(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491073
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20190318BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20190318BHJP
C22C 38/50 20060101ALI20190318BHJP
F27B 17/00 20060101ALI20190318BHJP
C21D 9/00 20060101ALN20190318BHJP
C21D 1/18 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
C21D1/00 116B
C22C38/00 302Z
C22C38/50
F27B17/00 B
!C21D9/00 A
!C21D1/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-203651(P2015-203651)
(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公開番号】特開2017-75373(P2017-75373A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 信是
【審査官】
静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−034689(JP,A)
【文献】
特開2014−077565(JP,A)
【文献】
特開2008−291284(JP,A)
【文献】
特表2011−528428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
C21D 9/46−9/48
F27D 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、
該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、
前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、
前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座と、
を備える加熱装置であって、
前記支持体は、オーステナイト系のニッケル―鉄―クロム固溶体合金で、重量比でニッケルが30〜32%、クロムが19〜22%、炭素が0.06〜0.1%、マンガンが0.5〜1.5%、ケイ素が0.2〜0.7%、リンが0.015%以下、硫黄が0.01%以下、銅が0.5%以下、アルミニウムが0.3〜0.6%、チタンが0.3〜0.6%とされ、しかもアルミニウムとチタンは合わせて1.2%以下、残りが鉄とされた材料にて形成されており、かつ、ワークを支持する面と前記台座に支持される面とが上下対称となるように、2つの断面L字形状の金属板を組み合わせることで四角筒体状に形成される加熱装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記台座は、前記支持体の端部を挟み込み可能にコ字状に形成されている支持体保持部を備えており、
前記支持体は、前記支持体保持部に対して着脱可能である加熱装置。
【請求項3】
ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、
該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、
前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、
前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座と、
を備える加熱装置であって、
前記支持体は、ワークの荷重による変形に対する曲げ強度を高める構成を備えており、
前記支持体は、四角筒形状を成し、四角筒の下面が二重構造とされている加熱装置。
【請求項4】
ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、
該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、
前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、
前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座と、
を備える加熱装置であって、
前記支持体は、ワークの荷重による変形に対する曲げ強度を高める構成を備えており、
前記支持体は、2個の四角筒体が上下方向に組み合わされ一体に結合されて成る加熱装置。
【請求項5】
ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、
該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、
前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、
前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座と、
を備える加熱装置であって、
前記支持体は、ワークの荷重による変形に対する曲げ強度を高める構成を備えており、
前記支持体は、四角筒体を備え、該四角筒体の下部外側に沿って断面U字形状の補強部材が結合されて成り、前記四角筒体の下面と前記補強部材の底面との間に所定の隙間を形成されている加熱装置。
【請求項6】
ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、
該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、
前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、
前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座と、
を備える加熱装置であって、
前記支持体は、ワークの荷重による変形に対する曲げ強度を高める構成を備えており、
前記支持体は、断面U字形状の鋼板2つを両者間に閉断面が形成されるように向かい合わせに組み合わせた状態で、一体に結合されて成る加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間プレス工法にて使用される加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の高強度プレス部品の製法として、熱間プレス工法が知られている。熱間プレス工法は、高張力鋼板を約900度の温度まで加熱し、その鋼板を相対的に低温のプレス金型にてプレス成形すると同時に急速冷却して製品に焼き入れを行うものである(下記特許文献1参照)。
【0003】
一般的に熱間プレス工法では、熱効率向上の観点から一つの加熱炉にて複数枚の鋼板を連続的に加熱する連続加熱が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−291284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、連続加熱の場合、加熱炉内部の部品は長時間高温に曝されるため、耐熱性の低い部品はクリープ現象により変形してしまうことがある。鋼板(以下、ワークという)を加熱炉内で支持する支持体がワーク等の重力を受けてクリープ現象を起し、支持体が弓状に変形すると、各種問題が生ずる。例えば、加熱されたワークを支持体上から搬送機により取り出す場合、支持体の変形によりワークの支持高さも低下するため、ワークの下面に搬送機のフォークが干渉する。
【0006】
このような問題に鑑み本発明の課題は、加熱炉内でワークを支持体により支持する加熱装置において、支持体の曲げ強度を高めることにより、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されても、クリープ現象により変形するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、ワークを加熱するため、断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された閉空間を形成している加熱炉と、該加熱炉内に設けられてワークを加熱するヒータと、前記加熱炉内でワークを支持する棒状の支持体と、前記支持体の長手方向の両端を保持して前記加熱炉の壁に固定する台座とを備える加熱装置であって、前記支持体は、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高める構成を備えている。
【0008】
第1発明によれば、支持体は、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められている。そのため、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0009】
第2発明は、上記第1発明において、前記支持体は、四角筒形状を成し、四角筒の下面が二重構造とされている。
【0010】
第2発明によれば、支持体は、四角筒形状を成し、四角筒の下面が二重構造とされている。そのため、支持体は、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度が高められ、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0011】
第3発明は、上記第1発明において、前記支持体は、2個の四角筒体が上下方向に組み合わされ一体に結合されて成る。
【0012】
第3発明によれば、支持体は、2個の四角筒体が上下方向に組み合わされ一体に結合されて成る。そのため、支持体は、四角筒の下面が二重構造とされ、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度が高められ、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0013】
第4発明は、上記第1発明において、前記支持体は、四角筒体を備え、該四角筒体の下部外側に沿って断面U字形状の補強部材が結合されて成り、前記四角筒体の下面と前記補強部材の底面との間に所定の隙間を形成されている。
【0014】
第4発明によれば、支持体は、四角筒体の下部外側に断面U字形状の補強部材が結合されて、四角筒の下面が二重構造とされている。そのため、支持体は、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度が高められ、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0015】
第5発明は、上記第1発明において、前記支持体は、断面U字形状の鋼板2つを両者間に閉断面が形成されるように向かい合わせに組み合わせた状態で、一体に結合されて成る四角筒体である。
【0016】
第5発明によれば、支持体は、断面U字形状の鋼板2つを両者間に閉断面が形成されるように向かい合わせに組み合わせた状態で、一体に結合された四角筒体によって構成されている。その結果、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められる。そのため、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0017】
第6発明は、上記第1〜第5発明のいずれかにおいて、前記支持体は、オーステナイト系のニッケル―鉄―クロム固溶体合金で、重量比でニッケルが30〜32%、クロムが19〜22%、炭素が0.06〜0.1%、マンガンが0.5〜1.5%、ケイ素が0.2〜0.7%、リンが0.015%以下、硫黄が0.01%以下、銅が0.5%以下、アルミニウムが0.3〜0.6%、チタンが0.3〜0.6%とされ、しかもアルミニウムとチタンは合わせて1.2%以下、残りが鉄とされた材料にて形成されている。
【0018】
第6発明によれば、支持体が上記材料にて形成された結果、支持体の長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められる。そのため、支持体が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態である多段加熱炉を持った加熱装置の側面断面図である。
【
図3】上記実施形態におけるワークの支持体及びヒータの拡大正面図である。
【
図4】上記実施形態の投入側及び抽出側における台座部分の拡大側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態における
図5に対応する断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態における
図5に対応する断面図である。
【
図8】各実施形態の支持体の撓み量特性を示す特性図である。
【
図9】第3実施形態の支持体の熱膨張係数特性を示す特性図である。
【
図10】第3実施形態の支持体の縦弾性係数特性を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜5は、本発明の第1実施形態を示す。この実施形態は、熱間プレス工法にて使用される加熱炉を持った加熱装置に本発明を適用した例を示す。各図中、矢印により加熱装置を基盤上に設置した状態における各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。なお、説明の都合上、方向を示す際の「投入側」を「前」、「抽出側」を「後」ともいう。
【0021】
図1、2に示すように、加熱炉10は、上部フレーム11と下部フレーム12との間に、単段ユニットが複数段積み重ねられて一体化されて構成されている。加熱炉10は、ワークWを上下方向に単段ユニットの段数と同数、また、前後方向に2枚収納して同時に加熱可能とされている。上下方向に収納するワークWの枚数によって単段ユニットの積み重ね段数が決定され、前後方向に収納するワークWの枚数及び大きさによって加熱炉10の前後、左右方向の大きさが決定される。下部フレーム12の下部には支持フレーム10aが設けられ、支持フレーム10aによって加熱炉10が基盤上に支持されている。
【0022】
各単段ユニットは、投入側プレート13a、抽出側プレート13b、左側面フレーム14a及び右側面フレーム14bを井桁状に組み合わせてなり、投入側プレート13aと抽出側プレート13bとの間には、複数枚のヒータ受けプレート15が前後方向に並べられた状態で介挿されている。
図2では、ヒータ受けプレート15はワークWを支持する支持体30の真下に位置して隠れている。
【0023】
図3に示すように、各ヒータ受けプレート15の上には、各ヒータ受けプレート15に跨って板状のヒータ20が載せられている。このとき、ヒータ受けプレート15とヒータ20との当接部は電気的に絶縁されている。ヒータ20は、電気コイル式ヒータ、ラジアントチューブなどであり、その電気接続が左側面フレーム14a及び右側面フレーム14bを介して行われている。
【0024】
図3、4に示すように、各ヒータ受けプレート15の更に上方には、ワークWを支持するため、耐熱金属製(例えば、SUS310S)の棒状体である支持体30が複数本左右方向に並べて前後方向に沿って設けられている。
【0025】
各支持体30は、四角筒体であり、各ヒータ受けプレート15と同様に、投入側プレート13aと抽出側プレート13bとの間に介挿されている。具体的には、
図4に示すように、各支持体30の端部は、台座40及び先端部プレート16を介して投入側プレート13a及び抽出側プレート13bに固定されている。台座40は、支持体保持部42により支持体30を保持し、柱状部43により先端部プレート16に支持されている。なお、投入側プレート13a及び抽出側プレート13bは、本発明における加熱炉の壁に相当する。
【0026】
図5は、支持体30の断面形状を示す。支持体30は、断面U字形状の鋼板30a、30bを2つ両者間に閉断面が形成されるように向かい合わせに組み合わせた状態で、一体に溶接結合されて四角筒体とされている。一般的に支持体は、四角筒体の縦辺と横辺を断面L字形状の鋼板によって形成し、その断面L字形状の鋼板を2つ組み合わせて四角筒体に形成されている。そのような一般的な支持体に比べて、本実施形態の支持体30は縦剛性が高められ、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められる。そのため、支持体30が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0027】
図6は、本発明の第2実施形態における支持体30Aの断面形状を示す。なお、第2実施形態は、上述の第1実施形態における支持体30が支持体30Aに変わったのみで、その他の構成は第1実施形態と全く同一である。支持体30Aは、2つの断面L字形状の鋼板(例えば、SUS310S)30c、30dを組み合わせて四角筒体30fが形成され、その四角筒体30fの下部外側に断面U字形状の補強部材30eが被せられた状態で溶接結合されている。このとき、四角筒体30fの下面と補強部材30eの底面との間に所定の隙間が形成されている。
【0028】
支持体30Aは、一般的な支持体と同様の四角筒体30fの下部に補強部材30eが被せられて四角筒の下面が二重構造とされているため、支持体30Aは縦剛性が高められ、その長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められる。そのため、支持体30が加熱炉内で長時間高温に曝されて、変形し易い状態となっても、その変形は抑制される。
【0029】
第2実施形態では、四角筒体30fの下面を二重構造とするために、四角筒体30fの下部外側に断面U字形状の補強部材30eを被せて構成したが、断面U字形状の補強部材30eの開放側の両先端面を四角筒体30fの下面に突き当てた状態で溶接接合して構成してもよい。
【0030】
図7は、本発明の第3実施形態における支持体30Bの断面形状を示す。なお、第3実施形態は、上述の第1実施形態における支持体30が支持体30Bに変わったのみで、その他の構成は第1実施形態と全く同一である。支持体30Bは、2つの断面L字形状の金属板30g、30hを組み合わせて四角筒体30jが形成されている。このとき、金属板30g、30hは、オーステナイト系のニッケル―鉄―クロム固溶体合金で、重量比でニッケルが30〜32%、クロムが19〜22%、炭素が0.06〜0.1%、マンガンが0.5〜1.5%、ケイ素が0.2〜0.7%、リンが0.015%以下、硫黄が0.01%以下、銅が0.5%以下、アルミニウムが0.3〜0.6%、チタンが0.3〜0.6%とされ、しかもアルミニウムとチタンは合わせて1.2%以下、残りが鉄とされた材料にて形成されている。この金属板30g、30hは、例えば、インコロイ800HT(登録商標)にて構成することができる。インコロイ800HTは、高温強度が高く、支持体30Bの長手方向の両端間における撓み変形に対する曲げ強度を高められる。そのため、支持体30Bが加熱炉内で長時間高温に曝されても、クリープ現象による変形は抑制される。
図9、10は、インコロイ800HTの熱膨張係数、縦弾性係数の各特性を示す。
図9、10において、破線は、本発明の加熱装置の支持体として使用された場合に曝される温度(900度)のレベルを示す。
【0031】
図8は、第1〜第3実施形態の支持体30、30A、30Bの高温下における撓み量特性を示す。この特性図は、加熱炉10内が900度に維持された状態で加熱時間が所定時間経過する毎に支持体30、30A、30Bの撓み量を測定した結果をまとめたものである。
図8によれば、SUS310Sを使用して形成された一般的な支持体では、特性線Aで示すように、加熱時間が500〜600時間で撓み量が許容撓み量(一点鎖線で示す)を超えてしまう。それに対し、第1実施形態の支持体30及び第2実施形態の支持体30Aでは、特性線B、Cで示すように、加熱継続時間が1000時間近くとなっても撓み量が許容撓み量より小さくなっている。また、第3実施形態の支持体30Bでは、特性線Dで示すように、加熱継続時間が900時間程度となっても撓み量は極く僅かで、殆ど撓まない。
【0032】
従って、第1実施形態の支持体30及び第2実施形態の支持体30Aを用いた加熱装置では、一般的な支持体を用いた場合に比べて支持体の交換頻度を半分程度に減らすことができる。即ち、メンテナンス費用を半分程度に抑制することができる。また、第3実施形態の支持体30Bを用いた加熱装置では、支持体の交換を殆ど不要とすることができる。
【0033】
図1にてハッチングを施して示されるように、各単段ユニットの周り、上部フレーム11の下面及び下部フレーム12の上面には、断熱材が設けられている。そのため、加熱炉10内は断熱材によって囲まれた状態で外部空間から遮蔽された一つの閉空間とされている。
【0034】
図1、2に示すように、単段ユニット間及び上部フレーム11と単段ユニットとの間、並びに下部フレーム12と単段ユニットとの間には、加熱炉10を外部空間に対して開閉するためのシャッタ18が各単段ユニットに対応して投入側と抽出側にそれぞれ設けられている。具体的には、シャッタ18は、各単段ユニットにおける左側面フレーム14a及び右側面フレーム14bの上側及び下側に開閉可能にそれぞれ設けられている。また、シャッタ18の内壁側にも断熱材10bが設けられている。
【0035】
以上の加熱装置が熱間プレス工法にて使用される場合、ヒータ20が発熱するように通電された状態で、ワーク投入側のシャッタ18が一つずつ順次開けられてワークWが各単段ユニットの支持体30上に
図2、3に示すように置かれ、その後シャッタ18が閉じられる。支持体30上のワークWがヒータ20によって所定の約900度まで加熱されると、ワーク抽出側のシャッタ18が一つずつ順次開けられてワークWが各単段ユニットの支持体30上から抽出される。抽出されたワークWは、次工程にてプレス成形されると同時に焼き入れされる。
【0036】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 加熱炉
10a 支持フレーム
11 上部フレーム
12 下部フレーム
13a 投入側プレート(加熱炉の壁)
13b 抽出側プレート(加熱炉の壁)
14a 左側面フレーム
14b 右側面フレーム
15 ヒータ受けプレート
16 先端部プレート
18 シャッタ
20 ヒータ
30、30A、30B 支持体(棒状体)
30a、30b 断面U字形状の鋼板
30c、30d 断面L字形状の鋼板
30e 断面U字形状の補強部材
30f、30j 四角筒体
30g、30h 断面L字形状の金属板
40 台座
41 平板部
42 支持体保持部
43 柱状部