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特許6490711非接触印刷ユニットの自動予防保全のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490711
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】非接触印刷ユニットの自動予防保全のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20190318BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190318BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   B41J2/01 307
   B41J2/165 201
【請求項の数】24
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-565307(P2016-565307)
(86)(22)【出願日】2014年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-516217(P2017-516217A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】SE2014050529
(87)【国際公開番号】WO2015167374
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリク・ホールバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ・ノルデル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィア・リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】リーサ・パルムクヴィスト
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0012768(US,A1)
【文献】 特開2013−173313(JP,A)
【文献】 特開平11−020198(JP,A)
【文献】 特開2004−268511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/165−2/20
B41J 2/21 −2/215
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品のための製造ライン(1)での非接触印刷ユニット(6)の自動予防保全のための方法であって、
前記製造ライン(1)が、前記非接触印刷ユニット(6)を含む複数の製造ユニット(10)を備え、
前記方法が、
− 前記非接触印刷ユニット(6)によって引き起こされない前記製造ライン(1)での製造停止時に、前記非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄を開始するステップと、
− 最後の前記自動予防洗浄から予め規定された期間が経過した後に、前記非接触印刷ユニット(6)の追加的な自動洗浄を開始するステップと、
を含み、
前記非接触印刷ユニットの印刷ノズル(27)と、印刷される対象のための対向支持面(28)と、の相対位置が、前記印刷ノズルへのアクセスを可能にするために前記自動予防洗浄を実行する前に調節され、
前記相対位置が、前記対向支持面(28)から離れるように前記印刷ノズルを上げること;前記印刷ノズルから離れるように前記対向支持面(28)を下げること;前記印刷ノズル(27)を横に移動することの1つ以上によって調節され
制御システム(13)が、前記非接触印刷ユニットの洗浄緊急性を表す洗浄緊急指標を含み、
前記方法が、
− 前記製造停止の原因を評価するステップと;
− 前記洗浄緊急指標をモニターするステップと;
− 前記製造停止の評価及び現在の洗浄緊急指標双方の結果を考慮しながら、前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄を開始することを決定するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法が、
− 前記非接触印刷ユニット(6)以外の製造ユニットによって引き起こされた製造停止時に、前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄を開始するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製造ライン(1)の制御システム(13)が、前記製造ライン(1)の個々のパーツを制御するように構成され、
プリンタ制御ユニットが、前記非接触印刷ユニット(6)及び関連するプリンタ洗浄デバイスを制御するように構成され、
前記方法が、
− 前記プリンタ制御ユニットが前記制御システム(13)から発せられた予防洗浄指令を受信したときに、前記非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄を開始するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、
− 洗浄シーケンスを終了した後に、前記プリンタ制御ユニットから前記制御システム(13)へ、前記非接触印刷ユニットが動作することができることを通信するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
− 前記非接触印刷ユニット(6)によって引き起こされない前記製造ラインの停止ごとに、前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄を開始するステップを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記製造停止の前記原因を評価するステップが、前記製造停止と前記製造停止の推定時間を関連付けるステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記製造ラインの制御システム(13)が、複数の有限の予め規定された製造停止状態を有し、前記複数の有限の予め規定された製造停止状態のそれぞれが、複数の異なるクラスの1つに予め分類され、前記製造停止の前記原因を評価するステップが、
− 前記製造停止状態を記録するステップと;
− 記録された前記製造停止状態と関連する前記クラスを照合するステップと;
を含み、
前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄が、前記記録された製造停止状態が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに開始されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記クラスが、前記製造停止に対する徐々に増大する推定時間と関連付けられていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
制御システム(13)が、各製造停止状態に対して固有のアラーム信号を発生し、各アラーム信号が、複数の異なるクラスの1つに予め分類され、前記製造停止の前記原因を評価するステップが、
− 前記アラーム信号を記録するステップと;
− 記録された前記アラーム信号と関連する前記クラスを照合するステップと;
を含み、
前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄が、前記記録されたアラーム信号が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに開始されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記洗浄緊急指標が、過去の印刷ユニット洗浄イベントからの期間;印刷ユニットの静止待機期間;印刷ノズル(27)内でのインク流動抵抗;前記印刷ユニットを通過した前記吸収性物品のシート材料の蓄積長さ;蓄積印刷量の1つ以上に応じていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記製造停止が、計画外の製造停止であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、
− 前記非接触印刷ユニット(6)が前記製造ライン(1)の制御システム(13)にエラー信号を提供したときに、前記非接触印刷ユニット(6)の追加的な自動洗浄を開始するステップを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
吸収性物品のための製造ライン(1)での非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄のためのシステムであって、
前記製造ライン(1)が、前記非接触印刷ユニット(6)を含む複数の製造ユニット(10)を備え、
前記システムが、前記非接触印刷ユニット(6)によって引き起こされない前記製造ライン(1)での製造停止時に、前記非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄を開始するように構成され、
前記システムが、最後の前記自動予防洗浄から予め規定された期間が経過した後に、前記非接触印刷ユニット(6)の追加的な自動洗浄を開始するように構成され、
前記システムが、印刷ノズル(27)を有する印刷ユニット(25)と、印刷される対象をガイドするための対向支持面(28)と、をさらに備え、
前記印刷ノズル(27)と前記対向支持面(28)との相対位置が、前記印刷ノズル(27)へのアクセスを可能にするために前記自動予防洗浄を実行する前に調節されるように構成され、
前記相対位置が、前記対向支持面(28)から離れるように前記印刷ノズル(27)を上げること;前記印刷ノズル(27)から離れるように前記対向支持面(28)を下げること;前記印刷ノズル(27)を横に移動することの1つ以上によって調節され
前記システムが、前記非接触印刷ユニットの洗浄緊急性を表す洗浄緊急指標を含むように構成された制御システム(13)をさらに備え、
前記システムが、前記製造停止の原因を評価するように構成され、前記洗浄緊急指標をモニターするように構成され、且つ前記製造停止の評価及び現在の洗浄緊急指標双方の結果を考慮しながら、前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄を開始することを決定するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記システムが、前記非接触印刷ユニット(6)以外の製造ユニットによって引き起こされた製造停止時に、前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄を開始するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、制御システム(13)、プリンタ制御ユニット及びプリンタ洗浄デバイスをさらに備え、
前記製造ライン(1)の前記制御システム(13)が、前記製造ライン(1)の個々のパーツを制御するように構成され、
前記プリンタ制御ユニットが、前記非接触印刷ユニット(6)及び関連する前記プリンタ洗浄デバイスを制御するように構成され、
前記システムが、前記プリンタ制御ユニットが前記システムから発せられた予防洗浄指令を受信したときに、前記非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄を開始するように構成されていることを特徴とする請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プリンタ制御ユニットが、洗浄シーケンスを終了した後に、前記制御システム(13)へ、前記非接触印刷ユニットが動作することができることを裏付けることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、前記非接触印刷ユニット(6)によって引き起こされない前記製造ラインの停止ごとに、前記非接触印刷ユニット(6)の自動予防洗浄を開始するように構成されていることを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記製造停止の前記原因の評価が、前記製造停止と前記製造停止の推定時間を関連付けることを含むことを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、複数の有限の予め規定された製造停止状態を有するように構成された制御システム(13)をさらに備え、前記複数の有限の予め規定された製造停止状態のそれぞれが、複数の異なるクラスの1つに予め分類され、
前記製造停止の前記原因の評価が、前記製造停止状態を記録することと;記録された前記製造停止状態と関連する前記クラスを照合することと;を含み、
前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄が、前記記録された製造停止状態が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに開始されることを特徴とする請求項13から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記クラスが、前記製造停止に対する徐々に増大する推定時間と関連付けられていることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが、各製造停止状態に対して固有のアラーム信号を発生するように構成された制御システム(13)をさらに備え、各アラーム信号が、複数の異なるクラスの1つに予め分類され、
前記製造停止の前記原因の評価が、前記アラーム信号を記録することと、記録された前記アラーム信号と関連する前記クラスを照合することと、を含み、
前記非接触印刷ユニット(6)の前記自動予防洗浄が、前記記録されたアラーム信号が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに開始されることを特徴とする請求項13から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記洗浄緊急指標が、過去の印刷ユニット(6)洗浄イベントからの期間;印刷ユニット(6)の静止待機期間;前記印刷ノズル(27)内でのインク流動抵抗;前記印刷ユニット(6)を通過した前記吸収性物品のシート材料の蓄積長さ;蓄積印刷量の1つ以上に応じていることを特徴とする請求項13から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記製造停止が、計画外の製造停止であることを特徴とする請求項13から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、前記非接触印刷ユニット(6)が前記製造ライン(1)の制御システム(13)にエラー信号を提供したときに、前記非接触印刷ユニット(6)の追加的な自動洗浄を開始するように構成されていることを特徴とする請求項13から23のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド又は同様のもののような吸収性物品のための製造ラインでの非接触印刷ユニットの自動予防保全のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
衛生物品のような吸収製物品を製造するための製造ラインは、1つ以上の製造ステップを行う複数の製造ユニットを備えている。これら製造ユニットの1つは、非接触印刷ユニットであってもよい印刷ユニットである。印刷ユニットは、印刷ユニットが例えばインクによって閉塞されるか又はエアロゾルによって汚染されて洗浄されなければならないまで、所定の数の物品に印刷することのみできるか、又は所定の期間の間の印刷のみできる。
【0003】
印刷ユニットの洗浄は、製造ラインが停止されること、又は洗浄中に製造された全製品が印刷されていないことを必要とする。これは、機械効率にネガティブな影響を有する。
【0004】
従って、印刷ユニットを洗浄する改良された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第00/59429号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述された問題が解消されるか又は最小化される、吸収性物品のための製造ラインでの非接触印刷ユニットの自動予防保全のための独創的な方法及びシステムを提供することである。この目的は、添付の独立請求項の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド又は同様のもののような吸収性物品のための製造ラインでの非接触印刷ユニットの自動予防保全のための方法に関する。製造ラインが、非接触印刷ユニットを含む複数の製造ユニットを備えている。方法が、
− 非接触印刷ユニットによって引き起こされない製造ラインでの製造停止時に、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するステップを含んでいる。
【0008】
本発明は、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド又は同様のもののような吸収性物品のための製造ラインでの非接触印刷ユニットの自動予防洗浄のためのシステムにさらに関する。製造ラインが、非接触印刷ユニットを含む複数の製造ユニットを備えている。システムが、非接触印刷ユニットによって引き起こされない製造ラインでの製造停止時に、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するように構成されている。
【0009】
吸収性物品の製造中に、吸収性物品を形成する材料は、通常、複数の製造ステップ及び品質制御を通る。各製造ステップ及び品質制御の間に、製造ラインの制御システムは、例えば製造ステップが正常に機能しない場合、製造ステップが吸収性物品の最終的な品質にネガティブな影響を与えていることが分かった場合又は電力切断もしくは同様のもののような大きな機械エラーが生じている場合に、製造停止を開始する。本発明の1つの利点は、非接触印刷ユニットが、非接触印刷ユニットによって引き起こされない製造停止中に、予防的に洗浄されることである。従って、制御システムは、単に印刷ユニットが正常に機能しないことによって引き起こされる将来的な製造停止を回避するためもしくは少なくとも延ばすために、製造ラインは停止させられているが印刷ユニットは適切に機能する場合に、印刷ユニットの予防洗浄を実行する機会を得る。予防洗浄は、非接触印刷ユニットが正常に機能しないか又は予定の洗浄を必要とすることに起因して製造を停止する必要性を減少させる。これは、製造時間の不必要なロスと、許容できない印刷品質に起因して廃棄される製品の量と、を減少させる。
【0010】
さらなる利点は、従属請求項の1つ以上の特徴を実施することによって達成される。本発明の方法は、
− 非接触印刷ユニット以外の製造ユニットによって引き起こされた製造停止時に、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するステップを含んでもよい。
【0011】
各製造停止は、1つ以上の製造ユニットによってなされる。各製造ユニットは、それが正常に機能しない場合に、製造停止を開始する。
【0012】
製造ラインの制御システムが、製造ラインの個々のパーツを制御するように構成されてもよい。プリンタ制御ユニットが、印刷ユニット及び関連するプリンタ洗浄デバイスを制御するように構成されてもよい。そして、方法が、
− プリンタ制御ユニットが制御システムから発せられた予防洗浄指令を受信したときに、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するステップを含む。
【0013】
方法は、
− 洗浄シーケンスを終了した後に、プリンタ制御ユニットから制御システムへ、印刷ユニットが動作することができることを通信するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
自動予防洗浄が開始された後にメイン製造ラインが製造し始める前に、プリンタ制御ユニットは、洗浄が完了したことを制御システムに通信しなければならない。そうでなければ、洗浄手順が完了する前に製造し始めると、複数の吸収性物品が印刷されないか、又は非接触印刷ユニットが損傷する可能性がある。
【0015】
方法は、
− 非接触印刷ユニットによって引き起こされない製造ラインでの各製造停止時に、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するステップをさらに含んでもよい。
【0016】
非接触印刷ユニットができるだけ動作状態に維持されることを保証するために、方法は、非接触印刷ユニット以外の製造ユニットが製造停止を引き起こすことに起因して製造ラインが停止するごとに洗浄を開始してもよい。
【0017】
方法が、
− 製造停止の原因を評価するステップと;
− 製造停止の評価の結果を考慮しながら、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始することを決定するステップと;
をさらに含んでもよい。
【0018】
製造停止の原因を評価するステップは、製造停止と推定時間を関連付けるステップを含んでもよい。
【0019】
制御システムが、複数の有限の予め規定された製造停止状態を有し、複数の有限の予め規定された製造停止状態のそれぞれが、複数の異なるクラスの1つに予め分類されてもよい。製造停止の原因を評価するステップが、
− 製造停止状態を記録するステップと;
− 記録された製造停止状態と関連するクラスを照合するステップと;
を含み、
非接触印刷ユニットの自動予防洗浄が、記録された製造停止状態が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに、開始されてもよい。
【0020】
自動予防洗浄が、非接触印刷ユニットによって引き起こされない製造ラインでの各製造停止中に実行されてもよい。あるいは、自動予防洗浄が開始される以前に製造停止の原因が評価されて考慮される場合、自動予防洗浄は、製造停止の推定時間が自動予防洗浄の時間と等しいか又はこの時間を超える場合にのみ実行されてもよい。製造停止の評価は、推定時間を製造停止と関連付けること以外には、製造停止状態を記録するステップと、記録された製造停止状態と関連するクラスを照合するステップと、記録された製造停止状態が予め規定されたクラスと関連するときに、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始するステップと、を含む。
【0021】
クラスは、製造停止に対する徐々に増大する推定時間と関連付けられてもよい。これは、所定のクラスのみが、自動予防洗浄が開始されるように十分に長いそれらクラスと関連する推定時間を有することにつながる。
【0022】
制御システムが、各製造停止状態に対して固有のアラーム信号を発生してもよい。各アラーム信号が、複数の異なるクラスの1つに予め分類されてもよい。製造停止の原因を評価するステップが、
− アラーム信号を記録するステップと;
− 記録されたアラーム信号と関連するクラスを照合するステップと;
を含み、
非接触印刷ユニットの自動予防洗浄が、記録されたアラーム信号が1つ以上の予め規定されたクラスに属するときに開始されてもよい。
【0023】
制御システムが、印刷ユニットの洗浄緊急性を表す洗浄緊急指標を含んでもよい。そして、方法が、
− 洗浄緊急指標をモニターするステップと;
− 製造停止の評価及び現在の洗浄緊急指標双方の結果を考慮しながら、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始することを決定するステップと:
を含む。
【0024】
洗浄緊急指標が、過去の印刷ユニット洗浄イベントからの期間;印刷ユニットの静止待機期間;プリンタノズル内でのインク流動抵抗;印刷ユニットを通過した吸収性物品のシート材料の蓄積長さ;蓄積印刷量の1つ以上に応じてもよい。プリンタノズル内でのインク流動抵抗は、例えば、インクポンプ送り手段とインク出口孔との間の流路内の流動抵抗を測定することによって確定されてもよい。
【0025】
自動予防洗浄は、例として、製造ラインが、全くいかなる製造停止も経験しない場合に、又は延長された期間の間に十分な長さのいかなる製造停止も経験しない場合に生じる。これは、非接触印刷ユニットが、この期間中にはいかなる予防洗浄も経験していないことを意味する。この場合、洗浄緊急指標は、製造停止が生じたときに考慮される必要がある。洗浄緊急指標によって非接触印刷ユニットの洗浄が行われなければならないとみなされる場合、洗浄緊急指標を考慮することは、非接触印刷ユニットが、通常は自動予防洗浄のためには極めて短いので行われない製造停止中に洗浄されるということをもたらす。
【0026】
印刷ユニットの印刷ノズルと、印刷される対象のための対向支持面と、の相対位置が、プリンタノズルへのアクセスを可能にするために予防洗浄を実行する前に調節され、相対位置が、対向支持面から離れるようにプリンタノズルを上げること;プリンタノズルから離れるように対向支持面を下げること;印刷ノズルを横に移動することの1つ以上によって調節されてもよい。
【0027】
製造停止が、計画外の製造停止であってもよい。計画外の製造停止は、例えば、製造ステップの突然の機能不全によって引き起こされるか、又は非常停止のようなヒューマンオペレータが製造ラインを走行することによって開始される計画外の製造停止によって引き起こされる。計画的な製造停止は、例えば、計画的な保全作業又は同様のもののために開始される停止であり、この場合、制御システムは、計画的な製造停止を考慮しながら、その動作の計画を立てることを可能とするために前もって、計画的な製造停止が通知される。
【0028】
方法が、
− 最後の洗浄から予め規定された期間が経過した後に、非接触印刷ユニットの追加的な自動洗浄を開始するステップを含んでもよい。この手順は、製造停止が生じていない場合にさえ、印刷ユニットの必要な予防洗浄が定期的な間隔で実行されることを保証する。
【0029】
方法が、
− 非接触印刷ユニットが製造ラインの制御システムにエラー信号を提供したときに、非接触印刷ユニットの追加的な自動洗浄を開始するステップをさらに含んでもよい。
【0030】
自動予防洗浄のための本発明のシステムは、本発明の方法と関連して開示された対応する特徴及び利点を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による製造ラインを概略的に開示する。
図2】本発明によるシステムのための制御システム構成を概略的に示す。
図3】本発明の第1の態様による印刷ユニットを概略的に開示する。
図4】本発明の第2の態様による印刷ユニットを概略的に開示する。
図5】本発明の第3の態様による印刷ユニットを概略的に開示する。
図6】本発明による方法の一実施形態を示す。
図7】本発明による方法の別の一実施形態を示す。
図8】本発明による方法のさらに別の一実施形態を示す。
図9】本発明による方法のさらに別の一実施形態を示す。
図10】本発明による方法のさらに別の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、吸収性物品を作るための製造ライン1の概略的な且つ簡略化された図である。より具体的に、製造ライン1は、吸収性物品を作るように構成され、これら吸収性物品は、本質的に連続的な第1の材料ウェブ2として出発し、この第1の材料ウェブ2は、図1で矢印によって示された方向へ、第1のロール3又は同様のものから公知の方式で前方に供給される。
【0033】
本発明の一例によれば、第1の材料ウェブ2は、使い捨てのおむつのためのバックシート、すなわち、液体が浸透することがないタイプか又は液体の侵入に対して少なくとも高い抵抗を有するが通気性のあるタイプの材料からなる。このために、第1の材料ウェブ2は、適切には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエステルの薄い防水プラスチックフィルムからなる。あるいは、不織布材料とプラスチックフィルム又は他の適切なすでに公知の材料の層とのラミネートが、液密のバックシートとして利用される。
【0034】
第1の材料ウェブ2は、バックシートになる第1の材料ウェブ2に若干の規定供給速度を与えるように構成された2つのローラ4,5により前方に供給することができる。
【0035】
また、図1は、バックシートにモチーフを印刷するように構成された非接触印刷ユニット6を示している。このモチーフは、本実施例では、第1の製造ステップとして、第1の材料ウェブ2に印刷される。しかしながら、非接触印刷ユニット6は、吸収性物品の任意の部分にモチーフを印刷するために、製造ライン1の長さに沿っていかなる位置に配置することもできる。
【0036】
図1に示されるように、第1の材料ウェブ2は、2つの横断位置7,8の間に規定される長さである所定の公称分割長さLNに分割され、2つの横断位置7,8は特定の製品を規定している。図1に示される実施形態によれば、公称分割長さLNは、特に、最終製品の前縁部及び後縁部に対応する製品長さからなる。しかしながら、これらの線は、第1の材料ウェブ2に印刷されない。
【0037】
概略的且つ簡略化された方式で図1に示されるように、第1の材料ウェブ2は、複数の製造ユニット10によって複数の作業要素及び処理ステップが行われる処理装置9を通って供給される。これら作業要素は、例えば、さまざまなタイプの吸収性材料及び詰め物材料などの付着と、例えば弾性粘着テープなどのような任意の他の材料及び成分の付着と、を含む。処理装置9で行われる作業要素は、折り曲げ、切断、超音波溶接及び他の処理ステップを含むことができる。このような一連の作業要素による吸収性製品の製造は、すでに公知であり、この理由から、本明細書では詳細に説明されない。しかしながら、一例として、吸収性製品のためのすでに公知の製造プロセスの一例を説明する特許文献1が参照される。
【0038】
図1をさらに参照すると、第1の材料ウェブ2は、処理装置9内に供給される直前に検出デバイス11を通過していることに留意されたい。検出デバイス11は、任意の製造エラー又は吸収性物品の品質欠如を検出するように構成されている。加えて、第1の材料ウェブ2は、糊付けステーション12を通過して供給され、糊付けステーション12では、接着剤が、以下で説明される方式で、次の外側層がその上に接着されることを可能にするために塗布される。
【0039】
検出デバイス11は、光学検査のための適切なデバイスからなり、一例によれば、第1の材料ウェブ2と関連して配置されたビデオカメラの形態からなる。検出デバイス11は、他の手段、例えば赤外線、X線、レーザー又は同様のものによって検査するための適切なデバイスから構成されてもよい。
【0040】
加えて、検出デバイス11は、コンピュータベースの制御システム13に接続されている。検出デバイス11からの情報は、製造エラー又は品質欠如を検出するように構成された、画像処理のためのソフトウェアが設けられた制御システム13にこのようにして伝達される。加えて、制御システム13は、処理装置9の製造ユニット10に接続されている。
【0041】
第1の材料ウェブ2が検出デバイス11を通過して供給されると、第1の材料ウェブ2は、第2の材料ウェブ14と接触し、第2の材料ウェブ14は、実施形態によれば、最終製品の外側層を形成するよう意図された本質的に液体浸透性の層の形態にある。この理由のために、第2の材料ウェブ14は、適切には、例えばポリプロピレン繊維のスパンボンド材料のような、柔軟且つ滑らかな表面を有する不織布材料からなる。外側層を構築することに適している他の例は、例えば有孔ポリエステルフィルムのような有孔プラスチックフィルムである。
【0042】
従って、第2の材料ウェブ14は、例えば糊付けステーション12ですでに塗布された接着剤により、(任意の材料の追加的な層と、上述したように処理装置9と関連して加えられる他の成分と、とともに)第1の材料ウェブ2と結合される。このようにして、複数の製造された製品を規定するよう意図された完全な材料ウェブ15が、作り出され、この完全な材料ウェブ15は、図1において矢印によって示された方向に前方に供給され、且つ2つの追加的な駆動ユニットにより巻き取られて前方に供給され、2つの追加的な駆動ユニットは、例えば、完全な材料ウェブ15の上下にそれぞれ配置された2つの回転供給ローラ16,17の形態にある。このようにして、完全な材料ウェブ15は、前方に供給される。
【0043】
第2の材料ウェブ14との一体化後に、動かないようにともに結合された複数の最終吸収性製品からなる完全に連続的な材料ウェブ15が作り出される。この材料ウェブ15は、適切には“クロスカッター”タイプからなる切断ステーション18を通過して最終的に供給され、切断ステーション18では、各最終製品のために横断位置7,8に本質的に対応する位置で切断が行われる。このようにして、複数の最終製品が、吸収性製品の形態で作り出される。
【0044】
当然ながら、上記の説明は、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド又は同様のもののような他のタイプの吸収性物品に適用可能である。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態による製造ライン1のための制御システム13の構成を概略的に示している。制御システム13は、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)19を有するメインプログラマブル論理制御装置(PLC)を備えている。HMI19は、製造ライン1のオペレータによって使用され、これにより、さまざまな制御パラメータを設定して、吸収性物品の製造プロセスを制御するとともに、視覚的又は聴覚的ステータス、警報及びアラームを受け取る。メインPLCは、複数の入力部/出力部(I/O)20に接続することができる。I/O20は、例えば、さまざまなセンサ、回路遮断器、ソレノイドバルブ、及びさまざまな製造ユニット10と関連する他のプロセスに関係のある装置であってもよい。I/O20は、例えばメインPLCに、回路遮断器及びソレノイドバルブのセンサデータ及び動作状態を提供することができる。動作状態は、例えばon/off又は異なる位置を意味する。I/O20は、メインPLCに、I/O20に接続された装置の各部分の動作状態に関する情報をさらに提供することができる。装置の所定の部分の動作状態が動作から非動作に変わると、メインPLCが警報を発生させられる。エラーのタイプに応じて、メインPLCは、製造ライン1を停止させてもよい。メインPLCは、モータ制御装置(MC)21にさらに接続することができ、モータ制御装置21は、製造ライン1のさまざまなモータ(M)23を制御するモータ駆動部(D)22に続いて接続される。モータ制御装置21は、材料ウェブ2,14,15の適切な速度が達成されることを保証するために、モータ23が製造ライン1にわたって同期させられることを保証する。図2において、モータ23は、例えば、図1におけるローラ4,5を駆動する。
【0046】
図2では、メインPLCは、非接触印刷ユニット6に接続される。本発明の一実施形態によれば、プリンタ制御ユニットは、非接触印刷ユニット及び関連するプリンタ洗浄デバイスを制御するように構成されている。プリンタ制御ユニットは、印刷ユニット及び洗浄デバイスの構成要素を制御するためのI/Oを有する1つ以上のPLCを典型的に備えている。印刷ユニットの構成要素は、印刷ノズルを典型的に含み、洗浄デバイスの構成要素は、印刷ノズル、材料ウェブ又は洗浄ユニットを移動させるためのアクチュエータを典型的に含んでいる。プリンタ制御ユニットは、バスシステム、シリアル通信又は任意の他の信号通信システムにより、メインPLCと通信する。メインPLCは、プリンタ制御ユニットに、何を、いつ、どこに印刷するかに関する情報を典型的に提供し、プリンタ制御ユニットは、印刷ユニット状態に関するフィードバック及びアラーム信号を典型的に提供する。メインPLCは、製造ラインの他のパーツを制御する1つ以上の追加的な分散型PLC40に接続することができる。分散型PLCは、I/O又はモータ駆動部よりも独立的であり、且つそれ自身の制御プログラミングを含み、メインPLCから及びメインPLCへ、情報、指令及び/又は状態を送信及び/又は受信することのみ行う。
【0047】
制御システムの複雑性に応じて、より小さい階層性の制御システムが望ましいこともあり、このシステムでは、印刷ユニット及び洗浄デバイスの構成要素が、そのI/Oを介してメインPLCによって直接的に制御される。さらに別の代替案では、印刷ユニット及び洗浄デバイスのいくつかの構成要素が、メインPLCによって制御され、他のパーツが、印刷ユニット又は洗浄デバイスと関連する1つ以上のサブPLCによって制御されてもよい。
【0048】
図3a及び図3bは、本発明の第1の態様による非接触印刷ユニット6を概略的に開示している。非接触印刷ユニット6は、少なくとも1つの印刷ノズル27を有する印刷ユニット25を備え、洗浄デバイスが、洗浄ユニット26及び作動シリンダ29,30を備えている。非接触印刷ユニット6及び洗浄デバイスは、1つの一体型ユニット又は2つの分離したユニットとして設けられている。印刷ユニット25は、材料ウェブ2が走行する対向支持面28の上方に位置している。本発明の第1の態様によれば、非接触印刷ユニット6の印刷ノズル27と、印刷される対象のための対向支持面28と、の相対位置の調節は、以下のように実行される。図3aに示されるように、対向支持面28は、製造ライン1での製造停止時に下げられるように構成された第1のシリンダ29の頂部上に配置されている。洗浄ユニット26は、製造ライン1での製造停止時に延在して洗浄ユニット26を洗浄位置に設置するように構成された第2のシリンダ30上に配置されている。第1のシリンダ及び第2のシリンダの移動は、矢印によって示されている。洗浄位置では、非接触印刷ユニット6の少なくとも1つの印刷ノズル27が、洗浄ユニット26によって洗浄することができる。製造ライン1での製造停止時に、対向支持面28、それにより材料ウェブ2は、下げられ、それによって、印刷ユニット25と対向支持面28との間にスペースを作り出す。これは、洗浄ユニット26が、印刷ユニット25と対向支持面28との間のスペース内に洗浄位置まで延在することを可能にする。これは、図3bに示されている。洗浄が完了した後又は完了前に終了した後に、第2のシリンダ30は、格納されるように制御され、それによって、洗浄ユニット26を洗浄位置から移動させ、第1のシリンダ29が、対向支持面28及び材料ウェブ2を上げるために制御され、これにより、印刷ユニット25をその元の位置へ復帰させる。その後、製造が、再開することができる。
【0049】
図4a及び図4bは、本発明の第2の態様による非接触印刷ユニット6及び洗浄デバイスを概略的に開示している。本発明の第2の態様によれば、非接触印刷ユニット6の印刷ノズル27と、印刷される対象のための対向支持面28と、の相対位置の調節は、以下のように実行される。図4aに示されるように、印刷ユニット25は、印刷ユニット25の洗浄を実行することを決定したときに上げられるように制御される。洗浄ユニット26は、図3aと関連して説明されたように第2のシリンダ30上に配置されている。洗浄を実行することを決定したときに、印刷ユニット25は、対向支持面28から離れるように上げられ、それにより、印刷ユニット25と対向支持面28との間にスペースを作り出す。これは、洗浄ユニット26が、印刷ユニット25と対向支持面28との間のスペース内に洗浄位置まで延在することを可能にする。これは、図4bに示されている。洗浄が完了した後又は完了前に終了した後に、第2のシリンダ30は、格納するように制御され、それにより、洗浄ユニット26を洗浄位置から移動させ、印刷ユニット25が、対向支持面28及び材料ウェブに向かって下げられるように制御され、これにより、印刷ユニット25をその元の位置へ復帰させる。その後、製造が、再開することができる。
【0050】
図5a及び図5bは、本発明の第3の態様による印刷ユニット25を概略的に開示している。図5は、本発明の第3の態様による非接触印刷ユニット6を概略的に開示している。本発明の第3の態様によれば、非接触印刷ユニット6の印刷ノズル27と、印刷される対象のための対向支持面28と、の相対位置の調節は、以下のように実行される。図5aに示されるように、印刷ユニット25は、第3のシリンダ31に取り付けられ、第3のシリンダ31は、本発明のこの態様では、印刷ユニット25の洗浄を実行することを決定したときに、少なくとも印刷ユニット25の印刷ノズル27を横に移動させるように構成されている。洗浄ユニット26は、本発明のこの態様では、固定位置32に配置されている。洗浄を実行すると決定したときに、印刷ユニット25は、対向支持面28から離れるように横に移動させられる。印刷ユニット25は、図5bに示されるように、洗浄ユニット26の頂部上の洗浄位置へ移動させられる。あるいは、洗浄ユニット26は、図3aと関連して説明されたように第2のシリンダ30に取り付けられてもよい。この場合、印刷ユニット25及び洗浄ユニット26双方は、それらそれぞれの初期位置から移動することができ、それにより洗浄位置に達する。洗浄が完了した後又は完了前に終了した後に、プリンタ制御ユニットは、第2のシリンダ30を格納し、それにより洗浄ユニット26を洗浄位置から移動させて、印刷ユニット25を対向支持面28及び材料ウェブ2に向かって再び移動させる。その後、製造が再開することができる。
【0051】
本発明の方法ステップは、方法のさまざまな実施形態を示す図6から図10に対してより詳細に説明される。図6は、本発明の一実施形態の中核になるステップを開示している。第1のステップ61は、製造ラインでの製造停止と、製造停止の原因と、を確認するステップを含んでいる。製造停止は、通常、分散型PLC40のいずれかからアラーム信号を受信したとき、又はメインPLCのI/Oポート20からの情報が任意の理由のための機能不全を示したときに、メインPLCによって決定される。製造停止の原因は、メインPLCが受信したアラーム信号のタイプに基づいて確認されてもよい。各PLCは、それぞれ可能な動作モードのための特定の状態を有する有限状態機械としてプログラムされている。いかなる種類の機能不全が分散型PLC40のいずれかで検出された場合にも、このPLCの制御システムは、この状況に対して予め規定された特定の状態に入り、対応するアラームが、メインPLCに伝達される。受信したアラームのタイプに応じて、メインPLCは、問題が解決されるまで、製造ラインを完全にもしくは部分的に停止させるか、又は製造ラインを減速すること又は同様のことを決定する。従って、メインPLCは、例えば、受信した特定のアラームに基づいて製造停止の原因を確定する。あるいは、アラームシステムがないか又は有限状態機械が使用され、製造停止の原因又は発端を確定するためのいくつかの他の手段が、使用されてもよい。製造停止の原因を確定した後に、非接触印刷ユニットによって製造停止が引き起こされなかったことを確定した後に、予防洗浄がステップ62で開始される。
【0052】
予防洗浄は、メインPLCから洗浄手順を開始するために信号を受信したときに、印刷ユニット6及び/又は洗浄デバイスに専用とされた制御ユニットによって実行される。あるいは、メインPLC自体が洗浄デバイスを制御する場合には、洗浄プロセスは、さらなる通信なく開始されてもよい。
【0053】
図7は、図6と類似する方法を示している。ただし、図7では、洗浄シーケンスを終了した後に、プリンタ制御ユニットから制御システムへ印刷ユニットが動作できることを通信する追加的な最終ステップ63が含まれている。このようなフィードバック情報は、洗浄プロセスが完了する前に製造が開始されることを回避するために有益である。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、非接触印刷ユニット6の自動予防洗浄は、製造ライン1での各製造停止が非接触印刷ユニット6によって引き起こされないときに開始される。このアプローチは、単純であり、且つより少ない評価を必要とする。しかしながら、洗浄プロセスが開始されるが製造停止が極めて短いこと、例えば製造停止が洗浄プロセスよりも短いことを回避するために、より複雑な方法が必要とされる。図8に概略的に示された本発明のさらなる一実施形態によれば、製造停止の原因を確認及び評価するステップ61は、製造停止の評価の結果を考慮しながら、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始することを決定するステップ64に続く。典型的に、製造停止の原因を評価するステップ64は、製造停止と推定時間を関連付けるステップを含む。予防洗浄が開始されるべきと確定された場合、方法は、洗浄を実行するためのステップ62に入る。そうでばければ、方法は、洗浄プロセスをスキップする。これは、例えば、製造停止が比較的短いと評価された場合に生じる。
【0055】
上述した評価を実行するための1つの実際の解決法は、図9を参照して示されており、起こり得る製造停止を初期分類する第1のステップ60を含み、このステップでは、全ての製造停止状態が、まず、個々の製造停止時間と関連付けられ、その後、少なくとも2つのクラスの1つに分類される。クラスは、好ましくは、製造停止に対する徐々に増大する推定時間と関連付けられる。次の評価ステップ64では、制御システムは、記録された製造停止状態と関連するクラスを、初期分類ステップ60で使用される分類ルールに基づいて迅速に照合する。例えば、2つのクラスが可能であり、一方のクラスが、平均的な洗浄プロセスよりも長い時間が標準的にかかる製造停止状態と関連し、他方のクラスが、平均的な洗浄プロセスよりも短い時間が標準的にかかる製造停止状態と関連する、ことが可能である。評価ステップ64中に、現在の製造停止状態が第1のクラス(予め規定されたクラス)に属すると確定された場合、洗浄は、製造停止のための精密な分析によりのみ発見できる原因のさらなる調査なく即座に開始される。
【0056】
本発明の方法のさらに別の実施形態は、図10を参照して開示されている。この実施形態は、製造ラインでの製造停止と、製造停止の原因と、を確認するステップ61を含む。その後、方法は、現在の洗浄緊急指標の状態を確定するステップ65を含む。洗浄緊急指標は、過去の予防洗浄イベントの後に、印刷ユニットの予防洗浄が極めてすぐに開始されることを防止するために使用される。これは、単に、追加的な予防洗浄のための必要性が極めて低く、予防洗浄イベント自体によって引き起こされる追加的な製造遅延に対するリスクが重要であるためである。例えば、傾いた緊急指標が低い場合、すなわち洗浄に対する要求が低く、推定製造停止期間が、洗浄セッションを実行するために必要な推定時間とほぼ同じであるか又はこの時間よりも短い場合、方法及びシステムは、自動予防洗浄を開始しないほうがよい。しかしながら、洗浄緊急指標が高く且つ推定製造停止時間が洗浄セッションを実行するために必要な推定期間とほぼ同じであるか又はこの期間よりも短い状況では、方法及びシステムは、自動予防洗浄を実行し、これにより、現在の製造停止が予防洗浄に起因して若干延長されるとしても、印刷ユニットの機能不全によって引き起こされる近い将来の追加的な製造停止を回避したほうがよい。従って、洗浄緊急指標は、制御システムが、より好ましく且つより長期的な決定を行うことを支援する。洗浄緊急指標は、好ましくは、制御システムによって継続的にモニターされる。洗浄緊急指標は、多くの異なる態様に応じており、例えば過去の印刷ユニット洗浄イベントからの期間である。印刷ユニットは、時間、特に製造時間が経つにつれてますます閉塞され且つ汚れることが想定され、このため、過去の洗浄イベントから経過した期間が、関係する態様である。別の関係する態様は、最後の印刷動作からの静止待機期間のような印刷ユニットの静止待機期間である。インクは、時間がたつにつれて乾燥し、印刷問題を引き起こす。従って、印刷静止待機時間は、関係する態様である。さらに別の関係する態様は、印刷ノズル内でのインク流動抵抗である。これは、例えば、ポンプ送り手段とインク出口孔との間の流路内の流動抵抗をモニターすることによって確定され、これは、ポンプ送り手段の出力要件を分析することによって測定されてもよい。さらなる関係する態様は、過去の印刷セッションから印刷ユニットを通過したシート材料の蓄積長さ、又は例えば消費された蓄積インク量に関連して定量化された、最後の洗浄セッションからの蓄積印刷量である。
【0057】
その後、方法は、製造停止の評価及び現在の洗浄緊急指標双方の結果を考慮しながら、非接触印刷ユニットの自動予防洗浄を開始することを決定するステップ64を含む。予防洗浄が開始されるべきと確定された場合、方法は、洗浄を実行するためのステップ62に入る。そうでなければ、方法は、洗浄プロセスをスキップする。
【0058】
特許請求の範囲に記された参照符号は、特許請求の範囲によって保護される事項の程度を限定するものとみなされるべきではなく、それら参照符号は、特許請求の範囲を理解しやすくするためにのみ機能する。
【0059】
理解されるように、本発明は、添付の特許請求の範囲の権利範囲から全く逸脱することなく、さまざまな明らかな態様に変更することができる。従って、図面及び説明は、事実上説明とみなされ、限定するものとみなされない。
【符号の説明】
【0060】
1 製造ライン、6 非接触印刷ユニット、10 製造ユニット、13 制御システム、27 印刷ノズル、28 対向支持面
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10