特許第6490739号(P6490739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490739スクロール圧縮機のファンのためのハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490739
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】スクロール圧縮機のファンのためのハウジング
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20190318BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20190318BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   F04D29/44 U
   F04D29/66 J
   F04C18/02 311Y
   F04D29/44 Y
   F04D29/44 V
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-92385(P2017-92385)
(22)【出願日】2017年5月8日
(62)【分割の表示】特願2016-505655(P2016-505655)の分割
【原出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-129152(P2017-129152A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2017年6月1日
(31)【優先権主張番号】2013/0240
(32)【優先日】2013年4月5日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】テーレン ヨッヘン エミール シー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ミーゲン リュック
(72)【発明者】
【氏名】ファン ルーヴェン ヘルト アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】マティス ヴィム ヤン エル
(72)【発明者】
【氏名】ストープ クーン
(72)【発明者】
【氏名】ポッターズ トム アンドレ ジェイ
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−120568(JP,A)
【文献】 実開昭61−149798(JP,U)
【文献】 実開平02−074599(JP,U)
【文献】 特開2012−255409(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009050684(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F04C 18/02
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式スクロール圧縮機(3)のラジアルファン(4)の空気流を導くハウジングであって、前記ハウジング(6)は、前記ラジアルファン(4)のロータ(5)を取り付けるためのボリュート(16)を備え、
前記ボリュート(16)は、
軸方向入口(13)であって、該軸方向入口(13)の中心を通って延びる幾何学的軸線(X−X′)に対して平行且つ該軸方向入口(13)の平面に対して垂直な軸方向に空気を引き込む軸方向入口(13)と、
前記ロータ(5)によって動かされる空気のための半径方向出口(23)と、
前記半径方向出口(23)に合体していて軸方向出力部(15)を備えた出口ベンド(17)を備え、
前記ボリュート(16)は、第1の壁(18)と、該第1の壁(18)の反対側の第2の壁(19)によって形成され、前記第1の壁(18)と前記第2の壁(19)のうちの少なくとも一方は、前記軸方向入口(13)を形成する通路を備え、前記第1の壁(18)と前記第2の壁(19)は、横方向壁(20)によって互いに連結され、
前記横方向壁(20)と前記軸線(X−X′)との間の半径方向距離(r)は開始箇所(21)から終了箇所(22)まで前記軸線(X−X′)回りの回転方向に沿って次第に増加し、
前記ハウジング(6)の内側(24)上で、前記出口ベンド(17)は、前記開始箇所(21)のところで夾角(25)をなして前記横方向壁(20)に連結されている、ハウジングであって、
前記夾角(25)は、前記軸方向入口(13)の前記軸線(X−X′)に垂直な平面上への垂直投影像で見て鋭角であり、前記夾角(25)は、前記軸方向入口(13)の前記軸線(X−X′)及び前記出口ベンド(17)の前記軸方向出力部(15)の中心(27)によって定められた中間平面(26)の一方の側から、前記横方向壁(20)の前記終了箇所(22)の側に位置した前記中間平面(26)の他方の側に且つ前記中間平面(26)から距離(A)を置いたところまで延び
前記中間平面(26)の断面で見て、前記出口ベンド(17)の外壁(28)が前記軸方向(X‐X′)に測定して前記ボリュート(16)の幅(W)よりも大きい半径(R)を備えた円形セグメント(29)を定め、
前記中間平面(26)の断面で見て、前記出口ベンド(17)の内壁(33)が円形セグメントを定め、
前記出口ベンド(17)の前記内壁(33)によって定められた前記円形セグメントは、前記出口ベンド(17)の前記外壁(28)の前記円形セグメント(29)と同心である、ハウジング。
【請求項2】
前記横方向壁(20)の前記終了箇所(22)の存在場所のところの前記出口ベンド(17)は、前記軸方向入口(13)の軸線(X‐X′)に垂直な平面上への垂直投影像で見て前記横方向壁(20)に本質的に接線方向に合体している、請求項1記載のハウジング。
【請求項3】
前記出口ベンド(17)は、前記半径方向出口(23)から生じる流れを前記軸方向入口(13)内の流れ方向とは逆の軸方向に曲げるチャネルを形成している、請求項1又は2記載のハウジング。
【請求項4】
前記出口ベンド(17)の前記外壁(28)の前記円形セグメント(29)の第1の端(30)が、前記中間平面(26)の断面で見て、前記ボリュート(16)の第2の壁(19)に接線方向に合体している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のハウジング。
【請求項5】
前記円形セグメント(29)は、前記中間平面(26)の断面で見て、前記第2の壁(19)が前記ボリュート(16)の前記第1の壁(18)の第1の側に位置し、前記円形セグメント(29)の第1の端(30)が前記ボリュート(16)の前記第1の壁(18)の第1の側に位置し、前記円形セグメント(29)の第2の端(31)が前記ボリュート(16)の前記第1の壁(18)の第2の側に位置し、前記第2の壁(19)及び前記円形セグメント(29)の第2の端(31)が、各々、前記第1の壁(18)から距離(C)を置いたところに配置されるような角度(B)にわたって前記半径方向出力部(23)から延びている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のハウジング。
【請求項6】
前記円形セグメント(29)は、90°の角度(B)にわたり前記半径方向出力部(23)から延びている、請求項5記載のハウジング。
【請求項7】
前記出口ベンド(17)の前記内壁(33)の前記円形セグメントは、前記第1の壁(18)に接線方向に合体している、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のハウジング。
【請求項8】
前記出口ベンド(17)の前記内壁(33)は、前記出口ベンド(17)の前記外壁(28)と同心の円弧形状を有する壁である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のハウジング。
【請求項9】
ハウジング(6)内に取り付けられたロータ(5)を備えるラジアルファン(4)を含む空冷式スクロール圧縮機において、前記ハウジング(6)は、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のハウジングである、空冷式スクロール圧縮機。
【請求項10】
前記出口ベンド(17)の前記軸方向出力部(15)は、換気流を前記空冷式スクロール圧縮機(3)の冷却フィン(12)上で又は該冷却フィン(12)に沿って導くデフレクタ(14)を備えている、請求項9記載の空冷式スクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール圧縮機のファンのためのハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール圧縮機は、各々プレートに取り付けられている2つの螺旋状巻回体の相互作用により空気又は別のガスを圧縮するために用いられ、これら巻回体は、互いに噛み合っていて、これら巻回体は、互いに対して偏心的に動かされ、それにより、前記運動に起因して連続的に小さくなり、それにより入口から出口まで動く空気チャンバを包囲し、それにより次第に小さくなる空気チャンバ内の圧縮に起因して、これら空気チャンバ内の空気の圧力が増大する。
【0003】
一般的に言って、2つのスクロールのうちの一方は、ステータの一部をなす固定スクロールであり、他方のスクロールは、モータによって駆動されるシャフトを備えたロータの一部をなし、このシャフトにはロータが偏心的に取り付けられている。
【0004】
かかる形式の圧縮機は、例えば欧州特許第2,224,136号明細書から知られている。
【0005】
空気を圧縮したとき、熱が必然的に生じ、この熱は、ステータ及びロータに設けられている外部冷却フィンを介して環境中に運び出される。
【0006】
一般に、能動的冷却がファンによって実施され、ファンは、空気又は別の冷却剤ガスを引き込んでこの冷却剤ガスを冷却フィン上でこれらに沿って送る。
【0007】
本明細書の残部及び特許請求の範囲の記載に関し、冷却剤ガスは、空気であることを前提としているが、本発明は、空冷式スクロール圧縮機には限定されない。
【0008】
実際には、ファン及び圧縮機は、共通の駆動装置によって駆動される。
【0009】
従来、ハウジング内に取り付けられているロータを備えたラジアルファンが用いられ、周囲の空気がファンの軸方向に軸方向入口を通って引き込まれ、換言すると、ロータの軸方向に引き込まれ、そしてハウジングによって駆動装置の他方の側に導かれてデフレクタを介してスクロール圧縮機の冷却フィン上でこれらに沿って送り出される。
【0010】
この種のハウジングは、ハウジングは、一方において、入口であって入口の中心を通る幾何学的軸線に対して平行且つ入口の平面及び半径方向出口に対して垂直な軸方向に空気を引き込む入口を備えたファンのロータを収容するボリュートと、他方において、半径方向出口に合体していて軸方向出力部を備えた出口ベンドによって形成され、ボリュートは、2つの互いに反対側の壁によって形成され、壁のうちの少なくとも一方は、前記入口を形成する通路を備え、壁は、横方向壁によって互いに連結され、横方向壁の前記軸線までの半径方向距離は開始箇所から終了箇所まで軸線回りの回転方向に沿って次第に増加し、ハウジングの内側上で、出口ベンドは、開始箇所のところで夾角をなして横方向壁に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第2,224,136号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
公知のハウジングの欠点は、これらのハウジングが比較的大きな流れの損失を伴っていることにより、その結果、引き込まれた空気の冷却剤流量が減少し、かくして圧縮効率が悪くなると共に全体的な圧縮機性能が低下し、或いは、それどころか、例えば40℃乃至50℃を超える高い周囲温度では圧縮機の有用性がなくなる。
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点及び他の欠点を解決する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のため本発明は、上述の形式のハウジングであって、横方向壁の開始箇所における出口ベンドと横方向壁との間の夾角が入口の上記幾何学的軸線に垂直な平面上への垂直投影像で見て鋭角であり、夾角が入口の軸線及び出口ベンドの出力部の中心によって定められた中間平面の一方の側から横方向壁の終了箇所の側に位置した中間平面の他方の側に且つ中間平面から距離を置いたところまで延びていることを特徴とするハウジングに関する。
【0015】
公知ハウジングと比較して、ハウジングと出口ベンドとの間の上述の夾角は、非常に急峻に且つ深く切り込んでいる。
【0016】
大がかりな計算及びシミュレーションの実証するところによれば、本発明の結果として、換気用空気の逆流が大幅に減少し、換言すると、出口ベンドまでボリュートによって案内される空気は、上述の角度の存在箇所でロータと上述の横方向壁との間の隙間を通って逆流することがない。
【0017】
逆流に起因する損失は大幅に減少し、ファンロータのシャフトに利用可能な動力が同一であるとすれば、スクロール圧縮機の冷却に利用できる流量が増大し、その結果、スクロール圧縮機は、良好に冷却され、それにより一般的に知られているように、スクロール圧縮機の良好な圧縮効率が得られる。
【0018】
好ましくは、出口ベンドは、上記中間平面の断面で見て、出口ベンドの外部が軸方向に測定してボリュートの幅よりも大きい半径を備えた円形セグメントを定めるよう形成され、出口ベンドの外部の外壁は、上述の円形セグメントの中心を通り且つ上述の中間平面に垂直な中心線を備えた円筒形の壁として構成される。
【0019】
このように、ベンド内での導き(チャネリング)は、かなりの角度のあるベンドが用いられる従来型の場合よりも効率化される。
【0020】
加うるに、その結果、ハウジングは、角度のある出口ベンドを備えた従来型ハウジングと比較して小型である。
【0021】
その結果、本発明のハウジングが占有するスペースは、最高18%分まで節約され、最高15%までの材料の節約も又実現される。
【0022】
好ましくは、円形セグメントは、関連の第2の壁及び円形セグメントの他端が各々、ボリュートの第1の壁の反対側に且つ該第1の壁から距離を置いたところに配置されるような角度にわたって半径方向出力部から延びる。
【0023】
その結果は、空気流の望ましくない逆流が一段と減少し、この場合でも上述したのと同一の望ましい利点が得られる。
【0024】
全体として、本発明のハウジングの改造形状に起因して、約20%の改良結果が空気流に関して実現され、このようになっているにもかかわらず、よりコンパクトなハウジング及び必要な原材料に関する利益が達成される。
【0025】
好ましい実施形態によれば、ハウジングは、相互間の分割線を有する2つの部品で構成され、この分割線は、ボリュートのところでは、上記軸線に垂直な分割平面内に位置し、出口ベンドのところでは、第1の分割平面に関して斜めである分割平面内に位置する。
【0026】
これにより、ファンが常時組み立てやすいという利点をもたらすと共に保守又は補修のためにロータファンへの容易な接近をもたらす。
【0027】
さらに、ハウジングは又、ハウジングの両方の半部のための簡単な金型で容易に作られる。
【0028】
本発明は又、本発明のハウジング内に取り付けられたロータを備えるラジアルファンを含む空冷式又はガス冷却式スクロール圧縮機に関し、ロータの駆動装置は、ハウジングの入口を通って挿入され、出口ベンドは、その出力部のところに設けられていて換気流をスクロール圧縮機冷却フィン上で又はこれに沿って導くデフレクタを備える。
【0029】
本発明の特徴を良好に示す意図をもって、空冷式ガス又はガス空冷式スクロール圧縮機のファンの空気流を導く本発明のハウジング及びかかるハウジングを備えたファンを備えるスクロール圧縮機の好ましい実施形態につき添付の図面を参照して以下において説明するが、これは例示であり、性質上本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明のハウジングを備えたファンを備える空冷式又はガス冷却式スクロール圧縮機の概略斜視図であり、或る特定の部品が部分的に省かれた状態を示す図である。
図2図1においてF2で示されたファンのハウジングを示す図であり、デフレクタ及びロータが補足して示す図である。
図3図2のハウジングの斜視図である。
図4図2のハウジングの斜視図であり、デフレクタなしで且つロータなしで示す図である。
図5図4のF5矢視図である。
図6図4のF6矢視図である。
図7図6のF7矢視図である。
図8図7のF8矢視図である。
図9】ハウジングの略図である。
図10図9のX‐X線矢視断面図である。
図11】別の角度から見た図4のハウジングの分解組立て斜視図である。
図12図11の場合と同様な分解組立て斜視図であるが、変形実施形態についての図である。
図13】本発明のハウジングの図4の対応の図と比較した従来型ハウジングを示す図である。
図14】本発明のハウジングの図6の対応の図と比較した従来型ハウジングを示す図である。
図15】本発明のハウジングの図7の対応の図と比較した従来型ハウジングを示す図である。
図16】本発明のハウジングの図8の対応の図と比較した従来型ハウジングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示されている圧縮機1は、スクロール圧縮機3の駆動用の、例えば幾何学的軸線X‐X′を備えたシャフトを含むモータ又はベルト伝動装置の形態をした駆動装置2と、ハウジング6内に回転可能に取り付けられたロータ5を備えるラジアルファン4とで構成されている。
【0032】
圧縮機1は、全体が支持構造体7上に構成されている。
【0033】
知られているように、スクロール圧縮機3は、互いに相互作用することができる2つのスクロール8を有し、これらスクロールのうちの一方のスクロール8は、シャーシに締結されたステータプレート10に取り付けられ、他方のスクロール9は、軸線X‐X′回りの軌道運動をなして公知の仕方で駆動装置2によって駆動可能なロータプレート11の一部をなしている。
【0034】
ステータプレート10とロータプレート11の両方は、これらスクロール圧縮機3の圧縮の仕事によって生じた熱を環境に運び出すことができる冷却フィン12を備えている。
【0035】
圧縮熱の効果的な除熱のため、周囲空気が図2に矢印Iで示されているように軸線X‐X′に平行な方向でファン4の入口13を経て軸方向に引き込まれ、そして図2の矢印Oで示されているように軸線X‐X′に対して横の方向で、ハウジング6の出力部15のところに設けられたデフレクタ14によりスクロール圧縮機3の冷却フィン12上でこれに沿って送られる。
【0036】
ファンのハウジング6は、ファン4のロータ5が収納状態で取り付けられているボリュート16及びこのボリュート16に垂直に合体された出口ベンド17によって構成されている。
【0037】
ボリュート16は、2つの反対側の本質的に互いに平行な壁18,19によって形成され、これら壁18,19は、それぞれ、駆動装置2のシャフトの通路を備えると共に上述の軸方向入口13としても働くスクロール圧縮機3の側に設けられた第1の壁18及び駆動装置のシャフトの通路19aを更に備えた反対側に設けられている第2の壁19である。
【0038】
これらの壁18,19は、連続横方向壁20によって互いに連結され、軸線X‐X′回りのロータ5の回転方向における上述の軸線X‐X′までのこの横方向壁20の半径方向距離rは、半径方向距離rが最も小さい開始箇所21から半径方向距離rが最も大きい最終箇所22まで次第に増大している。
【0039】
上述の開始箇所21と終了箇所22との間には開口部が残されており、この開口部は、第1の壁18及び第2の壁19と一緒になって、ロータ5によって動かされる空気のための半径方向出口23を構成しており、横方向出口ベンド17は、出て行く半径方向空気流を図9に示されているように入口13内に引き込まれる空気の流れ方向Iとは逆の軸方向に向かって曲げるためにこの半径方向出口23に合体している。
【0040】
終了箇所22の配設場所のところでは、出口ベンド17は、少なくとも例えば図5及び図9の軸線X‐X′に垂直な平面上への垂直投影像で見て横方向壁20に接線方向に合体しており、開始箇所21の配設場所のところでは、ハウジング6の内側25上の出口ベンド17は、夾角25をなして横方向壁20に合体しており、この夾角は、本発明の好ましい特徴によれば、図9で理解できるように鋭角25であり、この角度は、図9に示されているように、軸線X‐X′及び出口ベンド17の出力部15の中心27によって定められた中間平面26の一方の側から横方向壁20の終了箇所22の側に位置した中間平面26の他方の側に且つ中間平面26から距離Aを置いたところまで延びている。
【0041】
かくして、比較的深く且つ急峻な切込みがハウジング6に得られ、これにより、横方向壁20の開始箇所21から中間平面26までの上述の距離Aは、好ましくは、入口13の直径Dの5パーセントよりも大きく、好ましくは直径Dの10パーセントよりも大きい。
【0042】
本発明の別の好ましい特徴によれば、出口ベンド17の形状は、図10に示されているように上述の中間平面26の断面で見て、出口ベンド17の外側上の外壁28が、軸線X‐X′の方向に測定してボリュート16の幅Wよりも大きい半径Rを有すると共に一端30のところでボリュート16の第2の壁19に接線方向に合体する円形セグメント29を定めるようなものである。
【0043】
上述の円形セグメント29は、例えば90°の角度Bを定め、この角度は、好ましくは、円形セグメント29の他端31及び第2の壁19が各々、ボリュート16の第1の壁18の反対側及びこれから距離Cを置いたところに位置するようにするほど充分に大きい。
【0044】
出口ベンド17の外壁28は、好ましくは、上記円形セグメント29の中心32を通り且つ上記中間平面26に垂直な中心線を備えた円筒形の外壁28である。
【0045】
同様に、出口ベンド17の内壁33は、好ましくは、円筒形の内壁33であり、この内壁は、この場合、円筒形外壁28と同心であるが、必ずしもそうである必要はなく、内壁33は、入口13を備えた第1の壁18に接線方向に合体している。
【0046】
内壁33と外壁28は、2つの連結壁34,35によって互いに連結されており、連結壁34,35は、内壁33及び外壁28と一緒になって、チャネルを定めている。
【0047】
出口ベンド17は、出力部15の軸方向延長方向に真っ直ぐな延長片36を備えている。
【0048】
上述のデフレクタ14は、この延長片36につながった状態で出口ベンド17のコミック(comic)断面に合体しており、その目的は、出口ベンド17から来た軸方向流れをスクロール圧縮機の冷却フィン12の方向に横方向に曲げることにある。
【0049】
このデフレクタ14は、図面の場合のように出口ベンド17に取り付けられる別個の部品として構成することも可能であり、ハウジング6それ自体の一部として一体化することも可能である。
【0050】
圧縮機1の使用は、従来型圧縮機の使用と全く似通っており、違いは、ファン4のハウジング6の特定の設計に起因して、流れ損失が実質的に少ないこと、本発明のハウジング6を図13図16に示されているハウジングと比較することによって理解できるようにハウジング6の容積が小さいため、利用できる空間が狭いような用途に圧縮機1を利用することができるということにある。
【0051】
デフレクタ14なしのハウジング6は、好ましくは、2つの部品で構成され、分割線37が2つの部品6A,6B相互間に示されている。
【0052】
図11は、互いに別体の両方の部品6A,6Bを示している。
【0053】
ボリュート16及び出力部15の配設場所のところでは、分割線37は、それぞれ、図11に示されているように分割平面38,39により形成され、これら分割平面38,39は、軸線X‐X′に垂直である。
【0054】
連結壁35及び出口ベンド17の内壁33の配設場所のところでは、分割線37は、分割平面40及び分割平面41内に位置し、分割平面40,41は、それぞれ、分割平面38,39に対して斜めである。
【0055】
このように、ファン4を例えばロータ5の保守、補修又は交換のために容易に組み立てたり分解したりすることができる。
【0056】
さらに、これら部品6A,6Bは、可動部品なしで比較的容易に構成される金型又はダイで実現できる。
【0057】
ハウジング6の構成部品6A,6B相互間の分割線37の配設場所のところに位置する縁部は、好ましくは、2つの部品6A,6B相互間にシールを提供する目違い継ぎプロフィールを備える。
【0058】
ハウジング6は、当然のことながら、別の仕方で構成部品に分割可能である。
【0059】
図11の場合、分割平面39は、出力部15の配設場所のところで位置し、延長片は、出口ベンド17から完全に切除されている。
【0060】
図1図10ではボリュート16の第2の壁19が駆動装置2のシャフトのための通路19aを備えているが、この壁19が閉鎖壁であること及び駆動装置2がファンとスクロール圧縮機との間に位置している場合に第1の壁の入口13がこの駆動装置2の唯一の通路として作用しても良いことが排除されるわけではない。
【0061】
この場合、必要ならば、開口部19aは、ファンの保守のための接近開口部としてここに位置し続けても良く、それにより、この開口部19aを例えばカバーで閉鎖するのが良い。
【0062】
本発明は、一例として説明すると共に図面に示した実施形態に何ら限定されず、空冷式又はガス冷却式スクロール圧縮機及び本発明のハウジングを備えたファンを備えるスクロール圧縮機のファンの空気流を導く本発明のハウジングは、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態及び寸法形状で実現できる。
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