(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2つの導電部材の少なくとも一方は伸縮方向を長手方向とするシート状であって、一方端には配線に接続する接続部を有するとともに、他方端には対向するもう一方の前記導電部材に導通接続する接触面を有する請求項1または請求項2記載の伸縮配線。
前記2つの導電部材の少なくとも一方は伸縮方向を長手方向とするシート状であって、一方端には対向するもう一方の前記導電部材に導通接続する接触面を有し、他方端には対向するさらに別の導電部材に導通接続する接触面を有する請求項1〜請求項4何れか1項記載の伸縮配線。
前記導電部材は伸縮方向を長手方向とするシート状であって、伸ばした状態から縮む方向に向かう先端が丸み形状に形成されている請求項1〜請求項5何れか1項記載の伸縮配線。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の伸縮配線について以下に詳しく説明する。いくつかの実施形態において、各伸縮配線を構成する同じ部位には同じ符号を付け、また重複する機能、材質、製造方法、作用効果等についてはその説明を省略する。
【0027】
第1実施形態[
図1〜
図8]:
【0028】
図1に第1実施形態の伸縮配線10の斜視図を示す。また、
図2にはその断面図を示す。伸縮配線10は、
図2で示すように、第1導電部材11と第2導電部材12とが対向して配置されており、それらを第1カバー部材13と第2カバー部材14で覆うように構成されている。また、カバー部材13,14には硬質部材15が固着している。そして伸縮配線10は、ケーブルk1,k2に接続されている。なお、第1導電部材11と第2導電部材12の何れかまたは両者についてこれを区別せずに導電部材Dと表記することもある。また、第1カバー部材13と第2カバー部材14の何れかまたは両者についてこれを区別せずにカバー部材Cと表記することもある。
【0029】
このように構成された伸縮配線10は、カバー部材13,14の内部で第1導電部材11と第2導電部材12が圧接接触しており、伸縮配線10の伸縮に伴い第1導電部材11と第2導電部材12とが摺動しながらスライド(相対変位)するため、伸縮配線10の長さが変化してもして、第1導電部材11と第2導電部材12の導電接続が保たれて導通が確保される。
【0030】
次に伸縮配線10を構成する各部材について詳しく説明する。
図3には第1導電部材の平面図と断面図、それに底面図を示す。第1導電部材11は、
図2及び
図3の左右方向である伸縮方向を長手方向とするシート形状で、ケーブルk1に導通接続している部材である。第1導電部材11は、樹脂シートでなる基材11aとその表面に形成された2本の第1導電体11bとで構成される。この第1導電体11bの一方端は、ケーブルk1の端部k1aと固着して他の部材に電気的に接続する接続部11cとなっている。また、反対側は丸み形状に形成された先端部11eとなっている。第1導電体11bの表面は後述の第2導電部材12と接触する接触部11dとなり、基材11aの裏面には第1カバー部材と固着する接着部11fを有している。
【0031】
第1導電部材11を構成する基材11aは、第1導電部材11の基礎となる部分であり、所定の剛性を有する絶縁性材料で形成されている。所定の剛性とは、少なくとも伸縮配線10を伸縮したときに、第1導電部材11自体は伸縮しない程度の剛性であり、硬質樹脂を用いることが好ましい。例えばポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂、あるいはこれらの複合樹脂を挙げることができる。また、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0032】
これらの硬質樹脂の中では、伸縮配線10を湾曲して使用する場合にはポリイミド樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましく、伸縮配線10を主に湾曲させないで使用する場合にはガラス繊維強化エポキシ樹脂又はフェノール樹脂が好適である。このような硬質樹脂を用いれば、第1導電体11bが伸びることがなく、第1導電体11bの伸張に起因する抵抗値変化を抑制することができる。
【0033】
この基材11aの一方側の表面に形成される第1導電体11bは、伸縮方向を長手方向とし互いに離間した2本の配線であることが好ましい。このように構成することで、伸縮(スライド)の前後において第2導電体12bとの間で導電体11b,12bどうしを接触し続けることができる。
【0034】
第1導電体11bの材質としては、抵抗値が低い導電体を用いることが好ましく、例えば、金及び銀、銅、アルミニウム、ニッケル、黄銅、白金、コバルト、ステンレス鋼などの金属、導電性酸化物、導電性カーボン等を用いることができる。これらの中でも、抵抗値が低く比較的安価な銅又はアルミニウムが好適である。
【0035】
第1導電体11bの表面には、導電性に不具合のない範囲で、保護層を設けることができる。この保護層は、例えば耐食性又は耐久性を高める金属層が挙げられる。具体的には、金めっき層が好適である。また、他の例としては、摺動性を高める層も挙げられる。具体的には、オイル及びグリスなどの潤滑剤による保護膜層、グラファイトを含む低摩擦係数の保護膜層などが好適である。こうした層を設けることで、伸縮配線10の耐久性を高めることができる。
【0036】
第1導電部材11の先端部11eは、伸縮の際に角が立たないように、上述のように面取りされて丸み形状をしていることが好ましい。このような先端形状を備える理由は、以下のとおりである。伸縮配線10の伸縮に伴いカバー部材13,14が変形するとき第1導電部材11及び第2導電部材12を圧接するように内側に変形する。したがって、第1導電部材11の表面はカバー部材13,14の表面で強く押しつけられている状態で摺動することとなる。伸縮配線10が伸びるときには特に不具合は生じないものの、伸張した状態からもとの状態に伸縮するときには、先端部11eに角が立つことでカバー部材13,14の破れのきっかけを生じさせ、カバー部材13,14を破損させるおそれが生じる。しかしながら、第1導電部材11の先端部11eが丸み形状であれば第1導電部材11のカバー部材13,14に対する引っかかりを避け、カバー部材13,14の破損を起こさないようにすることができる。
【0037】
先端部11eとは反対側の第1導電部材11の端部に設ける接続部11cは、ケーブルk1の端部k1aと固着させる部分であり、この接続部11cによってケーブルk1と第1導電体11bとが電気的に接続される。ケーブルk1としては、一般的な配線材料を用いることができる。また、ケーブルk1への固着には、はんだを用いることが好ましいが、はんだ以外では導電性接着剤を用いた固着又は、導電体にかしめることによる固着を採用することができる。
【0038】
第2導電部材12は、第1導電部材11と同一の形状、材質で形成されており、ケーブルk2と導通接続している部材である。したがって、第2導電部材12のみの図示は省略するが、第2導電部材12もまた樹脂シートでなる基材12aとその表面に形成された2本の第2導電体12bとで構成されている。この第2導電体12bの一方端は、ケーブルk2の端部k2aなどと固着して他の部材に電気的に接続する接続部12cを有している。また、接続部12cとは反対側は丸みを帯びた形状を有する先端部12eとなっている。第2導電体12bの表面は第1導電体11bと接触する接触部12dとなっており、基材12aの裏面には第2カバー部材14と固着する接着部12fを有している。
【0039】
導電部材D(11,12)に設けた導電体11b,12bについて、上述の説明では離間する2本の配線としたが、単一の配線又は2本以上の複数の配線を備えるものとして構成することもでき、単一の配線とする場合には、導電部材Dの全体を導電体で構成することもできる。また、伸縮方向に均一の太さに形成したが導電体11b,12bどうしの接触面積を考慮して太さを変えることもできる。
【0040】
カバー部材C(13,14)は、第1カバー部材13と第2カバー部材14とで構成している。本実施形態では第1カバー部材13と第2カバー部材14は同一形状であり、
図2を参照して説明すると、互いに上下左右が反転した形状でなり両者が一体となってカバー部材Cを構成している。貼り合わされたカバー部材13,14は、実質的に伸縮方向である長手方向に貫通孔(中空部)hを有する筒状成形体となっていて、その内部に第1導電部材11と第2導電部材12が包含されている。カバー部材Cは伸ばしたときにその弾性力によって元の大きさ、形状に戻ることができる。また、第1導電部材11と第2導電部材12を被覆して、それらを圧接している。カバー部材Cを2つのカバー部材13,14に分けることで、設計上、圧接力の設定が容易であり、また製造も容易である。
【0041】
カバー部材Cの材質は、所定の圧接力を与えることに加え、伸縮したときの引張り応力の大きさ、耐久性等の観点から選ばれる。具体的には、硬さがJIS K6253で規定されるA硬度で10〜80の範囲が好ましい。A10未満では、柔軟すぎて所望の圧接力が得られないおそれがある。A80を越えると、硬すぎて伸ばすことが困難である。
【0042】
こうしたカバー部材Cの材質としては、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の架橋ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマ、オレフィン系熱可塑性エラストマ、エステル系熱可塑性エラストマ、ウレタン系熱可塑性エラストマ、アミド系熱可塑性エラストマ、塩化ビニル系熱可塑性エラストマ、フッ素系熱可塑性エラストマなどの熱可塑性エラストマが挙げられる。これらの材質の中でも加工性及び、耐候性、圧縮永久歪等の観点からシリコーンゴムが好ましい。
【0043】
図4には、第1カバー部材13に第1導電部材11を収容した状態の斜視図を示す。第1カバー部材13には、第1導電部材11が配置される箇所に溝13gが形成されており、この溝13g内に第1導電部材11が収容される。第2カバー部材14にも同様に第2導電部材12が配置される箇所に溝14gが形成される。
【0044】
図5(a)には、カバー部材Cに導電部材Dを収容した状態の断面図を示す。この
図5で示すように、第1カバー部材13に設けられた溝13gの深さは第1導電部材11の厚さよりも浅く、この溝13gに第1導電部材11が収容された状態で、第1カバー部材13の内側表面13iよりも第1導電部材11が突出高さT1だけはみ出している。第2カバー部材14の溝14gの深さも第2導電部材12の厚さよりも浅く、この溝14gに第2導電部材が収容された状態で、第2カバー部材14の内側表面14iよりも第2導電部材12が突出高さT2だけはみ出している。
【0045】
したがって、
図4で示される第1カバー部材13の表面13iで第2カバー部材14と固着することにより、
図5(b)で示すように、第1カバー部材13と第2カバー部材14によって形成される貫通孔h内で第1導電部材11と第2導電部材12が対向接触して配置される。カバー部材Cによる導電部材Dへの圧接力は、この突出高さT1,T2の大きさと、カバー部材Cの材質、第1カバー部材13と第2カバー部材14との固着位置で調整することができる。突出高さT1,T2が大きいほど、また、材料が硬いほど、あるいはまたカバー部材Cどうしの固着位置が第1導電部材11および第2導電部材12に近いほど、圧接力を高めることができる。
【0046】
一例として、硬さがA30で幅が20mmのシリコーンゴム製のカバー部材Cにおいて、カバー部材Cどうしの固着部分の幅は両縁に5.0mmとし、突出高さT1,T2をともに0.1mmとした際の圧接力は、0.01〜1N/cm
2の範囲であり、このカバー部材Cを用いた伸縮配線10は伸縮の過程を含めて導電部材Dどうしの安定した導電接続が可能である。圧接力が0.01N/cm
2未満の場合には、圧接力が弱く、導電接続が安定しないおそれがある。一方、圧接力が1N/cm
2を超えると、導電体の摩耗量が多くなり、耐久性が低下するおそれがある。
【0047】
なお、上記説明ではカバー部材Cに溝13g,14gを備えるものとしているが、必ずしも溝13g,14gが必要なわけではなく、平坦なカバー部材Cの間に導電部材11,12を挟持するようにしても良く、また、一方のカバー部材Cのみに溝を設けるようにしても良い。
【0048】
カバー部材Cの外側表面には硬質部材15を備えることが好ましい。例えば、
図2で示すように、第1導電部材11の接続部11cの上下位置に対応する表面、および第2導電部材12の接続部12cの上下位置に対応する表面に設けることが挙げられる。
【0049】
硬質部材15は、接続部11c,12cを含む伸縮配線10の端部の伸びを抑制する部材である。また、この伸縮配線10を搭載する機器の筐体等に伸縮配線10を固定する部位としても利用することができる。伸縮配線10の端部の伸びを抑制する目的であれば、少なくともカバー部材Cの材質よりも硬ければ効果を奏することができ、硬さがA60を超え且つカバー部材CよりもA硬度で20ポイント以上硬い材質であることが好ましい。
【0050】
硬質部材15の材質には、ゴム、熱可塑性エラストマ、および硬質樹脂を用いることができ、ゴム及び熱可塑性エラストマの材質はカバー部材Cと同じもので、相対的に硬くしたものを例示でき、硬質樹脂としては、第1導電部材11の基材11aで説明した材料を例示することができる。
【0051】
カバー部材Cが、その表面に硬質部材15を備えることで、接続部11c,12cが形成された付近の伸びを抑制することができる。接続部11c,12c周辺の繰り返し変形に伴う応力は、接続部11c、12cとケーブルk1,k2の端部k1a,k2aとの剥がれの原因となるおそれがあるが、この伸びを抑制してケーブルk1,k2の脱落を起こし難くすることができる。なお、硬質部材15を4隅に設ける例を示したが、こうした態様に限らず、導電部材Dの一方端と他方端でそれぞれ環状に形成することもできる。
【0052】
次に、伸縮配線10を伸縮させた状態について説明する。
図6は、伸縮配線10について第2カバー部材14を含めそれより上の部材を省いて示した平面図である。
図7は、伸縮配線10を図の左右に50%伸張させたときの平面図である。そして
図8も伸縮配線10を50%伸張させたときの
図2相当の断面図である。
【0053】
伸縮配線10は、
図2に示した伸張前の状態に比較して、伸張方向に長く伸びる一方で、伸張方向に対する垂直方向では、伸縮配線10の中央付近で短く、その断面は小さくなっている。即ちカバー部材Cは、中央付近で上下左右方向の幅が短くなるように変形する。なお、50%伸張とは、伸縮配線10の当初の長さL0に対して伸張後の長さL1が1.5倍(150%)である状態をいう。
【0054】
一方、カバー部材Cの内部にある第1導電部材11と第2導電部材12は、剛性の高い材質でなり、湾曲は可能なものの、伸縮に伴い長さは変化しない。第1導電部材11は接着部11fでカバー部材13と接着しており、第2導電部材12は接着部12fでカバー部材14と固着しているため、カバー部材13,14の伸張に伴い各導電部材11,12は、固定された両端に引っ張られるように摺動しながらスライドし、接続部11c、12cどうしの相対位置を変化させる。なお、接着部11f,12fを設けず、硬質部材15の部分で外力により挟むことで導電部材Dとカバー部材Cの固着を図ることもできる。
【0055】
伸縮配線10の伸張長さが長くなるほど、カバー部材13,14の変形が大きくなり、その内側部分を圧接する応力が大きくなる。したがって、第1導電部材11の第1導電体11bと第2導電部材12の第2導電体12bとを圧接する応力は、伸張するに従って大きくなり、伸張時にも確実な導通接続が可能となる。換言すれば、伸縮配線10の低伸張時には、第1導電体11bと第2導電体12bの接触面積が大きいことから、比較的小さい圧接応力でも安定した導通接続が可能であり、伸縮配線10が伸びるに従って、導電体11b,12bどうしの接触面積が小さくなるものの圧接力が大きくなることで、高伸張時にも安定して導通接続させることができる。したがって、伸張の前後を通じて安定した導通接続が可能であり、低抵抗でケーブルk1とケーブルk2を、伸縮配線10を通じて導通接続することができる。
【0056】
第1導電部材11は、矩形状の外形の例を示しているが、形状は矩形状に限定されない。一方で、伸縮の動作をスムーズにするために、伸縮方向に垂直な面に凹凸がない形状であることが好ましい。その意味では、矩形状は妥当な形状である。
【0057】
伸縮配線10の製造方法の一例を説明する。第1カバー部材13と第2カバー部材14は、金型を用いて、射出成形又はコンプレッション成形で成形する。これとは別に表面に配線としての導電体11b,12bを備えた導電部材Dを準備し、各導電部材Dの接続部11c,12cを各ケーブルk1,k2と固着しておく。次いで第1導電部材11の接続部11cの裏面部分に当たる接着部11fで第1カバー部材13と接着剤等により固着する。同様に第2導電部材12の接続部12cの裏面部分に当たる接着部12fで第2カバー部材14と接着剤等により固着する。最後に、第1カバー部材13と第2カバー部材14の表面13i,14iの周囲位置を固着することでカバー部材Cを一体にして、導電部材Dがカバー部材Cで覆われた伸縮配線10を得ることができる。
【0058】
伸縮配線10では、伸張率0を超え90%以下の範囲での前記接続部11c,12c間の抵抗値が、伸張率0%のときの抵抗値に対して(((伸張率+100)/100)×2×110)%以下であるものとすることができる。100%伸張(もとの長さの2倍の長さに伸ばした場合)について理想的な抵抗値を考察すると、接触抵抗を無視するとして、長さが2倍(抵抗値が2倍)×断面積が0.5倍(抵抗値が2倍)となり、全体としては抵抗値が4倍になるからである。
【0059】
第1実施形態の変形例1[
図9,10]:
【0060】
図9に第1実施形態の変形例1である伸縮配線10aの
図6相当の平面図を示す。また、
図10には伸縮配線10aを伸張した状態の
図7相当の平面図を示す。これらの図で示すように、伸縮配線10aは、導電部材11,12の先端部11e,12eの形状を先細り形状にした点で、先に説明した伸縮配線10と異なる。換言すれば、伸縮配線10では先端部11e,12eの最先端を、丸みを帯びた形状にしたのに対し、伸縮配線10aでは、先端部11e,12eの最先端を、丸みを帯びた形状にすることに加え、中央から最先端に向かうに従って徐々に細くなる形状にしている。
【0061】
伸縮配線10aは、伸張したときに中央部の断面積が小さくなることで、導電部材11,12どうしを圧接する方向の圧接力が働くが、これとは別にポアソン比に対応して、この方向に垂直な方向へも圧接される。この圧接力が大きくなると導電部材Dの側面とカバー部材Cの側面が擦れ、それが原因でカバー部材Cが破損するおそれがある。しかしながら、伸縮配線10aでは、導電部材Dの先端部11e,12eを先細り形状としたため、伸張時には
図10で示すように、中央付近で導電部材Dどうしが重なる幅が狭くなり、カバー部材Cとの間に空間vが生じる。そのため、垂直方向の圧接力により生じる導電部材Dの側面とカバー部材Cの側面との擦れを低減もしくは防止することができ、耐久性を高めることができる。このような構成は、擦れの影響が大きくなる伸張率の大きな用途において好適である。
【0062】
第1実施形態の変形例2[
図11、12]:
【0063】
図11に第1実施形態の変形例2である伸縮配線10bの
図6相当の平面図を示す。また、
図12には伸縮配線10bを伸張した状態の
図7相当の平面図を示す。これらの図で示すように、伸縮配線10bは、導電部材11,12の先端部11e,12eにそれぞれ幅広部11q,12qを備える一方で、カバー部材13,14のそれぞれには張出部13r,14rを備えている。
【0064】
第1導電部材11の先端部11eに設けた幅広部11q及び、同様に第2導電部材12の先端部12eに設けた幅広部12qは、導電部材11,22のそれぞれの先端でカバー部材13,14の内側側面に向かって外方に突出した広がり部位である。カバー部材13,14に設けた張出部13r、14rは、カバー部材13,14のほぼ中央でカバー部材13,14の内側側面から導電部材11,12側に向かって外方に突出した部位である。張出部13r,14rは、第1カバー部材13と第2カバー部材14とを固着した際に、張出部13rと張出部14rも一体となり、幅広部11q,12qのそれぞれの厚みよりも厚く形成される。
【0065】
張出部13r,14rと幅広部11q,12qを設けることで、伸縮配線10bを伸張したとき、
図12で示すように、第1導電部材11の先端にある幅広部11qが張出部13r,14rに突き当たるとともに、第2導電部材12の先端にある幅広部12qが張出部13r,14rに突き当たる。そのため、第1導電部材11と第2導電部材12が重ならない位置まで引っ張られることを防止し、伸張の限界を設定することができる。即ち、第1導電部材11と第2導電部材12は、伸縮配線10bの伸張の上限を規定する伸縮制限部材でもあり、例えば伸張率の限界を200%としたときに、この伸縮制限部材を備えることで、伸縮配線10bは、導電体11b,12bどうしの接触可能範囲である伸張率200%を超えて伸張することを防ぎ、断線を防止することができる。
【0066】
第2実施形態[
図13,
図14]:
【0067】
図13に第2実施形態の伸縮配線20の断面図を示す。また、
図14には第2カバー部材から上の部材を省いた状態の平面図を示す。これらの図で示すように、伸縮配線20は、第1導電部材21を袋状に形成しその内部に、表裏に導電体を設けた第2導電部材を挿入した状態に形成したものである。
【0068】
第1導電部材21は、その断面視では第1下側導電体21b1と、第1上側導電体21b2とを備えるものとして構成されている。即ち、第1導電部材21の基材21aは、第1下側導電体21b1を有する第1下側基材21a1と、第1上側導電体21b2を有する第1上側基材21a2の2枚の基材を有し、これらの基材は第2導電部材22の基材22aよりも幅広に形成され、それぞれの基材の外縁21jで、この2枚の基材21a1.21a2を固着している。第1導電部材21は、こうした袋状の内部に導電体21b1,21b2が対向して形成されている。
【0069】
そうした一方で、第2導電部材22は、その基材22aの表裏に第2導電体22bを有し、この第2導電体22bは、第2下側導電体22b1と第2上側導電体22b2とで構成されている。したがって、袋状の第1導電部材21の中に第2導電部材22が挿入された状態で、第1下側導電体21b1と第2下側導電体22b1が導通接続し、第1上側導電体21b2と第2上側導電体22b2が導通接続している。
【0070】
このように構成された伸縮配線20は、袋状に形成された第1導電部材21の内部にオイル及びグリスなどの流動性のある潤滑剤を注入することができ、その潤滑剤の流出を抑制することができる。したがって、カバー部材C(23,24)が潤滑剤を吸収することを抑制し、より長期に亘って潤滑剤の効果を持続させることができ、摺動性を高めることができる。
【0071】
また、第2導電部材22の先端部22eをカバー部材Cと接触しない構成とすることができる。したがって、カバー部材Cの第2導電部材22との接触による破れ等を回避することができるため、カバー部材Cの厚みを薄くすることができる。
【0072】
第2導電部材22はその表裏両面に導電体22b1,22b2を備える構成としたが、何れか一方面のみに導電体を備える構成とすることもできる。第1導電体21bの何れか一方に第2導電体22bが接触すれば、伸縮配線20としての機能を奏することができるからである。
【0073】
第2実施形態の変形例[
図15,
図16]:
【0074】
図15に第2実施形態の変形例である伸縮配線20aの
図6相当の平面図を示す。また、
図16には伸縮配線20aを伸張した状態の
図7相当の平面図を示す。これらの図で示すように、伸縮配線20aは、導電部材21,22の先端部21e,22eの形状が異なる。
【0075】
即ち、第1導電部材21の先端部21eには、停止部21pを備えている。また、第2導電部材の先端部22eには幅広部22qを備えている。停止部21pは、袋状に形成された第1導電部材21の開口に設けられた部位であって、その開口を狭めるように開口縁を閉塞する部位である。一方、幅広部22qは第2導電部材22の先端で外方に広がる部位である。
【0076】
停止部21pと幅広部22qを設けることで、伸縮配線20aを伸張したとき、第2導電部材22の先端にある幅広部22qが、第1導電部材21の先端にある停止部21pに突き当たる。そのため、第2導電部材22の先端部22eが第1導電部材21の先端部21eから外れることを防ぎ、伸張の限界を設定することができる。即ち、第1導電部材21と第2導電部材22は、伸縮配線20aの伸張の上限を規定する伸縮制限部材でもあり、例えば伸張率の限界を200%としたときに、この伸縮制限部材を備えることで、伸縮配線20aは、導電体21b,22bどうしの接触可能範囲である伸張率200%を超えて伸張することを防ぎ、断線を防止することができる。
【0077】
また、本実施形態の伸縮配線20aもまた伸縮配線20と同様に、第2導電部材22の先端部22eが、カバー部材Cと接触しない構成とすることができ、カバー部材Cの破れ等を防止することができる。
【0078】
第3実施形態[
図17〜
図20]:
【0079】
図17に第3実施形態の伸縮配線30の断面図を示す。また、
図18にはこの伸縮配線30を50%伸張させたときの断面図を示す。これらの図で示すように、本実施形態の伸縮配線30は、第1導電部材31と第2導電部材32と第3導電部材33を設けたものである。これらの3つの導電部材31,32,33は何れも伸縮方向を長手方向とするシート状に形成されている。
【0080】
図17で示すように、第1導電部材31は、その一方端にはケーブル等の配線に接続する接続部11cを有し、他方端には対向する第2導電部材32に導通接続する接触面を有している。第3導電部材33もまた第1導電部材31と同様であり、一方端にはケーブル等の配線に接続する接続部11cを有し、他方端には対向する第2導電部材32に導通接続する接触面を有している。そして、第2導電部材32は、一方端には対向する第1導電部材31に導通接続する接触面を有し、他方端には対向する第3導電部材33に導通接続する接触面を有している。
【0081】
より具体的には、伸縮配線30の両端側に設けた第1導電部材31と第3導電部材33は、それぞれの基材31a,33aに対して上側にそれぞれ導電体31b,33bを有している。一方、伸縮配線30の中央側に設けた第2導電部材32は、基材32aに対して下側に導電体32bを有している。そして、第1導電部材31の導電体31bと第2導電部材32の導電体32bが対向して接触し、その接触部分が相手方の導電体に対する接触面となっている。同様に、第3導電部材33の導電体33bと第2導電部材32の導電体32bが対向して接触し、その接触部分が相手方の導電体に対する接触面となっている。こうした状態で、第1導電部材31の導電体31bと第2導電部材の導電体32bが導通接続し、第2導電部材32の導電体32bと第3導電部材33の導電体33bが導通接続している。
【0082】
このように構成された伸縮配線30は、その長手方向に伸張させると、導電体31bと導電体32b、導電体32bと導電体33bがそれぞれ互いに摺動し、第1導電部材31と第3導電部材33は第2導電部材32を介して電気的に接続しながら互いの相対位置を変化させ、
図18で示すように、第1導電部材31と第3導電部材33との間隔が広がる。
【0083】
図19には、伸縮配線30の一つの使用態様を説明する伸縮配線30の中央部分の断面図である。伸縮配線30を、例えば丸棒Qを介して湾曲させて用いるような用途においては、第1導電部材31から第3導電部材33の何れも、その端部が丸棒Qの付近に配置されない状態におくことができる。換言すれば、伸縮配線30のうち丸棒Qによって折れ曲がる部分には、第1カバー部材34と第2カバー部材35を除き、導電部材31〜33では第2導電部材32の中央部のみが位置することになる。よって、導電部材31〜33の端部によってカバー部材34,35を摩耗させるおそれを低減し、伸縮配線30の耐久性を高めることができる。
【0084】
第1導電部材31と第3導電部材33の第2カバー部材35との接触面側には、
図20で示すように、第2導電部材32のように第1導電部材31及び第3導電部材33と接触する滑り板Sを設けることができる。滑り板Sは第1導電部材31及び第3導電部材33との滑りを良くして、第1導電部材31又は第3導電部材33の先端が第2カバー部材35に直接接触することによる第2カバー部材35を摩耗させるおそれを低減することができる。滑り板Sは、導電性又は非導電性の板状体から得ることができる。
【0085】
第3実施形態の変形例1[
図21]:
【0086】
図21に第3実施形態の変形例1である伸縮配線30aの中央部分の断面図を示す。先に説明した伸縮配線30の中央部分に設けた第2導電部材32では、基材32aの表面に導電体32bを設けた構造としたが、本実施形態の第2導電部材32では一枚の金属板等の表裏両面が導通する板状導電体で形成した点で第3実施形態の伸縮配線30と異なる。
【0087】
また、伸縮配線30aでは、第2導電部材32の表裏両面が導電体32b1,32b2となることから、第2導電部材32の一方面に接触する第1導電部材31及び第3導電体33以外に、第2導電部材32のもう一方面(他方面)に接触する第4導電部材36及び第5導電部材37を設けた点でも第3実施形態の伸縮配線30と異なる。この第4導電部材36及び第5導電部材37は、第1導電部材31と同様に、それぞれの基材36a,37aの表面にそれぞれの導電体36b、37bを設けた構成をしている。
【0088】
即ち伸縮配線30aでは、
図21で示すように、第2導電部材32の一方端を第1導電部材31の導電体31bと第4導電部材36の導電体36bとの間に挟んで導通接触させる一方で、第2導電部材32の他方端を第3導電部材33の導電体33bと第5導電部材37の導電体37bとの間に挟んで導通接触させている。
【0089】
図外の部分で第1導電部材31の導電体31bと第4導電部材36の導電体36bは、これらの接続部(図示せず)を通じてケーブル等の共通する配線に接続し、第3導電部材33の導電体33bと第5導電部材37の導電体37bは、これらの接続部(図示せず)を通じて第1導電部材31が接続したのとは別のケーブル等の共通する配線に接続する。
【0090】
伸縮配線30aによれば、第2導電部材32の表裏両面を導電部材31,33,36,37で押さえることで、第2導電部材32が柔軟なカバー部材34,35に触れないため、第2導電部材32の摺動性を高めることができ、カバー部材34,35との擦れの発生を防止することができる。
【0091】
第3実施形態の変形例2〜4[
図22(a)〜(c)]:
【0092】
第3実施形態の伸縮配線30では、第1導電部材31と第3導電部材33の表面に第2導電部材32との接触面を設けたが、第3実施形態の変形例2〜4として説明する伸縮配線30b〜30dは、第1導電部材31と第3導電部材33の裏面にもさらに別の第6導電部材38との接触面を設けた点で異なる。
図22(a)〜(c)に第3実施形態の変形例2〜4である伸縮配線30b〜30dの中央部分の断面図をそれぞれ示す。
【0093】
第3実施形態の変形例2である伸縮配線30bは、
図22(a)で示すように、第1導電部材31の基材31aの表裏両面にそれぞれ導電体31b1,31b2を設けている。同様に、第3導電部材33の基材33aの表裏両面にそれぞれ導電体33b1,33b2を設けている。そして、第1導電部材31及び第3導電部材33のそれぞれの表面で第2導電部材32と導通接続し、第1導電部材31及び第3導電部材33のそれぞれの裏面で第6導電部材38を設けてこれと導通接続している。第6導電部材38もまた基材38a上に導電体38bを設けた構成をしている。
【0094】
即ち伸縮配線30bでは、第1導電部材31の端部を第2導電部材32の導電体32bと第6導電部材38の導電体38bとの間に挟んで導通接触させており、同様に第3導電部材33の端部を第2導電部材32の導電体32bと第6導電部材38の導電体38bとの間に挟んで導通接触させている。
【0095】
図外の部分で第1導電部材31の表面側の導電体31b1と第3導電部材33の表面側の導電体33b1は、これらの接続部を通じてケーブル等の配線に接続し、第1導電部材31の裏面側の導電体31b2と第3導電部材33の裏面側の導電体33b2は、これらの接続部を通じて第1導電部材31の表面側とは別のケーブル等の配線に接続する。こうして第1導電部材31の表面側と裏面側とで別の導通経路が形成されるため、より多くの異なる導電路を設けることができる。
【0096】
第3実施形態の変形例3である伸縮配線30cは、
図22(b)で示すように、先の伸縮配線30bと比較して、第6導電部材38を金属板のような導電板状体で構成した点で、
図22(a)で示す伸縮配線30bと異なる。伸縮配線30cでも伸縮配線30bと同様に、第1導電部材31の表面側と裏面側とで別の導通経路が形成されるため、より多くの異なる導電路を設けることができる。
【0097】
第3実施形態の変形例4である伸縮配線30dは、
図22(c)で示すように、第1導電部材31と第3導電部材33をともに金属板のような導電板状体で構成した点で、
図22(a)で示す伸縮配線30bと異なる。伸縮配線30dでも、第1導電部材31と第3導電部材33の端部が第2導電部材32と第6導電部材38に挟まれた形状に設けられる点で伸縮配線30bと同様であるが、第1導電部材31及び第3導電部材33の表裏両面が導通される点で伸縮配線30bと異なる。伸縮配線30dでは、第1導電部材31と第3導電部材33とが第2導電部材32を介して導通される導電経路が、第6導電部材38を介しても導通されるため、第1導電部材31と第3導電部材33との導通接続をより確実にすることができる。
【0098】
第4実施形態[
図23(a),(b)]:
【0099】
図23(a)に第4実施形態の伸縮配線40の断面図を示す。この図で示すように、本実施形態の伸縮配線40は、第1〜第3の3つの導電部材を設けた点で第3実施形態の伸縮配線30と同じであるが、第2導電部材32の片面ではなく、第2導電部材42の両面で他の導電部材41,43と対向し接触させた点で異なる。また、第2導電部材42を金属板等の導電性板状体で形成した点も伸縮配線30と異なる。
【0100】
即ち、伸縮配線40は、第1カバー部材44に基材41aが接し内側に導電体41bを有する第1導電部材41と、第2カバー部材45に基材43aが接し内側に導電体43bを有する第3導電部材43と、これらの導電部材41,43のそれぞれの導電体41b,43bに対向し接触する導電性の板状体で形成された第2導電部材42と、を有している。
【0101】
本実施形態の伸縮配線40もまた、これを伸張させる場合に、
図23(b)で示すように、第1導電部材41と第2導電部材42との間隔、及び第2導電部材42と第3導電部材43との間隔が広がりながらも、第1導電部材41から第2導電部材42を介して第3導電部材43に通じる導通接続を維持することができる。なお、第1導電部材41及び第3導電部材43の端部には環状の押さえ部(図示せず)を設け、これらの端部が第2導電部材42から離れ難いようにすることが好ましい。伸縮配線40では300%近くまで伸張できる点で好ましい。
【0102】
第5実施形態[
図24(a),(b)]:
【0103】
図24(a)には、第5実施形態の伸縮配線50aの断面図を示し、
図24(b)には第5実施形態の変形例1の伸縮配線50bの断面図を示す。本実施形態の伸縮配線50a,50bでは、第1導電部材51と第2導電部材52の2つの導電部材を設けているが、伸縮配線50aでは、特徴のある第1導電部材51を設けた点で、伸縮配線50bでは、特徴のある第1導電部材51及び第2導電部材52を設けた点で、これまでの実施形態で示す伸縮配線とは異なる。
【0104】
第5実施形態の伸縮配線50aは、
図24(a)で示すように、第1導電部材51は基材51aの先端側表面のみに導電体51bが露出するように、導電体51bの先端を除く表面にも絶縁体である基材51aを形成する一方で、第2導電部材52の基材52aの表面に設けた導電体52bはその抵抗を比較的高く設定している。こうした構成とした伸縮配線50aは、伸縮配線50aを伸張させることで、導電体51bと接触する導電体52bの位置が変化し、それにより、導電体51bと第2導電部材52の接続部(図示せず)までの長さが変化することで導電体52bの抵抗値が変化する。したがって、この抵抗値変化から伸張長さを検出するような用途に用いることができる。
【0105】
第5実施形態の変形例となる伸縮配線50bは、
図24(b)で示すように、第1導電部材51は、伸縮配線50aの第1導電部材51と同様に、基材51aの先端側表面のみに導電体51bが露出するように形成する。そうした一方で、第2導電部材52は、基材52aの表面に設けた導電体52bと、その導電体52bの表面に設けた導電体52b1〜52b9を備える。そして、この導電体52bは、導電体52b1〜52b9よりも抵抗値を低く設定し、導電体52b1〜52b9は、導電体52b1〜導電体52b9ごとに抵抗値が変化するようにブロック状に抵抗値を設定している。こうした構成とした伸縮配線50aは、伸縮配線50aを伸張させることで、導電体51bと接触する導電体52bが段階的に変化し、それにより、導電体52bの抵抗値をステップ状に変化させることができる。
【0106】
例えば、導電体52b1〜52b9について、導電体52b1をこの中で最も低抵抗の導電材料で形成し、導電体52b9を最も高抵抗の導電材料で形成する。そして、これらの間の導電体52b2〜52b8は、
図24(b)において、それぞれ左側に隣接する導電体52b3〜52b9よりも抵抗が低くなるように形成すれば、伸縮による抵抗値の変化の大きな伸縮配線50bとすることができる。また逆に、導電体52b1を高抵抗の導電材料で形成し、導電体52b9の抵抗値が最も低くなるように形成するとともに、その抵抗値差を、導電体52b1〜52b9を備えない場合(すなわち、第1実施形態に対応する構成)の抵抗値変化の値に対応させれば、伸縮による抵抗値の変化の小さな伸縮配線50bとすることができる。さらに、他の例としては、導電体52b1〜52b9を高抵抗材料と低抵抗材料とで交互に形成すれば、伸長長さを抵抗値の変化の波形として検出することができる。
【0107】
第6実施形態[
図25]:
【0108】
図25には、第6実施形態の伸縮配線60の断面図を示す。第6実施形態の伸縮配線60では、導電部材間の滑り性を改良するために、導電部材間に滑り性改良材69を設けたものである。滑り性改良材69としては、先にも述べたオイル及びグリスなどの潤滑剤による保護膜層、又はグラファイトを含む低摩擦係数の保護膜層を挙げることができる。またこれらに加えて、導電性の粒状体等を挙げることができる。こうした滑り性改良材69を導電部材間に介在させる場合には、それらの導電部材どうしが直接接触するものではないが、導電部材間の電気的な接続を確保することができる。
【0109】
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更または公知技術の付加及び、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。
【0110】
例えば、カバー部材Cは、第1カバー部材13,23と第2カバー部材14,24の別部材にせず、導電部材Dの挿入される空洞部のある一体部材とすることが可能である。
2つの互いに対向して電気的に接続する導電部材11,12と、前記導電部材11,12を被覆するカバー部材13,14とを有し、前記導電部材11,12の相対位置が変化して長さが変化する伸縮配線10について、前記カバー部材13,14が伸縮素材でなり、伸張の過程で前記カバー部材13,14が前記導電部材11,12を圧接し前記導電部材11,12どうしが電気的に接続しながら相対位置を変化させるものとした。