(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収性材料が、前記吸収性材料の少なくとも70重量%の超吸収性ポリマー粒子を含み、前記吸収性コアが、2g〜50gの超吸収性ポリマー粒子を含む、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
前記コアラップ内の前記吸収性材料の周縁部が、吸収性材料堆積エリア(8)を画定し、前記吸収性材料堆積エリアが、矩形であるか、又は股ポイント(C’)において、前記コアの残りの部分における前記吸収性材料堆積エリアの最大幅よりも狭い幅を伴って成形されるかのいずれかであり、前記股ポイントが、前記コアの前記長手方向軸(80’)上に前記吸収性コアの前縁部(280)からL”の5分の2(2/5)の距離にて配置される点として画定される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
前記吸収性コアが第1の吸収性層及び第2の吸収性層を備え、前記第1の吸収性層が第1の基材(16)及び超吸収性ポリマー粒子の第1の層(61)を備え、前記第2の吸収性層が第2の基材(16’)及び超吸収性ポリマー粒子の第2の層(62)を備え、かつ繊維状の熱可塑性接着材料(51)が、超吸収性ポリマー粒子の各層をそれらの対応する基材に少なくとも部分的に結合させ、前記第1の基材及び前記第2の基材が、前記コアラップの上側及び底側を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性コア。
前記得られた超吸収性ポリマー粒子は、本明細書に記載のK(t)試験に従って測定するとき、200秒未満の20g/gの吸収達成時間(T20)と、少なくとも28g/gの20分でのSAPの吸収(U20)とを有する、請求項13又は14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序論
本明細書で使用する場合、用語「個人衛生用の吸収性物品」は、身体から排出された排泄物を吸収及び収容するように着用者の身体に当接又は近接させて配置される、乳児用おむつ、幼児用トレーニングパンツ、成人用失禁用製品、又は婦人衛生用生理用ナプキンなどの使い捨て用具を指す。本発明の吸収性物品について、以下の説明にて、そして図にて、テープ付きおむつの形態で更に説明することにする。しかしながら、この説明におけるいかなる内容も、別段の明確な指示がない限り、特許請求の範囲を制限するものとみなされるべきではない。
【0012】
本明細書で使用する場合、「不織布ウェブ」とは、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合させた、指向性に又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又は打延べ綿シートを意味し、紙、及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフト加工品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mmを超える範囲の直径を有し、短繊維(ステープル又はチョップドとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、未撚連続フィラメント束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などの、いくつかの異なる形態で提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くの方法によって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m
2又はgsm)で表される。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「接合された」又は「結合された」又は「付着された」は、例えば、糊付けによって、ある要素を別の要素に直接貼り付けることによりその要素が別の要素に直接固定される構成と、ある要素を中間部材に貼り付け、次に中間部材を他の要素に貼り付けることにより、その要素が別の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0014】
「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、及び「備える(comprises)」は、非限定的な用語であり、それぞれの語の後に記載されるもの(例えば、構成要素)の存在を特定するものであるが、他の特徴(例えば、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素)の存在を除外するものではない。動詞「備える(comprise)」に基づくこれらの用語は、明記されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する「からなる」、並びに、明記された材料又は工程及び、要素がその機能を実施する方式に実質的に影響を与えないものに要素の範囲を限定する「本質的に〜からなる」という、より狭義の用語を包含するものとして読まれるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特記事項がない限り、特許請求の範囲を制限しない。「典型的には」、「通常は」、「有利には」などの語もまた、明確な指定がない限り、特許請求の範囲を制限することが意図されない要素を修飾する。
【0015】
吸収性コア28の概説
本発明の吸収性コアは、典型的には、前述の型の吸収性物品において使用するために作製される。吸収性コアは、例えば、ライン上で作製され、物品の残りの構成要素と共に直接組み立てられてもよく、あるいは別の場所にてライン外で作製され、加工ラインに移送されてもよい。他の層を必要としない用途に対しては、他の構成要素を更に組み立てることなく、吸収性コアを直接吸収性物品として使用することも可能である。しかしながら、典型的には、吸収性コアは、おむつについて以下で更に例示的に説明するように、トップシート及びバックシートなどの他の構成要素と共に組み立てられて、最終の衛生用物品を形成する。
【0016】
吸収性コアは、典型的には、最も高い吸収能力を有する、物品の構成要素である。本発明の吸収性コアは、吸収性材料を封入しているコアラップを備え、また少なくとも1つの接着剤を備えてもよい。吸収性材料は、粒子形態の超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と略記する)を含む。吸収性材料は、コアラップ内に封入された比較的多量のSAPを含み得る。「吸収性材料」とは、SAP、セルロース系繊維及び合成繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。典型的には、吸収性コアの作製に使用される接着剤は、吸収特性を有さず、吸収性材料とはみなされない。
【0017】
SAP含有量は、コアラップ内に封入された吸収性材料の少なくとも70重量%以上(とりわけ、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、及び最大100重量%)を示してもよい。コアラップ自体は、吸収性コア内のSAPの百分率を評価する目的では吸収性材料とはみなされない。多量のSAPによって、典型的には40重量%〜60重量%のセルロース繊維を含む従来のコアと比較して、比較的薄いコアが得られる。吸収性コアは薄くてもよく、例えば、本明細書で開示される乾燥吸収性コアキャリパー試験(Dry Absorbent Core Caliper Test)によって測定した場合、5mmを超えない、例えば、0.2mm〜4mm、とりわけ0.5〜3mmの厚さを有する。
【0018】
例示的な本発明の吸収性コア28を、
図1〜4に分離して示し、これから更に説明する。示される吸収性コア及びその説明は、特に明記しない限り、例示目的のみであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。吸収性コアは、典型的には、前側280、後側282、及び前側280と後側282とを接合する2つの長手方向側284、286を備える。吸収性コアはまた、コアラップによって形成される、略平面である上側16及び略平面である底側1.5m(16’)を備える。コアの前側280は、吸収性物品の前縁部10に向けて配置されるように意図されているコアの側部である。コアは、
図1のように平面図で上部から見て、物品80の長手方向軸に実質的に対応する長手方向軸(24m)80’を有してもよい。典型的には、吸収性材料は、有利に、より高い吸収性が前部で要求されるため、後側に向かうよりもコアの前側及び中間部分に向かって、より多くの量が分配される。典型的には、コアの前側及び後側は、コアの長手方向側よりも短い。コアラップは、吸収性コアの側部に沿って少なくとも部分的に封止され得る2つの不織布材料によって形成されてもよい。第1の不織布は、実質的にコアラップの上側の全体を、第2の不織布は、実質的にコアラップの底側4.9(16’)の全体を形成してもよい。上側及び第1の不織布は、図面上では同じ番号16で、底側及び第2の不織布は、番号4.9(16’)によって表される。コアラップは、その前側、後側、及び/又は2つの長手方向側に沿って少なくとも部分的に封止されて、使用中の吸収性材料の閉じ込めを向上させ得る。
【0019】
吸収性材料は、とりわけ、10重量%未満若しくは5重量%未満の天然若しくは合成繊維を含んでもよく、又は更には天然及び/若しくは合成繊維を実質的に含まなくてもよい。吸収性材料は有利に、エアフェルト(セルロース)繊維をほとんど又は全く含まなくてもよく、とりわけ、吸収性材料は、吸収性コアの15重量%、10重量%、5重量%未満のエアフェルト(セルロース)繊維を含んでもよく、又は更にはセルロース繊維を実質的に含まなくてもよい。
【0020】
多量のSAPを含む様々な吸収性コア設計が過去に提唱されており、例えば、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1,447,066号(Busam)、国際公開第95/11652号(Tanzer)、米国特許公開第2008/0312622A1号(Hundorf)、国際公開第2012/052172号(Van Malderen)、並びに同第2012/170778号(Rosatiら、同第2012/170779号、同第2012/170781号、及び同第2012/170808号も参照のこと)を参照されたい。
【0021】
吸収性コア28は、吸収性材料を実質的に含まない少なくとも1つのエリア26を備え、該少なくとも1つのエリア26を通してコアラップの上側がコアラップの底側に付着される。吸収性材料が液体を吸収するとき、吸収性材料は比例して膨潤し、コアラップは、吸収性材料を実質的に含まない結合エリア26に沿ってチャネル7.9m(26’)を徐々に形成する。
【0022】
前側280から後側282までコアの軸24m(80’)に沿って測定した吸収性コアの長さL’’は、それが使用されることになる意図される物品に適合させるべきである。乳幼児用おむつについては、長さL’’は、例えば、5〜40cmであってもよい。吸収性コアは、吸収性コアの前側280から出発してL’’の5分の2(2/5)の距離に位置する、長手方向軸24m(80’)上の点として定義される股ポイントC’を含む。吸収性コアの個々の構成要素を、これから更に詳細に説明する。
【0023】
コアラップ(16、4.9m(16、16’))
コアラップの機能は、吸収性材料を封入することである。典型的なコアラップは、互いに付着される2つの基材16、4.9m(16’)を備えるが、コアラップはまた、吸収性材料の周りに折られた単個の基材で作製されてもよく、あるいはいくつかの基材を備えてもよい。2つの基材を使用する場合、これらは、典型的には、吸収性コアの周縁部の少なくとも一部に沿って互いに付着され得る。典型的な付着は、いわゆるCラップ及びサンドイッチラップである。Cラップでは、
図2に例示的に示すように、基材のうちの1つの長手方向及び/又は横方向の縁部が他方の基材に折り重ねられて、フラップを形成する。次いで、これらのフラップは、通常は糊剤接着によって、他方の基材の外部表面に結合される。サンドイッチラップでは、
図3に示すように、両方の基材の縁部が、例えば、糊付けによって、平坦な構成で別のものに付着される。
【0024】
コアラップは、吸収性材料を封入するのに好適な任意の材料によって形成され得る。従来のコアの製造に使用される典型的な基材材料、とりわけ、不織布、それだけでなく紙、ティッシュ、フィルム、織布、又はこれらのうちのいずれかの積層体を使用してもよい。コアラップは、具体的に、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、メルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのうちのいずれかの積層体などの、不織布ウェブから形成され得る。例えば、スパンメルトされたポリプロピレン不織布が好適であり、特に、積層体ウェブのSMS、又はSMMS、又はSSMMS型の構造を有するもの、及び坪量が約5gsm〜15gsmの範囲であるものが好適である。好適な材料が、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0268932A1号、同第2011/0319848A1号、又は同第2011/0250413A1号に開示される。PE、PET、及びとりわけPPなどの合成繊維から得られる不織布材料が用いられてもよい。
【0025】
コアラップが第1の基材16と第2の基材4.9m(16’)とを備える場合、これらは同一型の材料から作製されてもよく、あるいは異なる材料から作製されてもよく、あるいは、基材のうちの1つが他方とは異なって処理されて、異なる特性が与えられてもよい。不織布の製造に使用されるポリマーは、本質的に疎水性であるので、吸収性コアの流体受容側に配置されている場合は、親水性コーティングで被覆されることが好ましい。コアラップの上側16、即ち吸収性物品の中で着用者により接近して配置される側が、コアラップの底側4.9m(16’)よりも親水性であることが有利である。耐久性のある親水性コーティングを用いて不織布を製造するための考えられる方法は、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布上に塗布し、UV光で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。耐久性のある親水性コーティングをした不織布を製造するための考えられる代替的方法は、例えば、国際公開第02/064877号で説明されるような、不織布を親水性ナノ粒子でコーティングする方法である。
【0026】
恒久的に親水性の不織布も、いくつかの実施形態では有用である。表面張力は、どれほど恒久的にある特定の親水性レベルが達成されるのかを測定するために使用することができる。液体しみ出し(liquid strike through)を使用して親水性レベルを測定することができる。第1及び/又は第2の基材は、生理食塩水溶液で湿潤される場合、とりわけ、少なくとも55mN/m、好ましくは少なくとも60mN/m、最も好ましくは少なくとも65mN/m以上の表面張力を有してもよい。基材はまた、液体の5回の噴出に対し、5秒未満の液体しみ出し時間を有してもよい。これらの値は、米国特許第7,744,576B2号(Busamら)のそれぞれ「Determination Of Surface Tension」及び「Determination of Strike Through」に記載される試験方法を使用して測定することができる。
【0027】
親水性及び湿潤性は、典型的には、接触角度、及び、例えば、不織布布地を通過する流体のしみ出し時間に関して定義される。これに関しては、「Contact angle,wettability and adhesion」と題する、Robert F.Gouldにより編集された、American Chemical Societyの刊行物(Copyright 1964)において詳細に述べられている。水と基材表面との間の接触角が低い基材は、他の基材よりも親水性が高いと言ってもよい。
【0028】
基材はまた、空気透過性であってもよい。したがって、本明細書において有用なフィルムは、微小孔を含み得る。基材は、EDANA法140−1−99(125Pa、38.3cm
2)によって判定される空気透過率が、40又は50〜300又は200m
3/(m
2×分)のものであってもよい。代替的に、コアラップの材料は、例えば、真空を含む移動表面での取り扱いを容易にするために、より低い空気透過性を有してもよく、例えば、非空気透過性である。
【0029】
コアラップは、その長手方向の縁部及び/又はその横方向の縁部に沿って封止されてもよい。Cラップ構成では、例えば、第1の基材16は、コアの一方に配置されていてもよく、コアの反対側の底側を部分的に包み込むようにコアの長手方向の縁部の周りに延在する(
図2を参照のこと)。第2の基材4.9m(16’)は、典型的には、第1の基材16の包み込まれたフラップと吸収性材料60との間に存在する。強力な封止を提供するために、第1の基材16のフラップを第2の基材4.9m(16’)に糊付けしてもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ封止(sandwich seal)と比較して、湿潤負荷状態(wet loaded state)での耐破裂性を向上させるなどの利益を提供することができる。コアラップの前側及び後側も、その後、例えば第1の基材及び第2の基材を互いに糊付けすることによって封止され、コアの周縁部の全体にわたる吸収性材料の完全な封入を提供し得る。コアの前側及び後側については、第1及び第2の基材が伸長し、実質的に平面方向で共に接合されることで、これらの縁部に対していわゆるサンドイッチ構成体を形成し得る。いわゆるサンドイッチ構成体では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部上で外向きに伸長し、典型的には糊付け及び/又は熱/圧力結合によって、コアの縁部の全体又は部分に沿って平坦に封止され得る。典型的には、第1及び第2の基材のどちらも特定の形状を有する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、当然のことながら他の形状も可能である。
【0030】
用語「封止」及び「封入」は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの縁部全体に沿って連続的である必要はなく、線上に離間配置された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。典型的には、封止は、糊付け及び/又は熱結合によって形成され得る。コアラップはまた、ある単一の基材によって形成されてもよく、その基材は、小包のように吸収性材料を封入し、例えば、コアの前側及び後側並びに一方の長手方向側封止に沿って封止され得るものである。
【0031】
吸収性材料60
吸収性コア28は、超吸収性ポリマー粒子(「SAP」)を含む吸収性材料60を含む。吸収性材料は、例えば、連続層として適用してもよい。吸収性材料はまた、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。吸収性材料の、特にSAPの連続層はまた、一致する不連続的な吸収性材料の塗布パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによって得られてもよく、結果として得られる層は、例えば、米国特許公開第2008/0312622A1号(Hundorf)で教示されるように、吸収性粒状ポリマー材料のエリア全体にわたって実質的に連続的に分布している。このように、各吸収性材料の層は、吸収性材料のエリアと吸収性材料を含まないエリアとを有するパターンを含み、第1の層の吸収性材料のエリアは、第2の層の吸収性材料を含まないエリアに実質的に対応し、逆もまた同様である。以下で更に説明するマイクロファイバー状糊剤51を各吸収性材料層に塗布して、それを各基材上に固定してもよい。
図3〜4に例示するように、吸収性コア28は、故に、第1の吸収性層及び第2の吸収性層を含んでもよく、第1の吸収性層は、第1の基材16及び吸収性材料の第1の層61を含み、これは100% SAPであってもよく、第2の吸収性層は、第2の基材16’及び吸収性材料の第2の層62を含み、これも100% SAPであってもよい。第1及び第2のSAP層は、組み合わされる前のそれらの対応する基材上の所望の吸収性材料堆積エリア8と同じ幅を有する、横方向ストライプ又は「ランドエリア」として適用され得る。ストライプは有利にも、異なる量の吸収性材料を含んで、コア24m(80’)の長手方向軸及び/又は横断軸に沿ってプロファイル化した坪量をもたらし得る。第1の基材16及び第2の基材4.9m(16’)は、コアラップを形成し得る。補助糊剤71、72は、各吸収性層上のマイクロファイバー糊剤と同様に、一方又は両方の基材と吸収性層との間に塗布してもよい。
【0032】
超吸収性ポリマー粒子(SAP)
本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー」は、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定したときに、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水溶液を吸収可能な架橋ポリマー材料である吸収性材料を指す。これらのポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態(「SAP」)で典型的に使用される。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の、当業者に既知の他の形状及び形態を指す。
【0033】
典型的な粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから形成される。しかしながら、例えば、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料も使用することができ、更に、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフト共重合体も使用できる。超吸収性ポリマーは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリル酸塩及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。超吸収性ポリマーは、内部で架橋されることができ、即ち、重合は、ポリマー網状組織へとフリーラジカル的に共重合され得る、2つ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下において行なわれる。先行技術の例示的な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、国際公開第2006/083584号、同第2007/047598号、同第2007/046052号、同第2009/155265号、同第2009/155264号に記載されている。
【0034】
コアが充填状態になるにつれて、初期噴出を超えてSAPが吸収速度の減少を経験するであろうことは予期され得るが、発明者らは、この減少が、チャネルを有しない同様のコアと比較して、チャネルを備えているコアにおいて著しくより重大であったことを見出した。この問題を解決するために、本発明は、国際公開第2012/174026A1号に記載されているK(t)試験方法によって測定するとき、240秒未満の20g/gの吸収達成時間(T20)を有するSAPを使用する。SAPは、とりわけ、220秒未満、又は200秒未満、又は180秒未満、又は160秒未満のT20を有してもよい。時間T20はまた、とりわけ、少なくとも40秒、60秒、80秒、100秒、120秒、又は140秒、及び、例えば、100秒〜200秒の範囲を形成するこれらの値の任意の組み合わせであってもよい。国際公開第2012/174,026A1号は、これらの特性を有するSAP、及びこれらのパラメータを測定するために使用される方法を記載している。この方法で使用される装置は、「Zeitabhangiger Durchlassigkeitsprufstand」又は「時間依存性透過率テスタ(Time Dependent Permeability Tester)」装置番号03−080578と呼ばれ、BRAUN GmbH(Frankfurter Str.145,61476 Kronberg,Germany)で市販されており、上述の出願において詳述される。要望に応じて、操作指示書、配線図、及び詳細な技術図面も入手可能である。
【0035】
K(t)法も、同様に本発明において有利に使用され得る他のSAPパラメータを判定するのに有用である。20分でのSAPの吸収(U20)は、国際公開第2012/174,026A1号に開示されているK(t)試験方法に従って測定するとき、とりわけ、少なくとも22g/g、又は少なくとも24g/g、又は少なくとも28g/g、又は少なくとも30g/g、又は28g/g〜60g/g、又は30g/g〜50g/g、又は30g/g〜40g/gであり得る。SAPは、K(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも5・10
−8cm
2、又は少なくとも7・10
−8cm
2、又は少なくとも8.5・10
−8cm
2、又は5・10
−8cm
2〜1・10
−6cm
2、又は7・10
−8cm
2〜5・10
−7cm
2、又は8.5・10
−8〜1・10
−7cm
2の20分での有効透過率(K20)を有し得る。
【0036】
SAPはまた、K(t)試験方法に従って測定するとき、0.75を超える、又は0.8を超える、又は0.9を超える、最少有効透過率と20分での透過率との比(Kmin/K20比)を有し得る。このような実施形態では、一時的ゲルブロッキングは最小限であり、液体排泄物は、全ての膨潤過程にわたって、特に初期噴出で最も重要な膨潤段階の初期部分で、粒子間に存在する空隙を通って素早く移動できる。
【0037】
超吸収性ポリマー粒子を1種類より多く有する実施形態の場合、K(t)試験方法は、吸収性コア中で使用されるときにそれらの対応する割合で存在する1種類より多い超吸収性ポリマー粒子の混合物において実施される。
【0038】
超吸収性ポリマー粒子は、40を超える、又は好ましくは50を超える、又は60を超える、又は50〜500、又は55〜200、又は60〜150UPM単位の、UPM(尿透過率測定)値として表される平衡状態での透過率を更に有してもよく、1UPM単位は、1×10
−7(cm
3.秒)/gである。UPM値は、国際公開第2012/174,026A1号に提示されるUPM試験方法に従って測定される。この方法は、先行技術によるSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予備膨潤層の流動抵抗を測定し、即ち、流動抵抗は平衡状態で測定される。したがって、高UPM値を有するかかる超吸収性ポリマー粒子は、吸収性物品の有意な容積が、液体排泄物によって既に湿潤している場合に、高い透過率を呈する。これらの実施形態は、初期噴出のみでなく、続く噴出においても良好な吸収特性を呈する。
【0039】
使用されるSAPはまた、0.1g/g/sを超える、又は0.1〜2g/g/s、又は0.3〜1g/g/s、又は0.3〜0.6g/g/s、又は0.4〜0.6g/g/sのFSR(自由膨潤率)を有してもよい。SAPの自由膨潤率は、国際公開第2012/174,026A1号に提示するFSR試験方法に従って測定される。高自由膨潤率値を有するSAPは、封圧がない状態で液体を素早く吸収することができる。K(t)試験方法とは逆に、自由膨潤率の測定のために、ゲルベッドに外圧を印加しない。非常に低いFSR値を有するSAPは、本発明のK(t)試験方法に従って測定するとき、20g/gの吸収を達成するのに240秒超を要することがあり、結果として液体排泄物を必要な速さで吸収することができない。しかしながら、上述したように、高FSR値を有する超吸収性ポリマー粒子は、K(t)試験方法に従って測定するとき、自動的に高い吸収値をもたらさない。
【0040】
SAPは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定したときに、18g/g超、又は20g/g超、又は22g/g超、又は24g/g超、例えば、最大50g/g、又は最大40g/g、又は最大30g/gのCRC(遠心保持容量)値を有し得る。CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。高CRC値を有する超吸収性ポリマー粒子は、液体吸収に求められる全体容量を増強するのに必要とされる超吸収性ポリマー粒子がより少量であるため、好ましい場合がある。
【0041】
超吸収性ポリマーのうちの少なくとも一部は、凝集した超吸収性ポリマー粒子の形態で存在してもよい。凝集した超吸収性ポリマー粒子は、第1の質量平均粒径を有する凝集した前駆体粒子を含み、この凝集した超吸収性ポリマー粒子は、第1の質量平均粒径よりも少なくとも25%大きい第2の質量平均粒径を有する。第2の質量平均粒径は、第1の質量平均粒径よりも、少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%大きくてもよい。質量平均粒径は、以下に記載する質量平均粒径篩過試験(Mass Average Particle Size Sieve Test)方法に従って測定され得る。
【0042】
凝集した超吸収性ポリマー粒子は、様々な方法によって得ることができる。凝集した粒子は、例えば、前駆体粒子を、前駆体粒子のポリマー材料と反応させた粒子間架橋剤を用いて凝集させて、前駆体粒子間に架橋結合を形成させることによって得てもよい。これは、例えば、米国特許第5,300,565号、同第5,180,622号(共にBerg)、同第5,149,334号、同第5,102,597号(共にRoe)、同第5,492,962号(Lahrman)に開示されている。凝集した超吸収性ポリマー粒子はまた、超吸収性ポリマー粒子を提供する工程、及び超吸収性ポリマー粒子を水と3以上の原子価を有する多価塩とを含む溶液と混合する工程を含む方法によって得てもよい。この方法は、同時係属出願第EP14168064号で更に開示される。
【0043】
本発明のコアの超吸収性ポリマー粒子は、特に、凝集した超吸収性ポリマー粒子の少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%をなしてもよい。
【0044】
吸収性コアに存在するSAPの合計量は、物品の想定されるユーザーによっても変動し得る。新生児用のおむつは、乳幼児用又は成人用失禁おむつと比べて必要なSAPが少ない。コア内のSAPの量は、例えば、典型的な乳幼児用おむつでは約2g〜50g、とりわけ5g〜40gをなしてもよい。SAPの(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」)堆積エリア8内の平均SAP坪量は、例えば、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m
2又はそれ以上となり得る。この平均坪量を算出するために、吸収性材料の堆積エリア8に存在する材料を含まないエリア26が吸収性材料の堆積エリアから推定される。
【0045】
吸収性材料を実質的に含まないエリア26、及びチャネル7.9m(26’)
吸収性コア28は、吸収性材料を実質的に含まない1つ又は2つ以上のエリア26を含む。「実質的に含まない」とは、これらのエリアの各々において、吸収性材料の坪量が、コアの残りの部分における吸収性材料の平均坪量の少なくとも25%未満、とりわけ、20%未満、10%未満であることを意味する。具体的には、吸収性材料は、これらのエリアにおいて存在しなくてもよい。作製方法中に発生し得る吸収性材料による不随意の汚染などの最小量は、吸収性材料とはみなされない。エリア26は有利に、コアの平面で見た場合に吸収性材料によって囲まれており、このことは、エリア26が、吸収性材料の堆積エリア8の縁部のいずれにも延在しないことを意味する。
【0046】
コアラップの上側16は、吸収性材料を実質的に含まないこれらのエリア26を通って、コアラップ結合27によって、コアラップの底側4.9m(16’)に付着される。
図7に示すように、液体を吸収する際に吸収性材料が膨潤するとき、コアラップ結合は、物質を実質的に含まないエリア26において、少なくとも最初は付着したままである。吸収性材料は、それが液体を吸収するときに、コアの残りの部分で膨潤し、それにより、コアラップが、コアラップ結合27を含む吸収性材料を実質的に含まないエリア26に沿って、1つ又は2つ以上のチャネル7.9m(26’)を形成する。これらのチャネル7.9m(26’)は、3次元であり、その長さに沿ってコアのより幅広のエリアに排泄された流体を分配する働きをし得る。このことが、より素早い流体捕捉速度、及びコアの吸収能力のより良好な利用をもたらし得る。チャネル7.9m(26’)はまた、繊維状層54などの重複層の変形をもたらし、かつ重複層において対応する水路29をもたらし得る。吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まないがコアラップ結合を有しない他のエリアを含むが、これらの非結合エリアは、典型的には、湿潤時にチャネルを形成しないことは、除外されない。
【0047】
コアラップの上側16及び底側4.9m(16’)は、吸収性材料を実質的に含まないエリア26に沿って連続的に共に付着されてもよいが、コアラップ結合27はまた、一連の点結合など不連続(断続的)であってもよい。典型的には、コアラップの上側を底部に付着させるために接着剤が使用され得るが、圧力結合、超音波結合、若しくは熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知の付着手段によって結合させることが可能である。コアラップの上側及び底側の付着は、下で示すように、コア中に存在する場合には、1つ又は2つ以上の接着材料、とりわけ、補助糊剤71、72の1つ若しくは2つ以上の層、及び/又は繊維性接着材料51の1つ若しくは2つ以上の層によってもたらされてもよい。したがって、これらの糊剤は、吸収性材料を固定し、コアの上側及び底側を共に付着させる二重の機能を果たし得る。
【0048】
吸収性材料を実質的に含まないエリア26の形状及びサイズの以下の例は、非限定的である。概して、コアラップ結合27は、一部の製造方法において求められる公差に起因して、同一ではあるがエリア26よりもわずかに小さい外形を有し得る。材料を実質的に含まないエリア26は、2つの長手方向に延在する吸収性材料を実質的に含まないエリア26によって
図1に表すように、物品の股領域内に、具体的に少なくとも股ポイントCと同じ長手方向レベルで、存在し得る。吸収性コア28はまた、3つ以上の、例えば、少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つの吸収性材料を実質的に含まないエリアを含んでもよい。吸収性コアは、長手方向軸24m(80)に対して対称的に配列された1対又は2対以上の吸収性材料を実質的に含まないエリアを備えてもよい。吸収性材料を実質的に含まないより短いエリアも、例えば国際公開第2012/170778号の図面に見られるように、例えばコアの後領域又は前領域に存在し得る。
【0049】
吸収性材料を実質的に含まないエリア26は、実質的に長手方向に延在するが、これは、典型的には、各エリアが、横方向よりも長手方向により多く延在し、典型的には、(それぞれの軸上での投影後に測定される)横方向よりも長手方向に少なくとも2倍延在しているという意味である。吸収性材料を実質的に含まないエリア26は、コアの長手方向軸24m(80’)上に投影する、吸収性コアの長さL”の少なくとも10%、とりわけ20%〜80%である長さL’を有してもよい。少なくとも一部又は全てのエリア26がコア中で完全に又は実質的に完全に横方向に配向されたチャネルではないことは、有利であり得る。
【0050】
吸収性材料を実質的に含まないエリア26は、長手方向軸に対して、完全に長手方向に、かつ平行に配向されてよいが、同時に湾曲していてもよい。とりわけ一部又は全てのこれらのエリア、とりわけ股領域に存在するこれらのエリアは、例えば、対のチャネル7.9m(26’)について
図1に表すように、長手方向軸24m(80’)に向かって凹状であり得る。曲率半径は、典型的には、吸収性材料堆積エリア8の平均横断寸法に少なくとも等しくあり得(好ましくは、この平均横断寸法の少なくとも1.5倍又は少なくとも2.0倍)、かつ真っ直ぐであるが、1辺が長手方向軸に対して平行で(例えば、5°から)最大30°、又は例えば、最大20°、又は最大10°の角度をなしていてもよい。曲率半径は、吸収性材料を実質的に含まないエリアに対して一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。これはまた、その中に角度を有する吸収性材料を実質的に含まないエリアを含み得るが、チャネルの2つの部分の間の該角度が少なくとも120°、好ましくは少なくとも150°であることを条件とし、かつこれらの場合のうちのいずれにおいても、エリアの長手方向の広がりが横方向の広がりを超えることを条件とする。これらのエリアはまた、分岐していてもよく、例えば、物品の後に向かって及び/又は前に向かって分岐する股領域において長手方向軸と重なる、材料を実質的に含まない中央部エリアであってもよい。
【0051】
一部の実施形態では、コアの長手方向軸24m(80’)と一致する吸収性材料を実質的に含まないエリアは存在しない。長手方向軸に対して1対又は対称対として存在するとき、吸収性材料を実質的に含まないエリアは、それらの全長手方向寸法にわたって相互に離間配置されてもよい。最小の間隔距離は、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも16mmであり得る。
【0052】
更に、流体漏出の危険性を低減するために、吸収性材料を実質的に含まないエリアは有利に、吸収性材料堆積エリア8の縁部のいずれかに達するまでは延在せず、したがって、コアの吸収性材料堆積エリア8によって囲まれ、かつその内に完全に包囲されている。典型的には、吸収性材料を実質的に含まないエリアと吸収性材料堆積エリアの最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmである。
【0053】
吸収性材料を実質的に含まないエリアは、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、最大で、例えば、20mm、又は16mm、又は12mmである、そのエリアの長さの少なくとも一部に沿っている幅Wcを有してもよい。吸収性材料を実質的に含まないエリアの幅Wcは、実質的にその全長を通して一定であってもよく、又はその長さに沿って異なってもよい。
【0054】
吸収性コア中のチャネル7.9m(26’)は、吸収性材料が尿などの液体を吸収し膨潤し始めるときに形成され始める。コアがより多くの液体を吸収するにつれ、チャネルによって形成される吸収性コア内の陥没は、より深く、視覚的及び触覚的により明らかとなる。チャネルが吸収性材料の完全な飽和まで耐久性のままであるように、比較的少量のSAPと組み合わせた十分に強力なコアラップ結合を創出することが可能である。一方で、コアラップ結合はまた、一部の場合には、コアが実質的に充填されるときに吸収性材料の膨潤を制限することもある。故に、発明者らは、コアラップ結合27がまた、大量の流体に曝露されるときに制御された様式で開放するように設計され得ることを見出した。故に、結合は、吸収性材料が相応の量の流体を吸収するため、少なくとも第1の段階の間には、実質的に無傷のままであってもよい。第2の段階では、チャネル中のコアラップ結合27は、増加したコアの横断方向の可撓性及び流体管理などのチャネルの利益の大部分を保ちながら、吸収性材料が膨潤するためにより大きい空間をもたらすように開放し始めることができる。第3の段階では、吸収性コアの非常に高い飽和に対応して、チャネル結合のより大部分が、膨潤する吸収性材料が膨張するために更により大きい空間をもたらすように開放することができる。より多くの吸収性材料は通常、より大きな膨潤を引き起こし、結合により大きな圧力をかけることになるため、チャネル内のコアラップ結合27の強度は、例えば、コアラップの2つの面を付着させるために使用される糊剤の量及び性質、コアラップ結合を作製するために使用される圧力、及び/又は吸収性材料の分配を変化させることによって、制御することができる。コアラップの材料の伸張性も関与する。
【0055】
吸収性材料の堆積エリア8
吸収性材料の堆積エリア8は、吸収性コアの上側から見ると分かるように、コアラップ内の吸収性材料60によって形成される層の外周によって画定され得る。吸収性材料堆積エリア8は、例えば、
図1に示すように、略矩形であってもよいが、「T」若しくは「Y」又は「砂時計」若しくは「犬用の骨」形状など他の形状も使用され得る。特に、堆積エリアは、コアの中間領域又は「股」領域に向けてその幅に沿った漸減を示し得る。このように、吸収性材料の堆積エリアは、吸収性物品の股領域内に置かれるように意図されたコアのエリアにおいて、比較的狭い幅を有し得る。これにより、例えば、より良好な着用時の快適性を提供することができる。故に、吸収性材料堆積エリア8は、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm未満、又は更に約50mm未満であるその最も狭い点での幅(横方向に測定した場合)を有し得る。この最も狭い幅は更に、堆積エリア8の前領域及び/又は後領域におけるその最も大きい点での堆積エリアの幅よりも、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm小さくてもよい。
【0056】
SAPの坪量(表面の単位当たり堆積される量)はまた、コアの長手方向(
図3に示す)、同横方向、又はその両方の方向において、吸収性材料、とりわけSAPの輪郭のある(profiled)分布を創出するように、堆積エリア8に沿って変化してもよい。よって、コアの長手方向軸線に沿って、及び横断軸線に沿って、又はこれらの軸のいずれかに平行であるどの軸に沿っても、吸収性材料の坪量は異なってもよい。比較的高い坪量のエリアにおけるSAPの坪量は、故に、比較的低い坪量のエリアよりも、例えば、少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%高くてもよい。特に、股ポイントC’の長手方向位置にて吸収性材料堆積エリア中に存在するSAPは、吸収性材料堆積エリア8の別のエリアと比較して、より多い表面の単位当たりのSAPの堆積を有し得る。
【0057】
吸収性材料は、比較的高速でSAPを比較的正確に堆積させ得る既知の技術を用いて堆積することができる。特に、例えば米国特許公開第2006/024433号(Blessing)、同第2008/0312617号及び同第2010/0051166A1号(どちらもHundorfらに付与)で開示されるSAP印刷技術が用いられてもよい。この技術は、印刷ロールなどの移動装置を使用して、支持体のグリッド上に配置された基材上にSAPを堆積させるものであり、この支持体は、複数のクロスバーの間に広がるチャネルを形成するように、互いに実質的に平行に、かつ離間して広がっている、複数のクロスバーを含み得る。この技術により、基材上へのSAPの高速かつ正確な堆積が可能となり、吸収性材料に囲まれた、吸収性材料を実質的に含まない1つ又は2つ以上のエリア26をもたらす。吸収性材料を実質的に含まないエリアは、米国特許公開第2012/0312491号(Jackels)に例示的に開示されるように、選択されたエリアにSAPが適用されないように、例えば、グリッドのパターンを修正し、ドラムを受容することによって形成され得る。
【0058】
マイクロファイバー糊剤51
吸収性コアはまた、繊維状の熱可塑性接着材料51、特にマイクロファイバー糊剤を含んで、吸収性材料をコア内に更に固定してもよい。繊維状の熱可塑性接着材料51は、特に吸収性層が接合エリアによって分離されるランドエリアを備える場合に、吸収性材料61、62を、それらの対応する基材に固定するのに有用であり得る。繊維状の熱可塑性接着材料51は、その後、ランドエリアにおいて少なくとも部分的に吸収性材料61、62に接触してもよく、また接合エリアにおいて基材層16、16’に少なくとも部分的に接触してもよい。これによって、それ自体は本質的に、長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的薄い2次元構造である、熱可塑性接着材料51の繊維層に、本質的に3次元の網様構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、ランドエリアにおいて吸収性材料を被覆するようにキャビティを提供でき、それによりこの吸収性材料を固定する。マイクロファイバー糊剤51は、例えば、各吸収性層に噴霧することによって塗布してもよい。
【0059】
熱可塑性ポリマーは、典型的には、10,000より大きい分子量(Mw)、及び、通常、室温未満又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有し得る。ホットメルト中のポリマーの典型的な濃度は、約20〜約40重量%の範囲内である。熱可塑性ポリマーは、水に非感受性であってもよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分的に)水素添加物である。Bブロックは一般的に、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。用いることができる他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを作製することができる。非晶質ポリオレフィン、又はC2〜C8のアルファオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)もまた、適用可能である。
【0060】
粘着付与樹脂は、例示的に5,000未満の分子量(Mw)、及び通常、室温よりも高いTgを有し、ホットメルト中の樹脂の一般的な濃度は、約30〜約60%の範囲であり、可塑剤は、一般的には1,000未満の低い分子量(Mw)及び室温よりも低いTgを有し、一般的な濃度は約0〜約15%である。
【0061】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、好ましくはエラストマー特性を有することで、SAPが膨潤するにつれてSAP層上に繊維により形成されたウェブが延在することができるようにする。例示的なエラストマーホットメルト接着剤としては、熱可塑性エラストマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、硬質成分(一般的には、ポリプロピレン又はポリエチレンなど結晶質ポリオレフィン)及び軟質成分(エチレン−プロピレンゴムなど)のポリオレフィンブレンド;ポリ(エチレンテレフタレート−co−エチレンアゼレート)などのコポリエステル;並びにA−B−Aブロックコポリマーと称される、熱可塑性の端部ブロックとゴム中央部ブロックとを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマー:構造的に異なるホモポリマー又はコポリマーの混合物、例えば、A−B−Aブロックコポリマーを有するポリエチレン又はポリスチレンの混合物;熱可塑性エラストマーと低分子量樹脂改質剤との混合物、例えば、スチレン−イソプレンスチレンブロックコポリマーとポリスチレンとの混合物;並びに本明細書に記載のエラストマーホットメルト感圧性接着剤が挙げられる。これらの型のエラストマーホットメルト接着剤は、米国特許第4,731,066号(Korpman)に、より詳細に記載される。
【0062】
熱可塑性接着材料51は、例示的に、約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約5mm〜約50mm又は約5mm〜約30mmの平均長さを有し得る。基材又は任意の他の層、とりわけ任意の他の不織布層への熱可塑性接着材料の接着を向上させるために、かかる層は、補助接着剤で事前処理されてもよい。繊維は相互に接着されて、メッシュとしても記載され得る繊維層を形成する。
【0063】
吸収性コアは有利に、米国特許公開第2010/0051166A1号に記載の湿潤固定化試験(Wet Immobilization Test)に従って、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%以下のSAP損失を達成する。
【0064】
補助糊剤71、72
本発明の吸収性コアは、特に、SAPをコアラップ内に固定するのを助けるため、コアラップの一体性を確実にするため、及び/又は吸収性材料を実質的に含まない1つ又は2つ以上のエリアを通してコアラップの底側をコアラップの上側に付着させている結合27を形成するために、吸収性コアの上側及び/又は底側の内側表面に存在する補助糊剤を更に含んでもよい。
【0065】
このいわゆる補助糊剤71、72は、コアラップの上側及び/又は底側の内側表面に塗布することができる。補助糊剤は、当該技術分野で使用される任意の従来の糊剤、特にホットメルト糊剤であり得る。糊剤の例は、SIS(スチレン−イソプレン−ブロックコポリマー)、SBS(スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー)、又はmPO(メタロシン(metalocin)ポリオレフィン)などの接着性ポリマーに基づく。糊剤はまた、水素添加炭化水素樹脂などの粘着付与剤、並びに油及び抗酸化剤を含んでもよい。水素添加炭化水素樹脂は、後に選択的に水素添加して、低色度、高安定性、及び広い相溶性を有する多種多様な材料をもたらす芳香族/脂肪族混合樹脂から作製される。市販の接着剤の例は、HL1358LO及びNW1286(共にHB Fuller製)、並びにDM 526(Henkel製)として利用可能である。
【0066】
補助糊剤は、2gsm〜20gsm、より具体的には4gsm〜10gsmの範囲の平均量で、コアラップの上側及び/又は底側に適用され得る。補助糊剤は、均一に適用され得るか、又は不連続に、具体的に、一定間隔をあけて長手方向に配向された一連のストライプ、例えば、1mm〜3mmの範囲の距離で相互に離間配置された一連の約1mm幅の補助糊剤のストライプとして、適用されてもよい。補助糊剤は、十分な圧力及び糊剤が、材料を含まないエリア26内に適用されて、コアラップの両面を付着させる場合に、コアラップ結合27の形成に役立ち得る。補助糊剤層は、底側の内側表面、上側の内側表面、又はコアラップの両方の内側表面に適用され得る。
【0067】
吸収性物品の概説
本発明の吸収性コアのある特定の実施形態を相当に詳細に考察してきたところで、ここからは、これらのコアが使用され得る吸収性物品を全体的に考察し、
図5〜7において乳児用おむつ20の形態で更に例解する。
図5は、例示的なおむつ20の平らに広げられた状態の平面図であり、構造の一部分を切り欠き、おむつ20の構造をより明瞭に示している。おむつ20は、本発明が広範囲に及ぶ様々なおむつ又は他の吸収性物品を製造するために使用されるため、例示目的のみで示される。
【0068】
吸収性物品は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシート24とバックシート25との間の吸収性コア28を備える。任意選択の捕捉/分配層54が
図5に表わされており、この
図5はまた、物品の後縁部に向かって付着され、物品の正面にあるランディングゾーン44と協働する接着剤タブ42と、典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して吸収性物品のシャーシに接合され、かつおむつのシャーシと実質的に平面であるバリアレッグカフ34及び弾性ガスケットカフ32とを含む締着システムなどの、他の典型的なテープ付きおむつ構成要素を示す。吸収性物品はまた、後弾性ウエスト機構、前弾性ウエスト機構、横方向バリアカフ、又はローションアプリケーションなどの図示されていない他の典型的な要素を備えてもよい。
【0069】
吸収性物品20は、前縁部10、後縁部12、及び2つの側部(長手方向縁部)13、14を備える。物品の前縁部10は、着用されるときにユーザーの前方に向かって配置されるように意図される縁部であり、後縁部12は、物品の反対側の縁部である。吸収性物品を平らに置き、
図5のように上から見ると、この物品は、長手方向軸80によって概念的に分割され得、長手方向軸80は、物品の前縁部から後縁部へと延在し、この軸に対して実質的に対称な2つの半分に物品を分割している。物品の長さLは、前縁部10から後縁部12へと長手方向軸80に沿って測定され得る。本物品は、本明細書では、物品20の前縁部10から始まるLの5分の2(2/5)の距離に長手方向軸上に配置された点として定義される股ポイントCを含む。股ポイントにおけるおむつ用途のための物品の幅は、とりわけ、50mm〜300mm、80mm〜250mmであり得る。成人用失禁用製品については、幅は、最大450mmになってもよい。
【0070】
股領域は、股ポイントCを長手方向の中心とするおむつの領域として定義され、吸収性物品の前に向かって、及び後に向かって、各方向にLの5分の1(L/5)の距離をおいて延在し得る。前領域及び後領域は、それぞれ物品の前縁部及び後縁部に向かって配置される、おむつの残りの部分として定義することができる。
【0071】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び他の物品構成要素は、種々の周知の構成にて、特に糊剤接着又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。例示的なおむつの構成は、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に、概略的に記載されている。吸収性物品は、薄いことが好ましい。物品の股ポイントCにおける厚さは、本明細書に記載の吸収性物品キャリパー試験(Absorbent Article Caliper Test)によって測定して、例えば、3.0mm〜12.0mm、とりわけ4.0mm〜10.0mmであり得る。
【0072】
大部分の吸収性物品の場合、液体排出は、特におむつの場合、物品の前半部にて主に生じる。したがって、物品の前半部(前縁部と、前又は後縁部からLの半分の距離に位置する横断線90との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力の大部分を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、若しくは80%が、吸収性物品の前半部に存在し、残りのSAPが吸収性物品の後半部に配設されてもよい。
【0073】
吸収性物品は、国際公開第2012/174026A1号に提示されている平坦捕捉試験方法に従って測定するとき、30秒未満、好ましくは27秒未満の初期噴出の捕捉時間を有し得る。この捕捉時間は、特に、体重が8〜13kg±20%の範囲の着用者のための乳児用おむつ(例えば、Pampers Active Fitのサイズ4若しくは他のPampers幼児用おむつのサイズ4、Huggies幼児用おむつのサイズ4、又は大部分の他の商標名の幼児用おむつのサイズ4)で測定してもよい。
【0074】
トップシート24
トップシート24は、着用者の肌に接触するようにされている吸収性物品の層である。トップシート24は、当該技術分野で既知のように、バックシート25、コア28、及び/又は他のいずれかの層に接合させることができる。通常、トップシート24及びバックシート25は、物品の周辺部又はその近くで相互に直接接合され得、別の位置では、物品20の1つ又は2つ以上の他の要素へこれらを直接接合することにより、間接的に接合されている。トップシートは、任意の従来手段、特に、糊付け、機械的結合又は熱結合、及びこれらの組み合わせによって、捕捉層及び/又は分配層であってもよい下層54に付着され得る。トップシートは、特に、
図7に例示的に示すように、繊維層の水路が形成されるエリアにおいて繊維層54に直接的又は間接的に付着されてもよい。これは、物品の表面にて第2の水路29の形成をもたらし得るか、又は形成に役立ち得る。
【0075】
トップシート24は、着用者の皮膚にとってしなやかで、柔らかい感触で、かつ非刺激性であることが好ましい。更に、トップシート24の少なくとも一部分は、液体透過性であり、液体がその厚さを通して容易に浸透することを可能にする。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、あるいは天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はそれらの組み合わせ)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布又は不織布材料などの、広範囲の材料から製造されてもよい。トップシートが繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド繊維、カーディングした繊維、ウエットレイド繊維、メルトブローン繊維、水流交絡繊維、又は具体的に、スパンボンドPP不織布のように当該技術分野で既知の方法で作製されたものであってもよい。ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む好適なトップシートとしては、Walpole,MA所在のInternational Paper Companyの一部門であるVeratec,Inc.によってP−8の製品名にて製造されるものがある。
【0076】
好適な成形フィルムのトップシートはまた、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、及び同第5,006,394号に記載されている。他の好適なトップシートは、Curroらに発行された米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号に従って作製され得る。このような成形フィルムが、The Procter & Gamble Company(Cincinnati,Ohio)から「DRI−WEAVE」として、及びTredegar Corporation(本拠地Richmond,VA)から「CLIFF−T」として入手可能である。
【0077】
トップシート24の任意の部分が、当該技術分野で既知のローションでコーティングされてもよい。好適なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に記載されているものが挙げられる。トップシート24はまた、抗菌剤を含むか、あるいは抗菌剤にて処理されてもよく、その一部の例はPCT国際公開第95/24173号に開示されている。更に、トップシート24、バックシート25、又はトップシート若しくはバックシートのいずれかの部分には、より布に近い外観を持たせるためにエンボス加工及び/又はつや消し仕上げを施してもよい。
【0078】
トップシート24は、尿及び/又は糞便(固体、半固体、若しくは液体)など、それを通る排泄物の浸透を容易にするための1つ又は2つ以上の開口を備えていてもよい。少なくとも一次開口部のサイズは、所望の排泄物封入性能を達成するために重要である。一次開口部が小さ過ぎると、排泄物は、排泄物源と開口位置の位置合わせがよくないことが原因で、又は開口より大きい直径を有する糞便の塊が原因で、開口部を通過しない場合がある。開口部が大き過ぎると、物品からの「再湿潤」により汚染される可能性のある皮膚面積が増加する。典型的には、おむつの表面の開口部の総面積は、約10cm
2〜約50cm
2、とりわけ、約15cm
2〜35cm
2の面積を有してもよい。開口部付きのトップシートの例が、BBA NONWOVENS SIMPSONVILLEに譲渡された米国特許第6632504号に開示されている。国際公開第2011/163582号にも、12〜18gsmの坪量を有し、かつ複数の結合点を含む、好適な着色トップシートが開示されている。各結合点は、2mm
2〜5mm
2の表面積を有し、複数の接合点の累積表面積は、トップシートの合計表面積の10〜25%である。
【0079】
典型的なおむつのトップシートの坪量は、約10〜約28gsmであり、とりわけ、約12〜約18gsmであるが、他の坪量も可能である。
【0080】
バックシート25
バックシート25は、概して、ユーザーが装着したときに物品の外部表面の大半を形成する吸収性物品20のその部分である。バックシートは、吸収性コアの底側に向けて位置付けられ、その中に吸収及び包含された排泄物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止する。バックシート25は、典型的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm〜約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Richmond,VAを拠点とするTredegar Corporationによって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材としては、おむつ20から蒸気を逃す一方で、依然として排泄物がバックシート25を通過することを防止する通気性材料が挙げられる。例示的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルム被覆された不織布ウェブなど複合材料、日本のMitsui Toatsu Co.により、名称ESPOIR NOで製造され、かつTredegar Corporation(Richmond,VA)によって、名称EXAIREで販売されているような微孔性フィルム、及びHYTEL blend P18−3097の商品名にて、Clopay Corporation(Cincinnati,OH)により製造されているようなモノリシックフィルムを挙げることができる。いくつかの通気性複合材料については、E.I.DuPontの名義で1995年6月22日に公開された国際出願第95/16746号、米国特許第5,938,648号(LaVonら)、米国特許第4,681,793号(Linmanら)、米国特許第5,865,823号(Curro)、米国特許第5,571,096号(Dobrinら)、米国特許第6,946,585号(London Brown)により詳細に記載されている。
【0081】
バックシート25は、当該技術分野において既知のいずれかの付着手段によって、トップシート24、吸収性コア28、又はおむつ20の他のいずれかの要素に接合してよい。好適な付着手段は、トップシート24を物品20の他の要素に接合するための手段に関して上で説明される。例えば、付着手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、螺旋、若しくは点の配列を挙げることができる。好適な付着手段として、米国特許第4,573,986号に開示されるように、接着剤のフィラメントの開放パターン網目構造(open pattern network)が挙げられる。他の好適な付着手段として、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に示される装置及び方法により例示されるような、螺旋パターンに渦を巻く接着剤フィラメントのいくつかの線が挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minesota)が製造し、HL−1620及びHL 1358−XZPの名称で市販されている。代替的に、付着手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の他の任意の好適な付着手段、若しくはこれら付着手段の組み合わせを含んでもよい。
【0082】
追加の層54
吸収性物品は、図中で層54によって例解するように、流体を捕捉及び分配する働きをし得る1つ又は2つ以上の追加の層54を更に備えてもよい。追加の層は、図中に表すように、トップシート24と吸収性コア28との間に存在してもよいが、それはバックシート25と吸収性コア28との間、又はその両方にあってもよい。追加の層54は、吸収性材料を実質的に含まないエリアにおいてコアラップの上側又は底側に少なくとも部分的に結合され得る。故に、吸収性材料の膨潤時の吸収性コアにおけるチャネル26’の形成は、追加の層54における1つ又は2つ以上の対応する水路27をもたらす。
【0083】
追加の層は、不織布、織布材料、又は更には遊離繊維などのいかなる種類のものであってもよい。追加の層は、特に、捕捉層及び/又は分配層のための当該技術分野で既知である型のものであってもよい。SAPは流体の捕捉及び分配を遅延させるため、典型的な捕捉層及び/又は分配層はSAPを含まないが、追加の層はまた、ある程度の流体保持特性が所望される場合にはSAPを含んでもよい。先行技術により、使用し得る多数の型の捕捉・分配システムが開示されている。例えば、国際公開第2000/59430号(Daley)、同第95/10996号(Richards)、米国特許第5,700,254号(McDowall)、国際公開第02/067809号(Graef)を参照されたい。
【0084】
分配層は、コアの吸収性能をより効率的に使用できるように、排泄された流動液を物品内のより大きい表面にわたって広げることができる。典型的には、分配層は、合成繊維又はセルロース繊維系の比較的密度の低い不織布材料によって作製される。分配層の密度は、物品の圧縮度に応じて変動してもよいが、典型的には、2.1kPa(0.30psi)で測定して、0.03〜0.25g/cm
3、とりわけ、0.05g〜0.15g/cm
3の範囲であってもよい。分配層はまた、米国特許第5,137,537号に開示されている手順に示されているとおりに測定して、25〜60、好ましくは30〜45の保水値を有する材料であってもよい。分配層は通常、30g/m
2〜400g/m
2、とりわけ100g/m
2〜300g/m
2の平均坪量を有し得る。
【0085】
分配層は例えば、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮されるか、撚り合わされるか、若しくはカールされてもよく、又は、捲縮、撚り合わせ、及びカールを含むそれらの組み合わせであってもよい。この型の材料は、捕捉システムの一部として使い捨ておむつで過去に使用されており、例えば、米国特許公開第2008/0312622 A1号(Hundorf)を参照されたい。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ内の圧縮に対して、又は使用条件、例えば、赤ちゃんの重量下において、第1の吸収性層に、高い復元力、及びそれ故の高い耐性をもたらす。これにより、コアに、高い空隙容積、透過性、及び液体吸収作用が付与されるので、漏れが減り、乾燥状態が改善される。
【0086】
例示的な化学架橋セルロース繊維は分配層に好適であり、米国特許第5,549,791号、同第5,137,537号、国際公開第9534329号、又は米国特許公開第2007/118087号に開示されている。例示的な架橋剤は、クエン酸などのポリカルボン酸並びに/又はアクリル酸及びマレイン酸共重合体などのポリアクリル酸を含む。
【0087】
吸収性物品は追加の層として捕捉層を備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉し、着用者に優れた乾燥性を提供することであり得る。このような捕捉層は、典型的には、トップシートの直下に配置される。吸収性物品はまた、次に、典型的には捕捉層と吸収性コアとの間に配置される分配層を備えてもよい。
【0088】
捕捉層52は、典型的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、代替的に、カーディングを施された化学結合された不織布を含む、例えば、SMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、具体的に、ラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層は、米国特許第7,786,341号で開示されている。使用される繊維が、中実で円形又は丸形で中空のPETステープル繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布が使用されてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。不織布は、加工ラインの外側で製造され、ロール材料として保管及び使用され得るという利点を有している。更に有用な不織布は、米国特許第6,645,569号、同第6,863,933号(共にCramerに付与)、同第7,112,621号(Rohrbaugh)、並びにCramerらに付与された共同特許出願の米国特許公開第2003/148684号及び米国特許公開第2005/008839号(共にCramerに付与)に記載されている。
【0089】
かかる捕捉層は、ラテックス結合剤、例えば、スチレンーブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)により安定化されてもよい。かかる格子状構造を得るための方法は、例えば、欧州特許第149 880号(Kwok)及び米国特許公開第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。ある特定の実施形態では、結合剤は、約12重量%、約14重量%、又は約16重量%を超えて捕捉層に存在してもよい。SBラテックスは、商品名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(Akron,Ohio))で入手可能である。
【0090】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる捕捉層が使用されてもよい。例えば、組織層が、第1の捕捉層と分配層との間に置かれてもよい。組織は、上述した捕捉層と比較して、毛管現象による分配特性を向上させ得る。組織及び第1の捕捉層は同じサイズのものであってもよく、又は、異なるサイズのものであってもよく、例えば、組織層は、第1の捕捉層よりも、吸収性物品の後へと更に延在していてもよい。親水性組織の例が、供給業者Havixによるセルロース繊維から作製された、13〜22.5gsmの高湿潤強度である。
【0091】
捕捉層が存在する場合、この捕捉層が、長手方向及び/又は横方向寸法で下層の分配層より大きいか、又は少なくとも同じ大きさであることが有利であり得る。このように、分配層は、捕捉層の上に配設され得る。これは、特に捕捉層がストック材料のロールから広げられ得る不織布である場合に、取り扱いを簡略化する。分配層はまた、コアラップの吸収性コアの上側又は物品の別の層に直接配設されてもよい。また、分配層よりも大きい捕捉層は、捕捉層を貯蔵コアに直接糊付けすることを可能にする(より大きい面積で)。このことは、増大したパッチ一体性及びより良好な液体連通を付与することができる。
【0092】
締着システム42、44
吸収性物品は、例えば、テープ付きおむつにおいて既知である、締着システムを含んでもよい。この締着システムは、テープ付きおむつでは一般的であるように、吸収性物品の周囲に横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品のウエスト領域は既に結合されているので、この締着システムは、トレーニングパンツ物品には必須ではない。締着システムは通常、例えば、テープタブ、フックとループの締着要素、タブ及びスロットのような連結締着具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締着要素等の締着具を備えてもよいが、他の既知のいかなる締着手段も概ね容認できる。締着具が着脱可能に付着されるように、ランディングゾーンは通常、前ウエスト領域に設けられる。いくつかの例示的な表面締着システムは、Buellに発行された米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に開示されている。例示的な連結締着システムは、米国特許第6,432,098号に開示されている。締着システムはまた、Robertsonらに発行された米国特許第4,963,140号に開示されているように、使い捨て式の構成で物品を保持するための手段を提供してもよい。
【0093】
締着システムはまた、重なり部分のずれを減らすために米国特許第4,699,622号に開示されるように、又はフィット感を向上するために米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、同第5,591,152号に開示されるように、第1及び第2の締着システムを含んでもよい。
【0094】
バリアレッグカフ34
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34及び/又はガスケットカフ32を備えてもよい。米国特許第3,860,003号は、弾性レッグカフ(ガスケットカフ)を提供するために1つのサイドフラップと1つ又は2つ以上の弾性部材とを有する収縮性脚部開口部を提供する、使い捨ておむつを記載している。Azizらに発行された米国特許第4,808,178号及び同第4,909,803号は、脚部領域の収容を向上させる「直立型」の弾性フラップ(バリアレッグカフ)を有する使い捨ておむつを記載している。Lawson及びDragooそれぞれに発行された米国特許第4,695,278号及び同第4,795,454号は、ガスケットカフ及びバリアレッグカフを含む二重カフを有する使い捨ておむつを記載している。バリアレッグ及び/又はガスケットカフの全て又は一部分は、ローションで処理されてもよい。
【0095】
バリアレッグカフ34は、一片の材料、典型的には不織布から形成され得、これは、物品の残りの部分に部分的に結合され、それにより、例えば、
図5に示すように、物品が引っ張られて平坦になるときに、材料の一部分であるバリアレッグカフが、トップシートによって画定される平面から部分的に隆起し立ち上がることができるようにする。バリアレッグカフは、およそ着用者の胴と脚の移行部にて、液体及び他の身体排泄物の改善された封じ込めを提供することができる。バリアレッグカフは、長手方向軸の両側のおむつの前縁部と後縁部との間に少なくとも部分的に延在し、股ポイント(C)の長手方向位置に少なくとも存在する。バリアレッグカフは、物品の残りの部分、典型的にはトップシート及び/又はバックシートに接合される近位縁64と、着用者の皮膚と接触し封止を形成することが意図される自由末端縁66とによって範囲を定められる。バリアレッグカフは、例えば、糊付け、融合結合、又は既知の結合手段の組み合わせによってなされ得る結合65によって、近位縁64で物品のシャーシと接合される。近位縁64での結合65は、連続的又は断続的であってもよい。バリアレッグカフ34の隆起区間に最も近い結合65の側部は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁64の範囲を定める。
【0096】
バリアレッグカフ34は、トップシート若しくはバックシートと一体であるか、又はより典型的には、物品の残りの部分に接合された別個の材料から形成されることができる。典型的には、バリアレッグカフの材料は、おむつの長さ全体を通して延在し得るが、これらの区間においてバリアレッグカフ材料がトップシートと同一平面上のままであるように、物品の前縁部及び後縁部に向かってトップシートに「タック結合」される。各バリアレッグカフ34は、より良好な封止を提供するように、この自由末端縁66に近接して1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング35を備え得る。
【0097】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート及び/又はバックシートに接合されたガスケットカフ32を備えてもよく、バリアレッグカフに対して外側に配置されてもよい。ガスケットカフは、着用者の大腿の周りにより良好な封止を提供することができる。通常は、各ガスケットレッグカフは、1つ又は2つ以上の弾性ストリング又は弾性要素33を含むことになるが、これは、例えば、脚部開口部のエリアのトップシートとバックシートとの間でおむつのシャーシに含まれる。
【0098】
前及び後耳部46、40
吸収性物品は、当該技術分野で既知のとおり、前耳部46と後耳部40とを備えてもよい。耳部は、サイドパネルとして、例えば、トップシート及び/又はバックシートから形成されたシャーシの一体部分であってもよい。代替的に、
図5に表すように、耳部は、糊剤接着及び/又は熱エンボス加工若しくは圧力結合により付着される分離型の要素であってもよい。後耳部40は、有利には、ランディングゾーン44にタブ42の付着が簡易に行えて、かつ着用者のウエストの周りにテープ付きおむつを適所に維持できるように伸縮可能である。後耳部40はまた、より快適であり、体に巻き付くようなフィット感を付与するように弾性又は伸長可能であってもよいが、これらのフィット感は、弾性のある耳部により吸収性物品の側部が伸縮できるので、吸収性物品を最初に着用者に対して適合するようにフィットさせ、吸収性物品が排泄物で充填されてからかなり後でも着用している間ずっとこのフィット感を維持することによって付与される。
【0099】
弾性ウエスト機構
吸収性物品はまた、改善したフィット及び封じ込めを提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性ウエスト機構(図示せず)を備え得る。弾性ウエスト機構は、一般的に、弾性的に伸縮して、着用者のウエストに動的にフィットするように意図したものである。この弾性ウエスト機構は、好ましくは、吸収性コア28の少なくとも一方のウエスト縁部から少なくとも長手方向に外側に延在し、吸収性物品の末端縁部の少なくとも一部を概ね形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性ウエスト機構を有するように構成され得るが、一方は、前ウエスト領域に定置され、他方は、後ウエスト領域に定置される。弾性ウエスト機構は、米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,151,092号、同第5,221,274号に記載されたものを含め、いくつかの異なる構成で構築されてもよい。
【0100】
物品の作製方法−層間関係
本発明の吸収性物品は、当該技術分野において既知の任意の従来法によって作製され得る。具体的には、物品は手作りであってもよく、又は高速で産業的に生産されてもよい。通常、隣接する層及び構成要素は、層の表面の全体若しくは一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、又は、熱結合、又は圧力結合、あるいはそれらの組み合わせなど、従来の結合法を用いて互いに接合される。この結合は、
図6のレッグカフ65とトップシート24との間の結合、並びに
図4の吸収性コアの詳細図の補助糊剤71、72、及びマイクロファイバー糊剤51に対して例示的に表す。他の糊剤又は付属品は明確化及び可読性のために表さないが、特に除外されない限り、物品の層間の典型的な結合が存在するものとみなされたい。接着剤は通常、例えばバックシートとコアラップとの間で、異なる層の接着性を向上させるために使用され得る。糊剤は、当該技術分野で既知のとおり、任意の標準的なホットメルト糊剤であってよい。
【0101】
吸収性コア、及び特にその吸収性材料堆積エリア8は、有利に繊維層と少なくとも同じ大きさ及び長さであってもよく、かつ有利に繊維層よりも少なくとも部分的に大きい及び/又は長くてもよい。これは、コア中の吸収性材料が、通常はより効果的に流体を保持し、繊維層よりも大きい面積にわたって乾燥性の利益をもたらすことができるためである。吸収性物品は、矩形のSAP層及び非矩形(成形)繊維層を有してもよい。吸収性物品はまた、矩形(非成形)繊維層及びSAPの矩形層を有してもよい。
【0102】
実験の設定
K(t)法(動的有効透過率及び吸収率測定試験方法)
この方法は、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から形成されたゲル層又はこのような粒子を包含する吸収性構造の時間依存性有効透過率(K(t))及び吸収率を封圧下で判定する。この方法の目的は、ポリマーが吸収性物品中に高濃度で存在し、吸収性物品の使用中に典型的に生じるような機械的圧力にさらされるとき、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子から形成されたゲル層又はこれらを包含する吸収性構造の、体液を捕捉及び分配する能力を評価することである。有効透過率の計算には、Darcyの法則及び定常流動法を使用する(以下を参照のこと)。例えば、「Absorbency,」ed.by P.K.Chatterjee,Elsevier,1982,Pages 42〜43、及び「Chemical Engineering Vol.II,Third Edition,J.M.Coulson and J.F.Richardson,Pergamon Press,1978,Pages 122〜127も参照されたい。
【0103】
これまでに公表された方法とは対照的に、試料を事前に膨潤させないため、ヒドロゲル形成超吸収性ポリマー粒子を合成尿中で事前に膨潤させることによるヒドロゲルの形成はないが、乾燥構造体を用いて測定を開始する。この方法はまた、国際公開第2012/174026A1号において完全に開示されている。
【0104】
この方法で使用される装置は、「Zeitabhangiger Durchlassigkeitsprufstand」又は「時間依存性透過率テスタ(Time Dependent Permeability Tester)」装置番号03−080578と呼ばれ、BRAUN GmbH(Frankfurter Str.145,61476 Kronberg,Germany)で市販されており、これは以下で説明する。要望に応じて、操作指示書、配線図、及び詳細な技術図面も入手可能である。
【0105】
動的有効透過率及び吸収率測定システム
図9は、本明細書で「時間依存性透過率テスタ」と呼ばれる、動的有効透過率及び吸収率測定システムを示す。装置は、以下の主要部品で構成される。
−キャリパー測定用M11デジタルレーザーセンサ701(MEL Mikroelektronik GmbH,85386 Eching,Germany)
−液面検出用ファイバ702(FU95、Keyence Corp.,Japan)
−デジタルファイバセンサ703(FS−N10、Keyence Corp.,Japan)
−精密天秤704(XP6002MDR、Mettler Toledo AG,8606 Greifensee,Switzerland)
−電源装置Logo!Power(C98130−A7560−A1−5−7519、Siemens AG)
−Labviewソフトウェアライセンス706(National Instruments,Austin,Tx,USA)
−受取容器707(5Lガラスビーカー、Roth)
−接合部709及び空気吸収用開口管723を有するリザーバ708(5Lガラス瓶、VWR)
−操作ユニット及びコンソール705(Conrad Electronics)
−コンピュータ化されたデータ取得システム710
−本明細書に記載のピストン/シリンダーアセンブリ713
−制御弁714(Burkert)
【0106】
図10は、ピストン誘導蓋801、ピストン802、及びシリンダー803を含む、ピストン/シリンダーアセンブリ713を示す。シリンダー803は、透明なポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))で作製され、6.00cmの内径p(面積=28.27cm
2)を有する。シリンダーの内壁850は滑らかであり、シリンダーの高さrは約7.50cmである。シリンダー803の底部804は、シリンダー520の底部548へ取り付ける前に突張状態まで2軸的に伸張された米国規格400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス(図示せず)と面している。ピストン802は、ステンレス鋼ピストン本体805及びステンレス鋼ヘッド806で構成される。ピストンヘッド806の直径qは、ヒドロゲル形成粒子が通過する間隙を残さずにシリンダー803内に自由にスライドするように、6cmよりわずかに小さい。ピストン本体805は、ピストンヘッド806の中央に垂直にしっかり取り付けられる。ピストン本体の直径tは、約2.2cmである。ピストン本体805は、次にピストン誘導蓋801に挿入される。誘導蓋801は、ピストン802を誘導蓋801と共にシリンダー803の上に配置しても依然としてピストン本体805を完全な垂直かつシリンダー壁850に平行に維持しながらピストン802の自由スライドを可能にする直径を有する、POM(ポリオキシメチレン)リング809を有する。ピストンヘッド806の平面図を
図11に示す。ピストンヘッド806は、試料718に均一に圧力を印加するように意図される。また、ピストンヘッド806は、測定中に液体の流れを制限しないように、親水性の液体に対して高透過性である。ピストンヘッド806は、突張状態まで2軸的に伸張され、ピストンヘッドのステンレス鋼外輪901にて固定された、米国規格の400メッシュステンレス鋼スクリーンクロス903(例えば、Weisse and Eschrich製)で構成される。ピストンの下面全体は平坦である。構造的一体性及びメッシュスクリーンの耐屈曲性は、次にステンレス鋼放射状スポーク902により保証される。ピストン本体805の高さは、ピストン本体805及びピストンヘッド806で構成されるピストン802の重量が596g(±6g)になるように選択され、これはシリンダー803の面積に対して2.1kPa(0.30psi)に相当する。
【0107】
ピストン誘導蓋801は、その中央でPOMリング809によりピストン本体805に垂直に維持される、約7.5cmの直径sを有するステンレス鋼の平坦な円形体である。誘導蓋には2つの入口がある(810及び812)。
【0108】
第1入口812は、測定のためにピストン802をシリンダー803と組み立てると、シリンダー803の底部(804)に取り付けられたスクリーン(図示せず)の上面の上方5cmに正確に液面検出用ファイバ702を配置できる。
【0109】
第2入口810は、実験に液体を提供する液管721を接続できる。ピストン802のシリンダー803との組み立てを確実に一貫して行うために、誘導蓋801にある位置マーカー813を合わせるスリット814がシリンダー803に作製されている。このようにして、シリンダーと誘導蓋との回転角は常に同じになる。
【0110】
毎回使用する前に、ピストンヘッド806及びシリンダー803のステンレス鋼スクリーンクロス903は、目詰まり、穴、又は伸び過ぎについて検査し、必要に応じて取り替えるべきである。損傷したスクリーンを有するK(t)装置は、誤ったK(t)及び吸収率の結果を与える場合があり、スクリーンを交換するまで使用してはならない。
【0111】
5cmのマーク808が、シリンダー上において、シリンダー803の底部804に取り付けられたスクリーンの上面の上方5.00cm(±0.02cm)の高さkで描かれる。これは、分析中に維持されるべき流体レベルをマークしている。液面検出用ファイバ702は、正確に5cmのマーク808に配置される。正確かつ一定した流体の液面(静水圧)の維持は、測定精度のために重要である。
【0112】
試料を固定するピストン/シリンダーアセンブリ713に配管を介して接続されたリザーバ708及び制御弁714は、シリンダー803に食塩水を送達し、シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンの上面の上方5.00cmの高さkに食塩水の液面を維持するために使用される。弁714、液面検出用ファイバ702、及びデジタルファイバセンサ703は、操作ユニット705を介してコンピュータ化された取得システム710に接続される。これにより、動的有効透過率及び吸収率測定システムは、液面検出用ファイバ702及びデジタルファイバセンサ703からの情報を使用して弁714を制御し、最終的に液面を5cmのマーク808で維持することができる。
【0113】
リザーバ708は、試験開始の15秒以内に5cmの水頭(hydrohead)が形成され、試験手順を通してシリンダー内に維持されるように、ピストン/シリンダーアセンブリ713の上に配置される。ピストン/シリンダーアセンブリ713は、カバープレート716の支持リング717上に配置され、第1入口812は結合支持体719で適所に固定される。これは、誘導蓋801に唯一の位置を与える。更に、位置マーカー813により、シリンダー803も唯一の位置になる。シリンダー804の底部に取り付けられたスクリーンは、完全に平坦かつ水平でなければならない。支持リング717は、シリンダーを支持リング717上に配置すると、シリンダー803をしっかり支持するのに十分小さいが、シリンダーの内径の外側にくるように6.0cmより大きい、内径を有する必要がある。これは、支持リング717が液体の流れを少しでも妨害するのを避けるために重要である。
【0114】
試料718に5cmの一定水頭で適用される食塩水は、ピストン/シリンダーアセンブリ713から、精度が±0.01g以内の天秤704上に位置付けられた受取容器707に今度は自由に流入することができる。天秤のデジタル出力は、コンピュータ化されたデータ取得システムに接続されている。
【0115】
試料のキャリパー(厚み)は、キャリパー測定用デジタルレーザーセンサ701で常時測定される。デジタルレーザーセンサ701のレーザービーム720は、ピストン本体のPOMカバープレート811の中心に向けられる。ピストン/シリンダーアセンブリ713の全部品を正確に配置することにより、ピストン本体805をレーザービーム720に完全に平行にすることができ、結果として厚みの正確な測定値が得られる。
【0116】
試験準備
リザーバ708を試験溶液で満たす。試験溶液は、溶液1リットル当たり9.00グラムの塩化ナトリウム及び1.00グラムの界面活性剤を含む水溶液である。試験溶液の調製を以下に記載する。コンピュータ化されたデータ取得システム710に接続された天秤704上に受取容器707を配置する。測定開始前に天秤をゼロにリセットする。
【0117】
試験液の調製:
必要な化学物質:
−塩化ナトリウム(CAS#7647−14−5、例えば、Merck、カタログ# 1.06404.1000)
−直鎖C
12〜C
14アルコールエトキシレート(CAS#68439−50−9、例えば、Lorodac(登録商標)(Sasol,Italy))
−脱イオン化したH
2O
【0118】
蒸留水中に1リットル当たり9.00グラムのNaCl及び1リットル当たり1.00グラムの直鎖C12〜C14アルコールエトキサレート(ethoxalate)を含有する溶液を10リットル調製し、23℃±1℃で1時間平衡化する。表面張力は、3つの別個のアリコートで測定し、28±0.5mN/mでなければならない。溶液の表面張力が28±0.5mN/mとは異なる場合、溶液を廃棄し、新たな試験溶液を調製する。試験溶液は、その調製から36時間以内に使用する必要があり、その後は有効期限が切れたとみなされる。
【0119】
K(t)試料の調製
超吸収性ポリマー粒子の代表的な試料10グラムを調達する。次にこれを、使用前に、覆いのない直径10cmのペトリ皿内にて、23±2℃及び0.01トル以下の真空チャンバ内で48時間乾燥する。試料を真空チャンバから取り出し、次に使用するまで23±2℃で密閉された20mLガラス気密容器に直ちに保管する。
【0120】
化学天秤を使用して2.0g(±0.02g)の超吸収性ポリマー粒子を好適な計量紙に計量し、シリンダー803に移して、粒子がシリンダー803の底部804に取り付けられたスクリーン(図示せず)上に均等に分散した状態にする。これは、超吸収性ポリマーを振りまくと同時に、シリンダーを時計回りに回転させることにより行う(例えば、Schuett−biotec GmbH(Rudolf−Wissell−Str.13 D−37079 Gottingen Germany)で入手可能な、円形回転テーブルschuett petriturn−M上で行う)。超吸収性ポリマー粒子の均等な分散は、測定精度にとって重要である。
【0121】
K(t)手順
測定は、23℃±1℃/50% RH±2%のTappi実験室条件で行う。空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716の円形開口部に取り付け、その下方外周部を支持リング717で支持する。ピストン/シリンダーアセンブリ713を結合支持体719で適所に固定し、シリンダー803及びピストン802が適切な角度で並んだ状態にする。デジタルレーザーセンサで基準キャリパーの読み取り値(r
r)を測定する。この後、空のピストン/シリンダーアセンブリ713をカバープレート716及び支持リング717から取り外し、ピストン802をシリンダー803から取り外す。
【0122】
試料718を配置するか(吸収性構造)、又は上述したようにシリンダーのスクリーン上に振りまく(超吸収性ポリマー粒子)。この後、誘導蓋801の位置マーカー813をシリンダー803に形成されたスリット814に合わせることにより、誘導蓋801と組み立てられたピストン802をシリンダー803に慎重にセットする。
【0123】
ピストン/シリンダーアセンブリを結合支持体719で適所に固定し、シリンダー及びピストンが適切な角度で並んだ状態にする。
【0124】
これは、1つの方法でのみ行うことができる。リザーバ708に接続された液管721及びデジタルファイバセンサ703を、誘導蓋801の2つの入口810及び812を介してピストン/シリンダーアセンブリ713に挿入する。
【0125】
コンピュータ化されたデータ取得システム710を天秤704及び厚み測定用デジタルレーザーセンサ701に接続する。弁714を開くことでコンピュータプログラムによりリザーバ708からシリンダー803への流体の流動が開始される。5〜15秒で5cmのマーク808に達するまでシリンダーが満たされた後、コンピュータプログラムが一定の5cmの水頭を維持するように流速を調節する。試料718を通過する溶液の量を天秤704で測定し、キャリパーの増加をレーザーキャリパーゲージで測定する。データ取得は、流体流動の開始時、特に弁714の初回開放時に開始され、21分間、又はリザーバが空になって5cmの水頭がもはや維持されなくなるまで続行する。1回の測定時間は21分であり、レーザーキャリパー及び天秤の読み取り値は、測定の範囲によって異なり得る2〜10秒の間隔で定期的に記録し、3回繰り返して測定する。
【0126】
21分後、繰り返し1回目の測定が首尾よく完了し、制御弁714が自動的に閉じる。ピストン/シリンダーアセンブリ713を取り外し、常に同じ手順に従って相応に繰り返し2回目及び3回目の測定を行う。繰り返し3回目の測定終了時に、制御弁714が液体の流動を停止し、リザーバ708のストップコック722が閉じる。収集した生データは、次に更なる解析用のプログラム(例えば、Excel 2003、SP3)に簡単にインポート可能な単純なデータテーブルの形式で保存される。
【0127】
データテーブルには、各読み取り値について以下の関連情報が記録される。
・実験開始からの時間
・天秤704上の受取容器707により収集された液体の重量
・試料718のキャリパー
【0128】
K(t)及び吸収率の計算には、30秒から実験終了までのデータを使用する。最初の30秒間に収集されたデータは、計算に含めない。次に、以下の一連の式を使用して、吸収性構造体の有効透過率K(t)及び吸収率を判定する。
【0129】
使用する式:
以下の表は、式に使用する表記について説明する。
【0131】
駆動圧は、水頭から以下のように計算する。
【0133】
各時間t
iでのキャリパーは、時間t
iでのキャリパーセンサの読み取り値と試料なしの基準読み取り値との差として計算する。
【0135】
超吸収性粒子試料の場合、時間t
i=0での試料のキャリパー(d
0)を使用して、粒子の振りまきの質を評価する。
【0136】
シリンダー内の見掛け試料密度は、実際には以下のように計算することができる。
【0138】
このシリンダー内の見掛け密度が粉末の見掛け密度と±40%を超えて異なる場合、測定を無効とみなし、削除する必要がある。
【0139】
見掛け密度は、EDANA法406.2−02(「超吸収性材料−ポリアクリレート超吸収性粉末−密度の重量測定」)に従って測定することができる。
【0140】
時間t
iでの天秤読み取り値の時間的変化率は、以下のように計算する。
【0142】
時間t
iでの天秤読み取り値の時間的変化率は、以下のように計算する。
【0146】
乾燥試料の体積(V
s)は骨格体積(skeletal volume)を意味するため、V
sは、存在し得る孔及び隙間を除く、乾燥試料中の固体材料により占められる実体積である。
【0147】
V
sは、当業者に既知の異なる方法により計算又は測定することができ、例えば、構成成分の正確な組成及び骨格密度が分かっていれば、以下のように判定することができる。
【0149】
代替的に、不明な材料組成では、V
sは以下のように容易に計算することができる。
【0151】
平均密度ρ
sは、既知の密度の好適な非−膨潤性液体を使用したピクノメーター法により判定することができる。この技法は、引き続きK(t)測定に使用される同じ試料で実施することができないため、この実験測定では好適な更なる再現試料一式を調製する必要がある。
【0152】
上述したように計算される異なる時間刻みでのU(t)から、線形補間により任意の特定時間での吸収を判定することができる。例えば、重要な出力の1つは、U20(単位g/g)とも呼ばれる20分での吸収である。
【0153】
異なる時間刻みでのU(t)から、線形補間により特定の吸収を達成する所要時間を判定することもできる。20g/gの吸収を最初に達成する時間をT20と呼ぶ。同様に、任意の他の吸収達成時間をそれに応じて計算することができる(例えば、T5又はT10)。U20が分かると、異なる時間刻みでのU(t)から、U20の80%を達成する時間も判定することができ、この特性をT80%と呼ぶ。
【0154】
有効透過率は、質量変化及びキャリパー変化の比から以下のように計算する。
【0156】
液体の有効粘度は、温度に依存し、実験期間(23℃±1℃)では以下の経験式に従って計算される。
【0158】
K(t
i)から、線形補間により特定時間での有効透過率を判定することができる。例えば、重要な出力の1つは、20分での透過率又はK20(cm
2)である。同様に、任意の他の時間での透過率をそれに応じて計算することができる(例えば、K5又はK10)。
【0159】
データから得られるべき別のパラメータはKminであり、これはt
i=30秒〜t
i=1200秒の区間の曲線全体にわたって測定される最小K(t)値である。この値は、最小有効透過率と20分での透過率との比であるKmin/K20を計算するのに有用である。このパラメータは、一部の試料で生じることがある一時的ゲルブロッキングを表す。値が1に近い場合、一時的ゲルブロッキングは存在せず、値が0に近い場合、液体が最初に供給されたときに材料が強度の有効透過率の低下を経ることを示す。
【0160】
当業者に既知の所要の精度に従って、3回の繰り返しからT20、T80%、K20、U20、及びKmin/K20の平均値を記録する。
【0161】
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定する。
【0162】
乾燥吸収性コアキャリパー試験
この試験を使用して、コアの股ポイントC’又は任意の他のポイントにて、標準化された様式で吸収性コアのキャリパー(使用前、即ち、流体充填なし)を測定し得る。
【0163】
機器:分解能が0.01mmのMitutoyo製手動キャリパーゲージ又は同等の計器。
【0164】
コンタクトフット:17.0mm(±0.2mm)の直径を有する平坦な環状フット円形の重りをフットに適用して(例えば、シャフトの周囲の適用を促進するためにスロットを有する重り)、目的の重量を達成してもよい。フットと付加された重量(シャフトを含む)との総重量は、試料に2.1kPa(0.30psi)の圧力をもたらすように選択する。
【0165】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下部表面が約20×25cmの基部プレートの平坦で水平な上部表面の中心に接触するように、水平面でコンタクトフットの下部表面に取り付ける。ゲージは、基部プレート上に静置されているコンタクトフットでゼロであるように設定する。
【0166】
定規:mmで目盛が付けられた較正済の金属定規
【0168】
試料の調製:コアを上記のように少なくとも24時間状態調整する。
【0169】
測定手順:コアを、底側、即ち、最終物品においてバックシートに向けて配置する予定の側を下向きにして平坦に置く。測定点(例えば、最終物品におけるこの点に対応する股ポイントC)を、コアを圧縮又は変形させないように注意しながら、コアの上側に注意深く描く。
【0170】
キャリパーゲージのコンタクトフットを持ち上げ、コアを、コアの上側を上向きにしてキャリパーゲージの基部プレート上に平坦に配置して、下げたときにフットの中心が印を付けた測定点上にあるようにする。
【0171】
フットを物品の上に優しく下げ、放す(測定の開始前に較正が「0」であることを確認する)。キャリパーの値は、フットを放した10秒後に0.01mm単位で読み取る。
【0172】
手順を各測定点について繰り返す。測定点に折り目がある場合には、測定は、この点に最も近いが折り目の一切ないエリアで行う。10個の物品を所与の製品に対してこの様式で測定し、平均キャリパーを算出し、10分の1mmの精度で報告する。
【0173】
吸収性物品キャリパー試験
吸収性物品キャリパー試験は、コアのキャリパーの代わりに最終吸収性物品のキャリパーを測定するという差異はありながら、乾燥吸収性コアキャリパー試験についてのように行うことができる。測定のポイントは、吸収性物品の長手方向軸(80)と横断軸(90)との交点又は物品の股ポイントCであってもよい。吸収性物品が折り畳まれて及び/又はパッケージ中で提供される場合は、測定する物品を広げる及び/又はパッケージの中心エリアから取り出す。パッケージが4超の物品を含む場合、パッケージの各面上の最も外側の2つの物品が試験で使用される。パッケージが4個を超えるが14個より少ない物品を含む場合には、物品のパッケージ2個以上の試験を完了する必要がある。パッケージが14個以上の物品を含む場合には、物品のパッケージ1個のみの試験を行う必要がある。パッケージが4個以下の物品を含む場合には、パッケージ中の全ての物品を測定し、かつ複数のパッケージの測定を行う必要がある。キャリパーの読み取り値は、物品をパッケージから取り出し、広げ、状態調整してから24±1時間後に取るべきである。製品の物理的操作は最小限であり、必要なサンプルの準備のみに限定されるべきである。
【0174】
物品がキャリパーフットの下に平坦に配置されるのを阻止する物品のいずれの弾性構成要素も、切断するか、又は除去する。これらにはレッグカフ又はウエストバンドを挙げることができる。パンツ型物品は、必要に応じて、開くか、又はサイドシームに沿って切り出す。十分な張力を印加して、いかなる折り目/しわも平坦にならす。測定のエリアに触れること及び/又はそれを圧縮することを避けるように注意する。
【0175】
吸収速度試験
この試験は、異なる時間での生理食塩水の吸収速度を定量化する。試験する吸収性コアは0.1g単位で秤量し、重量を乾燥コア重量として記録する。次にコアを、コアの身体に面する側を下向きにして液体と直接接触させて、過剰な0.9%生理食塩水を含む容器中に平坦に沈設する。コアをちょうど90秒間溶液中に置く。次に、コアを取り除き、過剰な生理食塩水は、20秒間コアをコアの後縁部を上向きにして垂直に懸垂することによって重力により取り除く。次に、湿潤したコアを0.1g単位で再度秤量し、重量を90秒湿重量として記録する。次に、コアを、身体に面する側を下向きにして実験室ベンチ上に20分間再度平坦に寝かせる。
【0176】
ここで、コアを、再度身体に面する側を下向きにして、再度過剰な新たな0.9%生理食塩水中に90秒間沈設する。次に、コアを、再度20秒間コアの後部から垂直に懸垂して、過剰な溶液を全て滴下させる。この後、コアを再度0.1g単位で秤量し、180秒湿重量として記録する。次に、以下の値をデータから計算する。
90秒での吸収速度(単位g/秒)=(90秒湿重量−乾燥コア重量)/90
180秒での吸収速度(単位g/秒)=(180秒湿重量−乾燥コア重量)/180
【0177】
篩過試験による質量平均粒径
10g(少なくとも0.01gの精度で秤量)の対応する超吸収性ポリマー粒子又は凝集した超吸収性ポリマー粒子の再現試料を、直径約10cmの篩(例えば、Retsch GmbH,Haan,Germany;DIN/ISO 3310−1から入手可能)によって篩過する。以下のメッシュサイズ(上から下への順序)を有する篩の積み重ね体を使用する:850μm、800μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、パン(本明細書では0μmに相当とみなす)。各々の空の篩の重量を0.01gの精度で書き留める。
【0178】
10gの試料を上部の篩(即ち、850μm)に充填し、篩過機(Retsch GmbH,Haan,Germanyから入手可能な「AS 400 control」)によって250rpmで3分間篩過する。篩過後の各篩の重量を0.01gの精度で書き留める。各サイズについての充填した篩の重量と空の篩の重量との差が、メッシュサイズ当たりの粒子の重量をもたらす。
【0179】
篩のサイズD
iとして、篩の表記をし、例えば、500μmの篩では、m500の量に対するD500という分数であり、D500=500μmとする。
【0180】
本明細書における質量平均粒径(mAvPS)は、
【0182】
実験
SAP調製の実施例:SAP1
以下の実施例SAP1、SAP2、及びSAP3は、T20が240秒を下回るSAPの調製を例示する。これらの超吸収性ポリマー粒子を作製するための方法は、
−ポリアクリル酸ポリマーゲルであって、好ましくは、典型的にはpHを上昇させるためにNaOHを使用して、アクリル酸モノマーが50%〜95%の中和にて重合されている、ポリアクリル酸ポリマーゲルを提供する工程と、
−ゲルを第1の研削プロセスに付し、ゲルを乾燥させてベースポリマーを得る工程と、
−得られた材料を再湿潤、研削、乾燥、及び篩過する工程と、
−任意選択で、前記超吸収性粒子の表面架橋などの、前記得られた超吸収性粒子の事後処理を行う工程と、を含むとして要約することができる。
【0183】
T20が240秒を下回るSAPを作製するための方法の他の例は、国際公開第2012/174,026A1号に開示されている。第4の比較実施例SAP4は、341秒のT20を有するSAPの作製を例示し、再湿潤工程を有しなかった。
【0184】
第1のSAP実施例(SAP1)は、ポリアクリル酸ベースポリマーの調製、続く再湿潤及び研削工程、並びに更なる表面架橋工程によって作製した。より詳細には、ベースポリマーは以下の手順に従って得ることができる。
【0185】
20000mlの樹脂製ケトル(注射針、温度計の導入に適した、隔壁で閉じた四つ口ガラスカバーを装備)を、約1.5kgの氷(1458.19g)(脱イオン水から調製)で充填する。典型的には、(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加える。規定量の精製アクリル酸(AA)(約423g)を4000.00gのAA(合成用、Merck製)から採取し、25.68gのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)(分子生物学用、電気泳動用、Sigma Aldrich製)を溶解させる。残りのAAを、撹拌を続けながら約250〜1060gの6分割で氷に添加する。温度計を導入し、3330.56gの50%のNaOH溶液(分析用、Merck製)及び5944.72gの氷(脱イオン水から調製)を、温度が15〜25℃の範囲にあるように、以下のように添加する。NaOHを約215〜550gの8回で氷/AAの混合物に添加し、その間、約半分のNaOH溶液を添加したところで、NaOHの添加と965.52gの脱イオン水の添加との間に、約420〜1510gの7分割で氷を添加する。撹拌を続けながらMBAA溶液を混合物に添加する。脱イオン水(合計12639.70g(氷+水)を達成するための必要量から反応開始剤「V50」を溶解させるための量を引く)を添加する。次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば2本の注射針を隔壁に穿刺することによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、アルゴンを80cmの注入針によって勢いよくパージする。溶存酸素の効率的及び迅速な除去のために、アルゴン流は撹拌器の近くに配置する。約120分のアルゴンパージ及び撹拌の後、約89.74gの脱イオン水に溶解させた4064mgの反応開始剤「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals製)を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、反応混合物に添加する。反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後(典型的には約3〜5分の撹拌及びアルゴンパージ)、2つのフォトランプ(例えば、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備したKaiser ProVision 2.55 HF)を容器の両側に配置する。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、減少させた流量でアルゴンによるパージを続ける。温度を監視する。温度は、典型的には、60〜120分以内に約20℃から約60〜75℃まで上昇する。温度が約60℃に達した後、又は反応混合物が混濁するか若しくは粘性になった後約105分で、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(例えばBinder FED 720)中に移し、15〜18時間約60℃に保持する。この後、樹脂製ケトルを室温にて約20〜40℃に冷却させ、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、研削器(例えば、直径17mmの直状孔を有するプレカッターキドニープレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製の挽肉器X70G)によって研削し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、オープンエリア50%、RS製)上に置き、約20時間約80℃の循環式オーブン(Binder FED 720)中に移して、ベースポリマー1を得る。
【0186】
このようにして得られたベースポリマー1は、次に以下の方法に従って湿式研削することができる。上の合成から得た800.2gの乾燥させて研削したポリマーを、3000mlのガラスビーカーに添加した。801.3gの脱イオン水と50mlのエタノールとの混合物(例えば、Merck製の分析用)を、ガラスビーカーに素早く添加し、混合物を、約5分間、大型の実験室用スプーンを用いて手で素早く撹拌した。混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間ガラスビーカー中に保持した。続いて、ポリマー混合物を、3つの接続させた肉挽プレート(例えば、a)直径17mmの直状孔を有するプレカッターキドニープレート、b)直径20 8mmの孔を有するプレート、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製の挽肉器X70G)を通して3回研削した。研削のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。研削中、湿潤したポリマーは熱くなり、水及びエタノールが蒸発して、498.2gの湿潤し研削されたベースポリマーをもたらす。湿潤し研削されたポリマーを、50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(直径5mm)上に広げ、12時間120℃の循環式オーブン中で乾燥する。得られる乾燥したポリマーを手で破砕し、切削研削ミル(例えば、MF 10.1切削研削ヘッド及び直径1.5mmの孔を有する出口篩を伴ったIKA MF 10ベーシック研削ドライブ)を用いて研削し、150〜710μmに篩過する(例えば、Retsch製のAS 400 controlを用いる)。710μmを上回る画分は、直径1.0mmの孔を有する出口篩を通過させて切削研削ミルを通して再度研削し、150〜710μmを通過させて再度篩過する。研削及び篩過により、150〜710μmの研削されたベースポリマー1粒子を584.2g得た。
【0187】
研削されたベースポリマー1粒子は、次に、以下のように表面架橋することができる。500.0gの研削された超吸収性ベースポリマー1を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5に添加し、回転速度設定6で混合する。30.05gの乳酸アルミニウム溶液(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製L−乳酸アルミニウム95%))を、約0.2MPa(2バール)の噴霧圧、溶液約3g/分の流量、約23℃の開始温度で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmのBuchi製Mini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が例えば1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)を介して添加する。約10分後、約24℃の温度で、乳酸アルミニウムの添加を完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、5.01gのDenacol EX 810溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merck製)中のNagase製Denacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の16重量%溶液)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約3g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。Denacol EX 810溶液の添加中、温度は約23℃の範囲に留まる。約2分後に添加が完了した後、62.5gの脱イオン水を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約10g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。脱イオン水の添加中、温度は室温程度に留まる。約7分後、脱イオン水の添加が完了する。次に、Lodige混合器の底部出口を開放し、Ploughshare混合器の回転によってのみ押し出される底部出口から出る物質を収集し、2つのテフロンコーティングした焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に均一に分配する。焼成トレーをアルミホイルで被覆し、約15〜18時間室温で維持する。その後、被覆した焼成トレーを120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間20分加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを創出する。試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。その後、試料を手で破砕し、150〜710μmに篩過して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、収量379.4gで最終材料SAP1を得る。
【0188】
SAP調製の実施例:SAP2
SAP2を、上記のようにSAP1の作製のために使用したベースポリマー1から開始して作製した。次に、更なる湿式研削及び表面架橋工程を以下のように実行した。1998.5gの乾燥し研削されたベースポリマー1を5000mlのガラスビーカーに添加し、2000mlの脱イオン水をガラスビーカーに素早く添加した。混合物を、約10分間、大型の実験室用スプーンを用いて手で素早く撹拌した。混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間ガラスビーカー中に保持した。続いて、ポリマー混合物を、挽肉器(例えば、a)直径20 8mmの孔を有するプレート、b)3シャフト付きカッターナイフ、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製の挽肉器X70G)を通して4回研削した。研削のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。研削中、湿潤したポリマーは熱くなり、水が蒸発する。湿潤し研削されたポリマーを、3枚の50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(直径5mm)上に広げ、12時間120℃の循環式オーブン中で乾燥する。得られる乾燥したポリマーを手で破砕し、切削研削ミル(例えば、MF 10.1切削研削ヘッド及び直径1.0mmの孔を有する出口篩を伴ったIKA MF 10ベーシック研削ドライブ)を用いて研削し、150〜710μmに篩過する(例えば、Retsch製のAS 400 controlを用いる)。710μmを上回る画分を、再度切削研削ミルを通して研削し、篩過する。研削及び篩過により、150〜710μmの研削されたベースポリマー2を1348.4g得て、これを以下のように架橋した。
【0189】
600.3gの研削された超吸収性ベースポリマー2を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5に添加し、回転速度設定6で混合する。27.9gの乳酸アルミニウム溶液(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製L−乳酸アルミニウム95%))を、約0.2MPa(2バール)の噴霧圧、溶液約3g/分の流量、室温で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmのBuchi製Mini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が例えば1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)を介して添加する。約9分後、乳酸アルミニウムの添加が完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、4.88gのDenacol EX 810溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merck製)中のNagase製Denacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の16重量%溶液)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約3g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。Denacol EX 810溶液の添加中、温度は室温程度に留まる。約2分後に添加が完了した後、75.2gの脱イオン水を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約10g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。脱イオン水の添加中、温度は約26℃に上昇する。約7分後、脱イオン水の添加を完了する。次に、Lodige混合器の底部出口を開放し、Ploughshare混合器の回転によって押し出される底部出口から出る物質を収集し、1つのテフロンコーティングした焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に均一に分配する。その後、混合器を開放し、全ての他の材料を混合器から取り除き、別のテフロンコーティングした焼成トレー上に配置する。焼成トレーをアルミホイルで被覆し、約14時間室温で維持する。その後、被覆した焼成トレーを180℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを創出する。焼成トレー中の試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。試料を手で破砕し、150〜710μmに篩過して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、収量503.2gで最終材料SAP2を得る。
【0190】
SAP調製の実施例:SAP3
このSAPは、以下のように作製した研削されたベースポリマーの表面架橋を除いてSAP2と同様に作製した。600.4gの研削された超吸収性ベースポリマー2を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5に添加し、回転速度設定6で混合する。35.8gの乳酸アルミニウム溶液(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製L−乳酸アルミニウム95%))を、溶液約3g/分の流量で、室温で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmのBuchi製Mini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が例えば1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)を介して添加する。約12分後、乳酸アルミニウムの添加が完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、4.5gのDenacol EX 810溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merck製)中のNagase製Denacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の16重量%溶液)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約3g/分の流量で添加する。Denacol EX 810溶液の添加中、温度は室温程度に留まる。約2分後に添加が完了した後、76.2gの脱イオン水を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約10g/分の流量で添加する。脱イオン水の添加中、温度は約25℃に上昇する。約7分後、脱イオン水の添加を完了する。次に、Lodige混合器を開放し、全ての他の材料を混合器から取り除き、2つのテフロンコーティングした焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に配置する。焼成トレーをアルミホイルで被覆し、約14時間室温で維持する。その後、被覆した焼成トレーを180℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを創出する。焼成トレー中の試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。試料を手で破砕し、150〜710μmに篩過して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、収量512.8gで最終SAP3を得る。
【0191】
実施例SAP1、SAP2、及びSAP3は全て、240秒を下回るT20を有した。以下の比較実施例SAP4は、T20が240秒を上回るSAPを説明する。
【0192】
SAP調製の実施例:比較SAP4
重合工程及び表面架橋工程を含む以下の工程に従って、比較SAP(SAP4)を作製した。20000mlの樹脂製ケトル(注射針、温度計の導入に適した、隔壁で閉じた四つ口ガラスカバーを装備)を、約3kgの氷(2921.94g)(脱イオン水から調製)で充填する。典型的には、(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加える。1178.26gの50% NaOH溶液(分析用、Merck製)を氷に添加し、得られたスラリーを撹拌する。別の分割量の647.81gの氷(脱イオン水から調製)を、撹拌したスラリーに添加する。続いて、2152.34gの50% NaOH溶液(分析用、Merck製)を、典型的には約600〜650gの分割量で、撹拌したスラリーに付加する。規定量の精製アクリル酸(AA)(約481g)を4000.02gのAA(合成用、Merck製)から採取し、25.68gのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)(分子生物学用、電気泳動用、Sigma Aldrich製)を溶解させる。MBAA溶液を混合物に添加する。温度計を導入し、残りのAA及び氷を、温度が15〜25℃の範囲にあるように、以下のように添加する。残りのAAを、約210〜715gの8分割で氷/NaOHの混合物に添加し、撹拌を続けながら、AAの添加の間に、6145.77gの氷(脱イオン水から調製)を約770〜1600gの6分割で添加する。脱イオン水(合計12639.80g(氷+水)を達成するための必要量から反応開始剤「V50」を溶解させるための量を引く)を添加する。次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば2本の注射針を隔壁に穿刺することによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、アルゴンを80cmの注入針によって勢いよくパージする。溶存酸素の効率的及び迅速な除去のために、アルゴン流は撹拌器の近くに配置する。約60分のアルゴンパージ及び撹拌の後、約36.45gの脱イオン水に溶解させた4014mgの反応開始剤「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals製)を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、反応混合物に添加する。反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後(典型的には約3〜5分の撹拌及びアルゴンパージ)、2つのフォトランプ(例えば、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備したKaiser ProVision 2.55HF)を容器の両側に配置する。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、減少させた流量でアルゴンによるパージを続ける。温度を監視する。温度は、典型的には、60〜120分以内に約20℃から約60〜70℃まで上昇する。温度が約60℃に達した後、又は反応混合物が混濁するか若しくは粘性になった後約105分で、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(例えばBinder FED 720)中に移し、15〜18時間約60℃に保持する。この後、樹脂製ケトルを室温にて約20〜40℃に冷却させ、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、研削器(例えば、直径17mmの直状孔を有するプレカッターキドニープレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製の挽肉器X70G)によって研削し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、オープンエリア50%、RS製)上に置き、約40時間約80℃の循環式オーブン(Binder FED 720)中に移す。ゲルが一定重量に達したら(通常は2日間の乾燥)、それを遠心ミル(例えば、振動フィーダーDR 100、開口設定1.5mmの交換式篩を有する、回転速度が8000RPMのRetsch ZM 200)を使用して研削し、150〜850μmに篩う(例えばRetsch製の篩DIN/ISO 3310−1を有する、例えばRetsch製のAS 400 controlを用いる)。850μmより大きい残りの画分を再度粉砕し、150〜850μmに篩過する。典型的には、850μmより大きい残りの画分に対して約1〜3回粉砕工程を繰り返す。150〜850μmの全ての画分を収集し、まとめて、ベースポリマー試料を形成する。残留水分が約6重量%を上回る場合には、試料を、例えば循環式オーブン(例えば、Binder FED 720)において約80℃で約5時間、再度乾燥する。この乾燥工程を、残留水分が約6重量%以下、例えば約1〜5重量%になるまで繰り返し、比較ベースポリマー2を得る。
【0193】
次に、得られた比較ベースポリマー2を表面架橋して、比較SAP4を得ることができる。上のような1000.11gの超吸収性ベースポリマー2を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5に添加し、回転速度設定6で混合する。60.05gの乳酸アルミニウム溶液(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製L−乳酸アルミニウム95%))を、約0.2MPa(2バール)の噴霧圧、溶液約3g/分の流量、約30℃の開始温度で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmのBuchi製Mini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が例えば1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)を介して添加する。約20分後、約35℃の温度で、乳酸アルミニウムの添加を完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、9.99gのDenacol EX 810溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merck製)中のNagase製Denacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の16重量%溶液)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約3g/分の流量で約0.2MPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。Denacol EX 810溶液の添加中、温度は約32℃の範囲に留まる。約4分後に添加が完了した後、125gの脱イオン水を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約10g/分の流量で約200kPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。脱イオン水の添加中、温度は約32℃の範囲である。約12.5分後、脱イオン水の添加を完了する。次に、Lodige混合器の底部出口を開放し、Ploughshare混合器の回転によってのみ押し出される底部出口から出る物質を収集し、2つのテフロン加工した焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に均一に分配する。焼成トレーをアルミホイルで被覆し、約15〜18時間室温で維持する。その後、被覆した焼成トレーを120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間20分加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを創出する。試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。その後、試料を手で破砕し、150〜850μmに篩過して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、最終比較SAP4を得る。
【0194】
ベースポリマー3:
20000mlの樹脂製ケトル(注射針、温度計の導入に適した、隔壁で閉じた四つ口ガラスカバーを装備)を、約5089.0gの氷(氷の総量のおよそ30〜40%:脱イオン水から調製した12128.0gの氷)で充填する。(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加え、撹拌を開始する。
【0195】
45.7gの脱イオン水を採取して、例えば、プラスチック製のスナップ式の蓋付きガラス容器中で、4.516gの「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals製)を溶解させる。「V50」溶液を入れた容器を閉め、約4℃の冷蔵庫中に置いておく。
【0196】
312.5gの精製アクリル酸(AA、例えば、合成用Acrylic Acid、Merck製)を総量4000.1gのAAから採取して、25.67gのMBAAを、例えばガラスビーカー中で溶解させる。MBAA溶液を入れたビーカーを、例えばパラフィルムで被覆し、置いておく。
【0197】
残りのAAを、撹拌を続けながら樹脂製ケトル中の氷に添加する。
【0198】
温度計を導入し、合計3330.7gの50%のNaOH溶液(分析用、Merck製)及び残りの量の氷(脱イオン水から調製)を、温度が約15〜30℃の範囲にあるように、分割して続けて添加する。
【0199】
撹拌を続けながら、MBAA溶液を、約15〜30℃の温度で、AA、NaOH溶液、及び氷の混合物に添加する。MBAA溶液を含むビーカーを、1度の洗浄当たり約10%のMBAA溶液の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、撹拌した混合物に添加する。
【0200】
脱イオン水(総量12639.3g(氷+水)を達成するための残りの必要量から、「V50」を含む容器を1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で脱イオン水を用いて2度洗浄するための量を引く)を、撹拌した混合物に添加する。
【0201】
次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば2本の注射針を隔壁に穿刺することによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、アルゴンを約40kPa(0.4バール)で80cmの注入針によって勢いよくパージする。溶存酸素の効率的及び迅速な除去のために、アルゴン流は撹拌器の近くに配置する。
【0202】
最低約1時間及び最大約2時間のアルゴンパージ及び撹拌の後、「V50」溶液を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、注射器によって約20〜25℃の温度で反応混合物に添加する。「V50」溶液を含む容器を、1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、注射器によって隔壁を通して撹拌した混合物に添加する。
【0203】
反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後、撹拌及びアルゴンパージを約5分間続ける。その後、反応混合物が約20〜25℃の温度を有している間に、2つのフォトランプ(最大明度の、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備したKaiser ProVision 2.55 HF)を容器の両側に配置して、スイッチを入れる。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、20kPa(0.2バール)の減少させた流量でアルゴンによるパージを続ける。
【0204】
温度を監視する。温度は、典型的には、60分以内に約23℃から約60℃まで上昇する。温度が約60℃に達したら、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(Binder FED 720)中に移し、約18時間約60℃に保持する。
【0205】
この後、オーブンのスイッチを切り、樹脂製ケトルをオーブン中に残したまま約20〜40℃に冷却させる。その後、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、研削器(Unger R70プレートシステム(直径17mmの直状孔を有する3つのプレカッターキドニープレート)を有するScharfen製のX70G)によって研削し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、オープンエリア50%、RS製;乾燥前のゲルの最大高さ:約3cm)上に置き、約18時間約105℃の循環式オーブン(Binder FED 720)中に移す。
【0206】
乾燥したゲルの残留水分は約6.2重量%である。
【0207】
4つの焼成トレー(例えば、例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)中に、トレーごとに規定量の乾燥したゲルを配置し、規定量の脱イオン水(以下の表を参照のこと)を一度に添加し、溶液を約10分間手で撹拌する。
【0209】
混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間トレー中に保持した。続いて、4つのトレーの湿潤したベースポリマーをまとめ、挽肉器(a)直径20.8mmの孔を有するプレート、b)3シャフト付きカッターナイフ、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製のGrinder X70G)を通して4回研削した。研削のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。研削中、湿潤したポリマーは熱くなり、水が蒸発する。湿潤し研削されたポリマーを、数枚の50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、50%のオープンエリア、RS製)上に約3cmの最大ゲル高さで広げ、循環式オーブン(Binder FED 720)中で105℃で18時間、続いて105℃で2.5時間、そして最大約8kPa(80mバール)で80℃の真空オーブン(蒸気トラップ、例えばTitan Vapor Trap,Kineticsを装備する、及び/又は真空ポンプ、例えばTrivac(登録商標),Leyboldを装備する、例えばVacutherm,VT6130 P−BL,Heraeus)中で14時間、乾燥する。
【0210】
乾燥したゲルの残留水分は約3.1重量%である。
【0211】
次に、遠心ミル(振動フィーダーDR 100(設定50〜60)、開口設定1.5mmの交換式篩、回転速度8000rpmのRetsch ZM 200)を使用して、乾燥したゲルを研削する。粉砕したポリマーを、120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)中で12時間再度乾燥し、次に、篩過器(篩DIN/ISO 3310−1を有するRetsch製のAS 400 control、約5〜10分間約200〜280rpmにて)によって、以下の収量で以下の粒径カットに篩過する。
【0213】
ベースポリマー4:
20000mlの樹脂製ケトル(注射針、温度計の導入に適した、隔壁で閉じた四つ口ガラスカバーを装備)を、約5388.3gの氷(氷の総量のおよそ30〜45%:脱イオン水から調製した12149.9gの氷)で充填する。(液体の場合)全内容物を混合することができる電磁撹拌器を加え、撹拌を開始する。
【0214】
43.0gの脱イオン水を採取して、例えば、プラスチック製のスナップ式の蓋付きガラス容器中で、4.516gの「V50」(=2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、Waco Chemicals製)を溶解させる。「V50」溶液を入れた容器を閉め、約4℃の冷蔵庫中に置いておく。
【0215】
299.5gの精製アクリル酸(AA、例えば、合成用Acrylic Acid、Merck製)を総量4000.7gのAAから採取して、25.67gのMBAAを、例えばガラスビーカー中で溶解させる。MBAA溶液を入れたビーカーを、例えばパラフィルムで被覆し、置いておく。
【0216】
残りのAAを、撹拌を続けながら樹脂製ケトル中の氷に添加する。
【0217】
温度計を導入し、合計3330.6gの50%のNaOH溶液(分析用、Merck製)及び残りの量の氷(脱イオン水から調製)を、温度が約15〜30℃の範囲にあるように、分割して続けて添加する。
【0218】
撹拌を続けながら、MBAA溶液を、約15〜30℃の温度で、AA、NaOH溶液、及び氷の混合物に添加する。MBAA溶液を含むビーカーを、1度の洗浄当たり約10%のMBAA溶液の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、撹拌した混合物に添加する。
【0219】
脱イオン水(総量12639.3g(氷+水)を達成するための残りの必要量から、「V50」を含む容器を1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液体積の量で脱イオン水を用いて2度洗浄するための量を引く)を、撹拌した混合物に添加する。
【0220】
次に、樹脂製ケトルを閉じ、例えば、2本の注射針を隔壁に穿刺することによって、圧力除去をもたらす。次に、溶液を約400〜1200RPMで撹拌しながら、アルゴンを、約40kPa(0.4バール)で80cmの注入針によって勢いよくパージする。溶存酸素の効率的及び迅速な除去のために、アルゴン流は撹拌器の近くに配置する。
【0221】
最低約1時間及び最大約2時間のアルゴンパージ及び撹拌の後、「V50」溶液を、撹拌及びアルゴンパージを続けながら、注射器によって約20〜25℃の温度で反応混合物に添加する。「V50」溶液を含む容器を、1度の洗浄当たり約10%の「V50」溶液の量で、脱イオン水を用いて2度洗浄する。両洗浄工程の洗浄水を、注射器によって隔壁を通して撹拌した混合物に添加する。
【0222】
反応開始剤溶液を反応混合物と混合した後、撹拌及びアルゴンパージを約5分間続ける。その後、反応混合物が約20〜25℃の温度を有している間に、2つのフォトランプ(最大明度の、2本式のOsram Dulux L 55W/830を装備したKaiser ProVision 2.55 HF)を容器の両側に配置して、スイッチを入れる。溶液は、典型的には室温程度の温度で約5〜20分後に、典型的には混濁し始めるか、又は粘度の急激な増加が観察される。次に、アルゴン注入針をゲルの表面より上に持ち上げ、減少させた流量(0.02kPa(0.2バール))でアルゴンによるパージを続ける。
【0223】
温度を監視する。温度は、典型的には、60分以内に約23〜24℃から約60℃まで上昇する。温度が約60℃に達したら、ランプのスイッチを切る。温度が下降し始めたら、樹脂製ケトルを循環式オーブン(Binder FED 720)中に移し、約18時間約60℃に保持する。
【0224】
この後、オーブンのスイッチを切り、樹脂製ケトルをオーブン中に残したまま約20〜40℃に冷却させる。その後、ゲルを取り除き、手で破砕するか又ははさみで切断して小片にする。ゲルを、研削器(Unger R70プレートシステム(直径17mmの直状孔を有する3つのプレカッターキドニープレート)を有するScharfen製のX70G)によって研削し、穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、オープンエリア50%、RS製;乾燥前のゲルの最大高さ:約3cm)上に置き、約20時間約120℃の循環式オーブン(Binder FED 720)中に移す。
【0225】
乾燥したゲルの残留水分は約5.8重量%である。
【0226】
4つの焼成トレー(例えば、例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)中に、トレーごとに規定量の乾燥したゲルを配置し、規定量の脱イオン水(以下の表を参照のこと)を一度に添加し、溶液を約10分間手で撹拌する。
【0228】
混合の後、湿潤したベースポリマーを更に30分間トレー中に保持した。続いて、4つのトレーの湿潤したベースポリマーをまとめ、挽肉器(a)直径20.8mmの孔を有するプレート、b)3シャフト付きカッターナイフ、及びc)直径176 3mmの孔を有するプレートを装備したUnger R70プレートシステムを有するSharpen製のGrinder X70G)を通して4回研削した。研削のための供給速度は1分当たり約300〜600gであった。研削中、湿潤したポリマーは熱くなり、水が蒸発する。湿潤し研削されたポリマーを、数枚の50×50cmの穿孔されたステンレス鋼皿(孔径4.8mm、50cm×50cm、キャリパー0.55mm、50%のオープンエリア、RS製)上に約3cmの最大ゲル高さで広げ、循環式オーブン(Binder FED 720)中で120℃で20時間乾燥した。
【0229】
乾燥したゲルの残留水分は約2.7重量%である。
【0230】
次に、遠心ミル(振動フィーダーDR 100(設定50〜60)、開口設定1.5mmの交換式篩を持ち、回転速度が8000rpmのRetsch ZM 200)を使用して、乾燥したゲルを研削する。粉砕したポリマーを、120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)中で12時間再度乾燥し、次に、篩過器(篩DIN/ISO 3310−1を有するRetsch製のAS 400 control、約5〜10分間約200〜280rpmにて)によって、以下の収量で以下の粒径カットに篩過する。
【0232】
表面架橋され凝集した超吸収性ポリマーSAP5〜9を以下のように作製した。
600.0gのベースポリマー(表を参照のこと)を、Lodige Ploughshare Laboratory Mixer,Type L5に添加し、回転速度設定6で混合する。規定量の乳酸アルミニウム溶液(表を参照のこと)(脱イオン水中15重量%の乳酸アルミニウム(Sigma−Aldrich製L−乳酸アルミニウム95%))を、約200kPa(2バール)の噴霧圧、溶液約4.3g/分の流量、約23℃の開始温度で、スプレーノズル(ノズルディスクの直径が1.5mmのBuchi製Mini Spray Dryer B−290のスプレーノズル)を介して、蠕動ポンプ(例えば、内径が、例えば、1.52mmであるTygon MHLLチューブを有するIsmatec MCP Standard)を介して添加する。約12.5分後、乳酸アルミニウムの添加を完了する。アルミニウム溶液の添加が完了した後、液体ホースの接続を断ち、Denacol溶液(1,2−プロパンジオール(賦形剤としての使用に好適、Merck製)中のNagase製Denacol EX 810(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の溶液−以下の表を参照のこと)を用いて洗浄及び噴流を流し、噴霧装置に接続する。
【0233】
規定量のDenacol EX 810溶液(表を参照のこと)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約4.0g/分の流量で約200kPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。Denacol EX 810溶液の添加が完了した後、液体ホースの接続を断ち、脱イオン水を用いて洗浄及び噴流を流し、噴霧装置に再度接続する。その後、規定量の脱イオン水(表を参照のこと)を、蠕動ポンプ及びスプレーノズルを介して、溶液約13.6g/分の流量で約200kPa(2バール)の噴霧圧で、添加する。脱イオン水の添加が完了した後、Lodige混合器の底部出口を開放し、Ploughshare混合器の回転によってのみ押し出される底部出口から出る物質を収集し、テフロンコーティングした焼成トレー(例えば、Kaiser 7509960、41×31×10cm)上に均一に分配して厚さ約2〜3cmの層にする。焼成トレーをアルミホイルで被覆し、約20〜24時間室温で維持する。その後、被覆した焼成トレーを120℃のオーブン(例えば、Binder APT.Line FD 240)内で2時間20分加熱する。加熱時間の後、焼成トレーをオーブンから取り出し、アルミホイルを切って、長さ約3cm、幅約3mmの約3〜6個のスリットを創出する。試料をドラフト下に置き、室温に冷却させる。その後、試料を手で破砕し、篩過して(篩、例えばRetsch製のDIN/ISO 3310−1を用いて)、以下の表に見出されるように最終材料を得る。
【0235】
以下のように2つの超吸収性ポリマーを混合することによって、超吸収性ポリマーSAP11〜12を作製した。
規定量の第1の超吸収性ポリマー(凝集)及び規定量の第2の超吸収性ポリマー(以下の表を参照のこと)を、首の幅が広い100mlのPEボトル(例えば、VWR製、物品番号215−5631)中に配置する。ボトルを蓋で閉じ、次に、振動運動(例えば振とう)を避けながら、上部を下にして再度上にする回転運動(例えば時計方向)で、手で優しく動かす。回転運動を約1分間続け、約40〜60回の回転を行う。
【0237】
例示したSAPの特性:
SAPの特性を測定し、結果は以下のとおりであった。別途示すものを除いて(n=)、T20及びU20を3つの複製について測定した。
SAP1〜3及びSAP7〜12は、T20が240秒を下回る実施例である。
SAP4は比較実施例である。
SAP7〜12は凝集した超吸収性ポリマー粒子を含む。
【0239】
SAP1及び比較SAP4を、以下でより詳述するコア実施例で使用した。
【0240】
吸収性コア実施例:
以下で詳細に記載される発明実施例1は、本発明を例解する吸収性コアである。実施例1のコアは、
図1に示すものと同様の2つのチャネルと、194秒のT20を有する上記のSAPとを含んだ。比較実施例1は、341秒のT20を有するSAPを含み、チャネルは含まなかった。比較実施例2は、実施例1と同じチャネルと、比較コア実施例1と同じSAP(SAP4)とを含んだ。
【0241】
実施例1のコアは、2つの吸収性層を組み合わせることによって作製した。第1の吸収性層は、第1の基材として、ポリプロピレンで作製され、10g/m
2の坪量を有する、長さ420mm及び幅165mmの親水性不織布ウェブ(SMS、即ち、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド層)を含んだ。この基材を、
図8に概略的に示すように、真空テーブル800の上に位置付けた。テーブルは、一連の横方向の支持隆起部840及び2つのチャネル形の隆起部820を備える剛性支持体を備える。吸引孔830をこれらの隆起部の間に形成される。真空エリアは、チャネル形の隆起部が存在したエリアを除いて、各々幅8mm(MD)及び長さ110mm(CD)であり、横方向の隆起部の幅は合計36個の平行のストライプについて2mm(MD)であった。
【0242】
不織布基材を真空テーブルの上に位置付けた。マイクロファイバー糊剤(NW1151ZP ex.FULLER ADHESIVES)の網を、基材上に、約10g/m
2の平均坪量及び110mmの幅で基材の全長を被覆して均一に適用した。真空パターンを、第1のストライプから開始して6個のゾーンに分割した。エリア1はMD方向の長さ40mmであった。ゾーン2〜5は幅60mmであり、ゾーン6は幅80mmであった。真空によってSAPを所望の領域に固定するのを助けながら、以下の表に従って、SAPを各ゾーン内に均質に分配した。真空テーブル設計と正確に一致するように成形したシリコンペーパーを活用して、所定量のSAPを各ゾーンに分配した。
【0244】
結果として、SAPは、真空テーブルのパターンと一致するストライプで適用された。第1の吸収性層中の超吸収性ポリマー材料の総量は7.05gであった。SAPの適用に続いて、マイクロファイバー糊剤(第1の接着剤)の網を、約10g/m
2の平均坪量及び110mmの幅で第1の吸収性層の全長を被覆して均一に適用した。2つの湾曲したSAPを含まない材料のエリアを、不織布上のチャネルエリアに沿って、両面接着剤(幅6.4mmの1524−3M転写接着剤)を用いてぴったりと貼り付けた。これは、これらの手製の吸収性コアを更に試験する間、チャネルの十分な結合強度を確実にするためであった。産業方法では、圧力及び補助糊剤として使用され接着剤は、両面テープの必要なしに通常は強力な結合を確実にするのに十分である。
【0245】
第2の吸収性層は、第2の基材として、ポリプロピレンで作製され、10g/m
2の坪量を有する、長さ420mm及び幅130mmのSMS不織布ウェブを含んだ。第2の吸収性層を、対向する吸収性層のランドエリア及び接合エリアが互いに一致するように横方向の隆起部を数mmずらして、第1の吸収性層と同様の真空テーブル、並びに吸収性材料及び糊剤を使用して形成した。
【0246】
超吸収性ポリマー材料によって被覆されていない両方のキャリア基材の側面が外側を向くように、第1及び第2の吸収性層を一緒に配置することによって組み合わせた。これによって、積層体吸収性コアが、第1のキャリア基材と第2のキャリア基材との間に封入された超吸収性ポリマー材料によって形成される。各SAPストライプが正反対の吸収性層のストライプ同士の間の間隙と一致するように配置されるように、第1及び第2の吸収性層を組み合わせる。このように、実質的に連続した組み合わされた吸収性層をもたらすために、上層の各SAPストライプは、下側積層体層の2つの超吸収性ポリマー材料のストライプ間の対応する間隙の中心に配置され、逆もまた同様である。
【0247】
2つの吸収性層が組み合わされた後、組み合わされたコア構造体が120mmの幅を有するように、第1の基材の外縁部を第2の基材上に折り重ねる。これらの手製の試料においては、各側のフラップは、420mmの両面接着剤のストライプ(幅6.4mmの1524−3M転写接着剤)を用いて固定したが、産業方法では、標準的なホットメルト糊剤を使用してコアの長手方向側を封止し得る。
【0248】
比較実施例1
比較実施例1を実施例1のように作製したが、真空テーブルがチャネル形成隆起部を備えず、かつ341秒のT20を有するSAP4を使用した点で異なった。故に、この吸収性コアは、液体吸収時にチャネルを形成しなかった。同量のSAP及びゾーン中の再区分を使用した。
【0249】
比較実施例2
比較実施例2は、発明実施例1と同じSAPを含まないエリアを形成するために同じ真空テーブルを使用して、実施例1のように作製した。この吸収性コアに使用したSAPは、341秒のT20を有する比較実施例1におけるものと同じSAP4であった。
【0250】
試験結果
上記の吸収速度試験を5個の試料に実行した。結果を平均し、以下の表に報告する。
【0252】
比較実施例1及び2は、試験の最初の90秒間はチャネルの存否が吸収速度に著しく影響しなかったことを示す。しかしながら180秒では、チャネルを有するコアの捕捉速度は、チャネルを持たない同じコアよりも著しく不良であった(マイナス0.05g/秒)(スチューデントのt検定で信頼度95%)。発明実施例1のコアは、1.79g/秒の180秒での捕捉速度を示し、これは、180秒又は更には90秒での従来のAGMの速度よりも著しく高かった。
【0253】
その他(MISC)
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0254】
本明細書で引用されているあらゆる文献は、あらゆる相互参照特許又は関連特許を含め、明示的に除外される、又は別段に限定される場合を除き、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の任意の参照文献との任意の組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、この文献における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により取り入れられた文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と相容れない場合は、この文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義に従うものとする。
【0255】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正をなすことができることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。