の完全な範囲とともに、添付の請求項に対する参照によって決定されるべきである。