【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、心筋組織の微細環境(microenvironment)が実現された3次元構造体の製造方法を開発するために多様な研究を行った。これに、本発明者らは、脱細胞化された細胞外基質および心臓前駆細胞(cardiac progenitor cells)を含むバイオプリンティング用組成物と脱細胞化された細胞外基質、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells)、および血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)を含むバイオプリンティング用組成物を交互に用いた積層工程による3次元プリンティングを行った時、心筋組織の微細環境を効果的に実現できることを発見した。特に、このような3次元プリンティング方法は、心臓前駆細胞を構造体内に均等に位置させるだけでなく、構造体内に血管細胞からなる血管ネットワークを実現することによって、細胞の生存能を長期間維持させることができるため、心筋内部への細胞伝達効率を顕著に向上させることができることを発見した。
【0015】
これに、本発明の一例としては、
(a)脱細胞化された細胞外基質および架橋剤を含む組織工学用構造体形成溶液および心臓前駆細胞を含む第1バイオプリンティング用組成物と、前記組織工学用構造体形成溶液、間葉系幹細胞および血管内皮成長因子を含む第2バイオプリンティング用組成物で印刷および架橋化して第1バイオプリント層および第2バイオプリント層を交互に配置して3次元構造体を形成する段階;および
(b)前記架橋された3次元構造体を熱ゲル化して架橋−ゲル化3次元構造体を得る段階;
を含む心筋組織再生用3次元構造体の製造方法に関する。
【0016】
前記のように脱細胞化された細胞外基質および心臓前駆細胞を含む第1バイオプリンティング用組成物と;脱細胞化された細胞外基質、間葉系幹細胞および血管内皮成長因子を含む第2バイオプリンティング用組成物を交互に用いるプリンティングによる積層工程を行って製造される3次元構造体は、心臓前駆細胞が構造体内に均等に位置しているだけでなく、構造体内に血管細胞からなる血管ネットワークを実現することによって、心筋組織の微細環境を効果的に実現することができ、細胞の生存能を長期間維持させることができるので、心筋内部への細胞伝達効率を顕著に向上させることができる効果がある。
【0017】
前記脱細胞化された細胞外基質(decellularized extracellular matrix)は、心臓組織から由来したものであり得る。具体的には、体外に排出された心臓組織を脱細胞化することによって得られえ、人間、豚、牛、ウサギ、犬、ヤギ、羊、鶏、馬などの哺乳動物から排出された組織を脱細胞化することによって得られえ、好ましくは豚から得られた組織、さらに好ましくは豚から得られた心臓組織を脱細胞化することによって得られるが、これに限定されるものではない。
【0018】
前記脱細胞化は、公知の方法、例えば、Ott, H. C. et al. Nat. Med. 14, 213−221(2008), Yang, Z. et al. Tissue Eng. Part C Methods 16, 865−876(2010)等に開示された方法を用いるか、あるいは若干変形して行い得る。好ましくは、本発明者らが報告した脱細胞化方法、つまり、Falguni Pati, et al., Nat Commun.5, 3935 (2014)に開示された脱細胞化方法を用いて行うことができる。前記脱細胞化された細胞外基質は、通常凍結乾燥された粉末形態で保管され得る。
【0019】
前記脱細胞化された細胞外基質の使用量は、特に制限されないが、例えば、組成物の総重量に対して1ないし4重量%、1ないし3重量%、2ないし4重量%、好ましくは2ないし3重量%の含有量で用いられ得る。例えば、第1バイオプリンティング用組成物中の前記脱細胞化された細胞外基質は、第1バイオプリンティング用組成物の総重量に対して、1ないし4重量%の含有量で存在し得;第2バイオプリンティング用組成物中の前記脱細胞化された細胞外基質は、第2バイオプリンティング用組成物の総重量に対して、1ないし4重量%の含有量で存在し得る。前記範囲から外れて含有量が少ない場合は、材料が積層されない問題点が発生し、含有量が高い場合は、内部に封入された細胞が死滅する問題点が発生する。
【0020】
前記心臓前駆細胞および血管内皮細胞は、人を含む動物から由来した細胞であって商業的に購入することが可能であり、公知の方法によって培養、増殖させることができる。
【0021】
前記心臓前駆細胞は、第1バイオプリンティング用組成物中、10
5ないし10
8cells/ml、10
6ないし10
8cells/ml、10
5ないし5X10
7cells/ml、好ましくは10
6ないし5X10
7cells/mlの範囲で存在し得る。前記範囲から外れて含有量が少ない場合は、効能が低い問題点が発生し、含有量が高い場合は、細胞を囲んでいるバイオインク−脱細胞化された細胞外基質を架橋させても脱細胞化された細胞外基質が架橋されず、3次元形状を維持させることができない問題点が発生する。
【0022】
前記間葉系幹細胞は、第2バイオプリンティング用組成物中、10
5ないし10
8cells/ml、10
6ないし10
8cells/ml、10
5ないし5X10
7cells/ml、好ましくは10
6ないし5X10
7cells/mlの範囲で存在し得る。前記範囲から外れて含有量が少ない場合は、効能が低い問題点が発生し、含有量が高い場合は、細胞を囲んでいるバイオインク−脱細胞化された細胞外基質を架橋させても脱細胞化された細胞外基質が架橋されず、3次元形状を維持させることができない問題点が発生する。
【0023】
また、前記血管内皮成長因子は、第2バイオプリンティング用組成物中、50ないし1000ng/ml、50ないし900ng/ml、50ないし800ng/ml、50ないし700ng/ml、50ないし600ng/ml、50ないし500ng/ml、50ないし400ng/ml、50ないし300ng/ml、50ないし200ng/ml、100ないし1000ng/ml、100ないし900ng/ml、100ないし800ng/ml、100ないし700ng/ml、100ないし600ng/ml、100ないし500ng/ml、100ないし400ng/ml、100ないし300ng/ml、好ましくは100ないし200ng/mlの範囲で存在し得る。前記範囲から外れて含有量が少ない場合は、効能が低い問題点が発生し、含有量が高い場合は、過度な血管形成による問題点が発生する。
【0024】
第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、効率的な3次元プリンティングのため、pH6.5ないし7.5の範囲を有する粘弾性の均一な溶液の形態を有することが好ましい。
【0025】
したがって、前記組織工学用構造体形成溶液は、酸;蛋白質分解酵素;およびpH調節剤をさらに含み得る。前記酸、蛋白質分解酵素、およびpH調節剤は、水性媒質中に含まれたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0026】
また、前記酸は、酢酸および塩酸からなる群より選択された1種以上の酸であり得るが、これに限定されるものではない。前記酸は、脱細胞化された細胞外基質を溶解する機能を遂行し、好ましくは酢酸、塩酸などが用いられ得、さらに好ましくは、0.01ないし10M、0.01ないし9M、0.01ないし8M、0.01ないし7M、0.01ないし6M、0.01ないし5M、0.01ないし4M、0.01ないし3M、0.01ないし2M、0.01ないし1M、0.1ないし10M、0.1ないし9M、0.1ないし8M、0.1ないし7M、0.1ないし6M、0.1ないし5M、0.1ないし4M、0.1ないし3M、0.1ないし2M、0.1ないし1M酢酸水溶液、例えば、約0.5Mの酢酸水溶液、または0.01ないし10M、0.01ないし9M、0.01ないし8M、0.01ないし7M、0.01ないし6M、0.01ないし5M、0.01ないし4M、0.01ないし3M、0.01ないし2M、0.01ないし1M、0.01ないし0.1Mの塩酸水溶液、例えば、約0.01Mの塩酸水溶液の形態で用いることができる。
【0027】
前記蛋白質分解酵素は、脱細胞化された細胞外基質のテロペプタイト(telopeptide)の消化(digestion)機能を遂行し、ペブシンおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase)からなる群から選択された1種以上であり得るが、これに限定されるものではない。前記蛋白質分解酵素の使用量は、脱細胞化された細胞外基質の含有量に応じて相異するが、例えば、脱細胞化された細胞外基質100mgに対して5ないし30mg、5ないし25mg、10ないし30mg、好ましくは10ないし25mgの比率で用いられ得る。
【0028】
前記pH調節剤は、脱細胞化された細胞外基質の溶解のために使用された酸を中和させて組成物のpHをpH6.5ないし7.5、pH6.6ないし7.4、pH6.7ないし7.3、pH6.8ないし7.2、pH6.9ないし7.1、好ましくはpH7の範囲で調節するためのものであり、例えば、水酸化ナトリウムであり得るが、これに限定されるものではない。
【0029】
一実施例において、第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、独立して、それぞれの組成物の総重量に対して、酢酸および塩酸からなる群から選択された1種以上の酸0.03ないし30重量%;ペブシンおよびマトリックスメタロプロテアーゼからなる群から選択された1種以上の蛋白質分解酵素0.1ないし0.4重量%;およびpH調節剤をさらに含み得る。
【0030】
第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、それぞれ独立して、細胞、成長因子および酵素からなる群より選択された1種以上をさらに含み得る。
【0031】
前記細胞は、血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells)、血管内皮細胞(endothelial cells)および心筋細胞(cardiomyocytes)からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0032】
前記成長因子は、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor、FGF)、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor、PDGF)、アンジオポエチン−1(angiopoietin−1)、形質転換成長因子−ベータ(transforming growth factor beta、TGF−β)、エリスロポエチン(erythropoietin、EPO)、幹細胞因子(stem cell factor、SCF)、表皮成長因子(epidermal growth factor、EGF)およびコロニー刺激因子(colony stimulating factor、CSF)からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0033】
前記酵素は、基質金属蛋白分解酵素(matrix metalloproteinase、MMP)および基質金属蛋白分解阻害酵素(tissue inhibitor of matrix metalloproteinase、TIMP)からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0034】
一例で、前記第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物はそれぞれ独立して、
血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells)、血管内皮細胞(endothelial cells)および心筋細胞(cardiomyocytes)からなる細胞群より選択された1種以上の細胞;および
線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor、FGF)、血小板由来成長因子(platelet−derived growth factor、PDGF)、アンジオポエチン−1(angiopoietin−1)、形質転換成長因子−ベータ(transforming growth factor beta、TGF−β)、エリスロポエチン(erythropoietin、EPO)、幹細胞因子(stem cell factor、SCF)、表皮成長因子(epidermal growth factor、EGF)およびコロニー刺激因子(colony stimulating factor、CSF)からなる成長因子群より選択された1種以上の成長因子;
をさらに含み得る。
【0035】
また、前記1種以上の細胞および1種以上の成長因子をさらに含む第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、それぞれ独立して、
基質金属蛋白分解酵素(matrix metalloproteinase、MMP)および基質金属蛋白分解阻害酵素(tissue inhibitor matrix metalloproteinase、TIMP)からなる酵素群より選択された1種以上の酵素をさらに含み得る。
【0036】
前記成長因子は、血管成長補充物(endothelial cell growth supplement、ECGS)の形態で含まれるものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0037】
第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、せん断率が増加するほど粘度が低くなる粘弾性物質であることが好ましく、例えば、約15℃で測定される時、せん断率(shear rate)1 s
−1での粘度が1ないし30Pa・Sの範囲であるのが好ましい。前記粘度は、水性媒質(例えば、水、蒸溜水、PBS、生理食塩水など)の量を適切に調節することによって調節され得る。
【0038】
前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物を交互に用いるプリンティングは、公知の3次元プリンティング方法(例えば、「多軸組織臓器プリンティングシステム」を用いたプリンティング方法)を用い、Falguni Pati, et al., Nat Commun.5, 3935 (2014)等に開示された方法により行うことができ、例えば、多軸組織臓器プリンティングシステムの2個のシリンジを用いて前記プリンティングを行い得る。
【0039】
つまり、ポリカプロラクトンフレームワーク(polycaprolactone(PCL)framework)をシリンジにロードし、約80℃で加熱して重合体を溶融させる。前記プレゲル形態の3次元プリンティング用組成物を他のシリンジにロードし、温度を約15℃以下、好ましくは約4ないし10℃に維持させる。PCLフレームワークの製作(fabrication)のために400ないし650kPa範囲で空気圧(pneumatic pressure)を加える。前記プレゲル形態の組成物をプランジャー系低容量噴射システム(plunger−based low−dosage dispensing system)を用いて噴射する。
【0040】
また、前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物を交互に用いるプリンティングは、ポリカプロラクトンフレームワークを用いることなく、前記プレゲル形態の組成物のみをプランジャー系低容量噴射システム(plunger−based low−dosage dispensing system)を用いて噴射することによって行われることもできる。
【0041】
一実施例において、前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物を交互に用いる積層は、第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物を互いに一定の交差角を有するように配列して積層し得る。
【0042】
また、前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物は、繊維、テープ、または織物形態でプリンティングされ得る。
【0043】
一例として前記第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、それぞれ繊維形態で一つの層にプリンティングされ、前記一つの層は、第1バイオプリンティング用組成物がプリンティングされた繊維と第2バイオプリンティング用組成物がプリンティングされた繊維が、互いに交代された一方向繊維形態で製造された層であり得、また他の層は、前記層と一定の交差角を有するように積層されたものであり得る。つまり、0度方向1層90度方向1層を重ねて積層した構造であり得、このような積層形態の一例は
図3に示す。
【0044】
一実施例において、前記架橋剤は、リボフラビンであり得る。前記リボフラビンは、第1バイオプリンティング用組成物または第2バイオプリンティング用組成物の総重量に対して、0.001ないし0.1重量%、好ましくは0.01ないし0.1重量%の含有量で存在し得る。前記範囲を設定した理由は、心臓組織と類似の機械的特性を示す効果があるからである。
【0045】
また、前記それぞれの積層工程は、前記プリンティングおよびUVA下での架橋化により行われ得る。前記プリンティングおよびUVA下での架橋化を繰り返して行うことによって、つまり、積層工程(layer−by−layer process)を行うことによって、3次元構造体形状が形成される。
【0046】
高い安全性を有するリボフラビンを架橋剤として用いて3次元プリンティングおよびUVA下での架橋化による積層工程を行い3次元構造体形状を製作した後、得られた3次元構造体形状を熱ゲル化することによって、高い機械的強度を均一に有する3次元構造体を製造できる効果がある。
【0047】
前記UVA下での架橋化は、315ないし400nm、325ないし390nm、335ないし380nm、345ないし370nm、355ないし365nm、好ましくは約360nm波長のUVAを用い得る。
【0048】
また、前記UVA下での架橋化は、1ないし10分、1ないし9分、1ないし8分、1ないし7分、1ないし6分、1ないし5分、1ないし4分、2ないし10分、2ないし9分、2ないし8分、2ないし7分、2ないし6分、2ないし5分、2ないし4分、好ましくは約3分間行い得る。
【0049】
つまり、リボフラビンの使用を含む架橋−熱ゲル化方法(crosslinking−thermal gelation)によって高い機械的強度を均一に有する3次元構造体を製造できるということが本発明によって明らかになった。したがって、リボフラビンを用いる前記架橋−熱ゲル化方法によって高い機械的強度を提供できるだけでなく、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)のような毒性架橋剤の使用を必要とし、また、3次元構造体の内部には不均一な架橋を引き起こすプリント−後架橋(post−print crosslinking)の問題点を回避することができる。
【0050】
したがって、前記3次元構造体は1rad/sでのモデュラスが1ないし100kPa、1ないし90kPa、1ないし80kPa、1ないし70kPa、1ないし60kPa、1ないし50kPa、1ないし40kPa、1ないし30kPa、1ないし20kPa、例えば、10.58kPaであり得る。前記範囲を設定した理由は、心臓筋と類似の機械的強度で周辺環境を模写する効果があるからである。
【0051】
一実施例において、第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、独立して、それぞれの組成物の総重量に対して、リボフラビン0.001ないし0.1重量%;酢酸および塩酸からなる群から1種以上選択された酸0.03ないし30重量%;ペブシンおよびマトリックスメタロプロテアーゼからなる群から1種以上選択された蛋白質分解酵素0.1ないし0.4重量%;およびpH調節剤をさらに含み得る。
【0052】
前記実現例による第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、
【0053】
酢酸および塩酸からなる群から選択された1種以上の酸溶液に脱細胞化された細胞外基質を添加する段階;
【0054】
ペブシンおよびマトリックスメタロプロテアーゼからなる群から選択された1種以上の蛋白質分解酵素を添加する段階;および
【0055】
リボフラビン、pH調節剤および心臓前駆細胞(第1バイオプリンティング組成物の場合)、またはリボフラビン、pH調節剤、間葉系幹細胞および血管内皮成長因子(第2バイオプリンティング組成物の場合)を添加する段階;
を含む製造方法によって製造され得る。
【0056】
前記蛋白質分解酵素を加えた溶液を得る段階は、蛋白質分解酵素を加えた後、攪拌を行い得、前記攪拌は、脱細胞化された細胞外基質の完全な溶解を達成する時まで行うことができ、例えば、通常24ないし48時間の間行われ得るが、これに制限されるわけではない。
【0057】
前記印刷および架橋化は、ゲル化を防止するために15℃以下で行われ得、例えば、4ないし15℃、好ましくは4ないし10℃の低温で行われることが好ましい。
【0058】
また、前記熱ゲル化は、15℃超過で行われ得、例えば、20℃以上、25℃以上、好ましくは、20℃ないし50℃、20℃ないし40℃、20℃ないし37℃、25℃ないし50℃、25℃ないし40℃、さらに好ましくは、25℃ないし37℃の温度で行われ得る。
【0059】
前記製造方法によって製造される第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、pH−調節されたプレゲル(pH−adjusted pre−gel)形態であって、約4℃で冷蔵保管することが好ましい。
【0060】
また、前記熱ゲル化は、15℃超過で行われ得、例えば、20℃以上、25℃以上、好ましくは、20℃ないし50℃、20℃ないし40℃、20℃ないし37℃、25℃ないし50℃、25℃ないし40℃、さらに好ましくは、25℃ないし37℃の温度で行われ得る。前記範囲を設定した理由は、脱細胞化された細胞外基質を物理的に架橋する効果があるからである。前記熱ゲル化は、インキュベータ(humid incubator)内で行い得る。
【0061】
また、前記熱ゲル化は、5ないし60分、10ないし50分、15ないし40分、好ましくは20ないし30分間行い得る。前記範囲を設定した理由は、物理的架橋化反応が起こるのに要求される範囲であるからである。
【0062】
前記製造方法によって製造された3次元構造体の厚さは、伝達しようとする細胞の量に応じて調節することができ、50ないし1000μm、50ないし900μm、50ないし800μm、50ないし700μm、50ないし600μm、50ないし500μm、100ないし1000μm、100ないし900μm、100ないし800μm、100ないし700μm、100ないし600μm、100ないし500μm、200ないし1000μm、200ないし900μm、200ないし800μm、200ないし700μm、200ないし600μm、200ないし500μm、300ないし1000μm、300ないし900μm、300ないし800μm、300ないし700μm、300ないし600μm、300ないし500μm、400ないし1000μm、400ないし900μm、400ないし800μm、400ないし700μm、400ないし600μm、400ないし500μmの厚さ、例えば、500μmの厚さを有し得る。
【0063】
前記製造方法は、心臓前駆細胞を構造体内に均等に位置させるだけでなく、構造体内に血管細胞からなる血管ネットワークを実現することによって、細胞の生存能を長期間維持させることができ、心筋内部への細胞伝達効率を顕著に向上させることができ、心臓前駆細胞が構造体内に均等に位置した場合を
図9に示した。
【0064】
本発明の他の一例は、心筋組織再生用3次元構造体に関する。
前記心筋組織再生用3次元構造体は、脱細胞化された細胞外基質および架橋剤を含む組織工学用構造体形成溶液、および心臓前駆細胞を含む第1バイオプリンティング用組成物と、前記組織工学用構造体形成溶液、間葉系幹細胞および血管内皮成長因子を含む第2バイオプリンティング用組成物を印刷および架橋化によって交互に積層された構造を1以上含み得る。
【0065】
第1バイオプリンティング用組成物、第2バイオプリンティング用組成物、脱細胞化された細胞外基質、心臓前駆細胞、間葉系幹細胞、血管内皮成長因子に関する事項は前述したとおりである。
【0066】
前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物が印刷および架橋化によって交互に積層された構造は、第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物を互いに一定の交差角を有するように配列して積層された構造であり得る。また、前記第1バイオプリンティング用組成物と第2バイオプリンティング用組成物は、繊維、テープ、または織物形態でプリンティングされ得る。
【0067】
一例として、それぞれの層は、前記第1バイオプリンティング用組成物および第2バイオプリンティング用組成物は、それぞれ繊維形態で一つの層に印刷され、前記一つの層は、第1バイオプリンティング用組成物が印刷された繊維と第2バイオプリンティング用組成物が印刷された繊維が互いに交代された一方向繊維形態で製造された層であり得、また他の層は、前記層と一定の交差角を有するように積層されたものであり得る。つまり、0度方向1層90度方向1層を重ねて積層した構造であり得る。前記それぞれの層が1回ずつ積層された構造は、約50μmの厚さであり得る。
【0068】
前記3次元構造体の厚さは、伝達しようとする細胞の量に応じて調節することができ、50ないし1000μm、50ないし900μm、50ないし800μm、50ないし700μm、50ないし600μm、50ないし500μm、100ないし1000μm、100ないし900μm、100ないし800μm、100ないし700μm、100ないし600μm、100ないし500μm、200ないし1000μm、200ないし900μm、200ないし800μm、200ないし700μm、200ないし600μm、200ないし500μm、300ないし1000μm、300ないし900μm、300ないし800μm、300ないし700μm、300ないし600μm、300ないし500μm、400ないし1000μm、400ないし900μm、400ないし800μm、400ないし700μm、400ないし600μm、400ないし500μmの厚さ、例えば、500μmの厚さを有し得る。