【実施例】
【0035】
特徴化
Mg、Tiの測定
固体触媒成分中のMg及びTi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
サンプルは、“Fluxy”白金るつぼ”に0.1÷0.3グラムの触媒及び2グラムのメタほう酸リチウム/四ほう酸リチウム1/1混合物を分析秤量して製造した。KI溶液の数滴を添加した後、るつぼを完璧な燃焼のための特別な装置“Claisse Fluxy”に挿入する。残留物を5%v/vHNO
3溶液を使用して収集した後。
【0036】
Biの測定
固体触媒成分中のBi含量の測定は、“I.C.P分光計ARL Accuris”で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
サンプルは、200cm
3用量フラスコに0.1÷0.3グラムの触媒を分析秤量して製作した。約10ミリリットルの65%v/vHNO
3溶液及び約50cm
3の蒸溜水の両方をゆっくり添加した後、サンプルを4÷6時間消化させる。次いで、前記用量フラスコを脱イオン水で表示まで希釈させる。得られた溶液を直接次の波長:ビスマス223.06nmでICPを介して分析する。
【0037】
内部供与体含量の測定
固体触媒化合物中の内部供与体の含量測定は、ガスクロマトグラフィーを介して行われた。固体成分をアセトンに溶解させ、内部標準物質を添加した後、有機相のサンプルをガスクロマトグラフで分析して出発触媒化合物に存在する供与体の量を測定した。Bv
【0038】
キシレン可溶性分画(0/25℃)の測定
2.5gのポリマー及び250mLのo−キシレンを冷蔵庫及び磁気撹拌機を備えたガラスフラスコに導入する。温度を溶媒の30分内に沸点まで上昇させる。次いで、このようにして得られた溶液を還流下に維持させ、さらに30分間撹拌する。次いで、密閉されたフラスコを氷と水のバス中に30分間維持させ、次いで、25℃の恒温水槽に30分間さらに維持させる。このようにして得られた固体を急速濾過紙で濾過し、100mlの濾過液をあらかじめ秤量したアルミニウム容器に注き、これを窒素気流下で加熱板で加熱して蒸発によって溶媒を除去する。次いで、一定の重量が得られるまで容器を80℃のオーブンで真空下に維持させる。前記キシレン−可溶性分画の含量は、本来の2.5グラムの百分率で表示した後、その差(100に相補的)は、X.I.%で表示する。
【0039】
分子量分布(Mw/Mn)
分子量及び分子量分布は、13μmの粒子サイズを有する4つの混床式カラムPLgel Olexisが備えられたWaters Alliance GPCV/2000装備を使用して150℃で測定した。カラムの寸法は、300×7.8mmであった。使用された移動相は、真空蒸溜された1、2、4−卜リクロロベンゼン(TCB)であり、流量は1.0ml/分に維持した。サンプル溶液を1〜2時間TCBで150℃で撹拌しながらサンプルを加熱して製造した。濃度は1mg/mlであった。分解を防ぐために、0.1g/lの2、6−ジーtert−ブチル−p−クレゾールを添加した。300μl(公称値)の溶液をカラムセットに注入した。580〜7 500 000範囲の分子量を有する10個のポリスチレン標準サンプル(アジレント社のEasiCalキット)を使用して較正曲線を得た。Mark−Houwink関係式のK値は、次の通りであると仮定した:
K=1.21×10
−4dl/g及びα=0.706ポリスチレン標準物質の場合、
K=1.90×10
−4dl/g及びα=0.725実験サンプルの場合。
三次多項式フィットを、実験データを補間し、較正曲線を得るために使用した。データ取得及び処理は、GPCオプションを使用してWaters Empowers 3 クロマトグラフィーデータソフトウェアを使用して行った。
【0040】
溶融流量(MIL)
ポリマーの溶融流量MILは、ISO 1133(230℃、2.16Kg)に従って測定した。
【0041】
コモノマー含量の測定:
コモノマー含量は、フーリエ変換赤外線分光器(FTIR)を使用してサンプル対空気バックグラウンドのIRスペクトルを収集することによって赤外線分光法によって測定した。装備データ取得パラメーターは、次の通りである:
【0042】
パージ時間:最小30秒
収集時間:最小3分
アポディゼーション:Happ−Genzel
解像度:2cm−1。
【0043】
サンプル製造:
油圧プレスを使用して2枚のアルミニウムホイルの間に約1gのサンプルをプレッシングして厚いシートが得られる。均質性が問題になる場合、最小2回のプレッシング作動が推奨される。このようなシートから小さな部分を切断してフィルムを成形する。推奨厚さは0.02−:0.05cm(8〜20ミル)の範囲である。
【0044】
プレッシング温度は、約1分間180±10℃(356°F)及び約10kg/cm2(142.2PSI)の圧力である。圧力を解除し、プレスから除去してサンプルを室温まで冷却する。
【0045】
ポリマーの圧縮フィルムのスペクトルを吸光度対波数(cm−1)で記録する。次の測定値を使用してエチレン及び1−ブテン含量を計算する:
【0046】
膜厚さの分光標準化に使用される4482〜3950cm−1の組み合わせ吸収帯の面積(At)。
【0047】
アイソタクチック非添加的(isotactic non additivate)ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に750〜700cm−1の間の吸収帯の面積(AC2)及び次いで800〜690cm−1の範囲の1−ブテン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの面積。
【0048】
アイソタクチック非添加的ポリプロピレンスペクトルの2つの適切な連続的な分光学的減算の以後に769cm−1(最大値)における吸収帯の高さ(DC4)及び次いで800〜690cm−1の範囲のエチレン−プロピレンランダムコポリマーの基準スペクトルの高さ。
【0049】
エチレン及び1−ブテン含量較正直線を計算するために、既知量のエチレン及び1−ブテンのサンプルを使用して得られたエチレン及び1−ブテンに対する較正直線が必要である:
【0050】
エチレンの較正:
AC2/At対エチレンモルパーセント(%C2m)をフロットすることによって較正直線を得る。勾配GC2は、線形回帰から計算する。
【0051】
1−ブテンの較正
DC4/At対ブテンモルパーセント(%C4m)をフロットすることによって較正直線を得る。勾配GC4は、線形回帰から計算する。
【0052】
知られないサンプルのスペクトルを記録した後、知られないサンプルの(At)、(AC2)及び(DC4)を計算する。サンプルのエチレン含量(%モル分率C2m)は、次のように計算する:
【0053】
【数1】
【0054】
サンプルの1、ブテン含量(%モル分率C4m)は、次のように計算する:
【0055】
【数2】
【0056】
プロピレン含量(モル分率C3m)は、次のように計算する:
【0057】
【数3】
【0058】
重量を基準に、エチレン、1−ブテン含量は、次のように計算する:
【0059】
【数4】
【0060】
【数5】
【0061】
成分A)及びB)のコモノマー含量は、以下の式を用いて測定した:
C
2tot=X
AC
2A+X
BC
2B及びC
4tot=X
BC
4B
前記式において、
C2は、成分A、Bまたは全エチレン含量のエチレン誘導単位重量%であり;
C4は、成分Bまたは全1−ブテン含量の1−ブテン誘導単位重量%であり
XAは、成分A重量%/100の量であり
XBは、成分B重量%/100の量である。
【0062】
示差走査熱量法(DSC)を通じる溶融温度
ポリマーの溶融点(Tm)は、インジウム溶融点に対してあらかじめ較正したパーキンエルマー社製DSC−1熱量計上で、示差走査熱量法(D.S.C.)で、20℃/分でISO 11357−1,2009及び11357−3,2011に従って測定した。すべてのDSCるつぼ内のサンプルの重量は、6.0±0.5mgに維持した。
【0063】
溶融点を得るために、秤量されたサンプルをアルミニウムパンに密封し、20℃/分で200℃まで加熱した。サンプルを200℃で2分間維持し、すべての微結晶を完全に溶解させた後、20℃/分で5℃まで冷却した。5℃で2分間放置した後、サンプルを20℃/分で200℃まで二回目の実行時間加熱した。このような二回目の加熱作業で、ピーク温度(Tp、m)を溶融温度で取った。
【0064】
ヘイズの測定
各試験組成物を単軸スクリューコリン押出機(スクリュー1:25の長さ/直径比)で7m/分のフィルム延伸速度及び210〜250℃の溶融温度で押出して製造された約5×5cm 50μm厚さのフィルム試片を使用した。ヘイズ値は、ヘーズメーター(Hazemeter)タイプUX−10またはフィルター“C”と共にG.E.1209光源を有する同等の装備に連結されたガードナー(Gardner)測光単位を使用して測定した。既知のヘイズの基準サンプルは、装備を較正するのに使用した。
【0065】
シール開始温度(SIT)
フィルム試片の製造
50μmの厚さを有するいくつかのフィルムは、それぞれの試験組成物を単一スクリューコリン押出機(スクリューの長さ/直径の比率1:25)で7m/分のフィルム延伸速度及び210〜250℃の溶融温度で押出させて製造した。それぞれの得られたフィルムを97重量%のキシレン不溶性分画及び2g/10分のMFR Lを有するプロピレンホモポリマーの1000μm厚さのフィルム上に重ね合わせた。重ね合わされたフィルムを200℃で9000kg荷重下でCarverプレスで互いに結合してこれを5分間維持した。得られたラミネートを150℃でT.M.Longフィルム延伸機を用いて6倍縦横に、即ち、2軸延伸して20μm厚さのフィルム(18μmホモポリマー+2μm試験)を得た。2×5cmの試片を前記フィルムから切断した。
【0066】
SITの測定
それぞれの試験のために2つの前記試片を、隣接した層が特定試験組成物の層になるように整列して重ね合わせた。重ね合わされた試片をBrugger Feinmechanik Sealer、モデルHSG−ETK 745を用いて2cm側面の一方に沿って密封した。密封時間は、0.1N/mm
2の圧力で5秒である。密封温度は、各シールに対して1℃を増加させて、試験組成物の溶融温度よりも約30℃未満の温度から始めた。密封されたサンプルを冷却した後、この密封されていない端部をインストロン機械に取り付け、これらを50mm/分の牽引速度(traction speed)で試験した。
【0067】
SIT.は、少なくとも2ニュトーンの荷重が前記試験条件に適用される場合、シールが壊れない最小限の密封温度である。
【0068】
クリープ及び回復試験
クリープ及び回復曲線は、25mm半径の円錐版形状及び上部に円錐版を有する1.992゜等級の測定円錐角度を有するPhysica MCR301レオメーターを使用して測定した。試験の温度は200℃である。
【0069】
クリープ時間の測定
複素粘度は、5%の一定の歪みで100rad/s〜0.01rad/sの周波数掃引試験において測定し、0.01rad/sの周波数での値は、クリープ時間を計算するために選択した(プロファイルで時間設定なし)。次いでクリープ時間は、次の式を使用して計算した:
クリープ時間=複素
粘度@0.01rad/s/100; [1]
前記の式中、100は印加された応力パスカルである。
【0070】
回復時間の測定
回復時間は、次の式に従って計算した:
回復時間=クリープ*7 [2]
【0071】
クリープ及び回復試験
a)クリープ
クリープは、[1]で計算されたクリープ時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加されたせん断応力は100Paである;
【0072】
b)回復
回復は、[2]で計算された回復時間に従って最大秒間1秒に1回測定した。印加されたせん断応力は0Paである;
【0073】
試験が終わると、ソフトウェアは曲線秒(複数)対Paを計算する。
【0074】
重合実施例1及び2
球状付加物の製造のための手続き
マイクロ球状MgCl
2・pC
2H
5OH付加物は、粉末形態のBiCl
3をマグネシウムに対して3モル%の量でオイルの供給前に添加することを除いては、WO98/44009号の比較例5に記述された方法に従って製造した。付加物は11.2重量%のMgを含有する。
【0075】
固体触媒成分の製造のための手続き
機械的撹拌機、凝縮器及び熱電対を備えた300Lのジャケット形反応器に、200LのTiCl
4を窒素雰囲気下に室温で導入した。0℃まで冷却した後、撹拌しながら、ジイソブチルフタルレート及び8kgの球状付加物(前記記述されたように製造された)を連続的に添加した。内部供与体の充電量は、8のMg/供与体モル比を満たす程度であった。温度を100℃まで昇温させて1時間維持した。その後、撹拌を中止し、固体生成物を沈降させた後、上澄液を100℃で吸い上げた(siphoned off)。上澄液を除去した後、追加的な新しいTiCl
4を初期の液体体積に再び到達されるように添加した。その後、混合物を120℃で加熱し、このような温度で1/2時間維持した。撹拌を再び中止し、固体を沈降させた後、上澄液を120℃で吸い上げた。次いで、処理時間を15分まで減少させる前に、前述と同一の手続きに従って120℃でTiCl
4による処理を再び繰り返した。固体を無数ヘキサンで60℃以下の温度勾配で6回及び室温で1回洗浄した。次いで、得られた固体を真空下で乾燥させた。
【0076】
予備重合処理
これを重合反応器内に導入する前に、前述の固体触媒成分をトリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS、D供与体)と表1に報告された比率で接触させた。その後、得られた混合物を重合反応器内にこれを導入する前に、20℃で約5分間液体プロピレンの中に懸濁液で維持させて予備重合を実施した。
【0077】
重合
第1の気相重合反応器に、予備重合された触媒システム、水素(分子量調節剤として使用した場合)プロピレン及びエチレンを気体状態で連続的且つ一定の流れで供給することによって、プロピレンエチレンコポリマーを生成する。
【0078】
第1反応器で生成されたポリマーは、連続的な流れで排出し、未反応モノマーを除去した後、水素(使用した場合)1−ブテン、エチレン及びプロピレンを気体状態で定量的に一定の流れと共に、第2気相反応器に連続流れで導入する。
【0079】
第2反応器を出るポリマー粒子は、反応性モノマー及び揮発性物質を除去するために蒸気処理を実施した後、乾燥させる。
【0080】
主な重合条件を表1に報告する。ポリマーの特徴は表2に報告されている。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
比較例1は、表2に報告された特徴を有するLyondellbasellで販売される市販製品であって、ビスマスを含有していないが、
実施例1及び2のものと同一の触媒を使用して生成される。
【0084】
表2の結果から、本発明のターポリマーは、非常に低いクリープ及び回収曲線値を持ちながら、キシレン可溶物とSITとの間により良好な均衡を明らかに示す。