(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グリコールと安息香酸のエステルが、安息香酸と、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されるグリコールの反応によって製造される、請求項1に記載の液体燃料組成物。
ポリアルコールと安息香酸のエステルが、安息香酸と、グリセロール、TMPアルコール、ペンタエリトリトール、及びこれらの混合物から選択されるポリアルコールの反応から製造される、請求項1に記載の液体燃料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体燃料組成物は、内燃エンジンにおいて用いるのに好適な基燃料、1種類以上の有機UVフィルター化合物、及び1種類以上のエステル共添加剤化合物を含む。基燃料は、好ましくはガソリン基燃料又はディーゼル基燃料から選択される。基燃料がガソリン基燃料である場合には、本発明の液体燃料組成物はガソリン組成物である。基燃料がディーゼル基燃料である場合には、本発明の液体燃料組成物はディーゼル組成物である。
【0009】
ガソリン又はディーゼル燃料組成物中において用いるのに好適である限りにおいて、本発明において用いることができる有機UVフィルター化合物のタイプには特に制限はない。
【0010】
ここで用いる「有機UVフィルター化合物」という用語は、有機UV吸収剤化合物及び有機サンスクリーン化合物を包含することも意図する。
広範囲の通常の有機サンスクリーン活性物質が、本発明において有機UVフィルター化合物として用いるのに好適である。SagarinらのCosmetics Science and Technology (1972)のVIII章189頁以降、及び"The Encyclopedia of Ultraviolet Filters", Nadim A.Shaathにおいては、数多くの好適な活性物質が開示されている。本発明の液体燃料組成物及び添加剤ブレンドにおいて有機UVフィルター化合物として有用な特に好ましい疎水性有機サンスクリーン活性物質としては、(i)アルキルβ,β−ジフェニルアクリレート、及び/又はα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;(ii)サリチル酸誘導体;(iii)桂皮酸誘導体;(iv)ジベンゾイルメタン誘導体;(v)カンファー誘導体;(vi)ベンゾフェノン誘導体;(vii)p−アミノ安息香酸誘導体;(viii)フェナルキルベンゾエート誘導体;及び(ix)イミダゾール類、トリアジン類、トリアゾン類、及びトリアゾール類からなる群から選択される化合物;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
好ましいα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート誘導体としては、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート誘導体は、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートであり、その国際的な一般名はオクトクリレンである。2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートは、DSM Nutritional Products, Inc.からParsol 340(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0012】
好ましいサリチレート誘導体としては、エチルヘキシルサリチレート(オクチルサリチレート)、トリエタノールアミンサリチレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、サリチレート誘導体はエチルヘキシルサリチレートである。エチルヘキシルサリチレートは、DSM Nutritional Products, Inc.からParsol EHS(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0013】
好ましい桂皮酸誘導体は、オクチルメトキシシンナメート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、及びこれらの混合物から選択される。本発明において用いるのに特に好ましい桂皮酸誘導体はオクチルメトキシシンナメートである。オクチルメトキシシンナメートは、DSM Nutritional Products, Inc.からParsol MCX(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0014】
本発明において用いるのに好ましいジベンゾイルメタン誘導体は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタン、及びこれらの混合物から選択される。本発明において用いるのに特に好ましいジベンゾイルメタン誘導体はブチルメトキシジベンゾイルメタンである。ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、DSM Nutritional Products, Inc.からParsol 1789(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0015】
本発明において用いるのに好ましいカンファー誘導体は、4−メチルベンジリデンカンファーである。4−メチルベンジリデンカンファーは、DSM Nutritional Products, Inc.からParsol 5000(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0016】
本発明において用いるのに好ましいベンゾフェノン誘導体は、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−7、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−9、ベンゾフェノン−10、ベンゾフェノン−11、ベンゾフェノン−12、及びこれらの混合物から選択される。本発明において用いるのに特に好ましいベンゾフェノン誘導体はベンゾフェノン−3である。ベンゾフェノン−3は、Ashland Specialty IngredientsからEscalol 567(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0017】
本発明において用いるのに好ましいフェナルキルベンゾエート誘導体はフェネチルベンゾエートである。フェネチルベンゾエートは、Ashland Specialty IngredientsからX-tend 229(登録商標)の商品名で商業的に入手できる。
【0018】
好適なイミダゾール類としては、ジナトリウムフェニルジベンジルイミダゾールテトラスルホネート(SymriseからNeoheliopan APの商品名で商業的に入手できる)、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(DSMからParsol HSの商品名で商業的に入手できる)、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0019】
好適なトリアジン類としては、フェニルトリアジン類、例えばビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BASFからTinasorb Sの商品名で商業的に入手できる)、ビスベンゾオキサゾイルフェニルエチルヘキシルアミノトリアジン(3V SigmaからUvasorb K2Aの商品名で商業的に入手できる)、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0020】
好適なトリアゾール類としては、ドロメトリゾール(BASFからTinuvin Pの商品名で商業的に入手できる)、及びエチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(BASFからTinosorb Mの商品名で商業的に入手できる)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0021】
好適なトリアゾン類としては、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(3V SigmaからUvasorb HEBの商品名で商業的に入手できる)、エチルヘキシルトリアゾン(BASFからUvinul T150の商品名で商業的に入手できる)、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0022】
1種類以上の有機UVフィルター化合物の総レベルは、液体燃料組成物の重量基準で最大で2重量%である。1種類以上の有機UVフィルター化合物の総レベルは、液体燃料組成物の重量基準で少なくとも10ppmwである。1種類以上の有機UVフィルター化合物の総レベルは、好ましくは、液体燃料組成物の重量基準で1重量%〜0.005重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%〜0.01重量%の範囲、更により好ましくは0.05重量%〜0.01重量%の範囲である。
【0023】
本発明の液体燃料組成物の他の必須成分は、1種類以上のエステル共添加剤化合物である。1種類以上のエステル共添加剤化合物は、グリコールと安息香酸のエステル、モノアルコールと安息香酸のエステル、ポリアルコールと安息香酸のエステル、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとモノカルボン酸のエステル、及びC
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとジカルボン酸のエステル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0024】
安息香酸のグリコールエステルは、安息香酸とモノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールの反応から製造され、種々の通常のモノアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールを好都合に用いることができる。
【0025】
本発明において用いるのに好ましいグリコール化合物は、モノマー単位として(−R−O−)アルキレンオキシド単位(ここで、RはC
1〜C
6アルキレン基である)を有するものである。好ましいグリコール化合物は、1〜8個のかかるモノマー単位を有するものである。本発明において用いるのに特に好ましいグリコール化合物は、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びこれらの混合物から選択される。
【0026】
安息香酸とモノアルコールのエステルは、好ましくは、安息香酸と、C
3〜C
16分岐鎖モノアルコール、又はC
2〜C
16直鎖モノアルコール、好ましくはC
3〜C
16分岐モノアルコール、より好ましくはC
4〜C
10分岐モノアルコールの反応から製造される。
【0027】
安息香酸とポリアルコールのエステルは、好ましくは、安息香酸と、グリセロール、TMP(トリメタノールプロパン)アルコール、ペンタエリトリトール、及びこれらの混合物から選択されるポリアルコールの反応から製造される。
【0028】
エステル共添加剤化合物はまた、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノカルボン酸とモノアルコールのエステル、C
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるジカルボン酸とモノアルコールのエステル、又はこれらの混合物であってもよい。本発明の特に好ましい態様においては、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸は2−エチルヘキサン酸である。本発明の他の特に好ましい態様においては、C
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸は、マレイン酸、セバシン酸、アゼライン酸、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくはマレイン酸である。
【0029】
本発明において用いるのに特に好ましいエステル共添加剤は、C
12〜C
15アルキルエチルヘキサノエート(InnospecからActivemol EH-25の商品名で商業的に入手できる)、ビス(2−エチルヘキシル)マレエート(InnospecからActivemol DOM-Rの商品名で商業的に入手できる)、ジプロピレングリコールジベンゾエート(InnospecからFinsolv PG-22の商品名で商業的に入手できる)、及び2-エチル−1−ヘキサノールベンゾエート(InnospecからFinsolve EBの商品名で商業的に入手できる)から選択される。
【0030】
本発明の液体燃料組成物において、1種類以上のエステル共添加剤の総レベルは、液体燃料組成物の重量基準で0.001重量%〜0.5重量%、好ましくは0.005重量%〜0.1重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.05重量%の範囲である。
【0031】
他の態様においては、1種類以上のエステル共添加剤の総レベルは、液体燃料組成物の重量基準で0.05重量%〜0.1重量%の範囲である。
本発明の好ましい液体燃料組成物において、1種類以上の有機UVフィルター化合物と1種類以上のエステル共添加剤化合物との重量比は、9:1〜1:9の範囲、より好ましくは5:1〜1:2の範囲、更により好ましくは4:1〜1:1の範囲である。
【0032】
有機UVフィルター化合物及びエステル共添加剤は、任意の他の添加剤、例えば1つ又は複数の添加剤性能パッケージと一緒にブレンドして添加剤ブレンドを形成することができる。次に、添加剤ブレンドを基燃料に加えて液体燃料組成物を製造することができる。
【0033】
したがって、本発明の他の形態によれば、1種類以上の有機UVフィルター化合物;1種類以上のエステル共添加剤化合物;及び1種類以上の洗浄剤;を含む、液体燃料組成物中において用いるのに好適な添加剤ブレンドが提供される。好ましい添加剤ブレンドにおいては、有機UVフィルター化合物、エステル共添加剤化合物、及び洗浄剤に加えて、消泡剤、腐食抑制剤、防曇剤などのような更なる添加剤を、例えば添加剤性能パッケージの形態で添加剤ブレンド中に含ませる。洗浄剤成分それ自体を、添加剤性能パッケージの形態で含ませることもできる。
【0034】
或いは、有機UVフィルター化合物及びエステル共添加剤は、基燃料と直接ブレンドすることができる。
添加剤ブレンドの調製中において、1種類以上の有機UVフィルター化合物、1種類以上のエステル共添加剤化合物、及び添加剤(洗浄剤)性能パッケージは、任意の順番で混合することができる。例えば、添加剤性能パッケージを1種類以上の有機UVフィルター化合物と混合することができ、続いて1種類以上のエステル共添加剤化合物を加えることができる。
【0035】
添加剤ブレンド中の有機UVフィルター化合物の量は、好ましくは、添加剤ブレンドの重量基準で0.1重量%〜99.8重量%の範囲、より好ましくは5重量%〜50重量%の範囲である。
【0036】
添加剤ブレンド中における1種類以上のエステル共添加剤の総レベルは、好ましくは、添加剤ブレンドの重量基準で5重量%〜70重量%、より好ましくは5重量%〜50重量%、更により好ましくは10重量%〜40重量%の範囲である。
【0037】
驚くべきことに、1種類以上のエステル共添加剤化合物を1種類以上の有機UVフィルター化合物と組み合わせて用いると、例えば5℃以下の温度、或いは0℃以下の温度、−5℃以下の温度、−10℃以下の温度、−15℃以下の温度、−20℃以下の温度で−25℃の温度までの温度のような低い温度における1種類以上の有機UVフィルター化合物及び1種類以上のエステル共添加剤化合物を含む添加剤ブレンドにおける安定性の向上が与えられることが本発明者らによって見出された。
【0038】
したがって、本発明の他の形態によれば、特に低い温度における、1種類以上の有機UVフィルター化合物及び1種類以上のエステル共添加剤化合物を含む添加剤ブレンドの安定性のための、グリコールと安息香酸のエステル、モノアルコールと安息香酸のエステル、ポリアルコールと安息香酸のエステル、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとモノカルボン酸のエステル、及びC
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとジカルボン酸のエステルから選択される1種類以上のエステル共添加剤化合物の使用が提供される。
【0039】
有機UVフィルター化合物及びエステル共添加剤化合物に加えて添加剤ブレンドの随意的であるが好ましい成分は溶媒である。添加剤ブレンド中において用いるのに好適であるならば、本発明において用いることができる溶媒のタイプに関して特に制限はない。添加剤ブレンド中において1種類以上のエステル共添加剤化合物及び1種類以上の有機UVフィルター化合物に加えて溶媒を用いることによって、向上した安定性及び減少した粘度が与えられる。
【0040】
燃料中において用いるのに好適な任意の溶媒又は複数の溶媒の混合物を本発明において用いることができる。燃料中において用いるのに好適な溶媒の例としては、灯油、重質芳香族溶媒(「重質ソルベントナフサ」、「Solvesso 150」)、トルエン、キシレン、パラフィン、石油、ホワイトスピリット、Shell Companiesによって"SHELLSOL"の商標で販売されているものなどのような非極性炭化水素溶媒が挙げられる。好適な溶媒の更なる例としては、エステル、及び特にアルコール(例えば、t−ブタノール、i−ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘプタノール、デカノール、イソトリデカノール、ブチルグリコール、並びに、Shell Companiesによって「LINEVOL」の商標で販売されているもの、特にC
7〜9第1級アルコールの混合物であるLINEVOL 79アルコール、又は商業的に入手できるC
12〜14アルコール混合物のようなアルコール混合物)のような極性溶媒が挙げられる。
【0041】
溶媒は、好ましくは、添加剤ブレンドの重量基準で5重量%〜50重量%のレベル、より好ましくは5重量%〜20重量%のレベル(性能添加剤パッケージ中に存在する溶媒を含まない)で存在する。
【0042】
添加剤ブレンド中における洗浄剤或いは1つ又は複数の性能パッケージの量は、好ましくは、添加剤ブレンドの重量基準で0.1〜99.8重量%の範囲、より好ましくは5〜50重量%の範囲である。
【0043】
好ましくは、本発明の液体燃料組成物中に存在する洗浄剤又は性能パッケージの量は、液体燃料組成物の全重量を基準として15ppmw(重量ppm)〜10重量%の範囲である。より好ましくは、本発明の液体燃料組成物中に存在する洗浄剤又は性能パッケージの量は、更に、下記に示すパラメーター(i)〜(xv):
(i)少なくとも100ppmw;
(ii)少なくとも200ppmw;
(iii)少なくとも300ppmw;
(iv)少なくとも400ppmw;
(v)少なくとも500ppmw;
(vi)少なくとも600ppmw;
(vii)少なくとも700ppmw;
(viii)少なくとも800ppmw;
(ix)少なくとも900ppmw;
(x)少なくとも1000ppmw;
(xi)少なくとも2500ppmw;
(xii)少なくとも5000ppmw;
(xiii)少なくとも10000ppmw;
(xiv)最大で2重量%;
(xv)最大で5重量%;
の1以上と合致する。
【0044】
組成物の残りは、通常は、例えば下記においてより詳細に記載するように、場合によっては1種類以上の燃料添加剤と共に1種類以上の自動車基燃料から構成される。
通常は、基燃料は、主要量、例えば液体燃料組成物の50重量%より多い量で液体燃料組成物中に存在し、90重量%、又は95重量%、又は99重量%、又は99.9重量%、又は99.99重量%、或いは99.999重量%までの量で存在させることができる。好適には、液体燃料組成物は、基燃料を、1種類以上の有機UVフィルター化合物、及び1種類以上のエステル共添加剤化合物、及び場合によっては下記に規定するような1種類以上の通常の燃料添加剤と組み合わせて含むか、又はこれらから実質的に構成される。
【0045】
本発明にしたがって製造される液体燃料組成物中に存在させる1種類以上の有機UVフィルター化合物、1種類以上のエステル共添加剤化合物、基燃料成分、及び任意の他の成分又は添加剤の相対割合は、密度、排出性能、及び粘度のような他の所望の特性によっても左右される可能性がある。
【0046】
本発明の液体燃料組成物がガソリン基燃料を含む場合には、液体燃料組成物はガソリン燃料組成物である。本ガソリンは、自動車用エンジン、及び例えばオフロード及び航空機用エンジンのような他のタイプのエンジンなどの当該技術において公知の火花点火(ガソリン)タイプの内燃エンジンにおいて用いるのに好適な任意のガソリンであってよい。本発明の液体燃料組成物において基燃料として用いるガソリンは、簡便に「基ガソリン」と呼ぶこともできる。
【0047】
ガソリンは、通常は25〜230℃の範囲の沸点(EN−ISO−3405)の炭化水素の混合物を含み、最適の範囲及び蒸留曲線は、通常は気象及び季節によって変動する。ガソリン中の炭化水素は当該技術において公知の任意の手段によって誘導することができ、簡便には炭化水素は、直留ガソリン、合成芳香族炭化水素混合物、熱分解又は接触分解炭化水素、水素化分解石油フラクション、接触改質炭化水素、又はこれらの混合物から任意の公知の方法で誘導することができる。
【0048】
ガソリンの具体的な蒸留曲線、炭化水素の組成、リサーチオクタン価(RON)、及びモーターオクタン価(MON)は重要ではない。
好都合には、ガソリンのリサーチオクタン価(RON)は、少なくとも80、例えば80〜110の範囲であってよく、好ましくはガソリンのRONは、少なくとも90、例えば90〜110の範囲であり、より好ましくはガソリンのRONは、少なくとも91、例えば91〜105の範囲であり、更により好ましくはガソリンのRONは、少なくとも92、例えば92〜103の範囲であり、更により好ましくはガソリンのRONは、少なくとも93、例えば93〜102の範囲であり、最も好ましくはガソリンのRONは、少なくとも94、例えば94〜100の範囲であり(EN−25164);ガソリンのモーターオクタン価(MON)は、好都合には、少なくとも70、例えば70〜110の範囲であってよく、好ましくはガソリンのMONは、少なくとも75、例えば75〜105の範囲であり、より好ましくはガソリンのMONは、少なくとも80、例えば80〜100の範囲であり、最も好ましくはガソリンのMONは、少なくとも82、例えば82〜95の範囲である(EN−25163)。
【0049】
通常は、ガソリンは、以下の群:飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、及び酸素化炭化水素の1以上から選択される成分を含む。好都合には、ガソリンに、飽和炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族炭化水素、及び場合によっては酸素化炭化水素の混合物を含ませることができる。
【0050】
通常は、ガソリンのオレフィン系炭化水素含量は、ガソリンを基準として0〜40体積%の範囲であり(ASTM−D1319);好ましくはガソリンのオレフィン系炭化水素含量は、ガソリンを基準として0〜30体積%の範囲であり、より好ましくはガソリンのオレフィン系炭化水素含量は、ガソリンを基準として0〜20体積%の範囲である。
【0051】
通常は、ガソリンの芳香族炭化水素含量は、ガソリンを基準として0〜70体積%の範囲であり(ASTM−D1319)、例えばガソリンの芳香族炭化水素含量は、ガソリンを基準として10〜60体積%の範囲であり;好ましくはガソリンの芳香族炭化水素含量は、ガソリンを基準として0〜50体積%の範囲であり、例えばガソリンの芳香族炭化水素含量は、ガソリンを基準として10〜50体積%の範囲である。
【0052】
ガソリンのベンゼン含量は、ガソリンを基準として最大で10体積%、より好ましくは最大で5体積%、特に最大で1体積%である。
ガソリンは、好ましくは低いか又は非常に低く、例えば最大で1000ppmw(重量ppm)、好ましくは500ppmw以下、より好ましくは100以下、更により好ましくは50以下、最も好ましくは更に10ppmw以下のイオウ含量を有する。
【0053】
ガソリンはまた、好ましくは最大で0.005g/Lのような低い全鉛含量を有し、最も好ましくは鉛を含まない−鉛化合物がそれに加えられていない(即ち無鉛である)。
ガソリンが酸素化炭化水素を含む場合には、非酸素化炭化水素の少なくとも一部は酸素化炭化水素の代わりに用いられる。ガソリンの酸素含量は、ガソリンを基準として35重量%以下(EN−1601)(例えばエタノール自体)であってよい。例えば、ガソリンの酸素含量は、25重量%以下、好ましくは10重量%以下であってよい。好都合には、酸素化物の濃度は、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、及び1.2重量%の任意の1つから選択される最小濃度、並びに5、4.5、4.0、3.5、3.0、及び2.7重量%の任意の1つから選択される最大濃度を有する。
【0054】
ガソリン中に含ませることができる酸素化炭化水素の例としては、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、及びそれらの誘導体、並びに酸素含有複素環式化合物が挙げられる。好ましくは、ガソリン中に含ませることができる酸素化炭化水素は、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、及び2−ブタノール)、エーテル(好ましくは分子あたり5個以上の炭素原子を含むエーテル、例えばメチルtert−ブチルエーテル及びエチルtert−ブチルエーテル)、並びにエステル(好ましくは分子あたり5個以上の炭素原子を含むエステル)から選択され;特に好ましい酸素化炭化水素はエタノールである。
【0055】
酸素化炭化水素がガソリン中に存在する場合には、ガソリン中の酸素化炭化水素の量は広範囲にわたって変化してよい。例えば、大割合の酸素化炭化水素を含むガソリン、例えばエタノールそれ自体及びE85、並びに小割合の酸素化炭化水素を含むガソリン、例えばE10及びE5は、現在、ブラジル及び米国のような複数の国において商業的に入手することができる。したがって、ガソリンは、100体積%以下の酸素化炭化水素を含んでいてよい。ブラジルにおいて用いられているE100燃料もまた、本発明に包含される。好ましくは、ガソリン中に存在する酸素化炭化水素の量は、ガソリンの所望の最終配合によって、以下の量:85体積%以下;70体積%以下;65体積%以下;30体積%以下;20体積%以下;15体積%以下;及び10体積%以下;の1つから選択される。好都合には、ガソリンは、少なくとも0.5、1.0、又は2.0体積%の酸素化炭化水素を含んでいてよい。
【0056】
好適なガソリンの例としては、0〜20体積%のオレフィン系炭化水素含量(ASTM−D1319)、0〜5重量%の酸素含量(EN−1601)、0〜50体積%の芳香族炭化水素含量(ASTM−D1319)、及び最大で1体積%のベンゼン含量を有するガソリンが挙げられる。
【0057】
生物学的供給源から誘導することができるガソリンブレンド成分も、本発明において用いるのに好適である。かかるガソリンブレンド成分の例は、WO−2009/077606、WO−2010/028206、WO−2010/000761、ヨーロッパ特許出願09160983.4、09176879.6、09180904.6、及び米国特許出願61/312307において見ることができる。
【0058】
本発明の液体燃料組成物がディーゼル基燃料を含む場合には、液体燃料組成物はディーゼル燃料組成物である。
本発明において基燃料として用いるディーゼル燃料としては、自動車用圧縮着火エンジン、並びに例えばオフロード、船舶、鉄道、及び定置エンジンのような他のタイプのエンジンにおいて用いるためのディーゼル燃料が挙げられる。本発明の液体燃料組成物において基燃料として用いるディーゼル燃料は、簡便に「ディーゼル基燃料」とも呼ぶこともできる。
【0059】
ディーゼル基燃料それ自体は2種類以上の異なるディーゼル燃料成分の混合物を含んでいてよく、及び/又は下記に記載するように添加処理することができる。
かかるディーゼル燃料は1種類以上の基燃料を含み、これには、通常は1種類又は複数の液体炭化水素中間留分軽油、例えば石油系の軽油を含ませることができる。かかる燃料は、通常は、グレード及び用途に応じて150〜400℃の通常のディーゼル範囲内の沸点を有する。これらは、通常は750〜1000kg/m
3、好ましくは780〜860kg/m
3の15℃における密度(例えば、ASTM−D4502又はIP−365)、並びに35〜120、より好ましくは40〜85のセタン価(ASTM−D613)を有する。これらは、通常は150〜230℃の範囲の初留点、及び290〜400℃の範囲の終点を有する。これらの40℃における動粘度(ASTM−D445)は、好適には1.2〜4.5mm
2/秒であってよい。
【0060】
石油系の軽油の例は、15℃において800〜820kg/m
3(SS−EN−ISO−3675、SS−EN−ISO−12185)の密度、320℃以下のT95(SS−EN−ISO−3405)、及び1.4〜4.0mm
2/秒の40℃における動粘度(SS−EN−ISO−3104)を有する、スウェーデン国内仕様EC1によって規定されるスウェーデンクラス1基燃料である。
【0061】
場合によっては、バイオ燃料又はフィッシャー・トロプシュ誘導燃料のような非鉱油系の燃料も、ディーゼル燃料を形成するか、又はその中に存在させることができる。かかるフィッシャー・トロプシュ燃料は、例えば、天然ガス、天然ガス液体、石油又はシェールオイル、石油又はシェールオイル処理残渣、石炭、或いはバイオマスから誘導することができる。
【0062】
ディーゼル燃料中において用いるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料の量は、ディーゼル燃料全体の0体積%〜100体積%、好ましくは5体積%〜100体積%、より好ましくは5体積%〜75体積%であってよい。かかるディーゼル燃料は、10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更により好ましくは30体積%以上のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料を含むことが望ましい可能性がある。かかるディーゼル燃料は、30〜75体積%、特に30〜70体積%のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料を含むことが特に好ましい。ディーゼル燃料の残りは、1種類以上の他のディーゼル燃料成分で構成される。
【0063】
かかるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、(場合によっては水素化分解した)フィッシャー・トロプシュ合成生成物から単離することができる中間留分燃料範囲の任意のフラクションである。通常のフラクションは、ナフサ、灯油、又は軽油範囲の沸点を有する。好ましくは、灯油又は軽油範囲の沸点を有するフィッシャー・トロプシュ生成物を用いる。これは、これらの生成物は例えば国内環境で取り扱うのがより容易であるからである。かかる生成物は、好適には、90重量%より多い、160〜400℃の間、好ましくは約370℃までの沸点を有するフラクションを含む。フィッシャー・トロプシュ誘導灯油及び軽油の例は、EP−A−0583836、WO−A−97/14768、WO−A−97/14769、WO−A−00/11116、WO−A−00/11117、WO−A−01/83406、WO−A−01/83648、WO−A−01/83647、WO−A−01/83641、WO−A−00/20535、WO−A−00/20534、EP−A−1101813、US−A−5766274、US−A−5378348、US−A−5888376、及びUS−A−6204426に記載されている。
【0064】
フィッシャー・トロプシュ生成物は、好適には80重量%より多く、より好適には95重量%より多いイソ及びn−パラフィン、並びに1重量%未満の芳香族化合物を含み、残りはナフテン系化合物である。イオウ及び窒素の含量は非常に低く、通常はかかる化合物に関する検出限界以下である。この理由のために、フィッシャー・トロプシュ生成物を含むディーゼル燃料組成物のイオウ含量は非常に低くすることができる。
【0065】
ディーゼル燃料組成物は、好ましくは5000ppmw以下のイオウ、より好ましくは500ppmw以下、又は350ppmw以下、又は150ppmw以下、又は100ppmw以下、又は70ppmw以下、又は50ppmw以下、又は30ppmw以下、又は20ppmw以下、或いは最も好ましくは10ppmw以下のイオウを含む。
【0066】
本発明において用いるための他のディーゼル燃料成分としては、生物材料から誘導される所謂「バイオ燃料」が挙げられる。例としては脂肪酸アルキルエステル(FAAE)が挙げられる。かかる成分の例は、WO−2008/135602において見ることができる。
【0067】
ディーゼル基燃料は、それ自体添加処理する(添加剤を含む)か、又は添加処理しない(添加剤を含まない)ことができる。例えば精油所において添加処理する場合には、これは、例えば静電防止剤、パイプライン抵抗減少剤、流動性向上剤(例えばエチレン/酢酸ビニルコポリマー、又はアクリレート/無水マレイン酸コポリマー)、潤滑添加剤、酸化防止剤、及びワックス沈降防止剤から選択される少量の1種類以上の添加剤を含む。
【0068】
本発明にとって重要ではないが、本発明の基燃料又は液体燃料組成物には、上述の必須の1種類以上の有機UVフィルター化合物及び1種類以上のエステル共添加剤化合物に加えて、1種類以上の随意的な燃料添加剤を、性能添加剤パッケージの一部としてか、又は他の形態で好都合に含ませることができる。本発明の基燃料又は液体燃料組成物中に含ませることができる1種類又は複数の随意的な燃料添加剤の濃度及び性質は重要ではない。
【0069】
ガソリン添加剤:
本発明の基ガソリン、又は性能添加剤パッケージ、又はガソリン組成物、或いは添加剤ブレンド中に含ませることができる好適なタイプの燃料添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤、腐食抑制剤、洗浄剤、防曇剤、アンチノック添加剤、金属不活性化剤、バルブシートリセッション防止化合物、染料、溶媒、キャリア流体、希釈剤、及びマーカーが挙げられる。好適なかかる添加剤の例は、米国特許5,855,629において概説されている。
【0070】
好都合には、燃料添加剤を1種類以上の溶媒とブレンドして添加剤濃縮液を形成することができ、添加剤濃縮液を次に基ガソリン又は本発明のガソリン組成物と混合することができる。
【0071】
本発明の基ガソリン又は本発明のガソリン組成物中に存在する任意の随意的な添加剤の(活性物質)濃度は、好ましくは1重量%以下、より好ましくは5〜2000ppmwの範囲、有利には300〜1500ppmw、例えば300〜1000ppmwの範囲である。
【0072】
上述したように、ガソリン組成物には、合成又は鉱物キャリアオイル及び/又は溶媒を含ませることもできる。
好適な鉱物キャリアオイルの例は、例えばSN−500〜2000クラスの粘度を有するブライトストック又は基油のような原油処理において得られるフラクション;並びに芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素、及びアルコキシアルカノールである。鉱油の精製において得られ、「水素化分解油」(高圧下で接触水素化し、異性化し、且つ脱パラフィン化した天然鉱油から得られる、約360〜500℃の沸点範囲を有する真空蒸留留分)として知られるフラクションも、鉱物キャリアオイルとして有用である。
【0073】
好適な合成キャリアオイルの例は、ポリオレフィン(ポリ−α−オレフィン、又はポリ(内部オレフィン))、(ポリ)エステル、(ポリ)アルコキシレート、ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、アルキルフェノール出発ポリエーテル、アルキルフェノール出発ポリエーテルアミン、及び長鎖アルカノールのカルボン酸エステルである。
【0074】
好適なポリオレフィンの例は、特にポリブテン又はポリイソブテン(水素化又は非水素化)ベースのオレフィンポリマーである。
好適なポリエーテル又はポリエーテルアミンの例は、好ましくは、C
2〜C
60アルカノール、C
6〜C
30アルカンジオール、モノ−又はジ−C
2〜C
30アルキルアミン、C
1〜C
30アルキルシクロヘキサノール、又はC
1〜C
30アルキルフェノールを、ヒドロキシル基又はアミノ基あたり1〜30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと反応させ、ポリエーテルアミンの場合には続いてアンモニア、モノアミン、又はポリアミンによって還元的アミノ化することによって得られるポリオキシ−C
2〜C
4アルキレン基を含む化合物である。かかる生成物は、特にEP−A−310875、EP−A−356725、EP−A−700985、及びUS−A−4,877,416に記載されている。例えば、用いるポリエーテルアミンは、ポリ−C
2〜C
6アルキレンオキシドアミン、又はその官能性誘導体であってよい。その代表例は、トリデカノールブトキシレート、又はイソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレート、並びにポリイソブテノールブトキシレート及びプロポキシレート、並びにアンモニアとの対応する反応生成物である。
【0075】
長鎖アルカノールのカルボン酸エステルの例は、特に、特にDE−A−3838918において記載されているモノ−、ジ−、又はトリカルボン酸と、長鎖アルカノール又はポリオールのエステルである。用いるモノ−、ジ−、又はトリカルボン酸は、脂肪族又は芳香族酸であってよく;好適なエステルアルコール又はポリオールは、特に、例えば6〜24個の炭素原子を有する長鎖の典型例である。エステルの通常の典型例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、及びイソトリデカノールのアジペート、フタレート、イソフタレート、テレフタレート、及びトリメリテート、例えばジ−(n−又はイソトリデシル)フタレートである。
【0076】
更なる好適なキャリアオイル系は、例えばDE−A−3826608、DE−A−4142241、DE−A−4309074、EP−A−0452328、及びEP−A−0548617(参照の目的で本明細書中に包含する)に記載されている。
【0077】
特に好適な合成キャリアオイルの例は、約5〜35、例えば約5〜30の、例えばプロピレンオキシド、n−ブチレンオキシド、及びイソブチレンオキシド単位、又はこれらの混合物から選択されるC
3〜C
6アルキレンオキシド単位を有するアルコール出発ポリエーテルである。好適な出発アルコールの非限定的な例は、長鎖アルキル基によって置換されている長鎖アルカノール又はフェノール(ここで、長鎖アルキル基は、特に直鎖又は分岐のC
6〜C
18アルキル基である)である。好ましい例としては、トリデカノール及びノニルフェノールが挙げられる。
【0078】
更なる好適な合成キャリアオイルは、DE−A−10102913.6に記載されているアルコキシル化アルキルフェノールである。
鉱物キャリアオイル、合成キャリアオイル、並びに鉱物及び合成キャリアオイルの混合物を用いることもできる。
【0079】
燃料中において用いるのに好適な任意の溶媒及び場合によっては共溶媒を用いることができる。燃料中において用いるのに好適な溶媒の例としては、灯油、重質芳香族溶媒(「重質ソルベントナフサ」、「Solvesso 150」)、トルエン、キシレン、パラフィン、石油、ホワイトスピリット、Shell Companiesによって"SHELLSOL"の商標で販売されているものなどのような非極性炭化水素溶媒が挙げられる。好適な共溶媒の例としては、エステル、及び特にアルコール(例えば、t−ブタノール、i−ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘプタノール、デカノール、イソトリデカノール、ブチルグリコール、並びに、Shell Companiesによって「LINEVOL」の商標で販売されているもの、特にC
7〜9第1級アルコールの混合物であるLINEVOL 79アルコール、又は商業的に入手できるC
12〜14アルコール混合物のようなアルコール混合物)のような極性溶媒が挙げられる。
【0080】
液体燃料中において用いるのに好適な防曇剤/解乳化剤は当該技術において周知である。非限定的な例としては、グリコールオキシアルキレートポリオールブレンド(例えばTOLAD(登録商標)9312の商品名で販売されている)、アルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー、C
1〜18エポキシド及びジエポキシドによるオキシアルキル化によって変性されているフェノール/ホルムアルデヒド又はC
1〜18アルキルフェノール/−ホルムアルデヒド樹脂オキシアルキレート(例えばTOLAD(登録商標)9308の商品名で販売されている)、並びにジエポキシド、二酸、ジエステル、ジオール、ジアクリレート、ジメタクリレート、又はジイソシアネートによって架橋されているC
1〜4エポキシドコポリマー、並びにこれらのブレンドが挙げられる。グリコールオキシアルキレートポリオールブレンドは、C
1〜4エポキシドでオキシアルキル化されているポリオールであってよい。C
1〜18エポキシド及びジエポキシドによるオキシアルキル化によって変性されているC
1〜18アルキルフェノール/−ホルムアルデヒド樹脂オキシアルキレートは、例えば、クレゾール、t−ブチルフェノール、ドデシルフェノール、又はジノニルフェノール、或いはフェノール類の混合物(例えば、t−ブチルフェノールとノニルフェノールの混合物)をベースとするものであってよい。防曇剤は、防曇剤を有しないガソリンが水と接触した際に生じる可能性がある曇りを抑制するのに十分な量で用いなければならず、この量はここでは「曇り抑制量」と呼ぶ。一般に、この量は、ガソリンの重量を基準として約0.1〜約20ppmw(例えば約0.1〜約10ppm)、より好ましくは1〜15ppmw、更により好ましくは1〜10ppmw、有利には1〜5ppmwである。
【0081】
ガソリン中において用いるための更なる通常的な添加剤は、例えば、有機カルボン酸のアンモニウム塩(かかる塩はフィルムを形成する傾向がある)をベースとするか、或いは非鉄金属の腐食保護のためには複素環式芳香族化合物の腐食抑制剤;例えばフェニルジアミン、例えばp−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニルジアミン、ジシクロヘキシルアミン、又はこれらの誘導体のようなアミンをベースとするか、或いは2,4−ジ−tert−ブチルフェノール又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の酸化防止剤又は安定剤;静電防止剤;フェロセンのようなメタロセン;メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル;特定の脂肪酸、アルケニルコハク酸エステル、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン、ヒドロキシアセトアミド、又はヒマシ油のような潤滑添加剤;並びに染料(マーカー);である。また、例えばWO−03/076554に記載されているように、適当な場合にはアミンを加えることもできる。場合によっては、ポリマー有機酸のナトリウム又はカリウム塩のようなバルブシートリセッション防止添加剤を用いることができる。
【0082】
本発明におけるガソリン組成物にはまた、洗浄剤添加剤を含ませることもできる。好適な洗浄剤添加剤としては、WO−2009/50287(参照として本明細書中に包含する)において開示されているものが挙げられる。
【0083】
本発明におけるガソリン組成物中において用いるのに好ましい洗浄剤添加剤は、通常は、85〜20,000の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つの疎水性炭化水素基、並びに、
(A1)その少なくとも1つの窒素原子は塩基性を有する、6個以下の窒素原子を有するモノ−又はポリアミノ基;
(A6)ヒドロキシル基、その少なくとも1つの窒素原子は塩基性を有するモノ−又はポリアミノ基、或いはカルバメート基によって末端停止されているポリオキシ−C
2〜C
4アルキレン基;
(A8)無水コハク酸から誘導され、ヒドロキシル及び/又はアミノ及び/又はアミド及び/又はイミド基を有する基;及び/又は
(A9)置換フェノールのアルデヒド及びモノ又はポリアミンとのマンニッヒ反応によって得られる基;
から選択される少なくとも1つの極性基を有する。
【0084】
ベース流体中における適度の溶解性を確保する上記の洗浄剤添加剤中の疎水性炭化水素基は、85〜20,000、特に113〜10,000、特に300〜5000の数平均分子量(Mn)を有する。特に極性基(A1)、(A8)、及び(A9)と組み合わせる通常の疎水性炭化水素基としては、それぞれ300〜5000、好ましくは500〜2500、より好ましくは700〜2300、特に700〜1000のMnを有するポリアルケン(ポリオレフィン)、例えばポリプロペニル、ポリブテニル、及びポリイソブテニル基が挙げられる。
【0085】
洗浄剤添加剤の上記の群の非限定的な例としては以下のものが挙げられる。
モノ−又はポリアミノ基(A1)を含む添加剤は、好ましくは、300〜5000のMnを有するポリプロペン又は通常の(即ち主として内部二重結合を有する)ポリブテン若しくはポリイソブテンをベースとするポリアルケンモノ−又はポリアルケンポリアミンである。主として(通常はβ及びγ位置に)内部二重結合を有するポリブテン又はポリイソブテンを添加剤の製造において出発材料として用いる場合には、可能な製造経路は、塩素化して次にアミノ化することによるか、或いは空気又はオゾンによって二重結合を酸化してカルボニル又はカルボキシル化合物を与え、次に還元性(水素化)条件下でアミノ化することによる。アミノ化のために本発明において用いるアミンは、例えば、アンモニア、モノアミン又はポリアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、又はテトラエチレンペンタアミンであってよい。ポリプロペンをベースとする対応する添加剤は、特にWO−A−94/24231に記載されている。
【0086】
モノアミノ基(A1)を含む更なる好ましい添加剤は、特にWO−A−97/03946に記載されている、5〜100の平均重合度を有するポリイソブテンと窒素酸化物又は窒素酸化物と酸素の混合物との反応生成物の水素化生成物である。
【0087】
モノアミノ基(A1)を含む更なる好ましい添加剤は、特にDE−A−19620262に記載されている、アミンと反応させ、次に脱水、及びアミノアルコールを還元することによってポリイソブテンエポキシドから得られる化合物である。
【0088】
ポリオキシ−C
2〜C
4アルキレン基(A6)を含む添加剤は、好ましくは、C
2〜C
60アルカノール、C
6〜C
30アルカンジオール、モノ−又はジ−C
2〜C
30アルキルアミン、C
1〜C
30アルキルシクロヘキサノール、又はC
1〜C
30アルキルフェノールを、ヒドロキシル基又はアミノ基あたり1〜30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドと反応させ、及びポリエーテルアミンの場合には、次にアンモニア、モノアミン、又はポリアミンで還元的アミノ化することによって得られるポリエーテル又はポリエーテルアミンである。かかる生成物は、特にEP−A−310875、EP−A−356725、EP−A−700985、及びUS−A−4877416に記載されている。ポリエーテルの場合には、かかる生成物はまたキャリアオイル特性も有する。これらの代表例は、トリデカノールブトキシレート、イソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレート、及びポリイソブテノールブトキシレート、並びにプロポキシレート、並びにアンモニアとの対応する反応生成物である。
【0089】
無水コハク酸から誘導され、ヒドロキシル及び/又はアミノ及び/又はアミド及び/又はイミド基(A8)を有する基を含む添加剤は、好ましくは、300〜5000のMnを有する通常又は高反応性のポリイソブテンを、熱ルートによるか、又は塩素化ポリイソブテンを介して無水マレイン酸と反応させることによって得られるポリイソブテニルコハク酸無水物の対応する誘導体である。エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、又はテトラエチレンペンタアミンのような脂肪族ポリアミンによる誘導体が特に興味深い。かかる添加剤は、特にUS−A−4849572に記載されている。
【0090】
置換フェノール類とアルデヒド及びモノ又はポリアミンのマンニッヒ反応によって得られる基(A9)を含む添加剤は、好ましくは、ポリイソブテン置換フェノール類と、ホルムアルデヒド、及びモノ又はポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、又はジメチルアミノプロピルアミンの反応生成物である。ポリイソブテニル置換フェノール類は、300〜5000のMnを有する通常又は高反応性のポリイソブテンから生成させることができる。かかる「ポリイソブテンマンニッヒ塩基」は、特にEP−A−831141に記載されている。
【0091】
好ましくは、本発明のガソリン組成物中において用いる洗浄剤添加剤は、少なくとも1種類の窒素含有洗浄剤、より好ましくは300〜5000の範囲の数平均分子量を有する疎水性炭化水素基を含む少なくとも1種類の窒素含有洗浄剤を含む。好ましくは、窒素含有洗浄剤は、ポリアルケンモノアミン、ポリエーテルアミン、ポリアルケンマンニッヒアミン、及びポリアルケンスクシンイミドを含む群から選択される。好都合には、窒素含有洗浄剤はポリアルケンモノアミンであってよい。
【0092】
上記の窒素含有洗浄剤/アミン洗浄剤は、反応させて、それ自体を別の洗浄剤として用いることができる第4級アンモニウム塩を形成することができる。ガソリン燃料組成物中において用いるのに好適な第4級アンモニウム塩としては、WO−2006/135881、WO−2011/149799、GB−A−2493377、US−2013/296210、及びUS−2013/225463に開示されているものが挙げられる。
【0093】
ガソリン燃料及びガソリン性能パッケージ組成物にはまた、WO−2012163935に開示されているもののような摩擦調整剤、粘度制御剤、及びこれらの混合物を含ませることもできる。
【0094】
上記において、成分の量(濃度、体積%、ppmw、重量%)は、活性物質のもの、即ち揮発性溶媒/希釈剤材料を除外したものである。
ディーゼル添加剤:
洗浄剤を含むディーゼル燃料添加剤は公知であり、商業的に入手できる。かかる添加剤は、エンジン付着物の蓄積を減少、除去、又は遅延させることを意図するレベルでディーゼル燃料に加えることができる。
【0095】
本目的のためにディーゼル燃料添加剤において用いるのに好適な洗浄剤の例としては、ポリオレフィン置換スクシンイミド、又はポリアミンのスクシンアミド、例えばポリイソブチレンスクシンイミド、又はポリイソブチレンアミンスクシンアミドが挙げられる。スクシンイミド分散剤添加剤は、例えばGB−A−960493、EP−A−0147240、EP−A−0482253、EP−A−0613938、EP−A−0557516、及びWO−A−98/42808に記載されている。ポリイソブチレンスクシンイミドのようなポリオレフィン置換スクシンイミドが特に好ましい。
【0096】
本目的のためにディーゼル燃料添加剤において用いるのに好適な洗浄剤の他の例としては、85〜20,000の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つの疎水性炭化水素基、並びに
(A1)その少なくとも1つの窒素原子は塩基性を有する、6個以下の窒素原子を有するモノ又はポリアミノ基;及び/又は
(A9)置換フェノール類とアルデヒド及びモノ又はポリアミンのマンニッヒ反応によって得られる基;
から選択される少なくとも1つの極性基を有する化合物が挙げられる。
【0097】
本目的のためにディーゼル燃料添加剤において用いるのに好適な他の洗浄剤としては、US2012/0102826、US2012/0010112、WO2011/149799、WO2011/110860、WO2011/095819、及びWO2006/135881において開示されているもののような第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0098】
ディーゼル燃料添加剤混合物には、洗浄剤に加えて他の成分を含ませることができる。例は、潤滑性向上剤;防曇剤、例えばアルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー;消泡剤(例えばポリエーテル変性ポリシロキサン);着火改善剤(セタン価向上剤)(例えば、2−エチルヘキシルニトレート(EHN)、シクロヘキシルニトレート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、WO96/03397及びWO99/32584において開示されているペルオキシド化合物、及びUS−A−4208190の2欄27行〜3欄21行に開示されている着火改善剤);防錆剤(例えば、テトラプロペニルコハク酸のプロパン−1,2−ジオールセミエステル、或いはそのα−炭素原子の少なくとも1つの上に20〜500個の炭素原子を含む非置換又は置換脂肪族炭化水素基を有するコハク酸誘導体の多価アルコールエステル、例えばポリイソブチレン−置換コハク酸のペンタエリトリトールジエステル);腐食抑制剤;消臭剤;耐摩耗添加剤:酸化防止剤(例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノールのようなフェノール類、又はN,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンのようなフェニレンジアミン類);金属不活性化剤;燃焼改善剤;静電気放散剤:低温流動向上剤;及び、ワックス沈降防止剤;である。
【0099】
ディーゼル燃料添加剤混合物には、特にディーゼル燃料組成物が低い(例えば500ppmw以下の)イオウ含量を有する場合に潤滑性向上剤を含ませることができる。添加処理したディーゼル燃料組成物においては、潤滑性向上剤は、好都合には、1000ppmw未満、好ましくは50〜1000ppmwの間、より好ましくは70〜1000ppmwの間の濃度で存在する。好適な商業的に入手できる潤滑性向上剤としては、エステル及び酸ベースの添加剤が挙げられる。他の潤滑性向上剤は、特許文献において、特に低イオウ含量のディーゼル燃料におけるそれらの使用に関しては、例えば
・Danping Wei及びH.A. Spikesによる論文:"The Lubricity of Diesel Fuels", Wear, III (1986) 217-235;
・WO−A−95/33805:低イオウ燃料の潤滑性を向上させるための低温流動性改良剤;
・US−A−5490864:低イオウディーゼル燃料用の耐摩耗潤滑添加剤としての特定のジチオリン酸ジエステルジアルコール;及び
・WO−A−98/01516:特に低イオウディーゼル燃料において耐摩耗潤滑効果を与えるための、少なくとも1つのカルボキシル基がそれらの芳香核に結合している特定のアルキル芳香族化合物;
に記載されている。
【0100】
また、ディーゼル燃料組成物は、消泡剤を、より好ましくは防錆剤及び/又は腐食抑制剤及び/又は潤滑性向上添加剤と組み合わせて含むことが好ましい可能性もある。
他に示さない限りにおいて、添加処理したディーゼル燃料組成物中のそれぞれのかかる随意的な添加剤成分の(活性物質)濃度は、好ましくは10000ppmw以下、より好ましくは0.1〜1000ppmw、有利には0.1〜300ppmw、例えば0.1〜150ppmwの範囲である。
【0101】
ディーゼル燃料組成物中における任意の防曇剤の(活性物質)濃度は、好ましくは0.1〜20ppmw、より好ましくは1〜15ppmw、更により好ましくは1〜10ppmw、特に1〜5ppmwの範囲である。存在する任意の着火改善剤(例えば2−EHN)の(活性物質)濃度は、好ましくは2600ppmw以下、より好ましくは2000ppmw以下、更により好ましくは300〜1500ppmwである。ディーゼル燃料組成物中における任意の洗浄剤の(活性物質)濃度は、好ましくは5〜1500ppmw、より好ましくは10〜750ppmw、最も好ましくは20〜500ppmwの範囲である。
【0102】
例えばディーゼル燃料組成物の場合には、燃料添加剤混合物は、通常は洗浄剤を、場合によっては上記に記載した他の成分、並びに、鉱油、Shell companiesによって"SHELLSOL"の商標で販売されているもののような溶媒、エステル、及び特にアルコール、例えばヘキサノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、イソトリデカノール、並びに、Shell Companiesによって「LINEVOL」の商標で販売されているもの、特にC
7〜9第1級アルコールの混合物であるLINEVOL 79アルコール、又は商業的に入手できるC
12〜14アルコール混合物のようなアルコール混合物のような極性溶媒であってよいディーゼル燃料相溶性の希釈剤と一緒に含む。
【0103】
ディーゼル燃料組成物中における添加剤の総含量は、好適には0〜10000ppmwの間、好ましくは5000ppmwより低くてよい。
上記において、成分の量(濃度、体積%、ppmw、重量%)は、活性物質のもの、即ち揮発性溶媒/希釈剤材料を除外したものである。
【0104】
液体燃料組成物の製造方法:
本発明の液体燃料組成物は、必須成分の1種類以上の有機UVフィルター化合物及び1種類以上のエステル共添加剤化合物を、好ましくは添加剤性能パッケージと一緒に、内燃エンジンにおいて用いるのに好適なガソリン又はディーゼル基燃料と混合することによって製造することができる。
【0105】
ガソリン組成物中において1種類以上の有機UVフィルター化合物を用いることによって、液体基燃料を燃料供給される内燃エンジンと比べて、かかる有機UVフィルター化合物を含む液体燃料組成物を燃料供給される内燃エンジンの向上した出力、向上した加速性、及び増加した火炎伝搬速度の点での利益が与えられる。
【0106】
ディーゼル組成物中において1種類以上の有機UVフィルター化合物を用いることによって、増加したセタン価、調整された着火遅れ、及び/又は調整された燃焼期間の点での利益が与えられる。
【0107】
1種類以上のエステル共添加剤を加えることにより、添加剤ブレンド及び/又は液体燃料組成物中における有機UVフィルター化合物の溶解度を向上させることによって、本発明の添加剤ブレンド及び液体燃料組成物の安定性が向上することが見出された。
【実施例】
【0108】
本発明は以下の実施例から更に理解される。他に示さない限りにおいて、実施例において開示される全ての量及び濃度は、完全配合燃料組成物の重量を基準とするものである。
実施例1〜16:
本発明の組成物の向上した安定性を示すために、複数の添加剤ブレンドを調製した。
【0109】
本実施例において用いた有機UVフィルター化合物は、エチルヘキシルジメチルPABA(EHDPABA)(DSMからEscalol 507/Padimate Oの商品名で商業的に入手できる)、及びオクトクリレン(OC)(DSMからEscalol 567の商品名で商業的に入手できる)であった。
【0110】
本実施例において用いたエステル共添加剤化合物は、C
12〜C
15アルキルエチルヘキサノエート(InnospecからActivemol EH-25の商品名で商業的に入手できる)、ビス(2−エチルヘキシル)マレエート(InnospecからActivemol DOM-Rの商品名で商業的に入手できる)、ジプロピレングリコールジベンゾエート(InnospecからFinsolv PG-22の商品名で商業的に入手できる)、及び2−エチル−1−ヘキサノールベンゾエート(InnospecからFinsolve EBの商品名で商業的に入手できる)であった。
【0111】
実施例9〜16において用いた溶媒は、エチルヘキサノール及びShell Chemicalsから商業的に入手できるShellsol A150であった。
UVフィルター化合物(EHDPABA又はOC)を含む有機UVフィルター、エステル共添加剤化合物、及び性能添加剤パッケージのそれぞれに関して添加剤ブレンドを形成した。それぞれの添加剤ブレンドに関して、性能添加剤パッケージは同じであり、ガソリン燃料組成物において用いるのに好適な洗浄剤添加剤パッケージであった。
【0112】
低い温度におけるブレンドの安定性をチェックするために、ブレンドを−20℃において6週間貯蔵した。分析は視認検査であり、6週間の試験期間の後において混合物がどの程度明澄又は曇っていたか、及び存在する分離又は沈澱を記録した。
【0113】
実施例1〜8
実施例1〜8は、全て有機UVフィルター化合物としてEHDPABAを含んでいた。EHDPABAは、性能添加剤パッケージ中で試験したすべての有機UVフィルターのうち最も安定なものの1つであった。これは、周囲温度で50%v/v(50%のEHDPABA、及び50%の性能添加剤パッケージ)において僅かな曇りしか与えず、−20℃において4週間後に若干の分離を示した。したがって、本実施例においては、同等のレベルのEHDPABA及び性能添加剤パッケージが存在するか、或いはより高いレベルのEHDPABA(1:1及び3:4の性能添加剤パッケージ:EHDPABAの比)が存在するようにEHDPABAをブレンドした。より高いレベルのEHDPABAとのブレンドにおいては、より多い量の共添加剤も用いた。
【0114】
全てのブレンドは6週間の実験の経過時間の間、明澄のままであった。
【0115】
【表1】
【0116】
実施例9〜16:
実施例9〜16は、全て有機UVフィルター化合物としてオクトクリレン(OC)を含んでいた。OCは、10%及び20%の処理率(9:1及び4:1の添加剤パッケージ:OCの比)において性能添加剤パッケージ中に可溶であり、僅かに曇った黄色の溶液を与えた。いずれも周囲温度において安定のままであったが、−20℃においては、これらはそれぞれ5日後に分離を示した。
【0117】
実施例9〜16に関しては、2:1〜11:6の性能添加剤パッケージ:2:1又は11:6のOCの比を選択し、11:6のブレンドはブレンド中により高いレベルのエステル共添加剤化合物を有しており、全てのブレンドは少量の更なる溶媒を有していた。
【0118】
全てのブレンドは、−20℃において6週間の実験の経過時間の間、明澄のままであった。
【0119】
【表2】
【0120】
結論:
実施例1〜16は、エステル共添加剤を加えることによって、特に−20℃のような低い温度における1種類以上の有機UVフィルター化合物を含む添加剤ブレンドにおける安定性の向上を与えることができることを示す。
出願時の特許請求の範囲の内容を下記に記載する。
[1]
(a)内燃エンジンにおいて用いるのに好適な基燃料;
(b)液体燃料組成物の重量基準で10ppmw〜2重量%の範囲の、1種類以上の有機UVフィルター化合物;及び
(c)液体燃料組成物の重量基準で0.001重量%〜0.5重量%の範囲の、グリコールと安息香酸のエステル、モノアルコールと安息香酸のエステル、ポリアルコールと安息香酸のエステル、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとモノカルボン酸のエステル、及びC
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとジカルボン酸のエステルから選択される1種類以上のエステル共添加剤化合物;
を含む液体燃料組成物。
[2]
グリコールと安息香酸のエステルが、安息香酸と、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されるグリコールの反応によって製造される、前記1に記載の液体燃料組成物。
[3]
モノアルコールと安息香酸のエステルが、安息香酸と、C
3〜C
16分岐鎖モノアルコール又はC
2〜C
16直鎖モノアルコールの反応から製造される、前記1に記載の液体燃料組成物。
[4]
ポリアルコールと安息香酸のエステルが、安息香酸と、グリセロール、TMPアルコール、ペンタエリトリトール、及びこれらの混合物から選択されるポリアルコールの反応から製造される、前記1に記載の液体燃料組成物。
[5]
C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸が2−エチルヘキサン酸であり、C
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸がマレイン酸である、前記1に記載の液体燃料組成物。
[6]
1種類以上の有機UVフィルター化合物が、(i)アルキルβ,β−ジフェニルアクリレート、及び/又はα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;(ii)サリチル酸誘導体;(iii)桂皮酸誘導体;(iv)ジベンゾイルメタン誘導体;(v)カンファー誘導体;(vi)ベンゾフェノン誘導体;(vii)p−アミノ安息香酸誘導体;(viii)フェナルキルベンゾエート誘導体;及び(ix)イミダゾール類、トリアジン類、トリアゾン類、及びトリアゾール類から選択される窒素含有複素環式誘導体;並びにこれらの混合物から選択される、前記1〜5のいずれかに記載の液体燃料組成物。
[7]
1種類以上の有機UVフィルター化合物と1種類以上のエステル共添加剤化合物との重量比が90:10〜10:90の範囲である、前記1〜6のいずれかに記載の液体燃料組成物。
[8]
基燃料がガソリン基燃料又はディーゼル基燃料から選択される、前記1〜7のいずれかに記載の液体燃料組成物。
[9]
(i)1種類以上の有機UVフィルター化合物;(ii)グリコールと安息香酸のエステル、モノアルコールと安息香酸のエステル、ポリアルコールと安息香酸のエステル、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとモノカルボン酸のエステル、及びC
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとジカルボン酸のエステル、並びにこれらの混合物から選択される1種類以上のエステル共添加剤化合物;並びに1種類以上の洗浄剤;を含む、液体燃料組成物中において用いるのに好適な添加剤ブレンド。
[10]
セタン価向上剤、腐食抑制剤、及びこれらの混合物から選択される1種類以上の添加剤化合物を更に含む、前記9に記載の添加剤ブレンド。
[11]
1種類以上の溶媒を更に含む、前記9又は10に記載の添加剤ブレンド。
[12]
(a)内燃エンジンにおいて用いるのに好適な基燃料;
(b)前記9〜11のいずれかに記載の添加剤ブレンド;
を含む液体燃料組成物。
[13]
1種類以上の有機UVフィルター化合物の特に5℃以下の温度での液体燃料組成物中における溶解度を増加させるための、グリコールと安息香酸のエステル、モノアルコールと安息香酸のエステル、ポリアルコールと安息香酸のエステル、C
4〜C
18分岐又は直鎖モノカルボン酸とC
4〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとモノカルボン酸のエステル、及びC
4〜C
12分岐又は直鎖ジカルボン酸とC
3〜C
18分岐又は直鎖モノアルコールの反応によって製造されるモノアルコールとジカルボン酸のエステルから選択される1種類以上のエステル共添加剤化合物の使用。