特許第6490765号(P6490765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490765三次元的な物体を付加的に製造するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490765
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】三次元的な物体を付加的に製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20190318BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20190318BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B33Y30/00
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-166990(P2017-166990)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-76585(P2018-76585A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】10 2016 121 648.8
(32)【優先日】2016年11月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・シュタムベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ファービアン・ツォイルナー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シェーデル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ホフマン
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−193187(JP,A)
【文献】 特開2006−289973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム発生装置(4)によって発生されるエネルギービーム(5)を用いて固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の固化とによる、三次元的な物体(2)を製造するための装置(1)であって、
−粉体収容空間(10)を含む粉体モジュール(11)を収容するための少なくとも1つの収容範囲(9)を有するフレーム構造(8)であって、前記粉体モジュール(11)が、前記粉体収容空間(10)を底部側で画する、高さ調整可能に支持された支持要素(12)を含む、前記フレーム構造と、
−前記収容範囲(9)内へ移動された粉体モジュール(11)の前記支持要素(12)の高さ調整のために設置されている調整装置(13)と
を含み、該調整装置(13)が、動作位置において、前記粉体モジュール(11)の前記支持要素(12)の高さ調整のために設置されている少なくとも1つの、高さ調整可能な調整要素アセンブリ(14)を含んでいる、前記装置において、
昇降装置(18)が設けられており、該昇降装置(18)が少なくとも1つの昇降機構(19)を含んでおり、該昇降機構(19)が、前記粉体モジュール(11)を非動作位置から動作位置へ移動させる第1の部分ストロークを発生させるために設置された第1の昇降要素(20)と、前記調整要素アセンブリ(14)を非動作位置から動作位置へ移動させる第2の部分ストロークを発生させるために設置された第2の昇降要素(21)とを含んでおり、前記第1の昇降要素(20)が力伝達要素(22)を介して前記第2の昇降要素(21)に運動可能に結合されており、その結果、前記第1の昇降要素(20)により発生可能又は発生させられる前記第1の部分ストロークと、前記第2の昇降要素(21)により発生可能又は発生させられる前記第2の部分ストロークとが同期してなされることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の昇降要素(20)により発生可能又は発生させられる前記第1の部分ストロークが、前記第2の昇降要素(21)により発生可能又は発生させられる前記第2の部分ストロークよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の昇降要素(20)が前記粉体モジュール(11)に結合可能であるか、又は結合されており、前記第2の昇降要素(21)が前記調整要素アセンブリ(14)に結合可能であるか、又は結合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の昇降要素(20)が2つの端位置の間で移動可能に支持されており、前記第1の昇降要素(20)の第1の端位置が前記粉体モジュール(11)の動作位置に割り当てられており、前記第1の昇降要素(20)の第2の端位置が前記粉体モジュール(11)の非動作位置に割り当てられており、前記第2の昇降要素(21)が2つの端位置の間で移動可能に支持されており、前記第2の昇降要素(21)の第1の端位置が前記調整要素アセンブリ(14)の動作位置に割り当てられており、前記第2の昇降要素(21)の第2の端位置が前記調整要素アセンブリ(14)の非動作位置に割り当てられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の昇降要素(20)が、所定の長さの特に曲線状の運動軌道(24)を規定する制御面(25)を有する、特にディスク状の、回転軸線(A)周りに回転可能に支持された制御要素(23)として形成されているか、又はこのようなものを含んでおり、前記第1の昇降要素(20)の前記端位置が前記運動軌道(24)の各端部によって規定されており、前記第2の昇降要素(21)が、所定の長さの特に曲線状の運動軌道(27)を規定する制御面(28)を有する、特にディスク状の、回転軸線(B)周りに回転可能に支持された制御要素(26)として形成されているか、又はこのようなものを含んでおり、前記第2の昇降要素(21)の前記端位置が前記運動軌道(27)の各端部によって規定されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の昇降要素(20)の前記制御要素(23)が、前記制御面(24)に沿って移動可能に支持された調整要素(29)を介して前記粉体モジュール(11)に結合可能であるか、又は結合されており、前記第2の昇降要素(21)の前記制御要素(26)が、前記制御面(27)に沿って移動可能に支持された調整要素(32)を介して前記調整要素アセンブリ(14)に結合可能であるか、又は結合されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの昇降機構(19)に割り当てられた、前記各部分ストロークを実現する昇降力を発生させるために設置された昇降駆動装置(35)が設けられており、該昇降駆動装置(35)に属する昇降駆動要素(36)が前記力伝達要素(22)に結合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記昇降装置(18)が複数の昇降機構(19)を含んでおり、側方で隣り合って配置された昇降機構(19)の第1の対が、前記収容装置(9)を側方で画する第1のフレーム構造要素(38)、特に前記フレーム構造(8)の第1の壁部において配置又は形成されており、側方で隣り合って配置された昇降機構(19)の第2の対が、前記収容装置(9)を側方で画する第2のフレーム構造要素、特に前記フレーム構造(8)の第2の壁部において配置又は形成されており、前記第1のフレーム構造要素(38)が前記第2のフレーム構造要素に対向するように配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
側方で隣り合って配置された昇降機構(19)の前記第1の対に、請求項7に記載の1つの共通の昇降駆動装置(35)が割り当てられており、該昇降駆動装置(35)に属する前記昇降駆動要素(36)が、前記第1の対の、第1の昇降機構(19)の前記力伝達要素(22)にも、また第2の昇降機構(19)の前記力伝達要素(22)にも結合されており、側方で隣り合って配置された昇降機構(19)の前記第2の対に、請求項7に記載の1つの共通の昇降駆動装置(35)が割り当てられており、該昇降駆動装置(35)に属する前記昇降駆動要素(36)が、前記第2の対の、第1の昇降機構(19)の前記力伝達要素(22)にも、また第2の昇降機構(19)の前記力伝達要素(22)にも結合されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
側方で隣り合って配置された昇降機構(19)の前記第1及び第2の対の、互いに対向する第2の昇降要素(21)が、これを結合する、特にロッド状の結合要素を介して運動可能に結合されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の更なる特徴を有する、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム発生装置によって発生されるエネルギービームを用いて固化可能な構造材料から成る構造材料層の固化とによる、三次元的な物体を付加的に製造するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元的な物体を付加的に製造するための適当な装置は、それ自体又はそれ自体について知られている。適当な装置の典型的な実施形態は、選択的レーザ焼結法あるいは選択的レーザ溶融法の実行のための装置である。
【0003】
三次元的な物体を付加的に製造するための公知の装置は、粉体収容空間を含む粉体モジュールすなわち例えば構造モジュールを収容するための少なくとも1つの収容範囲を有するフレーム構造を含んでおり、収容範囲内では、三次元的な物体の実際の付加的な製造が行われる。適当な粉体モジュールは、粉体収容空間を底部側で画成する、高さ調整可能に支持された支持要素を含んでいる。さらに、適当な装置は、収容範囲において移動する粉体モジュールの支持要素の高さ調整のために設置されている調整装置を含んでいる。調整装置は、粉体モジュールの支持要素の高さ調整のための動作位置に設置されている少なくとも1つの、高さ調整可能な調整要素アセンブリを含んでいる。
【0004】
装置のプロセスチャンバを画成する前記装置側のフレーム構造あるいは1つの装置側のフレーム構造の壁部に対して粉体モジュールが所定の間隔をもって配置されているか、又は(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素が各構造材料層の選択的な露光あるいは固化がなされる装置の構造フィールド平面内に配置可能でないか、あるいは配置されていない非動作位置と、装置のプロセスチャンバを画成する前記装置側のフレーム構造あるいは1つの装置側のフレーム構造の壁部に対して粉体モジュールが間隔をもって配置されていないか、又は(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素が構造フィールド平面内に配置可能であるか、あるいは配置されている動作位置との間での適当な収容装置内に収容された粉体モジュールの移動の実現に関連して、機能的に高集積され、それにもかかわらずコンパクトに構成された昇降装置の需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎をなす課題は、適当な収容装置内に収容された粉体モジュールの、適当な非動作位置と適当な動作位置の間での移動を実現するために設置された、機能的に高集積されているにもかかわらずコンパクトに構成された昇降装置を有する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1による装置によって解決される。各従属請求項は、装置の可能な実施形態に関するものである。
【0007】
ここに記載された装置(「装置」)は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム、すなわち特にレーザビームを用いて固化可能な構造材料から成る構造材料層の固化とによる、三次元的な物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的な部材群を付加的に製造するために設置されている。構造材料は、特に粒子状あるいは粉体状の金属材料、合成樹脂材料及び/又はセラミック材料であり得る。選択的に固化されるべき各構造材料層の選択的な固化は、物体に関する構造データに基づきなされる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体の幾何学的−構造上の形状を記述するものであり、例えば付加的に製造されるべき各物体の「スライスされた」CADデータであり得る。装置は、SLM装置、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)の実行のための装置として、又はSLS装置、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)の実行のための装置として形成されることが可能である。
【0008】
装置は、粉体モジュールを収容するための、少なくとも1つの例えば縦穴状の収容範囲を有するフレーム構造を含んでいる。適当な粉体モジュールは、粉体収容空間を含んでいる。粉体モジュールは、例えば、その粉体収容空間(構造空間)内で三次元的な物体の実際の付加的な製造がなされる構造モジュール、装置側の積層装置を用いて、選択的に露光されるべき、あるいは固化されるべき構造材料層において構造平面内で粉体収容空間から提供される構造材料の配量のために設置されている配量モジュール、又は固化されていない構造材料を粉体収容空間内に収容するために設置されたオーバーフローモジュールであり得る。適当な粉体モジュールは、粉体収容空間を底部側で画成する高さ調整可能に支持された、例えばプレート式あるいはプレート状の支持要素を含んでいる。この支持要素は、粉体収容空間を画成する粉体モジュールの壁部に対して相対的に支持されているため、粉体収容空間は、支持要素の移動によって粉体収容空間を画成する壁部に対して相対的に変更可能である。
【0009】
後述するように、収容範囲に配置された粉体モジュールは、装置のプロセスチャンバを画成する装置側のフレーム構造の壁部に対して粉体モジュールが所定の間隔をもって配置されているか、又は(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素が各構造材料層の選択的な露光あるいは固化がなされる装置の構造フィールド平面内に配置可能でないか、あるいは配置されていない非動作位置と、装置のプロセスチャンバを画成する前記装置側のフレーム構造あるいは1つの装置側のフレーム構造の壁部に対して粉体モジュールが間隔をもって配置されていないか、又は(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素が構造フィールド平面内に配置可能であるか、あるいは配置されている動作位置との間で移動可能に支持されている。後述のように、粉体モジュールの動作位置は典型的には粉体モジュールの上方の位置に対応し、粉体モジュールの非動作位置は典型的には粉体モジュールの下方の位置に対応している。
【0010】
さらに、装置は、収容範囲内へ移動した粉体モジュールの支持要素の高さ調整のために設置されている調整装置を含んでいる。この調整装置は、例えば(電気)モータによる調整駆動部と、調整要素アセンブリとを含んでおり、調整要素アセンブリの構成要素については後述する。
【0011】
調整要素アセンブリの第1の構成要素は、粉体モジュールの支持要素の高さ調整のための動作位置に設置されている、調整駆動部によって高さ調整可能な調整要素である。調整要素は、適当な高さ調整のための調整駆動部によって駆動可能な(長さ方向の)調整スピンドルであり得る。調整要素の動作位置は、調整要素が支持要素に直接接触するか、あるいはわずかな間隔、すなわち典型的には数ミリメートルの間隔、特に5mmより小さな間隔のみが調整要素と支持要素の間に存在することで規定されている。これに対応して、調整要素の非動作位置は、調整要素が直接的に支持要素に接触しないか、あるいは比較的大きな間隔、すなわち典型的には数ミリメートル、特に5mmより大きな間隔が調整要素と支持要素の間に存在することで規定されている。後述するように、調整要素の動作位置は典型的には調整要素の上方の位置に対応し、調整装置の非動作位置は典型的には調整要素の下方の位置に対応している。
【0012】
調整要素アセンブリの別の構成要素は、モジュール側の支持要素に対向する調整要素の自由端の範囲に配置又は形成された、例えばプレート式あるいはプレート状の調整要素テーブルである。調整要素テーブルは、調整要素の動作位置において、支持要素への平坦な接触を可能とすることができる。調整要素が調整スピンドルであれば、調整要素テーブルは調整スピンドルテーブルである。
【0013】
調整要素アセンブリの別の構成要素は、例えばプレート式あるいはプレート状の支持要素であり得る。支持要素は、調整要素によって貫通されることが可能であるか、あるいは貫通された、例えば孔、場合によってはネジ孔の形態の開口部を備えている。したがって、調整要素は、(不動の)支持要素に対して相対的に高さ調整されることが可能である。逆に、支持要素の高さ調整により調整要素の高さ調整がもたらされる。
【0014】
さらに、装置は、少なくとも1つの昇降機構を含む昇降装置を含んでいる。適当な昇降機構は、2つの昇降要素を含んでいる。第1の昇降要素は、粉体モジュールを(粉体モジュールの)非動作位置から(粉体モジュールの)動作位置へ及びこの逆に移動させる第1の部分ストロークを発生させるために設置されている。この第1の昇降要素は、このために典型的には粉体モジュールと結合可能であるか、あるいは結合されている。第2の昇降要素は、調整要素アセンブリを(調整要素アセンブリあるいは調整要素の)非動作位置から(調整要素アセンブリあるいは調整要素の)動作位置へ移動させる第2の部分ストロークを発生させるために設置されている。この第2の昇降要素は、このために典型的には調整要素アセンブリと結合可能であるか、あるいは結合されている。両部分ストロークは、昇降装置あるいは各昇降機構によって実現可能な全体ストロークへ加えられることができる。
【0015】
昇降機構の第1の昇降要素は、例えばチェーン、ベルト又はこれに類するものの形態の力伝達要素を介して昇降機構の第2の昇降要素に運動結合されており、その結果、第1の昇降要素によって発生可能又は発生する第1の部分ストロークと、第2の昇降要素によって発生可能又は発生する第2の部分ストロークとが同期して行われるか、あるいは、第1の昇降要素によって発生可能あるいは発生する第1の部分ストロークの発生と、第2の昇降要素によって発生可能あるいは発生する第2の部分ストロークの発生とが同期して行われる。第1及び第2の部分ストロークの同期した実行は、粉体モジュールと調整要素アセンブリの組み合わされた移動において生じる。したがって、粉体モジュールのその動作位置への移動と、調整要素アセンブリのその動作位置への移動とは、組み合わされて実行される。粉体モジュールの(特にその非動作位置から)その動作位置への移動と、調整要素アセンブリの(特にその非動作位置から)その動作位置への移動と、及びその逆がなされ、したがって関連している。粉体モジュールの移動と調整要素アセンブリの移動の組合せあるいは関連により、各昇降装置の構造を極端にコンパクトに保持することが可能である。
【0016】
したがって、昇降装置あるいはこれに属する少なくとも1つの昇降機構は、粉体モジュール及び調整要素アセンブリあるいは調整要素アセンブリの調整要素の同期あるいは組み合わされた昇降運動を発生させるために設置されている。したがって、装置は、機能的に高集積されているもののコンパクトに構成された昇降装置を含んでいる。
【0017】
装置は、そのほか、追加的な構造過程の実行に典型的に必要な機能構成要素、すなわち特に連続的で層ごとの選択的な各構造材料層の固化のためにのエネルギービームあるいはレーザビームを発生させるために設置されたエネルギービーム発生装置あるいはレーザビーム発生装置と、装置の構造平面内で選択的に固化されるべき構造材料層の形成のために設置された積層装置とを含んでいる。装置を用いて実行される付加的な構造過程は、装置に属する典型的には不活性化可能あるいは不活性化されたプロセスチャンバ内で行われる。プロセスチャンバは、装置のフレーム構造の一部を形成することができる。
【0018】
第1の昇降要素によって発生可能あるいは発生される第1の部分ストロークは、典型的には第2の昇降要素によって発生可能あるいは発生される第2の部分ストロークよりも小さい。これは、第2の昇降要素がその非動作位置からその動作位置への調整要素アセンブリの移動あるいは昇降運動も、またその非動作位置からその動作位置への粉体モジュールの移動あるいは昇降運動も完遂する一方、第1の昇降要素はその非動作位置からその動作位置への粉体モジュールの移動あるいは昇降運動のみを完遂することを考慮に入れるものである。第1の昇降要素によって発生可能な第1の部分ストロークは、例えば40〜60mmの範囲にあることができ、第2の昇降要素21によって発生可能な第2の部分ストロークは、例えば60〜90mmの範囲にあることができる。
【0019】
第1の昇降要素は2つの端位置間で移動可能に支持されていることが可能であり、第1の昇降要素の第1の端位置が粉体モジュールの動作位置に割り当てられており、第1の昇降要素の第2の端位置が粉体モジュールの非動作位置に割り当てられている。後述のように、第1の昇降要素の各端位置は、特に第1の昇降要素の回転位置であり得る。粉体モジュールの動作位置あるいは非動作位置への第1の昇降要素の各端位置の割り当ては、第1の昇降要素が第1の端位置へ移動するときに粉体モジュールがその動作位置へ移動し、第1の昇降要素が第2の端位置へ移動するときに粉体モジュールがその非動作位置へ移動すると理解されるべきである。
【0020】
同様に、第2の昇降要素は2つの端位置間で移動可能に支持されていることが可能であり、第2の昇降要素の第1の端位置が調整要素アセンブリの動作位置に割り当てられており、第2の昇降要素の第2の端位置が調整要素アセンブリの非動作位置に割り当てられている。後述のように、第2の昇降要素の各端位置は、特に第2の昇降要素の回転位置であり得る。調整要素アセンブリの動作位置あるいは非動作位置への第2の昇降要素の各端位置の割り当ては、第2の昇降要素が第1の端位置へ移動するときに調整要素アセンブリがその動作位置へ移動し、第2の昇降要素が第2の端位置へ移動するときに調整要素アセンブリがその非動作位置へ移動すると理解されるべきである。
【0021】
第1の昇降要素は、特にディスク式あるいはディスク状の、すなわちカムディスクとして形成された、回転軸線周りに中心で又は偏心して回転可能に支持された、特に曲線式あるいは曲線状の所定の長さの運動軌道を規定する、第1の昇降要素における例えば凹部あるいは溝の形態の制御面を有する制御要素として形成されることができるか、又はこのようなものを含むことができる。第1の昇降要素の端位置は、運動軌道の各端部によって規定されることが可能である。しかしながら、第1の昇降要素の端位置を昇降駆動装置の駆動ピストン又は昇降ピストンのピストン端位置によって、又は端位置により規定される当接要素によって規定することも考えられる。第1の昇降要素の外周は例えば歯の形態の力伝達要素によって形成されることができ、これら力伝達要素は、力伝達要素から第1の昇降要素への力伝達、すなわち特にモーメント伝達を可能とするものである。
【0022】
同様に、第2の昇降要素は、特にディスク式あるいはディスク状の、すなわちカムディスクとして形成された、回転軸線周りに中心で又は偏心して回転可能に支持された、特に曲線式あるいは曲線状の所定の長さの運動軌道を規定する、第2の昇降要素における例えば凹部あるいは溝の形態の制御面を有する制御要素として形成されることができるか、又はこのようなものを含むことができる。このとき、第2の昇降要素の端位置は、運動軌道の各端部によって規定されることが可能である。しかしながら、第2の昇降要素の端位置を昇降駆動装置の駆動ピストン又は昇降ピストンのピストン端位置によって、又は端位置により規定される当接要素によって規定することも考えられる。第2の昇降要素の外周は例えば歯の形態の力伝達要素によって形成されることができ、これら力伝達要素は、力伝達要素から第2の昇降要素への力伝達、すなわち特にモーメント伝達を可能とするものである。
【0023】
上述のように、第1の昇降要素によって発生可能あるいは発生される第1の部分ストロークは、典型的には、第2の昇降要素によって発生可能あるいは発生される第2の部分ストロークよりも小さい。このことは、各制御要素の制御面の運動軌道の長さにおいて反映されている。したがって、第1の昇降要素の制御要素の制御面の運動軌道の長さは、典型的には、第2の昇降要素の制御要素の制御面の運動軌道の長さよりも短い。
【0024】
第1の昇降要素の制御要素は、制御面に沿って、あるいは制御面において(第1の昇降要素における凹部あるいは溝としての制御面の構成の場合に)移動可能に支持された制御要素を介して粉体モジュールと特に(損傷することなく、あるいは破壊することなく)取り外し可能に結合可能である。第1の昇降要素の調整要素は、制御面との制御要素の結合のための少なくとも1つの第1の結合要素と、粉体モジュールとの制御要素の結合のための第2の結合要素とを含むことが可能である。第1の結合要素は、例えば、曲線状に延びる凹部あるいは溝として形成された制御面へ係合する係合要素であり得る。第2の結合要素は、例えば、粉体モジュールに形成された凹部に係合する係合要素であり得る。各係合要素は、すべり要素又は転動要素として形成されていることができるか、あるいはこのようなものを含むことが可能である。
【0025】
同様に、第2の昇降要素の制御要素は、制御面に沿って、あるいは制御面において(第2の昇降要素における凹部あるいは溝としての制御面の構成の場合に)移動可能に支持された制御要素を介して調整要素アセンブリすなわち特に調整要素アセンブリの構成要素と場合によっては(損傷することなく、あるいは破壊することなく)取り外し可能に結合可能であるか、又は結合されている。第2の昇降要素の調整要素は、制御面との制御要素の結合のための少なくとも1つの第1の結合要素と、調整要素アセンブリとの制御要素の結合のための第2の結合要素とを含むことが可能である。第1の結合要素は、例えば、曲線状に延びる凹部あるいは溝として形成された制御面へ係合する係合要素であり得る。第2の結合要素は、特に、調整要素アセンブリ特に支持要素の構成要素の接触のための接触要素、又は調整要素アセンブリ、特に適当な支持要素に形成された凹部に係合する係合要素であり得る。各係合要素は、すべり要素又は転動要素として形成されていることができるか、あるいはこのようなものを含むことが可能である。
【0026】
各部分ストロークを実現する昇降力を発生させるために、装置は、少なくとも1つの昇降機構に割り当てられた昇降駆動装置を含むことが可能である。特に空圧式又は油圧式に作用するよう形成された昇降駆動装置は、各部分ストロークを実現する昇降力を発生させるために設置されており、昇降駆動装置に属する昇降駆動要素は、昇降機構の力伝達要素に結合されている。したがって、昇降駆動装置と昇降装置の間の力伝達は、昇降機構の各昇降要素を結合する力伝達手段を介して直接なされる。
【0027】
昇降装置を用いて移動させるべき負荷に関して、昇降装置が複数の昇降機構を含んでいれば合目的である。昇降装置を形成する昇降機構は、対状に配置されることが可能である。例えば、側方で隣り合って、したがって互いに隣り合って配置された昇降機構の第1の対は、収容装置を側方で画成する第1のフレーム構造要素に、場合によっては装置のフレーム構造の第1の壁部に配置又は形成されることができ、側方で隣り合って、したがって互いに隣り合って配置された昇降機構の第2の対は、収容装置を側方で画成する第2のフレーム構造要素に、場合によっては装置のフレーム構造の第2の壁部に配置又は形成されることができる。収容装置を側方で画成する第1のフレーム構造要素は、収容装置を側方で画成する第2のフレーム構造要素に対向するように配置されており、その結果、側方で互いに隣り合って配置された昇降機構の対も、互いに対向して配置されている。
【0028】
昇降装置の構成要素の数量をできる限りわずかに保持し、昇降装置の構造をできる限りコンパクトに保持するために、互いに隣り合って配置された昇降機構の第1の対に第1の共通の昇降駆動装置を割り当てることが可能である。昇降駆動装置に属する昇降駆動要素は、第1の対の、第1の昇降機構の力伝達要素にも、また第2の昇降機構の力伝達要素にも結合されている。同様に、互いに隣り合って配置された昇降機構の第2の対に第2の共通の昇降駆動装置を割り当てることが可能である。昇降装置に属する昇降駆動要素は、第2の対の、第1の昇降機構の力伝達要素にも、また第2の昇降機構の力伝達要素にも結合されている。
【0029】
適当な対状の、対向する昇降機構の配置において同期した移動を保証するために、側方で隣り合って配置された昇降機構の第1の対及び第2の対の、互いに対向する第2の昇降要素は、これを結合する特にロッド式あるいはロッド状の、例えば力伝達ロッドの形態の結合要素によって運動結合されていることが可能である。
【0030】
本発明を、図面における実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施例による装置の原理図である。
図2図1に示された細部II,IIIの拡大図である。
図3図1に示された細部II,IIIの拡大図である。
図4】一実施例による昇降装置の原理図である。
図5】一実施例による昇降装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、一実施例による装置1の原理図が示されている。図1では、後述の原理の説明に関連する装置1の一部(Ausschnitt)のみが示されていることが分かる。
【0033】
装置1は、三次元的な物体2、すなわち特に技術的な部材あるいは技術的な部材群を連続的な層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム発生装置4によって発生されるエネルギービーム5を用いて固化可能な粉体状の材料3、すなわち例えば金属粉体から成る構造材料層の固化とによる付加的な製造のために設置されている。露光と、これに伴う、それぞれ固化されるべき構造材料層の選択的な固化とは、物体に関する構造データに基づいて行われる。適当な構造データは、それぞれ付加的に製造されるべき物体2の幾何学的−構造上の形状を記述している。適当な構造データは、例えば、製造されるべき物体2の「スライスされた」CADデータを含むことができる。
【0034】
装置1は、不活性化可能なプロセスチャンバ6を含んでいる。このプロセスチャンバ6は、壁要素6a〜6eによって規定されている。プロセスチャンバ6内には、付加的な構造過程の実行に典型的に必要な機能構成要素、すなわち特に水平方向に移動可能に支持され、1つの構造平面内で固化されるべき構造材料層を形成するために設置された積層装置7の少なくとも一部が配置あるいは形成されることが可能である。プロセスチャンバ6は、装置1のフレーム構造8の一部を形成することができる。
【0035】
フレーム構造8は、粉体収容空間10を包囲する粉体モジュール11を収容するための例えば縦穴状(Schachtartig)の少なくとも1つの収容範囲9を含んでいる。収容範囲9は、プロセスチャンバ6の底部を形成する壁部6a,6eの範囲に配置あるいは形成されていることが分かる。収容範囲9は、プロセスチャンバ6の下方に位置している。図1図3に示された実施例において、粉体モジュール11は、当該構造モジュールの粉体収容空間11(構造空間)において三次元的な物体2の実際の付加的な製造がなされる構造モジュールである。しかしながら、原則的には、粉体モジュール11は、積層装置7によって選択的に露光されるべきあるいは固化されるべき構造材料層において構造平面内で提供されることが可能な構造材料3を粉体収容空間10から配量するために設置された配量モジュールであるか、又は粉体収容空間10において固化されなかった構造材料3を収容するために設置されているオーバーフローモジュールであることも考えられる。粉体モジュール11は、その具体的な構成にかかわらず、典型的には粉体収容空間10を底部側で画成する、高さ調整可能に支持されたプレート式あるいはプレート状の支持要素を含んでいる。支持要素12は、粉体収容空間10を画成する粉体モジュール11の壁部(不図示)に対して相対的に高さ調整可能に支持されているため、粉体収容空間10は、粉体収容空間10を画成する壁部に対して相対的な支持要素12の移動により変更可能である。
【0036】
図2及び図3には、それぞれ図1に示された細部II,IIIの拡大図が示されている。
【0037】
収容範囲9内に配置された粉体モジュール11は、粉体モジュール11がプロセスチャンバ6を画成する装置側のフレーム構造8の壁部、ここでは壁部6a,6eに対して所定の(垂直方向の)間隔をもって配置されているか、あるいは(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素12が各構造材料層の選択的な露光あるいは固化がなされる装置1の構造フィールド平面E内に配置可能でないか、あるいは配置されていない、図2に示された非動作位置と、粉体モジュール11がプロセスチャンバ6を画成する装置側のフレーム構造8の壁部、ここでは壁部6a,6eに対して所定の(垂直方向の)間隔をもって配置されていないか、あるいは(上方の位置へ移動した)粉体モジュール側の支持要素12が構造フィールド平面E内に配置可能であるか、あるいは配置されている、図3に示された動作位置との間で移動可能に支持されている。
【0038】
図2及び図3に基づき、粉体モジュール11の動作位置が粉体モジュール11の上方の位置に対応し、粉体モジュール11の非動作位置が粉体モジュール11の下方の位置に対応することが分かる。
【0039】
図2及び図3に基づき、装置1が、収容範囲9内へ移動した粉体モジュール11の支持要素12の高さ調整のために設置されている調整装置13を含んでいることが更に分かる。調整装置13は、例えば(電気)モータによる調整駆動部(不図示)と、構成部材は不図示の調整要素アセンブリ14とを含んでいる。
【0040】
調整要素アセンブリ14の第1の構成要素は調整駆動部によって高さ調整可能な調整要素15であり、この調整要素は、粉体モジュール11の支持要素12の高さ調整のための動作位置において設置されている。調整要素15は、調整駆動部によって適当な高さ位置へ駆動可能な(長さ方向の)調整スピンドルである。図3に示された調整要素15の動作位置は、調整要素15が支持要素12に直接接触するか、あるいはわずかな間隔、すなわち典型的には数ミリメートルの間隔、特に5mmよりわずかな間隔が調整要素15(あるいはその上側)と支持要素12(あるいはその下側)の間に存在することで規定されている。これに対応して、図2に示された調整要素15の非動作位置は、調整要素15が支持要素12に直接接触するか、あるいは比較的大きな間隔、すなわち典型的には数ミリメートルの間隔、特に5mmよりも大きな間隔が調整要素15と支持要素12の間に存在することで規定されている。
【0041】
図2及び図3に基づき、調整要素15の動作位置が調整要素15の上方の位置に対応し、調整要素15の非動作位置が調整要素15の下方の位置に対応していることが分かる。
【0042】
調整要素アセンブリ14の別の構成要素は、支持要素12に対向する調整要素15の自由端の範囲に配置あるいは径壊死されたプレート式あるいはプレート状の調整要素テーブル16(調整スピンドルテーブル)である。調整要素テーブル16は、調整要素15の動作位置において支持要素12への平坦な接触を可能とするものである。調整要素テーブル16は、調整要素15の動作位置において少なくとも部分的に粉体モジュール11へ移動することができ、この粉体モジュールは、このために対応する凹部を備えている。
【0043】
調整要素アセンブリ14の別の構成要素は、プレート式あるいはプレート状の支持要素17であり得る。この支持要素17は、調整要素15によって貫通された、例えば孔、場合によってはネジ孔の形態の開口部(不図示)を備えている。調整要素15は、(不動の)支持要素17に対して相対的に高さ調整され得る。逆に、支持要素17の高さ調整は、調整要素15の高さ調整を生じさせる。
【0044】
さらに、装置1は、複数の昇降機構(Hubanordnung)19を含む昇降装置(Hubeinrichtung)18を含んでいる。適当な昇降機構19は、2つの昇降要素20,21を含んでいる。各第1の昇降要素20は、収容範囲9内に位置する粉体モジュール11をその非動作位置からその動作位置へ、及びその逆へ移動させる第1の部分ストロークを生じさせるために設置されている。第1の昇降要素20は、このために粉体モジュール11に結合可能であるか、あるいは結合されている。各第2の昇降要素21は、調整要素アセンブリ14をその非動作位置からその動作位置へ、あるいは調整要素15をその非動作位置からあるいはその動作位置へ移動させる第2の部分ストロークを生じさせるために設置されている。第2の昇降要素21は、このために、調整要素アセンブリ、すなわちここでは支持要素17に結合可能であるか、あるいは結合されている。両部分ストロークは、昇降装置18あるいは各昇降機構19によって実現可能な全体ストロークへ加えられることが可能である。
【0045】
各昇降機構19の第1の昇降要素20は、例えばチェーン、ベルト又はこれに類するものの形態の力伝達要素22を介して昇降機構19の第2の昇降要素21に運動結合されており、その結果、第1の昇降要素20によって生じさせることが可能であるか、あるいは生じる第1の部分ストロークと、第2の昇降要素21によって生じさせることが可能であるか、あるいは生じる第2の部分ストロークとが同期してなされるか、あるいは第1の昇降要素20によって生じさせることが可能であるか、あるいは生じる第1の部分ストロークの発生と、第2の昇降要素21によって生じさせることが可能であるか、あるいは生じる第2の部分ストロークの発生とが同期してなされる。第1及び第2の部分ストロークの同期した構成は、粉体モジュール11及び調整要素アセンブリ14の組み合わされた(垂直方向の)移動という結果となる。したがって、その動作位置における粉体モジュール11の移動と、その非動作位置における調整要素アセンブリ14の移動あるいはその動作位置における調整要素15の移動とは、組み合わせて構成される。したがって、粉体モジュール11及び調整要素アセンブリあるいは調整要素15の適当な移動は、結合してなされる。
【0046】
各第1の昇降要素20によって発生可能あるいは発生する第1の部分ストロークは、各第2の昇降要素21によって発生可能あるいは発生する第2の部分ストロークよりも小さい。これは、第2の昇降要素21が調整要素アセンブリ14の移動あるいは昇降運動も、また粉体モジュール11の移動あるいは昇降運動も完遂する一方、第1の昇降要素20は粉体モジュール11の移動あるいは昇降運動のみを完遂することを考慮に入れるものである。第1の昇降要素20によって発生可能な第1の部分ストロークは、例えば40〜60mmの範囲にあることができ、第2の昇降要素21によって発生可能な第2の部分ストロークは、例えば60〜90mmの範囲にあることができる。
【0047】
各第1の昇降要素20は、後述のように、回転位置である第1の昇降要素20の2つの端位置の間で移動可能に支持されており、第1の昇降要素20の第1の端位置は粉体モジュール11の動作位置に割り当てられており、第1の昇降要素20の第2の端位置は粉体モジュール11の非動作位置に割り当てられている。粉体モジュール11の動作位置あるいは非動作位置への第1の昇降要素20の各端位置の割当ては、第1の昇降要素20が第1の端位置へ移動する場合に粉体モジュール11が動作位置へ移動し、第1の昇降要素20が第2の端位置へ移動する場合に粉体モジュール11が非動作位置へ移動すると理解されるべきである。
【0048】
同様に、各第2の昇降要素21は、後述のように、回転位置である第2の昇降要素21の2つの端位置の間で移動可能に支持されており、第2の昇降要素21の第1の端位置は調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15の動作位置に割り当てられており、第2の昇降要素21の第2の端位置は調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15の非動作位置に割り当てられている。調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15の動作位置あるいは非動作位置への第2の昇降要素21の各端位置の割当ては、第2の昇降要素21が第1の端位置へ移動する場合に調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15が動作位置へ移動し、第2の昇降要素21が第2の端位置へ移動する場合に調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15が非動作位置へ移動すると理解されるべきである。
【0049】
図4及び図5には、それぞれ一実施例による昇降装置18の一部の原理図が示されている。昇降装置18のこの一部は、図2及び図3に示された視点と比較して90°だけ回転された視点で図示されている。粉体モジュール11は、見やすさの理由から図示されていない。
【0050】
図4では、第1の昇降要素20が第2の端位置へ移動しているため、粉体モジュール11が非動作位置(下方の位置)へ移動している。同様に、第2の昇降要素21が第2の端位置へ移動しているため、調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15が非動作位置(下方の位置)へ移動している。図5では、第1の昇降要素20が第1の端位置へ移動しているため、粉体モジュール11が動作位置(上方の位置)へ移動している。同様に、第2の昇降要素21が第1の端位置へ移動しているため、調整要素アセンブリ14あるいは調整要素15が動作位置(上方の位置)へ移動している。
【0051】
図4及び図5に基づき、各第1の昇降要素20が、ディスク式あるいはディスク状の、すなわちカムディスクとして形成され、回転軸線A周りに回転可能に支持された、所定の長さの曲線式あるいは曲線状の運動軌道24を規定する凹部あるいは溝の形態の制御面25を有する制御要素23として形成されることが可能であることが分かる。第1の昇降要素20の端位置は、運動軌道24の各端位置によって規定されており、したがって運動軌道24の端位置での第1の昇降要素20の各回転位置に対応している。第1の昇降要素20の外周は、例えば歯の形態の力伝達要素(不図示)によって形成されることができ、これら力伝達要素は、力伝達要素22から第1の昇降要素20への力伝達、すなわち特にモーメント伝達を可能にするものである。
【0052】
同様に、各第2の昇降要素21は、ディスク式あるいはディスク状の、すなわちカムディスクとして形成され、回転軸線B周りに回転可能に支持された、所定の長さの曲線式あるいは曲線状の運動軌道27を規定する凹部あるいは溝の形態の制御面28を有する制御要素26として形成されることが可能である。第2の昇降要素21の端位置は、運動軌道27の各端位置によって規定されており、したがって運動軌道27の端位置での第2の昇降要素21の各回転位置に対応している。第2の昇降要素21の外周も、例えば歯の形態の力伝達要素(不図示)によって形成されることができ、これら力伝達要素は、力伝達要素22から第2の昇降要素21への力伝達、すなわち特にモーメント伝達を可能にするものである。
【0053】
上述のように、各第1の昇降要素20によって発生可能あるいは発生する第1の部分ストロークは、各第2の昇降要素21によって発生可能あるいは発生する第2の部分ストロークよりも小さい。このことは、各制御要素23,26の制御面25,28の運動軌道24,27の長さにおいて反映されている。したがって、第1の昇降要素20の制御要素23の制御面26の運動軌道24の長さは、第2の昇降要素21の制御要素26の制御面28の運動軌道27の長さよりも短い。
【0054】
図4及び図5に基づき、各第1の昇降要素20の制御要素23が、制御面25に沿って、あるいは制御面25において移動可能に支持された調整要素29(ここでは例示的にT字状の支持部として形成されている)を介して粉体モジュール11に特に(損傷することなく、あるいは破壊することなく)取り外し可能に結合可能であることが分かる。調整要素29は、調整要素29を制御面25に結合するための第1の結合要素30と、調整要素29を粉体モジュール11に結合するための少なくとも1つの第2の結合要素31とを含んでいる。第1の結合要素30は、上述のように、曲線状に延びる凹部あるいは溝として形成された制御面25へ係合する係合要素である。第2の結合要素31は、粉体モジュール11に形成された凹部(不図示)に係合する係合要素である。各係合要素は、すべり要素又は転動要素として形成されることが可能であるか、あるいはこのようなものを含むことができる。
【0055】
同様に、各第2の昇降要素21の制御要素26は、制御面28に沿って、あるいは制御面28において移動可能に支持された調整要素32(ここでは例示的にI字状の支持部として形成されている)を介して調整要素アセンブリ14すなわち支持要素17に場合によっては(損傷することなく、あるいは破壊することなく)取り外し可能に結合されることが可能である。第2の昇降要素21の調整要素32は、調整要素32を制御面28と結合させるための第1の結合要素33と、調整要素32を調整要素アセンブリ14あるいは支持要素17と結合させるための(選択的な)第2の結合要素34とを含んでいる。第1の結合要素33は、上述のように、曲線状に延びる凹部あるいは溝として形成された制御面28へ係合する係合要素である。(選択的な)第2の結合要素34は、特に、支持要素17の接触のための接触要素又は調整要素アセンブリ14、特に支持要素17に形成された凹部へ係合する係合要素である。各係合要素は、ここでも、すべり要素又は転動要素として形成されることが可能であるか、あるいはこのようなものを含むことができる。
【0056】
装置1は、複数の昇降機構19に割り当てられた昇降駆動装置35を含んでいる。特に空圧式又は油圧式に作用するように形成された昇降駆動装置35は、各部分ストロークを実現する昇降力を発生させるために設置されている。昇降駆動装置35に属し、昇降駆動装置35の駆動ピストン又は昇降ピストン37に結合された昇降駆動要素36が昇降機構19の力伝達要素22に結合されていることが分かる。したがって、昇降駆動装置35と昇降装置18あるいは昇降機構19の間の力伝達が、各昇降機構19の昇降要素20,21を結合する力伝達手段22によって直接なされる。
【0057】
図4及び図5に示されているとともに上述したように、昇降装置18は複数の昇降機構19を含んでいる。昇降装置18を形成する昇降機構19は、対状に配置されている。例えば、側方で隣接した、したがって互いに隣接して配置された昇降機構19の第1の対は、収容装置9を側方で画成する第1のフレーム構造要素38、場合によってはフレーム構造8の第1の壁部に配置又は形成されることが可能である(図4及び図5参照)。側方で隣接した、したがって互いに隣接して配置された昇降機構19の第2の対は、収容装置9を側方で画成する第2のフレーム構造要素、場合によってはフレーム構造の第2の壁部に配置又は形成されている。収容装置9を側方で画成する第1のフレーム構造要素38は、収容装置9を側方で画成する第2のフレーム構造要素に対向するように配置されているため、側方で隣接して配置された昇降装置19の対が互いに対向するように配置されている。
【0058】
図4及び図5に示された、側方で隣接して配置された昇降機構19の対には、昇降駆動装置35が共通して割り当てられている。昇降駆動装置35に属する昇降駆動要素36は、上述のように、各昇降機構19の力伝達要素22に結合されている。同様に、対向して配置された、側方で隣接して配置された昇降機構19の第2の対には、第2の共通の昇降駆動装置(不図示)が割り当てられている。昇降駆動装置に属する昇降駆動要素は、各昇降機構19の力伝達要素22にも結合されている。
【0059】
全体的に、昇降装置18の冗長的あるいは対称な形成又は各昇降機構19の冗長的あるいは対称な配置が存在する。
【0060】
各図には示されていなくとも、昇降機構19の適当な対において、及び対向する配置において同期した移動を保証するために、互いに対向する第2の昇降要素21がこれを結合する特にロッド式あるいはロッド状の例えば力伝達ロッドの形態の結合要素(不図示)を介して互いに運動結合されていることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5