(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カムは、前記ゲートを前記ゲートリンクを介して回動させるゲートカム部と、前記ゲートカム部と一体に設けられ、前記清掃部材を前記清掃リンクを介して回動させる清掃カム部とを有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
前記清掃カム部は、前記ゲートカム部によって前記ゲートが前記通過口を通過する硬貨を前記第一開口部及び前記第二開口部の何れか一方へ導く位置にあるときにのみ、前記清掃部材によって前記通過センサを清掃させることを特徴とする請求項2又は3に記載の硬貨処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る硬貨処理装置を図面を参照して以下に説明する。
【0021】
本実施形態の硬貨処理装置10は、
図1に示すように、装置外から入金硬貨が投入される入金口11と、入金口11から繰り出された硬貨を識別しつつ計数する識別部12と、識別部12の識別結果に基づいて硬貨を二方向に振り分ける入金振分部13と、識別部12で受け入れ不可と識別されて入金振分部13で一方に案内された硬貨を機外に取り出し可能に繰り出す入金リジェクト口14とを有している。
【0022】
また、硬貨処理装置10は、識別部12で受け入れ可能と識別されて入金振分部13で他方に案内された硬貨を識別部12の識別結果に基づいて更に二方向に振り分けるオーバーフロー振分部16と、識別部12で受け入れ可能且つ還流不可なオーバーフロー硬貨と識別されてオーバーフロー振分部16で一方に案内された硬貨を収納するオーバーフロー収納箱17と、識別部12で受け入れ可能且つ還流可能な硬貨と識別されてオーバーフロー振分部16で他方に案内された硬貨を金種別に振り分ける収納振分部18と、収納振分部18で振り分けられた硬貨をそれぞれ収納する金種別の出金収納部19とを有している。
【0023】
更に、硬貨処理装置10は、出金収納部19の対応する一つから硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す金種別の計数繰出部21と、これら計数繰出部21で繰り出された硬貨を二方向に振り分ける出金振分部22と、出金振分部22で一方に案内された硬貨を収納する出金箱23と、出金振分部22で他方に案内された硬貨を収納する回収箱24とを有している。オーバーフロー収納箱17、出金箱23及び回収箱24は、硬貨処理装置10に着脱可能に設けられている。出金箱23は装置外に臨む位置に設けられており、オーバーフロー収納箱17と回収箱24とは扉で覆われた装置内部に設けられている。
【0024】
硬貨処理装置10は、例えば、以下の処理を行う。
【0025】
[入金処理]
入金処理の実行操作が入力されると、硬貨処理装置10の制御部25は、入金口11に投入された硬貨を入金口11によって一枚ずつ分離して内部へ繰り出させ、識別部12で識別させる。そして、識別部12で受け入れ可能且つ還流可能な硬貨と識別された硬貨を、入金振分部13及びオーバーフロー振分部16で収納振分部18に搬送させ、収納振分部18で振り分けて金種別の出金収納部19に収納させる。また、識別部12で受け入れ不可と識別された硬貨を、入金振分部13で入金リジェクト口14に搬送させる。更に、識別部12で受け入れ可能且つ還流不可な硬貨と識別された硬貨を、オーバーフロー振分部16でオーバーフロー収納箱17に搬送させる。入金リジェクト口14に搬送された硬貨は機外に取り出し可能となる。
【0026】
[入金返却処理]
入金処理後に、返却操作が入力されると、制御部25は、出金振分部22を、金種別の出金収納部19からの硬貨を出金箱23に案内する状態とする。その後、制御部25は、入金処理で受け入れた入金硬貨と同種・同数の硬貨を、対応する出金収納部19から対応する計数繰出部21で計数しつつ繰り出させ、出金振分部22で出金箱23に搬送させる。出金箱23に搬送された硬貨は機外に取り出し可能となる。
【0027】
[出金処理]
金種別の出金枚数の操作入力が行われて出金処理の実行操作が入力されると、制御部25は、出金振分部22を、金種別の出金収納部19からの硬貨を出金箱23に案内する状態とする。その後、制御部25は、入力された金種別の出金枚数の硬貨を、対応する出金収納部19から対応する計数繰出部21で計数しつつ繰り出させ、出金振分部22で出金箱23に搬送させる。出金箱23に搬送された硬貨は機外に取り出し可能となる。
【0028】
[回収処理]
回収対象の金種指定の操作入力が行われて回収処理の実行操作が入力されると、制御部25は、出金振分部22を、金種別の出金収納部19からの硬貨を回収箱24に案内する状態とする。その後、制御部25は、回収対象の金種の硬貨を、対応する出金収納部19から対応する計数繰出部21で計数しつつ繰り出させ、出金振分部22で回収箱24に搬送させる。回収箱24に搬送された硬貨は機外に取り出し可能となる。
【0029】
金種別の計数繰出部21によって金種別の出金収納部19から繰り出された硬貨は、共通の繰出搬送路31で搬送されて
図2〜
図14に示す出金振分部22に導入される。
図2に示すように、繰出搬送路31の出金振分部22側の端部は、硬貨を通過させる通過口32となっている。通過口32は横長の矩形状をなしており、硬貨が中心軸線を鉛直方向に沿わせた状態で通過する。
【0030】
通過口32は、
図2〜
図4に示す出金判別モジュール33に形成されており、この出金判別モジュール33には、
図2に示すように、通過口32に設置されて通過口32を通過する硬貨を検出する複数、具体的には三つの通過センサ34が設けられている。複数の通過センサ34は、それぞれ、
図7に示すように、一方が発光素子であり他方が受光素子である一対の素子35,36を有しており、発光素子の発光に対する受光素子の非受光及び受光で硬貨の有無を検出する光学透過型のセンサである。一方の素子35は通過口32の上側に配置され、他方の素子36は通過口32の下側に配置されている。
【0031】
出金振分部22は、通過口32が開口する
図2〜
図4に示す振分空間部41を有している。この振分空間部41は、上記した出金判別モジュール33を含む本体部42の内側に形成されている。振分空間部41は、
図2に示すように、通過口32の幅方向において通過口32よりも広がって形成されており、本体部42には、
図7に示すように、振分空間部41の下側に、
図1に示す出金箱23に硬貨を搬送する出金シュート44と、
図1に示す回収箱24に硬貨を搬送する回収シュート45とが並んで設けられている。
【0032】
出金シュート44は、振分空間部41に開口する上端の開口部44a(第一開口部)が、通過口32の鉛直下方に対してずれた位置に設けられており、回収シュート45は、振分空間部41に開口する上端の開口部45a(第二開口部)が、通過口32の鉛直下方に設けられている。何れも本体部42を構成する出金シュート44の開口部44a及び回収シュート45の開口部45aには、通過口32を通過した硬貨が導入される。本体部42は、回収シュート45の開口部45aの出金シュート44の開口部44aとは反対側の端部位置から鉛直上方に延出する壁部46を有しており、この壁部46よりも開口部44a,45a側が振分空間部41となっている。
【0033】
振分空間部41の通過口32の下方には、板状のゲート50が設けられている。ゲート50は、板状のゲート本体51と、ゲート本体51の一端側に固定された支持軸52とを有している。ゲート50は、その支持軸52が出金シュート44の開口部44aと回収シュート45の開口部45aとの間に水平に配置されて本体部42に回動可能に支持されている。よって、ゲート50は本体部42に回動可能に設けられている。ゲート50の支持軸52には扇型の回動板53が固定されており、回動板53には支持軸52とは反対側に複数、具体的には三つのスリット54〜56が形成されている。本体部42には、回動板53のスリット54〜56を検知することでゲート50の回動位置を検出する二つの光透過型のセンサ57,58が設けられている。
【0034】
ゲート50は、
図7に示すように支持軸52から斜め上方に延出して壁部46に近接する状態では、出金シュート44の開口部44aよりも回収シュート45の開口部45a側に位置することになり、通過口32を通過して落下する硬貨を、開口部45aに導入することなく開口部44aに導入する。ゲート50は、この状態が、回収シュート45の開口部45a側に位置してこの開口部45aを閉じ、出金シュート44の開口部44aを開いた出金回動状態となる。ゲート50が、この出金回動状態にあるとき、センサ57,58のうちの壁部46側のセンサ57が中間のスリット55で透光状態となり、壁部46とは反対側のセンサ58が回動板53で遮光状態となる。
【0035】
また、ゲート50は、
図9に示すように支持軸52から鉛直上方に延出して壁部46に沿う状態では、回収シュート45の開口部45aよりも出金シュート44の開口部44a側に位置することになり、通過口32を通過して落下する硬貨を、開口部44aに導入することなく開口部45aに導入する。ゲート50は、この状態が、出金シュート44の開口部44a側に位置してこの開口部44aを閉じ、回収シュート45の開口部45aを開いた回収回動状態となる。ゲート50が回収回動状態にあるとき、
図9に示すようにセンサ57が回動板53で遮光状態となり、センサ58が最も壁部46から遠いスリット56で透光状態となる。
【0036】
ゲート50は、上記した出金処理時には
図7に示す出金回動状態とされて、通過口32を通過した硬貨を出金シュート44の開口部44aに導き、上記した回収処理時には
図9に示す回収回動状態とされて、通過口32を通過した硬貨を回収シュート45の開口部45aに導く。即ち、ゲート50は、通過口32を通過した硬貨を開口部44a及び開口部45aの何れか一方へ選択的に導く。
【0037】
振分空間部41には、通過口32に設けられた複数の通過センサ34を清掃する清掃部材61が設けられている。清掃部材61は、
図3に示すように、ブラシからなる清掃ヘッド62と、清掃ヘッド62を一端側に支持する部材本体63と、部材本体63の清掃ヘッド62とは反対の他端側に設けられた支持軸64とを有している。清掃部材61は、支持軸64が本体部42の壁部46よりも振分空間部41とは反対側に設けられた支持部材67に回動可能に支持されている。清掃部材61は、支持部材67に回動可能に支持された状態で振分空間部41内まで延出して清掃ヘッド62を振分空間部41内に配置している。
【0038】
清掃部材61は、
図9から
図10、或いは
図11から
図12に示すように、支持軸64を中心に回動することで清掃ヘッド62が通過口32に設けられた全ての通過センサ34に接触してこれらを擦って清掃する。清掃ヘッド62は、
図9から
図10に示すように通過口32を上から下に横切る際に、通過口32に入り込んだ後に下側の素子36に接触して主に下側の素子36を擦って清掃することになり、
図11から
図12に示すように、通過口32を下から上に横切る際に、通過口32に入り込んだ後に上側の素子35に接触して主に上側の素子35を擦って清掃することになる。
【0039】
ゲート50の支持軸52には、
図2に示すようにリンクアーム71が長さ方向の一端において固定されており、このリンクアーム71は、支持軸52から壁部46の方向に延出している。リンクアーム71の長さ方向の他端側には、この長さ方向に長い長穴72が形成されている。長穴72には、リンクアーム75がその長さ方向の一端に設けられた挿通軸76を挿通させており、これによりリンクアーム75がリンクアーム71に連動可能に係合されている。リンクアーム75は、長さ方向の中間に設けられた支持軸77において本体部42に支持されており、支持軸77を中心に回動可能となっている。リンクアーム75の長さ方向の他端には連結軸81が設けられており、リンクアーム75にはこの連結軸81を中心に回転するフォロアローラ82が設けられている。
【0040】
リンクアーム75には、
図7に示すように支持軸77と連結軸81との間に係止穴83が形成されており、この係止穴83はスプリング85の一端を係止している。スプリング85は、リンクアーム75から上方に延びて他端が本体部42の係止部材86に係止されている。スプリング85は、リンクアーム75の支持軸77よりもフォロアローラ82側を上方に引き上げるように付勢している。これらリンクアーム71、リンクアーム75、フォロアローラ82及びスプリング85が、ゲート50と連動するゲートリンク88を構成している。
【0041】
図3に示すように、清掃部材61の部材本体63には、支持軸64と清掃ヘッド62との間に挿通軸90が設けられており、この挿通軸90には、リンクアーム91が長さ方向の一端において係合されている。リンクアーム91の長さ方向の一端には、この長さ方向に長い長穴92が形成されており、この長穴92に挿通軸90が挿通されている。これにより、清掃部材61がリンクアーム91に連動可能に係合されている。リンクアーム91は長さ方向の中間に設けられた支持軸93において本体部42に支持されており、支持軸93を中心に回動可能となっている。リンクアーム91の長さ方向の他端には連結軸94が設けられており、リンクアーム91にはこの連結軸94を中心に回転するフォロアローラ95が設けられている。
【0042】
リンクアーム91には、支持軸93と連結軸94との間に係止部材96が固定されており、この係止部材96はスプリング97の一端を係止している。スプリング97は、
図7に示すようにリンクアーム91から下方に延びて他端が本体部42の係止部材98に係止されている。スプリング97は、リンクアーム91の支持軸93よりもフォロアローラ95側を下方に引き下げるように付勢している。これらリンクアーム91、フォロアローラ95及びスプリング97が、清掃部材61と連動する清掃リンク99を構成している。
【0043】
ゲートリンク88のゲート50とは反対側であって清掃リンク99の清掃部材61とは反対側には、ゲート50をゲートリンク88を介して回動させると共に清掃部材61を清掃リンク99を介して回動させるカム111が設けられている。カム111は、ゲート50をゲートリンク88を介して回動させるゲートカム部112と、清掃部材61を清掃リンク99を介して回動させる清掃カム部113とを有しており、これらは一体に設けられている。カム111は、本体部42に取り付けられた
図2〜
図6に示すカムモータ115の回転軸116に固定されており、カムモータ115で駆動されてその回転軸116と一体に回転する。
【0044】
ゲートカム部112は、
図2,
図3,
図6に示すようにその外周部においてゲートリンク88のフォロアローラ82に上側から当接している。ゲートカム部112の外周部には、
図7に示すように、フォロアローラ82に当接してゲート50を開口部45a側に位置させて出金回動状態として開口部44aを開放させ、通過口32を通過した硬貨を開口部44aに導入する第一開放動作を行う第一開放領域121が設けられている。
【0045】
また、ゲートカム部112の外周部には、
図7から
図8を経て
図9に示すように、フォロアローラ82をスプリング85の付勢力に抗して押し下げてゲート50を開口部45a側から開口部44a側に回動させる第一切替動作を行う第一切替領域122が、第一開放領域121と隣り合って設けられている。つまり、ゲートカム部112の第一切替領域122がフォロアローラ82をスプリング85の付勢力に抗して押し下げると、リンクアーム75が支持軸77を中心に回動して挿通軸76を上昇させる。すると、挿通軸76に長穴72において係合するリンクアーム71が、支持軸52を中心に長穴72を上昇させるように回動する。その結果、支持軸52を一体に含むゲート50が壁部46から離間して鉛直に沿うように回動して回収回動状態となる。
【0046】
更に、ゲートカム部112の外周部には、
図9〜
図13に示すようにフォロアローラ82を上記のように押し下げた状態に維持して、ゲート50を、開口部44a側に位置させて開口部45aを開放させ、通過口32を通過した硬貨を開口部45aに導入する状態に維持する第二開放動作を行う第二開放領域123が、第一切替領域122と隣り合って設けられている。
【0047】
加えて、ゲートカム部112の外周部には、
図14から
図7に示すように、フォロアローラ82をスプリング85の付勢力で上昇させてゲート50を開口部44a側から開口部45a側に回動させる第二切替動作を行う第二切替領域124が、第二開放領域123と隣り合って設けられている。つまり、ゲートカム部112の第二切替領域124がフォロアローラ82をスプリング85の付勢力で上昇させると、リンクアーム75が支持軸77を中心に回動して挿通軸76を下降させる。すると、挿通軸76に長穴72において係合するリンクアーム71が、支持軸52を中心に長穴72を下降させるように回動し、支持軸52を一体に含むゲート50が壁部46に近接して傾斜するように回動する。
【0048】
清掃カム部113は、
図3,
図6に示すようにその外周部において清掃リンク99のフォロアローラ95に下側から当接している。清掃カム部113の外周部には、
図7〜
図9,
図12〜
図14に示すように、フォロアローラ95に当接して清掃部材61を通過センサ34から上側に離間した第一退避位置に位置させる第一退避動作を行う第一退避領域131が設けられている。
【0049】
また、清掃カム部113の外周部には、フォロアローラ95をスプリング97の付勢力に抗して押し上げて清掃部材61を
図9に示す第一退避位置から
図10に示すように回動させて、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる第一清掃動作を行う第一清掃領域132が、第一退避領域131と隣り合って設けられている。この第一清掃領域132によって清掃部材61は、通過センサ34に対して第一退避位置とは反対側の第二退避位置まで回動させられる。つまり、清掃カム部113の第一清掃領域132がフォロアローラ95をスプリング97の付勢力に抗して押し上げると、リンクアーム91が支持軸93を中心に回動して長穴92を下降させる。すると、長穴92に挿通軸90において係合する清掃部材61が、支持軸64を中心に清掃ヘッド62を下降させるように回動する。これにより、清掃ヘッド62が複数の通過センサ34を擦りながら上から下へ通過し、複数の通過センサ34を清掃する。
【0050】
更に、清掃カム部113の外周部には、
図10,
図11に示すようにフォロアローラ95を上記のように押し上げた状態に維持して、清掃部材61を、通過センサ34に対して上側の第一退避位置とは反対側に離間した下側の第二退避位置に位置させる第二退避動作を行う第二退避領域133が、第一清掃領域132と隣り合って設けられている。
【0051】
加えて、清掃カム部113の外周部には、
図11から
図12に示すようにフォロアローラ95をスプリング97の付勢力で下降させて、清掃部材61を第二退避位置から第一退避位置まで回動させて清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる第二清掃動作を行う第二清掃領域134が、第二退避領域133と隣り合って設けられている。つまり、清掃カム部113の第二清掃領域134がフォロアローラ95をスプリング97の付勢力によって押し下げると、リンクアーム91が支持軸93を中心に回動して長穴92を上昇させる。すると、長穴92に挿通軸90において係合する清掃部材61が、支持軸64を中心に清掃ヘッド62を上昇させるように回動する。これにより、清掃ヘッド62が複数の通過センサ34を擦りながら下から上へ通過し、複数の通過センサ34を清掃する。
【0052】
そして、カム111が
図7〜
図14における反時計回り方向である第一方向に一回転すると、その間に、先ず、ゲートカム部112が、
図7に示すように第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させ、ゲート50を出金回動状態としている状態から、
図8に示すように第一切替領域122をフォロアローラ82に当接させる状態となり、その後、
図9に示すように第二開放領域123をフォロアローラ82に当接させる状態となって、ゲート50を回収回動状態とする。その間、清掃カム部113は、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させており、清掃部材61を通過センサ34から離間した第一退避位置に位置させている。
【0053】
ここで、カム111の全回転位置において、センサ57が透光状態となり且つセンサ58が遮光状態となるのは、
図7に示すように、ゲートカム部112が第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させていて、センサ57が中間のスリット55で透光状態となり、センサ58が回動板53で遮光状態となるのみである。このため、制御部25は、センサ57が透光状態にあり且つセンサ58が遮光状態にあるとき、ゲートカム部112が第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させていてゲート50が出金回動状態にあると判定する。
【0054】
そして、制御部25は、この状態から、カム111が第一方向に一回転する間に、
図8に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となると、ゲートカム部112が第一切替領域122をフォロアローラ82に当接させていると判定し、その後、
図9に示すようにセンサ57が回動板53で遮光状態のまま、センサ58がスリット56で透光状態となると、ゲートカム部112が、第二開放領域123をフォロアローラ82に当接させて、ゲート50が回収回動状態となったと判定する。
【0055】
上記一回転において、カム111が第一方向に更に回転すると、ゲートカム部112が第二開放領域123をフォロアローラ82に当接させた状態、つまりゲート50を回収回動状態とした状態で、清掃カム部113が、
図9から
図10に示すように第一清掃領域132をフォロアローラ95に当接させる状態となって、清掃ヘッド62を複数の通過センサ34を擦らせながら上から下へ通過させ、その後、
図11に示すように第二退避領域133をフォロアローラ95に当接させる状態になって、清掃ヘッド62を複数の通過センサ34に対して第一退避位置とは反対側に離間した第二退避位置に位置させる。
【0056】
ここで、制御部25は、
図9に示すようにセンサ57が遮光状態にありセンサ58が透光状態にある状態から、
図10に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となるまで、清掃カム部113が、第一清掃領域132をフォロアローラ95に当接させる状態にあると判定し、
図10に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となった後、
図11に示すようにセンサ57,58が共に透光状態となるまで、清掃カム部113が、第二退避領域133をフォロアローラ95に当接させた状態にあると判定する。このとき、具体的にはスリット54がセンサ57を透光状態とし、スリット55がセンサ58を透光状態とする。
【0057】
上記一回転において、カム111が第一方向に更に回転すると、ゲートカム部112が第二開放領域123をフォロアローラ82に当接させた状態、つまりゲート50を回収回動状態とした状態において、清掃カム部113が、
図11から
図12に示すように第二清掃領域134をフォロアローラ95に当接させる状態となって、清掃ヘッド62を複数の通過センサ34を擦らせながら下から上へ通過させ、その後、
図13に示すように第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させる状態になって、清掃ヘッド62を第一退避位置に位置させる。
【0058】
ここで、制御部25は、
図11に示すようにセンサ57,58が共に透光状態にある状態から、
図12に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となると、清掃カム部113が、第二清掃領域134をフォロアローラ95に当接させた状態にあると判定することになり、この状態から
図13に示すようにセンサ57が遮光状態のままセンサ58が透光状態となると、清掃カム部113が、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させた状態にあると判定する。このとき、具体的にはスリット56がセンサ58を透光状態とする。
【0059】
上記一回転において、カム111が第一方向に更に回転すると、清掃カム部113が、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させた状態、つまり清掃ヘッド62を第一退避位置に位置させた状態において、ゲートカム部112が、
図14に示すように第二切替領域124をフォロアローラ82に当接させてゲート50を出金回動状態に向けて回動させ、その後、
図7に示すように、第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させてゲート50を出金回動状態にする。
【0060】
ここで、制御部25は、
図13に示すようにセンサ57が遮光状態にありセンサ58が透光状態にある状態から、
図14に示すように、センサ57,58が共に遮光状態となると、清掃カム部113が、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させた状態にあると判定することになり、この状態から、
図7に示すようにセンサ58が遮光状態のままセンサ57が透光状態となると、ゲートカム部112が第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させた状態になると判定する。
【0061】
以上により、カム111は、一回転する間に、第一開放動作、第一切替動作、第二開放動作、第一清掃動作、第二退避動作、第二清掃動作、第一退避動作、第二切替動作の順に動作を行う。その結果、カム111は、ゲート50をゲートリンク88を介して回動させて、通過口32を通過した硬貨をゲート50によって開口部44a及び開口部45aの何れか一方に選択的に導くと共に、清掃部材61を清掃リンク99を介して回動させて、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる。また、清掃カム部113は、ゲートカム部112のゲート50を回動させるタイミングとずらして、清掃部材61を回動させる。更に、清掃カム部113は、ゲートカム部112によってゲート50が通過口32を通過する硬貨を開口部44a及び開口部45aの一方である開口部45aへ導く位置にあるときにのみ、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる。
【0062】
制御部25は、カムモータ115によるカム111の回転をセンサ57,58の検出結果に基づいて制御する。制御部25は、例えば、上記した入金返却処理及び出金処理時には、
図7に示すように壁部46側のセンサ57が透光状態にあり、壁部46とは反対側のセンサ58が遮光状態にある状態としている。よって、入金返却処理、出金処理時には、カム111のゲートカム部112が、第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させ、ゲート50を出金回動状態としている。この状態では、出金収納部19から計数繰出部21で繰り出されて通過口32を通過した硬貨をゲート50が出金シュート44の開口部44aに導き、出金箱23に放出させる。このとき、カム111の清掃カム部113は、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させており、清掃部材61を第一退避位置に位置させている。
【0063】
制御部25は、上記した入金返却処理後又は出金処理の後に、回収処理を行う場合、カムモータ115でカム111を第一方向(一方向)に回転させることになり、この回転中に、
図8に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となった後、
図9に示すようにセンサ57が遮光状態のままセンサ58が透光状態になると、カムモータ115を停止させる。これにより、カム111のゲートカム部112が、第二開放領域123をフォロアローラ82に当接させ、ゲート50を回収回動状態とする。
【0064】
つまり、制御部25は、出金回動状態にあるゲート50を回収回動状態とする場合、カム111を第一方向に回動させて、ゲート50を開口部45a側から開口部44a側に位置させる。この状態では、出金収納部19から計数繰出部21で繰り出されて通過口32を通過した硬貨をゲート50が回収シュート45の開口部45aに導き、回収箱24に放出させる。このときも、カム111の清掃カム部113は、第一退避領域131をフォロアローラ95に当接させており、清掃部材61を第一退避位置に位置させている。
【0065】
制御部25は、上記した回収処理の後に、入金返却処理又は出金処理を行う場合、以下の清掃切替モードと非清掃切替モードとを、選択的に実行可能となっている。
【0066】
清掃切替モードの実行時に、制御部25は、カムモータ115でカム111を更に第一方向に回転させることになり、この回転中に、
図10に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となり、次に
図11に示すようにセンサ57,58が共に透光状態となり、次に
図12に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となり、次に
図13に示すようにセンサ57が遮光状態のままセンサ58が透光状態になり、次に
図14に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となり、次に
図7に示すようにセンサ58が遮光状態のままセンサ57が透光状態となると、カムモータ115を停止させる。これにより、カム111の清掃カム部113が清掃部材61で通過センサ34を往復両方向に清掃させた後、カム111のゲートカム部112が、第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させ、ゲート50を出金回動状態とする。
【0067】
つまり、制御部25は、回収回動状態にあるゲート50を出金回動状態とする場合、清掃切替モードでは、カム111を更に第一方向に回動させて、清掃部材61で通過センサ34の清掃を行うと共に、ゲート50を開口部44a側から開口部45a側に位置させて出金回動状態とする。この出金回動状態では、出金収納部19から計数繰出部21で繰り出されて通過口32を通過した硬貨を、ゲート50が出金シュート44の開口部44aに導き、出金箱23に放出させる。
【0068】
非清掃切替モードの実行時に、制御部25は、カムモータ115でカム111を第一方向とは逆の第二方向に回転させることになり、この回転中に、
図8に示すようにセンサ57,58が共に遮光状態となった後、
図7に示すようにセンサ58が遮光状態のままセンサ57が透光状態になると、カムモータ115を停止させる。これにより、カム111のゲートカム部112が、第一開放領域121をフォロアローラ82に当接させ、ゲート50を出金回動状態とする。つまり、制御部25は、回収回動状態にあるゲート50を出金回動状態とする場合、非清掃切替モードでは、カム111を第一方向とは逆方向である第二方向に回動させて、清掃部材61による通過センサ34の清掃を行うことなく、ゲート50を開口部44a側から開口部45a側に位置させて出金回動状態とする。この出金回動状態では、出金収納部19から計数繰出部21で繰り出されて通過口32を通過した硬貨を、ゲート50が出金シュート44の開口部44aに導き、出金箱23に放出させる。
【0069】
ここで、制御部25は、図示略の操作部への操作入力に応じて、清掃切替モードと清掃切替モードとを行う間に非清掃切替モードを行う回数を変更設定可能となっている。例えば、清掃切替モードと清掃切替モードとを行う間に非清掃切替モードを行う回数を0回に設定した場合、回収回動状態から出金回動状態にゲート50を切り替える際には、必ず清掃切替モードが実行されることになる。また、例えば、清掃切替モードと清掃切替モードとを行う間に非清掃切替モードを行う回数を1回に設定した場合、回収回動状態から出金回動状態にゲート50を切り替える都度、清掃切替モードと非清掃切替モードとを交互に行うことになる。
【0070】
以上に述べた本実施形態の硬貨処理装置10によれば、カム111が、ゲート50をゲートリンク88を介して回動させて、通過口32を通過した硬貨をゲート50によって開口部44a及び開口部45aの何れか一方に選択的に導くと共に、清掃部材61を清掃リンク99を介して回動させて、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる。よって、カム111とカム111を駆動するカムモータ115とをゲート50と兼用することで、清掃部材61を駆動するための専用のカムや駆動部が不必要となり、部品点数を削減しつつ、清掃部材61で通過センサ34を清掃することができる。また、ゲート50の切り替えに連動して通過センサ34を清掃できるので、清掃の頻度を上げることができる。したがって、従来よりも、通過センサ34をきれいな状態に維持することができ、通過センサ34の誤認識等を防止することができる。
【0071】
また、カム111が、ゲート50を回動させるゲートカム部112と、ゲートカム部112と一体に設けられ、清掃部材61を回動させる清掃カム部113とを有する構造であるため、カム111の構造を簡素化できる。よって、部品点数及びコストを一層削減することができる。
【0072】
また、清掃カム部113は、ゲートカム部112のゲート50を回動させるタイミングとずらして、清掃部材61を回動させるため、清掃部材61で通過センサ34を清掃する際に生じる塵埃や金属粉等の装置10内での飛散を抑制することができる。
【0073】
また、清掃カム部113は、ゲートカム部112によってゲート50が通過口32を通過する硬貨を開口部45aへ導く位置にあるときにのみ、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させるため、清掃部材61で通過センサ34を清掃する際に生じる塵埃や金属粉等を、常に開口部45aに導入することができ、他方の開口部44aへの導入を抑制することができる。
【0074】
また、カム111を一回転させると、ゲートカム部112がゲート50を開口部45a側に位置させて開口部44aを開放させる第一開放動作を行い、その後、ゲートカム部112がゲート50を開口部45a側から開口部44a側に回動させる第一切替動作を行い、その後、ゲートカム部112がゲート50を開口部44a側に位置させて開口部45aを開放させる第二開放動作を行い、その後、清掃カム部113が清掃部材61を第一退避位置から第二退避位置まで回動させて、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる第一清掃動作を行い、その後、清掃カム部113が清掃部材61を、通過センサ34に対して第一退避位置とは反対側に離間した第二退避位置に位置させる第二退避動作を行い、その後、清掃カム部113が清掃部材61を第二退避位置から第一退避位置まで回動させて清掃部材61によって通過センサ34を清掃させる第二清掃動作を行い、その後、清掃カム部113が清掃部材61を通過センサ34から離間した第一退避位置に位置させる第一退避動作を行い、その後、ゲートカム部112がゲート50を開口部44a側から開口部45a側に回動させる第二切替動作を行う。よって、常にゲート50が開口部45aを開放した状態で、清掃部材61で通過センサ34を清掃することになり、清掃時に生じる塵埃や金属粉等を、常に開口部45aに導入することができ、開口部44aへの導入を抑制することができる。
【0075】
また、制御部25は、カム111を第一方向に回動させて、ゲート50を開口部45a側から開口部44a側に位置させた後に、カム111を更に第一方向に回動させて、清掃部材61による通過センサ34の清掃を行うと共に、ゲート50を開口部44a側から開口部45a側に位置させる清掃切替モードと、カム111を第一方向に回動させて、ゲート50を開口部45a側から開口部44a側に位置させた後に、カム111を第一方向とは逆方向である第二方向に回動させて、清掃部材61による通過センサ34の清掃を行うことなく、ゲート50を開口部44a側から開口部45a側に位置させる非清掃切替モードとを、選択的に実行可能であるため、清掃の頻度を調整することができる。
【0076】
ここで、この一実施形態において出金シュート44の開口部44aと、回収シュート45の開口部45aとの位置を入れ替えても良い。この場合、清掃カム部113は、ゲートカム部112によってゲート50が通過口32を通過する硬貨を開口部44aへ導く位置にあるときにのみ、清掃部材61によって通過センサ34を清掃させるため、清掃部材61で通過センサ34を清掃する際に生じる塵埃や金属粉等を、常に開口部44aに導入することができ、開口部45aへの導入を抑制することができる。
【0077】
なお、清掃部材61はブラシが好ましいが、清掃シート等の他の清掃部材であっても良い。
【0078】
また、通過センサ34は、硬貨の通過を検出するのみでなく、硬貨の径を検出して硬貨の金種判定を行うものであっても良い。
【0079】
また、硬貨処理装置10は、出金振分部22で一方に案内された硬貨を収納する出金箱23の代わりに、出金振分部22で一方に案内された硬貨を機外に取り出し可能に繰り出す出金口を有するものであっても良い。
【0080】
また、出金箱23と回収箱24とに硬貨を振り分ける出金振分部22以外にも、入金された硬貨を出金収納部19とオーバーフロー収納箱17とに振り分けるオーバーフロー振分部16等、装置10内の他の振分部にも適用することができる。
【0081】
以上においては、硬貨処理装置の実施形態として、硬貨の入金及び出金を行う硬貨入出金装置を例にとり説明したが、硬貨処理装置は、硬貨の出金のみを行う装置、硬貨の入金のみを行う装置、紙幣及び硬貨の出金のみを行う装置、紙幣及び硬貨の入金のみを行う装置、紙幣及び硬貨の入金及び出金を行う装置の何れであっても良い。