【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度太陽光発電多用途化実証プロジェクト、太陽光発電多用途化実証事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2工程と第3工程の間に、傾斜方向ガイド管から傾斜地又は法面に向かって略水平方向に足場板材を載置するための足場用枠体を複数設置し、これら足場用枠体間に足場板材を掛け渡し、作業用足場を形成する工程を付加したことを特徴とする請求項1に記載の面状物品の架台用杭部材の施工方法。
前記第3工程において使用するクランプ部材が、横方向ガイド管を挿通できる横方向挿通部と、この横方向挿通部と略直交する方向に設けた縦方向挿通部を有するものからなり、
横方向挿通部が横方向ガイド管に螺子等の締着手段により締着され、前記縦方向挿通部には打設される杭部材が遊嵌状態に挿通・配置され、位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載の面状物品の架台用杭部材の施工方法。
前記支持位置調整金具を設け、杭部材の支持位置を微調整した後に、それぞれの杭部材の上端部から上方に延長する螺子軸部を挿通できる挿通穴が所定間隔で穿設された横架材を、横方向に列設した杭部材に配設して、横架材の挿通穴に前記杭部材の上端部の螺子軸部を挿通させて当該横架材を杭部材の位置決め治具としたことを特徴とする請求項3に記載の面状物品の架台用杭部材の施工方法。
【背景技術】
【0002】
従来よりメガソーラー等大小を問わず地上に設置されるタイプのソーラーパネル等の面状物品を構築する各種の支持架台が提案されている。これらの先行技術として下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
【0003】
下記特許文献1に記載の発明に係る太陽電池パネル支持構造にあっては、経済的に施工が容易、安全性、メンテナンス性に優れるものを提供するものであって、施工地に所定間隔で立設された複数の土台(架台)と土台(架台)間に掛け渡した支持材と、支持材に設けた太陽電池パネルを取り付ける取り付け部とを備えたものである。
この発明では、この土台の形態に特徴があり、即ち、土台の上面の上面全部又は一部を所定角で傾斜させ、この傾斜面に支持材を取り付けて太陽電池パネルを傾斜状態に支持するものである。
【0004】
下記特許文献2に記載の支持構造にあっては、地盤の不安定性に対して、低いコストで安定的に太陽電池モジュールを支持し得る支持構造とそのための支持金具を提供するものである。
ここで利用されている土台は、その手前側に位置する土台と、その後方に位置する土台とが異なる高さに施工・設置され、これら異なる高さの土台の上面に取付金具を固定して太陽電池パネルを傾斜状に設置し固定できるものであって、その取付金具の構成に特徴がある。
【0005】
下記特許文献3に記載の支持構造にあっては、太陽電池モジュール等の構造物の取付け作業が容易でありかつ安全な構造物支持構造を提供するものであり、この構造物を支持する桟と案内支持部との両者の構成に特徴がある。
この発明においても、土台部であるコンクリート基礎を等間隔で地面上に敷設し、これらコンクリート基礎上にベース桟を固定してベース桟を等間隔に並設し、各ベース桟の後端部アームを鉛直方向に立設して、各ベース桟の先端部と各後端部アームの上端部に縦桟を斜めに掛け渡し、これらの縦桟に太陽電池モジュールを設置するものである。
これら従来の技術の何れのものもその架台の基礎としてコンクリート製土台を使用するものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、従来のソーラーパネル等の面状物品の支持構造においては各種のタイプのものがあるが、その何れのものも設置(施工)場所にコンクリート製の土台部を設置し、この土台部の上に支持構造(支持架台)を介して面状物品を平面状又は傾斜状に支持固定するものである。
しかしながら、従来のようなコンクリート製の土台を用いずに、面状物品を支持固定できる架台を提供することをその課題として、本願出願人は、特願2013−202817号(出願日:平成25年9月28日)として面状物品用支持架台を提案した。
【0008】
この先願発明においては、コンクリート製土台を使用せずに、発想の転換を図って杭部材を利用するのであるが、そのための杭部材の構成を創案し、そして、複数の杭部材の上端部で架台を支持することとなるのであるが、その際の支持固定位置の調整をもできる部材を設けることを提案した。
【0009】
これにより、設置面又は施工地の基礎工事を不要とし、設置面の状態に関わらず容易に架台を立設することができ、また、架台を除去する際にも、簡単に原状に復帰させることもできる架台を提案したのである。
本願発明においては、上記先願と同様の構成に係る面状物品の支持架台に関わるものであるが、その支持架台に使用する多数の杭部材を傾斜地又は法面に打設する方法を提案することをその課題とするものである。
また、杭部材の打設に際しては、傾斜地や法面に存在する石や植物の根等による打設位置の微妙なズレも生じるため、その支持位置調整の手段も講じる必要があり、これについても本発明の課題となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、面状物品を設置するための架台を支持する多数の杭部材を傾斜地又は法面に打設するための施工方法であって、傾斜地又は法面の傾斜方向に沿う縦方向に少なくとも一対の傾斜方向ガイド管を左右両側に設置する第1工程と、前記一対の傾斜方向ガイド管に略直交する横方向に横架する横方向ガイド管の複数を略平行に設置する第2工程と、前記それぞれの横方向ガイド管の適宜位置に、前記架台を支持する杭部材の位置決めをするためのクランプ部材を固定する第3工程と、前記クランプ部材に杭部材を保持させ、当該杭部材を傾斜地又は法面に略鉛直方向に打ち込む第4工程とからな
り、杭部材の打設が完了した後、杭部材の上端部に板状の支持位置調整金具を設け、前記支持位置調整金具の上面と下面のそれぞれに直径方向に溝条部を平面視略直交するように設け、杭部材の上端部に設けられた螺子部の頭部が前記支持位置調整金具の下面の溝条部内に適合し、前記支持位置調整金具の上面の溝条部内には別の螺子頭部が適合し、これら下方の螺子部の頭部と前記上方の螺子部の頭部の位置をそれぞれの溝条部内で移動させることにより、杭部材の支持位置を微調整できることを特徴とする面状物品の架台用杭部材の施工方法である。
【0011】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記第2工程と第3工程の間に、傾斜方向ガイド管から傾斜地又は法面に向かって略水平方向に足場板材を載置するための足場用枠体を複数設置し、これら足場用枠体間に足場板材を掛け渡し、作業用足場を形成する工程を付加したことを特徴とする面状物品の架台用杭部材の施工方法である。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記第3工程において使用するクランプ部材が、横方向ガイド管を挿通できる横方向挿通部と、この横方向挿通部と略直交する方向に設けた縦方向挿通部を有するものからなり、横方向挿通部が横方向ガイド管に螺子等の締着手段により締着され、前記縦方向挿通部には打設される杭部材が遊嵌状態に挿通・配置され、位置決めされることを特徴とする面状物品の架台用杭部材の施工方法である。
【0013】
(削除)
【0014】
(削除)
【0015】
本発明の第4のものは、上記第3の発明において、前記支持位置調整金具を設け、杭部材の支持位置を微調整した後に、それぞれの杭部材の上端部から上方に延長する螺子軸部を挿通できる挿通穴が所定間隔で穿設された横架材を、横方向に列設した杭部材に配設して、横架材の挿通穴に前記杭部材の上端部の螺子軸部を挿通させて当該横架材を杭部材の位置決め治具としたことを特徴とする面状物品の架台用杭部材の施工方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1のものにおいては、まず、面状物品を支持する架台の杭部材の基本的な構成ユニットの施工方法を特定しており、このユニットを縦方向及び横方向に繰り返して、即ち、傾斜方向ガイド管を接続延長し、且つ、横方向ガイド管を横に長く連結して延長し、多数略平行に設置して、縦横に多数の杭部材を打込むことができ、これらの杭部材の上端部に面状物品の架台を縦横に多数支持し設置することができることとなる。
即ち、傾斜地又は法面の必要なエリアに必要な数の杭部材を縦横に配列して打設することができることとなる。
【0017】
横方向ガイド管に固定されるクランプ部材は、その固定位置により杭部材の位置決めを容易に行うことができることとなる。
これは特に重要な効果であって、このクランプ部材の位置決めは、杭部材の上端に支持固定される架台のサイズや数等に適合させて、位置決めをすればよく、この位置決めが出来た後に、つまり、杭部材がクランプ部材に保持された状態で、杭部材はその位置に容易に打ち込まれることとなるのである。
【0018】
また、このクランプ部材は、横方向ガイド管に所定間隔で固定されるために、これらクランプ部材の固定位置が一定高さに配置されるため、容易に杭部材を保持でき、杭部材を容易に打設することが可能となるのである。
更に、杭部材の打設が完了した後、杭部材の上端部に支持位置調整金具を設け、杭部材の支持位置を微調整できるようにしたものであり、杭部材が傾斜地又は法面に打ち込まれる際に、土中の石や植物の根等による打込み位置のズレが生じるが、このズレを適切な位置に微調整することが可能となる。
本発明においては、更に、支持位置調整金具を具体化したものである。
即ち、前記支持位置調整金具の上面と下面のそれぞれに直径方向に溝条部を平面視略直交するように設け、杭部材の上端部に設けられた螺子部の頭部が前記支持位置調整金具の下面の溝条部内に適合し、前記支持位置調整金具の上面の溝条部内には別の螺子頭部が適合し、これら下方の螺子部の頭部と前記上方の螺子部の頭部の位置をそれぞれの溝条部内で移動させることにより、杭部材の支持位置を微調整できるようにしたものである。
【0019】
本発明の第2のものにおいては、上記第1の発明の第2工程と第3工程の間に、傾斜方向ガイド管から傾斜地又は法面に向かって略水平方向に足場板材を載置するための足場用枠体を複数設置し、これら足場用枠体間に足場板材を掛け渡し、作業用足場を形成する工程を付加したことを特徴とするものであり、この足場を利用して作業者は、杭部材を順次打込んで行くことができることとなる。
【0020】
本発明の第3のものにおいては、クランプ部材を限定したものであり、即ち、このクランプ部材は、横方向ガイド管を挿通できる横方向挿通部と、この横方向挿通部と略直交する方向に設けた縦方向挿通部を有するものからなり、横方向挿通部が横方向ガイド管に螺子等の締着手段により締着され、前記縦方向挿通部には打設される杭部材が遊嵌状態に貫通・配置され、位置決めされることを特徴とし、これにより杭部材は、このクランプ部材により位置決めをされ、打込まれることとなるのである。
【0021】
(削除)
【0022】
(削除)
【0023】
本発明の第
4のものにおいては、上記第
3の発明において、支持位置調整金具を設け、杭部材の支持位置を微調整した後に、それぞれの杭部材の上端部から上方に延長する螺子軸部を挿通できる挿通穴が所定間隔で穿設された横架材を、横方向に列設した杭部材に配設して、横架材の挿通穴に前記杭部材の上端部の螺子軸部を挿通させて当該横架材を杭部材の位置決め治具としたものであり、この横架材により更にそれぞれの杭部材の上端部から上方に延長する螺子軸部の位置決めが確実なものとなるのである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る面状物品の架台用杭部材の施工方法により打込まれた杭部材上に面状物品の架台を設置した状態に記載した側面図である。
図2は、
図1の正面図である。
即ち、この両図においては、杭部材が打設され、その杭部材上に架台が設置されている状態を示している。
【0026】
これら
図1及び
図2に図示した例は、左右両側に傾斜方向ガイド管11が一対設置され、これら一対の傾斜方向ガイド管11、11に横架するように、即ち略直交する方向に4本の横方向ガイド管12、12、…をそれぞれ略平行に掛け渡して固定している。
これら傾斜方向ガイド管11及び横方向ガイド管12は、いずれも金属製である。
【0027】
傾斜方向ガイド管11は、それぞれ3本の支持杭13によって支持され、固定されているが、この支持杭13の本数は自由である。
これら
図1及び
図2においては、図から解る通り、架台9と架台10とが2列に配列されて固定できる形態である。
即ち、架台9が下方に横2台、架台10が上方に横2台、合計4台の架台9、10が設置されるのである。
【0028】
但し、最小の構成単位(ユニット)としては、1台のみの架台を設置する形態として、即ち、左右両側に一対の傾斜方向ガイド管11、11を設置し、これら傾斜方向ガイド管11、11に略直交するように横方向ガイド管12を2本横架することによって、1台の架台を設置することができる。
この構成単位によって、以下のように4本の杭部材15を打込むことができるからである。
架台9又は架台10は、4個の脚部を有しており、これら4個の脚部のそれぞれを4本の杭部材15によって支持できるからである。
【0029】
説明を
図1及び
図2に戻して、4台の架台を設置できる態様を以下に示すが、上記した通り、両側に一対の傾斜方向ガイド管11、11を設置し、これらの傾斜方向ガイド管11、11に横架するように4本の横方向ガイド管12を略平行に固定し設置する。
そして、それぞれの横方向ガイド管12に、図には明瞭に表示していないが、クランプ部材を4個固定するのである。
【0030】
このクランプ部材の固定位置が、本発明に係る杭部材の打込み位置を示すものとなる。
図2から解る通り、クランプ部材は、横方向ガイド管12と杭部材15が交差する位置に固定されるのである。
【0031】
クランプ部材は従来からある異径クランプを使用しており、横方向ガイド管12を挿通して締着できる横挿通部と、この横挿通部と略直角に挿通方向を有する縦挿通部とからなり、これら横挿通部と縦挿通部とが相互に回動する構成を有するものである。
これら横挿通部及び縦挿通部は、開閉自在構造を有し、横挿通部には横方向ガイド管を、縦挿通部には杭部材を遊嵌状態で挿通できる内径サイズのものを利用している。
【0032】
従って、このクランプ部材を横方向ガイド管に取り付け固定して、杭部材の打込み位置を特定して、位置決め効果を持たせ、このクランプ部材の縦挿通部に杭部材15を遊嵌状態で挿通して、この杭部材を杭打ち機で簡単に打込むことができるのである。
【0033】
次に、この杭部材の打設に際しては、足場板があればより容易な作業となり、この足場板も上記傾斜方向ガイド管を利用して容易に設置することができるのである。
以下、この足場板を設置する手順について説明する。
図1にその足場板20を設置するための足場用枠体21を破線にて表示している。
【0034】
この足場用枠体21も金属製管体を利用しており、この管体を傾斜方向ガイド管11のそれぞれから略水平方向に傾斜地Sに向かって配設したものである。
両側一対の傾斜方向ガイド管のそれぞれに設けられた足場用枠体21の上に長尺板材からなる足場板20を掛け渡せばよいのである。
【0035】
足場板20を設ける位置は当然杭部材15が打設される近傍が相応しいことは当然であるが、適宜所望位置に設置することが可能である。
というのも、傾斜方向ガイド管11は、傾斜方向に連続しており、その何れの位置にも足場用枠体21を設置し固定することができるからである。
【0036】
以下再度、本発明に係る杭部材の施工方法を順次記載すると、以下の通りとなる。
1)第1工程
傾斜地Sの傾斜方向に最低一対の傾斜方向ガイド管11、11を設置する。
設置に際しては、適数本の支持杭を傾斜地Sに鉛直方向に打ち込み、これらの杭にクランプ等を利用して傾斜方向ガイド管11を所定角度に固定し設置することができる。
【0037】
2)第2工程
上記第1工程で設置された左右両側一対の傾斜方向ガイド管11、11に対して略直交する方向に横方向ガイド管12を例えば4本略平行に横架し、固定する。
横方向ガイド管12の固定位置は、設置される架台の脚部が位置する位置である。
【0038】
この横方向ガイド管12の本数は、最低2本あれば、1台の架台を設置することができる。
この実施形態では、縦横2台ずつ4台の架台9、10を固定し設置するために、4本の横方向ガイド管12を固定している。
【0039】
3)第3工程
前記4本の横方向ガイド管12のそれぞれに、4個のクランプ部材を固定する。
クランプ部材の取り付け位置は、やはり上記架台9、10の脚部の位置である。
【0040】
4)第4工程
以上により、杭部材15の位置の位置決めが行われ、このクランプ部材の縦挿通部に杭部材を挿通させて、杭打ち機により杭部材15を容易に打込むことが出来るのである。
本実施形態では、それぞれの横方向ガイド管12に4本の杭部材を打込むため、全部で16本の杭部材15が打込まれることとなるのである。
但し、1台の架台のみを支持するためには、最低4本の杭部材15を打設すれば足りるのである。
架台9、10の脚部はそれぞれ4個だからである。
【0041】
更に、本発明においては、上記第2工程と第3工程との間に、足場板20を設置するための足場用枠体21を複数設置する工程を付加することもできるのである。
これにより、杭部材15を杭打ち機によって打設する作業がより容易なものとなるのである。
尚、杭部材が打ち込まれた後、架台の設置に際しては、上記傾斜方向ガイド管及び横方向ガイド管は取り外した後に行うこととなる。
【0042】
次に、杭部材15が打込まれた後、架台を設置する前に、本発明においては、前記杭部材15の上端部に支持位置調整金具を設けている。
この支持位置調整金具の存在により、杭部材が杭打ち機により打込まれる際に、地中の石や植物の根等による打ちこみ位置のズレを調整することができることとなるのである。
この支持位置調整金具は、次の
図3により説明を加える。
【0043】
図3は、本発明に係る施工方法において使用される支持位置調整金具を示しており、その(A)が平面図、その(B)が(A)図のB−B線断面図である。
ここに図示した支持位置調整金具40は、円盤形状をした金具から成り、その上面部41と下面部43に、それぞれ溝条部42、44が直径方向の全体に且つ平面視略直交する方向に設けられたものである。
【0044】
この溝条部42、44は、それぞれボルト頭部52、54が適合できるように、その内部の横幅がその溝条部42、44の端部の開口部の横幅と略同一に形成されている。
つまり、この溝条部42、44内にボルト頭部52、54を側方から適合させると、その頭部は軸方向には抜け落ちない構造である。
【0045】
この支持位置調整金具40を杭部材15の杭頭キャップ部材16の上に取り付けるのである。
即ち、杭頭キャップ部材16の上面部16uにボルト53を螺合して、ボルト頭部54を上記支持位置調整金具40の下面の溝条部44に適合させるのである。
【0046】
つまり、このボルト54の螺子軸の先端部を杭頭キャップ部材16の上面部16uの略中央部に螺着するのである。
そして、ボルト頭部を前記支持位置調整金具40の下面部43に設けた溝条部44に適合させる。即ち、この溝条部44内部で、前記ボルト53の頭部54が(B)図中紙面表裏方向にスライドできるのである。
【0047】
他方、この支持位置調整金具40の上面部41に設けた溝条部42には、他のボルト51の頭部52を適合させ、その溝条部42内で(B)図中左右にスライドさせて位置決めを行い、ナットにより固定することにより、この支持位置調整金具40の上面部41から上方にボルト51の軸部が上方に向かって延長することとなる。
このボルト51の軸部に架台の脚部をナット等により螺着固定することができるのである。
【0048】
以上により、杭部材15による支持位置の調整、即ち、支持位置調整金具40の下面部43の溝条部44内の位置決め、及び、支持位置調整金具40の上面部41に設けた溝条部42内での位置決めにより、架台の脚部の支持位置を適宜微調整することができることとなるのである。
このように、本発明に係る支持位置調整金具においては、少なくともその上面と下面に平面視略直交する方向に溝条部が形成されていればよく、その外形形状は自由に設計することができる。
【0049】
図4は、杭部材が打設された状態を示す平面概念図である。
この図のように、本発明に係る施工方法により上記杭部材が打込まれるのであるが、小径鋼管からなる杭部材の打設後に発生する誤差や、地中の障害物である礫や草木等による打設位置の誤差を吸収するための施工誤差吸収手段として、上記支持位置調整金具を利用したのであった。
【0050】
この
図4にある通り、中央の2本と、右下の1本が、設定した打設位置から少しズレた状態に打ち込まれている。
このような場合に、これらズレた杭部材15は、上記
図3に示した支持位置調整金具を利用して、ボルト53の頭部54を支持位置調整金具40の下面43に設けた溝条部44内でスライドさせ、また、支持位置調整金具40の上面41に設けた溝条部42内で、ボルト51の頭部52を適宜量スライドさせて、所定の設定位置に位置するように微調整できることとなるのである(
図3参照)。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り適宜その形態を変更することができる。
使用する傾斜方向ガイド管及び横方向ガイド管の外径、肉厚等は、自由に選択することができる。
【0052】
クランプ部材の横挿通部及び縦挿通部の内径も、取り付けられる横方向ガイド管の外径及び杭部材の外径に応じて適切なものを使用することができる。
打設される杭部材の先端部に切削刃を形成しておくことも自由である。
また、打設される杭部材の適宜位置(地際位置)に防腐食塗料を塗布したり、防腐食部材を巻回しておくことも自由である。
【0053】
クランプ部材としては、上記した通り、横挿通部と縦挿通部とが相互に連結されて回動するものを選択すればよく、その回動角度を適宜設定することにより所望の角度で2本の管体等を結合固定することができるものを使用する。
傾斜方向ガイド管を支持する支持杭の本数も全く自由である。
【0054】
第2工程と第3工程の間に行う足場板を設置する工程においては、その足場を設ける位置も自由であるが、杭部材が打設される位置決めのクランプ部材が固定される横方向ガイド管の近傍に設けることが望ましい。
また、その数も全く自由に設定することができる。
【0055】
使用される支持位置調整金具の形態も自由に設計変更することができるが、要するに、本体部の上面部と下面部に平面視相互に略直交する溝条部が形成してあれば、その全体の外形形状は全く問わないものであり、上記実施形態では、平面視略円形のものを使用したが、これが平面視矩形形状であっても全く問題なく使用することができる。
【0056】
杭部材の上端部に支持位置調整金具を設け、その支持位置調整を行った後には、これら支持位置調整金具から上方に延長する螺子軸部を挿通できる挿通穴が所定間隔で穿設された横架材を、横方向に列設した杭部材に配設して、横架材の挿通穴に前記杭部材の上端部の螺子軸部を挿通させて当該横架材を杭部材の位置決め治具として使用することもできる。
【0057】
この横架材としては、横断面略L字形状のアングル型鋼を使用することができるが、単なる板状鋼板でもよい。所定間隔で螺子挿通穴が設けられた長尺状のものであれば利用できるからである。
また、この横架材は、杭部材の頭部を連結することとなり、補強効果をも担うこととなるのである。
【0058】
尚、本発明に係る施工方法においては、傾斜方向ガイド管の傾斜設定、横方向ガイド管の傾斜方向ガイド管への固定位置の設定、杭部材の高さの設定等においては、従来の方法と同様に水糸を張設して行うことができる。
また、杭部材の鉛直方向への打込みについても、その鉛直度は水平器を利用して測定することができる。
支持杭や杭部材の打込み深さも、地盤の状況に応じて設定することができる。
【0059】
以上、本発明に係る面状物品の架台用杭部材の施工方法は、その一番基本的な構成ユニットの施工方法を元にして特定しているが、これを縦横方向にそれぞれ延長して、所望のエリアに所望の数の面状物品の架台を設置するための杭部材を打設することができるものである。