特許第6490899号(P6490899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490899
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】補強土壁及び補強土壁の構成方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   E02D17/18 A
   E02D17/18 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-23265(P2014-23265)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-151669(P2015-151669A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100140615
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154313
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 忠志
(72)【発明者】
【氏名】乕田 雅明
(72)【発明者】
【氏名】新城 和男
(72)【発明者】
【氏名】倉本 信二
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−149285(JP,U)
【文献】 特開2003−252397(JP,A)
【文献】 特開2003−082666(JP,A)
【文献】 特開2012−219521(JP,A)
【文献】 特開2009−287364(JP,A)
【文献】 特開2003−096778(JP,A)
【文献】 特開昭59−052024(JP,A)
【文献】 特開2000−142880(JP,A)
【文献】 特開2010−203114(JP,A)
【文献】 特開2004−084183(JP,A)
【文献】 特開2005−315011(JP,A)
【文献】 米国特許第05873655(US,A)
【文献】 特開平10−086994(JP,A)
【文献】 特開2007−218077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/18
E02B 3/04
B65D 88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて形成された角型土嚢が、地盤上に一列又は複数列に敷き詰められ、その上に前記角型土嚢が積み重ねられた構成を有する補強土壁において、
前記フレキシブルコンテナバッグは四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、
前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、
前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなることを特徴とする補強土壁。
【請求項2】
複数の帯状の仕切り片が角部の上端から下端に亘り互いに間隔を開けて止着された構成のフレキシブルコンテナバッグを用いてなる請求項1に記載の補強土壁。
【請求項3】
四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなるフレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて角型土嚢を形成し、
地盤上にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、敷き詰めた角型土嚢の後方の地盤上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して地盤上に第1の補強土壁を形成し、
次いで、前記第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で、前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、当該敷き詰めた角型土嚢の後方の前記第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成することを特徴とする補強土壁の構成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のフレキシブルコンテナバッグ(以下、「コンテナバッグ」と略称する。)に土砂などの中詰材を詰め入れて土嚢を形成し、これを地盤上に敷き詰めて構成される補強土壁に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の耐候性土嚢を用いた積層工法により、道路や河川の応急仮工事や災害復旧工事などが行われ、また、急勾配盛土などの土留め構造物を永久構造物として使用するため、地盤上にジオテキスタイル(網状補強材)を敷設し、その上に盛られる土との相互作用によって強度を高めるジオテキスタイル工により、構造物の補強工事が行われている。
【0003】
積層工法で用いられる耐候性土嚢やジオテキスタイル工の盛土材として、円形管状の袋体や有底円筒状のコンテナバッグや用いられている(例えば特許文献1,2参照)。
また、ジオテキスタイル工により土留め構造体を構成する場合に、垂直に近い法面を綺麗に収めるため、盛土の法面側の端部に壁面材を設置し、これらをジオテキスタイルで囲うように設けて盛土を補強することが行われている(例えば特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−203114号公報
【特許文献2】特開2004−84183号公報
【特許文献3】特開2005−315011号公報
【特許文献4】特開2012−219521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
円形管状や円筒状のコンテナバッグに土砂を詰め入れて形成された土嚢は外周が膨らんだ円柱形となり、これらを地盤の上に列状に敷き詰めると土嚢と土嚢の間には奥側へ凹んだ段差ができる。角型に形成された現状のコンテナバッグでも、土砂を詰め入れると周面が膨らんで円柱形になることに変わりはない。
【0006】
仮設構造物として円柱形の土嚢を積み上げて補強土壁を構成した場合に、土壁の表面が凹凸していたのでは見栄えが悪く、また、土壁表面に段差があると異物が堆積したり引っ掛かたりして、土嚢の表面を傷つけたり破損させたりしやすい。
仮設構造物は、本工事が始まるまでの間だけ一時的に設置されるものであるが、本工事が始まるまでに数年を要して仮設構造物の設置が長期間に亘ることも多く、その間、周辺の景観に悪影響を及ばさないように、仮設構造物の外観は見栄え良く収められていることが好ましい。また、敷設した土嚢が劣化することがないように、異物が堆積し難くい形状に設けられていることが好ましい。
【0007】
また、ジオテキスタイル工に土留め構造体を構成する場合も、円柱形の土嚢を盛土材として用いると、法面に土嚢と土嚢の間に段差ができて見栄えが悪くなる。
土留め構造体の法面を垂直に収めるときは、土嚢間の段差や土嚢の外側に膨らんで湾曲した外周面が露出しないように、前記の如く法面側の端部に壁面材を設置して土嚢表面を覆ったり、段差部分にモルタルを充填して隣接した土嚢の外周面の部分を平滑な面に仕上げたりする必要がある。
【0008】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、土嚢を敷き詰めて補強土壁を構成するにあたり、敷き詰めた土嚢列の表面にできる隣接土嚢間の段差や凹凸が出来る限り小さくなるように設けることで、異物の堆積に伴う土嚢の劣化防止を図るとともに、補強土壁表面の外観上の見栄えを良好なものとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の通り、円筒状のものに代えて角型のコンテナバッグを用いて土嚢を形成しても、現状のものでは土砂を詰め入れるとコンテナバッグの胴部周面が膨らんで円柱或いは樽形になり、土嚢を敷き詰めたときに隣り合う土嚢同士の間に段差ができてしまう。
そこで、本発明では、内部に中詰材を一杯に充填しても角型に保持されるように構成されたコンテナバッグを用いて土嚢を形成し、これを地盤に敷き詰めて、土嚢列の段差や凹凸が小さく、表面が略平滑な補強土壁を構成した。
【0010】
本発明の補強土壁は、フレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて形成された角型土嚢が、地盤上に一列又は複数列に敷き詰められ、その上に前記角型土嚢が積み重ねられた構成を有する補強土壁であって、
前記フレキシブルコンテナバッグが、四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなることを特徴とする。
【0011】
これによれば、コンテナバッグの胴部の四隅角部の内側に、各々角部を水平に跨ぐように仕切り片を配置して、仕切り片の両端部を角部両側の胴部側面に止着してあるので、コンテナバッグに中詰材が充填されたときに、胴部周側面に中詰材の外向きの圧力がかかっても、角部両側の側面が外側に拡がることはなく、角部は略直角に保持されて胴部周側面が外方へ膨らむように変形することが抑制され、さらに、仕切り片で仕切られた角部内側の平面視略直角三角形の空間に内容物が充填されることでコンテナバッグは角型に保持される。
従って、前記コンテナバッグに中詰材を充填して角型土嚢を形成し、これを地盤上に一列又は複数列に敷き詰め、さらにその上に角型土嚢を積み重ねれば、隣接する土嚢と土嚢の間に段差がなく、表面が平滑な補強土壁を構成することができる。
前記構成の補強土壁は、隣り合う土嚢同士が互いの側面全体を密着させて設置されるので、表面に段差や凹凸がなく、段差や凹凸が表出したとしても極めて小さいものなので、外観が方形ブロックを積み重ねた如き直角に交わる平面が強調された見栄えの良いものとなり、また、土嚢と土嚢の間に異物が堆積したり引っ掛かったりし難く、異物の堆積に伴って土嚢が劣化することを防止することができる。
【0012】
また、本発明の補強土壁の構成方法は、四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなるフレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて角型土嚢を形成し、
地盤上にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、敷き詰めた角型土嚢の後方の地盤上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して地盤上に第1の補強土壁を形成し、
次いで、前記第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で、前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、当該敷き詰めた角型土嚢の後方の前記第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成した構成を有することを特徴とする。
【0013】
これによれば、補強土壁のジオテキスタイルが巻き付けられる側の壁面は、土嚢と土嚢の間の段差や凹凸がなく、地盤に対して略垂直に交差する平滑な面となるので、ジオテキスタイルを巻き付けつつ補強土壁を積層することで、壁面部が略垂直な土留め構造体を構成することができる。
補強土壁の壁面に段差や凹凸がないので、土留め構造体の法面を垂直に収める場合に、法面側の端部に段差や凹凸を覆う壁面材を設置したり、段差部分にモルタルを充填して平滑な面に仕上げたりする工事は不要である。勿論、法面に沿って補強するため、壁面材を補強土壁の壁面に設置したり壁面に沿ってモルタルを充填して固めたりしてもよい。
【0014】
前記構成の補強土壁において、コンテナバッグは、複数の帯状の仕切り片が角部の上端から下端に亘り互いに間隔を開けて止着された構成のものを用いることができる。
【0015】
これによれば、コンテナバッグの胴部の四隅角部の内側で、角部の上端から下端に亘って複数の仕切り片が互いに適宜な間隔を開けて取り付けてあるので、中詰材として大小の塊を含む土砂を詰め入れる場合であっても、上下の仕切り片の間の隙間を通して角部内側の空間部に土砂がスムーズに入り込んで、胴部の四隅角部に隈無く詰め入れることができる。土砂を一杯に充填したときに、コンテナバッグの角部の内側の空間に隙間ができて角部が潰れたり湾曲したりするようなことはなく、コンテナバッグは角型に保持される。
この場合、仕切り片で仕切られた角部内側の空間全体に隈無く且つスムーズに内容物が入り込むようにするため、角部の上端から下端に至る仕切り片の配置間隔(S)が、仕切り片の短手幅(W)の長さと略同じ(S≒W)に設けられていることが好ましい(図7参照)。
【0016】
角型土嚢を構成するコンテナバッグは、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成繊維で織られたシートとベルトを用いて形成することができる。コンテナバッグの胴部や底部を構成するシート同士の止着や胴部への吊用ベルトの止着に用いる手段も、縫製や熱融着、接着などの適宜な手段を用いることができる。仮設構造物として本発明の補強土壁を構成する場合、コンテナバッグの吊用ベルトの止着部分が紫外線を受けて劣化することがないように、コンテナバッグの胴部の内側に吊用ベルトが止着されていることが好ましい。
なお、本発明を適用して、道路や河川の応急仮工事や災害復旧工事などに耐候性大型土嚢積層工法を実施する場合、コンテナバッグに中詰材を詰め入れて形成される土嚢は、一般財団法人土木研究センターが発刊した『「耐候性大型土のう積層工法」設計・施工マニュアル』で規定される強度や変形特性、耐久性、排水・透水性などの性能を満足する性能を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の補強土壁によれば、隣り合う土嚢同士が互いの側面全体を密着させて設置されるので、表面に段差や凹凸がなく、段差や凹凸が表出したとしても極めて小さいものなので、外観が方形ブロックを積み重ねた如き直角に交わる平面が強調された見栄えの良いものとなり、また、土嚢と土嚢の間に異物が堆積したり引っ掛かったりし難く、異物の堆積に伴って土嚢が劣化することを効果的に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の補強土壁を構成する土嚢の外観図である。
図2図1の土嚢を形成する一実施形態のコンテナバッグの外観図である。
図3図2のコンテナバッグの横断面図である。
図4図2のコンテナバッグの胴部の角部の構成を拡大して示した図である。
図5】(A),(B)は図2のコンテナバッグを製造する工程を説明するための図である。
図6図1の土嚢を形成する他の形態のコンテナバッグの外観図である。
図7図6のコンテナバッグを製造する工程を説明するための図である。
図8】本発明の補強土壁の一例を示した図である。
図9】(A)〜(F)はジオテキスタイル工により補強土壁を構成する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の補強土壁を構成する角型土嚢を示しており、この角型土嚢SBは、図2に示される角型のコンテナバッグ1に中詰材である土砂を詰め入れて形成されており、コンテナバッグ1内に土砂を一杯に充填した状態で、外周面が平面視正方形に保時されるように構成されたものである。
【0020】
図2に示されるように、コンテナバッグ1は、上下が平面視正方形に開口した四角筒状の胴部2の下部を、底部3を縫い合わせ塞ぎ、胴部2の上部開口の内周縁に筒状の投入部4を一体に縫い合わせて取り付けるとともに、胴部2の四隅角部21の内側に、仕切り片5とリング状に屈曲した吊用ベルト6とを一体に取り付けて形成してある。図中、符番8は投入部4の外面に一体に設けられた縛りテープである。
【0021】
詳しくは、図2及び図3に示されるように、胴部2の四隅角部21は、各々その内側に、角部21の上端近傍から下端近傍に亘って縦長の仕切り片5が、角部21を挟んで隣り合う両側面22,22間に跨るように配置されて各々その両端部51,51を側面22,22の内面に縫い付けて取り付けられ、仕切り片5が取り付けられた位置の角部21の内側部分が角部21を挟む両側面22,22と仕切り片5とで平面視略直角三角形の空間に仕切られた形状に設けてある。
また、吊用ベルト6は、胴部2の四隅角部21で二つ折りにされて、その両端部が角部21の両側の側面22,22の内側に挿入され、且つ胴部2の下部から上部に亘る側面22,22の内面に縫い付けられて、角部21の内側に一体に取り付けてある。
【0022】
仕切り片5は、その両端部51,51が適宜な幅の接続代となっており、図4に示されるように、胴部2の角部21からその両側の側面22,22に等間隔を開けた位置で前記両端部51,51を側面22,22の内面に重ねて縫い付けてある。
【0023】
吊用ベルト6は、図4に示されるように、角部21の内側に挿入された両端部を、仕切り片5の両端部51,51の内側にそれぞれ重ねて、仕切り片5とともに角部21を挟む側面22,22の内面に縫い付けてある。
また、胴部2の四隅角部21の内側に取り付けられた四本の吊用ベルト6は、隣り合った隅角部21,21にそれぞれ取り付けられたた二本の吊用ベルト6,6同士と、他の二本の吊用ベルト6,6同士を、それぞれ連結吊りベルト7,7で連結してあり、両連結吊りベルト7,7をクレーンで吊って角型土嚢SBを移送することができるように設けてある(図1参照)。
【0024】
各角部21への仕切り片5と吊用ベルト6の取り付けは、例えば図5(A)に示されるように、リング状に二つ折りにした吊用ベルト6に仕切り片5の両端部51,51を一体に縫い合わせておき、これを、同図(B)に示されるように、仕切り片5と吊用ベルト6が角部21を跨ぐように配置して側面22,22の内面に重ね合せた状態で、各仕切り片5ととともに吊用ベルト6を両側面22,22に縫い合せることにより行うことができる。
【0025】
図6及び図7は、コンテナバッグ1の他の形態を示しており、これは縦長の仕切り片5に代えて横長の複数の仕切り片5を胴部2の四隅角部21の内側に取り付けたものである。
詳しくは、図示したコンテナバッグ1は、胴部2の四隅角部21の内側に、角部21の上端から下端に亘って互いに等間隔を開け、且つ長手方向を水平横向きにして角部21を挟んで隣り合う両側面22,22間に跨るように配置された三つの帯状の仕切り片5が各々その両端部51,51を側面22,22の内面に縫い付けて取り付けられ、前記形態と同様に、各仕切り片5が取り付けられた位置の角部21の内側部分が角部21を挟む両側面22,22と仕切り片5とで平面視略直角三角形の空間に仕切られた形状に設けてある。吊用ベルト6が、各四隅角部21の内側に一体に取り付けてあること、二本の吊用ベルト6,6同士が連結吊りベルト7で連結してあることは前記形態と同様である。
【0026】
角部21の上端から下端に沿って取り付けられた三つの仕切り片5は、図7に示されるように、その上下の配置間隔(S)が仕切り片5の短手幅(W)の長さと略同じ(S≒W)となるように設定して配置してある。
各角部21への仕切り片5と吊用ベルト6の取り付けは、例えば図7に示されるように、リング状に二つ折りにした吊用ベルト6に等間隔を開けて平行に配置した三つの仕切り片5の両端部51,51を一体に縫い合わせておき、これを各仕切り片5と吊用ベルト6が角部21を跨ぐように配置して側面22,22の内面に重ね合せた状態で、各仕切り片5ととともに吊用ベルト6を両側面22,22に縫い合せることにより行うことができる。
【0027】
図1に示された角型土嚢SBは、このように構成されたコンテナバッグ1の投入部4の上部開口から胴部2内に土砂を詰め入れ、胴部2の上端まで一杯に充填されたならば、投入部4を細く窄めて開口を閉鎖するともに、細く窄めた投入部4の外周に巻いた縛りテープ8を縛り付けて胴部2内を密封することにより形成することができる。
【0028】
コンテナバッグ1に土砂を詰め入れると、土砂の圧力が胴部2の周側面に外向きにかかるが、胴部2の四隅角部21の内側に角部21を跨ぐように配置された仕切り片5を取り付けてあるので、角部21両側の側面22,22が拡がることはなく、角部21内側の仕切り片5で仕切られた平面視略直角三角形の空間に内容物が充填されることで、土嚢SBは角型に保持される。
図6に示されるコンテナバッグ1のように、各角部21の内側にその上端から下端に亘って複数の仕切り片5を適宜な間隔を開けて取り付けてあれば、大小の塊を含む土砂をコンテナバッグ1に詰め入れ際に、上下の仕切り片5,5の間の隙間を通して土砂が角部21内側の空間部にスムーズに入り込み、胴部2の四隅角部21に隈無く詰め入れることが可能である。コンテナバッグ1に土砂を一杯に充填したときに、角部21の内側の空間に隙間ができて、角部21が潰れたり湾曲したりするようなことはない。
また、吊用ベルト6を胴部2の角部21の内側に取り付けてあるので、角型土嚢SBが長期間屋外に設置されていても、吊用ベルト6の取付け部に紫外線が直接照射されるようなことなく、紫外線を受けることによる前記取り付け部の劣化を防止して、クレーンで吊用ベルト6或いは連結吊りベルト7を吊って角型土嚢SBを安全に移送することが可能である。
【0029】
図8は角型土嚢SBを用いて構成される補強土壁を示しており、これは、平坦に均した地盤G上に、角型土嚢SBを一列又は複数列に敷き詰め、さらにその上に角型土嚢SBを敷き詰めて、角型土嚢SBを複数段に積み重ねて構成したものである。
このように構成された補強土壁は、敷き詰めた角型土嚢SB列の表面に段差や凹凸がなく、壁面部が地盤Gに対して略垂直に交差した見栄えの良い外観のものとなる。
【0030】
また、図9は、ジオスタイル工により補強土壁を構成する工程を示している。
同図に示されるように、先ず、地盤G上にジオテキスタイgeoを敷く(同図(A))、このジオテキスタイルgeo上に角型土嚢SBを一列又は複数列に敷き詰める(同図(B))。この際、角型土嚢SBは、ジオテキスタイルgeoの前端部よりも内側の位置に設置しておく。
次いで、敷き詰めた角型土嚢SBの後方の地盤G上に土を盛る(同図(C))。盛土の表面を敷き均し転圧したならば、ジオテキスタイルgeoの前端側を敷き詰めた角型土嚢SBの後方へ折り返して角型土嚢SBの前面から上面に亘って巻き付けるとともに、後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定し(同図(D))、さらに、その上に土を盛り。表面を敷き均し転圧して第1の補強土壁を形成する(同図(E))。
そして、第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルgeoを敷き、このジオテキスタイルgeo上であってその前端部よりも内側の位置で、角型土嚢SBを一列又は複数列に敷き詰め(同図(F))、以降、上記と同様にして、敷き詰めた角型土嚢SBの後方の第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、ジオテキスタイルgeoの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢SBの前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定し、土を盛って第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成し、同様にして、第3、第4の補強土壁を積層して適宜な高さに補強土壁を構成することができる。
これによれば、補強土壁のジオテキスタイルが巻き付けられる側の壁面は、角型土嚢SBと角型土嚢SBの間の段差や凹凸がなく、地盤に対して略垂直に交差する平滑な面となるので、ジオテキスタイルgeoを巻き付けつつ補強土壁を積層することで、壁面部が略垂直な土留め構造体を構成することができる。
【0031】
なお、図示した補強土壁や角型土嚢、コンテナバッグは本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されず、他の適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 コンテナバッグ、2 胴部、21 角部、22 側面、3 底部、4 投入部、5 仕切り片、6 吊用ベルト、7 連結吊りベルト、8 縛りテープ、SB 角型土嚢、G 地盤、geo ジオテキスタイル
図1
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図9