(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6490858
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】食事メニューの策定を支援するシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20190318BHJP
【FI】
G06Q50/22
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-116017(P2018-116017)
(22)【出願日】2018年6月19日
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】特願2018-89140(P2018-89140)
(32)【優先日】2018年5月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2018-106081(P2018-106081)
(32)【優先日】2018年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518158042
【氏名又は名称】西浦 龍太郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西浦 龍太郎
【審査官】
田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−312563(JP,A)
【文献】
特開2016−200963(JP,A)
【文献】
特開2014−211749(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/129205(WO,A1)
【文献】
特開2016−091061(JP,A)
【文献】
特開2017−041217(JP,A)
【文献】
特開2002−015046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
一回の食事メニューを決定するにあたり、飲食物の選択肢を表示するステップと、
前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定するステップと、
前記選択された飲食物の特定後、前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示するステップと、
該特定された飲食物と該提示された飲食物とを含む前記一回の食事メニューを決定するステップと、
該決定された食事メニューに対応して実際に摂取した食事の内容を入力するステップと、
次回の食事メニューを決定する際に、該入力された食事の内容に基づいて、前記選択肢の内容または数を調整するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記食事メニューには、飲食物の摂取の順序に関する情報が含まれる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記選択肢の内容または数が調整された結果、前記一回の食事メニューの決定の際に選択可能であった一の飲食物が前記次回の食事メニューの決定の際に選択不能になった場合、当該次回の食事メニューの決定にあたり、当該一の飲食物を他の飲食物と区別されるように表示するステップを更に実行する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記ユーザの身体管理についての計画を設定するステップと、
複数回摂取した食事の内容に基づいて前記計画の達成の度合いを決定し、該決定した度合いに基づいて前記計画を変更するステップと
を更に有する請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記ユーザが行った身体活動量を入力するステップを更に有し、
該実際に摂取した食事の内容および前記身体活動量に基づいて、前記選択肢の内容または数が調整される
請求項3または4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記ユーザの治療の状況に関する情報を入力するステップを更に有し、
前記選択肢の決定において、該入力された治療の状況に関する情報が更に用いられる、
請求項3ないし5のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記ユーザの身体管理についての計画を設定するステップを更に有し、
前記計画の達成の度合いは、一の期間内における、前記実際に摂取した複数回の食事の内容に基づいて決定される
請求項3ないし6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
該決定された食事メニューに含まれる食品を提供する1以上の店を決定するステップを更に有する
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
一回の食事メニューを決定するにあたり、最初に飲食物の選択肢を表示する表示手段と、
前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定する特定手段と、
前記選択された飲食物の特定後、前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示する提示手段と、
該特定された飲食物と該提示された飲食物とを含む前記一回の食事メニューを決定する決定手段と
該決定された食事メニューに対応して実際に摂取した食事の内容を入力する手段と、
を有し、
前記提示手段は、該入力された食事の内容に基づいて前記選択肢の内容または数を調整する、
装置。
【請求項10】
コンピュータにおいて、
表示手段が、一回の食事メニューを決定するにあたり、最初に飲食物の選択肢を表示するステップと、
特定手段が、前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定するステップと、
前記選択された飲食物の特定後、提示手段が、前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示するステップと、
決定手段が、該特定された飲食物と該提示された飲食物とを含む前記一回の食事メニューを決定するステップと、
入力手段が、該決定された食事メニューに対応して実際に摂取した食事の内容についてユーザによってなされた入力を受け付けるステップと、
前記提示手段が、次回の食事メニューを決定する際に、該入力された食事の内容に基づいて前記選択肢の内容または数を調整するステップと
を有する、食事メニュー提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事メニューの提案に関する。
【背景技術】
【0002】
食事メニューを提案する技術がある。例えば文献1には、食事者の活動パターンと食事者の嗜好とを考慮した上で、栄養学的に好ましい食事メニューを優先的に提示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−200963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1の方法では、提案された食事をこなすだけであって、自ら積極的にメニューの策定に関わるというものではない。また、提案される食事内容にユーザの嗜好が考慮されているといっても、必ずしも好きなものを食べることができるわけではないので、食べたいものが食べられないというストレスが溜まり、食事管理を継続するモチベーションが下がる原因にもなり得る。
本発明は、食事メニューの策定において、ユーザに主体的に関与させつつ、栄養学的に妥当なものを決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一の態様において、コンピュータに、
一回の食事メニューを決定するにあたり、飲食物の選択肢を表示するステップと、前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定するステップと、
前記選択された飲食物の特定後、前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示するステップと、該特定された飲食物と該提示された飲食物とを含む一回の食事メニューを決定するステップと、
該決定された食事メニューに対応して実際に摂取した食事の内容を入力するステップと、次回の食事メニューを決定する際に、該入力された食事の内容に基づいて前記選択肢の内容または数を調整するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
好ましくは、前記食事メニューには飲食物の摂取の順序に関する情報が含まれる。
好ましくは、前記プログラムは、前記選択肢の内容または数が調整された結果、前記一回の食事メニューの決定の際に選択可能であった一の飲食物が前記次回の食事メニューの決定の際に選択不能になった場合、当該次回の食事メニューの決定にあたり、当該一の飲食物を他の飲食物と区別されるように表示するステップを更に実行する。
好ましくは、前記ユーザが行った身体活動量を入力するステップを更に有し、該実際に摂取した食事の内容および前記身体活動量に基づいて、前記選択肢の内容または数が調整される。
好ましくは、前記ユーザの治療の状況に関する情報を入力するステップを更に有し、前記選択肢の決定において、該入力された治療の状況に関する情報が更に用いられる。
好ましくは、前記ユーザの身体管理についての計画を策定するステップを更に有し、前記計画の達成の度合いは、一の期間内における、前記実際に摂取した複数回の食事の内容および前記身体活動量に基づいて決定される。
【0006】
本発明によれば、食事メニューの策定において、ユーザに主体的に関与させつつ、栄養学的に妥当なものを決定することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施例>
図1は端末100の機能図である。端末100はスマートフォンやパーソナルコンピュータ等の情報の入力と出力(表示)の機能を有する装置であって、入力手段110と、情報処理部120と、表示手段130と、記憶部140を含む。
【0009】
記憶部140は半導体メモリ等の記憶デバイスであって、ユーザの指示にて実行され後述する本発明に係る機能を実現するアプリケーションプログラムの他、食事の摂取を通じた身体の管理・改善に関する計画(例えば、1か月以内に体重を3kg落とすなど、以下「身体管理計画」という)、実際に摂取した食事内容や身体活動(運動や日常生活上の行動)に関する情報などのユーザが入力した各種情報のほか、判定、提案、評価、長期的または短期的アドバイスの生成を情報処理部120が実行するために用いる、演算アルゴリズムや栄養や飲食品に関するデータベースが記憶される。また、記憶部140には、現在のユーザ(年齢、性別、身長、体重等)に関する身体情報が記憶される。
【0010】
表示手段130は、液晶画面や描画プロセッサからなり、端末100にて生成された情報を表示するデバイスである。表示手段130は、飲食物の選択肢を表示する。加えて、表示手段130には、決定した食事メニュー、運動メニュー、および身体管理計画の実施の状況を示すレポートが表示される。
【0011】
入力手段110は、タッチパネルやマウス等の入力デバイスであって、ユーザから情報の入力を受付ける。具体的には、入力手段110は、前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物の指定を受付け、選択された飲食物を特定する特定手段として機能する。また、入力手段110を介して、ユーザは、自身が行った身体活動量に関する情報を入力する。また、ユーザの身体管理の計画に関する情報や、ユーザの現在の身体に関する情報(身長、体重、基礎代謝量等)が入力手段110から入力される。なお、入力手段110は、情報機器と接続してその情報を取得する通信機能を有していてもよい。この場合、デバイス身体活動量に関する情報は、通信機能付き万歩計(登録商標)等の情報機器から取得してもよい。
【0012】
情報処理部120はプロセッサであって、提示手段121と、決定手段122と、策定手段123と、判定手段124とを含む。
【0013】
提示手段121はユーザによって選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示する。好ましい態様において、提示手段121は、該実際に摂取した食事の内容および前記身体活動量に基づいて、前記選択肢の内容および選択肢の数のうち少なくともいずれかを調整する。
【0014】
決定手段122は、ユーザよって選択された飲食物と提示手段121にて提示された飲食物とを含む、一回の食事メニューを決定する。
【0015】
具体的には、提示手段121および決定手段122は、記憶部140に記憶された、各食品についてのカロリーや栄養素の情報と、運動の種類に応じて消費されるカロリーの値、身体情報(例えば基礎代謝に関する情報)とを用いて、身体管理計画の実現を達成する
ための食事メニュー(複数の食品の食べ合わせや順序)の候補を特定する。後述するように、食事メニュー候補のなかから、ユーザによってなされた選択内容を踏まえて、最終的に、一つの食事メニューが決定されることになる。すなわち、決定される食事メニューには、ユーザが選択した飲食物が必ず含まれることになる。なお、食事メニューには、飲食物の種類に加えて、その摂取の順序に関する情報が含まれてもよい。
なお、飲食品には、サプリメントなどの栄養補助食品が含まれる。
【0016】
策定手段123は、前記ユーザの身体管理についての計画を策定する。例えば、増減させるべき体重、体脂肪、筋肉量、骨密度といった要素で規定される。一例としては、ハリス・ベネディクト法を用いて、身体情報に基づいて基礎代謝量を計算し、目標の身体状況(体重等)および目標達成までの期間、設定した運動量とに基づいて、単位回数の食事当たりに、摂取するカロリーと消費するカロリーの差分を算出する。
【0017】
判定手段124は、上記計画の達成の度合いを、一の期間内における、前記実際に摂取した複数回の食事の内容および/または前記身体活動量に基づいて決定する。達成の度合いは、例えば、計画に従った場合の現在の体重と、実際に現在測定された体重との割合によって表わされる。
【0018】
図2は、食事メニューを決定する際の端末100の動作例である。端末100は、現在の身体状況(体重や筋肉量等)と身体管理計画を読出す(S501)。端末100は、読み出した身体状況と身体管理計画とに基づいて選択肢の内容を決定して表示する(S503)。
図5に、選択肢を表示した画面例を示す。この例では、ステーキ、野菜炒め、焼き魚、煮魚が選択できることを示す。加えて、ラーメンおよびカツ丼が選択できない品として表示されている。身体管理計画に合致しないためである。勿論、選択できない品の表示を省略してもよい。ただし、後述するように、選択可能な品(不可能な品)はユーザの身体管理計画の実施状況に応じて変化し得るので、いままで選択できなかった品が選択できるようになった、あるいはその逆の状態をユーザが容易に認識できるような表示方法を採用することが好ましい。
【0019】
なお、完成品ではなく、素材および/または調理法を選択できるようにしてもよい。また、選択肢の情報は、階層化(「肉」→「牛肉」→「牛肉の炒めもの」等)されていてもよい。この場合、一階層ずつ選択肢を提示し、ユーザは複数回選択することにより一の品が決定されることになる。
【0020】
図3に戻り、端末100は、ユーザによる選択を受付ける(S505)。例えば
図5の例においてステーキが選択される。続いて端末100は、身体管理計画および栄養データベース情報の記憶内容を参照し、選択されたステーキに適した1以上の食べ合わせ品や食べる順序を提示する(S507)。なお、選択枝を複数提示した場合は、端末100はユーザからの選択を受付け、一つの食べ合わせ品を決定する(S509)。提案すべき食べ合わせ品が更に存在する場合、全ての品を決定する(S511)。こうして、端末100は一食分のメニューを決定する(S513)。決定された食事メニューが画面に表示される。
図6は、この時の画面例である。この例では、選択されたステーキに対して、ビタミンを補いつつ脂肪分解効果のあるトマトジュースを先に摂取し、最後に炭水化物を摂取するという食事メニューが提案されている。
【0021】
図3は短期的アドバイスを行う際の動作例である。端末100は、予め設定したタイミング(一回の食事ごとまたは一日の食事毎、あるいは最後にこのアプリケーションプログラムを起動してから所定期間が経過した時点など)で、食事内容の報告を取得する(S601)。加えて、必要に応じて、身体活動量を取得する(S602)。なお、現在の身体状況(体重等)に関する情報も併せて取得することが好ましい。具体的には、予め設定し
たタイミングが到来すると、ユーザが上記情報を入力することを促すメッセージを画面に表示する。
【0022】
端末100は、取得した情報に基づいて、提案した食事メニュー通りの食事を行ったか、および提案の通りの運動を行ったかを判定する(S603)。判定の結果、提案内容と実際の食事および/または身体活動の内容の相違が基準値以上である場合、選択肢を変更する(S604)。具体的には、ユーザの選択の自由度が狭まるように、選択肢の内容および提示数のうち少なくともいずれかが変更される。この変更は、次回の食事メニューの提案時における画面の表示に反映されることになる。一方、基準値よりも小さい場合は、選択肢を維持する。あるいは、選択の自由度が増えるように、選択肢を変更してもよい。
続いて、端末100は、摂取した食事や運動の状況に関する評価や、今後の食事や運動のあり方についてのアドバイスなどを含むレポートを生成して画面に表示する(S605)。
【0023】
図7は、選択肢の変更があった場合において次の食事メニューの提案の際に表示される画面例である。
図5と比較すると、実際に摂取した食事がカロリーオーバーおよび/または運動量不足だったために、比較的高カロリー食品であるステーキが選択できない状態となっている。すなわち、ユーザの食事内容や運動内容が好ましくなかったために選択肢が減っている。逆に、ユーザの食事内容や運動内容が想定通りないし想定以上だった場合は、選択肢が維持されるまたは増えることになる。
【0024】
なお、ある食品が選択可能から選択不能に変わった場合(あるいはその逆)、その変化が容易にわかるように他の食品と区別して表示してもよい。例えば、
図7の例では、「ステーキ」の文字色、書体、文字サイズを、他の食品のそれとは異ならせる。あるいは、該当の食品を点滅表示させてもよいし、上記の変化を説明した文書を同一画面上に表示してもよい。
【0025】
図4は、長期的なアドバイスを行う際の動作例である。端末100は、定期的に(所定回数(例えば10食分)の食事が行われたこと、あるいは身体計画の実施日から所定日数(例えば一週間)が経過したこと)、あるいは選択枝の数が所定数以下になったことを契機として、身体管理計画に関する実施状況についてのレポートを作成する(S701)。レポートには、目標の達成度、計画と実施状況の乖離度に関する情報(単に達成度という)が含まれる。具体的には、端末100は、蓄積された身体状況の履歴、食事や運動の状況の履歴、および身体管理計画に基づいて、達成度を算出する。
【0026】
そして、端末100は現時点での達成度(たとえば計画実行残存期間に対する目標値との乖離度)が所定値以下であるか否かを判定し(S702)、所定値以下である場合(S702:YES)、計画の中止または変更(見直し)を提案する(S703)。計画の変更を決定した場合は、変更後の内容を特定する。達成度が所定値以下でない(換言すると、順調に食事メニューをこなしている)場合、計画の変更等は行わない。
【0027】
上記実施例によれば、最初にユーザに食べたいものを選択させた上で、選択された品に適する食べ合わせが提案される。これにより、できるだけ食べたいものを食べさせつつ、身体管理ないし栄養管理的に適切な食事メニューが提案される。ユーザは、提示された選択肢の範囲内で選んだ好きなものを必ず食べることができるので、食事を強制されているという感情を抱きにくく、逆に栄養管理に主体的に関与している感覚を得ることができる。
【0028】
また、ユーザが実際に摂取した食事の内容(および必要に応じて行った身体活動に関する情報)に基づいて、提案に従って食事および/または運動を行っているかを判定し、判
定結果に基づいて、ユーザが選択できる品を異ならせる。具体的には、提案の通りに食事を行っていない場合は、選択の自由度が狭まり、提案の通りに(あるいは提案よりも好ましい)食事を行っている場合は、選択の自由度が維持または増える。すなわち、自分の食事行為や運動行為が選択の自由度の減少という形で、いわばペナルティとして自身にフィードバックされるので、身体管理に主体的に関与する意識やモチベーションが強くなり、目標が達成される可能性が高くなること期待される。
【0029】
さらに、目標からのずれ(計画の実現性・実行性)があるレベルまで悪化することによって、最初に選べる飲食品の選択肢が無くなってしまったあるいは事実上無くなってしまった場合、当初の身体管理計画を破棄するまたは見直すように提案がされる。このように、ユーザに的確なタイミングで振り返りや、新しい目標を目指すための動機づけ(モチベーション)を与える。これにより、身体管理に対するユーザのモチベーションが失われてしまう事態を避けることができる。
【0030】
<変形例>
以下、上記実施例に適用することができる変形例を記載する。下記に記載の1以上の事項は組み合わせて用いられもよい。
【0031】
選択肢や決定したメニューを表示する画面には、料理の画像、調理方法の動画像、解説文等の情報が更に表示されてもよい。
【0032】
身体管理計画において、食事や運動に加えて、疾患の治療(投薬、通院など)の状況が考慮されてもよい。具体的には、疾患の治療の状況についての情報は、ユーザによって端末100に入力されてもよいし、医療施設など治療の計画や実施状況を管理するサーバ(図示せず)から取得してもよい。例えば、端末100は、予め設定されたタイミング(例えば食事内容の入力を促すタイミングと同じタイミングあるいは薬を飲むタイミング)で、治療の状況についての情報の入力をユーザに促す。治療の状況についての情報は、例えば、医師から所定の期間で薬を飲むように指示されている場合において、その指示通りの薬を指示通りの量を飲んだか否かを示す情報である。
【0033】
情報処理部120は、食事の状況、運動の状況に加えて治療の状況に応じて、ユーザに提示すべき食品の選択肢の決定、ユーザが選択した食品を含む一回の食事メニューの決定、短期的アドバイスおよび長期的アドバイスの生成を行う。
【0034】
具体的には、提示手段121は、取得した疾患の治療に関する情報をさらに踏まえて、一回の食事メニューを決定する。例えば、ユーザが高血圧の治療薬を飲むことを医師から指示されている場合において、情報処理部120が医師の指示通りに薬を飲んでいないこと判定した場合、
図5に示すユーザに提示する選択肢のうち、血圧維持に悪影響のある食品を選択枝から除外する。あるいは、血圧低下作用のある食品を優先的に表示する。具体的には、表示の順序(位置)を変更し、あるいは書体や文字サイズを変更して他の食品よりも目立つ態様で表示する。この場合、その食品が薬の飲み忘れに起因して優先表示されていることを説明する文書を、同一画面に表示してもよい。
【0035】
策定手段123は、身体管理計画を構成する一要素として、投薬が実施されているかの情報を含ませ、判定手段124は、さらに投薬の実施状況を踏まえて計画の達成の度合いを算出する。
【0036】
このようにすることで、食事、運動、治療を総合的に管理し、食事の状況、運動の状況、治療の状況が、ユーザに提示される食品の選択肢に反映されるので、食事、運動、治療を総合的に改善しようというモチベーションが向上することが期待される。
【0037】
策定手段123が用いる身体情報には、基礎代謝量だけでは表すことが困難な、体質に関する情報が含まれていてもよい。具体的には、身体情報に、太りやすい/太りにくい(食品や栄養素の種類と代謝との関係)、あるいは飲食品に対するアレルギー反応性などの関係についての情報、その他の体質に関する情報を含ませておく。一般的に、同一の食品や栄養素を摂取しても、代謝や吸収率といった体質的ないし遺伝的な要素が異なると、食事の影響が体重の増減その他の身体に及ぼす影響が異なることがあり得るからである。特に、発育段階にある未成年がユーザである場合、一般的に、推奨される食事内容が体質に依存する割合が大きく、身長や体重といった汎用的な情報だけでは理想的な食事内容を提案することが難しい場合があるが、体質に関する情報を加味することで、体質に応じた食事メニューを提案することで、個人の体質に合った身体管理が実現する。
このような体質に関する情報は、例えば、ユーザは医師や医療機関から手渡された印刷媒体に記載され、当該ユーザあるいは当該ユーザの監督者が端末100に入力することで、記憶部140に記憶される。あるいは、このような情報は、端末100の備える通信機能を用いて、インターネット等を介して医療機関のデータベース(図示省略)にアクセスすることで取得されてもよい。
【0038】
また、策定手段123は、年齢あるいは体質に応じて、目標からのずれが許容される程度を異ならせてもよい。例えば、体質的に食事の摂取が身体に及ぼす影響が強いユーザについては、目標からのずれが許容される程度を小さく(厳しく)設定して、目標が未達の場合に最初に選択できる食品により反映され易くなるように、厳格に管理する。あるいは老人の場合は目標が未達の場合に最初に選択できる食品により反映され難くしてもよい。
【0039】
提示手段121および/または決定手段122は、飲食品の提示に加えて、決定した食事メニュー全体および食事メニューに含まれる一部の飲食品の提供者(レストランなど)を提示してもよい。
具体的には、記憶部140に、食品ごとにその食品を提供する1以上の店と、各店にて提供される食品の詳細情報(カロリー、量、味付け、原材料、トッピング、価格など)を記憶する、もしくはネットワークを通じて他の装置から適宜取得する。そして、食品決定されるとカロリー等の観点から身体管理計画に最も適する一つの店を決定する。決定した店の情報は、例えば、食品メニューを提示する際に、併せて表示される。例えば、
図6に示す画面において、「ステーキ」の近傍に付近のステーキハウスの店の位置や名称を示す情報を表示される。
【0040】
例えば、端末100にGPS等の位置情報取得機能と、インターネットブラウジング機能を設けておき、端末100は、「ステーキ」を検索キーとして自端末から所定の距離範囲に位置する店一覧を検索するためのクエリを生成して検索サイトへ送信し、店名や位置情報等を含む検索結果を取得し、同一の画面または別の画面において、地図上に重ねて表示してもよい。
【0041】
一般に、料理名(例えば、「野菜炒め」)によって表現される食品には、使用する原材料、料理方法、量などにバラつきがあり、摂取する栄養素、原材料等を正確に特定できない可能性がある。ところが、提供される店を特定すれば栄養素、原材料との詳細な情報を精度よく特定することできるので、より正確に身体管理を行うことができる。
このように、実質的に選択可能な飲食品のバリエーションが増えることで、ユーザは提示された複数の店の中から飲食する店を変えて店ごとの味を楽しむことができるので、ユーザが飽きずに身体管理を継続することが期待される。
【0042】
また、店の決定に際しては味に関するユーザの嗜好を加味してもよい。具体的には、味に関するユーザの嗜好についての情報(薄味が好み/トマト味は苦手など)を記憶部14
0に記憶しておき、取得した、複数の店が提供する食品の詳細情報とを比較し、ユーザの嗜好に適合する1以上の店候補を表示する。複数の店を表示した場合、ユーザはその中から一つを選択することで、食事メニューと店とが最終的に決定される。
【0043】
飲食物の決定機能、食事内容や身体活動内容の判定、レポートの作成機能については、端末100と通信を行う図示せぬサーバが行ってもよい。すなわち、本発明に係る食事メニュー提案方法において、飲食物の選択肢を表示するステップと、前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定するステップと、前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示するステップとが、一以上の情報処理装置にて実行されればよい。
【符号の説明】
【0044】
100・・・端末、110・・・入力手段、120・・・情報処理部、130・・・表示手段、140・・・記憶部、121・・・提示手段、122・・・決定手段、123・・・策定手段、124・・・判定手段
【要約】
【課題】食事メニューの策定において、ユーザに主体的に関与させつつ、栄養学的に妥当なものを決定することを目的とする。
【解決手段】端末(100)は、飲食物の選択肢を表示する表示手段と、
前記選択肢のなかからユーザによって選択された飲食物を特定する特定手段と、
前記選択された飲食物とともに摂取すべき飲食物を提示する提示手段と、
該特定された飲食物と該提示された飲食物とを含む一回の食事メニューを決定する決定手段とを有する。
【選択図】
図1