(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491047
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】遠隔操作型感震ブレーカアダプタ
(51)【国際特許分類】
H01H 73/02 20060101AFI20190318BHJP
H02B 1/42 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
H01H73/02 A
H02B1/42
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-112850(P2015-112850)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-225229(P2016-225229A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 悦朗
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−021814(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3017091(JP,U)
【文献】
実開昭56−061760(JP,U)
【文献】
特開昭57−023724(JP,A)
【文献】
実開昭56−052155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 〜 1/44
H01H 69/00 〜 69/01
H01H 71/00 〜 83/22
H02H 5/00 〜 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電盤に取り付けられたブレーカを操作するアクチュエータと、地震を検知して外力を発生する感震装置の前記外力を前記アクチュエータを駆動する駆動力へ変換するアクチュエータ駆動部と、前記アクチュエータに前記アクチュエータ駆動部からの駆動力を伝達する伝達部と、を備える遠隔操作型感震ブレーカアダプタであって、
前記アクチュエータが、前記ブレーカのスイッチを操作するスライダと前記配電盤の基板に固定されて前記伝達部の駆動力を前記スライダへ接続する接続部を有することを特徴とする遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項2】
前記接続部が前記アクチュエータを前記配電盤の基板に固定する固定部と、前記基板へ固定された前記固定部を前記基板から剥離する治具を引っ掛ける引っ掛け部と、前記スライダを駆動するアクチュエータ移動部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項3】
前記スライダがアクチュエータ移動部の駆動用突起に勘合する複数の穴を有する帯状の可撓性部材で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項4】
前記伝達部が可撓性の筒とそこへ内挿される可撓性の心材を有していることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項5】
前記心材が両端に前記心材に比べて太く形成された係止部を有し、前記アクチュエータ駆動部及び前記接続部の前記伝達部に接続される部分が、前記係止部が通過可能な孔とこれに連続する前記係止部が通過不可能な隙間を有することを特徴とする請求項4に記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項6】
前記アクチュエータ駆動部が回動可能なドライバアームを備え、該ドライバアームの一端が感震装置からの前記外力を受け、他端が前記伝達部に接続され、該ドライバアームの略中央が回動可能に前記アクチュエータ駆動部の基板に固定されていることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【請求項7】
前記アクチュエータ駆動部が駆動力増倍装置を備え、該駆動力増倍装置が前記駆動力を弾性エネルギーとして蓄える弾性体と、該弾性体による前記駆動力の発生を制御するラッチ機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の遠隔操作型感震ブレーカアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーカに取り付けられ地震時の大きな揺れを検知して商用電源の供給を断って通電火災を防止する、蓋を閉めた状態の配電盤に取り付け可能な遠隔操作型感震ブレーカアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
地震による被害には、建物の崩壊及び建物内の様々な物品が移動・落下による直接的な被害に加えて火災に伴う2次被害がある。地震に伴う火災の発生原因の一つとして地震後の通電による通電火災がある。人命の損失につながる場合が多い地震に伴う火災を抑えるためには地震時の火の始末に加えて通電火災対策が必要である。
【0003】
地震に伴う漏電状態や暖房機などが接続された状態での通電が地震後の通電火災を引き起こすので地震の際に電源を遮断して火災を防止することが望まれている。新潟地震の際は神戸地震での反省を踏まえて地震を感じてブレーカを切ることが行われたため通電火災が少なかったと言われている。
【0004】
通電火災を防止するには、地震の際にブレーカの遮断を確実に行う必要がある。しかし、通電火災対策を人手に頼る場合は確実性が乏しく一定の割合で地震の際に通電ブレーカの遮断が行われない可能性があるので、通電火災の発生を完全に抑えることは困難であり、通電火災対策の自動化が望まれている。
【0005】
そこで、従来通電火災を防止するために感震ブレーカが分電盤に取り付けられ、地震検知後に停電復旧を検出すると、家屋のコンセントなどに接続する電源線を、リレー接点などで自動開放することが行われている。すなわち、感震ブレーカは、地震を検知して自動的に主ブレーカを遮断し、家屋内の電気ストーブなどへ電力が供給されないようにすることで通電火災の発生を予防する。
【0006】
従来このような感震ブレーカとしては、地震の発生を電気的に検知して通電をリレーなどで遮断するものが開示されている(特許公報1,2を参照)。電気的な処理を行うことで、きめの細かい通電遮断が可能になるが、複雑な構成をとることで通電火災の予防に係る費用が高くなるという問題がある。
【0007】
そこで、感震ブレーカの幅広い普及を目指すには、既に設置されているブレーカへ、後付けして感震ブレーカの機能を持たせることができる安価な感震装置が望まれている。また、構造の簡便さ及び製造費用の低廉化を目指して純機械的に感震ブレーカを構成することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−74434
【特許文献2】特開平11−219653
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
配電盤に後付で地震対策を行う感震ブレーカアダプタは、ブレーカを確実に操作するために相当の駆動力と駆動長が求められ、それ相応の大きさが必要になる。配電盤は通常、美感上の問題やほこり対策から蓋で覆われており、一般にこの蓋から配電盤の主ブレーカや分岐ブレーカが配置された基板までの距離は小さい。従って大きな駆動力を備える感震駆動装置を基板に取り付けると蓋を閉めることが出来ないという問題があった。
【0010】
そこで、本願発明の発明者は、上記課題の解決を目指して鋭意研究・開発を行い本発明の完成に至ったものである。その目的とするところは、既設のブレーカに外付けで簡便に取り付けられ、地震時には、地震災害の拡大や通電火災を阻止するべく確実にブレーカを遮断状態にする、配電盤の蓋を閉めた状態で設置可能な遠隔操作型感震ブレーカアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、配電盤に取り付けられたブレーカを操作するアクチュエータと、地震を検知して外力を発生する感震装置の前記外力を前記アクチュエータを駆動する駆動力へ変換するアクチュエータ駆動部と、前記アクチュエータに前記アクチュエータ駆動部からの駆動力を伝達する伝達部と、を備える遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタであって、前記アクチュエータが、前記ブレーカのスイッチを操作するスライダと前記配電盤の基板に固定されて前記伝達部の駆動力を前記スライダへ接続する接続部を有することを特徴とする遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0012】
本発明のアクチュエータ駆動部は配電盤の外へ設置される電気または機械式の感震装置に接続される。地震時に感震装置が作動して生じる外力が本発明のアクチュエータ駆動部により配電盤の蓋と基板の間に設置されたアクチュエータを作動させる駆動力に変換される。この駆動力は伝達部により配電盤の中に設置されたアクチュエータへ伝達される。アクチュエータには配電盤のブレーカのスイッチを操作するスライダとスライダへ伝達部を機械的に接続して駆動力をスライダへ渡す接続部が備えられる。伝達部により伝達された駆動力によりスライダが移動する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記接続部がアクチュエータを前記配電盤の基板に固定する固定部と、前記基板へ固定された前記固定部を前記基板から剥離する治具を引っ掛ける引っ掛け部と、前記スライダを駆動するアクチュエータ移動部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0014】
接続部は接続部の固定部を介して配電盤の基板に接着材、両面テープまたはネジなどで固定される。接続部はスライダのガイドの役目も果たす。接続部で伝達部とスライダが直接的又は間接的に接続され、伝達部からの駆動力がスライダへ渡される。伝達部とスライダが間接的に接続される場合は、伝達部がアクチュエータ移動部へ接続され、アクチュエータ移動部がスライダへ接続される。配電盤の基板へ接着材や両面テープで固定されるアクチュエータの剥離はアクチュエータに備えられている剥離用の治具を引っ掛ける引っ掛け部を利用することでアクチュエータの取り外しが容易にできる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記スライダがアクチュエータ移動部の駆動用突起に勘合する複数の穴を有する帯状の可撓性部材で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0016】
アクチュエータ移動部にはスライダの複数の穴に勘合する駆動用突起があり、アクチュエータ移動部の動きがスライダに伝達される。このスライダが配電盤の中のブレーカのスイッチを操作して電気の流れを遮断する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記伝達部が可撓性の筒状の外皮とそこへ内挿される可撓性の心材を有していることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0018】
アクチュエータ駆動部からの駆動力をアクチュエータに伝達する伝達部は、伝達される力が引っ張り力の場合は、張力に耐える紐などの線材でよい。また、伝達される力が押す力の場合は、座屈しない金属やプラスチックの棒でよい。そして、押圧、引圧のどちらでも対応するためには可撓性の筒とそこへ内挿される可撓性の心材で構成される部材を伝達部として用いることが適当である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記心材が両端に前記心材に比べて太く形成された係止部を有し、前記アクチュエータ駆動部及び前記接続部の前記伝達部に接続される部分が、前記係止部が通過可能な孔とこれに連続する前記係止部が通過不可能な隙間を有することを特徴とする請求項4に記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0020】
太く形成された係止部が通過可能な孔に接続した太く形成された係止部が通過不可能な隙間は、可撓性の筒の固定に用いられる。このような構造により、組み立てが容易になる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記アクチュエータ駆動部が回動可能なドライバアームを備え、該ドライバアームの一端が感震装置からの前記外力を受け、他端が前記伝達部に接続され、該ドライバアームの略中央が回動可能に前記アクチュエータ駆動部のベースに固定されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0022】
感震装置からの外力の方向は、必ずしも分電盤のブレーカの作動方向と同じではない。また、感震装置は分電盤の横に置かれることが多い。中央部を回動可能にアクチュエータ駆動部のベースに固定に固定されているドライバアームによりアクチュエータへ伝達される力の方向が反転して設置の自由度が向上する。
【0023】
請求項7に記載された発明は前記アクチュエータ駆動部が駆動力増倍装置を備え、該駆動力増倍装置が前記駆動力を生じる弾性体と、該弾性体による駆動力の発生を制御するラッチ機構を有することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタである。
【0024】
感震装置による外力が配電盤のブレーカを操作するために必要な操作力が不足する場合に駆動力増倍装置を用いる。駆動力増倍装置は、所要の大きさの駆動力を発生できる弾性体を備え、弾性体をセット状態にしておいてラッチ機構で弾性体が元へもどることを防止する。感震装置からの外力によりラッチ機構を介して弾性体の元へ戻る力を制御し弾性体に蓄えられた弾性エネルギーをアクチュエータへの駆動力として解放する。
【発明の効果】
【0025】
蓋を閉めた状態の分電盤に納まる遠隔操作型ブレーカアダプタによって、分電盤のブレーカを操作する力を発生する装置を分電盤の外へ置いて、その力を分電盤の中に伝達し、伝達された力によりブレーカを操作することで地震の際の通電火災を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態の外観を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態の表面から見た組み立て図である。
【
図3】本発明の実施形態の裏面から見た組み立て図である。
【
図6】分電盤に装着されたアクチュエータの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態の遠隔操作型感震ブレーカ
アダプタについて
図1を参照して説明する。アクチュエータ駆動部10は感震装置100に機械的に接続されている。地震時に感震装置が作動して蛇腹状のスライダが移動するとその力がアクチュエータ駆動部10によりアクチュエータ駆動力へ変換されて伝達部30により分電盤に設置されたアクチュエータ20へ伝達される。
図6に主ブレーカ51と分岐ブレーカ52が備えられている分電盤に設置されたアクチュエータの様子を示す。後述するように分電盤に設置されるアクチュエータは構成する部品が少ないので分電盤の蓋を閉めた状態で、分電盤の基板と蓋の隙間に収まる高さにすることができる。
【0028】
次に
図2と
図3を用いてアクチュエータ駆動部10とアクチュエータ20とその間を接続して駆動力を伝達する伝達部30について詳細に説明する。
【0029】
アクチュエータ20は分電盤の基板に接着されるアクチュエータ接続部21(単に接続部ともいう)、伝達部の芯線が接続されて移動するアクチュエータ移動部22、アクチュエータ移動部22に係止されるスライダ23で構成される。アクチュエータ接続部で伝達部からの駆動力がスライダへアクチュエータ移動部22を介して間接的に渡される。ここで、アクチュエータ移動部22を省いて伝達部を直接スライダへ接続してもよい。
【0030】
図3に示すようにアクチュエータ接続部21は配電盤の基板に接着剤や両面テープで接着される固定部27を有していて、配電盤の基板にはこの固定部で接着が行われる。固定部27は接着材や両面テープで基板に固定されると剥離することが難しい。そこでドライバーなどの剥がし治具を引っ掛ける引っ掛け部として、
図3に示すように治具の引っかけ部として2つの孔24が用意されている。二つの孔は所定の距離離れており、一方の孔へ挿入される治具は他方の孔へも挿通される。ここで治具を基板に並行に動かすとトルクが発生して基板に接着された固定部を容易に剥がすことができる。
【0031】
図3に示すようにアクチュエータ移動部22は、下方に突起を有しておりこの駆動用突起は帯状のスライダ23の孔に勘合して係止される。スライダは可撓性部材で形成されており設置の自由度を向上させている。アクチュエータ移動部は伝達部の芯線31の芯線よりも太く形成された先端部分が嵌まる係止部を有しており、芯線の先端部分がこの係止部へ嵌まり芯線の動きに応じてアクチュエータ移動部が移動してブスライダーを駆動し、ブレーカのスイッチを操作する。
【0032】
アクチュエータ駆動部10は感震装置100と機械的に接続される。感震装置接続部1は、感震装置の設置台4の溝へはめ込むことで設置台へ固定される。この設置台4へ感震装置の接続部5が差し込まれて固定される。感震装置100は所定の大きさの揺れを検知するとスライダ7を移動させて外力を発生する。
【0033】
図2のスライダ7の複数の孔の一つにドライバアーム2の一端にある突起91が係止される。ドライバアーム2は略中央で回動可能に回動軸4に回動可能に取付けられている。ドライバアーム2の他端は伝達部である駆動ケーブル30の内芯の太く形成されている端に係止される穴を有しており、ドライバアームの動きに合わせて係止された駆動ケーブルの内芯を動かす。
【0034】
駆動ケーブル30は主に可撓性の筒32とそこへ内挿される可撓性の心材31で構成される。可撓性の筒はその心材の保護と同時に心材が座屈することを防止する。心材の両端には心材を係止するために心材よりも太く係止部が形成されている。
【0035】
図5に駆動ケーブルを接続するアクチュエータ駆動部10の接続部材6を示す。駆動ケーブルは外皮の筒と心材を共に孔61を通す。この孔61は太く形成された心材の係止部も通過可能な大きさである。ここで駆動ケーブルを右へずらせて孔61に連続する隙間62を通し、孔63へ納める。この隙間62は係止部が通過不可能な大きさに作られる。これの上部の穴にボルトを入れて締め付けることで心材の納まっている孔63の直径が小さくなり駆動ケーブルの外皮が固定される。この駆動ケーブルとの接続構造はアクチュエータも同様である。このような構造にすることで駆動ケーブルとアクチュエータ駆動部やアクチュエータとの駆動ケーブルの接続が容易に行える。
【0036】
このドライバアームを省いて直接、感震装置5のスライダ7へ駆動ケーブルを接続しても良いが、実装上は、配電盤の中のアクチュエータ20の設置されたほぼ同じ高さの位置へアクチュエータ駆動部を設置することが多い。その場合、駆動力の伝達をスムースに行うために、移動方向を反転させるドライブドライバアーム2を備えることが好ましい。
【0037】
次にブレーカの操作に必要な力が不足している場合に用いられる駆動力増倍装置40について
図4を用いて説明する。駆動力増倍装置40には、駆動力を発生する駆動用バネ44が備えられ、駆動力は弾性体である駆動用バネ44の弾性エネルギーとしてリセット状態の際に蓄えられる。
【0038】
図4の駆動用バネ44は通常時よりも延びた状態で弾性エネルギーを蓄え、駆動用バネが元の長さに戻ろうとする力をラッチ42で止めておく。ラッチ42はラッチ用バネ45により引っ張られて駆動用バネが縮まないようにL字の部分で止めている。このラッチ用バネの力に感震装置のスライダ41の外力で打ち勝ってラッチ42のL字の下部分が下方へ動くとラッチが右方向へ回動して、ラッチが外れ駆動用バネ44に蓄えられた弾性エネルギーが解放されドライバアーム43が駆動用バネ44の力で下方へ引かれ、ドライバアーム43が反時計方向へ回動して駆動ケーブルの芯線を上へ引き上げる。
【0039】
駆動用バネ44の弾性力は任意に選べるので、操作対象となるブレーカが大型のものであっても、ラッチ機構により駆動用バネの力を制御することで駆動用バネ44の力をブレーカの操作力よりも大きくすることができ大型ブレーカにも充分に対応することができる。
【0040】
ここまで、本発明の実施例を説明してきたが、本発明の応用範囲は広く本発明の技術思想により実現される実施例は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 感震装置接続部
2 ドライバアーム
3 アクチュエータ駆動部の蓋
4 ドライバアームの回動軸
5 感震装置の接続部
6 伝達部との接続部材
10 アクチュエータ駆動部
20 アクチュエータ
21 アクチュエータ接続部
22 アクチュエータ移動部
23 スライダ
27 固定部
30 駆動ケーブル
31 駆動ケーブルの内芯
32 駆動ケーブルの外皮
40 駆動力増倍装置