特許第6490773号(P6490773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490773吸収性物品用の吸収性コア及び/または捕捉及び分散層を含む一体吸収性構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490773
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】吸収性物品用の吸収性コア及び/または捕捉及び分散層を含む一体吸収性構造体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20190318BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20190318BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20190318BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A61F13/535 100
   A61F13/537 210
   A61F13/537 220
   A61F13/53 300
   A61F13/15 329
【請求項の数】16
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2017-196745(P2017-196745)
(22)【出願日】2017年10月10日
(62)【分割の表示】特願2015-504984(P2015-504984)の分割
【原出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2018-20196(P2018-20196A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/056859
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514255372
【氏名又は名称】リベルテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100098590
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 隆
(72)【発明者】
【氏名】ミヒールス,ダニー
(72)【発明者】
【氏名】デグランデ,タニカ
(72)【発明者】
【氏名】ファンワレゲム,サラ
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−305327(JP,A)
【文献】 特開2007−061171(JP,A)
【文献】 特開2008−132056(JP,A)
【文献】 特開2008−125603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体からの流体を吸収するための吸収性物品であって、永久的な液体保持能力をもつ吸収性コア(5)と、一時的な液体保持能力を持つ捕捉層(14)及び分散層(16)とを有する一体吸収性構造体を含み、不織繊維質支持体(23)であって、該不織繊維質支持体(23)内に分散される超吸収性粒子(21)により浸透されるのに適した空隙容積をもつ不織繊維質支持体(23)を更に含み、該超吸収性粒子(21)が、それら粒子のサイズ分布勾配に従って、該吸収性コア(5)又は捕捉層(14)及び分散層(16)の深さ方向又はz−方向に沿って、該不織繊維質支持体(23)内に分散されている吸収性物品であって、
該不織繊維質支持体(23)が0.1〜20000cm/m支持体表面の空隙容積を有し、該不織繊維質支持体(23)の繊維が40〜60mmの長さに切断されており、そして、より小さな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の身体側に配置され、より大きな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の反対側に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)が、頂部層、無孔質中間層、及び底部層を含む吸収性物品。
【請求項3】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が、45〜850μmの粒子サイズ分布を示す吸収性物品。
【請求項4】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体が4重量%未満の毛羽しか含まない吸収性物品。
【請求項5】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)により浸透された該不織繊維質支持体(23)が、該吸収性コア(5)または該捕捉層(14)及び分散層(16)の部分である吸収性物品。
【請求項6】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体が毛羽を含まない吸収性物品。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)が 捕捉層(14)及び分散層(16)の頂部層;
10〜600cm/m支持体表面の空隙容積を有する中間層;及び
10〜600cm/m支持体表面の空隙容積を有する底部層
を含む三層支持体である吸収性物品。
【請求項8】
請求項2又はに記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)の該底部層がマルチローバルの繊維を含む吸収性物品。
【請求項9】
請求項2又はに記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)の該底部層が疎水性支持体である吸収性物品。
【請求項10】
請求項1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が、該不織繊維質支持体(23)上の互いに隔てられた別々のゾーンに分散されており、これによって該吸収性構造体のx−方向及び/またはy−方向に沿って液体が流れやすく且つ吸い上げられやすくなる吸収性物品。
【請求項11】
請求項1に記載の吸収性物品であって、更に
(a)液体透過性トップシート;
(b)液体非透過性バックシート;
を含み、該吸収性構造体が(a)と(b)との間に配置される吸収性物品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の吸収性物品であって、該吸収性物品が、おむつ、軽度又は重度尿漏れ防止パッド、女性用ケア生理用ナプキン、パンティーライナー及び創傷包帯からなる群から選択される吸収性物品。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の吸収性構造体の製造方法であって、
不織繊維質支持体(23)を巻き戻す;
該不織繊維質支持体(23)を該超吸収性粒子(21)で覆う;
真空テーブルの手段により振動及び真空(8’)を適用することにより、該不織繊維質支持体(23)中に該超吸収性粒子(21)を分散させる;
コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11);
該コア被覆層材料(22)の内面及び/または該不織繊維質支持体(23)の表面に接着剤を塗布する;
該コア被覆層材料(22)で該不織繊維質支持体(23)を覆う;及び
圧力により該接着を確実にする;
段階を含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、該超吸収性粒子(21)が、該不織繊維質支持体(23)中にさらにスプレーガンまたは重力の手段により分散される方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、個々のコアを得るために、該不織繊維質支持体(23)が該超吸収性粒子(21)を本質的に含まない層の箇所で切断する段階をさらに含む方法。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の方法であって、該不織繊維質支持体(23)の表面を超吸収性粒子(21)で覆う段階が、粉末散布、真空技術(8’)を使用するドラム形成、重力供給方式(8)または高圧スプレーガン(8)により行われる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性コア及び/または捕捉(acquisition)及び分散(dispersion)システム内部に分散された超吸収性粒子の層を含む吸収性構造体に関する。また本発明は、前記吸収性構造体を含む吸収性物品にも関し、前記吸収性物品は、好ましくは、生理用ナプキン、パンティーライナー、乳児用おむつ、尿漏れ防止パッド、トレーニングパンツ、汗取りパッド(sweat pad)、医療用創傷包帯などの使い捨て吸収製品である。
【背景技術】
【0002】
慣用の吸収性物品は、液体浸透性(permeable)または透過性(pervious)、親水性または
半親水性のトップシート(1)、繊維材料、吸収性コア(5)及び液体非浸透性または不透過性材料バックシート(6)を組み合わせることによって製造する。トップシート(1)及びバックシート(6)は、吸収性コア(5)に対して前記シートの相対的な位置を表す。
【0003】
吸収性コアは一般に、毛羽(fluff)と超吸収性ポリマー(SAP)粒子(21)とから構成される。
多層吸収性物品は、追加の捕捉層(2)及び分散層(3、4)(ADL)、または慣用のADL(19)を
含むことができ、少なくとも三つの機能をもつ。頂部層は捕捉層(2)であり、これは液体
を迅速に捕捉し、且つ前記捕捉層(2)の下に配置された分配層(distribution layers)(3、4)に送達するのに適している。前記分配層により、液体はユーザーから遠くへ移動することができる。第三の機能は、液体によって再び湿潤するのを防ぐことである。
【0004】
多層(multilayered)ADLは、ベルギー特許第BE1 018 052号(特許文献1)に開示されており、3層の捕捉層(2)及び液体の分配を促進する分配層(3、4)を含む改善された多層ADLシステムに関連する。捕捉層(2)は一般に、毛管現象によって分散層へ液体を迅速に送達す
る粗い親水性または疎水性繊維から構成される。前記分散層は一般に、0.7〜30dtex、好
ましくは1.5〜7dtexの範囲のプロフィール化または成形マルチローバル(multilobal)繊維などの衛生品に適した親水性材料及び繊維を含む。ここで1dtexは、繊維1000メートル当たり1グラムを表す。
【0005】
SAP粒子
典型的なSAP粒子(21)は、乾燥粒子の重量をベースとして、約10倍、水を吸い込むこと
ができる架橋親水性ポリマー鎖から構成される。親水性ポリマーは、天然または合成ポリマーであるか、両方の種類の混合物である。一般的な天然ポリマーとしては、例えばカルボキシレート、ホスホネート若しくはスルホキシレートなどの追加の親水性機能により最終的に(eventually)変性されたセルロースまたはスターチなどのセルロースベースのポリマーが挙げられる。合成親水性ポリマーは一般に、ポリエーテルまたはポリアクリレートベースのポリマーである。
【0006】
SAP粒子(21)は、好都合にはコーティング、または部分的にコーティングすることがで
きる。追加のコーティングにより、たとえばよりよい体液吸収能、周囲に対して粒子をよりよく付着させること、改善された液体輸送能、またはよりよい機械的特性などの追加の特性を改善またはSAP粒子(21)に提供する。
【0007】
吸収性コア
吸収性コアは一般に、SAP粒子(21)と、繊維、層、毛羽(fluff)またはこれらの任意の組み合わせなどの支持体(23)との混合物を含む。
【0008】
吸収性コアが濡れると、SAP粒子(21)は大量の液体を吸収することができる。しかし、
濡れたSAP粒子(21)は膨潤しがちであるので、隣接する膨潤SAP粒子(21)とゲルを形成する。ゲル形成により、吸収性コア内部への液体送達(transmission)は妨げられかねない。
【0009】
結果として、ゲルにより妨害されると、潜在的な漏れ及び/または再湿潤性(rewettability)問題を引き起こす。吸収性コアのゲルによる妨害を防ぎ、且つ液体吸収能を改善するために、個々のSAP粒子(21)は互いに十分に離れていなければならない。これは一般に、SAP粒子(21)とセルロースベースの毛羽とを混合することによって得られる。
【0010】
より薄い吸収性コアは、吸収性コアの構成要素(composition)で使用される毛羽の量を
減らすことによっても得ることができる。
たとえば、米国特許第5,763,331号(特許文献2)は、紙または不織布などの支持層にし
っかり接着されたアクリレートまたは生分解性材料ファミリーなどのSAP粒状材料(granular material)を含む毛羽のない吸収性コアを開示する。主な支持層に超吸収性粒状成分を糊付けするのに使用される接着剤は、噴霧により適用される。
【0011】
米国特許出願公開第US2009/0087636号(特許文献3)から、繊維質支持体とSAP粒子が分
散された状態を含む吸収性構造体は公知であるが、SAP粒子は、支持体構造体内部に単に
保持されているだけで、粒子は、特により小さな粒子に関しては密着(consistent)して分配されていないので、その場所から移動するだろう。米国特許第US5,294,478号(特許文献4)は、繊維質支持体とSAPの勾配分散を含む吸収性構造体を開示するが、より大きな粒子は身体側(bodyside)に設置され、より小さな粒子はその反対側に設置されている。これらの文献のいずれも、より小さな分子を身体側に、且つより大きな分子をその反対側にする勾配については開示していない。
【0012】
米国特許出願第2003/175418号(特許文献5)及び米国特許出願第2002/0090453号(特許文献6)は、粒子の減損及び凝集を防ぐための方法で知られる。これらの特許は、熱可塑性
樹脂粉末などの硬化性(curable)樹脂の溶液または硬化性液体樹脂で処理したシート、フ
ィルム、フォームまたは繊維などの支持体の上にSAP粉末を安定して取り付けるためのプ
ロセスを開示する。SAP粉末はポリマー材料表面に適用され、硬化性液体樹脂でコーティ
ングされ、次いで加熱により硬化させる。得られた吸収性フィルムでは、粒子の凝集及び粒子の減損が減った。あるいは、SAP粉末は樹脂製材料でコーティングして、ポリマー材
料の表面に適用し、硬化させる。得られた吸収性フィルムは、従って、シートの間に挿入して、吸収性コアを形成することができる。
【0013】
PCT国際特許出願国際公開第WO03/092757号(特許文献7)は、SAP粒子と可塑剤のシート
から構成される毛羽なし吸収性コアを製造するための方法も開示する。この可塑剤をSAP
粒子上に噴霧し、続いて熱プレスする。可塑剤は、吸収性コアの再湿潤性及び捕捉速度(acquisition rate)を与える(impart)ことなく、シートに対して柔軟性及び構造的完全性を改善する。開示された方法は、吸収性物品の製造も容易にする。
【0014】
米国特許第4,232,674号(特許文献8)からは、層の飽和された領域から飽和されていな
い領域へ液体を毛細管流動させるために覆われていない領域を残すために、平行ストライプなどの予め決められたパターンで超吸収性ポリマー粒子を付着させる、液体吸収性デバイスも公知である。
【0015】
吸収性物品の液体保持を改善するために、多層吸収性コアを製造することも公知である。たとえば米国特許出願第US2003/135178号(特許文献9)は、上部層と下部層と内部層とを含む吸収性ラミネートコアを開示し、ここで前記内部層の一つは、SAPを含むトウ繊維などの中心の繊維層である。他の内部層は、捕捉層、分配層、場合によりSAPを含む追加の繊維層、ウィッキング層(wicking layer)、貯蔵層またはこれらの組み合わせ及びフラグメントから選択される層である。
【0016】
多層吸収性コアは、吸収性コアを形成するための一体コア(unitary core)で吸収性層または貯蔵層と、慣用のADL(19)との組み合わせから得ることもできる。一体吸収性コアは
一般に、薄肉化され、吸収性物品の加工を容易にもする。
【0017】
一体吸収性コアの数例がPCT国際特許出願国際公開第WO92/11831号(特許文献10)に開
示されている。この文書から、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシート及び、前記トップシートとバックシートとの間に配置されている多層吸収性コアを含む吸収性物品が公知である。前記吸収性コアは、捕捉/分配層と、各捕捉層の下に配置され、吸収性ゲル化材料を含む貯蔵層とを含む多層吸収体を含む。包装された(wrapped)多層吸収体は、多層吸収体を液体輸送包装で包むことによって得られる。
【0018】
PCT国際特許出願国際公開第WO91/11163号(特許文献11)は、結合手段と化学的に補強
された、好ましくは縮れたセルロース繊維を含むADLと、400〜700ミクロンの平均径をも
つSAP粒子及び、SAP粒子用のキャリヤ手段(carrier means)を含む、各ADLの下に配置された流体貯蔵層とをもつ吸収性構造体を開示する。
【0019】
PCT国際特許出願国際公開第WO00/41882号(特許文献12)は、2層(ply)吸収性構造体を開示し、それぞれの層は、異なる濃度でSAP粒子を含み、繊維とバインダーとのマトリッ
クス内に均質分散されているか、構造体の中のレーンなどの個々の位置若しくはゾーンに配置されている。
【0020】
それぞれの層は、液体連通の中に幾つかの層(stratum)から構成される。二つの層の異
なる密度は、層の間に毛細管の張力勾配をつくり出す。
米国特許出願第2008/312625号(特許文献13)、米国特許出願第2008/312632号(特許文
献14)及び米国特許出願第2008/3126621号(特許文献15)は、それぞれの層がSAP粒子を含む支持体と、前記SAP粒子を覆う熱可塑性樹脂接着剤をもつ二つの吸収性層を含む、実
質的にセルロースを含まない吸収性コアを開示する。この2つの吸収性層は、2つの吸収性層の熱可塑性接着剤の一部が接触するように、継ぎ合わせる。二つの吸収性層は、吸収性微粒子ポリマー材料のそれぞれのパターンが互いに相殺するように、組み合わされている。
【0021】
米国特許出願第2007/027436号(特許文献16)から、液体透過性トップシートと、前記
吸収性物品の周囲で前記トップシートに結合されるバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置されるコアとを含む、薄く、適合性(conformable)且つ柔
軟性の吸収性物品が公知であり、前記コアは、超吸収性材料を含む貯蔵層と、超吸収性材料を含む捕捉/貯蔵層とを含む。
【0022】
引用した従来の技術に関しては、ユーザーに対して快適性、より高い吸収能力、機械的安定性、薄さ、低い再湿潤性を提供し、且つ吸収性物品で加工が容易である一体吸収性構造体を改善する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】ベルギー特許第BE1 018 052号
【特許文献2】米国特許第5,763,331号
【特許文献3】米国特許出願公開第US2009/0087636号
【特許文献4】米国特許第US5,294,478号
【特許文献5】米国特許出願第2003/175418号
【特許文献6】米国特許出願第2002/0090453号
【特許文献7】PCT国際特許出願国際公開第WO03/092757号
【特許文献8】米国特許第4,232,674号
【特許文献9】米国特許出願第US2003/135178号
【特許文献10】PCT国際特許出願国際公開第WO92/11831号
【特許文献11】PCT国際特許出願国際公開第WO91/11163号
【特許文献12】PCT国際特許出願国際公開第WO00/41882号
【特許文献13】米国特許出願第2008/312625号
【特許文献14】米国特許出願第2008/312632号
【特許文献15】米国特許出願第2008/3126621号
【特許文献16】米国特許出願第2007/027436号
【発明の概要】
【0024】
本発明は、超吸収性粒子(SAP粒子)(21)が浸透するのに好適な空隙容積をもつ繊維質支
持体(23)などの少なくとも一つの不織材料と、接着剤とを含む改善された一体吸収性構造体に関し、前記超吸収性粒子は、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(14)及び分散(16)一体層の深さ方向またはz-方向に沿ったサイズ分布に従って支持体層(23)に分散される。たとえばより小さな粒子は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子は吸収性物品の反対側に配置される。SAP粒子の分散状態を含む支持体層は、永久的な液体保持能力
をもつ吸収性コア(5)及び/または一時的な液体保持能力を持つ捕捉及び分散層(14、16)内で使用される。図9、10、11、21、22及び23は、支持体(23)におけるSAP粒子(21)の分布状態を含む様々な態様を説明する。
【0025】
第二の側面では、本発明は、前記吸収性コア及び/またはADLを製造するための方法に関する。
本発明の目的は、吸収性コアの体液吸収能、取り込み速度及び再湿潤性に何らかの特性を与える(impart)ことなく、通常、40〜60重量%の範囲で含まれる吸収性コアで一般に使用される毛羽を減らすことによって、吸収性物品の厚さを減らす(薄肉化)ことである。さらに、本発明に従った吸収性構造体は毛羽がない。ここで毛羽がないとは、層が4重量%
未満の毛羽を含むこと、好都合には、吸収性構造体が毛羽を全く含まないことであり、毛羽とはセルロース毛羽を指すと理解すべきである。
【0026】
別の側面では、本発明は、ゲルによる阻害問題をうけることなく、高い体液吸収能力を持つ吸収性構造体に関する。
さらなる側面では、本発明は、改善された多層吸収性コアを形成するためにADLを含む
吸収性構造体に関し、ここで前記ADL及び吸収性層は一体であり、且つ統合されている。
【0027】
さらなる側面では、本発明は、流体保持能力を任意にもつ場合ともたない場合の、追加の慣用のADL(19)と組み合わせた吸収性構造体または多層吸収性構造体に関する。
本発明のさらなる目的は、吸収性物品に直接取り込むことができる、統合されたすぐに使える吸収性構造体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、頂部から底部へ、液体透過性トップシート(1)及び液体不透過性バックシート(6)、捕捉及び分配システム(2、3及び4)、毛羽とSAPとの混合物から一般に構成される吸収性コア(5)を含む典型的な吸収性物品の断面図であり、通常、SAPの量は0〜60重量%を変動する。
図2図2は、頂部から底部へ、捕捉層(2)と二つの分配層(3)及び(4)とを含む3層の慣用のADL(19)の断面図である。
図3図3は、頂部から底部へ、三重層(triple layer)の捕捉層(14)、再湿潤層(15)及び分配(16)層を含む支持体の断面図である。
図4図4は、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)、再湿潤層(15)を含む支持体の断面図である。
図5図5は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)と、再湿潤層(15)とを含む支持体の断面図である。
図6図6は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)と再湿潤層(15)を含む支持体の断面図であり、第三の層は部分的に疎水性である。
図7図7は、頂部から底部へ、三重層の捕捉層(14)、分配層(16)と吸収層(17)を含む支持体の断面図である。
図8図8は、頂部から底部へ、空隙容積勾配(18a、18b、18c)を画定するポリエステルとポリオレフィンとの三重層ブレンドを含む支持体の断面図である。
図9図9は、頂部から底部へ、捕捉及び分配頂部層(19)、SAP粒子(21)の損失を防いでいるより小さな空隙容積空間構造体の再湿潤層と、SAP粒子(21)を含む非常に大きな空隙容積空間をもつ底部層と、吸収性コアの底部区分をコーティングする被覆層を含む支持体の断面図である。
図10図10は、三重層の支持体の断面図であり、ここで繊維は、SAP粒子(21)で部分的に充填した空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)を画定し、構造体の底部は、追加の層で覆われる。
図11図11は、空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)をもつ支持体に完全に浸透したSAP粒子(21)の断面図である。コアは、頂部部分及び底部部分(22)の上で不織層により覆われている。
図12図12は、空隙容積分布勾配(18a、18b、18c)をもつ支持体に部分的に浸透したSAP粒子(21)の断面画像である。
図13図13aは、本発明に従った構造体を製造する方法のスキームである。図13bは、本発明に従った構造体を製造する方法のスキームである。
図14図14は、不織支持体のy-方向または横寸法(lateral dimension)に沿ってSAP粒子(21)を付着させることを説明している、SAP粒子(21)の注入(dosing)システムのスキームである。
図15図15は、多くの(multiple)吸収性コアを製造するために支持体上にSAP粒子(21)を不連続に適用する断面図である。コアは、ホットメルト接着剤とコア被覆層(11)で覆われる。個々のコアを形成するための断ち切り線(cutting line)も示す。
図16図16は、3つの個々のプロフィール化吸収性コアの断面図である。
図17図17は、プロフィール化されたコアを作るためにSAP粒子(21)の粉末を散布するために使用される供給ロールの詳細図である。
図18図18は、x-方向または長手寸法に沿ったプロフィール化された吸収性コアの断面画像である。
図19図19は、x-y平面でパターン化された吸収性コア層の上面図である。
図20図20は、分散段階の前に不織支持体上にSAP粒子(21)を付着させることを説明する。
図21図21は、本発明に従って分散されたSAP粒子(21)を含むADLを説明し、前記ADLは、慣用の吸収性コア頂部に配置される。
図22図22は、被覆層(22)によってコーティングされた本発明に従った吸収性構造体を説明する。
図23図23は、SAP粒子(21)サイズ勾配に依存して、支持体(23)内部にSAP粒子(21)の分散と不織支持体(23)とを含む、本発明に従った吸収性コアを説明する。
図24図24は、身体の形に合った(body shaped)吸収性物品の上面図である。
図25図25は、不織支持体(23)上へのSAP粒子(21)の付着を説明する。
図26図26は、コア包装材料(25)による個々のコアの封止(24)プロセスを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に従った液体は、尿または血液などの任意の体液を含むが、これらに限定されない。
本発明者らは、超吸収性粒子が浸透するのに適した空隙容積をもつ少なくとも一つの不織繊維性支持体(23)を含む、吸収性コア(5)及び/または捕捉及び分散層(14、16)を含む、一体吸収性構造体を含む毛羽のない吸収性構造体を開発した。前記不織繊維支持体は、親水性であるか、または疎水性のいずれかであることができ、サイズ分布をもつ前記超吸収性粒子(21)は、深さ方向またはz-方向に従ってその粒径分布勾配に従って、支持体層(23)内部に分散されている。より小さな粒子は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子はその反対側に配置される。SAP粒子を含む前記繊維支持体は、吸収性コア及び/またはADL構造と一体化される。
【0030】
得られた吸収性構造体は、スパンボンド、PEフィルム、PETフィルム、ポリオレフィン
、多層フィルム、同時押出フィルム、梳毛された不織材料または任意の好適な材料などの被覆層(22)によりコーティングされ、接着剤を用いてコアに維持される。
【0031】
吸収性物品の高い体液保持能力と薄さとに加えて、吸収性構造体の特定の部分にSAP粒
子(21)を分散させること、及び毛羽が存在しないことにより、たとえばよりよい転換(conversion)、及び改善された性能及び信頼性などの本発明の吸収性構造体を使用するための他の好都合な点がある。毛羽はもはや必要とされておらず、毛羽を製造するためにハンマー粉砕などの余分な方法段階が不必要であり、さらには倉庫保管及び包装コスト並びに輸送コストも軽減されるため、そのようなコア及び/またはADLを使用することは経済的に好都合でもある。
【0032】
好都合には、本発明に従った吸収性構造体は、液体を確実に良好に捕捉及び分配するトップ層と;その液体が表面に戻らないようにするのに適した中間層とを含む多層構造体であり、前記中間層は、無孔質(non-porous)であり、ここで無孔質は、支持体(23)m2当たり空隙容積約10〜約600cm3を変動する空隙容積値により定義される。吸収性構造体は、多孔質繊維底部層も含み、ここで本発明に従った多孔質(porous)とは、空間(void space)約0.1〜約20000cm3/支持体(23)m2、好ましくは空間約600〜約6000cm3/支持体(23)m2を変動す
る空隙容積により定義される。従って、コーティングされたSAP粒子またはコーティング
されていないSAP粒子(21)を含む前記繊維質底部層は、中間層の下にSAP層(stratum)を形
成する。SAP層を構成しているSAP粒子(21)は、SAP粒子(21)サイズ分布勾配をベースとし
て、底部層内部に分散され、ここでより小さなSAP粒子(21)は底部層の中に深く取り込ま
れ、且つより大きな粒子は底部層の外側部分上に残ったままであり、たとえばより小さなSAP粒子は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子は吸収性物品の反対側に
配置される。支持体(23)m2当たり空隙容積約10〜約600cm3の範囲の空隙容積値をもつ好適な、無孔質コア被覆層(22)を使用して、SAP粒子(21)の放出を防ぎ、前記コア被覆層材料(22)は、接着手段、超音波溶接(welding)及び/または任意の好適な方法(図26)により吸収
性構造体に保持される。
【0033】
本発明の吸収性構造体は、SAP粒子(21)を含み、ここで少なくとも90%、好ましくは95%、または98%のSAP粒子(21)は、約45〜約850μm、好ましくは約100〜約800μm、より好ましくは約200〜約500μmの範囲の粒径をもつ。より小さなサイズのSAP粒子(21)は、深く、即ちz-方向に沿って、支持体(23)の底部内に浸透することができ、より大きなサイズのSAP粒子(21)は支持体(23)の外側部分に残るか、または前記支持体(23)の表面上に残って、SAP粒子(21)サイズ勾配をベースとして吸収性層を形成する。支持体は裏返され、たとえばより小さな粒子は吸収性物品の身体側に配置され、より大きな粒子は吸収性物品の反対側に配置される。
【0034】
慣用の吸収性コアは一般に、毛羽吸収性分配層または他のセルロースベースの繊維システム、例えば毛羽を保持しているコアと組み合わせた、縮れた繊維または標準的なADLシ
ステム(19)が必要なので、吸収性コア及び/またはADL内部に完全に一体化されたSAP粒子(21)を含む本発明の吸収性構造体により、本発明者らにより公知の慣用の吸収性コアより
もより薄い吸収性物品を製造することができる。
【0035】
本発明に従った吸収性コアは、優れた液体取り込み特性(uptake property)及び低い再
湿潤性をもつことが知見された。支持体(23)中に、より小さな粒子は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子は吸収性物品の反対側に配置されるサイズ分布勾配で分散されたSAP粒子(21)は、SAP粒子(21)が膨潤状態にあるとき、ゲル形成を阻害することができると推定される。
【0036】
超吸収性粒子
本発明に従って、SAP粒子(21)は、コーティングされるか、部分的または完全にコーテ
ィングされる。
【0037】
本発明に好適な市販の、コーティングされていないSAP粒子(21)は、Ecotec EK-X
EN 67ポリマーグレードであり、これは通常、Evonik:Favor SXM 10000、Favor9155で、最大80重量%SAP充填量比でSAPと毛羽を含む吸収性コアで使用される。
【0038】
好都合には、SAP粒子は、Aquakeep SA55SXまたはSumitomo SA60F、Arkema製など球形である。
SAP粒子(21)は、吸収性層若しくはADL中、または吸収性層とADLの両方の中に取り込む
ことができる。
【0039】
吸収性コア
本発明に従った吸収性コアは、不織性支持体(23)にSAP粒子(21)を完全に浸透させるこ
とによって得ることができ、従って図23に示されているように、追加の慣用ADL(19)を
使用すべきである。
【0040】
本発明に従ったSAP粒子(21)が完全に浸透した支持体(23)は、体液を保持する能力に依
存して、最大SAP1000g/m2、好ましくはSAP粒子(21)約300〜約500g/m2を含む。
ゲルによる閉塞を防ぐために、膨潤SAP粒子(21)は、体液などの流体が吸収性層の中を
通り抜けることができるように十分に透過性であるべく十分に隔たっていなければならない。これは、本発明者によりSAP粒子のサイズ勾配をベースとして、支持体(23)内部にSAP粒子(21)を分配することによって得られた。理論にとらわれないが、より小さなSAP粒子(21)だけが、z-方向に沿って支持体(23)内に深く浸透し、より大きなSAP粒子(21)は支持体(23)の外側部分に残ったままと考えられる。構造体を裏返しにすることで、より小さなSAP粒子(21)は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子は吸収性物品の反対側に配置される。より小さなSAP粒子(21)は互いに十分に隔たっているので、ゲルによる閉塞問題を予防する一方で、より大きなSAP粒子(21)は、過剰の体液を継続的に(progressively)吸収することができる。
【0041】
好ましくは、本発明の吸収性構造体は、慣用のADL(19)と組み合わせることができる。
図23は、SAP粒子(21)サイズ勾配に依存して、支持体(23)内部にSAP粒子(21)の分散と不織支持体(23)とを含む、本発明に従った吸収性コアを説明する。吸収性コアはさらに、吸収性コア頂部で慣用のADL(19)と組み合わされる。
【0042】
図12は、液体を取り込んだ後の膨潤状態において、SAP粒子(21)を備えた3層ADL構造体を使用する、本発明に従った吸収性物品も説明する。
捕捉、分散、層(ADL)
第二の態様では、特定量及びサイズのSAP粒子(21)は、ADL構造体を含む支持体(23)中に、そのサイズ分布勾配をベースとして分散され、例えば支持体(23)にはSAP粒子(21)が部分的に浸透する。支持体は使用され、たとえば、より小さな粒子が吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子が吸収性物品の反対側に配置される。図9及び10はこの第二の態様を説明する。
【0043】
本発明に従って、液体または体液を吸収するために、十分量のSAP粒子(21)を含むADLは、一体吸収性構造体(図9、及び図22)として直接使用することができ、前記構造体はADL区分と、分散されたSAP粒子(21)を含む吸収性区分とを含む。一般に最大1000g/m2、好ましくは約300〜約500g/m2のSAP粒子(21)が、一つの要素(in one element)でADLと吸収性コアを組み合わせるのに十分である。
【0044】
ADLは少量のSAP粒子(21)も含むことができ、これは一時的な貯蔵またはサージ(surge)
層(20)として機能する(図21)。一般に、約0.1〜約300g/m2、好ましくは約100〜約200g/m2が少量のSAP粒子(21)とみなされる。後者の場合には、追加の吸収性コアを使用してADLと組み合わせなければならない。好適なADLは水または液体を吸収し、これを吸収性コアへゆっくりと放出すべきである。
【0045】
典型的には、ADLは、捕捉層(2)と分散層(3、4)を含む多層構造体である。好ましい様式では、SAP粒子(21)の分散状態を含むADLは、一つの捕捉層(2)と二つの拡散(diffusion)層(3)から構成される3層構造体である。
【0046】
特別な態様では、本発明に従った三重(triple)層ADLは、捕捉層(14)、再湿潤層(15)及
び分配層(16)を含むことができ、図3に示されている。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体が構造体に容易に浸透できる。
【0047】
中間層は、無孔質拡散層であり、流体が頂部表面から戻らないようにする。本発明に従った無孔質とは、空隙空間約10〜600cm3/支持体(23)m2の空隙容積により定義される。拡散層は、非常に親水性でもあるので、液体はコアじゅうに広がる。
【0048】
底部層は、吸収性コア一面で液体分配を促進するために、プロフィール化(profile)、
またはマルチローバルの繊維を含む。市販のマルチローバル繊維の非限定的な例としては、4DG 6dn、4T 3dn、トリローバル6dn、ペンタローバル6dn、カードフィル(quadfill)7dtが挙げられるが、繊維は、トリローバル6dnまたはペンタローバル6dn繊維及び他の形状であるのが好ましい。
【0049】
本発明に従った別の態様では、図4に示されているように三重層ADLは、捕捉層(14)、
分配層(16)及び再湿潤層(15)を含む。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体は吸収性コア内部に浸透することができる。
【0050】
中間層は、プロフィール化繊維を含む分散層であるので、底部層への液体の分配を促進する。
底部層は、非常に細い繊維を含む無孔層であり、液体が表面に戻るのを防ぐ。これは非常に親水性であるので、液体はコア一面に広がる。
【0051】
本発明に従った別の態様では、2つの捕捉層(14)と再湿潤(rewet)層(15)を含む三重層A
DLが図5に示されている。
頂部層は、非常に多孔質の捕捉層(14)であるので、流体は吸収性コア内部に浸透することができる。
【0052】
中間層は、半多孔質である捕捉層(14)でもあり、ここで本発明に従った半多孔質とは、空隙容積約300〜約500cm3/支持体(23)m2の空隙容積により定義される。しかし、前記中間層は、空隙容積分分布配(18a、18b、18c)を特徴とし、これによりコアに向かって液体輸
送のための漏斗をつくりだす。
【0053】
底部層は、無孔質で、且つ非常に細い繊維から構成され、液体が表面に戻るのを防ぐ。好ましくは、底部層はカレンダーにかけられて、表面上の空隙容積をさらに減らして、コアの液体が表面に戻るのを防ぐ。前記底部層は好ましくは親水性であるので、コア一面に液体を広げることができる。
【0054】
本発明に従った別の態様では、吸収性構造体は、図6に示されているように捕捉層(14)、分配層(16)及び再湿潤層(15)を含む三重層ADLを含む。
頂部層は、吸収性構造体に体液が浸透できるのに適した非常に多孔質の捕捉層(14)である。
【0055】
中間層は、液体が底部層及びコアに分配及び広がるのに適した層である。
底部層は、細い親水性と疎水性の繊維のブレンドから構成される無孔質層であり、液体が表面に戻るのを防ぐ。
【0056】
本発明に従った別の態様では、吸収性構造体は、図7に示されているように、捕捉層(14)、分配層(16)及び吸収層(17)の三重層を含む。
頂部層は非常に多孔質の捕捉層(14)であり、体液が吸収性コア内部に浸透することができる。
【0057】
中間層は分配層(16)であり、分配層(16)の全表面を確実に使用するための繊維を含む。
底部層は、前記底部層に液体を一時的に貯蔵するために、ビスコース吸収性繊維を含む繊維のブレンドを含み、従って液体が吸収性コアに運ばれる前に緩衝体(バッファ)をつくりだす。
【0058】
図8に説明される別の態様では、三重層ADLは、空隙容積3000、1000及び300cm3/支持体(23)表面積m2の空隙容積勾配(18a、18b、18c)を画定する三重層システムを画定するポリ
エステルとポリオレフィン繊維のブレンドを含み、前記空隙容積勾配(18a、18b、18c)は
液体のために漏斗をつくりだす。これにより液体取り込み速度がより高くなる。
【0059】
使用される繊維は良好なレジリエンス(弾力)及び圧力に対する抵抗性を与えるので、おむつのコアと頂部との間に距離を生み出して、乾燥した表面となる。
本発明に適したADLは毛羽がなく、迅速に液体を取り込み、良好な再湿潤特性を確保す
るので、液体が表面から戻るのを防ぎ、且つ頂部表面を乾燥したままにする。また液体は確実に十分に広がり、分配されるので、全てのコアがその最大まで使用される。
【0060】
吸収性構造体
本発明に従った吸収性構造体は、吸収性区分と、捕捉(14)及び分散(16)区分とを含むことができる。図22に示されているこれらの具体的な態様において、吸収性構造体は、相互浸透(interpenetrating)ネットワークを形成する、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、coPP、PET/PE、PET/PP、PET/cop、PP/PE、PLA、PLA/PP、PVA、ビスコース、綿、毛、PET/coPET、アセテート、PTE
、PVC、竹、PBT、PA、アクリル、モダクリル(Modacryl)、及び/または再生繊維などの、
単層または多層の不織繊維支持体(23)と、SAP粒子(21)と、接着剤約0.1〜50g/m2、好ましくは0.7〜25g/m2、より好ましくは約2〜7g/m2とから構成される。好ましくは、吸収性構
造体は、全く毛羽を含まない。繊維の性質により吸収性層内部に大量のSAP粒子(21)を配
合し、これによりSAP粒子(21)の膨潤によるゲルによる閉塞を受けずに液体を吸収するこ
とができるようにすることも可能である。本発明の好ましい態様では、吸収性構造体は、SAP粒子(21)約25〜300g/ADL及び/または支持体(23)m2、好ましくは約60〜150g/m2を含み
;SAP粒子約0.1〜1000g/m2、赤ちゃん用おむつまたは大人の尿漏れ防止製品に関してはSAP粒子(21)の好ましい量は、100〜500g/m2、女性用ケア製品では10〜200g/m2、及び創傷包帯用では約200〜400g/m2を変動する。一般に、吸収性構造体は、約10〜60g/コア被覆層(22)m2を含む。
【0061】
不織支持体(23)を製造するのに好適な市販の繊維の例としては、Acryl Amicor 3.0n;Asota L10D;Eastlon SN-3450CMP1 4.0dn、Fibervisions ES-C Cure 2.2dt;Fibervisions ES-DELTA REPEAT II 5.7dt 40mm;Grisuten 22 3.3dt 60mm;Huvis LMF U16 6dn 51mm;Huvis LMF V16 4dn 51mm;Huvis OEPO1 N215 2.0dn;Ingeo PLA SLN2660E2 6.0dn;Invista 295 6.0dn;Meraklon PPブレンド PH/HW 4.4dt;PES Greenfiber 6.7dt;Tesil 84M 6.7dt;Trevira 200 6.0dt;Viscocel 3.3 dt 40mm;Wellman H1295 7dt;Wellman T0745 17dt 60mm;Wellman H7112 12dt;Wellman H8015 7dt 60mmがある。
【0062】
本発明に従った吸収性構造体は、0.1mm〜800mmの範囲の横寸法(lateral dimension)を
もつが、これらの寸法に限定されない。様々な用途に依存して、前記吸収性構造体は通常、赤ちゃんのおむつ製品に関しては、50〜180mmの横寸法;大人の尿漏れ防止用製品に関しては30〜250mm;女性用ケア製品に関しては30〜90mm及び、創傷包帯に関しては100×100mm2または200×300mm2の横寸法である。
【0063】
好ましくは、不織繊維支持体(23)は、頂部層を含む三重の構造体(23)であり、これは液体を迅速に捕捉し、且つ中間層の表面全体に液体をうまく分配するために、捕捉(14)及び分散(16)機能をもつ。中間層は、液体がコアに広がることができるように、非常に親水性であるのが好ましい。前記中間層は無孔質でもあり、適用の間だけでなく、吸収性製品を使用する間にも、一度SAP粒子(21)が液体で膨潤すると、頂部表面に流体が戻るのを防ぎ
、且つ底部層内部にSAP粒子(21)を保持する。
【0064】
底部層は、SAP粒子(21)が浸透するのに適した非常に多孔質の構造体であり、前記底部
層は、貯蔵層(20)として機能する(図9)。
別の態様では、SAP粒子(21)は、繊維ネットワークの空隙容積勾配(18a,18b,18c)に浸透する。繊維の空隙容積勾配(18a,18b,18c)のため、より小さな粒子はより大きな粒子
よりも深く浸透する。構造体をひっくり返した後、繊維構造体の頂部側は実質的にSAP粒
子(21)がなく、且つさらに捕捉(14)、分配(16)及び再湿潤(15)層として機能することができる。
【0065】
さらなる態様において、SAP粒子(21)は、単層または多層、好ましくは二重(dual)また
は三重(triple)層構造に完全に浸透することができる。構造体の頂部及び低部部分は、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはPETのスパンボンド、不織、スパンレース、または
フィルムなどの被覆層(22)で覆われて、前記SAP粒子(21)が吸収剤の外側へ移動しないよ
うにする。
【0066】
好ましい態様では、支持体(23)は、該支持体(23)内部にSAP粒子(21)が浸透できるのに適した多孔質頂部層をもつが、底部層、または中間層の一つは無孔質で、支持体(23)の中を移動することによるSAP粒子(21)の損失を防ぐ。好都合には、少なくとも一つの追加の被覆層(22)を使用して、SAP粒子(21)の損失を防ぐ。より広く覆うためには、追加の2層を使用することができる。
【0067】
2層を使用する場合、前記被覆層(22)の端部を糊付け(glue)して構造体を封止(seal)する。一つの構造体被覆層(22)を使用する場合、前記層を畳んで構造体を包み、端部は糊付けして構造体を封止する。最も理想的には、Cの形(C-ラップ)で構造体を包むことである
が、必要ではない(図26)。
【0068】
吸収性構造体を製造するための方法
本発明に好適な吸収性構造体を製造するための方法は説明されており、以下の段階を含む:
・繊維支持体(7)を巻き戻し(11)、支持体を機械的に開口させる。これはSAP粒子を付着させる前後で適用できる。
【0069】
・粉末散布(8);標準的なおむつラインの真空技術(8')によるドラム形成;重力供給方
式;高圧スプレーガン(エアプレッシャーキャノン)により、SAP粒子(21)で支持体(7)を覆う。
【0070】
次いでSAP粒子(21)は、振動手段及び/または真空テーブル(8')を使用して、支持体(7)
に分散させる。0バール〜150バール;好ましくは10バール未満である。SAP粒子(21)は、
閉じ込めまたは絡み合いにより及び/または任意の結合手段の後に繊維支持体(7)に保持され、ここで前記SAP粒子(21)は接着剤(glue)を適用して不織繊維に接着され、これはSAPを付着させる前後で適用することができる。好ましくは、接着剤は、スプレーガンで適用する。
【0071】
・前記吸収性構造体を巻きとる(13)。
・場合により、製品をカレンダー処理にかけて、長手方向にチャネル構造をつくりだす。
【0072】
好ましくは、コーティングされたSAP粒子またはコーティングされていないSAP粒子(21)を、ADL層の繊維に接着させる。非限定的な接着法としては、粉末コーティング及び熱接
着、熱処理、スプレーコーティング、粉末散布(powder scattering)、反応性接着剤(reactive glue)(活性化及び硬化)またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0073】
SAP分散は、好ましくはスプレーガンと真空テーブルとの組み合わせにより実施する。
SAP粒子を支持体上に被覆及び分散させる段階の後、支持体は、好ましくは以下の段階
によりさらなる被覆層により被覆される:
・コア被覆層材料(core covering layer material)(22)を巻き戻す(11)。
【0074】
・接着剤(10)をコア被覆層(22)の内面及び/または支持体表面(7)に適用する。
・前記支持体(7)を前記コア被覆層材料(22)で被覆する。
・圧力により確実に接着させる(12)。
【0075】
好適な装置(図13及び13b参照)
本発明の吸収性構造体を製造するのに適した装置(図13及び13b参照)は、ADL及び/またはコア生産ラインのライン若しくはオフラインか、またはおむつ若しくは女性用ケア製品ラインのライン若しくはオフラインで使用することができる。
【0076】
図13及び図13bは、支持体の任意の予備カット段階(26)も説明し、実際、切断は、SAP粒子を添加した後に実施することができる。
SAP粒子
小さな粒子はADLに効果的に浸透するのに対し、より大きなサイズの粒子は、拡散層の
外側に残ったままで貯蔵層(20)を形成するので、SAP粒子(21)の直径は、約45μm〜約850
μm、好ましくは約100μm〜約800μm、より好ましくは約200〜約500μmを変動し、平均粒径は約300〜600μmであるのが好ましい。異なるサイズ仕様(size specification)のSAP粒子(21)が連続して支持体内部に分散できると好都合である。より小さなサイズ仕様のSAP
粒子(21)は、第一の段階及び第二の段階で分散させることができ、より大きなサイズ仕様のSAP粒子(21)は、支持体の内部に分散させることができる。
【0077】
接着剤
本発明に従った好適な接着剤は、良好な接着を提供しなければならず、液体が吸収性層に到達できるよう液体に対して透過性でなければならず、且つSAP粒子(21)が体液により
膨潤するときに、ゲルによる閉塞問題を避けるために、少なくとも100%、好ましくは600〜1800%の破断点伸び(elongation at break)をもたなければならない。好ましい接着剤
は、水ベースの接着剤及び固体粉末接着剤であり、これを粉末化してSAP粒子(21)を接着
する。好適な市販の接着剤としては、Bostik H4245;Bostik H20028;Bostik H4322また
はFuller Full-Care 8400AまたはHenkel Euromelt 357があるが、これらに限定されない
【0078】
多数の接着性コア及び/またはADLを製造するための方法
本発明に従った吸収性コア及び/またはADLを含む吸収性構造体を製造するための方法は、図13及び26に記載する。
【0079】
好都合には、前記方法は、プロフィール化吸収性コア及び/またはADLの製造に適合することができる。
支持体層(7)の巻き戻しは、幾つかの吸収性構造体を並行して加工するのに十分に幅広
でなければならない。従って、図14に説明されているように、支持体(7)の幅または横
寸法またはy方向にわたって不連続様式でSAP粒子(21)を散布及び供給することが可能である。
【0080】
本方法は以下の段階を含む:
・繊維支持体(7)を巻き戻す。支持体(7)の空隙容積分布に依存して、SAP粒子(21)の損
失を防ぐために、プロセスの間、支持体(7)を上向きに維持することができる。
【0081】
・粉末散布(8)により、真空ドラム(8')により、重力供給方式(8)により、または高圧システム、たとえばスプレーガン若しくはエアプレッシャーキャノンにより、支持体(7)上
に一定量のSAP粒子(21)を部分的に付着させる(図13b)。
【0082】
・接着剤はSAP付着段階の前後で支持体に添加することができる。好ましくは、接着剤
はスプレーガンにより支持体上に適用する。
・振動及び真空(8')を支持体に与えて、支持体(7)内部にSAP粒子(21)が確実に分散するようにする。前記SAP粒子(21)は、閉じ込めまたは絡み合いにより及び/または任意の結合段階の後に繊維質支持体(7)に保持され、ここで前記SAP粒子(21)は、接着剤を添加することにより不織繊維に接着させる。
【0083】
・支持体(7)表面上に及び/またはコア被覆層(22)上にホットメルト接着剤(10)を適用する。
・コア被覆層材料を巻き戻す(11)。
【0084】
・前記支持体(7)を前記コア被覆層(22)で覆う。ここで前記SAP粒子(21)が存在する場合
、前記ホットメルト接着剤は被覆層(22)を支持体(7)に接着し、SAP粒子を全体として結合する(21)。支持体(7)が粒子を含まない場合には、接着剤はコア被覆層(22)材料を、SAP粒子(21)を本質的に含まない支持体(7)の部分の上で支持体(7)に接着して、吸収性コアを封止する。封止によって、切断した時にSAP粒子(21)が落下するのを防ぎ、且つSAP粒子(21)が側部へ移動するのを防ぐので、封止するのが好ましい。
【0085】
支持体(7)が本質的にSAP粒子(21)を含まない場所で層を切断して、図15に示されているように個々のコアを得る。
さらに、SAP粒子の側部への移動を防ぐために、加熱、加圧または超音波的に得られる
圧縮バリヤ(pressing barrier)を加えるのが好都合である。
【0086】
好都合には、SAP粒子(21)の分布プロフィールは、吸収性構造体の長さ若しくは長手寸
法またはx-方向に沿って得ることができる。前記分布プロフィールは、粉末散布段階により支持体(7)上にSAP粒子(21)を付着させるために使用される供給ロールにプロフィールをつくりだすことによって実施する。図17は、本発明に従った供給ロールを説明する。ここで支持体(7)の正面、中間及び背面区分は、特定量のSAP粒子(21)を受けとる。
【0087】
異なる濃度の区分の間の移行部分は、分散段階の間に、振動または真空(8')を適用する際に均質化されるだろう。
図18に示されているように、長手寸法(x-方向)に沿ったプロフィール化(profiled)吸収性構造体は、前記供給ロールを使用して得ることができ、前記構造体はおむつの正面部及び中間部により多量のSAP粒子(21)と、おむつの背面部により少量のSAPを含む。
【0088】
従って得られたプロフィール化吸収性構造体は、不織支持体(23)に部分的に浸透させたSAP粒子(21)を含む吸収性部分と、被覆層(22)で覆われたADLとして機能する上部部分とを含む。被覆層(22)は、ホットメルト接着剤により保持することができる。従って、プロフィール化吸収性構造体は、吸収性物品で直接使用することができる。
【0089】
不織支持体(23)上へのSAP粒子(21)の付着は、図25に説明されるように、横方向及び
長手方向のプロフィールをもつのが好ましい。支持体に真空(8')及び/または振動を適用
することによりSAP粒子(21)を付着させた後、得られた吸収性構造体は、x、y及びz-方向
の分散勾配分布に従って支持体(23)内部に分散されたSAP粒子(21)の量により、最適化吸
収能をもつだろう。
【0090】
好ましい態様では、SAP粒子(21)は、支持体(23)のx-方向及び/またはy-方向に沿って別々のゾーンにも分散され、それぞれのゾーンは互いに離れている(図19)。分散段階の後、得られる吸収性コア及び/またはADLは、SAP粒子(21)を含まないバンドまたはチャネル
などの様々なモチーフを含み、これによって流体の流れ及びウィッキング(wicking)を容
易にする(図19及び20)。
【0091】
吸収性構造体は、吸収性物品のすぐに使える吸収性構造体として使用することができ(
図26)、身体の形に合った(body shaped)吸収性物品に容易に適合することができる(図
24)。
【実施例】
【0092】
本発明に好適なSAP粒子(21)の例としては、FAVOR SXM 10000及びFAVOR SXM 9155(Evonik製)がある。
FAVOR SXM 10000は、おおよそ以下のサイズ分布をもつ部分的に中和した、架橋ナトリ
ウムポリアクリレートポリマーである。
【0093】
【表1】
【0094】
FAVOR SXM 9155は、おおよそ以下のサイズ分布をもつ架橋したナトリウムポリアクリレートポリマーである。
【0095】
【表2】
【0096】
本発明に適したSAP粒子の他の例は、BASF E2535-12である。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
SA55SXは、SA60Fよりも粗い。すなわち、SA55SXに関しては、30%>560μmであるのに対し、SA60Fに関しては、12%>560μmである。
支持体の含浸に関して最も適当な粒子は、500μm未満であるほうがよい。この点において、参照のAquakeep SA60F及びBASFのものは、含浸に関してもっとも適している。しかしながら、本出願人らがガウス分布曲線で粒径カット(particle size cut)をとるとき、Evonik種は同一分布で製造することができる。本出願人は他のSAP種についてもすべて同様に含浸することができる。
【0101】
ADL挿入または置換
市販の吸収性物品を、もしある場合にはADLを本発明のADLと置換した同一製品と比較する。新しいADLの挿入は以下のようにして実施する。
【0102】
・おむつのトップシートを切断し、もしおむつの中に存在する場合には、ADLに沿って
開ける。吸収性コアに損傷を与えないように、漏れないようにするために、おむつの正面部分はそのままにしておかなければならない。
【0103】
・ADLを注意深く取り出し、ピンを使用してその場所をトップシート上に示す。
・試験すべき新しいADLをおむつの中に設置する。
・次いで必要によりおむつを封止し糊付けする。
【0104】
拡散及び吸収能の測定
拡散は、吸収性デバイスにおける液体の長さ(length of liquid)の分布を表す。
吸収能は、漏れが発生する前に、吸収性デバイスによって保持されえる液体の量を表す。
【0105】
おむつ
測定前に、おむつは少なくとも1時間、その包装から取り出して、十分に軟らかく戻し
ておく(reloften)。
【0106】
おむつの厚さは、三つの異なる位置:正面、中心及び背面領域で、0.5kPaの荷重下で測定する。
漏れ試験前の吸収(absorption before leakage test:ABL)
吸収能及び拡散測定法は、Courtrayにより開発された方法をベースとする。それぞれの試験に関して4つのサンプルを測定する。
【0107】
拡散値(spreading value)は、おむつの液体の分散の全長として測定し、吸収能は、1回分(dose)と時間を測定する自動用量システム(dosage system)を使用してマネキンで測定
した。
【0108】
漏れが起きたら、制御システムにより漏れを検出し、信号をモニタリングシステムに送り、吸収デバイスの吸収能を記録する。記録した吸収能を、元のおむつの吸収能と比較する。
【0109】
システムは、全ての試験前、または試験のそれぞれの三つのシリーズの後でキャリブレーションする。
試験流体として食塩溶液を使用する。使用した試験流体の量は、マネキンサイズ及びおむつサイズに依存する。
【0110】
【表6】
【0111】
おむつを秤量し、厚さを三つの異なるゾーンで測定する。
必要により、すでに述べたようにADLを置き換える。
おむつをおき、マネキンにつける。
【0112】
実施すべき測定に応じて、マネキンは仰向けまたはうつ伏せにする。
試験流体は、少なくとも三回分の連続用量によりおむつに適用する。各用量の注入(dosing)に関して試験流体の流れは200ml/分(+/−5ml/分)であり、各用量の注入は、5分の間をあける。最初の注入は腹部に適用し、二回目の注入は背面に適用し、三回目及び他の注入分は腹部に適用する。
【0113】
この方法は男の子または女の子の模擬実験をするのにも適合させることができる。
吸収能は、濡れたおむつの重量から乾燥おむつの重量を引いたものとして計算する。展開(spread)は、液体の分散の全長として測定する。
【0114】
吸収デバイスの捕捉時間及び再湿潤の尺度
捕捉時間(acquisition time)は、試験サンプルに試験流体を浸透させるのに必要な時間である。
【0115】
再湿潤は、特定の荷重においておむつの表面上のろ紙により吸収された液体の量である。
装置は、管とおもり2×4.00kgのついた試験プレートを含む;土台としてクッションを
使用する;140×190mmろ紙は、S&S、参照タイプ604より入手した。試験液体は、Kanga、参照番号LMT-003を入手する。
【0116】
試験は、市販のおむつまたは具体的なサンプルのいずれかで実施する。
衛生おむつ
方法
試験は、Hy-Tec方法をベースとする。
【0117】
五つのサンプルを平行して試験する。おむつを秤量し、おむつの厚さは三つの異なるゾーン:おむつの正面、真ん中及び背面で、荷重0.5kPaで測定する。
必要により、おむつに元々あるADLを、すでに述べたように本発明の新しいADLで置き換えることができる。
【0118】
おむつの中心点に印をつけ、尿点(pee-point)は、中心点に対して2.5cm前で決定する。
おむつはおもり及びプレートを使用してクッションの上に平らに置く。試験プレートは、おむつに対して平行に配置して、平らにして、管の中心が尿点上にあるように確保する。足の折り返し(leg cuff)をシートの下から引っ張って、プレートの横にくるようにして、少量の漏れでも吸収できるようにする。管の両側のプレート上におもりを置く。
【0119】
試験流体の量を自動ディスペンサーで測定し、おもりのプレート内の管を通して加えて、尿点をシミュレートする。液体の量は、おむつの種類及びサイズに依存する(表を参照
されたい)。
【0120】
【表7】
【0121】
サンプルは、処理せずに無傷のままであった元のおむつと、先に述べたようにADLを取
り除き、再び挿入した参照おむつと比較する。
液体が完全に三番目のおむつに吸収された(incorporate)後、タイマーで待ち時間5分
を設定する。
【0122】
捕捉時間を測定する。
5分後、新しい用量が入り、捕捉時間を記録する。
これを二回繰り返す。4回分の捕捉時間が得られるように、全部で4つの用量を加える。
【0123】
ろ紙約20g〜30gを秤量する。最後に流体を加えてから5分後、ろ紙を第一のおむつの上に置く。ろ紙の中心は、おむつの中心と一致しなければならず、紙は足の折り返しよりも下である。おもりは15秒間、プレート上に加える(たとえば捕捉時間)。
【0124】
この15秒間の間に、第二のろ紙を第二のおむつの上に置く。15秒間の間、第二のろ紙に関しては待ち、第一のおむつのろ紙を取り除き、秤量する。
再湿潤は、第三のおむつに関して繰り返す。おむつを二つ一組で測定する。
【0125】
再湿潤(R)は、測定後のろ紙の重量(NW)−ろ紙の初期重量(VW)として計算する:R=NW−VW。
装置
製品の重量は、+/−0.1gで秤量し、ろ紙の重量(再湿潤)は+/−0.01gで秤量する。
【0126】
結果
不織層とSAP粒子最大400g/m2から構成される一体吸収性コアを含む吸収性構造体。
【0127】
【表8】
【0128】
ADLと、不織布とSAP粒子最大400g/m2から構成される吸収性コアとを含む吸収性構造体
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】
この表から、同様の流体能力(fluid capacity)に関しては、C折り畳み(fold)C-ラップ
システムのついたサンプル9(接着剤Bostik及びFuller)は、最も軽いおむつであり、心地良いおむつに適応したものになる。
【0132】
【表11】
【0133】
Dry Maxおむつは、正面と背面領域が薄く、その厚さは均一ではなく、中央部分は特に
厚いが、サンプル9はおむつの全長にわたって薄いままである。
【0134】
【表12】
【0135】
Dry Maxおむつは、流入時間(inlet time)が一番早い。しかしサンプル9と7の材料は
、Liberoサンプルと同様であるか、またはそれよりも良い満足のゆく流入時間を示す。本発明のサンプルから、サンプル9の接着剤Fuller C-ラップは、特に三回目の流入後に、流入時間が良好である。
【0136】
【表13】
【0137】
【表14】
【0138】
Kanga試験の後の液体の「拡散」は全て殆ど同一である。
【0139】
【表15】
【0140】
Dry Max No.5は、優れた拡散である。サンプル9タイプのおむつも、Dry Max製品と比
較して良好な拡散を示す。
【0141】
【表16】
【0142】
吸収した体液量はDry Maxが最高である。サンプル9の接着剤Bostik C-ラップ、サンプル9の接着剤Fullerエンベロープラップ及びサンプル7の接着剤Fullerの成績はLibero No.5よりも良い。
【0143】
【表17】
【0144】
サンプルで試験した、漏れるまでの時間は、特にDry Max及びサンプル9の接着剤Fullerエンベロープラップ及びサンプル7の接着剤Fullerに関しては優秀である。
これらの試験から、サンプル9の接着剤Fuller C-ラップ及びサンプル9の接着剤Fullerエンベロープラップは、全体として優れた結果を示す。
【0145】
【化1】
【0146】
1.超吸収性粒子が浸透するのに適した空隙容積をもつ少なくとも一つの不織繊維質支持体(23)層を含む、吸収性コア(5)及びまたは捕捉(2)及び分散(3)層を含む一体吸収性構造体であって、前記超吸収性粒子は、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(2)及び分散(3)層の深さ方向又はz-方向に沿ったサイズ分布勾配に従って支持体層(23)内に分散されており、より小さな粒子は吸収性物品の身体側に配置され、且つより大きな粒子は吸収性物品の反対側に配置されることを特徴とする、前記構造体。
2.前記超吸収性粒子が浸透した前記支持体層は、前記吸収性コア(5)及び/または捕捉(2)及び分散(3)層の一部である、項1に記載の吸収性構造体。
3.前記吸収性構造体は毛羽がないことを特徴とする、項1または2に記載の吸収性構造体。
4.超吸収性粒子サイズ分散は、約45〜約850μm、好ましくは約100〜800μmである、項2に記載の吸収性構造体。
5.前記支持体層(23)は、空隙容積約0.1〜20000cm3/支持体(23)表面m2、好ましくは空隙容積約10〜6000cm3/支持体(23)表面m2をもつことを特徴とする、項1〜4のいずれかに記載の吸収性構造体。
6.前記支持体層(23)が多層支持体(23)であることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の吸収性構造体。
7.前記支持体層(23)が捕捉(14)及び分散(16)層を含むことを特徴とする、項6に記載の吸収性構造体。
8.前記支持体層(23)は頂部捕捉(14)及び分散(16)層と中間層を含む三重層であり、前記中間層は、支持体(23)m2当たり約10〜約600cm3の空隙容積をもち、且つ底部層は、支持体(23)m2当たり約10〜約600cm3の空隙容積をもつことを特徴とする、項6または7に記載の吸収性構造体。
9.前記不織繊維が、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、coPP、PET/PE、PET/PP、PET/cop、PP/PE、PLA、PLA/PP、PVA、ビスコース、綿、ウール、PET/coPET、アセテート、PTE、PVC、竹、PBT、PA、アクリル、モダクリル再生繊維の群から選択されることを特徴とする、項1〜8のいずれかに記載の吸収性構造体。
10.前記超吸収性粒子がポリアクリレートポリマーであることを特徴とする、項1〜9のいずれかに記載の吸収性構造体。
11.前記超吸収性粒子が、前記吸収性構造体の長手寸法又はx-方向に沿ったプロフィールに応じて付着されることを特徴とする、項1〜10のいずれかに記載の吸収性構造体。
12.前記超吸収性粒子が、前記吸収性構造体の横方向またはy-方向に沿ったプロフィールに応じて付着されることを特徴とする、項1〜11のいずれかに記載の吸収性構造体。
13.前記超吸収性粒子が、互いに隔てられた支持体(23)上の別々のゾーンに分散され、これによって前記吸収性構造体のx-方向及び/またはy-方向に沿って流体が流れやすく且つ吸い上げやすくする、項1〜12のいずれかに記載の吸収性構造体。
14.繊維支持体(7)を巻き戻す;
前記支持体(7)を超吸収性ポリマー粒子で少なくとも部分的に覆う;
振動を適用することにより、及び真空テーブルで真空(8')を適用することにより、繊維支持体(7)にSAP粒子(21)を分散させる;
コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11);
コア被覆層材料(22)の内面及び/または支持体(7)表面に接着剤を適用する;
コア被覆層材料(22)で前記支持体(7)を覆う;
圧力により確実に接着させる;
各段階を含む、項1〜13に定義された吸収性構造体を製造するための方法。
15.前記繊維支持体にSAP粒子(21)を分散させる段階は、さらにスプレーガンまたは重力から選択される手段により分散させる、項14に記載の方法。
16.前記支持体(7)が、個別のコアを得るために超吸収性粒子を本質的に含まない場所で層を切断する段階を含む、項14または15に記載の方法。
17.支持体(7)表面を超吸収性粒子で覆う段階は、粉末散布、真空技術(8')を使用するドラム形成、重力供給方式(8)または高圧スプレーガン(8)により実施することを特徴とする、項14または16に記載の方法。
18.前記装置が、ADL及び/またはコア生産ラインのライン若しくはオフラインか、またはおむつ若しくは女性用ケア製品の製造ラインのライン若しくはオフラインにあることを特徴とする、項14または17の方法を実施するのに適した装置。
19.項1〜12に定義されるような吸収性構造体を含む吸収性物品。
20.(a)液体透過性トップシート;
(b)液体非透過性バックシート;
(c)(a)と(b)との間に配置される吸収性構造体を含む、項19に記載の吸収性物品。
21.前記吸収性構造体の頂部に配置された追加の捕捉(2)及び分散(3)層を含む、項20に記載の吸収性物品。
22.前記吸収性構造体の真下に配置された追加の吸収性コアを含む、項21に記載の吸収性物品。
23.項1に定義されたように少なくとも二つの吸収性構造体を含む、項19に記載の吸収性物品。
24.前記吸収性物品が身体の形状に合っていることを特徴とする、項19〜23に記載の吸収性物品。
25.前記物品が、おむつ、軽度/重度尿漏れ防止パッド、女性用ケア生理用ナプキン及びパンティーライナーまたは創傷包帯からなる群から選択される、項19〜24に記載の吸収性物品。
26.前記吸収性物品が、超吸収性粒子約0.1〜約1000g/m3、好ましくは約100〜約500g/m3を含むことを特徴とする、項25に従ったおむつまたは軽度及び/または重度尿漏れ防止パッド。
27.前記吸収性物品が、超吸収性粒子約約0.1〜約1000g/m3、好ましくは超吸収性粒子約10〜約200g/m3を含むことを特徴とする、項25に従った女性用ケア生理用ナプキンまたはパンティーライナー。
28.前記吸収性物品が、超吸収性粒子約0.1〜約1000g/m3、好ましくは約100〜約700g/m3、好ましくは約200〜約400g/m3を含むことを特徴とする、項25に従った創傷包帯。
本明細書の開示は以下の発明の態様を包含する:
態様1
人体からの流体を吸収するための吸収性物品であって、永久的な液体保持能力をもつ吸収性コア(5)と、一時的な液体保持能力を持つ捕捉層(14)及び分散層(16)とを有する一体吸収性構造体を含み、不織繊維質支持体(23)であって、該不織繊維質支持体(23)内に分散される超吸収性粒子(21)により浸透されるのに適した空隙容積をもつ不織繊維質支持体(23)を更に含み、該超吸収性粒子(21)が、それら粒子のサイズ分布勾配に従って、該吸収性コア(5)又は捕捉層(14)及び分散層(16)の深さ方向又はz−方向に沿って、該不織繊維質支持体(23)内に分散されている吸収性物品であり、該不織繊維質支持体(23)の繊維が約40〜約60mmの長さに切断されており、そして、より小さな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の身体側に配置され、より大きな該超吸収性粒子(21)が該吸収性物品の反対側に配置されることを特徴とする吸収性物品。
態様2
態様1に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)が、頂部層、無孔質中間層、及び底部層を含む吸収性物品。
態様3
態様1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が、45〜850μmの粒子サイズ分布を示す吸収性物品。
態様4
態様1に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体が4重量%未満の毛羽しか含まない吸収性物品。
態様5
態様1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)により浸透された該不織繊維質支持体(23)が、該吸収性コア(5)または該捕捉層(14)及び分散層(16)の部分である吸収性物品。
態様6
態様1に記載の吸収性物品であって、該吸収性構造体が毛羽を含まない吸収性物品。
態様7
態様1に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)が0.1〜20000cm/m支持体表面の空隙容積を有する吸収性物品。
態様8
態様1又は2に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)が 捕捉層(14)及び分散層(16)の頂部層;
10〜600cm/m支持体の空隙容積を有する中間層;及び
10〜600cm/m支持体の空隙容積を有する底部層
を含む三層支持体である吸収性物品。
態様9
態様2又は8に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)の該底部層がマルチローバルの繊維を含む吸収性物品。
態様10
態様2又は8に記載の吸収性物品であって、該不織繊維質支持体(23)の該底部層が疎水性支持体である吸収性物品。
態様11
態様1に記載の吸収性物品であって、該超吸収性粒子(21)が、互いに隔てられた該不織繊維質支持体(23)上の離れた別々のゾーンに分散されており、これによって該吸収性構造体のx−方向及び/またはy−方向に沿って液体が流れやすく且つ吸い上げられやすくなる吸収性物品。
態様12
態様1に記載の吸収性物品であって、更に
(a)液体透過性トップシート;
(b)液体非透過性バックシート;
を含み、該吸収性構造体が(a)と(b)との間に配置される吸収性物品。
態様13
態様1に記載の吸収性物品であって、該吸収性物品が身体の形状に合っている吸収性物品。
態様14
態様1〜13のいずれかに記載の吸収性物品であって、該吸収性物品が、おむつ、軽度又は重度尿漏れ防止パッド、女性用ケア生理用ナプキン、パンティーライナー及び創傷包帯からなる群から選択される吸収性物品。
態様15
態様1〜14のいずれかに記載の吸収性構造体の製造方法であって、
不織繊維質支持体(23)を巻き戻す;
該不織繊維質支持体(23)を該超吸収性粒子(21)で覆う;
真空テーブルの手段により振動及び真空(8’)を適用することにより、該不織繊維質支持体(23)中に該超吸収性粒子(21)を分散させる;
コア被覆層材料(22)を巻き戻す(11);
該コア被覆層材料(22)の内面及び/または該不織繊維質支持体(23)の表面に接着剤を塗布する;
該コア被覆層材料(22)で該不織繊維質支持体(23)を覆う;及び
圧力により該接着を確実にする;
段階を含む方法。
態様16
態様15に記載の方法であって、該超吸収性粒子(21)が、該不織繊維質支持体(23)中にさらにスプレーガンまたは重力の手段により分散される方法。
態様17
態様15又は16に記載の方法であって、個々のコアを得るために、該不織繊維質支持体(23)が該超吸収性粒子(21)を本質的に含まない箇所で切断される段階をさらに含む方法。
態様18
態様15又は16に記載の方法であって、該不織繊維質支持体(23)の表面を超吸収性粒子(21)で覆う段階が、粉末散布、真空技術(8’)を使用するドラム形成、重力供給方式(8)または高圧スプレーガン(8)により行われる方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図26