【実施例】
【0014】
本発明に係る収納部材および収納部材を用いた引出しキャビネットの実施例を
図1〜5を参照して説明する。本発明に係る収納部材1は
図1(a)に示すが、キッチンなどの引出しキャビネット2の引出し3の扉4の裏面に、
図1(b)に示すように取り付けて使用される。
【0015】
本明細書では、引出しキャビネット2の引出し3を、
図1(b)の矢印Fに示すように、その前方から正面視した際に、手前方向を前方とし奥行き方向を後方とし、左右を引出しキャビネット2の左右方向とする。
【0016】
収納部材1は、
図1(a)に示すように、収納空間8を形成する収納部本体9と、収納部本体9の左右の端部にそれぞれ取り付けられるサイドキャップ10と、を備えている。
【0017】
収納部本体9は、
図2(a)に示すように、前後の起立壁部11および底壁部12を有し、押出し材により断面視略凵字状に形成されている。収納空間8は、
図1(a)、(b)に示すように、前後の起立壁部11の間などに仕切り部材15を取り付けることによって、適宜、複数の小空間に分割して使用することができる。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、収納部本体9の前後の起立壁部11には、それぞれネジがねじ込まれるための雌ネジ部16が設けられている。雌ネジ部16は、開放部17を備え、断面視で円弧状に形成されている。開放部17は、前後の起立壁部11のそれぞれ互いに対向する内側面に形成されている。
【0019】
開放部17は、
図2(b)に示すように、円周の半分以下となるように形成されている。要するに、開放部17の中心角θは180度より小さい。従って、雌ネジ部16は、円周の半分より大きい円弧として形成されている。
【0020】
なお、雌ネジ部16は、円筒状に形成することも考えられるが、円筒状にすると収納部本体9の成型のための金型が複雑、高価となり、収納部本体9の押出し成形も面倒となる。また、この場合は起立壁部11の肉厚が大きくなり製造コストが上昇する。従って、雌ネジ部16は、本実施例のような断面円弧状とし、前後の起立壁部11のそれぞれ互いに対向する内側面に開放部17を有する構成とした。
【0021】
サイドキャップ10は、その全体構成を
図3(a)に示すが、その側面は(収納部材1を引出し3に取り付けた状態で側方から見た面)、
図3(b)に示すように全体的に矩形であり、その前後上下にネジ材取り付け孔19が貫通孔として形成されている。
【0022】
サイドキャップ10を収納部本体9に固定するためのネジ20は、ネジ材取り付け孔19に挿入して、
図2(c)に示すように、収納部本体9の雌ネジ部16にねじ込む。そのために、ネジ材取り付け孔19の中心と雌ネジ部16の円弧の中心が対応するように形成されている。
【0023】
図3(a)に示すように、サイドキャップ10の前後の上端部は、それぞれ互いに対向するように内側に折り返し部21が形成され、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けると、折り返し部21内に、起立壁部11の端部が数ミリ程度だけ挿入されるように形成されている。
【0024】
サイドキャップ10の前後には、
図3(a)、
図4(a)〜(c)、
図5に示すように、収納部本体9側に延びた内壁部22が形成されている。内壁部22は、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けると、起立壁部11の内側面に内接する。内壁部22の上端および下端には、それぞれ起立壁部11に形成された雌ネジ部16の開放部17を覆うためのネジカバー部23が形成されている。
【0025】
ネジカバー部23は、その断面がネジ20に対応して湾曲状に形成され、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けてネジ20で固定した際に、ネジ20をカバーして露出しないようにする。そのために、ネジカバー部23は、内壁部22において雌ネジ部16に対応する位置に形成されている。
【0026】
(作用)
上記実施例の収納部材1および収納部材1を用いた引出しキャビネット2の作用について、収納部材1の組み立てなどを含めて、以下説明する。
【0027】
収納部材1の組み立てに際し、収納部本体9にサイドキャップ10を取り付けるために、サイドキャップ10を収納部本体9の前後の起立壁部11に嵌合する。この嵌合に際しては、サイドキャップ10の前後の折り返し部21に、前後の起立壁部11の端部を数mm程度挿入する。
【0028】
また、サイドキャップ10の前後の内壁部22を、それぞれ前後の起立壁部11の内側面に当接させる。そして、ネジ20を、ネジ材取り付け孔19に挿入して起立壁部11の雌ネジ部16にねじ込む。これにより、
図5に示すように、サイドキャップ10は、収納部本体9の起立壁部11の端部に固定される。
【0029】
サイドキャップ10が前後の起立壁部11の端部に固定されると、サイドキャップ10のネジカバー部23は、雌ネジ部16の開放部17および雌ネジ部16にねじ込まれたネジ20をカバーする(
図5参照)。従って、ネジ20が収納部材1の内側の収納空間8に露出するようなことがないので、見栄えが良くなる。
【0030】
雌ネジ部16を構成する円弧状の部分は、
図2(b)、(c)に示すように、半円弧ではなく円周の半分より大きい円弧とし、開放部17は円周の半分以下となるようにしたので、雌ネジ部16の成形が容易となり、製造コストが低減でき、しかも、雌ネジ部16が半円弧に形成した場合に比べて、雌ネジ部16がねじ込まれて食い込まれる円弧状の部分の面積が増加し、サイドキャップ10を起立壁部11へより強固に固定することができ、その結果、収納部材1の強度が向上する。
【0031】
サイドキャップ10が取り付けられた収納部材1は、
図1(b)、
図5に示すように、引出し3の扉4の裏面に、ネジなど(図示せず)で固定されて引出し3内に設けられ、引出し3内の他の収納部から区分けされた収納空間8を提供することができる。
【0032】
以上、本発明に係るサイドキャップ、該サイドキャップを取り付けた収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。