(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490927
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】カレビンAおよびその生物学的に活性な類似体の合成
(51)【国際特許分類】
C07C 67/11 20060101AFI20190318BHJP
C07B 61/00 20060101ALI20190318BHJP
C07C 67/52 20060101ALI20190318BHJP
C07C 69/732 20060101ALI20190318BHJP
C07C 69/736 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
C07C67/11
C07B61/00 300
C07C67/52
C07C69/732 Z
C07C69/736
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-179822(P2014-179822)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-14003(P2016-14003A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年10月27日
【審判番号】不服2017-19539(P2017-19539/J1)
【審判請求日】2017年12月28日
(31)【優先権主張番号】14/320,649
(32)【優先日】2014年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501394435
【氏名又は名称】サミ ラブズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ムハンメド マジード
(72)【発明者】
【氏名】カリアナム ナガブシャナム
(72)【発明者】
【氏名】アンジュ マジード
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル マノハラン トーマス
【合議体】
【審判長】
佐藤 健史
【審判官】
瀬下 浩一
【審判官】
関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−188044(JP,A)
【文献】
特開2009−7314(JP,A)
【文献】
特許第2600327(JP,B2)
【文献】
特公昭48−30611(JP,B1)
【文献】
S. H. Darrick et al.,Total synthesis of calebin−A, preparation of its analogues, and their neuronal cell protectivity against β−Amyloid insult,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2001年,11,p.2541−2543
【文献】
MARCH’S Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure ,2001年,5th edition,p.329,330,438〜440,488
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般
構造STR#3 (式中、点線 - - - を含む結合は、必要に応じて、単結合または二重結合であり;R
1は、OHであり;R
2は、HおよびOMeからなる群から選ばれ;R
3は、OH、OMe、およびXからなる群から選ばれ、XはF、Cl、BrまたはIであり;R
4は、HおよびOMeからなる群から選ばれ;そして、点線 - - - を含む結合の双方が二重結合であり且つ R
1がOHである場合、R
2はOMeであり、R
3はOHであり、R
4はHである)によって示される化合物の一般的合成方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする前記合成方法:
A. 溶媒に溶解させた、前記で定義したとおりの置換基R
1およびR
2を有する下記の一般構造STR#1のヨードメチルケトンを、下記の一般構造(STR#2)を有する酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液([1.0〜4.0]モル当量;M=Na
+またはK
+;上記で定義したとおりのR
3およびR
4)と混合する工程;
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(前記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に撹拌し、前記混合物を24〜72時間撹拌する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に前記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて下記の一般構造STR#3によって示される化合物を得る工程:
STR#3
【請求項2】
下記の工程を含むことを特徴とする、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルおよび4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル)の一般的合成方法:
A. 溶媒中に溶解させたフェルロイルまたは4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタン(0.015モル)を、フェルラ酸または4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液(1.0〜4.0モル当量)と混合する工程;
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(前記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に撹拌し、前記混合物を24〜72時間撹拌する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に前記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルおよび4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル)を淡黄色結晶性固形物として50〜60%の収率で得る工程。
【請求項3】
カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)の合成が、工程Aにおいて、フェルロイルヨードメタンをフェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチルの合成が、工程Aにおいて、フェルロイルヨードメタンを4−ヒドロキシルケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルの合成が、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを、工程Aにおいて、フェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチルの合成が、工程Aにおいて、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
工程Aにおいて使用する溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれる溶媒である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
工程Bにおいて使用する相間移動触媒が、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる相間移動触媒である、請求項1又は2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、カレビノイド(calebinoid)類に関する。さらに詳細には、本発明は、カレビンAおよびその生物学的に活性な類似体の簡単で、経済的で且つスケールアップ可能な環境に優しい合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
Darrick S.H.L.KimおよびSo-Young Parkは、2001年に、ウコン(Curcuma longa)からカレビンAを分離し、同定した(Park S.Y.& Kim, D.S.H.L., J.Nat.Prod., 2002, 65, 1227 - 1231)。デメトキシカレビンA1およびデメトキシカレビンA2は、2007年に、Feng Qiuet等によって、ウコンから一対として分離された(Zeng, Y.C., Qiu, F., Takahashi, K., Liang, J.M., Qu, G.X.& Yao, X.S., Chem.Pharm.Bull., 2007, 55, 940 - 943)。また、類推すれば、ビスデメトキシカレビンAも、まだ報告はされていないものの、ウコン中に存在する可能性がある。Darrick S.H.L.KimおよびJin Y.Kimは、カレビンAおよび数種のその類似体を、1−ヒドロキシアセトン(1)から出発する遠回りの経路(5工程)によって合成した
(Kim, D.S.H.L.& Kim, J.Y., Bioorg.Med.Chem.Lett.,.2001, 11, 2541 - 2543)。遊離p−ヒドロキシ基を有するカレビノイド類は、生物学に活性である。その後、D.H.S.L.Kimは、β−アミロイドペプチド誘発性疾患の予防および治療に対して有用であるとして、カレビンAおよびその類似体の医薬組成物の特許権を取得した[US 7,572,829 B2号 (2009年)]。この合成は、スキーム1 (
図1:従来技術)として示している。要するに、この従来技術の合成スキームは、ジヒドロピランを使用しての、1−ヒドロキシアセトン(1)およびバニリン(4)のそれらのテトラヒドロピラニル(THP)エーテル(2および5)としての保護を含む。1−ヒドロキシアセトンのTHPエーテル(2)をリチウムジイソプロピルアミド(LDA)で低温(−78℃)にて処理して、そのケト基のα−メチルにおいてリチオアニオンを発生させている。このリチオアニオンは、バニリンのTHPエーテル(5)のアルデヒド基に付加してβ−ヒドロキシ−ケトン(3)を生成する。これを脱水し、脱保護してフェルロイルメタノール(6)とし、このフェルロイルメタノールを、フェルラ酸(7)に、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、DMAP-HClおよびN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下にカップリングさせてカレビンA (10a)を得る。上記で説明したカレビンAの合成スキームは、カレビンAおよびその類似体に関する唯一の知られていることである。しかしながら、この合成スキームは、下記の技術的欠点を有する。
【0003】
1. 出発物質の1−ヒドロキシアセトンは高価である。
2. バニリンの1−ヒドロキシアセトンとの縮合は、ヒドロキシルをそのTHPエーテルとして保護してリチウムジイソプロピルアミドのヒドロキシルとの反応を回避することを含む。
3. また、4−ジメチルアミノピリジンおよびN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドも高価である。
4. 上記合成は、最低限の5工程、極めて低温(−78℃)、自然発火性で且つ感湿性の試薬(moisture sensitive regents)に関連する。
上記の要因は、全て、この方法をスケールアップに関して工業的に実施不可能なものにしている。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明の本質的な目的は、カレビンAおよびその類似体の簡単で、経済的で、環境に優しく且つスケールアップ可能な合成方法を開示することである。
本発明は、上記本質的な目的を満たし、さらなる関連利得を提供する。
【0005】
発明の要約
本発明は、カレビンAおよびその生物学的に活性な類似体の簡単で、経済的で且つ工業的にスケールアップ可能な環境に優しい合成方法を開示する。開示する本発明は、下記の利点を有する。これらの利点は、下記のとおりである:
1. 上記合成方法は、単一工程の合成スキームである;
2. 経済的な実施可能性は、上記合成方法の低コストの点で達成される;
3. 上記合成方法は、環境に優しいグリーンプロセスの1つの例である;そして、
4. 上記合成スキームは、工業的スケールアップ可能性を実証している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】従来技術のカレビンAおよびその類似体の合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最も好ましい実施態様の説明
最も好ましい実施態様においては、本発明は、下記の一般式STR#3 (式中、点線表示…..は、必要に応じて、単結合または二重結合であり;R
1は、OH、OMe、OR
aおよびXからなる群から選ばれ、R
aはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、XはF、Cl、BrまたはIであり;R
2は、H、OMeおよびOR
aからなる群から選ばれ、R
aはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;R
3は、OH、OMe、OR
aおよびXからなる群から選ばれ、R
aはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、XはF、Cl、BrまたはIであり;R
4は、H、OMeおよびOR
aからなる群から選ばれ、R
aはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;そして、点線の双方が二重結合であり且つ R
1がOHである場合、R
2はOMeであり、R
3はOHであり、R
4はHである)によって示される化合物の一般的合成方法に関し、該合成方法は、下記の工程を含むことを特徴とする:
A. 溶媒に溶解させたときの、上記で定義したとおりの置換基R
1およびR
2を有する下記の一般構造STR#1のヨードメチルケトンを、下記の一般構造(STR#2)を有する酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液([1.0〜4.0]モル当量;M=Na
+またはK
+;上記で定義したとおりのR
3およびR
4)と混合する工程;
【化1】
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(上記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に撹拌し、上記混合物を24〜72時間撹拌する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に上記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて下記の一般構造STR#3によって示される化合物を得る工程:
【化2】
STR#3
【0008】
もう1つの最も好ましい実施態様においては、本発明は、下記に示すような、カレビンAおよびそのデメトキシ類似体の簡単な、経済的で工業的にスケールアップ可能な環境に優しい合成スキームに関する:
【化3】
【0009】
特に、本発明は、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル(10a))またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル(10b)、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチル(10c)および4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル(10d))の一般的合成方法に関し、該方法は、下記の工程を含むことを特徴とする:
A. 溶媒中に溶解させたフェルロイルまたは4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタン(8aまたは8b、0.015モル)を、フェルラ酸または4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液(9aまたは9b、1.0〜4.0モル当量)と混合する工程;
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(上記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に撹拌し、上記混合物を24〜72時間撹拌する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に前記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル(10a))またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル(10b)、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチル(10c)および4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル(10d))を淡黄色結晶性固形物として50〜60%の収率で得る工程。
【0010】
特定の実施態様においては、上記で説明したようなフェルロイルまたは4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを溶解するための理想的な溶媒は、特に、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれる溶媒である。
【0011】
さらなる特定の実施態様においては、上記合成スキームにおいて使用する理想的な相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる相間移動触媒、特に、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0012】
上記で説明したカレビンAおよびそのデメトキシ類似体の一般的合成スキームの特定の実施例を、以下の各パラグラフにおいて提示する。以下の各実施例において使用するフェルロイルヨードメタンおよび4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンは、報告された方法(Wang, Z., Yin, G., Qin, J., Gao, M., Cao, L & Wu, A., Synthesis, 2008, 22, 3675 - 3681)に従って調製した。
【実施例1】
【0013】
カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル、10a)
カレビンA (10a)は、フェルロイルヨードメタンを、フェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と、上記パラグラフ[0008]において説明した一般合成スキームにおいて述べたようにして維持した反応工程および条件によって反応させることによって調製した。生成物の収率は60%であった。
【0014】
カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル、10a):淡黄色固形物;m.p. 138〜140℃;
1H NMR (アセトン‐d6、300MHz):δ 3.902 (s、3H)、3.929 (s、3H)、5.106 (s、2H)、6.518 (d、J = 15.9 Hz, 1H), 6.856 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 6.886 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.892 (d, J = 8.4Hz、1H)、7.180 (dd、J = 8.4 Hz、1.8Hz、1H)、7.214 (dd、J = 8.4Hz、1,8Hz、1H)、7.375 (d、J = 1.8Hz、1H)、7.386 (d、J = 1.8Hz、1H)、7.666 (d、J = 16.2Hz、1H)、7.671 (d、J = 15.9Hz、1H)、8.246 (s、1H)、8.309 (s、1H)。
13C NMR (アセトン‐d6、75 MHz):δ 56.267、56.296、67.927、111.290、111.524、116.077、116.201、120.322、124.165、124.494、127.349、127.408、144.389、146.505、148.752、150.209、150.501、166.898、192.963。
【0015】
LC‐MS (+APCI):m/z 385 (M
++1);LC‐MS (−APCI):m/z 383 (M
+−1)。
【化4】
(10a)
【実施例2】
【0016】
デメトキシカレビンA1 (4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、10b)
デメトキシカレビンA1 (4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、10b)は、フェルロイルヨードメタンを、4−ヒドロキシルケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と、上記パラグラフ[0008]において説明した一般合成スキームにおいて述べたようにして維持した反応工程および条件によって反応させることによって調製した。生成物の収率は50%であった:
【化5】
(10b)
【0017】
デメトキシカレビンA1 (4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、10b):淡黄色固形物;m. p. 181.4〜183.4℃;
1H NMR (DMSO‐d6、300MHz):δ 3.815 (s、3H)、5.132 (s、2H)、6.508 (d、J = 16.2Hz、1H)、6.813 (d、J = 8.4Hz、2H)、6.825 (d、J = 8.4Hz、1H)、6.842 (d、J = 16.8Hz、1H)、7.173 (dd、J = 8.4Hz、1.5Hz、1H)、7.336 (d、J = 1.5Hz、1H)、7.592 (d、J = 8.4Hz、2H)、7.623 (d、J = 16.8Hz、1H)、7.626 (d、J = 16.2Hz、1H)、9.814 (s、1H)、10.135 (s、1H)。
13C NMR (DMSO‐d6、75MHz):δ 55.764、55.793、67.263、111.431、113.656、115.778、115.961、119.541、123.837、125.162、125.763、130.637、143.959、145.643、148.110、149.925、160.121、166.189、192.753。
LC-MS (+APCI):m/z 355 (M
++1);LC−MS (−APCI):m/z 353 (M
+−1)。
【実施例3】
【0018】
デメトキシカレビンA2 (フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10c)
デメトキシカレビンA2 (フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10c)は、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを、フェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と、上記パラグラフ[0008]において説明した一般合成スキームにおいて述べたようにして維持した反応工程および条件によって反応させることによって調製した。生成物の収率は50%であった:
【化6】
(10c)
【0019】
デメトキシカレビンA2 (フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10c):クレミッシュ(cremish)な固形物、m.p. 175.7〜177.7℃。
1H NMR (DMSO‐d
6、300MHz):δ 3.819 (s、3H)、5.127 (s、2H)、6.591 (d、J = 16.2Hz、1H)、6.773 (d、J = 16.2Hz、1H)、6.807 (d、J = 8.4Hz、1H)、6.825 (d、J = 8.4Hz、2H)、7.157 (dd、J = 8.4Hz、1.8Hz、1H)、7.357 (d、J = 1.8Hz、1H)、7.589 (d、J = 8.4 Hz、2H)、7.614 (d、J = 16.2Hz、1H)、7.631 (d、J = 16.2Hz、1H)、9.731 (s、1H)、10.207 (s、1H)。
13C NMR (DMSO‐d
6、75 MHz):δ 55.786、55.815、67.249、111.372、113.934、115.632、116.042、119.211、123.450、125.236、125.631、130.835、143.601、145.936、148.058、149.596、160.370、166.197、192.775。
L−MS (+APCI):m/z 355 (M
++1);LC−MS (−APCI):m/z 353 (M
+−1)。
【実施例4】
【0020】
ビスデメトキシカレビンA (4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10d)
ビスデメトキシカレビンA (4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10d)は、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを、4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と、上記パラグラフ[0008]において説明した一般合成スキームにおいて述べたようにして維持した反応工程および条件によって反応させることによって調製した。生成物の収率は55%であった:
【化7】
(10d)
【0021】
ビスデメトキシカレビンA (4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル、10d):淡黄色固形物;m.p. 289〜291℃;
1H NMR (DMSO‐d
6、300MHz):δ 5.120 (s、2H)、6.507 (d、J = 15.9Hz、1H)、6.771 (d、J = 15.9Hz、1H)、6.813 (d、J = 8.4Hz、2H)、6.825 (d、J = 8.4Hz、2H)、7.587 (d、J = 8.4Hz、4H)、7.626 (d、J = 15.9Hz、2H)、10.140 (s、1H)、10.201 (s、1H)。
13C NMR (DMSO‐d
6、75MHz):δ 67.293、113.648、115.976、116.086、119.219、125.177、125.265、130.645、130.879、143.645、145.658、160.136、160.407、166.204、192.819。
LC-MS (+APCI):m/z 325 (M
++1);LC−MS (−APCI):m/z 323 (M
+−1)。
【0022】
本明細書に収載した各実施例は、本発明の最も好ましい実施態様を実証している。これらの実施例は、本発明の実施において可能性のある変形の範囲を限定するものと解釈すべきでない。従って、これらの実施例は、例示であって、包括的ではない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕下記の一般式STR#3 (式中、点線表示…..は、必要に応じて、単結合または二重結合であり;R1は、OH、OMe、ORaおよびXからなる群から選ばれ、Raはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、XはF、Cl、BrまたはIであり;R2は、H、OMeおよびORaからなる群から選ばれ、Raはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;R3は、OH、OMe、ORaおよびXからなる群から選ばれ、Raはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、XはF、Cl、BrまたはIであり;R4は、H、OMeおよびORaからなる群から選ばれ、Raはアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;そして、点線の双方が二重結合であり且つ R1がOHである場合、R2はOMeであり、R3はOHであり、R4はHである)によって示される化合物の一般的合成方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする前記合成方法:
A. 溶媒に溶解させたときの、前記で定義したとおりの置換基R1およびR2を有する下記の一般構造STR#1のヨードメチルケトンを、下記の一般構造(STR#2)を有する酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液([1.0〜4.0]モル当量;M=Na+またはK+;上記で定義したとおりのR3およびR4)と混合する工程;
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(前記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に撹拌し、前記混合物を24〜72時間撹拌する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に前記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて下記の一般構造STR#3によって示される化合物を得る工程:
STR#3
〔2〕下記の工程を含むことを特徴とする、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルおよび4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル)の一般的合成方法:
A. 溶媒中に溶解させたフェルロイルまたは4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタン(0.015モル)を、フェルラ酸または4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩の水溶液(1.0〜4.0モル当量)と混合する工程;
B. 工程Aの混合物を、周囲温度(5℃〜30℃)において、相間移動触媒の存在(前記ヨウ素に対して5〜10モル%)下に攪拌し、前記混合物を24〜72時間混合する工程;
C. 工程Bの生成物から有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下に前記溶媒を除去し、次いで酢酸エチルまたはエタノールから粗生成物を結晶化させて、カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)またはそのデメトキシ類似体(4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチル、フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルおよび4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチル)を淡黄色結晶性固形物として50〜60%の収率で得る工程。
〔3〕カレビンA (フェルラ酸フェルロイルメチル)の合成が、工程Aにおいて、フェルロイルヨードメタンをフェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、前記〔2〕記載の方法。
〔4〕4−ヒドロキシケイ皮酸フェルロイルメチルの合成が、工程Aにおいて、フェルロイルヨードメタンを4−ヒドロキシルケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、前記〔2〕記載の方法。
〔5〕フェルラ酸4−ヒドロキシシンナモイルメチルの合成が、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを、工程Aにおいて、フェルラ酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、前記〔2〕記載の方法。
〔6〕4−ヒドロキシケイ皮酸 4−ヒドロキシシンナモイルメチルの合成が、工程Aにおいて、4−ヒドロキシシンナモイルヨードメタンを4−ヒドロキシケイ皮酸のナトリウムまたはカリウム塩と反応させることを含む、前記〔2〕記載の方法。
〔7〕工程Aにおいて使用する溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランからなる群から選ばれる溶媒である、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔8〕工程Bにおいて使用する相間移動触媒が、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドおよびベンジルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる相間移動触媒である、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法。