(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490888
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ケージ、転がり軸受及び自動車用電気式パワーステアリング
(51)【国際特許分類】
F16C 33/41 20060101AFI20190318BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20190318BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
F16C33/41
F16C19/06
B62D5/04
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-213607(P2013-213607)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-88958(P2014-88958A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年9月14日
(31)【優先権主張番号】1259732
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ヴァルヌー
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ・アダーヌ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ペロタン
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3122529(JP,U)
【文献】
特開平1−153816(JP,A)
【文献】
特開2009−74683(JP,A)
【文献】
特開平8−291826(JP,A)
【文献】
特開2001−50280(JP,A)
【文献】
特開2011−185385(JP,A)
【文献】
米国特許第4040687(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00 − 19/56,33/30 − 33/66
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列の転がり部材の周方向間隔を保証するものであり、前記一列の第1転がり部材のための第1ポケット(28)及び前記一列の第2転がり部材のための第2ポケット(30)を含み、前記第1ポケットには、前記転がり部材上へのケージの軸方向の保持のための軸方向保持手段(38,46)が設けられ、前記第2ポケットは、前記転がり部材上に前記ケージを保持するための軸方向保持手段を有していない、転がり軸受用のケージにおいて、
前記ケージの周囲に関する前記第1ポケット(28)の分配は、不均一であり、
前記ケージが、周方向に延在し且つ前記軸方向保持手段を形成する少なくとも1つの爪(38,46)をそれぞれ備えた分離部(24,26)の第1グループと、爪を有していない分離部(22)の第2グループと、をさらに備え、
前記第1グループの各分離部(24,26)が、前記第1グループの分離部の軸方向厚さに形成され且つ前記第1ポケット及び前記第2ポケット(28,30)の反対側で軸方向に開いた第1凹部(44,50)を含んでおり、
前記第2グループの各分離部(22)が、前記第2グループの分離部の軸方向厚さに形成され且つ前記第1ポケット及び前記第2ポケット(28,30)の反対側で軸方向に開いた第2凹部(36)を含んでおり、
前記第1グループの分離部(24,26)が隣接する場合、隣接する前記第1グループの分離部(24,26)に形成された前記第1凹部(44,50)は、隣接する前記第1グループにわたって周方向において連続しており、
前記第2グループの分離部(22)が隣接する場合、隣接する前記第2グループの分離部(22)に形成された前記第2凹部(36)は、周方向において連続しておらず、
前記第1凹部及び前記第2凹部が、前記ケージの機械的強度が局所的に弱化している領域を形成することを特徴とするケージ。
【請求項2】
各組のポケットが隣り合う少なくとも二組の第1ポケット(28)と、少なくとも1つの前記第2ポケット(30)の組から周方向において離れて間隔をあけられた少なくとも1つの付加的第1ポケット(28)と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のケージ。
【請求項3】
前記第1ポケット(28)の組間の周方向間隔は、前記組の1つと前記付加的第1ポケット(28)との間の周方向間隔よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のケージ。
【請求項4】
前記第1ポケット(28)の組の1つと前記付加的第1ポケット(28)との間の周方向間隔は、前記第1ポケットの他の組と前記付加的第1ポケットとの間の周方向間隔に等しいことを特徴とする請求項2または3に記載のケージ。
【請求項5】
環状ヒール(20)及び該環状ヒールから延在した分離部(22,24,26)を備え、該分離部間に、前記第1ポケット及び第2ポケット(28,30)を画定していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のケージ。
【請求項6】
前記第1グループは、互いに向けて周方向に延在した2つの爪(46)をそれぞれ備えた分離部(24)と、単一の爪(38)及び円筒状突起(40)をそれぞれ備えたハイブリッド分離部(26)と、を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のケージ。
【請求項7】
内側リング、外側リング、前記内側リング及び前記外側リング間に配置された少なくとも一列の転がり部材及び請求項1から6のいずれか一項に記載のケージを備えていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項8】
請求項7に記載の転がり軸受を少なくとも1つ備えていることを特徴とする自動車用電気式パワーステアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受、特に、自動車の電気式パワーステアリングで使用される転がり軸受の分野に関する。
【0002】
より具体的に、本発明は、転がり軸受の転がり部材間の周方向間隔を保証する保持ケージに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車の電気式パワーステアリングは、通常、ステアリングコラムまたは車輌の操舵輪の角度位置決めを保証するための機械的構成要素を備えた下部組立体上に位置する電気機械アクチュエータを備えている。電気機械アクチュエータは、回転式電気モータを備え、この回転式電気モータのシャフトは、直接またはボールネジシステムを介して少なくとも1つの転がり軸受によって支持されている。
【0004】
転がり軸受は、通常、内側リングと、外側リングと、内側リング及び外側リング間に配置された一列の転がり部材、一般的に玉と、を備えている。
【0005】
玉を収容するための複数のポケットを含んだ転がり軸受用の保持ケージであって、各ポケットが、前記ケージにおけるヒールの反対側に配置された2つの爪によって部分的に規定された、ケージは、特許文献1から公知である。上記ケージは、多くの利用において完全に条件を満たしている。しかしながら、遅い回転速度を伴う利用または回転方向が急に逆になる利用では、この型のケージは、さまざまな問題に直面する。特に、玉の影響を受けて、ケージが大きな変形を経験して内側リングと接触し、ケージを損傷させるか、さらに破損させる可能性がある。
【0006】
さらに、転がり軸受に加わる荷重の方向が変わる場合、例として上述した電気式パワーステアリングを備えた車輌の車輪が、運転者が車輌を駐車するときに左右へ操作することで向きを変える場合、ケージは、同様に大きく変形されるか、さらに破損される。さらに、上記ケージを玉にわたって取り付けることが難しいことが分かる。
【0007】
ケージを玉上に保持するために軸方向保持爪が設けられた玉のための第1ポケットと、軸方向保持爪が設けられていない第2ポケットと、を備えた転がり軸受用のケージが同様に公知である。第1ポケット及び第2ポケットは、玉上にケージを軸方向において均一に保持するために周方向において交互に分配されている。
【0008】
しかしながら、直角回転利用(quarter-turn applications)と呼ばれるある利用において、この利用では転がり軸受は、回転せずに振動し、上記ケージは、荷重区域と呼ばれる角度区域において大きな軸方向及び径方向荷重を経験する。この範囲において、ケージは、転がり部材に、動くのに十分な自由を与えず、このことは、重大であり局所的なケージの変形を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2911934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、この欠点を克服することである。
【0011】
より具体的に、本発明は、直角利用に適し且つ良好な信頼性を与える転がり軸受用のケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態では、転がり軸受用のケージは、一列の転がり部材の周方向間隔を保証するためのものであり、一列の第1転がり部材のための第1ポケット及び一列の第2転がり部材のための第2ポケットを含み、第1ポケットには、前記転がり部材上へのケージの軸方向の保持のための軸方向保持手段が設けられ、第2ポケットは、前記転がり部材上にケージを保持するための軸方向保持手段を有していない。ケージの周囲に関する第1ポケットの分配は、不均一である。
【0013】
一実施形態では、ケージは、各組のポケットが隣り合う少なくとも二組の第1ポケットと、少なくとも1つの前記第2ポケットの組から周方向において離れて間隔をあけられた少なくとも1つの付加的第1ポケットと、を含んでいる。第1ポケットの組間の周方向間隔は、前記組の1つと付加的ポケットとの間の周方向間隔よりも大きくてもよい。好ましくは、第1ポケットの組の1つと付加的第1ポケットとの間の周方向間隔は、第1ポケットの他の組と前記付加的ポケットとの間の周方向間隔に等しい。
【0014】
一実施形態では、ケージは、環状ヒール及び該ヒールから延在した分離部を備え、分離部間に、第1ポケット及び第2ポケットを画定している。
【0015】
ケージは、周方向に延在し且つ軸方向保持手段を形成する少なくとも1つの爪をそれぞれ備えた分離部の第1グループと、爪を有していない分離部の第2グループと、を備えてもよい。有利には、前記第1グループは、互いに向けて周方向に延在した2つの爪をそれぞれ備えた分離部と、単一の爪及び円筒状突起をそれぞれ備えたハイブリッド分離部と、を備えている。前記第1グループの各分離部が、前記分離部の厚さに形成され且つポケットの反対側で軸方向に開いた凹部を含んでもよい。一実施形態では、各分離部の凹部は、隣り合う分離部の凹部に開いている。ケージは、例えば、合成材料、好ましくはポリマーから一体ものとして製造されてもよい。
【0016】
第2の側面によれば、本発明は、内側リング、外側リング、内側リング及び外側リング間に配置された少なくとも一列の転がり部材及び上記で規定されたケージを備えた転がり軸受に関する。
【0017】
第3の側面によれば、本発明は、上記で規定した少なくとも1つの転がり軸受を備えた自動車用電気式パワーステアリングに関する。
【0018】
本発明は、全体として非限定的な例のために与えられ且つ添付の図面に示されたいくつかの実施形態の詳細な説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態による転がり軸受の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から分かるように、転がり軸受10は、外側リング12と、内側リング14と、本実施形態において玉の形態に製造された複数の転がり部材16と、転がり部材の均一な周方向間隔を維持するケージ18と、を備えている。外側リング12及び内側リング14は、ソリッドである。“ソリッドリング”が意味するものは、それ自体の形状が、管、棒状材料、鋳造されたブランク及び/または巻かれたブランクから(旋削、研削して)チップを除去する機械加工によって得られるリングである。
【0021】
外側リング12は、その内孔領域において、断面が転がり部材16に合わせられた窪んだ内部輪郭である深溝レースウェイを含み、前記レースウェイは、径方向において内側を向いている。また、内側リング14は、その円筒状外面において、断面が転がり部材16に合わせられた窪んだ内部輪郭である深溝レースウェイを含み、前記レースウェイは、径方向において外側を向いている。ケージ18は、径方向において、内側リング14の外面と外側リング12の内孔との間に配置されている。
【0022】
図2及び
図3においてより明白に示すように、ケージ18は、軸方向において転がり部材の一側に配置されるように構成され且つヒールを形成する軸方向環状部分20と、該軸方向環状部分の径方向端面20aの反対側で軸方向部分20から軸方向に延在した第1分離部22及び第2分離部24または分離指並びにハイブリッド分離部26と、を備えている。分離部22から26は、軸方向部分20とともに一体ものからなり、分離部間には、転がり部材が以下でより詳細に説明するように配置される第1ポケット28及び第2ポケット30を画定している。
【0023】
第1分離部22は、軸方向部分20から軸方向に突出するペグの形態を得ており、前記分離部は、軸方向部分20の内孔と整列された内面及び前記軸方向部分の外面と整列された外面によって径方向に画定されている。分離部22は、ポケット30を少なくとも部分的に規定する略円筒状側壁によって周方向に画定されている。各ポケット30の壁を規定する円筒の直径は、転がり部材の直径よりも大きく、これにより、前記転がり部材に、ポケット30に対して径方向及び周方向に動くいくらかのクリアランスが与えられる。各ポケット30は、径方向内側及び径方向外側に向かって開いており、且つ軸方向部分20の反対側で軸方向に開いており、ケージ18を取り付けることを可能にする。ポケット30は、円筒状の壁または縁部が設けられた軸方向開口部を有しており、ケージに対して擦れる転がり部材の摩擦を低減させる。
【0024】
各分離部22は、その自由端に形成され且つ軸方向部分20の反対側で軸方向に開いているノッチ32を含んでいる。ノッチ32は、ケージの径方向内側及び径方向外側に向かって開いている。各ノッチ32は、関連する分離部22上に、略円筒形状の2つの軸方向突起34を画定しており、軸方向突起34は、軸方向において軸方向部分20から反対側に位置し、且つ前記分離部の側壁を軸方向に延在させる。突起34は、ケージにおける転がり部材上への軸方向の保持を提供することに適していない。ポケット30には、上記軸方向保持手段が設けられていない。
【0025】
各分離部22は、前記分離部の厚さに形成され且つヒールの端面20aからノッチ32に近接するまで延在した凹部36を含んでいる。各凹部36は、端面20aに向かってポケット26,28の反対側で軸方向に開いており、且つ関連する分離部の内面及び外面によって径方向に画定されている。
【0026】
第2分離部24及びハイブリッド分離部26は、前記ケージを転がり部材上に保持するための軸方向保持手段が設けられたポケット28を規定している。ポケット28は、関連する転がり部材を包むのに役立つ全体として球形状を有している。各ハイブリッド分離部26は、隣り合う第1分離部22とともにポケット30を規定している。図示した実施形態では、ケージ18は、6つのハイブリッド分離部26を備え、6つのハイブリッド分離部のうち2つがポケット28の1つを規定し、6つのハイブリッド分離部のうち4つが分離部24と組み合わせられて4つの他のポケット28を規定している。第1分離部22及び第2分離部24は、合計でそれぞれ4つ及び2つであり、また、7つのポケット30がある。
【0027】
ポケット28は、周方向において不均一に離間している。2つの連続的なポケット28の間の周方向間隔は、ケージの周囲にわたって一定ではない。図示した実施形態では、ケージ18は、2つ一組で配置された4つのポケット28を含み、各組のポケットは、直接隣り合っており、5つ目のポケット28は、2つの連続的なポケット30によって各組から間隔をあけられている。3つのポケット30は、二組のポケット28の間に設けられている。5つ目のポケット28は、2つの隣り合うハイブリッド分離部26によって形成され、他の4つのポケット28は、隣り合うハイブリッド分離部26及び第2分離部24によってそれぞれ形成されている。7つのポケット30のうちの6つは、ハイブリッド分離部26及び隣り合う第1分離部22によってそれぞれ規定され、7つ目のポケット30は、2つの隣り合う分離部22によって規定されている。
【0028】
ハイブリッド分離部26は、軸方向部分20から軸方向に突出する指またはペグの形態を得ており、且つ前記軸方向部分20の内孔及び外面とそれぞれ整列された内面及び外面によって径方向に画定されている。各ハイブリッド分離部26は、周方向において一側に、隣り合う分離部22とともにポケット30の1つを形成するように略円筒状である側壁を有し、他側に、隣り合うハイブリッド分離部26の球状壁に接続する球状である壁を有しており、前記ポケット30と隣り合うポケット28を形成する。
【0029】
各ハイブリッド分離部26は、軸方向部分20の反対側で軸方向に延在した爪38を備え、爪38の自由端は、関連するポケット28を画定するために周方向に延在している。ポケット28が2つの隣り合うハイブリッド分離部26によって形成される場合、分離部の一方の爪38は、前記ポケット28を画定するために他方の分離部の一部である対向する爪に向かって延在する。各爪38の窪んだ内面は、ポケット28の球状壁の一部を形成する。2つの爪38の自由端は、関連する転がり部材の直径よりも小さい距離だけ離間されている。前記ポケット28の爪38は、前記ポケット内に配置された転がり部材をクリップすることによってケージ18を軸方向に保持することができる。ケージ18は、軸方向において、爪38によって部分的に1列の転がり部材上に保持される。
【0030】
また、各ハイブリッド分離部26は、軸方向において軸方向部分20に対して反対方向に延在した円筒形状からなる軸方向突起40を備えている。各ハイブリッド分離部26の突起40は、隣り合う分離部22の突起34とともに、軸方向保持手段が設けられていないポケット30の1つを部分的に画定している。各突起40は、ポケット28と隣り合うポケット30内に配置された転がり部材に対するケージの軸方向の保持を提供することができない。
【0031】
各ハイブリッド分離部26における爪38及び突起40は、キャビティ42によって周方向に分けられており、これにより、爪38は、比較的小さい周方向の厚さ及びある程度の可撓性を有し、これは、軸方向の推進力が前記転がり部材に向かってケージの軸方向部分20に付与されると、ケージ18が爪38の周方向部分によって転がり部材上にクリップされることを可能にする。各ポケット28は、径方向内側及び径方向外側に向かって開いており、且つ軸方向部分20の反対側で軸方向にも開き、ケージ18が設置されることを可能にする。
【0032】
各ハイブリッド分離部26は、前記分離部の厚さに形成され且つヒールの端面20aからノッチ42に近接するまで延在した凹部44をさらに含んでいる。各凹部44は、端面20aに向かってポケット26,28の反対側で軸方向に開いており、且つ関連する分離部の内面及び外面によって径方向に画定されている。ポケット28が2つの隣り合うハイブリッド分離部26によって形成される場合、凹部44は、周方向において互いに開いている。
【0033】
2つの分離部24は、軸方向部分20に対して軸方向に突出する指またはペグの形態であり、且つ前記軸方向部分20の内孔及び外面とそれぞれ整列された内面及び外面によって径方向に画定されている。各分離部24は、周方向において各側に、関連するポケット28を形成するために隣り合うハイブリッド分離部26の球状壁に接続する球状壁を有している。
【0034】
各分離部24は、軸方向部分20の反対側で軸方向に延在し且つハイブリッド分離部26の爪38と同一であり且つ周方向において両方向に延在した2つの爪46を備えている。各爪46は、関連するポケット28を画定するために隣り合うハイブリッド分離部26の爪38に向かって延在している。隣り合う2つの爪38,46の自由端は、関連する転がり部材の直径よりも小さい距離だけ離間している。前記ポケット28の爪38,46は、前記ポケット内に配置された転がり部材をクリップすることによってケージ18の軸方向の保持を提供することができる。ケージ18は、軸方向において、爪38,46によって1列の転がり部材上に保持される。各分離部24の爪46は、凹部48によって周方向に分けられ、これにより、爪が、比較的小さい周方向の厚さ、及びケージ18が転がり部材上にクリップされることを可能にするある程度の可撓性をそれぞれ有する。
【0035】
また、各分離部24は、前記分離部の厚さに形成され且つヒールの端面20aからノッチ48に近接するまで延在した凹部50をさらに含んでいる。各凹部50は、端面20aに向かってポケット26,28の反対側で軸方向に開いており、且つ関連する分離部の内面及び外面によって径方向に画定されている。各凹部50の周方向の各端部は、隣り合うハイブリッド分離部26の凹部44に開いている。
【0036】
分離部の凹部36,44,50は、ケージ18に、前記ケージの機械的強度が局所的に弱い領域を形成し、ケージを曲げることを支援する。さらに、凹部は、使用される材料の量を減少させることによってケージ18を軽量化する。有利には、ケージ18は、ポリマー材料、例えばポリアミド、特に、PA 66またはPA 46あるいはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を成形することによって一体ものとして製造されている。
【0037】
保持手段または転がり部材上に留めるクリップ手段を備えたポケットの周方向における不均一な分配に起因して、特に直角利用におけるケージの適応を提供することを可能にし、すなわち、軸受の最も大きい荷重領域において、保持手段を備えたポケットの数が制限され、この領域にある転がり部材の径方向及び周方向の動きをより容易にし、且つケージの変形を回避する。
【符号の説明】
【0038】
20 ヒール、22 分離部、24 分離部、26 ハイブリッド分離部、28 第1ポケット、30 第2ポケット、38 軸方向保持手段、46 軸方向保持手段