(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490767
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】創傷療法ドレッシングに流体を送達するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20190318BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61M27/00
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-170778(P2017-170778)
(22)【出願日】2017年9月6日
(62)【分割の表示】特願2014-551371(P2014-551371)の分割
【原出願日】2013年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-23793(P2018-23793A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】61/585,055
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,ラリー,タブ
(72)【発明者】
【氏名】カザラ,リチャード,マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル,ケヴィン
【審査官】
寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−538962(JP,A)
【文献】
特開2002−065806(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0312723(US,A1)
【文献】
特開平09−262289(JP,A)
【文献】
特開2000−024119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷療法ドレッシングに流体を送達するシステムにおいて、
液溜めに係合するように構成されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記液溜めから流体を吐き出すように適合されており、前記液溜めは、前記創傷療法ドレッシングと流体連通するように適合されている、アクチュエータと;
前記アクチュエータに正圧を、および前記創傷療法ドレッシングに負圧をもたらすように構成された圧力源と;
前記液溜めと前記創傷療法ドレッシングとの間の流体連通を制御するように適合された流体制御装置と;
前記アクチュエータにもたらされた圧力を検出するように構成された圧力センサーと;
前記アクチュエータにもたらされた圧力に基づいて、流体の流れを制御するように構成された制御システムと;
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記アクチュエータが、前記液溜めの周囲に位置決めされた圧迫スリーブであり、前記圧迫スリーブは、前記正圧を適用されると、前記液溜めを圧迫して前記液溜めから流体を吐き出すように適合されていることを特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記アクチュエータが、前記液溜め内に位置決めされた拡張可能なブラダであり、前記拡張可能なブラダは、前記正圧を適用されると拡張し、前記液溜め内の前記流体を変位させて、前記液溜めから前記流体を吐き出すように適合されていることを特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記流体制御装置が、制御弁および流量計測オリフィスを含み、前記制御弁および前記流量計測オリフィスが協働して、前記アクチュエータにもたらされた前記正圧と、前記流量計測オリフィスのサイズとに従って、ある容積の前記流体を前記液溜めからもたらすことを特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記制御弁が:ソレノイド弁およびソレノイド作動ピンチ弁からなる群から選択されることを特徴とする、システム。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記流体制御装置が:ソレノイド弁およびソレノイド作動ピンチ弁からなる群から選択される制御弁を含むことを特徴とする、システム。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記流体制御装置が流量計測オリフィスを含むことを特徴とする、システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記制御システムは、前記アクチュエータにもたらされた圧力に従って、ある容積の前記流体を前記液溜めからもたらすように前記流体制御装置を制御するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記圧力源が真空ダイヤフラムポンプを含み、前記真空ダイヤフラムポンプが真空ポートおよび正圧ポートを含み、前記真空ポートが、前記創傷療法ドレッシングに前記負圧をもたらすように適合されており、および前記正圧ポートが、前記アクチュエータに前記正圧をもたらすように適合されていることを特徴とする、システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のシステムにおいて、さらに、前記アクチュエータと前記圧力源との間で流体連通している弁を含み、前記弁を通して前記アクチュエータに前記正圧がもたらされ、および前記弁は、前記圧力源からの過剰圧力を大気へ放出するように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記圧力源が、約0.1psig〜約1.0psig(約102.0kPa〜約108.3kPa)の圧力をもたらすように構成されていることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年1月10日出願の米国仮特許出願第61/585,055号(SYSTEMS AND METHODS FOR DELIVERING FLUID TO A WOUND THERAPY DRESSING)の優先権を主張し、この開示全体を、参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本明細書の主題は、概して、創傷の治癒、および創傷の治療法に関する。より詳細には、限定されるものではないが、本主題は、流体滴下(fluid−instillation)を改良するシステムおよび方法、ならびに陰圧閉鎖療法(NPWT)の装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験および実習から、組織部位に近接して減圧をもたらすことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速することが示されている。この現象の適用は多数あるが、減圧を行うことは、創傷の治療においてかなり成功している。この治療(医学界では「陰圧閉鎖療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と呼ばれることが多い)はいくつもの利点を提供し、それら利点には、迅速な治癒や肉芽組織の形成加速化が含まれる。一般に、減圧は、多孔質パッドまたは他のマニホールド装置を通して組織に行われる。多孔質パッドは、減圧を組織に分配しかつ組織から引き出された流体を運ぶことができる気泡または細孔を含む。多孔質パッドは、治療を促す他の構成要素を有するドレッシングに組み込まれ得る。
【0004】
典型的な滴下療法では、低い正圧下で創傷に流体を滴下する。治療効果を最大にするために、滴下された流体は、露出した組織表面全てに到達する必要がある。多孔質の創傷充填材と負圧を適用して流体の分配を支援することを組み合わせて、滴下流体によって創傷を完全に満たすようにすることは、効果的な滴下療法を提供できる。そのような技術は、多数の欠点を有し得る。例えば、創傷を流体で満たすことは、特に、ドレッシング(例えば、発泡体)に入る流体の大部分に高価な流体(例えば抗生物質)が使用され、滴下流体で創傷の表面を被覆できるようにする場合、無駄が多い。
【0005】
滴下された流体が安価な場合でも、大量の流体が必然的に含まれる可能性があり、頻繁にキャニスターを変更する必要が発生し、これが、使用者の不満につながり得る。低い正圧を一般に使用して創腔を満たすが、流体の液圧の(本質的に非圧縮性の)性質は、過剰充填が即、ドレープの漏れを生じ得ることを意味する。創腔内の表面のねじり曲り(Tortuous contours)によって、ガスポケットが形成される場合があるため、発泡体ドレッシングと液体充填技術との両者で達成するのは困難であり得る。(シールを維持して漏れを減少させるのを助け、患者の不快感を最小限にし、および流体の分配を支援するために)液体滴下中に低真空を適用することは、滴下された流体が、ドレッシングを通して完全に分配される前に除去され得るため、問題があり得る。
【発明の概要】
【0006】
上記の欠点は包括的なものではなく、創傷ドレッシングへの流体送達における既知の技術の有効性を損なう傾向を有するものの例である;しかしながら、それら本明細書で述べたものは、当業界に見られる方法論が満足のいくものではないこと、および本開示で説明しかつ特許請求する技術に対し、かなりのニーズが存在することを実証するには十分である。それゆえ、少なくとも上述の理由により、改良型の創傷治療システムおよび方法が望まれている。
【0007】
上述の説明から、創傷療法ドレッシングへの流体の送達を改良したシステムおよび方法に対するニーズが存在することは明白である。開示の実施形態の方法は、実質的に、説明のシステムの動作を実施するために必要なステップを含む。
【0008】
一実施形態では、陰圧閉鎖療法ドレッシングに流体を送達するためのシステムが提供され、システムは:液溜めに係合するように構成されたアクチュエータと;アクチュエータに正圧を、および創傷ドレッシングに負圧をもたらすように構成された圧力源とを含む。アクチュエータは、例えば、圧迫スリーブおよび/またはブラダとして構成できる。一部の実施形態では、さらに:液溜め;創傷ドレッシング;および液溜めおよび創傷ドレッシングと流体連通している流体制御装置を含み得る。
【0009】
特定の実施形態では、流体制御装置は、例えば、ソレノイド作動ピンチ弁などの制御弁および/またはオリフィスとし得る。いくつかの実施形態では、流体制御装置を制御するように構成された制御システムも含み得る。
【0010】
特定の実施形態では、圧力源は真空ダイヤフラムポンプを含み得る。特定の実施形態はまた、アクチュエータおよび圧力源と流体連通している弁を含んでもよく、弁は、大気に放出するように構成できる。圧力源は、例えば、約0.1psig〜約1.0psig
(約102.0kPa〜約108.3kPa)の圧力をもたらすように構成できる。
【0011】
別の実施形態では、陰圧閉鎖療法ドレッシングに流体を送達するシステムが提供され、システムは:真空ポートおよび正圧ポートを含むポンプと;正圧ポートと流体連通している拡張可能部材であって、液溜めと係合して、液溜めから流体を吐き出すように構成された拡張可能部材と;正圧ポートおよび拡張可能部材と流体連通している弁であって、大気に圧力を放出するように構成された弁とを含む。
【0012】
特定の実施形態は、さらに、真空ポートと流体連通する創傷ドレッシングを含み得る。さらに、特定の実施形態は、追加的に、液溜めからの流体の流れを制御するように構成された制御システムを含み得る。例えば、制御システムは、制御弁を制御するように構成できる。制御弁は、例えば、ソレノイド作動ピンチ弁とし得る。特定の実施形態では、正圧ポートは、約0.1psig〜約1.0psig
(約102.0kPa〜約108.3kPa)の圧力を拡張可能部材にもたらすように構成できる。
【0013】
さらに別の実施形態では、陰圧閉鎖療法ドレッシングに流体を送達する方法が提供され、この方法は:液溜めに正圧を、および陰圧閉鎖療法システムの創傷ドレッシングに負圧を加えるように圧力源を動作させるステップと;正圧を監視し、かつ弁を開放して、流体が液溜めから創傷ドレッシングへ流れることができるようにするステップと;弁を閉鎖して、液溜めから創傷ドレッシングへの流体の流れを制限するステップと;圧力源から創傷ドレッシングへの負圧を維持するステップとを含む。
【0014】
特定の実施形態では、圧力源は、ダイヤフラム真空ポンプとし得る。特定の実施形態では、正圧は、約0.1psig〜約1.0psig
(約102.0kPa〜約108.3kPa)とし得る。
【0015】
さらに別の実施形態では、創傷療法ドレッシングに流体を送達するシステムが提供される。システムは、アクチュエータ、圧力源、および流体制御装置を含む。アクチュエータは、液溜めに係合するように構成される。さらに、アクチュエータは、液溜めから流体を吐き出すように適合されている。液溜めは、創傷療法ドレッシングと流体連通するように適合されている。圧力源は、アクチュエータに正圧を、および創傷療法ドレッシングに負圧をもたらすように構成されている。流体制御装置は、液溜めと創傷ドレッシングとの間で流体連通しているように適合されており、液溜めと創傷ドレッシングとの間の流体連通は、流体制御装置によってもたらされる。
【0016】
さらに別の実施形態では、創傷療法ドレッシングに流体を送達するシステムが提供される。システムは、ポンプ、拡張可能部材、および弁を含む。ポンプは、真空ポートおよび正圧ポートを含み、真空ポートは、創傷療法ドレッシングと流体連通するように適合されている。拡張可能部材は、正圧ポートと流体連通している。さらに、拡張可能部材は、液溜め内の流体に力を加えて、液溜めから流体を吐き出すように構成されており、液溜めは、創傷療法ドレッシングと流体連通するように適合されている。弁は、正圧ポートと拡張可能部材との間で流体連通しており、正圧ポートからの正圧が、弁を通して拡張可能部材にもたらされ、および弁は、過剰圧力を大気に放出するように構成されている。
【0017】
さらに別の実施形態では、創傷療法ドレッシングに流体を送達する方法が提供されている。この方法は、液溜め内の流体に正圧を、および創傷療法ドレッシングに負圧を加えるように適合された圧力源を動作させるステップを含む。さらに、この方法は、流体の正圧を監視するステップを含む。さらに、この方法は、液溜めから創傷療法ドレッシングへ流体を供給するように適合された流体制御装置を提供するステップであって、流体制御装置が制御弁および計測オリフィスを含み、計測オリフィスが、流体の正圧に従って流体の流速をもたらすようなサイズにされているステップを含む。さらに、この方法は、液溜めから創傷療法ドレッシングへ、予め決められた容積の流体をもたらすために制御弁を開放するステップであって、予め決められた容積の流体は、経過した期間にわたる液溜めからの流体の流速に対応するステップを含む。なおさらに、この方法は、経過した期間後に、制御弁を閉鎖して、液溜めから創傷療法ドレッシングへの流体の流れを制限するステップと、圧力源から創傷ドレッシングへの負圧を維持するステップとを含む。
【0018】
他の目的、および関連する利点は、以下の、添付の図面に関連する特定の実施形態の詳細な説明を参照することから明らかとなる。
【0019】
用語「結合された」は、必ずしも直接にでも、必ずしも機械的にでもないが、接続されたと定義される。
【0020】
用語「1つの(a、an)」は、本開示が明白に他の意味に解釈する場合を除いて、1つ以上と定義される。
【0021】
用語「実質的に」およびその変形は、当業者に理解されるように明記される、大部分であるが、必ずしも全体的である必要はないと定義され、および非限定的な一実施形態では、「実質的に」は、明記される10%内、好ましくは5%内、一層好ましくは1%内、および最も好ましくは0.5%内の範囲を指す。
【0022】
用語「含む(comprise)」(および含むのいずれかの形態、例えば「含む(comprises、comprising)」)、「有する(have)」(および有するのいずれかの形態、例えば「有する(has、having)」)、「含む(include)」(および含むのいずれかの形態、例えば「含む(includes、including)」)、および「含む(contain)」(および含むのいずれかの形態、例えば「含む(contains、containing)」)は、オープンエンドの連結動詞である。その結果、1つ以上のステップまたは要素を「含む(comprises)」、「有する」、「含む(includes)」、または「含む(contains)」方法または装置は、それら1つ以上のステップまたは要素を保有するが、それら1つ以上の要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つ以上の特徴を「含む(comprises)」、「有する」、「含む(includes)」、または「含む(contains)」方法のステップまたは装置の要素は、それら1つ以上の特徴を保有するが、それら1つ以上の特徴のみを保有することに限定されない。さらに、特定の方法で構成された装置または構造は、少なくともその方法で構成されるだけでなく、リストしていない方法で構成されてもよい。
【0023】
用語「負圧」は、装置の使用場所における絶対気圧を下回る絶対圧を指す。それゆえ、ある領域において述べた負圧のレベルは、その領域における絶対気圧と絶対圧との間の相対的測定値である。負圧の低下という記述は、その領域の圧力が気圧の方に動いている(すなわち、絶対圧が上昇している)ことを意味する。数値を使用する場合、圧力数値の前に負号を置いて、値が、気圧に対して負圧であることを示す。
【0024】
以下の図面は、本明細書の一部をなし、かつ本明細書で説明する主題の例示的な実施形態の特定の態様をさらに明示するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、創傷療法ドレッシングに流体を送達するシステムの一実施形態を示す概略図である。
【
図2】
図2は、創傷療法ドレッシングに流体を送達するシステムの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、創傷療法ドレッシングに流体を送達する方法の一実施形態を示す概略的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面に示されかつ以下の説明で詳述する非限定的な実施形態を参照して、様々な特徴および利点の詳細をさらに十分に説明する。本発明の詳細を不必要に曖昧にすることがないようにするために、周知の出発原料、加工技術、構成要素、および機器の説明を省略する。しかしながら、詳細な説明および具体例は本発明の実施形態を示すが、説明のためにすぎず、限定するものではないことを理解されたい。当業者には、基本的な発明の概念の趣旨および/または範囲内にある様々な代用、修正、追加、および/または再構成が、本開示から明らかとなる。
【0027】
図1は、陰圧閉鎖療法ドレッシングに流体を送達するシステム100の例示的な一実施形態を示す。図示の例示的な実施形態では、システム100は、溜め部110、創傷ドレッシング120、および圧力源130を含む。例示的な実施形態では、圧力源130は、例えば、ダイヤフラム真空ポンプを含む真空ポンプをとし得る。例示的な実施形態では、溜め部110は、静脈内流体送達に使用するためのものと同様のポリエチレンバッグとして構成し得る。
【0028】
図1の実施形態では、圧力源130は、溜め部110および創傷ドレッシング120に負圧を、および溜め部110から流体を強制的に引き出させるように構成されたアクチュエータ115に正圧をもたらす。溜め部110は、食塩水、抗生物質流体、または滴下療法に使用するのに好適な任意の他の流体を含み得る。
図1に示すように、アクチュエータ115は、圧迫スリーブなどの拡張可能部材であり、これは、溜め部110を圧迫して、溜め部110から流体を吐き出すように構成されている。例えば、
図1は、アクチュエータ115を、溜め部110の周囲に位置決めした圧迫スリーブとして示す。圧迫スリーブは、溜め部110に向かって少なくとも内側方向に拡張して、溜め部110を係合および圧迫するように適合し得る、すなわち、圧迫スリーブの内周部分は、圧迫スリーブが拡張するにつれ、小さくなり得る。
【0029】
引き続き
図1を参照すると、システム100は、さらに、溜め部110および創傷ドレッシング120と流体連通する流体制御装置150を含む。下記で詳細に説明するように、流体制御装置150は、溜め部110から創傷ドレッシング120への流体の流れを制御するように構成された1つ以上の弁またはオリフィスを含み得る。
【0030】
システム100の動作中、圧力源130は真空ポート138から負圧をもたらし、この真空ポートは、導管116を介して創傷ドレッシング120と、および導管114および112を介して溜め部110と流体連通している。圧力源130はまた、動作中、導管134および136を介して圧力ポート132からアクチュエータ115へ正圧をもたらすように構成されている。(例えば、導管134および136を介して)圧力ポート132とアクチュエータ115との間で流体連通している弁135を使用して、大気に正圧を放出できる。
【0031】
動作前、システム100は、アクチュエータ115が溜め部110と係合するように準備され、この溜め部には、創傷ドレッシング120に送達されるべき流体が入っている。溜め部110は、導管112を介して流体制御装置150と、および導管114を介して創傷ドレッシング120と流体連通している。創傷ドレッシング120は、同様に、導管116を介して真空ポート138と流体連通している。さらに、圧力ポート132は、導管134および136、および弁135を介してアクチュエータ115と流体連通している。
【0032】
圧力源130は、正圧がアクチュエータ115に送達されるように、動作する。いくかの例示的な実施形態では、アクチュエータ115にもたらされる圧力は2.0psig
(約115.2kPa)未満であり、および特定の実施形態では、圧力レベルは、1.0psig
(約108.3kPa)未満である。さらにより特定的な実施形態では、圧力レベルは以下の値未満、すなわち0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2または0.1psig
(約107.6、約106.9、約106.2、約105.5、約104.8、約104.1、約103.4、約102.7または約102.0kPa)である。
【0033】
アクチュエータ115に送達された圧力レベルは、弁135によって制御できる。特定の実施形態では、弁135は、大気に過剰圧力を放出するように構成された三方弁とし得る。その後、アクチュエータ115が溜め部110に力を加えるため、導管112を介して溜め部110から流体が吐き出され得る。
【0034】
流体制御装置150は、溜め部110から吐き出される流体の量(例えば、全容積、流速、または制御が望まれる別の流体の流れのパラメータ)を制御するように動作できる。
図1に示すように、流体制御装置150は、制御弁151および流量計測オリフィス152を含む。弁151は、溜め部110からの流体の流れを停止させるために使用できる、例えばソレノイド弁またはピンチ弁として構成し得る。いくかの例示的な実施形態では、弁151が閉鎖されて流体の流れを停止するとき、弁135は、圧力源130で発生した正圧を大気に放出するように位置決めできる。
【0035】
他の実施形態では、流体制御装置150は、例えば、オリフィスのない制御弁、または制御弁のないオリフィスを含め、異なる組み合わせの構成要素を含み得ることが理解される。特定の実施形態では、流体制御装置150は、適切な制御システム155(例えば、ソフトウェア、圧力センサーまたは他の適切な構成要素を含むシステム)を介して制御され得る。例えば、制御システム155は、アクチュエータ115に加えられる圧力を検出するように構成された圧力センサー153からの入力を受信し得る。
図1に示すように、圧力センサー153は、導管136内の圧力を検出し、導管136は、アクチュエータ115と流体連通している。制御システム155はまた、例えば、アクチュエータ115に加えられる圧力、およびアクチュエータ115によって溜め部110およびその内部の流体に加えられた力または圧力に基づいて、溜め部110からの流体の流れを制御するための出力を弁151にもたらすように、構成し得る。
【0036】
流体制御装置150は、溜め部110に加えられる公知の圧力レベル、および弁の位置および/または制御装置150のオリフィスのサイズに基づいて、公知のまたは予め決められた容積および/または流速で流体を溜め部110から吐き出すように動作できる。特定の実施形態では、溜め部110からの流体の流れの速度は、100ml/分に制御され得る。他の実施形態では、流速は、90、80、70、60、50、40、30、20または10ml/分に制御され得る。
【0037】
正圧を使用して溜め部110および流体制御装置150から流体を吐き出して、溜め部110からの流体の流れを制御することによって、使用者は、所望量の流体を正確に監視でき、かつ創傷ドレッシング120に投与できる。例えば、流量計測オリフィス152は、溜め部110にもたらされた公知の圧力で特定の流速をもたらすようなサイズにできる。流速は、実質的に一定レベルに維持できる、なぜなら、溜め部110の体積が低減すると、アクチュエータ115が拡張し得るためである。公知の流速では、弁151は、創傷ドレッシング120に所望の液量を提供するように特定の時間の長さで動作できる、すなわち、溜め部110からの、予め決められたまたは所望の容積の流体は、経過した期間にわたる溜め部110からの流体の流量に対応し得る。これにより、創傷ドレッシング120に流体が過剰に送達され、漏れの原因となる可能性を低くできる。
【0038】
図1に示す実施形態は、例示的な一実施形態にすぎない。他の例示的な実施形態は、構成要素の異なる構成または配置を含み得る。例えば、ここで
図2を参照すると、
図1のものと同様であるが、拡張可能なブラダとして構成されるアクチュエータ215を含む、システム200の例示的な実施形態が示されている。システム100に関連して説明した構成要素と同じ符号を付されたシステム200の構成要素は、均等物であるため、ここでさらに説明はしない。
【0039】
システム200の動作中、圧力源130からもたらされた圧力が高くなると、アクチュエータ215は拡張する。この実施形態では、アクチュエータ215は、ハウジングなどの溜め部210内に含まれる。アクチュエータ215が拡張するにつれ、アクチュエータ215は、溜め部210の流体を変位させ、システム100に関連して説明したのと同様の方法で溜め部210から流体を吐き出し、溜め部210から創傷ドレッシング120への流体の流れを制御式にもたらす。
【0040】
ここで
図3を参照して説明すると、システム100および200を動作させるために利用し得る方法の実施形態を示すフロー図が提供されている。フロー図は、全体的に論理的なフロー図として記載される。そのようなものとして、図示の順序および符号を付したステップは、提示の方法の非限定的な一実施形態を示すものである。他のステップ、方法、およびその実施順序は、本明細書の範囲内にあると考えられ得る。
【0041】
図3に示す実施形態では、本開示による例示的なシステムの動作のために実行し得る一連のステップを含む方法300が開示される。特定の実施形態は、コンピュータ読み取り可能コードを含む有形コンピュータ読み取り可能媒体を含んでもよく、コンピュータ読み取り可能コードは、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、
図3に開示するステップを含むオペレーションを行わせる。
【0042】
この例示的な実施形態では、ステップ310は、液溜めに正圧を加え、かつ陰圧閉鎖療法システムの創傷ドレッシングに負圧を加えるように圧力源を動作させることを含む。ステップ320は、溜め部または流体圧力を監視し、かつ弁を開放して、流体が液溜めから創傷ドレッシングへ流れることができるようにすることを含む。ステップ330は、弁を閉鎖して、液溜めから創傷ドレッシングへの流体の流れを制限することを含む。ステップ340は、圧力源から創傷ドレッシングへの負圧を維持することを含む。さらに、この方法は、前述の流体制御装置150を提供するステップ、流体制御装置150に関連する制御弁151を開放するステップ、およびその後、溜め部110、210から予め決められた容積の流体を送達するのに十分な期間の経過後に、制御弁151を閉鎖するステップを含み得る。
【0043】
本明細書の装置および方法を、好ましい実施形態に関して説明したが、当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本明細書の範囲から逸脱せずに、変形形態を適用し得ることが明白である。