【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例としてのリアクトル20の斜視図であり、
図2は、リアクトル20の分解斜視図である。また、
図2では、樹脂モールド部60については図示を省略した。リアクトル20は、バッテリからの電力をモータに電圧の昇圧を伴って供給する昇圧コンバータの一部などとして構成され、磁性体のコア24に樹脂製のボビン30を介してコイル50a,50bが巻回されたコイルアセンブリ22(
図2参照)と、コイルアセンブリ22の大部分を覆う樹脂モールド部60(
図1参照)と、を備える。
【0012】
コア24は、U字状の2つのコアパーツ26a,26bと、直方体状の2つのギャップ部材28a,28bと、を有する。コア24は、コアパーツ26a,26bがギャップ部材28a,28bを介して互いの先端面が対向するように配置されることにより、環状に構成される。
【0013】
コイル50a,50bは、1本の平角線に曲げ加工(エッジワイズ曲げ加工)が施されて、互いに巻回方向が同一となり且つ平行に並ぶように形成されている。このコイル50a,50bは、螺旋状の巻回部51a,51bと、巻回部51a,51bの一端から延出して曲げ部54a,54bを介して巻回部51a,51bの軸方向(巻回方向に対して直交する方向)に延びるリード部56a,56bと、を有する。実施例では、曲げ部54a,54bは、所定のアールとなるように形成されている。
【0014】
ボビン30は、ボビン本体31と、フランジパーツ40と、を有する。ボビン本体31は、2つの筒状の筒状部32a,32bと、筒状部32a,32bの一端側に形成されて筒状部32a,32aが平行に並ぶようにこれらを連結するフランジ部34と、を有する。筒状部32a,32bの内側には、上述のギャップ部材28a,28bが配置されると共にコアパーツ26a,26bの端部が挿入される。また、筒状部32a,32bには、コイル50a,50bの巻回部51a,51bが装着される。フランジ部34の
図2中下部のうち左右方向の中央には、筒状部32a,32bと同一方向に伸びるように梁35が形成されている。フランジ部34の
図2中上部には、コイル50a,50bのリード部56a,56bが挿通される孔36a,36bが形成されている。
【0015】
図3は、ボビン本体31のフランジ部34の孔36a,36b周辺の断面図である。
図3では、コイル50a,50bの一部も図示した。図示するように、ボビン本体31のフランジ部34における孔36a,36bに対する
図3中左側の縁部38a,38bは、面取りされている。この縁部38a,38bは、コイル50a,50bのリード部56a,56bが孔36a,36bに挿通されると共にコイル50a,50bの巻回部51a,51bの軸方向の一方側(
図3中下側)の端面52a,52bがフランジ部34に当接するように巻回部51a,51bが筒状部32a,32bに装着されるときに曲げ部54a,54bと当接しないように面取りされている。例えば、縁部38a,38bは、コイル50a,50bの曲げ部54a,54bの曲率半径が3mm程度のときに、
図3中上向きに対して50度程度左側に傾斜するように面取りされている。
【0016】
フランジパーツ40には、筒状部32a,32bが挿通される孔41a,41bと、梁35が挿通されるスリット42と、が形成されている(
図2参照)。
【0017】
次に、リアクトル20の製造について説明する。まず、コイル50a,50bのリード部56a,56bをボビン本体31の孔36a,36bに挿通させながらコイル50a,50bの巻回部51a,51bをボビン本体31の筒状部32a,32bに装着する。実施例では、ボビン本体31のフランジ部34における孔36a,36bに対する縁部38a,38bが上述のように面取りされているから、コイル50a,50bの曲げ部54a,54bとフランジ部34に対する縁部38a,38bとが当接しないようにして、コイル50a,50bの端面52a,52bをフランジ部34に当接させることができ、リード部56a,56bの孔36a,36bからの突出部分の長さを精度よく確保することができる。続いて、ボビン本体31のフランジ部34とフランジパーツ40とがコイル50a,50bを介して対向するようにフランジパーツ40の孔41a,41bと孔42とにボビン本体31の筒状部32a,32bと梁35とを挿通させて、フランジパーツ40をボビン本体31に取り付ける。そして、筒状部32a,32b内でコアパーツ26a,26bの先端面がギャップ部材28a,28bを介して対向するようにコアパーツ26a,26bおよびギャップ部材28a,28bを配置する。このようにしてコイルアセンブリ22を製造する。そして、コイルアセンブリ22を成形型に収容し、成形型の注入孔から樹脂を注入して樹脂モールド部60を形成し、リアクトル20を完成する。リード部56a,56bの孔36a,36bからの突出部分の長さを精度よく確保した状態で樹脂モールド部60を形成することにより、リアクトル20の完成時において、リード部56a,56bの孔36a,36bからの突出部分の長さを精度よく確保することができる。
【0018】
ここで、縁部38a,38bの面取りの角度(
図3中上向きに対して左側に傾斜する角度)を、コイル50a,50bの曲げ部54a,54bの曲率半径が3mm程度のときに50度程度とした理由について説明する。縁部38a,38bの面取りの角度を比較的小さく(例えば20度〜30度程度など)すると、面取り部分が
図3中下側に長くなることになり、樹脂モールド部60の形成時に、孔36a,36bを通って樹脂が外部(
図3中下側)に漏れやすくなってしまう。また、縁部38a,38bの面取りの角度を比較的大きく(例えば、70度〜80度程度など)すると、面取り部分が
図3中左側に長くなることになり、コイル50a,50bの端面52a,52bとフランジ部34との当接面積が小さくなってしまう。これらの理由によって、実施例では、コイル50a,50bの曲げ部54a,54bの曲率半径が3mm程度のときに縁部38a,38bの面取りの角度を50度程度とした。なお、縁部38a,38bの面取りの角度は、曲げ部54a,54bの曲率半径などに応じて適宜設定される。
【0019】
以上説明した実施例のリアクトル20では、ボビン本体31のフランジ部34における孔36a,36bに対する縁部38a,38bは、面取りされており、コイル50a,50bのリード部56a,56bが孔に挿通されると共にコイル50a,50bの巻回部51a,51bの端面52a,52bがフランジ部34に当接する。言い換えれば、ボビン本体31のフランジ部34における孔36a,36bに対する縁部38a,38bは、コイル50a,50bのリード部56a,56bが孔36a,36bに挿通されると共にコイル50a,50bの巻回部51a,51bの端面52a,52bがフランジ部34に当接するように巻回部51a,51bが筒状部32a,32bに装着されるときにコイル50a,50bの曲げ部54a,54bと当接しないように面取りされているのである。これにより、コイル50a,50bの巻回部51a,51bの端面52a,52bとボビン本体31のフランジ部34とを当接させる(両者の間に隙間ができないようにする)ことができ、コイル50a,50bのリード部56a,56bの孔36a,36bからの突出部分の長さを精度よく確保することができる。
【0020】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、コア24が「コア」に相当し、コイル50a,50bが「コイル」に相当し、コイルアセンブリ22が「コイルアセンブリ」に相当し、樹脂モールド部60が「樹脂モールド部」に相当する。
【0021】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0022】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。