(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粒径が1μm未満である導電性ナノサイズ粒子と絶縁材料とが少なくとも分散された溶液、もしくは、絶縁材料層で被覆された前記導電性ナノサイズ粒子が少なくとも分散された溶液を、基板表面に所望の形状で塗布し、膜を形成する第1工程と、
前記膜の一部に所定のパターンで光を照射し、前記光によって導電性ナノサイズ粒子を焼結し、前記所定のパターンの導電性粒子層である抵抗体膜を形成する第2工程とを有することを特徴とする抵抗器の製造方法。
請求項2に記載の抵抗器の製造方法であって、前記第4工程は、前記抵抗体膜の、膜厚が前記膜の厚さより薄い領域に光を照射して、前記抵抗体膜を厚さ方向に広げることを特徴とする抵抗器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の抵抗器の製造方法について説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の抵抗器の製造方法を
図1(a)〜(f)および
図2(a)〜(c)を用いて説明する。
【0012】
本実施形態では、絶縁材料層で被覆された導電性粒子を含有する膜を形成し、この膜の一部に光を照射して導電性粒子層を形成し、これを抵抗体膜とする。抵抗体膜の抵抗値を測定し、所望の値より大きければ、光を追加照射して導電性粒子層を広げ、抵抗体膜を追加形成する。一方、所望の値よりも小さければ光を照射してトリミングする。これにより、抵抗体膜の抵抗値の調整を増減させ、所望の値の抵抗体膜を形成することができる。以下、具体的に説明する。
【0013】
まず、
図1(a)のように、一対の回路パターン(電極)50が予め形成された基板10を用意する。
【0014】
つぎに、粒径(例えば平均粒子径)1μm以下の導電性ナノサイズ粒子(以下、導電性ナノ粒子と呼ぶ)と、絶縁材料とが、溶媒に少なくとも分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された導電性ナノ粒子が溶媒に少なくとも分散された溶液を、
図1(b)のように、基板10表面の領域20内に所望の形状で塗布する。塗布された溶液は、
図1(c)のように、基板10上で表面が平滑になり、塗膜(膜141)を形成することが望ましい。膜141の端部は、回路パターン50の端部と重なるようにする。必要に応じて膜141を加熱し、乾燥させる。膜141内には、導電性ナノ粒子が分散され、導電性ナノ粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。この状態の膜141は、全体が非導電性である。
【0015】
つぎに、
図1(d)のように、膜141に所望のパターンで光を照射し、光によって導電性ナノ粒子を焼結して、所望のパターンの導電性ナノサイズ粒子層(抵抗体膜140)を形成する。光は、回路パターン50と連続した抵抗体膜140を形成するため、回路パターン50と重なる領域にも照射することが望ましい。光照射により、導電性ナノ粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融する。導電性ナノ粒子の周囲の絶縁材料層は、光照射により蒸発するかもしくは軟化する。そのため、溶融した導電性ナノ粒子は、隣接する粒子と直接融合するか、もしくは、軟化した絶縁材料層を突き破って隣接する粒子と融合する。これにより、導電性ナノ粒子同士を焼結することができ、光照射した領域が、電気導電性の抵抗体膜140となる。これにより、
図1(e)および
図2(a)のように抵抗体膜140を形成する。なお、光照射後の導電性ナノ粒子は、粒子同士が結合しているが、ある程度粒子形状を保っている。つまり、導電性ナノサイズ粒子層には、導電性ナノ粒子の粒子形状の一部が残っている。光を照射していない膜141の領域は、焼結が生じないため、非導電性のままである。
【0016】
つぎに、形成した抵抗体膜140の抵抗値を計測する。例えば、抵抗体膜140に電源から電流を供給し、電流値を計測することにより抵抗値を求める。
【0017】
計測した抵抗値が、所望の抵抗値の範囲よりも大きい場合、
図1(f)の工程において、抵抗体膜140の縁に接触する未焼結の膜141に光を追加照射し、光を照射された領域の導電性ナノ粒子を焼結して電気導電性に変化させる。これにより、
図2(b)のように抵抗体膜140の形状を広げることができ、抵抗値を低下させることができる。よって、光を追加照射した領域の面積および形状に応じて、抵抗値を低下させることができ、抵抗体膜140の抵抗値が所望の抵抗値範囲に入るように調整することができる。
【0018】
一方、計測した抵抗値が所望の抵抗値の範囲よりも小さい場合、
図1(f)の工程において、抵抗値を増加させるために、抵抗体膜140の一部に例えば光を照射し、
図2(c)のように照射した部分(トリミング部)43の抵抗体膜140を除去し、抵抗体膜140をトリミングする。照射光量は、抵抗体膜140が消失または除去する強度に調整する。これにより、トリミングした面積及び形状に応じて、抵抗値を増大させることができ、抵抗体膜140の抵抗値が所望の抵抗値範囲に入るように調整することができる。
【0019】
なお、上記工程によって抵抗体膜140の抵抗値が所望の抵抗値範囲に入らなかった場合には、
図1(d)または
図1(f)の工程のいずれかをさらに行うことも可能である。
【0020】
なお、非導電性の膜141は、抵抗値の調整後に除去してもよい。例えば、有機溶媒等に溶解することにより、膜141を除去することが可能である。
【0021】
上記製造方法により、
図2(a)、(b)のように、一対の回路パターン50を備えた基板10と、回路パターン50を接続する抵抗体膜140とを備えた抵抗器を製造することができる。この抵抗器は、抵抗体膜140の一部または全部が、粒径が1μm未満である導電性ナノ粒子を含んだ層によって構成されている。
【0022】
抵抗体膜140の厚みは、10nm〜10μm程度に形成することが可能であり、例えば1μm以上の厚さに設定する。また、抵抗体膜140の電気抵抗値は、例えば、10
−4Ω/cm
2以下に形成することができる。回路パターン50の厚さは、
図1(e)のように、抵抗体膜140の厚さよりも大きい。
【0023】
基板10の材質としては、抵抗体膜140および回路パターン50を支持することができ、少なくとも表面が絶縁性であり、抵抗体膜140の形成時の光照射に耐えることができるものであればどのような材質であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、フレキシブルプリント基板、セラミック基板、ガラス基板、表面を絶縁層で被覆した金属基板などを用いることができる。また、本実施形態の基板10は、フィルム状のものを用いることも可能である。
【0024】
基板10の材質として、
図1(d)、(f)の工程で照射する光を透過する基板を用いることも可能である、この場合、
図1(d)、(f)の工程において光を基板10の裏面側から基板10を透過させて抵抗体膜140または膜141に照射することができる。
【0025】
抵抗体膜140を構成する導電性ナノ粒子の材料としては、Ag、Cu、Au、Pd、ITO、Pt、Feなどの導電性金属および導電性金属酸化物のうちの1つ以上を用いることができる。未焼結の状態の導電性ナノ粒子は、粒径(例えば平均粒子径)が0.01μm〜1μmの導電性粒子を含んでいる。
【0026】
膜141に少なくとも含有され、導電性ナノ粒子を被覆する絶縁材料としては、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、および、アクリル樹脂などの樹脂、ならびに、SiO
2、Al
2O
3、TiO
2などの無機材料、また有機と無機のハイブリット材料のうちの1以上を用いることができる。また、膜141において導電性ナノ粒子を被覆する絶縁材料層の厚みは、1nm〜10000nm程度であることが好ましい。絶縁材料層が薄すぎると、非導電性の膜141の耐電圧性が低下する。
【0027】
図1(c)の工程で形成する膜141の厚さは、10nm〜10μm程度に形成することができる。
【0028】
照射する光の波長は、膜141に含まれる導電性ナノ粒子に吸収される波長を選択して用いる。照射する光は、紫外、可視、赤外いずれの光であってもよい。例えば導電性ナノ粒子として、Ag、Cu、Au、Pdなどを用いた場合、400〜600nmの可視光を用いることができる。光の強度は、
図1(d),(f)の工程において導電性ナノ粒子を焼結する場合には、絶縁材料層が蒸発もしくは軟化し、導電性ナノ粒子同士が融合して結合する照射強度に設定する。具体的には、膜141における導電性ナノ粒子の材質および粒径、導電性ナノ粒子を被覆する絶縁材料層の材質および厚さを考慮して、照射強度を設定する。また、
図1(f)の工程において、抵抗体膜140をトリミングする場合には、焼結された導電性粒子を蒸発または除去することができる強度の光を照射する。
【0029】
所定のパターンに光を照射するため、所定のパターンの開口を有するマスクを通して光を照射する方法を用いることができる。また、所定のパターンよりも小さい照射径に集光した光ビームを用い、光ビームを膜141上で所定のパターンに走査させることにより、所定のパターンのみに光を照射することも可能である。
【0030】
なお、基板10に回路パターン50を形成する方法としては従来の方法を用いることができる。例えば、金属薄膜を基板10上に形成した後、エッチングにより所望の形状パターニングする方法を用いることができる。また、導電性粒子が分散された溶液を基板10上に印刷することにより、回路パターン50の形状の塗膜を形成した後、熱のみもしくは熱と圧力をかけて導電性粒子を焼結して回路パターン50を形成することも可能である。
【0031】
上述してきたように、本実施形態では、基板10上の膜141を形成した後で、光を照射することにより、所望のパターンの抵抗体膜140を直接形成することができる。そして、光を追加照射することにより、抵抗値を増大させることができるだけでなく、抵抗値を低下させることが可能である。よって、抵抗値の調整が容易であり、必要とされる抵抗値を容易に精度よく実現できる。また、抵抗体膜を印刷および焼結により形成した後、トリミングで抵抗体膜の抵抗値を所定の範囲内におさめる従来の製造方法と比較して、製造工程が容易であり、製造に要する時間を短縮することができる。さらに、抵抗体膜のトリミングのみで抵抗値を調整する従来の製造方法と比較して、本実施形態の製造方法は、抵抗体膜を大きめに形成する必要がないため抵抗器を小型化することができる。
【0032】
上述してきたように、本実施形態の塗膜(膜141)を形成するための溶液として、粒径1μm以下の導電性ナノ粒子と、絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された導電性ナノ粒子が溶媒に分散された溶液を用いることを説明したが、これら溶液には、粒径(例えば平均粒子径)1μm以上の導電性マイクロサイズ粒子(導電性マイクロ粒子と呼ぶ)を含有することができる。これにより、導電性粒子に光を照射した場合に、導電性ナノ粒子が先に溶融して周囲の導電性マイクロ粒子と結合する。よって、導電性ナノ粒子を起点として、導電性マイクロ粒子を光照射によってバルクよりも低温で焼結することができる。導電性マイクロ粒子と導電性ナノ粒子とを含有することにより、厚さの大きい層を比較的容易に形成できる。導電性マイクロ粒子の材質は、導電性ナノ粒子と同様のものを用いることができる。つまり、目標とする抵抗値、抵抗体膜の厚みに応じて、塗膜141を形成用の溶液に導電性マイクロ粒子を任意に含有させることができる。塗膜141を形成用の溶液に導電性マイクロ粒子を含有させた場合、抵抗体膜は、導電性マイクロ粒子と導電性ナノ粒子の粒子形状の一部が残る状態で形成されている。
【0033】
また、導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子と共に分散される絶縁材料、あるいは、導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子を被覆する絶縁材料は、導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子を焼結させる光照射時に、蒸発するが、完全に蒸発させず、部分的に抵抗膜中に残してもよい。絶縁材料の一部が抵抗膜中に残ることにより、その分抵抗値は大きいものとなる。つまり、導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子と共に分散される絶縁材料、あるいは、導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子を被覆する絶縁材料の、抵抗膜中への残留量を調整して、抵抗値を調整することができる。
【0034】
また、導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子と共に、抵抗値調整部材として、酸化インジウム、酸化銅、酸化銀、Cr、Cなどから構成される粉体や粒子を溶液に分散して、抵抗値を調整することができる。これら粉体や粒子を分散することにより抵抗体膜140は焼結した導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子中にこれら粉体、粒子が介在する状態となり、部分的に導電性ナノ粒子や導電性マイクロ粒子の焼結を阻害して、分散しないものと比較して抵抗体膜140の抵抗値を大きくすることができる。これら粉体や粒子として、ナノサイズ、マイクロサイズのものを用いることができる。
【0035】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の抵抗器の製造方法について
図3、
図4を用いて説明する。
【0036】
第2の実施形態の製造方法の各工程は、第1の実施形態の
図1(a)〜(f)と基本的には同様であるが、
図1(d)の工程で光を照射して膜141に導電性ナノ粒子を焼結して導電性の抵抗体膜140を形成する際に、第1の実施形態では、膜141の厚さ方向の全体を焼結していた(
図3の抵抗体膜140および
図4(a)参照)。第2の実施形態では、
図3の膜141に照射する光量を少なくとも一部領域については弱めに設定し、
図3の抵抗体膜140a,140bおよび
図4(b)、(c)のように、膜141の厚み方向の一部分のみを焼結する。これにより、主平面方向について少なくも一部領域の膜厚が薄い抵抗体膜140(140a、140b)を形成する。
【0037】
図3の抵抗体膜140aは、膜141の上面側から光を照射し、膜141の上面側の一部領域のみを焼結して形成したものである。一方、
図3の抵抗体膜140bは、光透過性の基板10を通して、膜141の下面側から光を照射し、膜141の下面側の一部領域のみを焼結して形成したものである。
【0038】
このように、照射光量を弱めに設定して、膜141の厚み方向の一部領域のみを焼結して抵抗体膜140a、140bを形成することにより、
図1(f)の工程で光を追加照射して抵抗体膜140の形状を広げる場合、例えば
図4(b)、(c)のように、厚み方向についての抵抗体膜140aに連続する膜141の部分140cをさらに焼結して抵抗体膜140bを厚くすることができる。また、
図4(c)のように、さらに光を照射して部分140dを焼結して、3段階に抵抗体膜140bを厚くすることも可能である。
【0039】
これにより、主平面方向については抵抗体膜140aの形状を変化させず、抵抗体膜140の抵抗値の調整が可能である。よって、最初に塗布する膜141の主平面方向の全領域を抵抗体膜140にすることも可能であり、抵抗値の調整もできる。したがって、膜141を大きめに形成する必要がなく、より小型な抵抗器を製造できる。また、主平面方向については、抵抗体膜140aの形状を変化させることなく抵抗値の調整が可能であるため、
図1(d)の工程の光の照射パターンと、
図1(f)の工程の光の照射パターンを同じパターンにすることも可能であり、その場合は、製造工程がより容易になる。
【0040】
なお、
図1(f)の工程において、抵抗体膜140a、140bをトリミングする場合は、第1の実施形態の
図1(f)の工程と同様に、例えば、光量の大きな光を照射して、抵抗体膜140bを部分的に蒸発または除去すればよい。
【0041】
他の工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の抵抗器の製造方法について
図5を用いて説明する。
【0043】
第3の実施形態の製造方法の各工程は、第1の実施形態の
図1(a)〜(f)と基本的には同様であるが、
図1(d)の工程で膜141に光を照射して焼結して導電性の抵抗体膜140を形成する際に、膜141の主平面方向について網目状(格子状)に光を照射する。これにより、
図5(a)〜(c)のように少なくとも一部が網目状の抵抗体膜140を形成する。照射方法としては、照射径を細く絞った光ビームを網目状(格子状)に走査して形成してもよいし、網目状の照射パターンに成型した光を照射してもよい。
【0044】
図1(f)の工程で、網目状の抵抗体膜140を広げる場合には、照射径を細く絞った光ビームを照射して、網目(格子)の線を1本加えるかもしくは、
図5(c)のように、網目(格子)の内側領域に光を照射して導電性領域に変化させる。これにより、抵抗体膜140の抵抗値を低下させることができる。よって、精密に抵抗値を制御することが可能になる。
【0045】
他の工程は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0046】
<第4実施形態>
第4の実施形態では、第1の実施形態の回路パターン50を光照射により形成する。
【0047】
第4の実施形態では、回路パターン50の一部または全部を、導電性粒子を焼結した層によって構成する。この場合、導電性粒子としては、粒径(例えば平均粒子径)が1μm未満の導電性ナノ粒子と、粒径(例えば平均粒子径)1μm以上の導電性マイクロサイズ粒子(導電性マイクロ粒子と呼ぶ)とを混合して用いることが好ましい。これにより、導電性粒子に光を照射した場合に、導電性ナノ粒子が先に溶融して周囲の導電性マイクロ粒子と結合する。よって、導電性ナノ粒子を起点として、導電性マイクロ粒子を光照射によってバルクよりも低温で焼結することができる。導電性マイクロ粒子と導電性ナノ粒子とを混合して用いることにより、厚さの大きい層を比較的容易に形成でき、しかも、光照射により焼結して、回路パターン50を形成することができる。導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子の材質は、第1の実施形態で説明した導電性ナノ粒子と同様のものを用いることができる。
【0048】
回路パターン50は、粒径(例えば平均粒子径)1μm〜100μmの導電性粒子を含んでいる。回路パターン50の幅は、10μm以上にすることができ、例えば100μm程度に形成することが可能である。回路パターン50の厚みは、1μm〜100μm程度、例えば20μm程度に形成することが可能である。また、回路パターン50の電気抵抗値は、10
−4Ω/cm
2以下であることが望ましく、特に、10
−6Ω/cm
2オーダー以下の低抵抗であることが望ましい。
【0049】
製造方法について説明する。まず、基板10を用意する。
【0050】
つぎに、導電性ナノ粒子と、導電性マイクロ粒子と、絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された、導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子が溶媒に分散された溶液を用意する。溶媒としては、有機溶媒や水を用いることができる。
【0051】
上記溶液を、基板10表面の、回路パターン50を形成すべき領域に所望の形状で塗布する。塗布された溶液は、塗膜を形成する。必要に応じて塗膜を加熱し、乾燥させる。塗膜内には、導電性ナノ粒子と導電性マイクロ粒子とが分散され、各粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。よって、この状態では塗膜は非導電性である。
【0052】
つぎに、塗膜に、回路パターン50の形状に光を照射する。光によって導電性ナノ粒子が導電性マイクロ粒子よりも低温で溶融し、隣接する導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子と融合する。このように、ナノ粒子を起点として焼結が生じるため、バルクよりも低温焼結が可能である。また、塗膜の厚み方向の所望の範囲のみに焼結を生じさせることも可能である。これにより、所望の形状の回路パターン50を形成することができる。
【0053】
塗膜に照射する光の波長は、塗膜に含まれる導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子に吸収される波長を選択して用いる。光を照射する回路パターン50の形状は、所定の開口を有するマスクにより形成することができる。また、回路パターン50の配線幅よりも小さい照射径に集光した光ビームを用い、光ビームを走査させることにより、回路パターン50の領域のみに光を照射することも可能である。
【0054】
光を照射していない塗膜の領域は、焼結が生じないため、非導電性のまま残る。なお、焼結されない非導電性の塗膜の領域は、残存させたままでもよいし、後の工程で除去してもよい。
【0055】
また、上述した製造方法では、回路パターン50となる領域よりも広い範囲に塗膜を形成し、回路パターン50となる領域のみに光を照射する方法を説明したが、印刷手法を用いて、回路パターン50の形状に、導電粒子が分散された溶液を印刷して塗膜を形成してもよい。この場合、印刷により形成した塗膜の全体に光を照射することにより、回路パターン50を形成することができる。
【0056】
上記工程により、回路パターン50を形成した後、第1の実施形態の製造工程を行って抵抗体膜140を形成し、抵抗器を製造する。
【0057】
<第5の実施形態>
第4の実施形態では、基板10上に回路パターン50を形成した後で、第1の実施形態の製造方法を行ったが、第5の実施形態では、第4の実施形態により回路パターン50となる塗膜までを形成した後、光照射を行わないまま、第1の実施形態の製造方法の
図1(c)までを行って、抵抗体膜140となる膜141までを形成する。
【0058】
そして、回路パターン50と抵抗体膜140の光焼結を連続して、または同時に行う。ただし、回路パターン50となる領域には、回路パターン50の塗膜の導電性粒子が吸収する波長の光を照射し、抵抗体膜140となる領域には膜141の導電性ナノ粒子が吸収する波長の光を照射する。また、照射する光の強度も、回路パターン50および抵抗体膜140のそれぞれに焼結を生じさせることができる強度に調整する。
【0059】
その後、第1の実施形態の製造方法を行って抵抗器を完成させる。
【0060】
このように、回路パターン50と抵抗体膜140の光照射により焼結を連続または同時に行うことにより、全体の製造工程における光照射の工程を一度に行うことができるため、製造効率が向上する。
【0061】
本実施形態において、回路パターン50の塗膜形成と、抵抗体膜140の膜141の形成の順番を入れ替え、抵抗体膜140の膜141を形成した後、回路パターン50の塗膜を形成してもよい。その後、両回路パターンの光照射を連続または同時に行う。
【0062】
また、第4の実施形態の製造方法において、回路パターン50の形成工程と、抵抗体膜140の形成工程の順番を入れ替え、抵抗体膜140の形成後に、回路パターン50を形成してもよい。
【0064】
本発明の第6の実施形態として、第1の実施形態の抵抗器を用いた電子デバイスについて
図6(a)、(b)、(c)を用いて説明する。
【0065】
図6の電子デバイスは、第2回路パターン50a、50b(以下、第2回路パターン50とも呼ぶ)を備えた基板10と、基板10上に搭載された、電子部品30および電子部品30に直列に第2回路パターン50によって接続された抵抗器240とを含む。抵抗器240は、第1の実施形態の構造の抵抗器であり、電子部品30に過大な電流が流れるのを防止する保護抵抗として作用する。
【0066】
第2回路パターン50のうち一部50aは、基板10の一方の面に搭載され、他の部分50bは、基板10の他方の面に搭載されている。第2回路パターン50aと第2回路パターン50bは、基板10の主平面方向において、一部で重なり合っており、重なり合っている部分の基板10には、スルーホール70が形成され、スルーホール70には導電体52が充填されている。これにより、基板10の一方の面の第2回路パターン50aと他方の面の第2回路パターン50bは、スルーホール70内の導電体52により基板10の厚み方向に接続されている。
【0067】
電子部品30は、基板10に設けられた領域20内に配置されている。領域20内には電子部品30と電気的に接続される第1回路パターン40が配置されている。第2回路パターン50aは、領域20の周縁部で第1回路パターン40に接続されている。第2回路パターン50aは、領域20の外側に配置された電源60に接続され、第1回路パターン40に電流を供給する。
【0068】
抵抗器240は、抵抗体膜140を含む。抵抗体膜140は、第2回路パターン50の途中に設けられた間隙に配置され、間隙の両脇の第2回路パターン50を接続する。抵抗体膜140の周囲には、非導電性の膜141が備えられている。なお、膜141は、除去されていてもよい。
【0069】
第1回路パターン40は、一部または全部が、粒径が1μm未満である導電性ナノ粒子を焼結した層によって構成されている。第1回路パターン40は、電子部品30を搭載するための領域20内に少なくとも一対配置され、領域20の両脇の第2回路パターン50(50a,50b)とそれぞれ接続されている。一対の第1回路パターン40の間には、非導電性層41が配置されている。電子部品30は、一対の第1回路パターン40に、直接フリップチップ実装されている。
図6(a),(b)では、第1回路パターン40の間に非導電性層41が配置されているが、非導電性層41は、必ずしも配置されていなくてもよく、除去されていてもよい。
【0070】
第2回路パターン50(50a,50b)の厚さは、
図6(b)のように、第1回路パターン40の厚さよりも厚い。第1回路パターン40は、導電性ナノ粒子を焼結して形成しているため、厚く形成することが難しく、第1回路パターン40を電源60まで延長して形成した場合、薄い第1回路パターン40の電気抵抗が大きくなる。そのため、電子部品30に大きな電流を供給することは難しくなる。本実施形態では、微細な配線が必要な、電子部品30を搭載する領域20内のみを第1回路パターン40で形成し、領域20の外側は厚膜の第2回路パターン50によって構成することにより、第1回路パターン40を電源60まで形成した場合と比較して電気抵抗を低下させて電子部品30への大きな電流の供給を可能にする。
【0071】
また、第2回路パターン50の一部または全部を、第4の実施形態のように、導電性粒子を光照射によって焼結した層によって構成することも可能である。
【0072】
なお、
図1では、電源60を基板10上に搭載しているが、電源60は必ずしも基板10上に配置されていなくてもよい。例えば、基板10に電源60の代わりにコネクタを配置してもよい。この場合、基板10に搭載されていない電源をケーブル等を介してコネクタに接続することができる。コネクタは、第2回路パターン50に接続される。また、電源60として太陽電池等の発電装置を用いることも可能である。
【0073】
基板10は、
図1(b)、(c)のように、湾曲した形状にすることも可能である。この場合、第1回路パターン40および第2回路パターン50は、湾曲した基板10の表面に沿って配置されている。本実施形態では、抵抗体膜140、第1回路パターン40および第2回路パターン50を、導電性の粒子を含む膜を塗布して、それを光照射によって焼結させて形成することができるため、焼結工程よりも前に基板10を湾曲させることにより、湾曲した基板10上の抵抗体膜140や第1および第2回路パターン40,50を断線や線細りさせることなく、容易に形成することができる。
【0074】
特に、抵抗体膜140は、焼結工程後に湾曲工程を実施すると、伸縮することで抵抗膜の抵抗値が変化してしまい、保護回路としての役割が低減するが、湾曲工程後に焼結工程を実施することにより、所望の抵抗値をえることができる。
【0075】
基板10の材質は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。第1回路パターン40を構成する導電性ナノ粒子の材質及びサイズとしては、第1の実施形態で説明した、抵抗体膜40を形成するための粒子と同様のものを用いることができる。第2回路パターン50を導電性粒子を焼結して形成する場合は、第4の実施形態と同様の粒子を用いることができる。
【0076】
電子部品30としては、どのようなものを用いてもよいが、一例としては、発光素子(LED,LD)、受光素子、集積回路、表示素子(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等)を用いることができる。また、
図6では、基板10上に、電子部品30を一つのみ搭載しているが、2以上の領域20を設け、2以上の電子部品30を搭載することももちろん可能である。この場合、第2回路パターン50は、複数の電子部品30を直列や並列等の所望の回路パターンで接続するように形成する。
【0077】
つぎに、
図6の電子デバイスの製造方法について、
図7および
図8を用いて説明する。
図7(a)〜(e)は、基板10にスルーホール70と第2回路パターン50を形成する工程を示し、
図8(a)〜(g)は、基板10上の領域20に第1回路パターン40を形成し、電子部品30を搭載する工程を示している。
【0078】
以下において、抵抗体膜140、スルーホール70の導電体52、第2回路パターン50は、導電性ナノ粒子と導電性マイクロ粒子とを含んだ層によって形成され、第1回路パターン40の一部または全部は、粒径が1μm未満である導電性ナノ粒子を含んだ層によって構成された電子デバイスの製造方法として説明する。
【0079】
まず、基板10として透明基板を用意する。導電性ナノ粒子と、導電性マイクロ粒子と、絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された導電性ナノ粒子および導電性マイクロ粒子が溶媒に分散された溶液を、基板10の一方の面に塗布して、第2回路パターンを形成するための膜51と、抵抗体膜140を形成するための膜141とを同時に形成する(
図7(a),(b)、なお、
図7には膜141は図示していない)。
【0080】
次に、
図7(c−1)のように、基板10の膜51とは逆側の面から所定の位置に光を照射し、光101によって基板10にスルーホール(貫通孔)70をあける。スルーホール70が形成されることにより、膜51の一部はスルーホール70内に流入し、スルーホール70を充填する(
図7(c−2))。このとき、膜51は、乾燥していない液体状態の方がスルーホール70に容易に充填されるため、溶液塗布後に乾燥させないままスルーホール70を形成することが好ましい。
【0081】
膜51、141に対して、
図6の第2回路パターン50aおよび抵抗体膜140を形成すべき領域、ならびに、スルーホール70内に、それぞれ光102、103を照射する(
図7(c−2))。スルーホール70内に流入した膜51に照射する光103は、スルーホール70の形成時に照射する光101より強度を弱めて照射する。
【0082】
光102,103等の照射により、膜51、141を構成する導電性ナノ粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融し、導電性ナノ粒子の周囲の絶縁材料層は、光照射により蒸発するかもしくは軟化する。溶融した導電性ナノ粒子は、周囲の導電性マイクロ粒子と結合するため、導電性ナノ粒子を起点として、導電性マイクロ粒子を光照射によってバルクよりも低温で焼結することができる。これにより、光102等が照射された領域の導電性ナノ粒子と導電性マイクロ粒子とを焼結して抵抗体膜140および第2回路パターン50aを形成することができる。また、スルーホール70内の膜51の導電性ナノ粒子と導電性マイクロ粒子とを光103により焼結して、スルーホール70内を充填する導電体52を形成することできる。
【0083】
光102、103等を照射していない膜51、141の領域は、焼結が生じないため、非導電性のまま残る。なお、焼結されない非導電性の膜51、膜141の領域は、残存させたままでもよいし、除去してもよい。
【0084】
次に、抵抗体膜140については、この後、第1の実施形態で説明した
図2(b)、(c)の工程を行って、抵抗値の調整を行う。
【0085】
続いて、基板10の他方の面に、
図7(a),(b)と同様の工程を行って膜51を形成し、光102を照射して焼結し、第2回路パターン50bを基板10の他方の面に形成する(
図7(c−4))。このとき第2回路パターン50bをスルーホール70の位置を覆うように形成することにより、一方の面の第2回路パターン50aと、他方の面の第2回路パターン50bとをスルーホール70内の導電体52により結合することができる。また、基板10の一方の面側から形成した導電体52がスルーホール70の内部の全体を充填していない場合には、
図7(c−4)の工程で、基板10の他方の面側からスルーホール70上に膜51を形成することにより、最終的にスルーホール70内を全て満たす導電体52を形成することができる。
【0086】
なお、第2回路パターン50a,50bの形成方法としては従来の方法を用いることもできる。例えば、金属薄膜を基板10上に形成した後、エッチングにより
図6の第2回路パターン50a、50bの形状にパターニングすることにより第2回路パターン50a,50bを形成することができる。
【0087】
つぎに、第1回路パターン40を形成するため、第1の実施形態で説明したように、導電性ナノ粒子と、上記絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、上記絶縁材料の層で被覆された上記導電性ナノ粒子が溶媒に分散された溶液を用意する。
【0088】
上記工程により形成された、第2回路パターン50(50a,50b)を備えた基板10(
図8(a))の領域20内に、上記溶液を塗布する(
図8(b))。塗布された溶液は、
図8(c)のように、基板10上で表面が平滑になり、塗膜(膜41)を形成する。膜41の端部は第2回路パターン50の端部と重なるようにする。必要に応じて膜41を加熱し、乾燥させる。膜41内には、導電性ナノ粒子が分散され、導電性ナノ粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。
【0089】
続いて、
図8(d)のように、電子部品30を膜41の所定の位置に位置合わせして搭載し、
図8(e)のように、電子部品30の電極31を膜41に密着させる。
【0090】
つぎに、
図8(f)のように、基板の裏面側から膜41に、
図6(a)の第1回路パターン40の形状に光を照射し、光によって導電性ナノ粒子を焼結する。これにより、領域20には、
図8(g)のように一対の第1回路パターン40を形成する。膜41に照射する光は、基板10の裏面側から照射するが、上述の膜51、141に照射する光は、基板の表面側からでも裏面側からでもよい。
【0091】
照射する光の波長は、膜41に含まれる導電性ナノ粒子に吸収される波長であって、基板10での吸収が少ない波長を選択して用いる。照射する光は、紫外、可視、赤外いずれの光であってもよい。例えば導電性ナノ粒子として、Ag、Cu、Au、Pdなどを用いた場合、400〜600nmの可視光を用いることができる。
【0092】
膜41に照射する光の照射パターンは、膜41の電子部品の電極31が当接された領域を含む。搭載された電子部品の電極31の位置を確認し、その電極31の位置を基準として照射パターンを決定することができるため、回路パターンと電子部品との位置ずれを抑制することができる。光は、第2回路パターン50と連続した第1回路パターン40を形成するため、第2回路パターン50と重なる領域にも照射する。光照射により、導電性ナノ粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融する。導電性ナノ粒子の周囲の絶縁材料層は、光照射により蒸発するかもしくは軟化する。そのため、溶融した導電性ナノ粒子は、隣接する粒子と直接融合するか、もしくは、軟化した絶縁材料層と突き破って隣接する粒子と融合する。これにより、導電性ナノ粒子同士を焼結することができ、光照射した領域が、電気導電性の第1回路パターン40となる。なお、光照射後の導電性ナノ粒子は、粒子同士が結合しているが、ある程度粒子形状を保っている。
【0093】
この後、未焼結の膜41を除去してもよい。
【0094】
以上の工程により、所望のパターンの微細な第1回路パターン40を、塗布と光照射という簡単な工程で形成できる。
【0095】
また、導電性ナノ粒子は、焼結時に溶融するため、電子部品30の電極31と結合し、第1回路パターン40と電極31とを固着することができる。すなわち、電極31はバンプ等を用いることなく、第1回路パターン40と直接接合される。この製造方法は、電子部品30を搭載した状態で光照射を行うため、搭載後の電極31の位置を基準としたパターンで光照射を行うことができる。そのため電子部品30の電極31と第1回路パターン40との接合は確実に高い精度で得られる。
【0096】
なお、
図8(b)の工程において、導電性ナノ粒子と絶縁材料とが溶媒に分散された溶液、もしくは、絶縁材料の層で被覆された上記導電性ナノ粒子が溶媒に分散された溶液を基板10上に塗布する際に、印刷手法を用いて膜41を形成してもよい。印刷手法としては、インクジェット印刷やフレキソ印刷、グラビアオフセット印刷等を用いることができる。この場合、
図8(d)の工程では、印刷により形成した膜41の全体に光を照射して焼結して、第1回路パターン40を形成することができる。また、
図7(a),(b)、
図8(a),(b)の工程で形成する膜51,141についても、同様に印刷により形成することが可能である。
【0097】
基板10を
図6(b)、(c)のように湾曲させる場合には、最初の光照射工程(
図7(c−2))の前までに基板10を湾曲させておくことが望ましい。これにより、抵抗体膜140および第1回路パターン40の断線や線細りを防ぐことができる。
【0098】
なお、第6の実施形態では、光透過性の基板を用いて、膜41の裏面側から光を照射したが、基板10として非透過性の基板を用いて、膜41の上面から光を照射することもできる。その場合においては、膜41に光照射して第1回路パターン40を形成後に、第1回路パターン上にバンプ42や半田ボール等を必要に応じて搭載し、電子部品30を、その電極31が第1回路パターン40上に一致するように位置合わせして搭載する。バンプ等を配置した場合には、バンプの位置が電子部品30の電極31の位置と一致するように位置合わせする。その後、加熱または超音波を照射して、電子部品30の電極31を第1回路パターン40とを接続し、電子部品30を固定する。
【0099】
なお、第6の実施形態では、抵抗体器240を形成する膜141は、第2回路パターン50を形成する膜51と同じ塗布液で形成したが、抵抗体器240を形成する膜141を構成する塗布液に、絶縁性材料をさらに含有させる等して第2回路パターン50を形成する膜51の塗布液とは異なる配合の塗布液を用いることも可能である。これにより、抵抗体器240を構成する膜141の抵抗値を容易に調整することが可能になる。また、抵抗体器240を形成する膜141を、第1回路パターン40を形成する膜41と同じ塗布液で形成することや、第1回路パターン40を形成する塗布液に絶縁性材料をさらに含有させる等、異なる配合の塗布液で形成することも可能である。
【0100】
本実施形態によれば、種々の電子部品を高密度に基板10に搭載しつつ、少ない製造工程で一括して実装して、電子デバイスを製造できる。しかも、光照射により、回路パターンを容易に変更できるため、設計変更にも容易に対応することができる。
【0101】
また、上述のように本実施形態によれば、以下のように導電体で充電されたスルーホールを備えた電子デバイスの製造方法も提供される。すなわち、第1工程で、粒径が1μm未満である導電性ナノサイズ粒子と、粒径が1μm以上である導電性マイクロサイズ粒子と、絶縁材料とが分散された溶液、もしくは、絶縁材料層でそれぞれ被覆された導電性ナノサイズ粒子および前記導電性マイクロサイズ粒子が分散された溶液を、基板の表面に所望の形状で塗布し、前記絶縁材料で被覆された前記導電性ナノサイズ粒子と前記導電性マイクロサイズ粒子を含む膜を形成する。第2の工程で、前記貫通孔内を前記導電体で充填する。上記第2工程は、前記基板の前記膜とは逆側の面から所定の位置に光を照射し、前記光によって基板に貫通孔をあけ、前記貫通孔に前記膜の一部を流入させて前記貫通孔を前記膜で充填する第2−1工程と、光照射により、前記貫通孔内の前記膜の導電性ナノサイズ粒子と導電性マイクロサイズ粒子とを焼結して導電体を形成する第2−2工程とを有するようにする。
【0102】
また、上述のように本実施の形態によれば、以下のように、湾曲した基板を有する回路基板の製造方法も提供される。すなわち、第1工程で、粒径が1μm未満である導電性ナノサイズ粒子と絶縁材料とが分散された溶液、もしくは、絶縁材料層で被覆された前記導電性ナノサイズ粒子が分散された溶液を、基板表面に所望の形状で塗布し、前記絶縁材料で被覆された前記導電性ナノサイズ粒子を含む膜を形成する。第2工程で、前記膜に所定のパターンで光を照射し、前記光によって導電性ナノサイズ粒子を焼結し、前記所定のパターンの導電性ナノサイズ粒子層である第1回路パターンを形成する。前記第1工程の前、もしくは、前記第1工程の後であって第2工程の前に、前記基板を湾曲させる工程をさらに行う。
【0103】
本実施形態の電子デバイスは、電子部品を基板に搭載したデバイスであればどのようなものでも適用可能である。例えば、自動車のインストルメント・パネル(計器表示盤)やゲーム機の表示部等に適用できる。また、基板を湾曲させることができるため、ウエアラブル(体に装着可能な)な電子デバイス(メガネ、時計、ディスプレイ、医療機器等)や、湾曲したディスプレイに適用可能である。