【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の1つの主題は、分枝状オルガノポリシロキサンの製造のための完全に連続した方法であって、
− 第1の反応装置としてのカラム内の第1の工程では、少なくとも1つの
第1のクロロシランをアルコールと連続的に反応させて縮合度の低いポリオルガノシロキサン混合物(=シリコーン樹脂中間体)を生成させ、この反応は
a) アルコールおよび水、または
b) アルコール、水および
当該第1のクロロシランとは以下のように、即ち、
− それはより揮発性が低く、従ってより高い沸点を有し、および
− さらにより低い反応性を有することができる
ように異なる少なくとも1つのさらなるクロロシランにより起こり、
c)加水分解性塩素1モル当たり0.1から2.0モルのアルコールが使用され、
d)
使用されたアルコールは最大で5重量%の水を含有し、
− 第2の工程では、第1の工程からのシリコーン樹脂中間体を第2の反応装置としての連続ループ反応器または連続的な入出力を有する撹拌バッチ反応器または連続的に接続された攪拌装置カスケードに移し、そこで反応が
a) アルコールおよび水を用いて触媒痕跡量の塩化水素の存在下で、または
b) アルコールおよび水を用いて、触媒痕跡量の塩化水素の存在下で、さらにアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化オルガノポリシロキサンまたはアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化シランを添加して、起こり、
最終生成物、即ち、所望の縮合度を有する分岐状オルガノポリシロキサンを生成し、
但し、方法全体の間に、使用されるアルコール以外に、他の溶媒は使用されず、
このアルコールは1種類のアルコールまたは少なくとも2種類の異なるアルコールの混合物からなることができる該方法である。
【0039】
本発明のさらなる主題は、分枝状オルガノポリシロキサンの製造のための部分的に連続した方法であって、
− 第1の反応装置としてのカラム内の第1の工程では、少なくとも1つの
第1のクロロシランを連続的に反応させて縮合度の低いポリオルガノシラン混合物(=シリコーン樹脂中間体)を生成させ、この反応は
a) アルコールおよび水、または
b) アルコール、水および
当該第1のクロロシランとは以下のように、即ち、
工程が以下のように異なり、
− それはより揮発性が低く、従ってより高い沸点を有し、および
− さらにより低い反応性を有することができる
ように異なる少なくとも1つのさらなるクロロシランにより起こり、
c)加水分解性塩素1モル当たり0.1から2.0モルのアルコールが使用され、
d)
使用されたアルコールは最大で5重量%の水を含有し、
− 第2の工程では、第1の工程からのシリコーン樹脂中間体を第2の反応装置としての撹拌された不連続的に操作されるバッチ反応器に移し、そこで反応が
a) アルコールおよび水を用いて触媒痕跡量の塩化水素の存在下で、または
b) アルコールおよび水を用いて、触媒痕跡量の塩化水素の存在下で、さらにアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化オルガノポリシロキサンまたはアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化シランを添加して、起こり、
最終生成物、即ち、所望の縮合度を有する分岐状オルガノポリシロキサンを生成し、
但し、方法全体の間に、使用されるアルコール以外に、他の溶媒は使用されず、
このアルコールは1種類のアルコールまたは少なくとも2種類の異なるアルコールの混合物からなることができる該方法である。
【0040】
本発明による完全にかつ部分的に連続的な方法の両方のさらなる実施形態は、
第1の工程で生じたカラムの塩酸含有ヘッド留出物を凝縮させ、予備反応器からの反応混合物の投入点よりも短い距離だけ下のカラムに戻し、それによりそれはカラムの底部に到達せず、カラム内で遊離した塩酸は反応系から完全に除去され、その結果、シリコーン樹脂中間体は100ppm未満の残留塩酸含有量でさらにワークアップすることなく反応カラムの底部に蓄積する。
【0041】
次に、最終生成物(=高度に縮合された分枝状オルガノポリシロキサン)のワークアップ/精製が、ストリッピングによって行われ得る。このようにして、それは揮発性成分を含まず、その後、これはその純粋で最終的な形態で存在する。ストリッピングは任意に変更することができ、手順はすべて既知の従来技術の範囲内にあり、例えば、蒸留を含む。適切な変形例のさらなる例については、以下でより詳細に説明する。第2の工程の後に生成物をストリッピングする際に得られる留出物は、第2の反応装置の留出物として続く本文に記載されている。
【0042】
アルコールとしては、好ましくは、アルコキシシランの製造、またはクロロシランとアルコールおよび場合により水との反応によるオルガノポリシロキサンの製造のために使用することができ、その沸点が特定のアルコキシシランまたは製造されるべきオルガノポリシロキサンの沸点よりも低いアルコール性ヒドロキシル基を有する炭化水素化合物が使用される。アルカノールおよび1から6個の炭素原子を有するエーテル酸素で置換されたアルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n−またはイソプロパノール、ベータメトキシエタノール、n−ブタノールまたはn−ヘキサノールが好ましい。メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール、特にメタノールおよびエタノールが特に好ましい。場合により、特定の反応装置に供給する前に短い混合区域で均質化することができる、異なるアルコールの混合物も使用することができる。
【0043】
この方法で生じる塩化水素は、好ましくは、第1の反応装置のヘッドにおいて縮合性の成分を含まず、これらの成分は次いで関連する反応装置に戻される。従って、塩化水素はガスとして回収することができる。
【0044】
クロロシランまたはクロロシラン混合物としては、好ましくは、クロロシランとアルコールおよび場合により水との反応によるアルコキシシランまたはオルガノポリシロキサンの製造のための従来技術において既に使用されているものが使用される。これらは、特に、一般式(I)のシランである。
R
nSiCl
4−n (I)、
式中、
Rは、水素基、またはヘテロ原子で置換されたもしくは置換されていない酸安定性のC1からC18炭化水素基を意味し、
nは0、1、2または3の値を有することができ、
但し、式(I)のシランの多くとも50%中のnは3の値を有し、
式(I)のシランの少なくとも20%中のnは0または1の値を有する。
【0045】
ここではクロロシランを使用しているので、基Rの酸安定性は塩酸による攻撃に対する安定性を意味する。
【0046】
本発明の開示の全ての式において、記号はそれらの意味を互いに独立して有する。ケイ素原子は常に4価である。
【0047】
炭化水素基Rの選択された例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えば、n−ヘキシル基、ヘプチル基、例えば、n−ヘプチル基、オクチル基、例えば、n−オクチル基およびイソオクチル基、例えば、2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えば、n−ノニル基、デシル基、例えば、n−デシル基、ドデシル基、例えば、n−ドデシル基、およびオクタデシル基、例えば、n−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基、アルカリール基、例えば、トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基、ならびにアラルキル基、例えば、ベンジル基およびβ−フェニルエチル基である。特に好ましい炭化水素基Rは、メチル、n−プロピルおよびフェニル基である。
【0048】
<第1の工程>
式(I)のシランは、純粋なシランとして、および式(I)の異なるシランの混合物としての両方で使用することができる。それらは、第1の反応装置、即ち、カラムに直接供給される。
【0049】
− 第1の反応装置では、クロロシランのアルコキシル化および縮合の両方が、クロロシランまたはクロロシラン混合物とアルコールおよび水との反応を介して起こり、低縮合度のオルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂中間体としてさらなる本文中に記載される)および塩化水素ガスが得られる。形成される塩化水素ガスは、カラムから取り出され、縮合性成分の除去後に再循環される。冷却ブラインで縮合可能な成分はカラムに戻すことができる。このカラムにおいて、クロロシランまたはクロロシラン混合物は、最初にカラム底部(そこでアルコールは沸点まで加熱される)から蒸気としてクロロシランに向かって流れるアルコールと遭遇する。これにより、カラム底部に移動するアルコキシシランがクロロシランから形成される。そこではそれらはアルコールと水との混合物に遭遇し、加水分解して縮合し、オリゴマーが形成される。縮合の程度は、水の量によって制御可能である。アルコキシシランまたはアルコキシシラン混合物がもたらす少量の残留塩素含有量は、ここでは加水分解触媒として十分である。カラム中のアルコキシシラン形成中に遊離した塩酸をカラムから取り出す。これの間に、必然的かつ不可避的にアルコキシシランに付着する塩酸の上でアルコキシシラン形成の間に遊離される塩酸の導入を防止する措置が取られることがこの方法の特徴である。匹敵する方法のための従来技術における利点として時々述べられているような酸還流の導入による底部の過度の酸性化は、このようにして本発明の方法では明白に回避される。
【0050】
第1の反応装置の後の、単離され、ストリッピングされたシリコーン樹脂中間体の粘度は、それぞれ25℃で最大で600mPas、特に最大で500mPas、特に最大で400mPasである。
【0051】
この第1の反応装置後の純粋なストリッピングされたシリコーン樹脂中間体のアルコキシ含有率は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも22重量%、特に少なくとも25重量%である。第1の反応装置のこのシリコーン樹脂中間体中のケイ素結合塩素の量は、最大で100ppm、好ましくは最大で75ppm、特に最大で50ppm、特に好ましくは最大で30ppmである。
【0052】
<第2の工程>
第1の工程からのシリコーン樹脂中間体を含有する反応混合物は、ループ反応器または連続的な入出力を有する攪拌バッチ反応器を含む第2の反応装置に移される。さらに、少なくとも2つの攪拌装置の連続的に接続された攪拌装置カスケードの使用が可能である。第2の工程はまた、単純な攪拌装置が使用され、反応が適切な保持時間で行われ、次いでワークアップのために排出されるという点で、不連続的に実施することもできる。
【0053】
この第2の反応装置では、さらなる反応は、a)アルコールおよび水を用いて、工程1および2からもたらされた触媒痕跡量の塩化水素の存在下で、所望の縮合段階(=高度に縮合した分枝状オルガノポリシロキサン=最終生成物)まで行われる。好ましくは、第2の反応装置中の混合物は、各々第1の工程からの純粋なストリッピングされたシリコーン樹脂中間体100重量部を基準にして、4から17重量部、特に好ましくは6から14重量部の量の水、50から120重量部、特に好ましくは60から100重量部の量のアルコール、0.02から0.1重量部、特に好ましくは0.04から0.08重量部の量の塩化水素を含む。
【0054】
さらなる実施形態において、b)触媒痕跡量の塩化水素の存在下でのアルコールおよび水との反応は、さらなるアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化オルガノポリシロキサンまたはアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化シランのさらなる添加により行われる。ここで、さらなるアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化オルガノポリシロキサンまたはアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化シランは、好ましくは液体であるか、またはそれらは第1の工程のシリコーン樹脂中間体を製造するために使用されたアルコールまたはアルコール混合物に可溶性である。
【0055】
追加のアルコキシおよび/またはヒドロキシ官能化オルガノポリシロキサンは、式(IV)の繰り返し単位から構成されるものである。
式(IV):R
pSi(OR
1)
qO
(4−p−q)/2
式中、
Rは上記の意味を有し、
R
1は、同一または異なる1価のC
1からC
6アルキル基または水素を意味し、
pおよびqは0、1、2または3を意味し、
但し、
p+q≦3かつ
式(IV)の全繰り返し単位の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも40%のpは1の値を有する。
【0056】
さらなる追加のアルコキシシランは一般式(V)を有する。
式(V):R
2oSi(OR
1)
4−o
式中、
R
2はヘテロ原子で置換されていてもいなくてもよい炭化水素基を意味し、窒素原子はヘテロ原子として含まれておらず、
R
1は上記の意味を有し、
oは0、1、2または3を意味する。
【0057】
本発明による方法の主な利点は、第2の工程におけるさらなる加水分解および縮合が、さらなる極性または非極性溶媒の添加なしに、反応物として使用されるアルコールまたはアルコール混合物の使用のみで行われ、最終生成物、即ち、任意の所望の縮合度の分枝状オルガノポリシロキサンが得られる。