特許第6490838号(P6490838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6490838-検査システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490838
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20190318BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20190318BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20190318BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G01N21/88 Z
   H04N7/18 B
   H04N5/225 500
   H04N5/225 800
   H04N5/225 600
   H04N5/222 100
   H04N5/225 200
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-562115(P2017-562115)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公表番号】特表2018-507418(P2018-507418A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】AU2016050050
(87)【国際公開番号】WO2016134412
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2017年10月12日
(31)【優先権主張番号】2015900630
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】513114179
【氏名又は名称】ビーエーイー・システムズ・オーストラリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】バルディー、ジェームス・マレー・アンドリュー
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−241658(JP,A)
【文献】 特開平11−341338(JP,A)
【文献】 実開昭55−159676(JP,U)
【文献】 特開平11−014784(JP,A)
【文献】 特開昭60−257395(JP,A)
【文献】 特開2000−292363(JP,A)
【文献】 特開2006−177705(JP,A)
【文献】 特開2013−110571(JP,A)
【文献】 特表2013−543584(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0303488(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0104921(US,A1)
【文献】 米国特許第06847394(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
H04N 5/222
H04N 5/225
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体内の少なくともつの検査場所を可視的に検査するための検査システムであって、
前記検査場所を見るために前記構造体内に設けられ、検査の間に前記検査場所の画像を取得する少なくともつの撮像装置と、
検査の間に前記検査場所を照明するための少なくとも1つの光源と、
前記構造体に設けられ、前記構造体のアクセスポートからアクセス可能であり、前記検査システムのユーザが、前記撮像装置によって取得された前記検査場所の前記画像を見るために使用される外部装置との接続と、外部電源から前記検査システムへの電力の流れのための前記外部電源との接続との両方を提供するように構成される共通の電気的コネクタと、
前記撮像装置から前記共通の電気的コネクタに伸び、前記接続の両方のために使用され、
前記外部電源が、検査の間に前記共通の電気的コネクタに接続されるとき、前記外部電源から前記撮像装置に電力を供給するための電気接続、および、前記検査場所の前記画像を表す画像データを、前記撮像装置から前記部装置に搬送するための更なる電気接続を提供するように構成される、
ワイヤハーネスと、
を含
前記検査システムが、前記共通の電気的コネクタを介して前記外部電源とインターフェースされたとき、前記少なくとも1つの検査場所の検査のために、前記少なくとも1つの撮像装置が起動され、前記少なくとも1つの光源が点灯される、
検査システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置の撮像レンズまたは開口を選択的に露出させるための、および、その他の時に前記撮像レンズまたは開口を保護するためのシャッターを含
前記シャッターは、前記外部電源が前記共通の電気的コネクタに接続され、前記撮像装置に前記電力の流れを与えるときに開くように構成される、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるため、および、その他の時に前記撮像装置を保護するために格納位置および/または方向に前記撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるために操作可能である台またはステージに搭載され、
モータが、前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるために前記台またはステージを駆動するように与えられ、
前記外部電源が前記共通の電気的コネクタに接続され、前記格納位置および/または方向から前記撮像装置を動かす、および/または、方向を変えるために前記撮像装置に前記電力の流れを与えるとき、前記台またはステージは、前記モータによって駆動される、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項4】
前記少なくともつの検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項5】
前記少なくともつの検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある、請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光源は、(i)赤外、(ii)可視、および、(iii)紫外の波長の内の少なくとも2つでの照明のために構成される、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記共通の電気的コネクタは、USBコネクタであり、
前記ワイヤハーネスは、USBケーブルである、
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項8】
前記構造体内の1つまたは複数の検査場所を見るために前記構造体内に設けられた複数の撮像装置を備える、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項9】
構造体内の少なくともつの検査場所の検査を容易にするために検査システムを使用する方法であって、
前記検査システムは、少なくとも1つの撮像装置と、少なくとも1つの光源と、共通の電気的コネクタと、ワイヤハーネスとを備え、
前記検査システムが、前記共通の電気的コネクタを介して外部電源とインターフェースされたとき、前記少なくとも1つの検査場所の検査のために、前記少なくとも1つの撮像装置が起動され、前記少なくとも1つの光源が点灯され、
検査の間に、前記検査場所を見て、前記検査場所の画像を取得するために、前記構造体内に、前記検査システムの前記少なくともつの撮像装置を設置することと、
検査の間に前記検査場所を照明するために、前記検査システムの前記少なくとも1つの光源を、前記構造体内に設置することと、
前記検査システムのユーザが、前記撮像装置によって取得された前記検査場所の前記画像を見るために使用される外部装置との接続と、前記外部電源から前記検査システムへの電力の流れのための前記外部電源との接続との両方を提供するために、前記構造体のアクセスポートからアクセス可能であるように、前記構造体の前記アクセスポートに、前記検査システムの前記共通の電気的コネクタを位置づけることと、
前記撮像装置から前記共通の電気的コネクタに伸び、前記接続の両方のために使用され、
前記外部電源が、検査の間に前記共通の電気的コネクタに接続されるとき、前記外部電源から前記撮像装置に電力を供給するための電気的接続、および、前記検査場所の画像を表す画像データを、前記撮像装置から前記部装置に搬送するための更なる接続を提供するように構成される、前記検査システムの前記ワイヤハーネスを与えることと、
を含む方法。
【請求項10】
前記共通の電気的コネクタを前記外部電源に接続することを更に含み、
前記撮像装置は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置の撮像レンズまたは開口を選択的に露出させるための、および、その他の時に前記撮像レンズまたは開口を保護するためのシャッターを含
前記外部電源が、前記共通の電気的コネクタに接続され、前記撮像装置に前記電力の流れを与えるとき、前記シャッターが開く、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向きを定めるように台またはステージを駆動するためのモータを与えることと、
前記共通の電気的コネクタを前記外部電源と接続することと、
を更に含み、
前記撮像装置は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるため、および、その他の時に前記撮像装置を保護するために格納位置および/または方向に前記撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるため前記モータによって操作可能である前記台またはステージに搭載され、
前記外部電源が、前記共通の電気的コネクタに接続され、前記格納位置および/または方向から前記撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるために、前記撮像装置に前記電力の流れを与えるとき、前記台またはステージが前記モータによって駆動される、
請求項または請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくともつの検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある、請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくともつの検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある、請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記共通の電気的コネクタは、USBコネクタであり、
前記ワイヤハーネスは、USBケーブルである、
請求項9ないし請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記検査システムは、前記構造体内の1つまたは複数の検査場所を見るために、前記構造体内に複数の撮像装置を含み、
前記ワイヤハーネスは、前記複数の撮像装置を前記共通の電気的コネクタに接続するために共通に使用される、
請求項9ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムに関し、特に、アクセスすることが困難な構造体の場所または構造体内の場所を検査するための検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人によって直接アクセスすることが困難または不可能な場所での検査を行うことが重要である多くの状況がある。例えば、そのような場所は、複雑なまたは曲がりくねった経路のナビゲーションを必要とする装置または構造体内の深くにあり得、および/または、密封された、封入された、または、その他アクセスできない囲われたもの内にあり得、または、人によって直接アクセス可能な任意の場所から単に離れている場合もある。そのような検査は、必ずしも可視的な検査に限定されないが、広範囲に多様な異なるタイプの検査装置またはセンサーの任意の1つまたは複数を使用する検査を、典型的には(必須ではないが)可視的な検査と組み合わせて含む。
【0003】
例えば、構造体または装置の予防の保守検査は、通常、その製造者によって、および/または、規制機関によって課される計画ベースの検査体制を用いて行われる。しばしば、これは、構造体/装置を分解すること、何も見つけないこと、そして再組み立てすることを含む。そのような必要だが実りのない行動は、無駄な運転休止期間、無駄な検査者の時間、追加のコスト、時には、保守による損傷や故障の偶発的な発生という代償が生じる。逆に、時には、延長されたプラットフォームの運転休止期間(スペア部品のリードタイムによって、しばしば悪化される)、予想されるよりも高い修理のための労働時間とコスト、総合的な保守リソースと運用への重大な影響につながる、重要かつ予測不能な損傷が、検査期間中に予期せずに発見されていることが起こる。
【0004】
この点で、腐食の負担は、耐用年数を延長することへの高まる圧力、より過酷な環境での運用、環境に優しい腐食防止剤の削減効果、危険なスペースへのアクセスのための高まるOH&S(Occupational Health and Safety:安全衛生)の要件、保守により引き起こされる損傷の原因となる過度に厳格な強制的な検査体制、および、他の原因などの要因により、多くの産業にわたってますます重要になっている。
【0005】
例えば、国防軍は、腐食による増加コストとプラットフォーム運用休止期間にますます関心を払うようになってきており、腐食により、年間の軍団の利用可用性の10%以上を失うことは珍しいことではない。1つの最近の研究は、航空機の腐食が、2013年に、オーストラリア国防軍に$238M(238百万ドル)を費やさせたと結論付けた。更に、保守体制は、また、計画された検査の3分の2が腐食のためにあって存在し、より多くの損傷は、実際の材料の酸化によるよりも、結果として起こる構造体の分解と再組み立てによってなされる。
【0006】
しかし、保守検査は、アクセスするのが困難な場所を検査する唯一の理由である。
【0007】
従って、先行技術の1つまたは複数の課題に対処するまたは緩和すること、または、有用な代替策を少なくとも提供することが、望まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、構造体内の1つまたは複数の検査場所を可視的に検査するための検査システムが提供され、検査システムは、 検査場所を見るために、構造体の中に設けられた1つまたは複数の撮像装置と、 検査の間に検査場所を照明するための少なくとも1つの光源と、 撮像装置から構造体の少なくとも1つの外部ポートに伸び、検査の間にポートに接続されるとき、構造体の外部の電力供給源から撮像装置に電力を供給するように、および、検査場所の画像を表す画像データを、撮像装置から、検査システムのユーザによる見るための外部の装置に搬送するよう構成されるワイヤハーネスと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、撮像装置の各々は、検査の間に検査場所を見るために撮像装置の撮像開口またはレンズを選択的に露出するための、および、その他の時に撮像レンズまたは開口を保護するための、遠隔操作可能なシャッターを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、撮像装置の少なくとも1つは、検査の間に検査場所を見るために撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるように、および、その他の時に撮像装置を保護するために格納位置および/または向きに撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるように遠隔操作可能である対応する台またはステージに搭載される。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光源は、(i)赤外、(ii)、可視、および、(iii)紫外の波長の内の少なくとも2つでの照明のために構成される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、構造体または第2の装置の1つまたは複数の比較的アクセスができない検査場所の検査を容易にするための検査方法が提供され、方法は、 検査場所を見るために構造体内の1つまたは複数の撮像装置と、 検査の間に検査場所を照明するための少なくとも1つの光源と、 撮像装置から構造体の少なくとも1つの外部ポートに伸び、検査の間にポートに接続されるとき、構造体の外部の電力供給源から撮像装置に電力を供給するように、および、検査場所の画像を表す画像データを、撮像装置から、検査システムのユーザによる見るための外部の装置に搬送するよう構成されるワイヤハーネスと、を搭載することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、撮像装置の各々は、検査の間に撮像場所を見るために、撮像装置の撮影レンズまたは開口を選択的に露出するための、および、その他の時に撮像レンズまたは開口を保護するための、遠隔操作可能なシャッターを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、撮像装置の少なくとも1つは、検査の間に検査場所を見るために撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるように、および、その他の時に撮像装置を保護するために格納位置および/または向きに撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるように遠隔操作可能である対応する台またはステージに搭載される。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみで、この中で以降に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態による航空機の翼部内に設置された検査システムを示す概略図である。
【詳細な説明】
【0021】
本発明の記載された実施形態は、構造体の比較的にアクセスが可能でない場所、特に、構造体の内部の検査場所、の検査を容易にするための検査システムを含む。検査システムは、有利には、船舶または乗り物などの移動可能な構造体の内部の検査場所を検査するために適用され得る。
【0022】
この中に記載された検査システムは、時々に検査されるべきである構造体内に搭載される撮像装置のシステムを含む。撮像装置は、構造体内の検査場所を見るように構成される。いくつかの実施形態では、各撮像装置は、検査の間に検査場所を見るために、撮像装置の撮像レンズ、開口、または、センサーを選択的に露出するための、および、その他の時に、撮像レンズ、開口、または、センサーを汚染または損傷から保護するための遠隔操作可能なシャッターを含む。各撮像装置は、また、検査の間に検査場所を照明するための光源を含む。光源、レンズ、および/または、センサーは、有利には、構造体の状態に関する増強されたまたは追加の情報を提供するために、可視、赤外、および/または、紫外の波長で撮像することを容易にするように構成され得る。
【0023】
検査システムは、また、撮像装置から構造体の少なくとも1つの外部ポートに伸びるワイヤハーネスを含む。ワイヤハーネスは、検査の間にポートに接続されたときに、構造体の外部の電力供給源から撮像装置に、電力を供給するように構成される。ワイヤハーネスは、検査場所の画像を表す画像データを、画像装置から、検査システムのユーザにより見るための外部の装置に搬送する。
【0024】
検査システムは、特に、検査のコストが、隔室またはタンクなど、実装のコストより高い状況で使用するのに有利である:
i.頻繁に検査される;
ii.深く、隠された場所にある;
iii.再組み立てにおいて、コストがかさむ新しい留め具/消耗品を必要とする;
iv.安全上のリスクを引き起こす; および/または、
v.保守によって引き起こされた損傷をしばしば被る。
【0025】
1つの実施形態において、検査システムは、航空機の翼内に設置される。図1は、航空機の翼のひとつの部分102の図示である。図から分かるように、航空機の翼の各々は、翼のスパンに沿って通じる前部と後部の第1の構造部材または翼桁104と、翼桁104に直交する第2の構造部材106を含み、これらは共同して、翼の内部容積を、前部、中央、および、後部の洞、隔室、または、「ボックス」に分割する。図1に示されるように、第1の構造部材106は固体であり、従って、各翼部分を3つの相互に隔離された隔室に分割し、一方、第2の構造部材106は、各翼の長さに沿った隔室から隔室へのアクセスを可能にする開口を含む。
【0026】
翼の状態を監視するために、各洞または隔室は、1つまたは複数の撮像装置を含み得る。図1の実施形態では、翼の部分102の先頭または前部のボックスは、翼の内部空間が状態モニタのために遠隔で検査されることを可能にするために、2つの撮像装置108、110(いくつかの実施形態では、「デジタルカメラ」であってよい)を含む。特に、翼桁104の前方に面する面は、典型的には、腐食に影響されやすい。従って、1つの撮像装置108は、隔室全体(ワイヤハーネス116と第2の撮像装置110を含む)の全般的な状態をモニタするために魚眼レンズを有し、第2の撮像装置110は、翼桁104の基部に設置され、翼桁104の翼桁腹部(web)118と翼桁柱頭(cap)120を綿密にモニタするために広角レンズを用いて構成される。撮像装置の追加のペアが、他の前部翼ボックス(図示されず)の状態をモニタするために、それらボックスの各々において同じ構成で設置される。
【0027】
この中に記載される検査システムは、非常に小型で軽量なパッケージで、高精細解像度を提供し得る。撮像装置のレンズの周囲に搭載された円状のLEDアレイが、検査場所の照明(この例では、可視波長)を提供する。各撮像装置108、110のレンズ構成は、撮像装置の設置位置および所望の視野に基づいて選択され、典型的には、広角または魚眼レンズである。一般的に、光学系の構成および出力は、各場所について要件を満たすように調整され得る。いくつかの実施形態では、各撮像装置は、撮像装置の電源が入れられたときに自動的に開き、撮像装置が使用中でないときにレンズを保護する遠隔操作可能な機械式レンズキャップまたはカバーを装備される。
【0028】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの撮像装置は、撮像装置の位置および/または方向を制御するために、遠隔操作可能なステッパモータを含む台またはステージ上に搭載される。これは、撮像装置が、オペレータによる制御の下で、異なる検査領域を選択的に見ることを可能にする。加えて、撮像装置は、撮像装置が使用されないときに撮像装置のレンズまたは開口を保護するために、「保護された領域(park)」または格納位置/方向を選ぶように位置付けられ、および/または、方向を定められ得る。そのような実施形態では、撮像装置は、レンズまたはカバーを含む必要はない。
【0029】
翼の部分102の前部隔室における2つの撮像装置108、110は、航空機の翼の下側にある翼アクセスポート116からアクセス可能である外部電気コネクタ114に共通のワイヤハーネス112を介して接続される。他の撮像装置(図示されず)が、翼の中央または後部の隔室の中に設けられてもよう、そうである場合、同様に翼アクセスポート116(または、いくつかの実施形態では、異なる翼アクセスポート)からアクセス可能である、それらをそれぞれの外部電気コネクタ(図示されず)に接続する独自のワイヤハーネス(複数も可)を有する。
【0030】
検査を行うために、保守者は、航空機に、移動型の電力供給源と画像記憶と表示の装置(典型的には、ノートブックまたはタブレットコンピュータの形態で)を持っていき、これらを、翼アクセスポート116に設けられた電気コネクタを介してワイヤハーネス112に接続する。移動型の電力供給源が接続されると、電力が、電力供給源からデジタル撮像装置108、110に流れ、各撮像装置108、110を起動し、(利用可能な場合)レンズカバーを開くか、または、(利用可能な場合)撮像装置をその格納構成から動かし/再方向付けをし、光源を点灯させる結果を有する。各撮像装置108、110によって取得された画像は、ワイヤハーネス112を介して画像記憶と表示装置に、各撮像装置108、110によって送られる。受け取られた画像は、それらが受け取られたときに表示され得、保守者が、腐食または他の保守項目の任意の明らかな兆候を直ちに評価することを可能にする。加えて、新たに取得された画像は、同じ検査場所から以前に取得された画像と比較されることができ、保守要員が、その間に発生した任意の変化をより徹底して評価することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、検査は、保守者が、ワイヤハーネス112をインターネットなどの広域通信ネットワークに接続された有線または無線のネットワークインターフェースを有する画像取得装置に接続することにより、遠隔で実行されることが可能である。これは、構造体が、構造体から離れた位置にいる人によって検査されることを可能にする。例えば、オランダにある風力タービンは、オーストラリアにいる人によって検査され得る。
【0032】
上述されたように、検査システムは、ワイヤハーネスを介して外部電力供給源と連結されたとき電力を与えられるだけであり、従って、内蔵電池(または、航空機内での設置の場合には、航空機の電力)、または、データ取得と記憶ユニットの必要性を除く。従って、設置は、たいへん小さくて軽く、あったとしても、安全性への懸念をほとんど引き起こさない。
【0033】
この技術に技量をもった者に明らかであるように、撮像装置は、画像センサーからデータを受け取り、例えば、USBなどの標準の通信プロトコルを用いて、標準の通信インターフェースを介して、画像記憶と表示装置にそれを送るために、他にもある中で、東芝または三星などの会社から入手可能であるCMOSまたはCCD画像センサーなどの市販されている画像センサーと、この技術に技量を有する者に既知である関連する標準の電子部品とを用いて製造され得る。代替的に、いくつかの実施形態において、撮像装置は、USBインターフェースを有する市販のデジタルカメラであり、各デジタルカメラへのワイヤハーネスは、対応するUSBケーブルを含む。一例として、好適な市販のデジタルカメラは、「webカメラ」、ラジオコントロール飛行機カメラ、「一人称視点(遠隔操作)」(first person view:FPV)」、あるいは、「スポーツアクション(sport action)」カメラ、などを含む。デジタルカメラの他の好適な種類は、この技術に技量を有する者には明らかである。
【0034】
いくつかの実施形態では、各デジタルカメラは、また、そのUSBケーブルを介して電力を供給され、そのワイヤハーネスはUSBケーブルである。デジタルカメラの電力要求が十分に低い実施形態では、各デジタルカメラは、標準のUSB電力によって電力を供給され得、画像記憶と表示装置(ラップトップコンピュータであってよい)とは独立の外部電力供給源の必要性をなくす。
【0035】
この中に記載された検査システムは、アクセスが困難な場所における手動で行われる検査の上でかなりの利点を与える。例えば、設置された光学系による視覚的な検査は、頻繁ではなく、コストを要し、時間を費やす計画された検査ではなく、構造体の簡便で頻繁なモニタを可能にする。検査が腐食をモニタすることを含み、腐食が検出される場合、腐食の進行が追跡され、予測され得る。検査システムは、また、腐食への前兆(例えば、塗料の劣化/はがれ/鈍化/粉末化、スモーキング(黒い線条のついた)リベット(smoking rivets)、濡れなど)を検出するために使用され得、効果的かつ早期の予防措置がとられ得る。予防措置が成功しない、または、不可能な場合、腐食開始は、通常の可視的な検査プロセスと基準によって特定されるように、磨き直しが必要とされるまで、綿密にモニタされ得る。
【0036】
上述されるように、いくつかの実施形態では、撮像装置/カメラは、航空機内に設置される。新しい航空機は、ますます、よし少ないAl(アルミニウム)合金を使用する一方、航空機のための腐食の研究は、主として、アルミニウム中心のままである。しかし、検査システムは、航空機用の複合材料、チタンなどのますます使用されるようになっている他の材料のモニタを提供し、専用の腐食研究/センサー/モデルでもって、または、なしに、他の構造体のモニタを可能にする。
【0037】
この中に記載された検査システムは、また、遮断された排水孔、削り屑、腐食する(すり減る)部品、機体クラック、緩い航空電子コネクタ、擦り切れた配線、異物、などをモニタするために使用され得る。従って、検査システムは、検査を除くことの完全なコストと時間の利点が実現されるように、物理的な視覚的な検査の必要性を回避するために十分に信用されるデータを収集し得る。
【0038】
多くの変形が、本発明の範囲から逸脱することなく、この技術に技量を有する者に明らかである。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
構造体内の1つまたは複数の検査場所を可視的に検査するための検査システムであって、
前記検査場所を見るために、前記構造体内に設けられた1つまたは複数の撮像装置と、
検査の間に前記検査場所を照明するための少なくとも1つの光源と、
前記撮像装置から前記構造体の少なくとも1つの外部ポートに伸び、
検査の間に前記外部ポートに接続されるとき、前記構造体の外部の電力供給源から前記撮像装置に電力を供給するように、および、前記検査場所の画像を表す画像データを、前記撮像装置から、前記検査システムのユーザによって見るための外部の装置に搬送するように構成される、
ワイヤハーネスと、
を含む、検査システム。
[C2]
前記撮像装置の各々は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置の撮像レンズまたは開口を選択的に露出させるための、および、その他の時に前記撮像レンズまたは開口を保護するための、遠隔操作可能なシャッターを含む、[C1]に記載の検査システム。
[C3]
前記撮像装置の少なくとも1つは、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるための、および、その他の時に前記撮像装置を保護するために格納位置および/または方向に前記撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるための、遠隔操作可能である対応する台またはステージに搭載される、[C1]または[C2]のいずれか一項に記載の検査システム。
[C4]
前記1つまたは複数の検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある、[C1]ないし[C3]のいずれか一項に記載の検査システム。
[C5]
前記1つまたは複数の検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある、[C4]に記載の検査システム。
[C6]
前記少なくとも1つの光源は、(i)赤外、(ii)可視、および、(iii)紫外の波長の内の少なくとも2つでの照明のために構成される、[C1]ないし[C5]のいずれか一項に記載の検査システム。
[C7]
構造体または第2の1つまたは複数の比較的アクセスができない検査場所の検査を容易にするための検査方法であって、
前記検査場所を見るために、前記構造体内に1つまたは複数の撮像装置と、
検査の間に前記検査場所を照明するための少なくとも1つの光源と、
前記撮像装置から前記構造体の少なくとも1つの外部ポートに伸び、
検査の間に前記外部ポートに接続されるとき、前記構造体の外部の電力供給源から前記撮像装置に電力を供給するように、および、前記検査場所の画像を表す画像データを、前記撮像装置から、検査システムのユーザによって見るための外部の装置に搬送するように構成される、
ワイヤハーネスと、
を搭載することを含む検査方法。
[C8]
前記撮像装置の各々は、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置の撮像レンズまたは開口を選択的に露出させるための、および、その他の時に前記撮像レンズまたは開口を保護するための、遠隔操作可能なシャッターを含む、[C7]に記載の検査方法。
[C9]
前記撮像装置の少なくとも1つは、検査の間に前記検査場所を見るために前記撮像装置を選択的に動かす、および/または、方向を定めるための、および、その他の時に前記撮像装置を保護するために格納位置および/または方向に前記撮像装置を動かす、および/または、方向を定めるための、遠隔操作可能である対応する台またはステージに搭載される、[C7]または[C8]のいずれか一項に記載の検査方法。
[C10]
前記1つまたは複数の検査場所は、船舶または乗り物の囲まれた洞内にある、[C9]に記載の検査方法。
[C11]
前記1つまたは複数の検査場所は、航空機の胴体または翼洞内にある、[C10]に記載の検査方法。
図1