特許第6490957号(P6490957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490957
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】弁装置、及び排気熱回収装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/36 20060101AFI20190318BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20190318BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20190318BHJP
【FI】
   F16K1/36 G
   F01N5/02 B
   F01N13/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-255335(P2014-255335)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-114210(P2016-114210A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕美
(72)【発明者】
【氏名】大上 裕久
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−090924(JP,U)
【文献】 実開昭62−181762(JP,U)
【文献】 特表2012−512994(JP,A)
【文献】 特表2008−508481(JP,A)
【文献】 特開2013−130159(JP,A)
【文献】 実開昭56−101266(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00− 1/06, 1/32− 1/36
31/00−31/11
F01N 5/02,13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を開放閉塞する弁装置であって、
前記流体の流路の一部分を形成する管状の弁座と、
前記弁座と係合することで前記流体の流路を閉塞する弁体とを備え、
前記弁体は、
弁本体と、
前記弁座の外周において前記流体の流路の上流側へと向かうように前記弁本体の周縁から延出する周縁部と、を備え、
前記弁本体は、
前記弁座の内周よりも径方向に沿って内側に形成された凸部であって、前記流体の流路の上流側に向けて凸となるように突出した凸部を備える
ことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記周縁部と当接する緩衝材が前記弁座の外周面に配置された緩衝部を備え、
前記緩衝部は、
前記流体の流路に沿った下流側の端部が、前記弁座の下流側の端部よりも前記流体の流路に沿って上流側に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の弁装置。
【請求項3】
前記流体の1つである排気の流路を形成する排気管と、
前記排気管の外側を覆うシェル部材と、
前記排気管と前記シェル部材との間に配置され、前記排気と低温流体との間で熱交換する熱交換器を有した熱交換部と、
前記排気管から前記熱交換部への排気が流入する流入経路を有する流入部と、
請求項1又は請求項2に記載の弁装置であって、前記流入部よりも下流側に配置された弁装置とを備える
ことを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項4】
前記排気管における排気の流路に沿った下流側の端部を排気下流端とし、前記排気下流端は、前記排気管における排気の流路に沿って、前記熱交換器の下流側端部よりも下流側に位置し、
前記流入部は、
前記排気管において、前記排気下流端から前記排気管における熱交換器の下流側端部までの地点である流入形成部と、
前記流入形成部との間で隙間を有するように、前記流入形成部の径方向に沿った外側の少なくとも一部分を覆うように配置され、前記弁座として機能する導入部材とを備え、
前記導入部材は、
前記熱交換部に接続される側の径方向に沿った軸方向中心側の面が、前記熱交換器における前記排気管の軸方向中心側の端部よりも前記排気管の径方向に沿って内側、または、前記熱交換器における前記排気管の軸方向中心側の端部に前記排気管の径方向に沿って一致する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の排気熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置、及びその弁装置を備えた排気熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの排気の流路を形成する管状部材を開放・閉塞する弁装置が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された弁装置は、管状部材における排気の流路に沿って排気流入部よりも下流側に配置され、弁座と、弁体とを備えている。弁座は、排気の流路に沿って下流側が拡径するディフューザ状に形成されている。弁体は、弁座の内周面に配置された緩衝材を介して弁座と係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−130159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された弁座はディフューザ状に形成されており、弁装置に配置される緩衝材はメッシュ状に形成されていることが多い。このため、従来の弁装置においては、流路を流れる排気が弁座と弁体との間に配置された緩衝材を通って抜け出やすいという課題があった。
【0005】
つまり、従来の弁装置においては、流路を閉じた場合の締め切り性能を向上させることが求められている。
そこで、本発明は、弁装置において、流路を閉じた場合の締め切り性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、流体の流路を開放閉塞する弁装置に関する。
この弁装置は、弁座と、弁体とを備える。弁座は、流体の流路の一部分を形成する管状の部材である。弁体は、弁座と係合することで流体の流路を閉塞する。
【0007】
弁体は、弁本体と、周縁部とを備える。周縁部は、弁座の外周において流体の流路の上流側へと向かうように弁本体の周縁から延出する。
このような弁装置によれば、閉弁した場合、周縁部が弁座の外周部分を覆う。このため、流路を流れる流体が弁座と弁体との間から抜け出るためには、流体の流路に対して逆流する方向へと流れなければならない。
【0008】
この結果、本発明の一側面における弁装置によれば、弁座と弁体との間から流体が抜け出ることを抑制できる。
つまり、本発明の一側面における弁装置によれば、閉弁した場合の締め切り性能を向上させることができる。
【0009】
なお、本発明の一側面における弁装置によれば、周縁部は弁座の外周部分と係合する(即ち、弁座の外周部分を覆う)ため、メッシュ材などの緩衝材を、弁座の内周ではなく、弁座の外周に配置できる。この結果、本発明の一側面における弁装置によれば、弁座と弁体との間から流体が抜け出ることを抑制できる。
【0010】
また、弁本体は、弁座の内周よりも径方向に沿って内側に形成された凸部であって、流体の流路の上流側に向けて凸となるように突出した凸部を備えていてもよい。
このような凸部の先端は、径方向に沿って弁座よりも内側に位置する。このため、本発明の一側面における弁装置によれば、流体の流れを凸部によって規制することができ、弁座と弁体との間から流体が抜け出ることをより抑制できる。
【0011】
さらに、本発明の一側面における弁装置は、周縁部と当接する緩衝材が弁座の外周面に配置された緩衝部を備えていてもよい。この場合、緩衝部は、流体の流路に沿った下流側の端部が、弁座の下流側の端部よりも流体の流路に沿って上流側に配置されていてもよい。
【0012】
すなわち、本発明の一側面における弁装置においては、流体が、緩衝部の下流側の端部に到達するまでの流路長を長くすることができる。これにより、本発明の一側面における弁装置によれば、流体が、緩衝材を通り抜けて流出することを低減でき、締め切り性能をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一側面は、排気管と、シェル部材と、熱交換部と、流入部と、弁装置とを備えた排気熱回収装置であってもよい。
排気管は、流体の1つである排気の流路を形成する。シェル部材は、排気管の外側を覆う。熱交換部は、排気管とシェル部材との間に配置され、排気と低温流体との間で熱交換する熱交換器を有する。流入部は、排気管から熱交換部への排気が流入する流入経路を有する。
【0014】
弁装置は、本発明の一側面における弁装置であり、流入部よりも下流側に配置される。
このような排気熱回収装置によれば、閉弁した場合に排気が抜け出ることを低減でき、熱交換部へと流れる排気の流量を増加させることができる。これにより、本発明の一側面における排気熱回収装置によれば、排気熱からの熱回収効率を向上できる。
【0015】
さらに、本発明の一側面における排気熱回収装置では、排気管における排気の流路に沿った下流側の端部を排気下流端とし、排気下流端が、排気管における排気の流路に沿って、熱交換器の下流側端部よりも下流側に位置してもよい。
【0016】
この場合、流入部は、流入形成部と、導入部材とを備えていてもよい。流入形成部とは、排気管において、排気下流端から排気管における熱交換器の下流側端部までの地点である。導入部材は、流入形成部との間で隙間を有するように、流入形成部の径方向に沿った外側の少なくとも一部分を覆うように配置され、弁座として機能する部材である。
【0017】
その導入部材は、熱交換部に接続される側の径方向に沿った軸方向中心側の面が、熱交換器における排気管の軸方向中心側の端部よりも排気管の径方向に沿って内側に配置されていてもよい。また、導入部材は、熱交換部に接続される側の径方向に沿った軸方向中心側の面が、熱交換器における排気管の軸方向中心側の端部に排気管の径方向に沿って一致する位置に配置されていてもよい。
【0018】
このような排気熱回収装置の流入部においては、熱交換器への排気の流路が狭まることを低減でき、流入部から熱交換部への流入口の圧力損失が低下することを抑制できる。
このため、本発明の一側面における排気熱回収装置によれば、排気が熱交換部の奥まで到達でき、排気からより多くの熱を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態における排気熱回収装置の外観を示す斜視図である。
図2】閉弁した状態での排気熱回収装置の断面図であり、図1におけるII−II断面図である。
図3】弁座の変形例を示す要部断面図である。
図4】弁装置を適用した消音器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明における一例としての実施形態を図面と共に説明する。
<排気熱回収装置>
図1に示す排気熱回収装置1は、内燃機関90を有した移動体に搭載される。この排気熱回収装置1は、内燃機関90からの排気92を高温流体とし、内燃機関90の冷却液94を低温流体として熱交換することにより、排気92から熱を回収する。本実施形態における冷却液94は、冷却水であってもよいし、油液であってもよい。
【0021】
本実施形態の排気熱回収装置1は、排気部2と、シェル部材4と、熱交換部6(図2参照)と、流入部8(図2参照)と、弁装置10とを備えている。
排気部2は、内燃機関90からの排気92を下流側へと導く。シェル部材4は、排気部2の外側を覆う。熱交換部6は、排気部2とシェル部材4との間に配置された熱交換器30(図2参照)を有し、高温流体としての排気92と低温流体としての冷却液94との間で熱交換する。
【0022】
流入部8は、排気部2から熱交換部6へと排気92が流入する。弁装置10は、排気92の流路を開放閉塞する弁装置であり、流入部8よりも下流側に配置されている。
図2に示すように、排気部2は、排気管12を備えている。排気管12は、両端が開口した円筒状の部材であり、上流側の端部に排気92が流入する。
【0023】
シェル部材4は、排気管14と、外殻部材20と、蓋部材22と、保持部材24とを備えている。
排気管14は、全体として円筒状の部材であり、一方の端部である上流端16が、排気管12の外径よりも大きな内径の開口を有している。その排気管14の上流端16における内部空間には、排気管12における上流端とは反対側の端部である排気下流端18が、シェル部材4と非接触な状態で配置される。
【0024】
外殻部材20は、排気管12の直径よりも大きな内径の円筒状の部材である。この外殻部材20の下流側の端部は、排気管14の上流端16に接続される。
蓋部材22は、排気管12における排気92の流路に沿った外殻部材20の上流側の開口を閉塞する。
【0025】
つまり、外殻部材20と蓋部材22と排気管12とにより、外殻部材20と蓋部材22と排気管12とに囲まれた、環状の空間である熱交換室28が形成される。
この熱交換室28に配置される熱交換器30は、複数のプレート32を備えた、いわゆるプレート積層型の熱交換器である。各プレート32は、内部を冷却液94が流動する部材であり、排気管12の軸方向に沿って互いに隣接する各プレート32の外表面同士の間に隙間42が形成されるように積層されている。そのプレート32には、流入管34を介して、熱交換器30の外部からの冷却液94が流入する。さらに、プレート32の内部を流動した冷却液94は、流出管36を介して熱交換器30の外部へと流出する。
【0026】
また、熱交換器30は、各プレート32の径方向に沿った内側の周縁と排気管12の外表面との間に隙間40が形成されるように配置される。さらに、熱交換器30は、各プレート32の径方向に沿った外側の周縁と外殻部材20の内表面との間に隙間44が形成されるように配置される。
【0027】
本実施形態においては、隙間40,隙間42,隙間44を流れる排気92を高温流体とし、各プレート32内を流動する冷却液94を低温流体として、熱交換が行われる。すなわち、熱交換器30が配置された熱交換室28が、熱交換部6として機能する。
【0028】
保持部材24は、熱交換室28に配置された熱交換器30を保持する。
なお、以下では、排気管12の一部分であり、排気管12における、排気下流端18から熱交換器対応部位52までの部位を、流入形成部50と称す。ここで言う熱交換器対応部位52とは、排気下流端18よりも上流側に位置する排気管12の部位である。具体的には、熱交換器対応部位52は、排気管12において、熱交換器30を構成するプレート32のうち、排気管12における排気92の流路に沿った下流側の端部に配置されたプレート32に対向する部位である。
【0029】
流入部8は、その流入形成部50を内管とし、導入部材56を外管とした2重管として形成される。
導入部材56は、両端が開口した円筒状の部材であり、排気管12における流入形成部50の外径よりも大きな内径を有している。この導入部材56には、先端部位58と、本体部位60とが形成されている。
【0030】
本体部位60は、流入形成部50との間で隙間を有して流入形成部50の外側を覆うように配置される。導入部材56において、保持部材24に接続される側の端部における径方向に沿った内側の面、即ち、熱交換側内面62は、熱交換器30における径方向に沿った排気管12の軸方向中心側の端部38よりも排気管12の径方向に沿って内側に配置されている。ここで言う熱交換器30における排気管12の軸方向中心側の端部38とは、例えば、プレート32の内径側の周縁である。
【0031】
さらに、本体部位60において、保持部材24に接続される端部とは反対側の端部である流入側端部には、先端部位58が接続されている。この先端部位58は、流入側端部とは反対側の端部が先細となる、ノズル状に形成された部位である。先端部位58における先細の先端である導入下流端64は、排気管12の径方向に沿って排気下流端18との間に開口が形成されるように配置される。その開口は、熱交換部6への排気92の流入口として機能する。
<弁装置の構成>
弁装置10は、少なくとも、弁座74と、弁体76とを備える。
【0032】
弁座74は、流体としての排気92の流路の一部分を形成する管状の部材である。本実施形態においては、導入部材56の先端部位58を、弁座74として機能させている。
この弁座74の外周面には、緩衝部84が形成されている。この緩衝部84は、緩衝材が取り付けられた部位である。なお、ここで言う緩衝材とは、弁体との接触を緩衝する部材である。本実施形態における緩衝材は、例えば、メッシュ状に形成されたメッシュ部材であってもよいし、その他の部材であってもよい。
【0033】
弁体76には、弁本体78と、周縁部80とが形成されている。
弁本体78は、導入部材56における導入下流端64の内径よりも大きな直径を有した円板状の部材である。その弁本体78には、弁本体78の端部において、排気92の流路の上流側に向けて凸となるように突出した凸部82が形成されている。この凸部82は、導入部材56(即ち、弁座74)の内周よりも径方向に沿って内側に、凸の頂点が位置するように形成されている。
【0034】
周縁部80は、弁本体78の周縁から延出する部位である。この周縁部80は、排気92の流路の上流側へと向かう方向へと延出されている。なお、ここで言う「排気92の流路の上流側へと向かう方向へと延出」とは、導入部材56(即ち、弁座74)の外周を覆うように延出することを含む。具体的には、本実施形態における周縁部80は、導入部材56の先端部位58(即ち、弁座74)と平行となる方向に延出している。ただし、周縁部80の延出方向は、「排気92の流路の上流側へと向かう方向」であれば、先端部位58と平行となる方向に限るものではない。
【0035】
なお、本実施形態における弁装置10は、内燃機関90の冷却液94の液温が、予め規定された規定温度よりも高い場合に、図示しない弁軸を中心に回動して排気部2を開放する。一方、弁装置10は、内燃機関90の冷却液94の液温が規定温度よりも低い場合に、弁軸を中心に回動して排気部2を閉塞する。
<実施形態の効果>
弁装置10においては、閉弁した場合、弁本体78の周縁から延出する周縁部80が、弁座74の外周部分を覆う。このため、排気部2(導入部材56)を流動する排気92が弁座74と弁体76との間から抜け出るためには、排気92の流路に対して逆流する方向へと流れなければならない。
【0036】
したがって、弁装置10によれば、従来の弁装置と比較して、弁座74と弁体76との間から排気92が抜け出ることを抑制できる。
また、弁本体78に形成された凸部82は、導入部材56の内周よりも径方向に沿って内側にて、排気92の流路の上流側に向けて凸となるように突出している。このため、凸部82の先端は、径方向に沿って弁座74よりも内側に位置する。
【0037】
したがって、弁装置10においては、排気92の流れを凸部82によって規制することができる。この結果、弁装置10によれば、弁座74の外周と周縁部80との間に排気92が流れ込むことを低減できる。
【0038】
以上のことから、弁装置10によれば、流入部8を閉じた場合の締め切り性能を向上させることができる。
なお、弁装置10によれば、弁体76と係合する弁座74の面を外周面とすることができる。このため、緩衝部84の形成位置を、弁座74の内周ではなく、弁座74の外周とすることができる。この結果、弁装置10によれば、弁座74と弁体76との間から排気92が抜け出ることを抑制できる。
【0039】
ところで、本実施形態においては、弁装置10の適用対象を排気熱回収装置1としている。
そして、上述したように、弁装置10は締め切り性能が向上されているため、排気熱回収装置1においては、閉弁した場合に排気92が弁座74と弁体76との間を通って抜け出ることを低減できる。これにより、排気熱回収装置1によれば、閉弁した場合に、熱交換部6へと流れる排気92の流量を増加させることができ、排気熱からの熱回収効率を向上できる。
【0040】
特に、本実施形態の排気熱回収装置1においては、導入部材56における熱交換側内面62が、熱交換器30における排気管12の軸方向中心側の端部38よりも排気管12の径方向に沿って内側に配置されている。
【0041】
このため、排気熱回収装置1によれば、流入部8における熱交換器30への排気92の流路が狭まることを低減でき、流入部8から熱交換部6への流入口の圧力損失が低下することを抑制できる。
【0042】
この結果、排気熱回収装置1によれば、排気92が熱交換部6の奥まで到達し、より多くの熱を排気92から回収できる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、導入部材56の熱交換側内面62は、熱交換器30における径方向に沿った排気管12の軸方向中心側の端部38よりも排気管12の径方向に沿って内側に配置されていたが、本発明においては、導入部材56の熱交換側内面62は、熱交換器30における径方向に沿った排気管12の軸方向中心側の端部38に排気管12の径方向に沿って一致する位置に配置されていてもよい。
【0044】
また、導入部材56の導入下流端64は、図3に示すように、弁本体78に向かって延伸されていてもよい。この場合、排気管12における排気92の流路に沿った緩衝部84の下流側端部は、導入下流端64よりも排気92の流路に沿って上流側に配置されていてもよい。なお、図3は、弁座74の変形例を示す要部断面図である。
【0045】
導入部材56の導入下流端64をこのように形成すれば、排気92が、緩衝部84の下流側の端部に到達するまでの流路長を長くすることができる。これにより、弁装置10によれば、排気92が、緩衝部84を通り抜けて流出することを低減でき、締め切り性能をより向上させることができる。
【0046】
ところで、上記実施形態においては、導入部材56の先端部位58を弁座74として機能させていたが、本発明における弁座74は、専用に設けられたものであってもよい。この場合の弁座74は、導入部材56に接合されることで用いられればよい。
【0047】
また、上記実施形態における弁本体78は、円板状に形成されていたが、弁本体78の形状は、これに限るものではない。例えば、弁本体78は、図3に示すように、排気部2における排気92の流路に沿った下流側が凸となるように湾曲した形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0048】
さらに、弁本体78には、その弁本体78の軸方向中心において、排気部2の排気92の流路に沿った上流側に向けて凸となる突起部が形成されていてもよい。
なお、上記実施形態の弁本体78には、凸部82が形成されていたが、本発明の弁本体においては、凸部82は省略されていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、流入部8における流入口の形成位置を、排気管12の排気下流端18としていたが、流入部8における流入口の形成位置は、これに限るものではない。すなわち、流入部8における流入口の形成位置は、排気92の流路に沿って、弁装置10よりも上流側であれば、排気管12における熱交換器30の上流側であってもよいし、排気管12における熱交換器30の中間部分であってもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態においては、排気下流端18と導入部材56との間の開口を、排気管12から熱交換部6への排気92の流入口として形成していたが、排気管12から熱交換部6への排気92の流入口は、排気管12自体に孔を穿設することで形成してもよい。
【0051】
なお、上記実施形態における排気熱回収装置1は、内燃機関90を有した移動体に搭載されていたが、本発明における排気熱回収装置は、移動体に搭載されていなくともよい。すなわち、本発明における排気熱回収装置は、内燃機関90からの排気92を高温流体として熱交換することで、排気92からの熱を回収するものであれば、移動体に搭載されることなく用いられてもよい。さらには、排気熱回収装置における低温流体は、冷却液94でなくとも良く、低温流体として作用するその他の流体であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態における熱交換器30は、プレート積層型の熱交換器として構成されていたが、本発明における熱交換器は、高温流体としての排気92と、低温流体としての冷却液94との間で熱交換する熱交換器であれば、どのようなものでもよい。
【0053】
ところで、上記実施形態では、弁装置10の適用対象を排気熱回収装置1としていたが、弁装置10の適用対象は、排気熱回収装置1に限るものではなく、消音器(マフラ)であってもよい。
【0054】
その消音器の一例として、図4に示す消音器100は、アウタシェル102と、インレットパイプ104と、アウトレットパイプ106と、中間パイプ108と、弁装置10とを備えている。
【0055】
アウタシェル102は、少なくとも1つの孔が穿設された隔壁110,112,114によって複数の室に区切られている。インレットパイプ104は、内燃機関90からの排気92をアウタシェル102内に流入する。アウトレットパイプ106は、アウタシェル102内の排気92を外部へと流出する。中間パイプ108は、アウタシェル102内の複数の室を接続する。
【0056】
ここでの弁装置10は、弁座74と、弁本体78と、周縁部80とを備え、中間パイプ108の一端を弁座74として機能させること、及び弁本体78から凸部82が省略されていることを除けば、上記実施形態と同様に構成されている。このため、ここでは、同一の構成に同一の参照符号を付して、弁装置10を構成する各部の詳しい説明を省略する。
【0057】
なお、消音器100に適用される弁装置10の弁本体78には、凸部82が形成されていてもよい。また、弁座74は、中間パイプ108の一端を弁座74として機能させたものに限らず、専用に設けられていてもよい。
【0058】
このような消音器100によれば、中間パイプ108を流動する排気92が、弁座74と弁体76との間から抜け出ることを低減でき、消音器100内の排気92の流路を所望の状態とすることができる。
【0059】
なお、弁装置10の適用対象は、これに限るものではなく、流体の流路を開放閉塞するように適用されていれば、どのようなものに適用されていてもよい。また、本発明における流体は、排気92に限るものではなく、その他の流体であってもよい。
【0060】
なお、上記実施形態の構成の一部を省略した態様も本発明の実施形態である。また、上記実施形態と変形例とを適宜組み合わせて構成される態様も本発明の実施形態である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において考え得るあらゆる態様も本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0061】
1…排気熱回収装置 2…排気部 4…シェル部材 6…熱交換部 8…流入部 10…弁装置 12…排気管 14…排気管 16…上流端 18…排気下流端 20…外殻部材 22…蓋部材 24…保持部材 28…熱交換室 30…熱交換器 32…プレート 34…流入管 36…流出管 38…端部 40…隙間 42…隙間 44…隙間 50…流入形成部 52…熱交換器対応部位 56…導入部材 58…先端部位 60…本体部位 62…熱交換側内面 64…導入下流端 74…弁座 76…弁体 78…弁本体 80…周縁部 82…凸部 84…緩衝部 90…内燃機関 92…排気 94…冷却液 100…消音器 102…アウタシェル 104…インレットパイプ 106…アウトレットパイプ 108…中間パイプ 110,112,114…隔壁
図1
図2
図3
図4