特許第6490791号(P6490791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490791膣内の月経液を維持するための物品及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490791
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】膣内の月経液を維持するための物品及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/455 20060101AFI20190318BHJP
   A61F 5/44 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A61F5/455
   A61F5/44 Z
【請求項の数】11
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-505181(P2017-505181)
(86)(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公表番号】特表2017-522974(P2017-522974A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2014049045
(87)【国際公開番号】WO2016018338
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2017年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】515233487
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】モスキーロッシュ・エイチ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スタージョン・ジェニファー・エル
(72)【発明者】
【氏名】ホウ・マリ
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−523629(JP,A)
【文献】 特表2004−510843(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/003957(WO,A1)
【文献】 特開平11−217756(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/110878(WO,A1)
【文献】 特表平10−507200(JP,A)
【文献】 特表2013−527860(JP,A)
【文献】 特表2015−526138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/451
A61F 5/44
A61F 13/15
A61F 13/20
A61F 13/472
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣内の月経液を維持するための物品であって、
身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、
前記物品を身体に選択的に付着させるために、前記可撓性基材の前記身体対向面に適用される接着剤と、を含み、
前記可撓性基材は膣開口部を覆い、それによって前記膣内の前記月経液を維持するように構成され配置されており、
前記接着剤を皮膚から取り外すのに必要な剪断力は、前記可撓性基材を変形させるのに必要な力よりも大きい、物品。
【請求項2】
前記可撓性基材は、少なくとも片側の小陰唇から反対側の小陰唇まで延びるように構成され配置されている、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記物品は、0.3g未満の全液体容量を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記物品は、0.1g未満の全液体容量を有する、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記物品は、約0.1mm〜約5mmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記物品は、長手方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約150mmの長さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記物品は、横方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約100mmの幅を有する、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記物品は、約400mm〜約15000mmの範囲の全表面積を有する、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
37℃及び100ラジアン/秒で測定される動的貯蔵剪断弾性率(G’)をG’[100ラジアン/秒(37℃)]とし、37℃及び0.1ラジアン/秒で測定される動的貯蔵剪断弾性率(G’)をG’[0.1ラジアン/秒(37℃)]とし、ガラス転移温度をTgとした場合、
前記接着剤は、以下の特性、
G’[100ラジアン/秒(37℃)]/G’[0.1ラジアン/秒(37℃)]≧4.5、及び
−20℃≦Tg(℃)≦15℃、を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記接着剤は、約100〜約700N/mの剥離力を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記物品は、500秒を超える液体浸透時間(FPT)を有する、請求項1に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膣内の月経液を維持し、それによって月経液が身体から漏れ出ることを防ぐように構成され配置されている生理用保護物品に関する。本発明はまた、かかる物品を使用することによって、膣内の月経液を選択的に維持する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、生理用ナプキン及びライナーなどのような、身体外で装着する様々な生理用吸収性物品が当該技術分野において既知である。かかる物品は、典型的には、液体透過性カバー層、液体不透過性バリア層、及びカバー層とバリア層との間に配置される吸収性コアを備えている。これらの物品の主要な動作形態は、月経液が身体から漏れ出た後に、その月経液を吸収するというものである。
【0003】
例えば、身体に取り付け可能な生理用ナプキンのような、身体に取り付け可能な生理用吸収性物品も既知である。これらの物品は、従来の生理用ナプキンと同じように構成されているが、更に、物品を身体に選択的に取り付けることができるようにする、物品の身体対向面上に配置される接着剤を含む。これらの身体に取り付け可能な物品は、膣開口部と近接して載置されるが、主要な動作形態は従来のナプキンと同じである、すなわち、該物品は、月経液が膣開口部から漏れ出るときに月経液を吸収する。
【0004】
他の既知の生理用吸収性物品は、部分的に膣内に配置されるか(例えば、特定の陰唇間物品)、完全に膣内に配置される(例えば、タンポン)ようになっている。これらの装置は膣内に挿入されるように適合されているが、これらの基本的な動作形態はナプキンと同じである。つまりは、物品は、月経液を吸収するように適合されている。
【0005】
上述の全ての物品の問題点は、物品の有効性が、物品の液体処理能力によって制限されることである。適切な保護性をもたらすためには、物品の吸収力が液体の漏出を防ぐのに十分でなければならない。しかしながら、かかる吸収力を有する製品は、大きいか、嵩張るか、若しくは使い心地が悪い傾向がある。また、吸収性のあるかかる製品は、例えば、経血の流出が特に多いなどの特定条件下においては、漏出及び破損することがある。
【0006】
吸収型の女性用物品に関する別の問題点は、水と身体的接触を必要とする活動中(水泳など)のそれらの使用に関する。このような場合、外部の液体(例えば、水)は、任意の膣液に加えて吸収性物品に吸収されるため、かかる吸収性物品に対する使用者の不快感が増加する。
【0007】
既知の陰唇間装置(特許文献1)は、いくつかの吸収性要素を有し、使用中に少なくとも一部、女性の装着者の陰唇空間内に存在する。この陰唇間装置は、中央吸収性部分と、中央吸収性部分に接合された一対の柔軟性延長部とを備えている。陰唇の自然に湿っている表面は、柔軟性延長部を備えた材料に接着する傾向を有し、柔軟性延長部を陰唇の内側表面と接触させたままにする傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2001−523629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このことから、本発明の1つの態様は、上述の従来技術の欠点を克服する物品を提供するものである。更には、本発明の1つの態様は、上述の物品と異なる主要な動作形態を有する物品を提供するものである。具体的には、本発明による物品は、以下でより詳しく記載されるように、月経液を吸収するのではなく、膣内の月経液を維持し、それによって月経液が身体から漏れ出ることを防ぐように機能する。本発明の別の態様は、小型であって、使用中に使用者によって気付かれない又は実質的に気付かれないように寸法決めされている非吸収性又は実質的に非吸収性の物品を提供するものである。本発明の更なる態様は、運動中あるいはその他の活発な活動中に物品を適用した後に、月経液又は滲出液の漏出がなく、使用者の信頼性を増加させる物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記を鑑みれば、本発明は、本発明の第1の態様によると、膣内の月経液を維持するための物品を提供し、この物品は、身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、物品を身体に選択的に付着させるために、基材の身体対向面に適用される接着剤と、を含み、ここで、基材は、膣開口部を覆い、それによって膣内の月経液を維持するように構成され配置されている。
尚、本発明において、接着剤を皮膚から取り外すのに必要な剪断力は、基材を変形させるのに必要な力よりも大きい。これにより、物品は、使用中に所定位置にしっかりと留まるのと同時に、基材が身体と共に移動するのが可能となる。
【0011】
本発明は、本発明の第2の態様によると、ヒト身体内の月経液を維持する方法を提供し、この方法は、物品が膣開口部にわたって広がるように、物品を身体に適用する工程を含み、ここで、物品は、身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、身体に物品を選択的に付着させるために、基材の身体対向面に適用される接着剤と、を含み、基材は、膣開口部を覆い、それによって膣内の月経液を維持するように構成され配置される。
【0012】
特定の実施形態では、本発明は、
身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、
非感圧性接着性物質、粘膜接着剤若しくは生体接着剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される接着剤と、を含む、膣内の月経液を維持するための物品に関し、ここで、接着剤は、物品を身体に選択的に付着させるために基材の身体対向面に適用され、
物品は、陰唇の内側であるが膣の外側の領域内に適合して膣口を直接覆い、それによって膣内の月経液を維持するように寸法決めされ、構成され、かつ配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1】本発明による物品の斜視図である。
図2図1に示される物品の部分分解斜視図である。
図3】物品が使用者身体の皮膚に適用される様子を示した概略図であり、物品は、少なくとも片側の大陰唇Lの小陰唇lから反対側の大陰唇Lの小陰唇lまで延びる。
図4】物品が使用者身体の皮膚に適用される様子を示した概略図であり、物品は、少なくとも片側の大陰唇Lの小陰唇lから反対側の大陰唇Lの小陰唇lまで延びる。
図5】物品が膣内で月経液を維持する様子を示した、身体の概略断面図である。
図6】物品が使用者の陰唇内粘膜領域に適用される様子を示した概略図である。
図7】物品が、膣口を覆って膣内の月経液を保持するために、陰唇内粘膜領域中/上に配置される様子を示した、身体の概略断面図である。
図7a】物品が、膣口を覆って膣内の月経液を保持するために、陰唇内粘膜領域中/上に配置される様子を示した、身体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、膣内の月経液を選択的に維持するように適合された実質的に非吸収性物品に関する。以下でより詳しく記載されるように、本発明による物品は、月経期間中、物品が膣開口部にわたって広がるように身体に適用されることを意図されている。1つの実施形態では、物品は、使用者の皮膚に接触、取り付け又は付着するように設計又は適合された陰唇接着パッチ12であり、膣内の月経液を維持するように機能する。本発明の1つの実施形態では、物品は、少なくとも片側の小陰唇から反対側の小陰唇まで延び、閉鎖構造で小陰唇を維持し、それによって膣内の月経液を維持するように構成され配置されている。本発明の別の実施形態では、物品は、陰唇の内側であるが膣の外側の領域内に適合して膣口を直接覆い、それによって膣内の月経液を維持するように構成され、寸法決めされ、配置される陰唇内パッチ30である(図7及び7aに示される通りであり;この領域は、以下、「陰唇内粘膜領域」と呼ぶ)。使用者が月経液を放出したいと望むとき、物品は身体から簡単に取り外され、月経液は放出される。その後、使用者は、新しく、清潔な物品を適用し得る。
【0015】
特定の実施形態では、本発明による物品は、「非吸収性」又は「実質的に非吸収性」である。本明細書で使用されるとき、「実質的に非吸収性」とは、以下に記載される吸収容量を測定する手順を使用して測定されるとき、物品が、約0.3g未満、より好ましくは約0.1g未満、より好ましくは約0.05g未満の全吸収容量を有することを意味する。
【0016】
特定の実施形態では、本発明の物品は、以下で記載される液体浸透時間(Fluid Penetration Time)(FPT)を測定する手順を使用して測定される際に、500秒超、任意に600秒、又は任意に700秒の液体浸透時間を有する。
【0017】
本発明による物品は吸収によって機能せず[(以下に記載される試験方法によって)本発明の物品の吸収容量が低い及び/又は液体浸透時間(FPT)が高いことが示されているように]、身体内の月経液を維持することで機能するため、生理用ナプキン、ライナー、タンポンなどの従来技術の欠点が回避され得る。
【0018】
本発明の1つの実施形態による物品10を示す図1及び図2を参照する。物品10は、長手方向に延びる中心線11及び横方向に延びる中心線13を含む。図1及び図2で示される本発明の特定の実施形態では、物品10は、概して、可撓性基材材料14から形成される陰唇接着パッチ12を含む。基材材料14は、身体対向面16及び反対の衣類対向面18を備える。基材材料14の身体対向面16には、使用者が陰唇接着パッチ12を身体に、痛みのない方法で、選択的に適用及び取り外しができるように適合された接着剤20が設けられている。接着剤20は、好ましくは、身体対向面16の約5%〜約100%の表面積にわたって広がっている。
【0019】
特定の実施形態では、本発明による物品10は、陰唇接着パッチ12(すなわち、膣領域の皮膚に適用するため)の形態又は陰唇内パッチ30(すなわち、膣口を直接覆う陰唇内粘膜領域に適用するため)の形態であってよく、Ames Micrometer(B.C.Ames Inc.(Waltman,Mass.)、ADP 1132モデル、175g/2.86cm(1+1/8インチ)=2.65kPa(0.384psi))を使用して測定される際、好ましくは、約0.01mm〜約5.0mm、任意に約0.5mm〜約1mm、又は任意で約0.3〜約0.9の厚さ(剥離紙を含まず)を有する。厚さを決定するために、厚さの測定は、膣口にわたって物品10が配置される部分(又は領域)にわたって行われる。
【0020】
特定の実施形態では、物品10は、少なくとも2g/mの秤量、任意に約5g/m〜約150g/mの秤量を有し得る。図1で示される実施形態による物品10は、実質的に長方形であるが、例えば、正方形、円形、長円形又は楕円形などの他の形状も可能である。他のより装飾的な形状(蝶の形状など)も使用され得る。更には、図面においては対称構造の物品が示されているが、他の非対称形状も可能である。
【0021】
好ましくは、物品10は、長手方向に延びる中心線11に沿って測定される際、約20mm〜約150mmの範囲の長さを有する。好ましくは、物品10は、横方向に延びる中心線13に沿って測定される際、約20mm〜約100mmの範囲の幅を有する。物品10は、好ましくは、約400mm〜約15000mmの範囲の総表面積を有する。図中、物品10は、横方向に延びる寸法よりも長手方向に延びる寸法が大きく、すなわち、幅よりも長さが大きく示されている。しかしながら、物品の長さよりも幅が大きい特定の構造も可能である。
【0022】
図2に示されるように、物品10には、任意に、使用前に接着剤20を覆い、保護するように適合された取り外し可能な剥離ライナー22が設けられ得る。剥離ライナーは、紙、フィルム、不織布、及び当業者に既知の他の好適な材料から構成され得る。剥離ライナー22には、剥離紙22が接着剤20に付着するのを防ぐために、非粘着性コーティングが提供され得る。非粘着性コーティングは、一般的には「シリコーン」と呼ばれるポリジメチルシロキサン化学物質に基づく材料であり得る。非粘着性コーティングは、フルオロポリマー、アルキド、カルバメート、ウレタン、クロム錯体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、又はオレフィンなどの他の非シリコーン化学物質に基づく材料であってもよい。特定の実施形態では、接着剤20に接触する剥離ライナー22の表面積を減少させるために、剥離ライナー22の表面のトポグラフィーを変化させる剥離ライナー材料を選択することで、剥離紙22の接着剤20への接着が減少又は阻止される。
【0023】
図面に示されていないが、積層化した物品構造も可能である。パッケージ化するための特定の実施形態では、複数の物品10は、重ねて積層化した構造で配置され得る。このような積層化構造では、最下部の物品には剥離ライナーが必要となる。他の実施形態では、10個以下、任意に5個以下、任意に3個以下の物品を含む複数の物品10は、重ねて積層化した構造で配置されることが可能であり、使用者は、下にある物品が汚れた場合に、清潔な物品10を直ちに得ることができる。このような積層化構造では、最下部の物品の身体対向側面(すなわち、使用者に付着する側面)のみに剥離ライナーが必要となる。剥離ライナーが除去されると、積層化した複数の物品の身体対向側面が使用者に付着する。積層化した複数の物品の最下部の物品が汚れたら、積層化した複数の物品は使用者から取り外され、積層化した複数の物品の汚れた最下部の物品が取り外されて、清潔な最下部の物品10の身体対向側面が露出する。積層化した複数の物品の清潔な最下部の物品10の身体対向側面は、使用者に再び付着する。
【0024】
物品10が使用される様子を示す図3〜5を参照する。はじめに、使用者は、基材材料14から剥離紙22を除去して接着剤20を露出させる。
【0025】
その後、図3に示される通り、物品10は、基材材料14が膣開口部を覆い、それによって膣内の月経液を維持するように機能するように、膣開口部「O」にわたって配置される。図に示される1つの好ましい実施形態では、基材14は、少なくとも片側の大陰唇Lの小陰唇lの外側から反対側の大陰唇Lの小陰唇lの外側まで延びる。好ましくは、物品10は、長手方向に延びる中心線11及び横方向に延びる中心線13の交点が、実質的に膣開口部「O」上の中央となるように配置される。特定の実施形態では、使用者は、伸長力を使用して小陰唇l及び小陰唇lにかけて、非伸長配置から伸長配置まで物品を伸長し、かかる伸長配置において物品が陰唇に付着する際に、伸長力が放出されることで付着した物品が非伸長配置まで戻り、それによって小陰唇l及び小陰唇lが共に引締され得る。使用者が適切な位置に物品10を配置した後、使用者は、物品10の衣類対向面18に身体に向かってにわずかな圧力をかけることで、物品10が身体に付着する。図5に示されるように、物品10は、膣「V」内に排泄されたあらゆる月経液「F」を維持するように機能し、液体が身体から漏れ出ることを防ぐ。
【0026】
使用者が月経液「F」を放出することを望む場合、使用者は、身体から物品10を簡単に取り外し、月経液「F」を自然に放出することができる。その後、使用者は、上述されるものと同じ方法で、新しく、清潔な物品10を身体に適用し得る。更には、使用者は、使用者の月経期間中の各日において、1日につき、少なくとも1つの物品10を身体に適用し得る。この方法では、物品10は、有効な生理用保護物品として用いられ得る。
【0027】
可撓性基材材料
可撓性基材材料14は、好ましくは、液体不透過性であり、実質的には非吸収性であり、可撓性である、弾性材料から形成される。かかる材料は、物品10の使用中、身体内の月経液を維持するように機能し、液体不透過性であり、非吸収性であるという特性のため、月経液が基材を通過することを防ぐように機能する。更には、基材材料14を形成する材料は弾性があるため、基材材料14は、使用中に身体とともに自由に動くことができ、身体が動いている(咳、くしゃみなどによるバルサルバ運動を含む)間に必要なだけ弾性変形し、最初の形状に回復する。基材材料14として使用するのに特に好適な材料は、液体不透過性であり、実質的には非吸収性であり、可撓性である、弾性ポリマーフィルム材料を含み、Tredegar Film Products(Lake Zurich,IL)から各種市販されている。可撓性基材材料14は、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体などの不透過性発泡体から形成されてもよく、それぞれの場合において、任意の追加バリア層を有するか、又は有さない。実質的に非吸収性であり、不透過性であるヒドロコロイド材料も用いられ得る。基材材料14として相変化材料を用いることも可能である。例えば、装着中に基材材料14が身体にぴったり一致するのを可能にする温度応答性材料が用いられ得る。他の身体順応性材料も用いられ得る。
【0028】
本発明の物品の可撓性は、Gurley法(TAPPI T543 om−94)を使用して判定される。Gurley硬さ値が低ければ低いほど、物品の可撓性は高くなる。特定の実施形態では、物品10は、上述のGurley法を使用して、約300mg(任意に約200mg、任意に約100mg、任意に約50mg、又は任意に約10mg、又は任意に5mg)〜約2mg(任意に約1mg、又は任意に約0.5mg)のGurley硬さを有する。特定の実施形態では、本発明の物品のGurley硬さは、上述のGurley法を使用して、2mg〜5mgである。Gurley法は、使用者に装着されている(すなわち、剥離ライナー又は他のいかなる構造補助具をも有さない)状態(又は条件)の物品において実行される。また、接着面は、タルカムパウダー又は同様の材料(コーンスターチなど)を軽くコーティングすることで分離させるべきである。
【0029】
使用者によっては、装着中に製品が身体の動きに合わせて簡単に伸長し、使用者が不快な引っ張られる感覚を感じないように、低い加力で伸長及び回復することができる物品が望ましいことがある。簡単に物品を伸長できるのは、物品の引張り伸長性によるものである。物品の引張り伸長性は、以下に記載される引張り伸長性の測定手順を使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の物品は、約30〜約150N/メートルの加力で20%伸長まで伸長する引張り伸長性を有する。他の使用者は、物品が、閉鎖配置で陰唇をより強固に維持できるように、伸長性が低い物品を好む場合がある。したがって、他の実施形態では、本発明の物品は、約150〜約5000N/メートルの加力で20%伸長まで伸長する引張り伸長性を有する。
【0030】
上述の種類の可撓性基材材料14を用いることで、製品を通常通り使用する間に物品が受けるであろうと予測される種類の負荷がかかる場合、物品10は、横方向及び長手方向の両方に少なくとも35%延伸することができる。更には、負荷が取り除かれた場合、かかる変形から、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは98%回復する。上述の物品10の変形及び回復特性によって、物品10は、身体とともに動き、それと同時に、変形を引き起こす力が取り除かれた後に最初の形状に回復することができる。
【0031】
特定の実施形態では、基材材料14は、1つ又は2つ以上の通気性材料の層を含む。本明細書で使用されるとき、用語「通気性」とは、1日当たりの平方メートル当たりの水のグラム(g/m/24時間)で測定される、布地面積の水蒸気透過速度(WVTR)を指す。1つの態様では、材料の層のWVTRは、使用者の皮膚又は粘膜領域に適用される際に、材料がいかに快適であるかの指針を与えるものである。WVTRは、以下で示されるように測定され得る。特定の実施形態では、基材材料14のWVTRは、500g/m/日を超え、より望ましくは、基材材料14のWVTRは、約1000g/m/日を超え、最も望ましくは、基材材料14のWVTRは、約3500g/m/日を超える。通気性材料は、当該技術分野で既知の様々な方法のいずれかによって形成され得る。
【0032】
特定の実施形態では、基材材料14は、少なくとも約50ミリバールの防水性を有する1つ又は2つ以上の液体バリア層を含み、任意に、この液体バリア層は、約80ミリバールを超える防水性値、及び任意に約150ミリバールを超える防水性値を有する。
【0033】
特定の実施形態では、少なくとも1つの通気性材料の層は、熱可塑性ポリマー及び充填剤を含む、伸長した充填フィルムを含む。これらの(及び他の)成分が一緒に混合、加熱され、その後、単層又は多層フィルムに押出加工され得る。充填フィルムは、例えば、流延フィルム装置又は吹込みフィルム装置のいずれかを使用するなどの当該技術分野で既知の様々なフィルム形成プロセスのいずれか一つによって作製され得る。特定の実施形態では、例えば、共押出加工などによって、2層又はそれ以上の物品10が同時に作製される。一例としては、多層フィルムの形成方法は、米国特許第4,522,203号、米国特許第4,734,324号及び本願と同一譲受人に譲渡された米国特許出願第08/724,435号(McCormackら)及び米国特許出願第08/929,562号(Haffnerら)に開示されており、これらの特許文書の各々は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0034】
例示的な伸長した充填フィルムは、伸長した微細孔が充填されたフィルムを含む。かかるフィルムは、典型的には粒子又は他の物質で充填され、その後、破砕されるか又は伸長されてフィルム全体に微細孔ネットワークが形成される。微細孔ネットワークは、ガス及び水蒸気をフィルムに通過させつつ、液体及び特定の物質に対するバリアとして機能することができる。フィルム内の充填剤の量及び伸長の度合いは、布地に望ましいレベルの通気性を与える寸法及び頻度の微細孔のネットワークを作製するように調整される。単なる一例としては、例示的な微細孔フィルムが米国特許第5,855,999号(McCormackら)、米国特許第5,695,868号(McCormack)、米国特許第5,800,758号(Topolkaraevら)、米国特許出願第08/724,435号(McCormackら)、米国特許出願第09/122,326号(Shawverら)、米国特許第4,777,073号(Sheth);及び米国特許第4,867,881号(Kinzer)で開示されており、これらの特許文書の各々は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0035】
本発明の伸長した微細孔が充填されたフィルムの布地に使用するのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、限定はされないが、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのポリオレフィン及びこれらの混合物が挙げられる。この点において、非晶形ポリオレフィン及び/又は「ポリオレフィン系」フィルムも、本発明に使用するのに好適であると考えられる。本発明の目的において、任意の充填材料を除外して、オレフィンポリマーがフィルムのポリマー部分の50重量パーセント超を構成する場合、ポリマーは「ポリオレフィン系」であるとみなされる。単独又は他のポリマーと組み合わせて本発明に使用するのに好適であり得る追加のフィルム形成ポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン酢酸エチル(EEA)、エチレンアクリル酸(EAA)、エチレンアクリル酸メチル(EMA)、エチレンノルマルブチルアクリレート(EnBA)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ナイロン、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリブチレン(PB)、及びポリブチレンテレフタラート(PBT)、セロファン、ポリアクチド(PLA)、及びポリヒドロキシブチレート(PHB)が挙げられる。しかしながら、例えば、エチレン及びプロピレンンのポリマー並びにコポリマー、ターポリマー及びこれらの混合物(例えば、限定はされないが、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)及びエチレン−プロピレンコポリマー混合物が挙げられる)などのポリオレフィンポリマーが好ましい。
【0036】
上述で示されるように、通気性のある伸長された充填フィルムは、伸長の際、フィルムに微細孔を与える充填剤を含み得る。本明細書で使用されるとき、「充填剤」とは、押出加工されるフィルムに化学的に干渉しない又は悪影響を与えない、更にはフィルム全体に実質的に均一に分散され得る、フィルムポリマー押出混合物に加えることができる粒子及び/又は他の形態の材料を意味する。一般的には、充填剤は、約0.1〜約10マイクロメートル、及び望ましくは約0.1〜約4マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する粒子形態である。本明細書で使用されるとき、用語「粒径」とは、充填剤の最大寸法又は長さを示すものである。フィルム形成プロセス、及びそれに続くエンボス又はラミネートプロセスに干渉しない限り、有機充填剤及び無機充填剤の両方が、本発明に使用されると考えられる。充填剤の例としては、限定はされないが、炭酸カルシウム(CaCO)、各種粘土、シリカ(SiO)、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、重炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、ゼオライト、硫酸アルミニウム、セルロース系粉末、珪藻土、石膏、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ポリリン酸、炭酸バリウム、カオリン、マイカ、カーボン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉末、木粉、セルロース誘導体、ポリマー粒子、キチン及びキチン誘導体などが挙げられる。充填剤粒子は、任意に、ステアリン酸又はベヘン酸などの脂肪酸、及び/又は粒子(バルク)の自由流を促進し、それらをポリマー中に容易に分散するための他の材料でコーティングされ得る。微細孔充填フィルムは、望ましくは約20容量%〜約40容量%の充填剤、より望ましくは約30容量%〜約40容量%の充填剤を含む。特定例としては、炭酸カルシウム粒子、又は炭酸カルシウムと同様の密度を有する充填剤を使用する充填フィルムは、望ましくは少なくとも35重量%(充填フィルムの全重量に基づいて)の充填剤、より望ましくは約45重量%〜約70重量%の充填剤を含有する。
【0037】
伸長した充填フィルムは、微細孔のネットワークを作製するために伸長されることでフィルムに通気性が与えられており、典型的には、「応力白化」する地点まで伸長される。したがって、充填剤粒子からポリマーマトリクスを分離することで作製される微細孔のネットワークは白色の不透明なフィルムを形成するため、かかる充填剤は単独で使用することで白色の外観をフィルムに与え得る。任意に、様々な色を有する通気性微細孔フィルムを作製するために、染料及び/又は顔料などの着色剤が充填剤に加えて使用され得る。好適な着色剤には、有機及び/又は無機顔料及び染料の両方が含まれる。特定の実施形態では、着色剤は、約2.0重量%未満(フィルムのポリマー部分に対して)、任意に約0.01重量%〜約0.5重量%(フィルムのポリマー部分に対して)の量で使用される。顔料及び/又は染料は、当該技術分野で既知の手段によってフィルムに加えられ得る。この点において、顔料は、顔料と所望の樹脂とを予備配合して比較的高い割合で顔料を有する樹脂濃縮物を形成した後、加工中に、選択した量の樹脂濃縮物を無着色の樹脂と混合して、所望の顔料レベルを有するマトリクスを形成することによって、必要に応じて添加される。乳白剤の一例である二酸化チタンは、任意に、充填剤に加えて、第1層で使用され得る。特定の実施形態では、乳白剤は、約0重量%〜約10重量%(充填フィルムの全重量に基づいて)の量で存在する。
【0038】
別の実施形態では、上述の物品10の基材材料14は、任意に、追加の層又はシートに積層され得る。特定の実施形態では、可撓性材料14をシート材料に積層するのが望ましく、それによって、積層体は、シート材料の強度及び一体性、並びに上述の基材材料14の特性を利用できる。組み込まれる場合、追加の層又はシートは、任意に、基材材料14の衣類対向面18上にある。特定の実施形態では、シート材料は、不織布ウェブ、発泡体、スクリム、織布又は編布、及びこれらの多層積層体を含み得る。特定の他の実施形態では、シートは、布地の厚さにわたって延びる多くの開口部又は空隙を有する低秤量の不織布を含み得る。一例としては、不織布は、約8g/m〜約50g/mの秤量を有するスパンボンド繊維の不織布ウェブ、任意に約12g/m〜約34g/mの秤量を有するスパンボンド繊維ウェブを含み得る。スパンボンド繊維布及びスパンボンド繊維布を作製する方法は、当該技術分野で既知であり、一例としては、スパンボンド繊維布及びスパンボンド繊維布を作製する方法は、米国特許第4,692,618号(Dorschnerら)、米国特許第4,340,563号(Appelら)、及び米国特許第3,802,817号(Matsukiら)、並びに米国特許第5,382,400号(Pikeら)及び国際公開第98/23804号に記載されており、これらの特許文書の各々は、参照として本明細書に組み込まれる。一般的には、スパンボンド繊維不織布ウェブを作製する方法には、口金を通して溶融熱可塑性ポリマーを押出加工する工程、及び押出加工されたポリマーを繊維まで引き抜く工程、繊維直径を低減する工程、及び無作為に配列された繊維のウェブを回収面上で形成する工程を含む。スパンボンド繊維ウェブは、様々なポリマーから作製されることができ、好ましい実施形態では、スパンボンド繊維は、望ましくはポリオレフィンを含み、更に望ましくはプロピレンポリマーを含む。特定の実施形態では、着色された、染められた、ないしは別の方法で色が付けられた不織布材料が使用される。
【0039】
基材材料14において選択される材料に応じて、基材材料14は、静電手段を使用して使用者の身体に活発に付着することができ、吸引手段又は身体付着接着剤は、基材材料14の身体対向面16に載置されて、物品を使用者の身体に付着させることができる。基材材料14の身体対向面16の一部分が、使用者の身体に対して親和性があって基材材料14を使用者の身体に対して「しっかりと付着させる」材料を含むように、基材材料14を提供するか、又は形成することによって、静電手段が使用され得る。かかる材料の例としては、エチレン酢酸ビニル、低密度ポリエチレン、及び当業者に既知の他の同様の材料が挙げられる。あるいは、静電手段は、「ヤモリの足」材料と呼ばれている、乾燥した、強力な、リバーシブルの、自浄式接着材である、多数の小型のスパイク型の突出部を有する材料によって達成され得る。トッケイヤモリ(Gekko gecko)の足には、基材と緊密に接触してファンデルワールス力の結果である付着をもたらすのに十分に大きな表面積を提供すると思われる、約10億個のスパチュラが含まれている。「ヤモリの足」材料は、2003年12月29日に出願された米国特許第7,811,272号(Lindseyら)で記載される通りであり、この材料の特定の開示が第3段落44行目〜第5段落34行目で見出され、それは参照として本明細書に組み込まれる。吸引手段は、コンタクトレンズを目に適合させるのと同じように、基材材料14の身体対向面16を、使用者の身体とぴったり一致するように形状化することによって達成され得る。一般的には、吸引手段は、基材材料14の身体対向面16を3次元形状に形成することで達成され得る。身体への取り付けを達成する最も簡単な方法は、基材材料14の身体対向面16に身体付着接着剤又は粘膜付着接着剤を載置することである。
【0040】
身体付着接着剤
陰唇接着パッチ12を取り付けるために用いられる接着剤20は、物品を身体にしっかりと付着させるのと同時に、使用者が、痛みのないようなやり方で物品を手で取り外すのを可能にするように適合されている。更には、接着剤20を皮膚から分離するのに必要な剪断力は、基材材料14を変形させるのに必要な力よりも大きいということが重要である。この特性は、以下のように示され得る。
>F>F(式中、
=0°で皮膚から接着剤を分離するのに必要な剪断力
=基材材料を変形させるのに必要な力
=30°における接着剤の剥離力)
【0041】
接着剤20が上述の接着特性を有することを確実にすることで、物品10は、使用中に所定位置にしっかりと留まるのと同時に、基材14が身体と共に移動するのが可能となる。接着剤20は、好ましくは、皮膚、粘膜に固着する能力を有し、好ましくは、湿潤条件において接着特性を保持する。更には、接着剤は、好ましくは、上述の特性を提供するのと同時に、痛みのない方法で、物品を身体から選択的に取り外すことを可能とする。
【0042】
接着剤20は、接着剤が上述のように機能するのであれば、例えば、アクリル接着剤、ヒドロゲル接着剤又はヒドロコロイド接着剤のようないかなる種類であってよい。接着剤20は、合成ホモ−、コ−又はブロック−コポリマー、ポリアクリレート、及びこれらの共重合体、ポリウレタン、シリコーン、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、及び天然若しくは合成樹脂、又はこれらの混合物を含むことができる。接着剤は、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第4,231,369号、同第4,367,732号、同第4,867,748号、及び同第5,714,225号に開示される種類とするのが好適である。
【0043】
本発明の1つの特定の実施形態では、物品20は、以下で更に詳しく説明される特定のレオロジー特性を有する、任意の感圧性接着剤、好ましくはホットメルト接着剤であり得る。接着剤のレオロジー分析は、接着剤の粘弾特性を決定する方法である。接着剤のレオロジー特性を決定するためのレオメーター装置は、当業者に周知である。例えば、Rheometrics Solids Analyzer II(Rheometrics Inc.(Piscataway N.J.)製)が、市販されている好適な装置である。
【0044】
本発明の1つの特定の実施形態では、接着剤20は、好ましくは以下の特性を有する:(i)37℃及び0.1ラジアン/秒で測定される動的貯蔵剪断弾性率(G’)に対する37℃及び100ラジアン/秒で測定される動的貯蔵剪断弾性率(G’)の比率が4.5を超える、及び(ii)−20℃〜15℃のガラス転移温度(Tg)である。
【0045】
上述の特性は、以下の式で表され得る。
G’[100ラジアン/秒(37℃)]/G’[0.1ラジアン/秒(37℃)]≧4.5、及び
−20℃≦Tg(℃)≦15℃。
【0046】
本発明の1つの特定の実施形態では、接着剤20は、好ましくは−20℃〜15℃、より好ましくは−20℃〜0℃、及び最も好ましくは−20℃〜−10℃のTg値を有する。
【0047】
本発明の1つの特定の実施形態では、接着剤20は、好ましくは4.5以上、より好ましくは4.5〜7、及び最も好ましくは4.8〜6のG’[100ラジアン/秒(37℃)]/G’[0.1ラジアン/秒(37℃)]値を有する。
【0048】
特定の実施形態では、身体付着接着剤20は、以下の剥離力を測定する手順で記載されるような剥離試験によって測定される際、約100〜約700N/m、任意に約100〜約300N/mの剥離力を有する。
【0049】
本発明の1つの特定の実施形態では、接着剤20は、好ましくは約50重量%を超える液体可塑剤、より好ましくは約65重量%を超える液体可塑剤、及び最も好ましくは約80重量%を超える液体可塑剤を有する。好適な液体可塑剤としては、白油、鉱油、パラフィンプロセス油、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ナフテン系油、及び液体ポリテルペンが挙げられる。液体可塑剤は、好ましくは1000g/モル未満、より好ましくは750g/モル未満、及び最も好ましくは500g/モル未満の分子量を有する。
【0050】
本発明の1つの特定の実施形態では、接着剤20は、ブロックコポリマーに基づくものであり、好ましくは、式(A−B)(式中、ブロックAはポリビニルアレーンブロックであり、ブロックBはポリ(モノアルケニル)ブロックであり、xはポリマーアームの数を示し、xは1以上の整数である)を有する線形又は放射状コポリマー構造体を含み得るブロックコポリマーに基づく。好適なブロックAポリビニルアレーンとしては、限定されないが、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なブロックBポリ(モノアルケニル)ブロックとしては、限定されないが、例えば、ポリブタジエン又はポリイソプレンなどの共役ジエンエラストマー、又は最も好ましくは、エチレン−ブチレン、若しくはエチレン−プロピレン、又はポリイソブチレンなどの水素化エラストマー、又はこれらの組み合わせが挙げられ、具体的には、接着剤は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー及び鉱油、パラフィン又はナフテンプロセス油、及び任意に好適な粘着付与樹脂からなり、粘着付与樹脂としては、天然及び変性樹脂、天然及び変性樹脂のグリセロール及びペンタエリスリトールエステル、ポリテルペン樹脂、天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、脂肪族石油樹脂及びその水素化誘導体、芳香族石油樹脂及びその水素化誘導体、及び脂肪族/芳香族石油樹脂及びその水素化誘導体、並びにその組み合わせが挙げられる。
【0051】
上述の種類の接着剤は、National Starch and Chemical(Bridgewater,NJ)から市販されている。本発明に特に有用な接着剤の具体例としては、National Starch and Chemical(Bridgewater,NJ)から市販されている、製品コード95−2(34−548B)及び85−2(34−547B)で識別される接着剤が挙げられる。
【0052】
特定の実施形態では、身体付着接着剤は、米国特許第5,618,281号(Betrabetら)で記載されるようなポリシロキサン接着剤であり、本特許は参照として本明細書に組み込まれる。
【0053】
接着剤20は、開パターン又は閉パターンで基材材料14の身体対向面16上に配置され得る。接着剤の「開」パターンの一例は、非連続的に個別の接着剤ビーズが適用されているものである。「閉」パターンとは、接着剤20が、身体対向面16を覆うか、又は実質的に覆うことを意味する。特定の実施形態では、接着剤20は、身体対向面16の表面積の約5%〜約80%である表面積にわたって広がっている。本発明では、閉パターンは、接着剤20が、装着者の身体とシールを形成し、物品10からの漏れを防ぎ得るために有利であり得る。接着剤は、物品10の全周からの漏れを防ぐダムを形成する。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、接着剤20は、基材材料14の身体対向面16の全面に載置され得る。本発明の別の代替的な実施形態では、接着剤20は、基材材料14の中心部分近く又は中心部分上に接着剤がないように、基材材料14の周辺部近くの身体対向面16の外側部分に沿って載置され得る。
【0055】
接着剤20は、身体対向面16に接着剤を含まない領域を多く残すために、小さな個別のドットパターンで適用され得る。あるいは、接着剤は連続的なビーズとして適用され得るか、又は一連の半連続的なビーズとして適用され得る。他の好適な接着剤パターンが、接着剤20を物品10の身体対向面16に適用するために選択され得る。例えば、接着剤パターンは、接着剤繊維間に塞がれていない隙間を有する、長手方向及び/又は横方向に配向し、網目状になった接着ウェブの長円形、渦状、様々な直線形又は非直線形の配列、あるいはこれらの組み合わせであり得る。あるいは、接着剤20は、繰り返しパターン又は非繰り返しパターンとして他の好適なパターンの形態で適用され得る。特定の実施形態では、上述のパターンは、物品10の表面(例えば、身体対向面16)又は物品10の層の間に適用され得る。上述のように、接着剤パターンは、開いていてもよく、又は閉じていてもよい。接着剤の重量は、約800/m未満、及び概ね400g/m未満に制限される。一般的には、接着剤の重量は、少なくとも20g/mである。典型的には、接着剤は、約100〜約400g/mの量で適用される。接着剤の秤量における制限は、装着者の外陰領域、及び任意に装着者の身体の陰部及び会陰領域に直接適用するために正確な接着特性を提供するのに重要である。秤量が大きすぎると、物品はべたついた感触となるか、あるいは別様に不快なものとなる。物品の秤量が小さすぎると、装着者の身体に十分に付着し得ない。
【0056】
概して、接着剤20は、物品10を二分して、物品10を実質的に等しい部分に分割する、長手方向に延びる中心線11に沿って対称に適用される。対称パターンによって、物品10を装着する際に、バランスのとれた感覚を装着者にもたらす。対称パターンによって、物品10が身体から取り外される際に伴うあらゆる不快の知覚も低減する。
【0057】
粘膜付着接着剤
特定の実施形態では、接着剤20は、陰唇内パッチ30(図6、7及び7aに示される)を取り付けるのに用いられる粘膜付着接着剤であり、該接着剤は、陰唇内粘膜領域内の膣口上に(膣口を覆って)陰唇内パッチ30をしっかりと付着させると同時に、使用者が痛みのないやり方で手で物品を取り外すのを可能とするように適合されている。陰唇内パッチ30を陰唇内粘膜領域に取り付ける(又は付着させる)のに好適な接着剤としては、非感圧性接着性物質、粘膜接着剤若しくは生体接着剤、又はこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、非感圧性接着性物質は、適用時には初期粘着性がない物質であり、それによって、非感圧性接着性物質が粘着性を発現させる陰唇間に装置を載置する際に、装着者の身体の誤った部分に貼り付かないようになっている。任意に、非感圧性接着性物質は、比較的少量の水分に接触した際に粘稠性を帯び、粘着性を発現させる水分活性化物質を含む。
【0058】
好適な非感圧性接着性物質としては、ワックス(微結晶ワックス、パラフィン系ワックス、シリコーンワックス、ポリエチレンワックスなど)、脂肪族アルコール、高分子量アルコール、脂肪酸、ワセリン、シーリング軟膏、エトキシル化アルコール、エトキシル化長鎖アルコール、及びエトキシル化脂肪酸などの非イオン性界面活性剤、アルコキシル化アミド、アルコキシル化アミン、アルキルアミドアルキルアミン、アルキル置換型アミノ酸、スクロース脂肪酸エステル及びこれらの混合物が挙げられる(又は、これらからなる群から選択される)。スクロース脂肪酸エステルの一例には、1992年2月4日に発行された米国特許第5,085,884号、1995年6月6日に発行された米国特許第5,422,131号(両方ともYoungら)、及び米国特許第5,422,131号(Elsenら)のもと、Procter & Gamble Company(Cincinnati,Ohio)によって製造されたOLEAN(登録商標)(olestra)があり、これらの各特許は、参照として本明細書に組み込まれる。いかなる特定の理論に束縛されるのを望まないが、かかる材料は、高粘性又は表面張力のために、目的物を所定位置に保持し得ることが理論立てられている。
【0059】
好適な粘膜接着性材料又は生体接着性材料は、強力な水素結合を有する任意の親水性ポリマーを含む。多くの商業用途においては、円滑に溶解及び放出する特性を確実とするために、親水/疎水特性を有するポリマーの混合物である。特定の実施形態では、粘膜接着性材料又は生体接着性材料は、天然、合成又は生体ポリマー、脂質、リン脂質など、及びこれらの混合物からなる群から選択される。天然及び/又は合成ポリマーの例としては、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC−Methocel]など)、天然ゴム(グアーガム、キサンタンガム、ローストビーンガム、カラヤガム、ビーガムなど)、ポリアクリレート(カルボキシビニルポリマー[Carbopol]、ポリカルボフィルなど)、シアノアクリレート、アルギン酸塩、ポリオキシエチレン、全分子量のポリエチレングリコール(PEG)(好ましくは、1000〜40,000Daの重量平均分子量、任意の化学組成の直鎖又は分枝状)、全分子量のデキストラン(好ましくは1000〜40,000Daの重量平均分子量、任意の源)、乳酸及びグリコール酸の組み合わせから調製されるようなブロックコポリマー(様々な粘度、分子量、及び乳酸−グリコール酸比率のPLA、PGA、PLGA)、任意数及び組み合わせの繰り返し単位のポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロックコポリマー(Pluronics、Tektronix、又はGenapolブロックコポリマーなど)、上述のコポリマーの物理的又は化学的に結合した単位の組み合わせ(例えば、PEG−PLA又はPEG−PLGAコポリマー)、及びこれらの混合物が挙げられる(又は、これらからなる群から選択される)。任意に、生体接着性賦形剤は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリアクリル酸ポリマー(Carbopol(Carbopol 71G、934P、971P、974Pなど)及びポリカルボフィル(Noveon AA−1、Noveon CA−1、Noveon CA−2など)、セルロース及びその誘導体からなる群から選択され、最も好ましくは、ポリエチレングリコール、Carbopol、及び/又はセルロース系誘導体又はこれらの混合物である。他の好適な生体接着剤は、米国特許第6,585,997号(Moroら)に見出すことができ、この接着剤の特定の開示が第8段落47行目〜第9段落38行目で見出され、それは参照として本明細書に組み込まれ、上述に加え、米国特許第6,585,997号の残り部分も参照として本明細書に組み込まれる。
【0060】
特定の実施形態では、接着剤20として使用される粘膜接着性材料又は生体接着性材料は、粘膜接着剤組成物又は生体接着剤組成物である。1つの実施形態では、粘膜接着剤組成物又は生体接着剤組成物は、約85%〜95%(任意に約92.5%)のドラム乾燥したワックス状コーンスターチ(DDWM)(例えば、アルファ化澱粉12410(Cerestar)、約4%〜約10%(任意に6.2%)のCarbopol 974P(BF Goodrich)、及び約0.5%〜2%(任意に1.3%)のフマル酸ステアリルナトリウム(Ludeco)を含む組成物である。別の実施形態では、粘膜接着剤組成物又は生体接着剤組成物は、約40%〜約50%(任意に47%)のポリビニルピロリドン(PVP)K 90(ISP Technologies)、約10%〜約20%(任意に16%)のヒドロキシプロピルセルロース(Klucel HK Pharm)、及び約30%〜約40%(任意に37%)プロピレングリコールを含む組成物である。
【0061】
特定の実施形態では、粘膜接着性材料又は生体接着性材料は、シリコーンゲル接着剤である。シリコーンゲル接着剤は、当該技術分野で既知である。国際公開第2008/057155号で詳述されるように、シリコーンゲル接着剤は、粘弾性、ゼリー状の粘性を有する軽架橋シリコーンポリマーである。これらは、典型的には、白金触媒によって触媒される、α−ωビニル末端ポリジメチルシロキサンとSi−H含有シロキサンとの間のヒドロシリル化反応を使用して形成される。これらの配合及び特性の更なる詳述が、例えば、米国特許第4,991,574号及び同第5,145,933号、並びに米国特許出願公開第20070202245号に開示されており、これらの特許文献はそれぞれ参照として本明細書に組み込まれる。
【0062】
特定の実施形態では、シリコーンゲル接着剤は、シリコーンゲル接着剤前駆体として組み込まれる。好適なシリコーンゲル接着剤前駆体は、市販されている。いくつかの製造業者は、白金触媒による2成分付加硬化の化学特性に基づく様々な仕様のこれらの材料を販売している。かかる材料(非硬化)は、典型的には、ASTM D1084Bによって測定して、約200mPa・s〜約6000mPa・sの粘度を有する。本発明の特定の実施形態で有用な好適な市販のシリコーンゲル接着剤前駆体の例としては、Blue Star SiliconesのSilbione(商標)RT Gel 4317、Dow CorningのMG 7−9800 Soft Skin Adhesive(SSA)(ASTM D1084Bによって測定して、A部分とB部分の各々の粘度は400mPa・sである)及びMG 7−9850 Soft Skin Adhesive(SSA)(ASTM D1084Bによって測定して、A部分及びB部分の各々の粘度は、2900mPa・sである)、及びWackerのSilGel(商標)612が挙げられ、これらは全て、白金触媒による2成分100%固体の付加硬化材料である。本発明の別の実施形態では、使用されるシリコーンゲル接着剤前駆体の、ASTM D1084Bによって測定されるA部分及びB部分の各々の粘度(未硬化状態)は、約200mPa・s〜約600mPa・s、又は任意に約300mPa・s〜約500mPa・sである。別の実施形態では、使用されるシリコーンゲル接着剤前駆体の、ASTM D1084Bによって測定されるA部分及びB部分の各々の粘度(未硬化状態)は、約1500mPa・s〜約6000mPa・s、又は任意に約2500mPa・s〜約4000mPa・sである。
【0063】
特定の実施形態では、シリコーンゲル接着剤のコーティング重量は、典型的には、約20g/m〜約150g/m(好ましくは、約40g/m〜約120g/m)である。シリコーンゲル接着剤コーティンは、典型的には、約0.02〜約0.2mm(約0.8〜約6ミル)厚である。コーティング重量が低いと、粘膜に十分な付着特性をもたらし得ない。
【0064】
特定の実施形態では、シリコーンゲル接着剤前駆体の形態のシリコーンゲル接着剤は、上述するように、陰唇接着パッチ12の身体付着接着剤として使用される。
【0065】
特定の実施形態では、身体付着接着剤若しくは粘膜付着接着剤のいずれかである接着剤は、接着剤(すなわち、身体付着又は粘膜付着)と吸収性材料の粒子との混合物である。好適な吸収材料の例としては、限定はされないが、セルロース、木材パルプフラフ、レーヨン、綿、及びポリエステル、ポリプロピレン又はコフォームなどのメルトブローンポリマーが挙げられる。コフォームは、ポリプロピレンなどのメルトブローンポリマー、及びセルロースなどの吸収性短繊維のメルトブローン空気形成された組み合わせである。接着剤と吸収性材料の粒子との混合物は、パッチ12及び30が実質的に非吸収性のまま、陰唇接着パッチ12又は陰唇内パッチ30のいずれかに形成及び/又は組み込まれるべきである。
【0066】
試験方法
別途記載のない限り、全ての測定は、22℃〜25℃の温度及び50±5%の相対湿度で行われる。この方法は、使用者に装着されている状態(又は条件)の物品において実行される(すなわち、剥離ライナー又は他のいかなる構造補助具をも有さない)。
【0067】
剥離力を測定する手順
身体付着接着剤の剥離力は、以下の剥離試験によって測定される。
【0068】
身体付着接着剤の剥離力は、以下のように改変したASTM D6862剥離試験手順を使用して測定される。試験製品を試験用にナイロン6,6で作製したプレートに付着させる。プレート材料は、Mcmaster Carr incからパート#8733K41で市販されている。試験前に、プレートの試験表面を、SandvikRA−390−076R25−11mシェルエンドミル及びcorokeyR390−11−08M−PM 1030カーバイドインサートを備えるフライス盤上で400rpm及び102センチメートル/分(40インチ/分)の送り速度で機械加工することによって、粗面を付与する。試験前に、50%イソプロピルアルコール及び水洗浄混合物を含むリントフリー布を使用して、プレートの表面を清浄する。
【0069】
2.54センチメートル(1インチ)以下の幅、及び少なくとも2.54センチメートル(1インチ)の長さの物品のストリップを試験製品として提供する。試験製品の長さがプレートの長手方向縁部と垂直になり、試験製品の少なくとも1.3センチメートル(1/2インチ)がプレートから出るように、試験製品の接着面をプレートの粗化ナイロン表面と接触させて配置して、剥離試験を開始する。0.9kg(2ポンド)のゴムローラーを表面上で回転させて、確実に均一に付着させる。
【0070】
ナイロンプレートを、インストロン(Instron)試験機(1122型)の下顎部に搭載されている試験スレッドに固定する。試験スレッドは、剥離中の剥離方向に対して常に30°の角度でナイロンプレートを保持するように設計されている。試験製品の非固定端(すなわち、試験製品のその端部の反対側端部がナイロンプレートに接触している)がインストロン試験機の上顎部で保持されるように、インストロン試験機を調整する。
【0071】
インストロン試験機の上顎部及び下顎部を、2.54センチメートル(1インチ/分)の速度で引き離し、試験製品をナイロンプレートから剥離させる。剥離距離に応じた剥離力のプロットとして、ほぼ一定の剥離力がインストロンによって記録される。試験製品の剥離力は、プロット上、安定的な剥離が発生する点からはじまり、試験製品のプレートからの完全な剥離に近い(及び急速に剥離力が低下しはじめる)点までを記入した曲線の水平切片における力平均である。平均剥離力を試験製品の幅で割り、試験製品の剥離力として1メートル当たりのニュートンの単位で記録する。
【0072】
上述の手順を、試験を受ける合計で少なくとも3つの試験製品に対して少なくとも2回繰り返す。試験を受ける少なくとも3つの試験製品の平均剥離力を算出し、記録する。
【0073】
引張り伸長性の測定手順
本発明の物品の引張り伸長性は、以下の手順によって測定される。引張伸長性試験を実行する前に、接着面は、タルカムパウダー又は同様の材料(コーンスターチなど)を軽くコーティングすることによって粘着性が除去されるべきである。
【0074】
引張伸長性は、以下のように改変したASTM試験方法D882によって測定する。
【0075】
試験製品として使用される物品のストリップを、幅0.64〜2.54センチメートル(0.25〜1.0インチ)及び長さ6.4センチメートル(2.5インチ)に切断する。試験製品を、インストロン試験機(1122型)の顎部の間に、緩みなく、顎部間が5センチメートル(2.0センチメートル)離れるように載置する。顎部の初期の分離は、標点間距離と呼ばれ、異なるサンプル寸法に対応するように調節され得る。1分間当たり、標点間距離の10倍の速度で顎部を分離する。例えば、5センチメートル(2インチ)の標点間距離には、51センチメートル/分(20インチ/分)の速度が必要であり、又は2.54センチメートルの標点間距離(1インチの標点間距離)には、25センチメートル/分(10インチ/分)の速度が必要である。試験製品を標点間距離の120%まで伸長するために加えられる力を測定し、記録する。この測定値は、20%伸長における加力である。
【0076】
20%伸長における加力を試験製品の幅で割って、1メートル当たりのニュートンによって伸長力を得る。
【0077】
上述の手順を、試験を受ける合計で少なくとも3つの試験製品に対して少なくとも2回繰り返す。試験を受ける少なくとも3つの試験製品の20%伸長における平均加力(ニュートン/メートル)を算出し、記録する。
【0078】
吸収能力を測定する手順
上述のように、本発明の物品は「非吸収性」であるか、又は実質的に「非吸収性」である。本明細書で使用されるとき、「実質的に非吸収性」とは、全吸収容量が、約0.3g未満、より好ましくは約0.1g未満、より好ましくは約0.05g未満であることを意味する。本発明の物品の平均全吸収容量を測定する手順が、以下で提供される。
【0079】
以下に記載される平均吸収容量試験を行うために、少なくとも3つの新しい物品サンプルを試験片として必要とする。平均吸収容量試験は、膣開口部上に載置するように適合された物品の一部分から切断された20.0mm×20.0mm角の試験片上で行う。試験の実施前に、各試験片毎に清潔な乾燥した濾紙のスタックを用意する。濾紙は、Whatman定量濾紙No.4(円形:直径150mm)又は同等物である。5枚の円形濾紙をしっかりと重ね、試験片が浸漬される領域近くに載置する。
【0080】
試験の開始前に、3つの20.0mm×20.0mmの乾燥した試験片の各々の重量を測定する。20.0mm×20.0mmの試験片を生理食塩水(0.9%)に15分間浸漬する。生理食塩水から取り出したら、試験片を乾燥したWhatman濾紙のスタックの上に置き、試験片表面と濾紙表面とを完全に接触させる。完全に接触したら、試験片を迅速に取り上げて180°裏返して、濾紙側とは反対の面を新たに濾紙の清潔な領域と完全に接触するようにする。完全に接触したら、試験片をすぐに持ち上げる。試験片の両面を濾紙の乾燥領域と接触させた後、生理食塩水が自由に滴ることができるように12分間吊るす。次に、試験片の湿潤重量のグラムを、四捨五入して100分の1グラムの単位まで測定する。次に、試験片の乾燥重量を減じて、試験片の吸収容量を決定する。これを、3つの20.0mm×20.0mm試験片において繰り返し、吸収容量の平均を取ることで、物品の平均全吸収容量がもたらされる。
【0081】
上述するように、本発明による物品は、使用中に膣開口部を覆うように構成され配置されている。液体を吸収する手段として機能する従来技術の装置とは違い、本発明の物品は、「実質的に非吸収性」である。本発明による物品は、吸収手段によって機能せず、身体内の月経液を保持する手段によって機能するため、生理用ナプキン、ライナー、タンポンなどの従来技術の物品の欠点が回避される。
【0082】
上述の本発明による物品10は、膣内の月経液を保持することとの関連において記載されているが、物品10は身体内の任意の膣滲出液を保持するのに用いられ得る。本明細書使用されるとき、「膣滲出液」とは、任意の体液、組織、又は、限定はされないが、月経液、おりもの(頸管粘液、上皮細胞を含む)、膣治療薬及び薬剤、並びに精液などの膣から放出され得る他の物質を意味する。
【0083】
液体浸透時間を測定する手順
本発明の物品における液体浸透時間(FPT)を決定する方法は、以下の通りである。以下に記載される液体浸透時間(FPT)試験を行うために、3つの新しい物品サンプルを必要とする。
【0084】
液体浸透試験オリフィスプレートの下に物品サンプルを定置することによって、液体浸透時間を測定する。オリフィスプレートは、中央に楕円形のオリフィスを有する、1.3cm厚のポリカーボネート製の7.6cm×25.4cmのプレートからなる。楕円形オリフィスの寸法は、長軸に沿って3.8cm及び短軸に沿って1.9cmである。オリフィスプレートを、試験を受ける物品サンプル上の、物品サンプルの対応する位置に配置する。試験を受ける物品サンプルの長手方向軸と水平に、楕円形オリフィスの長手方向軸を配置する。
【0085】
試験液は、体液をシミュレートした以下の混合物、すなわち、49.5%の0.9%塩化ナトリウム溶液(VWRカタログ番号VW 3257−7)、49.05%のグリセリン(Emery 917)、1%のフェノキシエタノール(Clariant Corporation Phenoxetol(商標))、及び0.45%の塩化ナトリウム(Baker塩化ナトリウム結晶9624−05)から作製する。
【0086】
試験液を1mL収容している目盛付き10ccシリンジを、オリフィスの約8センチメートル(3インチ)上にシリンジ出口がくるように、オリフィスプレート上に保持する。シリンジを試験プレートの表面と水平かつ平行に保持する。次に、試験プレートに対して垂直な流れでオリフィスの中に流体が流入できる速度で、シリンジから流体を吐出させ、液体が試験を受けるサンプルに最初に接触する時にストップウォッチを開始する。サンプルの表面の一部が、オリフィス内の残存した流体の上で最初に見えた時にストップウォッチを止める。ストップウォッチにおける経過時間が、液体浸透時間である。3つの物品サンプルの平均を取り、平均液体浸透時間(FPT)を算出する。
【0087】
任意成分
本発明による物品は、従来の生理用保護物品で一般に見出される多くの特徴を更に含み得る。特定の実施形態では、任意成分は、物品10の片面又は両面のいずれかに適用される。例えば(具体的に述べられる例に限定されないが)、本発明による物品は、臭気制御添加剤、カラーキュー、芳香剤、保湿剤などのスキンケア組成物、潤滑剤、温度変化剤、抗菌抗かび剤、pH調整添加剤、プレバイオティクス/プロバイオティクス、及びエストロゲン及び/又はプロゲスチンなどの他の活性物質、着色層及び/又は印刷層、1つ又は2つ以上のエンボス層、他の皮膚軟化添加剤、梱包強化材(例えば、三つ折り型パッケージ又はディスペンサー)、剥離紙用フィンガーリフト強化具、配置指示具、及び生理用保護物品の分野の当業者に既知の多くの機能を含み得る。
【0088】
特定の実施形態では、任意成分(臭気制御添加剤、カラーキュー、芳香剤、保湿剤などのスキンケア組成物、潤滑剤、温度変化剤、抗菌抗かび剤、pH調整添加剤、プレバイオティクス/プロバイオティクス、及びエストロゲン及び/又はプロゲスチンなどの他の活性物質)は、物品10が使用者に載置されるまで、かかる成分の活性化(又は放出)を防ぐために、好適にカプセル化され、いくつかの実施形態では、マイクロカプセル化され得る。例えば、温度変化剤(以下で詳細が記載される)は、カプセル化され、活性剤(場合によっては、水など)の近くに配置されてよく、物品10中又は物品10上のカプセル化された温度変化剤のある場所で物品10を摘むか又は押し潰すことによってカプセル(又はマイクロカプセル)が破壊される際、活性剤が温度変化剤と混合して温度変化感覚が引き起こされ得る。
【0089】
臭気制御剤
臭気制御に関しては、香料及び/又は臭気制御添加剤が任意に加えられる。好適な臭気制御添加剤は、当該技術分野で既知のヒト(又は哺乳類)の身体の臭い又はヒト(又は哺乳類の体液)に関連する臭いを低減させる全ての物質である。したがって、好適な臭気制御添加剤は、ゼオライト、活性炭、ベントナイト、シリカ、エアロシル、珪藻土、粘土などの無機材料、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シクロデキストリン、アミノポリ炭酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノホスフェート、多官能芳香族、N,N−二コハク酸、ポリホスフェートなどのキレート剤である。上述するもののいずれかの混合物が使用され得る。
【0090】
好適な臭気制御添加剤は、更に抗菌抗かび剤を更に含む。抗菌抗かび剤の非限定例としては、βラクタム剤、キノロン剤、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロバニライド、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、イセチオン酸ヘキサミジン、メトロニダゾール、ペンタミジン(pentarnidine)、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、及び塩酸テトラサイクリン、エリスロマイシン、亜鉛エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、ステアリン酸エリスロマイシン、硫酸アミカシン、塩酸ドキシサイクリン、硫酸カプレオマイシン、塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;安息香酸及びその塩;塩化セチルピリジニウム;トリクロサン;トリクロカルバン;並びに12未満のHLB値を有する界面活性剤が挙げられる。上述するもののいずれかの混合物も使用され得る。
【0091】
好適な臭気制御添加剤は、更に、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ポリ無水マレイン酸、又はポリ無水イタコン酸などの無水物基を有する化合物、マレイン酸とC〜Cオレフィン又はスチレンとのコポリマー、ポリ無水マレイン酸又は無水マレイン酸とイソブテン、ジ−イソブテン又はスチレンとのコポリマー、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、サリチル酸又ソルビン酸などの酸性基を有する化合物、及び酸性基を有するモノマーの液体可溶性ポリマー、C〜Cモノ不飽和カルボン酸のホモポリマー又はコポリマーである。上述するもののいずれかの混合物を使用してもよい。
【0092】
好適な臭気制御添加剤は、更に、カプロン酸アリル、シクロヘキサン酢酸アリル、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、ヘプタン酸アリル、酢酸アミル、プロピオン酸アミル、アネトール、アニスアルデヒド、アニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、酪酸ベンジル、ギ酸ベンジル、カンフェン、カンファーゴム、ラエボ−カルベオール、ギ酸シンナミル、シス−ジャスモン、シトラル、シトロネロール及びその誘導体、クミンアルコール及びその誘導体、シクラルC、ジメチルベンジルカルビノール及びその誘導体、ジメチルオクタノール及びその誘導体、ユーカリプトール、ゲラニル誘導体、酢酸ラバンデュリル、リグストラール、d−リモネン、リナロール、リナリル誘導体、メントン及びその誘導体、ミルセン及びその誘導体、ネラール、ネロール、p−クレゾール、p−シメン、オレンジテルペン、アルファ−ポネン、4−テルピネオール、チモールなどの香料である。上述するもののいずれかの混合物を使用してもよい。
【0093】
特定の実施形態では、臭気抑制御添加剤として、マスキング剤も使用される。マスキング剤は、固壁材料中にカプセル化された香料である。任意に、壁材料は、香料成分の遅延放出のために使用される液体可溶性細胞状マトリックスを含む。
【0094】
特定の実施形態では、好適な臭気制御添加剤は、Cu、Ag、及びZnなどの遷移金属、ウレアーゼ阻害剤などの酵素、デンプン、pH緩衝材料、キチン、緑茶植物抽出物、イオン交換樹脂、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、又はそれらの混合物である。
【0095】
特定の実施形態では、臭気制御添加剤は、緑茶植物抽出物などの植物抽出物、シリカ、ゼオライト、炭素、デンプン、キレート剤、pH緩衝材料、キチン、珪藻土、粘土、イオン交換樹脂、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、マスキング剤、又はそれらの混合物である。臭気制御添加剤の好適な濃度は、約0.5〜約300gsmである。
【0096】
スキンケア組成物
スキンケア組成物に関しては、本発明の物品は、皮膚が水分過剰になるのを防ぐ及び皮膚が身体の滲出液を含んだ材料にさらされるのを防ぐための保護機能、非閉塞機能(例えば、相対的に液体はバリアを透過しないが、水蒸気は透過する)のいずれかをもたらす組成物、又はスキンケア利益を直接的あるいは間接的に送達する組成物を任意に含有する。組成物は、限定はされないが、エマルション、ローション、クリーム、軟膏、膏薬、パウダー、懸濁液、封入物、ゲルなどの様々な形態であり得る。
【0097】
本明細書で使用されるとき、用語「スキンケア組成物の有効量」とは、物品10の基材材料14の身体対向面16の1つ又は2つ以上の部分に適用されたときに又は移動したときに、適用時又は適用中に物品10を通して送達される保護バリアをもたらす、及び/又はスキンケア利益を送達するのに有効である特定の組成物の量をいう。当然ながら、物品に適用される組成物の有効量は、使用される特定の組成物に応じて大幅に変化する。しかしながら、基材材料14の身体対向面16の少なくとも一部分上の組成物の量は、約0.05mg/m(0.0078mg/cm)〜約80mg/m(12mg/cm)、任意に約1mg/m(0.16mg/cm)〜約40mg/m(6mg/cm)、又は任意に約4mg/m(0.6mg/cm)〜約26mg/m(4mg/cm)の範囲である。これらの範囲は単なる例であり、当業者であれば、組成物の特性によって、所望の皮膚利益を得るために適用されるべき濃度が決定され、この濃度は本開示に鑑みて通常の実験によって確認されることを認識するであろう。
【0098】
本発明の物品による皮膚に送達されるスキンケア組成物で有用な多くの材料のうち、安全かつ有効なスキンケア剤であるとみなされているものは、本明細書で使用する材料として理にかなっていることが認識されるであろう。かかる材料は、米国食品医薬品局(FDA)の「Tentative Final Monograph on Skin Protectant Drug Products for Over−the−Counter Human Use(21 C.F.R.§347)」で規定される分類Iの活性物質を含み、現在のところ、アラントイン、水酸化アルミニウムゲル、カラミン、ココアバター、ジメチコン、タラ肝油(組み合わせて)、グリセリン、カオリン、ワセリン、ラノリン、鉱油、サメ肝油、白色ワセリン、タルク、トピカルスターチ(topical starch)、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛などが含まれる。他の潜在的に有用な材料は、米国食品医薬品局の「Tentative Final Monograph on Skin Protectant Drug Products for Over−The−Counter Human Use(21 C.F.R.§347)」で規定される分類IIIの活性物質であり、現在のところ、生イースト細胞誘導体、アルジオキサ、酢酸アルミニウム、微細孔セルロース、コレカルシフェロール、コロイドオートミール、システイン塩酸塩、デクスパンテノール、ペルーバルサム油、蛋白質加水分解生成物、ラセミ体のメチオニン、炭酸水素ナトリウム、及びビタミンAなどが含まれる。
【0099】
FDAで著されたスキンケア成分の多くは、現在、A and D(登録商標)軟膏、Vaseline(登録商標)ワセリン、Desitin(登録商標)おむつかぶれ軟膏及びDaily Care(登録商標)軟膏、Gold Bond(登録商標)医療用ベビーパウダー、Aquaphor(登録商標)治療用軟膏、Baby Magic(登録商標)ベビーローション、Johnson’s Ultra Sensitive(登録商標)ベビークリームなどの市販のスキンケア製品で使用されている。これらの市販製品は、本発明の加工物品を作製するために、物品10に適用され得る。
【0100】
本明細書中の以下で議論されるように、本発明の方法で有用なスキンケア組成物は、必ずではないが、好ましくは、室温で物品10の基材材料14の身体対向面16上で、比較的固定化及び限局化されるような融解特性を有し、体温で使用者に容易に送達可能であるが、極端な保存条件下においては完全に液体ではない。特定の実施形態では、組成物は、通常の接触、使用者の動き、及び/又は体温によって、皮膚に容易に送達可能である。
【0101】
特定の実施形態では、本明細書で有用なスキンケア組成物は、20℃(すなわち、周囲温度)で固体であり、又はより多くの場合半固体である。「半固体」とは、組成物が、擬塑性又は可塑性液体に固有のレオロジーを有することを意味する。剪断力を受けていないとき、組成物は半固体の外観を有し得るが、剪断速度が上昇するにつれて流動し得る。これは、組成物が主に固体成分を含有するが、若干量の液体成分をも含むためである。好ましい組成物は、周囲温度において固体又は半固体であることから、該組成物が適用された物品の望ましくない位置へとかなりの程度流動し、移動する傾向を有さない。これは、所望の治療、保護、及び/又はコンディショニング効果を付与するのに必要なスキンケア組成物が少なくてすむことを意味する。
【0102】
スキンケア組成物の不動性を増加させるためには、配合された組成物の粘性は、物品内から望ましくない位置への流動を阻止するために、極力高くあるべきである。残念なことに、場合によっては、粘性が上昇することで、使用者の皮膚への組成物の送達が阻止され得る。したがって、粘性は、物品の表面上に局在化した組成物を維持できるほどに高いが、使用者の皮膚に送達されるのが阻害されるほど高くないというバランスが達成されるべきである。組成物において好適な粘度は、60℃で回転式粘度計(好適な粘度計は、Lab Line Instruments,Inc.(Melrose Park,Ill.)からModel 4537として市販されている)を用いて測定して、典型的には約5〜約500センチポイズ、好ましくは約5〜約300センチポイズ、より好ましくは約5〜約100センチポイズの範囲である。この粘度計を、ナンバー2スピンドルを使用して60rpmで操作する。
【0103】
治療効果及び/又は皮膚保護効果を提供するように設計された組成物において、これら組成物において有用な活性成分は、1つ又は2つ以上の皮膚保護剤又は皮膚軟化剤である。本明細書で使用されるとき、用語「皮膚軟化剤」は、皮膚を、湿気又は刺激に対して保護し、軟化し、鎮静化し、柔軟化し、コーティングし、潤滑化し、湿潤化し、保護し、及び/又は清潔にする材料である。(本明細書でこの用語が使用されるとき、上記で著された活性物質のいくつかは「皮膚軟化剤」であることが認識される。)特定の実施形態では、これらの皮膚軟化剤は、周囲温度(すなわち、20℃)で、可塑性又は液体粘稠性を有する。本発明において有用な代表的な皮膚軟化剤としては、限定されるものではないが、石油系の軟化剤;スクロース脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール及びその誘導体;湿潤剤;脂肪酸エステル系;アルキルエトキシレート系;脂肪酸エステルエトキシレート;脂肪族アルコール系;ポリシロキサン系;プロピレングリコール及びその誘導体;グリセリド、アセトグリセリド、及びC12〜C28脂肪酸のエトキシル化グリセリドを含むグリセリン及びその誘導体;トリエチレングリコール及びその誘導体;鯨蝋又は他のワックス;脂肪酸;脂肪族アルコールエーテル(特にステアリン酸のように脂肪鎖中に12〜28個の炭素原子を有するもの);プロポキシ化脂肪族アルコール;他のポリヒドロキシアルコールの脂肪酸エステル;ラノリン及びその誘導体;カオリン及びその誘導体;上記で著されたたスキンケア剤のいずれか;又はこれらの皮膚軟化剤の混合物、が挙げられる。好適な石油系軟化剤は、16〜32個の炭素原子の鎖長を有する炭化水素又は炭化水素の混合物を含む。これらの鎖長を有する石油系炭化水素は、鉱油(「液体ワセリン」としても既知である)及びワセリン(「ミネラルワックス」、「ワセリン」、及び「ミネラルゼリー」としても既知である)を含む。鉱油は、通常、16〜20個の炭素原子を有する炭化水素の低粘度混合物を指す。ワセリンは、通常、16〜32個の炭素原子を有する炭化水素のより粘度の高い混合物をいう。ワセリン及び鉱油は、本発明の組成物に特に好ましい皮膚軟化剤である。
【0104】
好適な脂肪酸エステル系皮膚軟化剤は、C12〜C28脂肪酸、好ましくはC16〜C22飽和脂肪酸、及び短鎖(C〜C、好ましくはC〜C)一価アルコールから誘導されるものを含む。かかるエステルの代表的な例としては、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な脂肪酸エステル皮膚軟化剤はまた、長鎖脂肪族アルコール(C12〜C28、好ましくはC12〜C16)と短鎖脂肪酸(例えば、乳酸)とのエステルから誘導され得る(例えば、乳酸ラウリル及び乳酸セチル)。
【0105】
好適なアルキルエトキシレート系皮膚軟化剤は、約2〜約30の平均エトキシル化度を有するC12〜C22脂肪族アルコールエトキシレートを含む。特定の実施形態では、脂肪族アルコールエトキシレート皮膚軟化剤は、約2〜約23の範囲の平均エトキシル化度を有するラウリル、セチル、及びステアリルエトキシレート、及びこれらの混合物からなる群より選択される。かかるアルキルエトキシレートの代表的な例としては、ラウレス−3(平均エトキシル化度が3のラウリルエトキシレート)、ラウレス−23(平均エトキシル化度が23のラウリルエトキシレート)、セテス−10(平均エトキシル化度が10のセチルアルコールエトキシレート)、及びステアレス−10(平均エトキシル化度が10のステアリルアルコールエトキシレート)が挙げられる。用いられる場合、これらのアルキルエトキシレート皮膚軟化剤は、典型的には、約1:1〜約1:5、好ましくは約1:2〜約1:4のアルキルエトキシレート皮膚軟化剤:石油系皮膚軟化剤の重量比で、ワセリンなどの石油系皮膚軟化剤と組み合わされて使用される。
【0106】
好適な脂肪族アルコール系皮膚軟化剤は、C12〜C22脂肪族アルコール、好ましくはC16〜C18脂肪族アルコールを含む。代表的な例としては、セチルアルコール及びステアリルアルコール、並びにこれらの混合物が挙げられる。用いられる場合、これらの脂肪族アルコール皮膚軟化剤は、典型的には、約1:1〜約1:5、好ましくは約1:1〜約1:2の脂肪族アルコール皮膚軟化剤:石油系皮膚軟化剤の重量比で、ワセリンなどの石油系皮膚軟化剤と組み合わされて使用される。
【0107】
本明細書に用いるのに好適な他の種類の皮膚軟化剤は、ポリシロキサン化合物を含む。一般的に、本発明に用いるのに好適なポリシロキサン材料は、以下の構造の単量体シロキサン単位:
【化1】
を有するものを含み、式中、R及びRは、各々独立したシロキサンモノマー単位において、各々独立して水素又はアルキル、アリール、アルケニル、アルカリル、アラキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、又は他のラジカルのいずれかであり得る。かかるラジカルは、いずれも置換又は未置換であり得る。いずれの特定のモノマー単位のR及びRラジカルも、隣接するモノマー単位の対応する官能基と異なっていてもよい。加えて、ポリシロキサンは、直鎖、分枝鎖のいずれであってもよく、あるいは環状構造を有していてもよい。ラジカルR及びRは、更に独立して、限定されるものではないが、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、及びポリシランなどの他の珪質(silaceous)官能基であり得る。ラジカルR及びRは、例えば、アルコール、カルボン酸、フェニル、及びアミン官能基などの様々な有機官能基のいずれかを含み得る。
【0108】
代表的なアルキルラジカルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシルなどである。代表的なアルケニルラジカルは、ビニル、アリルなどである。代表的なアリールラジカルは、フェニル、ジフェニル、ナフチルなどである。代表的なアルカリールラジカルは、トイル、キシリル、エチルフェニルなどである。代表的なアラルキルラジカルは、ベンジル、アルファ−フェニルエチル、ベータ−フェニルエチル、アルファ−フェニルブチルなどである。代表的なシクロアルキルラジカルは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。代表的なハロゲン化炭化水素ラジカルは、クロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロトロイル(trifluorotloyl)、ヘキサフルオロキシリルなどである。
【0109】
有用なポリシロキサンの粘性は、ポリシロキサンが流動可能であるか、又は物品10への適用のために流動可能とされ得る限り、一般にポリシロキサンの粘性の変動と同様に変動し得る。これは、限定されるものではないが、5mm/秒(5センチストークス)(37℃で、ガラス粘度計により測定した場合)という低い粘度から、20,000,000mm/秒(約20,000,000センチストークス)までを含む。特定の実施形態では、ポリシロキサンは、37℃で、約5〜約5,000mm/秒、より好ましくは約5〜約2,000mm/秒、最も好ましくは約100〜約1000mm/秒(約5〜約5,000センチストークス、より好ましくは約5〜約2,000センチストークス、最も好ましくは約100〜約1000センチストークス)の粘度を有する。流動に対して抵抗性のある高粘性のポリシロキサンは、例えば、界面活性剤中でポリシロキサンを乳化するか、又は例示の目的のみで記載されるヘキサンのような溶媒を使用してポリシロキサンを溶液中に供給するような方法によって物品10に効果的に付着させられ得る。
【0110】
本発明に用いるのに好適なポリシロキサン化合物は、1991年10月22日に発行された米国特許第5,059,282号(Ampulskiら)に開示されており、本特許は参照として本明細書に組み込まれる。本発明の組成物において皮膚軟化剤として使用するのに好適なポリシロキサン化合物としては、フェニル官能性ポリメチルシロキサン化合物(例えば、Dow Corning 556、化粧品等級液:ポリフェニルメチルシロキサン)並びにそれぞれDow 2502及びDow 2503ポリシロキサン液のようなセチル又はステアリル官能化ジメチコーンが挙げられる。かかるフェニル官能基又はアルキル基による置換に加えて、効果的な置換が、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、エーテル、ポリエーテル、アルデヒド、ケトン、アミド、エステル、及びチオール基でなされ得る。特定の実施形態では、置換基は、フェニル、アミノ、アルキル、カルボキシル、及びヒドロキシル基を含む一群の基から選択される。他の実施形態では、置換基はフェニル官能基である。
【0111】
好適な湿潤剤には、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリヒドロキシステアリンなどが挙げられる。
【0112】
存在する場合、スキンケア組成物中に包含され得る皮膚軟化剤の量は、含まれる特定の皮膚軟化剤、所望の皮膚利益、及び組成物中の他の成分などの要因を含む様々な要因によって変動する。組成物は、0〜約100%の皮膚軟化剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、約10〜約95重量%、任意に約20〜約80重量%、又は任意に約40〜約75重量%の皮膚軟化剤を含む。
【0113】
本発明の物品の皮膚治療/皮膚保護組成物の別の任意の成分は、組成物(例えば、皮膚軟化剤及び/又は他の皮膚コンディショニング/保護剤を含む)を、処理された物品中又は物品上の所望の位置に固定化することができる薬剤である。
【0114】
本明細書に有用な固定化剤は、スキンケア組成物の特性が本明細書に記載される皮膚利益を提供する限りは、多くの薬剤のうちのいずれかから選択され得る。特定の実施形態では、固定化剤は、2〜約30の範囲の平均エトキシル化度を有する、C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、及びC12〜C22脂肪族アルコールエトキシレート、及びその混合物からなる群から選択される要素を含む。好適な固定化剤は、C16〜C18脂肪族アルコール、最も好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びその混合物からなる群から選択される結晶性の高融点材料を含む。(これらの材料の直鎖構造によって、処理される物品10上での固化速度が上昇し得る。)セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物が、特に好ましい。他の好ましい固定化剤は、C16〜C18脂肪酸を含み、最も好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸及びその混合物からなる群から選択される。パルミチン酸とステアリン酸との混合物が、特に好ましい。更に他の好適な固定化剤としては、約5〜約20の範囲の平均エトキシル化度を有するC16〜C18脂肪族アルコールエトキシレートが挙げられる。好ましくは、脂肪族アルコール、脂肪酸及び脂肪族アルコールは直鎖状である。
【0115】
本明細書で使用され得る他の種類の固定化剤としては、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、及びこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、エステル及びアミドは、ポリヒドロキシ部分に3つ又はそれ以上の遊離ヒドロキシ基を有し、典型的には、非イオン性の性質を有する。スキンケア組成物を含む物品を使用する使用者の潜在的な皮膚感受性のために、これらのエステル及びアミドは、そのような使用者の皮膚に対して比較的穏やか且つ非刺激性であるべきである。
【0116】
本明細書中における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルは、以下の式:
【化2】
を有し、式中、RはC〜C31ヒドロカルビル基、任意に直鎖C〜C19アルキル又はアルケニル、任意に直鎖C〜C17アルキル又はアルケニル、又は任意に直鎖C11〜C17アルキル又はアルケニル、又はこれらの混合物であり;Yは、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基が直接結合したヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル部分であり;nは少なくとも1である。好適なY基は、グリセロール、ペンタエリトリトールなどのポリオール;ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、スクロース、グルコース、キシロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、マンノース及びエリトロースなどの糖;エリトリトール、キシリトール、マリトール、マンニトール及びソルビトールなどの糖アルコール;及びソルビタンなどの糖アルコールの無水物から誘導され得る。
【0117】
本発明において使用するのに好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの1つのクラスは、特定のソルビタンエステル、任意にC16〜C22飽和脂肪酸のソルビタンエステルを含む。それらが典型的に製造される方法のために、これらのソルビタンエステルは、通常、モノ−、ジ−、トリ−などのエステルの混合物を含む。好適なソルビタンエステルの代表的な例としては、ソルビタンパルミテート(例えば、SPAN 40)、ソルビタンステアレート(例えば、SPAN 60)、及びソルビタンベヘネートが挙げられ、これらのソルビタンエステルのモノ−、ジ−、及びトリ−エステル体(例えば、ソルビタンモノ−、ジ−及びトリ−パルミテート、ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリ−ステアレート、ソルビタンモノ−、ジ−及びトリ−ベヘネート並びに混合タロー脂肪酸ソルビタンモノ−、ジ−及びトリ−エステル)のうちの1つ又は2つ以上を含む。ソルビタンパルミテートとソルビタンステアレートの混合物のような、異なるソルビタンエステルの混合物も使用され得る。特定の実施形態では、ソルビタンエステルは、典型的には、SPAN 60などのモノ−、ジ−、及びトリ−エステル(更に若干のテトラエステル)の混合物であるソルビタンステアレート、及びLonza,IncからGLYCOMUL−Sの商標名で市販されているソルビタンステアレートである。これらのソルビタンエステルは、典型的にはモノ−、ジ−、及びトリ−エステルに若干のテトラエステルを加えた混合物を含有しているが、通常は、モノ−及びジ−エステルが、これらの混合物中の主な種である。
【0118】
本発明における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの他のクラスは、特定のグリセリルモノエステル、任意に、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテート、及びグリセリルモノベヘネートなどのC16〜C22飽和脂肪酸のグリセリルモノエステルを含む。再度、ソルビタンエステルのように、グリセリルモノエステル混合物は、典型的には若干のジ−及びトリエステルを含有する。しかしながら、かかる混合物は、本発明において有用であるために、主にグリセリルモノエステル種を含有すべきである。
【0119】
本発明に用いるのに好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの別のクラスは、特定のスクロース脂肪酸エステル、好ましくはスクロースのC12〜C22飽和脂肪酸エステル含む。特定の実施形態では、スクロース脂肪酸エステルは、スクロースモノエステル及びジエステルであり、スクロースモノ−及びジ−ステアレート及びスクロースモノ−及びジ−ラウレートを含む。
【0120】
本明細書中における使用に好適なポリヒドロキシ脂肪酸エステルは、以下の式:
【化3】
を有し、式中、Rは、H、C〜Cヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル又はこれらの混合物、好ましくはC〜Cアルキル、メトキシエチル又はメトキシプロピル、より好ましくはC又はCアルキル又はメトキシプロピル、最も好ましくはCアルキル(すなわち、メチル)又はメトキシプロピルであり;RはC〜C31ヒドロカルビル基、好ましくは直鎖C〜C19アルキル又はアルケニル、より好ましくは直鎖C〜C17アルキル又はアルケニル、最も好ましくは直鎖C11〜C17アルキル又はアルケニル、又はこれらの混合物であり;Zは、少なくとも3つのヒドロキシルが鎖に直接結合した直鎖ヒドロカルビルを有するポリヒドロキシヒドロカルビル部分である。これらのポリヒドロキシ脂肪酸アミド並びにこれらの調製法を開示する1992年12月29日に発行された米国特許第5,174,927号(Honsa)を参照のこと。
【0121】
特定の実施形態では、Z部分は、還元アミノ化反応において還元糖から誘導され、任意にグリシチルである。好適な還元糖としては、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、及びキシロースが挙げられる。高デキストロースコーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、及び高マルトースコーンシロップが、上記の個々の糖に加えて用いられ得る。これらのコーンシロップは、Z部分における糖成分の混合物をもたらし得る。
【0122】
特定の実施形態では、Z部分は、−CH−(CHOH)−CHOH、−CH(CHOH)−[(CHOH)n−1]−CHOH、−CHOH−CH−(CHOH)(CHOR)(CHOH)−CHOHからなる群から選択され、ここで、nは3〜5の整数であり、Rは、H又は環状若しくは脂肪族単糖類である。特定の実施形態では、Z部分はグリシチル(nは4)であり、特に−CH−(CHOH)−CHOHである。
【0123】
上述の式では、Rは、例えば、N−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−2−ヒドロキシエチル、N−メトキシプロピル又はN−2−ヒドロキシプロピルであり得る。Rは、例えば、コカミド、ステアルアミド、オレアミド、ラウラミド、ミリスタミド、カプリカミド、パルミタミド、タローアミドなどをもたらすために選択され得る。Z部分は、1−デオキシグルシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシガラクチチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチルなどであり得る。
【0124】
特定の実施形態では、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、以下の一般式を有し、
【化4】
式中、Rは、メチル又はメトキシプロピルであり;Rは、C11〜C17直鎖アルキル又はアルケニル基である。これらは、N−ラウリル−N−メチルグルカミド、N−ラウリル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−ココイル−N−メチルグルカミド、N−ココイル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−パルミチル−N−メトキシプロピルグルカミド、N−タロイル−N−メチルグルカミド、又はN−タロイル−N−メトキシプロピルグルカミドを含む。
【0125】
特定の実施形態では、乳化剤は、皮膚軟化剤中の固定化剤を可溶化するのに有用であり得る。これは、少なくとも約7のHLB値を有するN−アルキル−N−メトキシプロピルグルカミドなどの特定のグルカミドの場合に当てはまる。好適な乳化剤は、典型的には、約7未満のHLB値を有するものを含む。この点において、ソルビタンステアレートなどの、約4.9以下のHLB値を有する上述したソルビタンエステルは、ワセリン中のこれらのグルカミド固定化剤を溶解するのに有用であることが見出されている。他の好適な乳化剤は、ステアレス−2(式:CH(CH17(OCHCHOH(式中、nは2の平均値を有する)に当てはまるステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ソルビタントリステアレート、イソソルバイドラウレート、及びグリセリルモノステアレートを含む。乳化剤は、実質的に均質な混合物が得られるように、皮膚軟化剤中に固定化剤を溶解するのに充分な量で含有させることができる。例えば、N−ココイル−N−メチルグルカミドとワセリンとの約1:1混合物は、通常は単一相の混合物に溶け込まないが、乳化剤としてステアレス−2とソルビタントリステアレートとの1:1混合物を20%添加した際には、単一相の混合物に溶け込む。
【0126】
単独で、又は上述した固定化剤との組み合わせのいずれかで固定化剤として使用され得る他の種類の成分は、カルナウバ、オゾケライト、蜜ろう、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、オーリクリ、レゾワックス、イソパラフィン、及び他の既知の採掘ワックス及びミネラルワックスなどのワックスを含む。これらの材料の高い融点は、組成物を物品上の所望の表面又は位置に固定化するのに役立ち得る。更に、微結晶ワックスは、有効な固定化剤である。微結晶ワックスは、スキンケア組成物中に低分子量の炭化水素を「閉じ込める」のを助けることができる。特定の実施形態では、ワックスはパラフィンワックスである。特定の実施形態では、代替的な固定化剤は、私書箱1098 West Babylon,N.Y.11704のStrahl and Pitsch Inc.のパラフィンS.P.434などのパラフィンワックスである。
【0127】
組成物中に含有させ得る任意の固定化剤の量は、様々な要因によって変動し、その要因としては、含まれる活性成分(例えば、皮膚軟化剤)、含まれる特定の固定化剤、存在するのであれば、組成物中の他の成分、固定化剤を他の成分に溶解するのに乳化剤が必要とされるかどうか、などの要因が挙げられる。存在する場合、組成物は典型的には、約5〜約90%の固定化剤を含有する。任意に、組成物は、約5〜約50%、任意に約10〜約40%の固定化剤を含有する。
【0128】
プレバイオティクス/プロバイオティクス
特定の実施形態では、本発明の物品は、プレバイオティクス/プロバイオティクスを更に含む。本明細書で使用されるとき、プロバイオティクスは、適切な量で処方される場合、健康上の利益を宿主にもたらし得る生菌を意味する。乳酸菌(ラクトバチルス)及びビフィズス菌は、プロバイオティクスとして使用される最も一般的な微生物であるが、特定の酵母及び桿菌も健康上の利益をもたらし得る。
【0129】
ラクトバチルス属の細菌は、桿状であり、グラム陽性かつ芽胞非形成の細菌であることを特徴とする。乳酸桿菌科のうち、ラクトバチルスは、動物及びヒトの泌尿生殖路に存在し、乳酸を生成する細菌群の重要な要素である。本発明において使用するのに好適なラクトバチルス種は、(1)哺乳類の泌尿生殖路若しくは消化管のいずれかの上皮細胞に容易に付着する、(2)過酸化水素を生成する、(3)低pHを促進し、バクテリオシン(bactefiocins)を生成する、ものである。本明細書で使用されるとき、「バクテリオシン(bactefiocins)」は、細菌によって合成されるタンパク質性の殺菌性物質を意味し、通常は狭域の活性を有し、同じか又は密接に関連した種の菌株を阻害するものである。バクテリオシンは、他の細菌の成長を置換又は抑制することができると思われ、それにより、微生物が女性の生殖器管の生態系を成長させるのに利点を提供し得る。特定の実施形態では、ラクトバチルス種には、L.acidophilus、L.catenaforme、L.brevis、L.bulgaricus、L.lactis、L.reuterii、L.gasseri、L.helveticus、L.casei、L.plantarum、L.delbrueckii、L.thermophilis、L.jensenii、L.crispatus、L.rogosae、L.fermentum又はこれらの混合物が含まれる。任意に、本発明の物品に適用されるラクトバチルス種には、L.acidophilus、L.casei、L.crispatus、L.fermentum、L.plantarum又はこれらの混合物が挙げられる。任意に、本発明の物品に適用されるラクトバチルス種は、L.acidophilus、L.catenaforme、L.casei、L.crispatus、L.delbrueckii、L.jensenii、L rogosae、L.fermentum、L.gasseri、L.plantarum及びこれらの混合物などの過酸化水素を生成するものであり、接着特性も示す。
【0130】
また、哺乳類の泌尿生殖路に棲息し、本発明の物品に組成物に有用に適用されるものは、ビフィドバクテリウム属(アクチノミセス(Actinomyeetaceae)科)の種である。ビフィドバクテリウム種は、非抗酸性の、非運動性グラム陰性桿菌である。乳酸及び酢酸を生成するビフィズス菌は、哺乳類の尿生殖器フローラの重要な調節剤とも考えられている。特定の実施形態では、本明細書で使用されるビフィドバクテリウムには、限定はされないが、B.longum、B.breve、Lactobacillus Bifidus、Lactobacillus bifidus subsp.pennsylvanicus及びこれらの混合物が含まれる。任意に、本発明の物品に適用されるビフィドバクテリウム種には、Lactobacillus Bifidus、Lactobacillus bifidus subsp.pennsylvanicus及びこれらの混合物が含まれる。ラクトバチルス及び/又はビフィドバクテリウム種の混合物も使用され得る。任意に、上記のプロバイオティクスは、冷凍乾燥又は凍結乾燥した生物として適用される。上述のプロバイオティクスのいずれかの混合物も使用され得る。
【0131】
本発明の物品に適用するのに有用なものには、プレバイオティクスもある。本明細書使用されるとき、プレバイオティクスとは、一般的な有益細菌の1つ又は制限された数の成長及び/又は活性化を選択的に刺激することによって、宿主に好影響を与える非消化性成分を意味する。プレバイオティックによって、病原菌が著しく成長することなく、ラクトバチルス及び/又はビフィドバクテリウムなどの乳酸菌の成長が達成及び維持される。好適なプレバイオティクスの例としては、限定はされないが、酵母エキス;ガングリオシド;サリシン;グリコーゲン、グルコース、フルクトース、ラムノース、ラクツロース、メチル−α−D−マンノシド、p−ニトロフェノール−α−D−マンノシド、マルトース、マルトデキストリン、デキストリン、デキストラン、レバン、シアル酸及びアセチルグルコサミンなどの単糖類、二糖類、及び多糖類、並びに、限定はされないが、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及び大豆オリゴ糖などのオリゴ糖が挙げられる。オオバコなどの繊維又は発酵性物質は、グアーガム及びキサンタンガムなどのゴムとして、本組成物の物品に適用され得る。同様に、ぺプチン、ケラチンなどのタンパク質性(proteinacious)材料;植物;ラウリン酸などの不飽和脂肪酸及びリポテイコ酸などのテイコ酸及びグリセロホスフェート又はβ−グリセロホスフェートなどのエステルも、プレバイオティクスとして有用である。任意に、プレバイオティクスには、ラクトース、ラクツロース、ラムノース、オリゴ糖、グリコーゲン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0132】
特定の実施形態では、プレバイオティクスは、限定はされないが、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖及びフラクトオリゴ糖などのオリゴ糖である。オリゴ糖は、乳酸菌によるより容易な接近のためにこれらの成長因子の位置を固定するのを助ける生体接着特性を有する。特定の実施形態では、プレバイオティクスはフラクトオリゴ糖である。本明細書に用いるのに好適なフラクトオリゴ糖は、フルクトシル末端単位の代わりに非フルクトシル単位を有しても、有していなくてもよい。他のオリゴ糖に対しても、そのオシル末端単位に関して同じことが成り立つ。非フルクトシル単位には、限定はされないが、キシリトール、マンニトール、及びソルビトールなどのポリアルコールが含まれ得る。特定の実施形態では、本明細書で使用されるフラクトオリゴ糖には、イヌリン、オリゴフルクトース又はこれらの混合物が含まれる。上述のプレバイオティクスのいずれかの混合物も使用され得る。
【0133】
エンボス加工
特定の実施形態では、本発明の物品は、エンボス領域を更に含む。エンボス領域は、フィルム又はフィルム状材料を永久的にエンボス加工するのに好適な1つ又は2つ以上の方法によって付与され得る。単なる一例として、熱及び/又は圧力、並びに超音波エネルギーなどの他の方法を使用して、圧縮された領域が形成され得る。特定の実施例としては、物品10の基材材料14の選択された領域の加圧は、ポイントボンディングプロセスに一般的に使用されるような、模様付きローラアセンブリを使用することで達成され得る。ポイントボンディングは、一般的には、1つ又は2つ以上の層を多くの小さな個別の点で機械的に圧縮するプロセスを指す。特定の実施形態では、物品10の基材材料14の表面は、一般的には、接合される材料(又は材料の層)を、例えば、彫刻又は模様付きロールなどの加熱ロールと第2ロールとの間を通過させる工程を含む熱ポイントボンディングによってエンボス加工される。彫刻ロールは、材料(又は材料の層)がその全表面にわたって接合されないように、何らかの方法で模様付けされ、第2ロールは平坦であるか、若しくは模様付けされていてもよい。彫刻又は模様付きロールの様々なパターンが、機能上並びに外観上の理由で開発されており、単なる一例として、様々な接合パターンが、米国特許第3,855,046号(Hansenら)、米国特許第4,374,888号(Bomslaeger)、米国特許第5,635,134号(Bourneら)、米国特許第5,620,779号(Levyら)、米国特許第5,714,107号(Levyら)、米国意匠特許第390,798(Brown)、米国特許第5,858,519(Stokesら)、及び米国意匠特許第369,907号(Sayovitzら)に記載されており、これらの特許は、各々が参照として本明細書に組み込まれる。更に、ポリマーフィルムは、マイクロエンボス加工が可能であり、印刷されたデザインを有することができ、消費者に対する印刷されたメッセージを有することができ、及び/又は少なくとも部分的に着色され得る。
【0134】
カラーキュー
カラーキューに関しては、着色された線又は領域が、本発明の物品に任意に加えられ得る。特定の実施形態では、本発明の物品は、溝(例えば、エンボス加工)、及び/又は着色された特定の領域を含んでよく、物品10の特定表面を見たときに使用者に見えるカラーキューがもたらされる。着色された「領域」の寸法、形状及び位置は、設けられる「溝」に対応し得る。特定の実施形態では、色の領域は多色であるか、又は単色の連続形態(例えば、様々な濃青の連続など)である。特定の実施形態では、着色された領域は、使用者に溝の存在及び/又は機能に対するカラーキューを提供し得る。着色された領域を提供ために、印刷、着色繊維の使用、又は任意の他の好適な手段などの、当業者に既知の任意の手段が用いられ得る。より例示的な議論が、米国特許出願公開第20120004633(A1)号(Marceloら)に提供され、参照として本明細書に組み込まれる。
【0135】
温度変化剤
温度変化剤に関しては、本発明の物品10は、任意に、使用者の皮膚又は標的配置領域の粘膜領域の温度変化の知覚をもたらす温度変化剤を含む。例えば、1つの実施形態では、温度変化剤は、神経知覚剤(すなわち、例えば、ペパーミント油、ユーカリプトール、ユーカリプタス油、サリチル酸メチル、カンファー、ティーツリー油、ケタール、カルボキサミド、シクロヘキサノール誘導体、シクロヘキシル誘導体、及びこれらの混合物などの、実際の温度変化を伴わずに温度変化の知覚を誘発する薬剤)などの活性剤を含み得る。
【0136】
別の好適な実施形態では、温度変化剤は冷却剤を含む。好適な冷却剤は、溶液の負熱を有する化合物であり、つまり、好適な冷却剤は、水に溶解すると、吸熱反応によって冷たく感じる化学物質である。いくつかの好適な冷却剤としては、例えば、硝酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、キシリトール、水酸化バリウム(Ba(OH)2・8HO)、酸化バリウム(BaO9HO)、硫酸カリウムマグネシウム(MgSO4・SO4・6HO)、硫酸アルミニウムカリウム(KAl(SO2・12HO)、ホウ酸ナトリウム(テトラ)(Na7・10HO)、リン酸ナトリウム(NaHPO4・12HO)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0137】
他の好適な実施形態では、温度変化剤は、水和反応によって発熱する化合物、及び溶液と発熱反応する化合物を含む、加熱剤を含む。加熱剤として使用するのに好適な化合物には、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ゼオライト、塩化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、金属類、消石灰、生石灰、グリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、加熱剤は、含水若しくは無水のいずれかの形態であり得るが、一般的には無水形態が好ましい。特定の他の実施形態では、化合物には、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムが含まれる。
【0138】
他の実施形態では、温度変化剤は、空気にさらされると活性化し得るため、温度変化剤とともに活性化剤をカプセル化する必要がない。更には、カプセル(マイクロカプセル)の破砕時、温度変化剤は空気にさらされて、温度変化感覚が引き起こされる。
【0139】
任意に又は付加的に、温度変化剤は、実際の又は知覚された温度変化などの感覚的な合図を使用者にもたらす配置補助具として機能し得る。次に、使用者は、感覚的な合図に基づいて、物品10が使用者に対して適切に配置されているかどうかを判断し得る。必要であれば、使用者は、配置補助具によってもたらされる感覚的な合図が物品が適切な配置にあることを示すまで、使用者に対する物品10の配向及び/又は配置を調整する。次に、物品10を装着者の適切な位置に固定するために物品10が使用者の膣領域と位置合わせされた状態で、基材材料14の身体対向面16上の接着剤が使用者に付着するように、物品の残り部分を使用者に対して付勢する。
【0140】
特定の実施形態では、温度変化剤は、使用者に物品10を新たな物品10に替える必要があることを知らせる指示薬として機能する。
【0141】
適用/取り外し補助具
物品10はまた、物品を握って適用するか、又は一度身体に適用された物品を取り外す簡単な方法を使用者に提供する取り外し補助具又は適用補助具を備え得る。特定の実施形態では、取り外し補助具は、物品の前面、後面又は側面のいずれか又は両方に配置される、物品の適用及び/又は取り外しを助けるためのタブ又はウィングであり得る。1つの実施形態では、適用/取り外し補助具は、身体に付着しないか、又は接着剤又は他の取り付け手段を含まない物品10の少なくとも一端に配置されるタブ又はウィングである。あるいは、他の適用/取り外し補助具は、接着剤20を含まない物品10の少なくとも一端に基材材料14の身体対向面16の領域又は部分を有するものなどである。存在し得る適用/取り外し補助具の他の種類には、ループ、及び引き紐が含まれる。特定の実施形態では、物品10は、より簡単な適用及び/又はより良好な適合を可能にする3次元(又は非平坦)表面を有する。特定の他の実施形態では、物品は、物品の配置を補助するために、表面上に触知できる領域(又は触知機能を有する領域)を有する。1つの実施形態では、物品の適用及び/又は取り外しを補助するために、物品は指袋(例えば、使用者の指を受け入れるように配置されたポケット)を有する。任意に、物品の取り外しの際、取り外し補助具によって、使用者は、完全に付着していない場合がある物品の一部分を見出す必要なく、使用者の身体から物品を穏やかに取り外すプロセスを効果的に開始することができる。「タブ」適用送達システムの例は、1991年5月20日に出願された米国特許第5,088,483号(Heinecke)に見出され、この材料の特定の開示が、図1〜5及び第3段落41行目〜第4段落55行目に見出され、それは参照として本明細書に組み込まれ、上述に加え、米国特許第5,088,483号の残り部分も参照として本明細書に組み込まれる。代替的な適用送達システムは、1980年、9月11日に出願された米国特許第4,372,303号(Grossmannら)の図1〜8及び第1段落50行目〜第2段落45行目;1983年2月15日に出願された米国特許第4,513,739号(Johns)の図1〜11及び第2段落46行目〜第5段落25行目;1981年12月11日に出願された米国特許第4,485,809号(Dellas)の図1〜5及び第2段落22行目〜第5段落38行目に見出され、これらの特許の指定部分は、参照として本明細書に組み込まれ;上述に加え、米国特許第4,372,303号、米国特許第4,513,739号及び米国特許第4,485,809号の残り部分も各々参照として本明細書に組み込まれる。また、適用/取り外し補助具として、米国特許第7,880,051号(Madsenら)の「握持部」及び「担持システム」も有用であり、この材料の特定の開示が、図1〜42;第5段落38行目〜第7段落21行目;及び第11段落45行目〜第18段落58行目に見出され、その開示は、参照として本明細書に組み込まれ;上述に加え、米国特許第7,880,051号の残り部分も参照として本明細書に組み込まれる。
【0142】
操作方法
特定の実施形態では、本発明の物品は、以下の通りに適用される。
適用プロセスの開始前、使用者はゆったりと落ち着いている必要があり、使用者の手は清潔でなければならない。適用プロセスを開始するために、使用者は膝を開いて便器に座ることが推奨される。使用者の物品を適用する領域は、乾燥していなければならない。本発明の物品をパッケージから取り外し、取り外し可能な剥離ライナー又は裏材を全て除去しなければならない。使用者は、小陰唇が閉鎖構造になるように、陰唇領域を操作する必要がある。小陰唇の閉鎖構造を維持しつつ、取り付け手段(例えば、接着剤)を備える身体対向面を、陰唇領域を覆い、小陰唇を閉鎖構造に維持するように配置する。取り付け手段によって、使用者の身体に固定し、封止して取り付けられるように物品を操作する。
【0143】
特定の実施形態では、物品は以下の通りに取り外される。
取り外しプロセスの開始前、使用者はゆったりと落ち着いている必要があり、使用者の手は清潔でなければならない。取り外しプロセスを開始するために、使用者は膝を開いて便器に座ることが推奨される。適用された物品を基材(例えば、トイレットペーパー又はワイプ)で拭う。取り外し補助具に接触して引っ張ることで、最初に物品を取り外し、その後に物品を引き抜くことで、物品を取り外す。身体上又は身体から排出された過剰な膣滲出液を、吸収性物品(例えば、洗浄クロス又は吸収性紙タオル)を使用して除去する。また、吸収性物品によって、本発明の新たな(又は未使用の)物品を適用する使用者の領域を乾燥させる。本発明の新たな物品を、上述の通りに適用する。本発明の物品の適用頻度は、必要に応じて、2回/日(又は任意に3回/日)〜20回/日(任意に10回/日)の範囲で変動する。
【実施例】
【0144】
以下の実施例において説明される本発明の物品は、本発明の物品の特定の実施形態を示すものであって、本発明を限定するものではない。本発明の特定の実施形態を例証し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのような全ての変更及び改変を、付属の「特許請求の範囲」において網羅するものとする。
【0145】
実施例I−陰唇接着パッチ
陰唇接着パッチを、100mm(長さ)×100mm(幅)の微細孔ポリエチレンフィルム等級、19gsm、BR−134U白色の通気性フィルム(Clopay(Mason,Ohio))に、二液型接着剤MG 7−9800 Soft Skin Adhesive Kit(A & B)(Dow Corning(登録商標)(Midland,MI.)を5mg/平方センチ(30mg/平方インチ)でコーティングすることで作製する。陰唇接着パッチを、商品名「POLY SLIK(登録商標)」の剥離紙(Loparex Inc.(Willowbrook,Ill)から入手可能)に積層する。陰唇接着パッチを個別にパッケージ化する。消費者はパッケージを開封し、製品を取り出し、剥離紙を剥がし、物品の中心が使用者の膣開口部と整列し、かつ小陰唇が閉鎖構造に維持されるように、(接着面を身体に向けて)物品を身体に適用する。製品は、膣内に月経液を保持する。
【0146】
実施例II−陰唇内パッチ
陰唇内パッチは、20mm(長さ)×20mm(幅)、0.2mm厚の625型ポリエチレンフィルム(J.P.Stevens)に、二液型接着剤MG 7−9800 Soft Skin Adhesive Kit(A & B)(Dow Corning(登録商標)(Midland,MI.)を、5mg/平方センチ(30mg/平方インチ)でコーティングすることで調製する。そのパッチを、商品名「POLY SLIK(登録商標)」の剥離紙(Loparex Inc.(Willowbrook,Ill)から入手可能)に積層し、個別にパッケージ化する。消費者はパッケージを開封し、製品を取り出し、剥離紙を剥がし、製品を、陰唇の内側であり膣の外側に、陰唇パッチが膣口上に直接適用されるように、(接着面を身体に向けて)適用する。製品は、膣内に月経液を保持する。
【0147】
〔実施の態様〕
(1) 膣内の月経液を維持するための物品であって、
身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、
前記物品を身体に選択的に付着させるために、前記基材の前記身体対向面に適用される接着剤と、を含み、
前記基材は膣開口部を覆い、それによって前記膣内の月経液を維持するように構成され配置されている、物品。
(2) 前記基材は、少なくとも片側の小陰唇から反対側の小陰唇まで延びるように構成され配置されている、実施態様1に記載の物品。
(3) 前記物品は、0.3g未満の全液体容量を有する、実施態様1に記載の物品。
(4) 前記物品は、0.1g未満の全液体容量を有する、実施態様2に記載の物品。
(5) 前記物品は、約0.1mm〜約5mmの範囲の厚さを有する、実施態様1に記載の物品。
【0148】
(6) 前記物品は、長手方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約150mmの長さを有する、実施態様1に記載の物品。
(7) 前記物品は、横方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約100mmの幅を有する、実施態様6に記載の物品。
(8) 前記物品は、約400mm〜約15000mmの範囲の全表面積を有する、実施態様7に記載の物品。
(9) 前記接着剤は、以下の特性、
G’[100ラジアン/秒(37℃)]/G’[0.1ラジアン/秒(37℃)]≧4.5、及び
−20℃≦Tg(℃)≦15℃、を有する、実施態様1に記載の物品。
(10) 前記接着剤を皮膚から取り外すのに必要な剪断力は、前記基材を変形させるのに必要な力よりも大きい、実施態様1に記載の物品。
【0149】
(11) 前記接着剤は、約100〜約700N/mの剥離力を有する、実施態様1に記載の物品。
(12) 前記物品は、500秒を超える液体浸透時間(FPT)を有する、実施態様1に記載の物品。
(13) 膣内の膣滲出液を維持するための物品であって、
身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、
前記物品を身体に選択的に付着させるために、前記基材の前記身体対向面に適用される接着剤と、を含み、
前記基材は膣開口部を覆い、それによって前記膣内の膣滲出液を維持するように構成され配置されている、物品。
(14) ヒトの身体内の膣滲出液を維持する方法であって、前記方法は、
物品が膣開口部にわたって広がるように、前記物品を身体に適用する工程を含み、
前記物品は、身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、身体に前記物品を選択的に付着させるために、前記基材の前記身体対向面に適用される接着剤と、を含み、前記基材は、前記膣開口部を覆い、それによって前記膣内の月経液を維持するように構成され配置される、方法。
(15) 前記基材は、少なくとも片側の小陰唇から反対側の小陰唇まで延びるように構成され配置される、実施態様14に記載の方法。
【0150】
(16) 前記物品は、0.3g未満の全液体容量を有する、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記物品は、0.1g未満の全液体容量を有する、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記物品は、約0.1mm〜約5mmの範囲の厚さを有する、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記物品は、長手方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約150mmの長さを有する、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記物品は、横方向に延びる中心線に沿って測定される際、約20mm〜約100mmの幅を有する、実施態様19に記載の方法。
【0151】
(21) 前記物品は、約400mm〜約15000mmの範囲の全表面積を有する、実施態様20に記載の物品。
(22) 前記接着剤は、以下の特性、
G’[100ラジアン/秒(37℃)]/G’[0.1ラジアン/秒(37℃)]≧4.5、及び
−20℃≦Tg(℃)≦15℃、を有する、実施態様14に記載の方法。
(23) 使用者の月経期の各日に対して、1日につき、前記物品の少なくとも1つを身体に適用する工程、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(24) 前記物品を使用者の身体から取り外す工程と、前記物品のうちの第2の物品を使用者の身体に適用する工程と、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
(25) 使用者の月経期の各日に対して、1日につき、前記物品を身体から取り外すことと、前記物品の少なくとも1つを身体に連続的に適用して取り外すことと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0152】
(26) 剪断力及び剥離力が、前記接着剤を皮膚から取り外すのに必要であり、前記剪断力が前記基材を変形させるのに必要な力よりも大きく、前記基材を変形させるのに必要な前記力が、前記皮膚から前記接着剤を取り外すのに必要な前記剥離力よりも大きい、実施態様14に記載の方法。
(27) ヒトの身体内の月経液を維持する方法であって、前記方法は、
物品が膣開口部にわたって広がるように、前記物品を身体に適用する工程を含み、
前記物品は、身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、身体に前記物品を選択的に付着させるために、前記基材の前記身体対向面に適用される接着剤と、を含み、前記基材は、膣開口部を覆い、それによって膣内の膣滲出液を維持するように構成され配置される、方法。
(28) 膣内の月経液を維持するための物品であって、
身体対向面及び反対の衣類対向面を有する可撓性基材と、
非感圧性接着性物質、粘膜接着剤若しくは生体接着剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される接着剤と、を含み、前記接着剤は、前記物品を身体に選択的に付着させるために前記基材の前記身体対向面に適用され、
前記物品は、陰唇の内側であるが膣の外側の領域内に適合して膣口を直接覆い、それによって前記膣内の月経液を維持するように寸法決めされ、構成され、かつ配置されている、物品。
(29) 前記接着剤は、非感圧性接着性物質である、実施態様28に記載の物品。
(30) 前記非感圧性接着性物質は、ワックス、脂肪族アルコール、高分子量アルコール、脂肪酸、ワセリン、シーリング軟膏、非イオン性界面活性剤、アルコキシル化アミド、アルコキシル化アミン、アルキルアミドアルキルアミン、アルキル置換型アミノ酸、スクロース脂肪酸エステル及びこれらの混合物からなる群から選択されている、実施態様29に記載の物品。
【0153】
(31) 前記接着剤は、粘膜接着剤又は生体接着剤である、実施態様28に記載の物品。
(32) 前記粘膜接着剤又は生体接着剤は、天然、合成又は生体ポリマー、脂質、リン脂質、シリコーン接着性ゲル及びこれらの混合物からなる群から選択されている、実施態様31に記載の物品。
(33) 前記粘膜接着剤又は生体接着剤は、セルロース誘導体、天然ゴム、ポリアクリレート、アルギン酸塩、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ブロックコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される天然及び/又は合成ポリマーである、実施態様32に記載の物品。
(34) 前記粘膜接着剤又は生体接着剤は、シリコーンゲル接着剤前駆体の形態のシリコーン接着性ゲルである、実施態様32に記載の物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a