特許第6490960号(P6490960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6490960収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490960
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/969 20170101AFI20190318BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A47B88/20
   A47B77/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-257232(P2014-257232)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-116607(P2016-116607A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】511053078
【氏名又は名称】関東産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【弁理士】
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】堀田 つかさ
(72)【発明者】
【氏名】花岡 和紀
(72)【発明者】
【氏名】新井 智大
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−005852(JP,A)
【文献】 特開2011−152292(JP,A)
【文献】 特開2010−188064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/04、77/14、88/969
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し内に取り付けられて使用される収納部材であって、
起立壁部と底壁部とを有し、断面視略凵字状に形成された収納部本体と、前記収納部本体の端部に取付けられるサイドキャップと、を備え、
前記サイドキャップは、前記サイドキャップと前記収納部本体とを固定するためのネジを挿入するためのネジ材取り付け孔を有し、
前記収納部本体は、前記ネジが挿入されるための雌ネジ部が、開放部を備えて断面視で円弧状に形成されており、前記開放部は、前記起立壁部の内側面に形成されており、
前記サイドキャップは、前記収納部本体の前記起立壁部の内側面に内接する内壁部を有し、前記内壁部には、前記開放部を覆うためのネジカバー部が形成されていることを特徴とする収納部材。
【請求項2】
前記雌ネジ部は、開放部が円周の半分以下となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納部材。
【請求項3】
内部に収納部材が取り付けられた引出しキャビネットであって、前記収納部材としで請求項1または2に記載の収納部材が用いられていることを特徴とする引出しキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンなどに使用される収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンなどに用いられる引出し内に収納部材を取り付ける構成は知られている。例えば、引出し内に取り付けられるトレイ本体が、縦断面凹溝状の押し出し材で形成されている又は前後の対向板と底板とを備えてなり、このトレイ本体に両側板をネジで連結する構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、引出しのガードパイプに掛けて取り付けることができる縦形ポケットが、アルミケースの両側端にプラスチック製の側板を嵌め込むようにして構成する点が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−009703号公報
【特許文献2】特開2004−290420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成では、トレイ本体に両側板をネジ止めしており、トレイ本体を比較的内厚に形成する必要がある。そのため、トレイ本体の製造コストがかかるという問題がある。また、特許文献2記載の構成では、アルミケースを側板に嵌め込むことで構成しているが、トレイ自体の強度が不足する虞がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とし、製造コストが低減でき、 強度面で問題のない収納部材およびこれを備えた引出しキャビネットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、引出し内に取り付けられて使用される収納部材であって、起立壁部と底壁部とを有し、断面視略凵字状に形成された収納部本体と、前記収納部本体の端部に取付けられるサイドキャップと、を備え、前記サイドキャップは、前記サイドキャップと前記収納部本体とを固定するためのネジを挿入するためのネジ材取り付け孔を有し、前記収納部本体は、前記ネジが挿入されるための雌ネジ部が、開放部を備えて断面視で円弧状に形成されており、前記開放部は、前記起立壁部の内側面に形成されており、前記サイドキャップは、前記収納部本体の前記起立壁部の内側面に内接する内壁部を有し、前記内壁部には、前記開放部を覆うためのネジカバー部が形成されていることを特徴とする収納部材を提供する。
【0008】
前記雌ネジ部は、開放部が円周の半分以下となるように形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、内部に上記特徴を有する収納部材が取り付けられた引出しキャビネットを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、サイドキャップをネジで収納部本体の断面湾曲状の雌ねじ部に強固に取り付けることができるので、強度を維持しながら、製造コストを低減でき、強度面で問題のない収納部材およびこの収納部材を取り付けた引出しキャビネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットの実施例を説明する図であり、(a)は収納部材の斜視図であり、(b)は引出しキャビネットの斜視図である。
図2】上記実施例の収納部材を説明する図であり、(a)は収納部材の収納部本体を説明する側面図であり、(b)は(a)の雌ネジ部の拡大図であり、(c)は雌ネジ部にネジをねじ込んだ状態を示す図である。
図3】上記実施例のサイドキャップを説明する図であり、(a)は斜視図であり、(b)は(a)の矢印B方向から見た図である。
図4】上記実施例のサイドキャップを説明する図であり、(a)はサイドキャップを図3(a)、(b)のA方向から見た図であり、(b)は図3(a)のC方向、図3(b)のB方向から見た図であり、(c)は図3(b)のC−C断面図である。
図5】上記実施例において、サイドキャップを収納部本体に取り付けてなる収納部材を、引出しの扉の裏面に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットを実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例】
【0014】
本発明に係る収納部材および収納部材を用いた引出しキャビネットの実施例を図1〜5を参照して説明する。本発明に係る収納部材1は図1(a)に示すが、キッチンなどの引出しキャビネット2の引出し3の扉4の裏面に、図1(b)に示すように取り付けて使用される。
【0015】
本明細書では、引出しキャビネット2の引出し3を、図1(b)の矢印Fに示すように、その前方から正面視した際に、手前方向を前方とし奥行き方向を後方とし、左右を引出しキャビネット2の左右方向とする。
【0016】
収納部材1は、図1(a)に示すように、収納空間8を形成する収納部本体9と、収納部本体9の左右の端部にそれぞれ取り付けられるサイドキャップ10と、を備えている。
【0017】
収納部本体9は、図2(a)に示すように、前後の起立壁部11および底壁部12を有し、押出し材により断面視略凵字状に形成されている。収納空間8は、図1(a)、(b)に示すように、前後の起立壁部11の間などに仕切り部材15を取り付けることによって、適宜、複数の小空間に分割して使用することができる。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、収納部本体9の前後の起立壁部11には、それぞれネジがねじ込まれるための雌ネジ部16が設けられている。雌ネジ部16は、開放部17を備え、断面視で円弧状に形成されている。開放部17は、前後の起立壁部11のそれぞれ互いに対向する内側面に形成されている。
【0019】
開放部17は、図2(b)に示すように、円周の半分以下となるように形成されている。要するに、開放部17の中心角θは180度より小さい。従って、雌ネジ部16は、円周の半分より大きい円弧として形成されている。
【0020】
なお、雌ネジ部16は、円筒状に形成することも考えられるが、円筒状にすると収納部本体9の成型のための金型が複雑、高価となり、収納部本体9の押出し成形も面倒となる。また、この場合は起立壁部11の肉厚が大きくなり製造コストが上昇する。従って、雌ネジ部16は、本実施例のような断面円弧状とし、前後の起立壁部11のそれぞれ互いに対向する内側面に開放部17を有する構成とした。
【0021】
サイドキャップ10は、その全体構成を図3(a)に示すが、その側面は(収納部材1を引出し3に取り付けた状態で側方から見た面)、図3(b)に示すように全体的に矩形であり、その前後上下にネジ材取り付け孔19が貫通孔として形成されている。
【0022】
サイドキャップ10を収納部本体9に固定するためのネジ20は、ネジ材取り付け孔19に挿入して、図2(c)に示すように、収納部本体9の雌ネジ部16にねじ込む。そのために、ネジ材取り付け孔19の中心と雌ネジ部16の円弧の中心が対応するように形成されている。
【0023】
図3(a)に示すように、サイドキャップ10の前後の上端部は、それぞれ互いに対向するように内側に折り返し部21が形成され、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けると、折り返し部21内に、起立壁部11の端部が数ミリ程度だけ挿入されるように形成されている。
【0024】
サイドキャップ10の前後には、図3(a)、図4(a)〜(c)、図5に示すように、収納部本体9側に延びた内壁部22が形成されている。内壁部22は、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けると、起立壁部11の内側面に内接する。内壁部22の上端および下端には、それぞれ起立壁部11に形成された雌ネジ部16の開放部17を覆うためのネジカバー部23が形成されている。
【0025】
ネジカバー部23は、その断面がネジ20に対応して湾曲状に形成され、サイドキャップ10を収納部本体9に組み付けてネジ20で固定した際に、ネジ20をカバーして露出しないようにする。そのために、ネジカバー部23は、内壁部22において雌ネジ部16に対応する位置に形成されている。
【0026】
(作用)
上記実施例の収納部材1および収納部材1を用いた引出しキャビネット2の作用について、収納部材1の組み立てなどを含めて、以下説明する。
【0027】
収納部材1の組み立てに際し、収納部本体9にサイドキャップ10を取り付けるために、サイドキャップ10を収納部本体9の前後の起立壁部11に嵌合する。この嵌合に際しては、サイドキャップ10の前後の折り返し部21に、前後の起立壁部11の端部を数mm程度挿入する。
【0028】
また、サイドキャップ10の前後の内壁部22を、それぞれ前後の起立壁部11の内側面に当接させる。そして、ネジ20を、ネジ材取り付け孔19に挿入して起立壁部11の雌ネジ部16にねじ込む。これにより、図5に示すように、サイドキャップ10は、収納部本体9の起立壁部11の端部に固定される。
【0029】
サイドキャップ10が前後の起立壁部11の端部に固定されると、サイドキャップ10のネジカバー部23は、雌ネジ部16の開放部17および雌ネジ部16にねじ込まれたネジ20をカバーする(図5参照)。従って、ネジ20が収納部材1の内側の収納空間8に露出するようなことがないので、見栄えが良くなる。
【0030】
雌ネジ部16を構成する円弧状の部分は、図2(b)、(c)に示すように、半円弧ではなく円周の半分より大きい円弧とし、開放部17は円周の半分以下となるようにしたので、雌ネジ部16の成形が容易となり、製造コストが低減でき、しかも、雌ネジ部16が半円弧に形成した場合に比べて、雌ネジ部16がねじ込まれて食い込まれる円弧状の部分の面積が増加し、サイドキャップ10を起立壁部11へより強固に固定することができ、その結果、収納部材1の強度が向上する。
【0031】
サイドキャップ10が取り付けられた収納部材1は、図1(b)、図5に示すように、引出し3の扉4の裏面に、ネジなど(図示せず)で固定されて引出し3内に設けられ、引出し3内の他の収納部から区分けされた収納空間8を提供することができる。
【0032】
以上、本発明に係るサイドキャップ、該サイドキャップを取り付けた収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットを実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る収納部材及び該収納部材を取り付けた引出しキャビネットは上記のような構成であるから、キッチンの引出しキャビネットだけでなく、家具用、事務用、生産現場用などの各種の引出しキャビネットにも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 収納部材
2 引出しキャビネット
3 引出し
4 扉
8 収納空間
9 収納部本体
10 サイドキャップ
11 起立壁部
12 底壁部
15 仕切り部材
16 収納部本体の雌ネジ部
17 雌ネジ部の開放部
19 ネジ材取り付け孔
20 ネジ
21 サイドキャップの上端の折り返し部
22 サイドキャップの内壁部
23 内壁部のネジカバー部
図1
図2
図3
図4
図5