特許第6491076号(P6491076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6491076-搬送装置 図000002
  • 特許6491076-搬送装置 図000003
  • 特許6491076-搬送装置 図000004
  • 特許6491076-搬送装置 図000005
  • 特許6491076-搬送装置 図000006
  • 特許6491076-搬送装置 図000007
  • 特許6491076-搬送装置 図000008
  • 特許6491076-搬送装置 図000009
  • 特許6491076-搬送装置 図000010
  • 特許6491076-搬送装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491076
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   B65G47/14 K
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-222171(P2015-222171)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-88347(P2017-88347A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】住田 暁紀
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−128680(JP,U)
【文献】 特開2014−219355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 − 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の端部に付属部が固定されたリード線を有する組立体を搬送する搬送装置であって、
前記付属部が下側となる状態で前記組立体を吊り下げるとともに、複数の前記組立体を縦列状態で搬送する搬送部と、
前記搬送部による搬送中の前記組立体に向けて気体を噴射する気体噴射部と、
を備えており、
前記気体噴射部は、前記搬送部による搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側から前記組立体に向けて気体を噴射する右側噴射部と、前記搬送部による搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側から前記組立体に向けて気体を噴射する左側噴射部と、を備えており、
前記右側噴射部および前記左側噴射部は、前記気体の噴射方向が水平方向または水平方向よりも上向き方向となるように構成されており、
前記搬送部による搬送中の前記組立体が移動する軌跡領域のうち、前記付属部が移動する可能性のある軌跡領域を付属部軌跡領域と定義した場合に、前記気体噴射部は、前記右側噴射部による前記気体の噴射方向と前記付属部軌跡領域との交点位置である右側作用位置と、前記左側噴射部による前記気体の噴射方向と前記付属部軌跡領域との交点位置である左側作用位置と、が異なる位置となるように構成されている、
搬送装置。
【請求項2】
前記気体噴射部は、前記搬送部のうち搬送方向の最下流領域に配置されている、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記右側噴射部は、複数の気体噴射口を備えるとともに、各気体噴射口がそれぞれ異なる方向を向くように構成されており、
前記左側噴射部は、複数の気体噴射口を備えるとともに、各気体噴射口はそれぞれ異なる方向を向くように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記気体噴射部は、前記右側噴射部による前記気体の噴射時期と前記左側噴射部による前記気体の噴射時期とが同時期となるように構成されている、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記気体噴射部は、前記右側噴射部による前記気体の噴射時期と前記左側噴射部による前記気体の噴射時期とが異なる時期となるように構成されている、
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記付属部軌跡領域における前記右側作用位置および前記左側作用位置のうち少なくとも1つに前記組立体が存在するか否かを判定する判定部を備え、
前記気体噴射部は、前記判定部にて肯定判定されると前記気体の噴射動作を実行し、前記判定部にて否定判定されると前記気体の噴射動作を実行しない、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記判定部は、
前記付属部軌跡領域における前記右側作用位置および前記左側作用位置のうち少なくとも1つを通過するようにレーザー光を発射するレーザー光発射部と、
前記レーザー光発射部から発射された前記レーザー光の進路のうち、前記右側作用位置および前記左側作用位置を介して前記レーザー光発射部とは反対側に配置されて、前記レーザー光が到達したか否かを判定するレーザー光到達判定部と、
を備えて、前記レーザー光到達判定部にて前記レーザー光が到達したと判定される場合には、前記組立体が存在しないと判定し、前記レーザー光到達判定部にて前記レーザー光が到達しないと判定される場合には、前記組立体が存在すると判定する、
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記付属部軌跡領域のうち、隣接する前記組立体と絡まり状態にある前記組立体の前記付属部が移動する可能性のある軌跡領域を異常時付属部軌跡領域と定義し、前記右側作用位置および前記左側作用位置のうち少なくとも1つと前記異常時付属部軌跡領域とが重複する位置を異常時作用位置と定義した場合に、
前記判定部は、前記異常時作用位置に前記組立体が存在する場合に肯定判定し、前記異常時作用位置に前記組立体が存在しない場合に否定判定する、
請求項6または請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記組立体は、センサ信号を送信するリード線と、前記リード線の端部に装着されるコネクタと、を有して構成されるセンサ用ケーブルであり、
前記付属部は、前記コネクタである、
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端部に付属部が固定されたリード線を有する組立体を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端部に付属部が固定されたリード線を有する組立体を量産するにあたり、組立体を搬送する搬送装置が用いられる。
なお、組立体としては、例えば、センサの製造工程で形成される組立体であって、リード線とコネクタとを備えるセンサ用ケーブルが挙げられる(特許文献1)。この組立体(センサ用ケーブル)は、リード線のうち少なくとも一方の端部にコネクタが固定されて構成されている。リード線は、センサ信号を伝達するための信号経路を形成するために備えられ、コネクタは、リード線を外部機器に接続するために備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−219355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
付属部(コネクタ)が下側となる状態で吊り下げられた複数の組立体を縦列状態で搬送する場合、リード線が自由に変形できるため、隣接する2つ以上の組立体どうしで互いのリード線または付属部が絡み合うことがある。このような絡まり状態のままで、2つ以上の組立体どうしの距離が離れるような次の工程に進んだ場合、2つ以上の組立体を引き離す外力の影響により、付属部とリード線との電気的接続が不良になることや付属部がリード線から脱落するなど、組立体が破損する虞がある。
【0005】
これに対して、隣接する2つ以上の組立体どうしの絡まり状態が発生した場合には、2つ以上の組立体どうしの距離が離れる次の工程に進む前に、作業員が手作業で絡まり状態を解消することで、組立体の破損を抑制できる。
【0006】
しかし、組立体どうしが複雑に絡んでしまい容易には離れない状態では、作業員が手作業で絡まり状態を解消するにあたり、手作業による過大な力が組立体に掛かる場合があり、作業員の手作業に起因して組立体の破損(付属部とリード線との電気的接続不良や、リード線からの付属部の脱落など)が生じる虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、隣接する組立体どうしの絡まり状態が発生した場合であっても、絡まり状態に起因する組立体の破損を抑制できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの局面における搬送装置は、リード線を有する組立体を搬送する搬送装置であって、搬送部と、気体噴射部と、を備える。
組立体に備えられるリード線は、少なくとも一方の端部に付属部が固定されている。
【0009】
搬送部は、付属部が下側となる状態で組立体を吊り下げるとともに、複数の組立体を縦列状態で搬送する。気体噴射部は、搬送部による搬送中の組立体に向けて気体を噴射する。
【0010】
気体噴射部は、右側噴射部と、左側噴射部と、を備える。右側噴射部は、搬送部による搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側から組立体に向けて気体を噴射する。左側噴射部は、搬送部による搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側から組立体に向けて気体を噴射する。
【0011】
右側噴射部および左側噴射部は、気体の噴射方向が水平方向または水平方向よりも上向き方向となるように構成されている。
ここで、搬送部による搬送中の組立体が移動する軌跡領域のうち、付属部が移動する可能性のある軌跡領域を付属部軌跡領域と定義する。
【0012】
その場合において、気体噴射部は、右側噴射部による気体の噴射方向と付属部軌跡領域との交点位置である右側作用位置と、左側噴射部による気体の噴射方向と付属部軌跡領域との交点位置である左側作用位置と、が異なる位置となるように構成されている。
【0013】
このような構成の搬送装置においては、気体噴射部が右側噴射部と左側噴射部とを備えることで、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して、搬送部による搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側及び左側の両方から気体を吹きかけることができる。
【0014】
また、気体噴射部が右側作用位置と左側作用位置とが異なる位置となるように構成されているため、右側噴射部および左側噴射部のそれぞれから気体を噴射することで、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して鉛直方向(吊り下げた方向)を中心軸とする回転方向の外力(回転力)を与えることができる。
【0015】
このような回転方向の外力を与えることで、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)を回転させることができ、その結果、絡まり状態を解消することができる。
さらに、右側噴射部および左側噴射部が気体の噴射方向が水平方向または水平方向よりも上向き方向となるように構成されているため、複数の組立体(特に、付属部)に対して下向きの外力ではなく水平方向か水平方向よりも上向きの外力を与えることができる。これにより、上述の回転方向の外力に加えて、複数の組立体(特に、付属部)を左右方向に揺らすための外力や、複数の組立体(特に、付属部)を持ち上げるための外力を、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して与えることができ、絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0016】
よって、この搬送装置によれば、隣接する2つ以上の組立体どうしの絡まり状態が発生した場合であっても、組立体どうしの絡まりを解消することで、絡まり状態に起因する組立体の破損を抑制できる。
【0017】
なお、「軌跡領域」とは、ある移動物がたどった軌跡が占める領域を意味しており、「搬送部による搬送中の組立体が移動する軌跡領域」とは、搬送中の組立体がたどった軌跡が占める領域を意味している。また、「付属部軌跡領域」には、絡まり状態ではない正常状態の組立体における付属部が移動する軌跡領域(正常時付属部軌跡領域)のみならず、絡まり状態の組立体における付属部が移動する可能性のある軌跡領域(異常時付属部軌跡領域)が含まれている。つまり、「付属部軌跡領域」は、すべての組立体における付属部のうち少なくとも1つが移動する可能性のある軌跡領域を指す。
【0018】
さらに、「右側作用位置」、「左側作用位置」は、右側噴射部、又は左側噴射部による気体の噴射方向と付属部軌跡領域との交点(ポイント)を意味しても良いし、右側噴射部、又は左側噴射部によって噴射方向に噴射された気体の領域と付属部軌跡領域との交点領域(広がりを有する範囲)を意味してもよい。つまり、「右側作用位置と左側作用位置とが異なる位置となる」とは、右側の交点と左側の交点が異なることや、右側(又は左側)の交点と左側(又は右側)の交点領域が異なることや、右側の交点領域と左側の交点領域とが異なること、を含んでいる。
【0019】
さらに、「右側作用位置と左側作用位置とが異なる位置となる」とは、搬送方向において異なる位置であっても良いし、鉛直方向(吊り下げた方法)において異なる位置であっても良いし、この両方において異なる位置であっても良い。つまりは、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して鉛直方向を中心軸とする回転方向の外力を与えることができるように、異なる位置に設定すればよい。
【0020】
上述の搬送装置においては、気体噴射部は、搬送部のうち搬送方向の最下流領域に配置されていてもよい。
なお、「搬送部のうち搬送方向の最下流領域」とは、搬送部の下流側端部に先頭の組立体が到達したときに、縦列状態におけるその次の組立体の存在位置よりも下流側の領域を意味する。
【0021】
搬送部のうち搬送方向の最下流領域は、組立体を次の工程に移行する直前段階の領域である。この最下流領域で、気体の噴射により組立体どうしの絡まりを解消することで、搬送部の途中で組立体どうしの絡まり状態が発生しても、最下流領域でその絡まり状態を解消できるため、次の工程に移行する際に、絡まり状態が維持されたままで次の工程に移行することを抑制できる。
【0022】
よって、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まり状態に起因する破損をより一層抑制できる。
上述の搬送装置においては、右側噴射部は、複数の気体噴射口を備えるとともに、各気体噴射口がそれぞれ異なる方向を向くように構成されてもよく、左側噴射部は、複数の気体噴射口を備えるとともに、各気体噴射口はそれぞれ異なる方向を向くように構成されてもよい。
【0023】
このように、右側噴射部および左側噴射部が、それぞれ、複数の気体噴射口を備えるとともに、各気体噴射口がそれぞれ異なる方向を向いていることで、より広い領域に対して気体を噴射することができる。これにより、より多くの絡まり状態に対応した気体の噴射状態を実現でき、より確実に組立体(特に、付属部)に対して気体による外力を与えることができる。
【0024】
よって、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まりを解消しやすくなり、絡まり状態に起因する組立体の破損を抑制できる。
なお、「各気体噴射口はそれぞれ異なる方向を向く」とは、搬送方向において異なる位置であっても良いし、鉛直方向(吊り下げた方法)において異なる位置であっても良いし、この両方において異なる位置であっても良い。
【0025】
上述の搬送装置においては、気体噴射部は、右側噴射部による気体の噴射時期と左側噴射部による気体の噴射時期とが同時期となるように構成されてもよい。
右側噴射部および左側噴射部が同時期に気体を噴射することで、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して、より強い外力を与えることができる。例えば、組立体(特に、付属部)に対してより強い回転方向の外力を与えることで、組立体どうしの絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0026】
よって、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
上述の搬送装置においては、気体噴射部は、右側噴射部による気体の噴射時期と左側噴射部による気体の噴射時期とが異なる時期となるように構成されてもよい。
【0027】
このような構成であれば、例えば、まず、右側噴射部が気体を噴射して組立体(特に、付属部)を揺動させて、その後、組立体(特に、付属部)が右側から左側に向かって揺動する期間中に、組立体(特に、付属部)に対して左側噴射部が気体を噴射することで、組立体に対してより強い外力を与えることができる。このように、右側噴射部および左側噴射部が異なる時期に気体を噴射することで、組立体どうしの絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0028】
よって、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
上述の搬送装置においては、付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに組立体が存在するか否かを判定する判定部を備え、気体噴射部は、判定部にて肯定判定されると気体の噴射動作を実行し、判定部にて否定判定されると気体の噴射動作を実行しない、という構成であってもよい。
【0029】
つまり、付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに組立体のうち少なくとも一部が存在する場合には、判定部にて肯定判定されて、気体噴射部は気体の噴射動作を実行する。また、付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のいずれにも組立体が存在しない場合には、判定部にて否定判定されて、気体噴射部は気体の噴射動作を実行しない。
【0030】
これにより、搬送中の組立体のうち少なくとも一部が右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに到達したことを判定でき、組立体(特に、付属部)に対して気体による外力を与えるタイミングを適切に設定することができる。つまり、この搬送装置は、搬送中の組立体(特に、付属部)が右側作用位置および左側作用位置のいずれにも存在してない状況下では、気体噴射部が無駄に気体を噴射することを抑制できる。
【0031】
また、組立体のうち吊り下げ方向の最上部が、右側作用位置の鉛直方向上部領域および左側作用位置の鉛直方向上部領域とは異なる位置に存在する場合であっても、付属部どうしが絡んだ状態の場合には、右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに付属部が存在する状態となる。このため、判定部による判定結果は、正常状態の組立体における付属部が右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに到達したか否かのみならず、組立体(特に、付属部)どうしの絡まり状態が発生したか否かによっても変化する。
【0032】
このため、判定部において「組立体(または付属部)が有り」と判定(肯定判定)された場合に、気体の噴射動作を実行することで、絡まり状態の組立体(特に、付属部)に対してより確実に気体による外力を与えることができる。
【0033】
よって、この搬送装置によれば、適切なタイミングで気体噴射部が気体を噴射することができ、気体噴射部が不必要なタイミングで無駄に気体を噴射することを抑制できる。また、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
【0034】
上述の判定部を備える搬送装置においては、判定部は、レーザー光発射部と、レーザー光到達判定部と、を備えて、レーザー光到達判定部の判定結果に基づいて、組立体が存在するか否かを判定する、という構成であってもよい。
【0035】
レーザー光発射部は、付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つを通過するようにレーザー光を発射する。レーザー光到達判定部は、レーザー光発射部から発射されたレーザー光の進路のうち、右側作用位置および左側作用位置を介してレーザー光発射部とは反対側に配置されて、レーザー光が到達したか否かを判定する。
【0036】
判定部は、レーザー光到達判定部にてレーザー光が到達したと判定される場合には、否定判定(付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のうちいずれにも組立体が存在しないと判定)する。判定部は、レーザー光到達判定部にてレーザー光が到達しないと判定される場合には、肯定判定(付属部軌跡領域における右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも一方に組立体が存在すると判定)する。
【0037】
このようにレーザー光到達判定部の判定結果を用いることで、判定部は、搬送中の組立体における付属部が右側作用位置および左側側作用位置のうち少なくとも1つに到達したことを判定できる。
【0038】
よって、この搬送装置によれば、レーザー光到達判定部の判定結果に基づいて、適切なタイミングで気体噴射部が気体を噴射することができ、気体噴射部が不必要なタイミングで無駄に気体を噴射することを抑制できる。また、この搬送装置によれば、レーザー光到達判定部の判定結果に基づいて、組立体どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
【0039】
上述の判定部を備える搬送装置においては、付属部軌跡領域のうち、隣接する組立体と絡まり状態にある組立体の付属部が移動する可能性のある軌跡領域を異常時付属部軌跡領域と定義し、右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つと異常時付属部軌跡領域とが重複する位置を異常時作用位置と定義した場合に、判定部は、異常時作用位置に組立体が存在する場合に肯定判定し、異常時作用位置に組立体が存在しない場合に否定判定する、という構成であってもよい。
【0040】
このような判定部は、組立体(特に、付属部)どうしの絡まり状態が発生したか否かを判定することができる。このため、この判定部にて肯定判定された場合に、気体噴射部が気体の噴射を実行することで、絡まり状態の組立体(特に、付属部)に対してより確実に気体による外力を与えることができる。
【0041】
よって、この搬送装置によれば、組立体どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
上述の搬送装置においては、組立体は、センサ信号を送信するリード線と、リード線の端部に装着されるコネクタと、を有して構成されるセンサ用ケーブルであってもよい。この組立体の付属部は、コネクタであってもよい。
【0042】
センサ用ケーブルは、センサの製造工程で形成される組立体であり、付属部(コネクタ)が下側となるように吊り下げられた状態で搬送される。センサの製造工程において、複数のセンサ用ケーブルを縦列状態で搬送する場合、隣接するセンサ用ケーブルどうしで互いのリード線または付属部が絡み合うことがある。
【0043】
このようなセンサ用ケーブルの搬送装置として、上述の搬送装置を適用することで、隣接するセンサ用ケーブルどうしの絡まり状態が発生した場合であっても、センサ用ケーブルどうしの絡まりを解消することで、絡まり状態に起因するセンサ用ケーブルの破損を抑制できる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の搬送装置によれば、隣接する組立体どうしの絡まり状態が発生した場合であっても、組立体どうしの絡まりを解消することで、絡まり状態に起因する組立体の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】搬送装置を横側から見たときの概略構成を示す説明図である。
図2】搬送装置を鉛直方向の上側から見たときの概略構成を示す説明図である。
図3図2におけるA−A矢視方向に見たときの搬送装置の概略構成を示す説明図である。
図4】組立体の搬送状態のうち第1段階から第4段階を示す説明図である。
図5】組立体の搬送状態のうち第5段階から第8段階を示す説明図である。
図6】隣接する組立体が絡まり状態であるときの付属部の位置を示す説明図である。
図7】気体噴射部による気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点の位置を表す説明図である。
図8】搬送装置の電気的構成を示す説明図である。
図9】搬送制御処理の処理内容を表したフローチャートである。
図10】組立体としてのセンサ用ケーブルの外観を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0047】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態に係る搬送装置1の構成について説明する。
【0048】
図1は、搬送装置を横側から見たときの概略構成を示す説明図である。図2は、搬送装置を鉛直方向の上側から見たときの概略構成を示す説明図である。図3は、図2におけるA−A矢視方向に見たときの搬送装置の概略構成を示す説明図である。
【0049】
搬送装置1は、複数の組立体31を縦列状態で搬送するための装置である。詳細には、例えば、搬送装置1は、組立体31の製造ライン(製造装置。図示省略。)と組立体31の検査ライン(検査装置。図示省略。)との間に配置されて、複数の組立体31を縦列状態で搬送する。
【0050】
搬送装置1は、搬送部5と、先端開閉部13と、組立体区切部15と、検知部17と、気体噴射部19と、検査テーブル25と、を備える。
搬送部5は、平行に配置された2つの軸部(右側軸部5a、左側軸部5b)を備えて構成されている。搬送部5は、組立体31の搬送方向における上流側から下流側にかけて、右側軸部5aおよび左側軸部5bのそれぞれの高さ位置が徐々に低くなるように傾斜した状態で構成されている。右側軸部5aは、組立体31の搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側に配置され、左側軸部5bは、組立体31の搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側に配置されている。
【0051】
ここで、組立体31は、リード線33と、第1付属部35と、第2付属部37と、を備えたセンサ用ケーブルである。第2付属部37は、幅寸法の異なる2つの部位(大径部37a、小径部37b)を備えている。
【0052】
そして、搬送部5においては、右側軸部5aと左側軸部5bとの間隔寸法が、組立体31を吊り下げ可能な寸法となるように設定されている。具体的には、右側軸部5aと左側軸部5bとの間隔寸法は、小径部37bの幅寸法よりも大きく、大径部37aの幅寸法よりも小さく設定されている。これにより、搬送部5は、第2付属部37(詳細には、大径部37a)を支えつつ、第1付属部35が下側となる状態で、組立体31を吊り下げ可能に構成されている。
【0053】
搬送部5に吊り下げられた組立体31は、重力により、搬送部5の上流(高い位置)から下流(低い位置)に向かって移動する。
なお、図1〜3では、組立体31を模式的に表しており、組立体31の詳細については後述する。
【0054】
先端開閉部13は、搬送部5の最下流側端部(先端部)において、通過許容位置および通過制限位置の少なくとも2つの位置に移動可能に構成されている。なお、通過許容位置は、組立体31が搬送部5の最下流側端部から外部に通過するのを許容する位置であり、通過制限位置は、組立体31が搬送部5の最下流側端部から外部に通過するのを制限(阻止)する位置である。本実施形態では、先端開閉部13は、上下方向に移動可能に構成されており、通過許容位置は、搬送部5の最下流側端部を通過する際の組立体31の上端よりも高い位置に設定されており(図5の第7段階を参照)、通過制限位置は、搬送部5の最下流側端部を通過する際の組立体31の少なくとも一部に当接する位置に設定されている(図5の第6段階を参照)。
【0055】
なお、図4は、組立体の搬送状態のうち第1段階から第4段階を示す説明図であり、図5は、組立体の搬送状態のうち第5段階から第8段階を示す説明図である。
組立体区切部15は、上流側区切部15aと、下流側区切部15bと、を備える。組立体区切部15は、搬送部5のうち、1個の組立体31を抽出するための領域(図1に示す最下流領域A1)と、複数の組立体31を縦列状態で溜めておく領域(図1に示す縦列領域B1)と、の境界位置に設けられている。
【0056】
上流側区切部15aおよび下流側区切部15bは、それぞれ、先端開閉部13と同様に上下方向に移動することで、通過許容位置および通過制限位置の少なくとも2つの位置に移動可能に構成されている。上流側区切部15aは、下流側区切部15bよりも上流側に配置されている。上流側区切部15aおよび下流側区切部15bは、互いの間に1個の組立体31を配置するための一時配置領域が確保できるように、互いに離れて配置されている。
【0057】
そして、組立体区切部15は、まず、上流側区切部15aが移動許容位置に移動するとともに、下流側区切部15bが移動制限位置に存在する状態になると、搬送部5の縦列領域B1における複数の組立体31のうち1個の組立体31が一時配置領域まで移動する(図4の第2段階〜第3段階を参照)。このあと、上流側区切部15aが移動制限位置に移動すると、上流側区切部15aおよび下流側区切部15bの間の一時配置領域に、1個の組立体31が配置される(図4の第4段階を参照)。次に、上流側区切部15aが移動制限位置に存在したままで、下流側区切部15bが移動許容位置に移動すると(図5の第5段階を参照)、一次配置領域における1個の組立体31が下流側区切部15bよりも下流側の領域に移動する。このあと、下流側区切部15bが移動制限位置に移動し、上流側区切部15aおよび下流側区切部15bがいずれも移動制限位置となる(図5の第6段階を参照)。
【0058】
組立体区切部15は、このように上流側区切部15aおよび下流側区切部15bが移動制限位置または移動許容位置に移動することで、縦列領域B1における複数の組立体31から1個の組立体31を抽出するように構成されている。
【0059】
検知部17および気体噴射部19の説明は、後述する。
検査テーブル25は、図1に示すように、搬送部5を通過した組立体31を1個ずつ検査エリア(図示省略)に移動させるために備えられている。検査テーブル25は、組立体31のうち第2付属部37(詳細には、大径部37a)を支えつつ、第1付属部35が下側となる状態で、組立体31を吊り下げ可能に構成されている。
【0060】
なお、検査エリアでは、第1付属部35からリード線33を介して第2付属部37に至る通電経路が適切に確立されているか否かの通電検査や、第1付属部35および第2付属部37などに破損が生じていないかどうかの外観検査など、組立体31が所定の品質を満足しているか否かの検査が実施される。
【0061】
[1−2.検知部および気体噴射部]
検知部17は、レーザー光発射部17aと、レーザー光到達判定部17bと、を備えている。
【0062】
図2に示すように、レーザー光発射部17aおよびレーザー光到達判定部17bは、搬送装置1を上側から見たときに、搬送部5を挟み込むように(詳細には、付属部軌跡領域Pを挟み込むように)配置されている。付属部軌跡領域Pは、搬送部5による搬送中の組立体31における第1付属部35が移動する可能性のある軌跡領域(仮想領域)である。付属部軌跡領域Pは、厳密には、搬送部5の最上流側端部から最下流側端部にかけて存在するが、図2では、付属部軌跡領域Pのうち先端開閉部13と組立体区切部15との間における一部に相当する領域のみを図示している。レーザー光発射部17aは、搬送部5の搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側に配置され、レーザー光到達判定部17bは、搬送部5の搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側に配置されている。
【0063】
レーザー光発射部17aは、レーザー光到達判定部17bに向けてレーザー光を発射(射出)している。これにより、検知部17は、レーザー光到達判定部17bがレーザー光を受光している状態か否かによって、組立体31が先端開閉部13と組立体区切部15との間に存在するか否かを判定できる。
【0064】
ここで、付属部軌跡領域Pについて、図6を用いて説明する。
図6は、隣接する組立体31どうしが絡まり状態であるときの第1付属部35の位置を示す説明図である。詳細には、先端開閉部13に近づいた組立体31と、組立体区切部15(上流側区切部15a)に当接する組立体31と、が絡まり状態であるときの第1付属部35の位置を示している。
【0065】
図6に示すように、付属部軌跡領域Pには、絡まり状態ではない正常状態の組立体31における第1付属部35が移動する軌跡領域(正常時付属部軌跡領域P1)と、絡まり状態の組立体31における第1付属部35が移動する可能性のある軌跡領域(異常時付属部軌跡領域P2)と、が含まれている。
【0066】
絡まり状態の組立体31における第1付属部35は、リード線33が「鉛直方向に沿った真っ直ぐな状態」ではなく「斜めに傾いた状態」になるため、正常状態の組立体31における第1付属部35(図6では点線で記載)に比べて、高い位置に存在する。このため、異常時付属部軌跡領域P2は、正常時付属部軌跡領域P1に比べて、高い位置に存在する。
【0067】
特に、絡まり状態の2個の組立体31のうち第2付属部37どうしの距離(搬送部5の上での距離)が離れるほど、第1付属部35の位置が高くなる。このため、図6のように、先端開閉部13に第2付属部37が近づいた組立体31と、組立体区切部15(上流側区切部15a)に第2付属部37が当接する組立体31と、が絡まり状態の場合、第2付属部37どうしの距離が遠いため、異常時付属部軌跡領域P2は、正常時付属部軌跡領域P1に比べてかなり高い位置となる。この場合、組立体31どうしの距離が近い場合に比べて、異常時付属部軌跡領域P2と正常時付属部軌跡領域P1との高さ方向における重複領域が小さくなり、異常時付属部軌跡領域P2と正常時付属部軌跡領域P1とを区別しやすくなる。
【0068】
本実施形態では、図2に示すように、レーザー光発射部17aによるレーザー光の進路は、搬送部5による搬送方向のうち、先端開閉部13に近づいた組立体31と、組立体区切部15(上流側区切部15a)に当接する組立体31と、の中間位置に重なるように設定されている。つまり、検知部17による組立体31の検出位置は、異常時付属部軌跡領域P2と正常時付属部軌跡領域P1とを区別しやすい位置に設定されている。
【0069】
このため、検知部17は、レーザー光到達判定部17bがレーザー光を受光している状態か否かによって、組立体31が先端開閉部13と組立体区切部15との間に存在するか否かを判定できるとともに、隣接する組立体31どうしが絡まり状態であるか否かを判定できる。
【0070】
気体噴射部19は、右側噴射部21と、左側噴射部23と、を備えている。
図2に示すように、右側噴射部21および左側噴射部23は、搬送装置1を上側から見たときに、搬送部5を挟み込むように(詳細には、付属部軌跡領域Pを挟み込むように)配置されている。右側噴射部21は、搬送部5の搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側に配置され、左側噴射部23は、搬送部5の搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側に配置されている。右側噴射部21は、搬送部5による搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側から組立体31に向けて気体(例えば、大気など)を噴射する。左側噴射部23は、搬送部5による搬送方向における上流側から下流側を見たときの左側から組立体31に向けて気体を噴射する。
【0071】
図3に示すように、右側噴射部21は、4個の右側噴射口21a,21b,21c,21dを備えており、左側噴射部23は、4個の左側噴射口23a,23b,23c,23dを備えている。右側噴射口21a,21b,21c,21dおよび左側噴射口23a,23b,23c,23dは、それぞれ気体の噴射方向が水平方向よりも上向きとなるように構成されている。
【0072】
また、図2に示すように、右側噴射口21a,21b,21c,21dにおいては、右側噴射口21a,21cは、右側噴射口21b,21dに比べて、平面視した場合における気体の噴射方向が異なる方向に設定されている。具体的には、右側噴射口21a,21cは、右側噴射口21b,21dに比べて、気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点が搬送方向の上流側寄りとなるように、気体の噴射方向が設定されている。
【0073】
さらに、図2に示すように、左側噴射口23a,23b,23c,23dにおいては、左側噴射口23a,23cは、左側噴射口23b,23dに比べて、平面視した場合における気体の噴射方向が異なる方向に設定されている。具体的には、左側噴射口23a,23cは、左側噴射口23b,23dに比べて、気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点が搬送方向の下流側寄りとなるように、気体の噴射方向が設定されている。
【0074】
また、図3に示すように、右側噴射口21a,21b,21c,21dにおいては、それぞれの高さ位置が異なるとともに、搬送方向の下流側から上流側を見た場合における気体の噴射方向が異なる方向に設定されている。具体的には、気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点は、右側噴射口21aが最も高い位置に設定されており、右側噴射口21b,右側噴射口21c,右側噴射口21dの順番で、高い位置から低い位置となるように、それぞれの気体の噴射方向が設定されている。
【0075】
さらに、図3に示すように、左側噴射口23a,23b,23c,23dにおいては、それぞれの高さ位置が異なるとともに、搬送方向の下流側から上流側を見た場合における気体の噴射方向が異なる方向に設定されている。具体的には、気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点は、左側噴射口23aが最も高い位置に設定されており、左側噴射口23b,左側噴射口23c,左側噴射口23dの順番で、高い位置から低い位置となるように、それぞれの気体の噴射方向が設定されている。
【0076】
このように、4個の右側噴射口21a,21b,21c,21dは、それぞれの気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点が異なる位置となるように、それぞれの気体の噴射方向が設定されている。また、4個の左側噴射口23a,23b,23c,23dは、それぞれの気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点が異なる位置となるように、それぞれの気体の噴射方向が設定されている。
【0077】
つまり、右側噴射口21a,21b,21c,21dおよび左側噴射口23a,23b,23c,23dにおいては、それぞれの気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点は、図7に示すように、それぞれ異なる位置となる。なお、図7は、気体噴射部19による気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点の位置を表す説明図である。図7では、左側噴射部23から付属部軌跡領域Pを見たときの、右側噴射口21a,21b,21c,21d、左側噴射口23a,23b,23c,23dにおける、それぞれの気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点の位置を表している。
【0078】
なお、図7では、各噴射口に対応する交点を、噴射口と同一の符号で表している。つまり、図7に示す各交点のうち、交点21a,21b,21c,21dが、右側噴射部21による気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点位置である右側作用位置に相当し、交点23a,23b,23c,23dが、左側噴射部23による気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点位置である左側作用位置に相当する。
【0079】
気体噴射部19は、図1に示すように、搬送部5のうち搬送方向における最下流領域A1に配置されている。最下流領域A1は、搬送部5のうち先端開閉部13と組立体区切部15との間の領域である。
【0080】
なお、図2に示すように、検知部17のレーザー光発射部17aによるレーザー光の進路は、気体噴射部19による気体の噴射方向のそれぞれと付属部軌跡領域Pとの交点のうち少なくとも1つを通過するように設定されている。本実施形態では、気体噴射部19による全ての気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点(図7に示す8個の交点)を通過するように、レーザー光発射部17aによるレーザー光の進路が設定されている。
【0081】
そして、レーザー光到達判定部17bは、レーザー光発射部17aから発射されたレーザー光のうち一部でも受光できない状態となった場合には、組立体31が先端開閉部13と組立体区切部15との間に存在すると判定する。
【0082】
このため、検知部17は、気体噴射部19による気体の噴射方向と付属部軌跡領域Pとの交点に組立体31が存在するか否かを判定できる。これにより、気体噴射部19から噴射された気体を精度良く組立体31に当てることができる。
【0083】
[1−3.制御部]
次に、搬送装置1の電気的構成について説明する。図8は、搬送装置1の電気的構成を表したブロック図である。
【0084】
搬送装置1は、電気的構成として制御部11を備えている。
制御部11は、搬送装置1の各部のうち少なくとも先端開閉部13、組立体区切部15、検知部17、気体噴射部19、検査テーブル25と接続されており、各部との間で各種信号の送受信を行うとともに、搬送部5から検査テーブル25に組立体31を搬送するための各種制御処理を実行する電子制御装置である。
【0085】
制御部11は、マイクロコンピュータ11a(以下、マイコン11aともいう)と、信号入出力部11bと、情報入力部11cと、情報表示部11dと、を備える。
マイコン11aは、図示しないCPU、ROM、RAMなどを備えており、各種制御処理を実行するように構成されている。マイコン11aは、例えば、ROMやRAMに記録されたプログラムなどに基づいてCPUが各種制御処理を実行するように構成されている。RAMは、CPUが実行する各種制御処理で用いられる各種情報などを記憶する。
【0086】
信号入出力部11bは、A/Dボード、D/Aボード、I/Oボード等を備えており、各部との間で各種信号の送受信を行う。A/Dボードは、外部機器などから制御部11に入力される各種アナログ信号をA/D変換して、変換後のデジタル信号をマイコン11aに対して送信する。D/Aボードは、マイコン11aから外部機器などに向けて出力されるデジタル信号をD/A変換して、変換後のアナログ信号を外部機器などに対して送信する。I/Oボードは、マイコン11aと外部機器との間で送受信される各種デジタルデータの送受信を行う。
【0087】
情報入力部11cは、搬送装置1に対して作業員が各種情報を入力するために備えられている。情報入力部11cを用いて入力される各種情報としては、気体噴射部19による気体の噴射タイミングなどが挙げられる。例えば、気体噴射部19による気体の噴射タイミングに関する情報としては、右側噴射部21の4個の噴射口(右側噴射口21a,21b,21c,21d)のそれぞれの噴射タイミングや、左側噴射部23の4個の噴射口(左側噴射口23a,23b,23c,23d)のそれぞれの噴射タイミングなどがある。
【0088】
情報表示部11dは、搬送装置1における各種状態を表示するために備えられている。情報表示部11dを用いて表示される各種状態としては、例えば、気体噴射部19による気体の噴射タイミングに関する設定状態や、組立体31の搬送状態や、搬送装置1の故障状態などが挙げられる。
【0089】
[1−4.搬送制御処理]
次に、制御部11で実行される搬送制御処理について説明する。
作業者による設定操作により「噴射タイミング」が設定された後、作業者による「搬送制御開始」の指令が入力されると、搬送制御処理が起動される。
【0090】
図9は、搬送制御処理の処理内容を表したフローチャートである。
搬送制御処理が起動されると、まず、S100(Sはステップを表す)では、組立体区切部15に1個の組立体31を移動させる処理を行う。具体的には、まず、組立体区切部15のうち上流側区切部15aが通過制限位置(図4の第1段階)から通過許容位置(図4の第2段階)に移動することで、1個の組立体31が下流側区切部15bに当接する位置まで移動する(図4の第3段階)。次に、上流側区切部15aが通過許容位置から通過制限位置に移動することで、組立体区切部15(詳細には、上流側区切部15aと下流側区切部15bとの間)に1個の組立体31が配置される(図4の第4段階)。これにより、組立体区切部15に1個の組立体31を移動させる処理が完了する。
【0091】
次のS110では、組立体区切部15から先端開閉部13に向けて、1個の組立体31を搬送する処理を行う。具体的には、まず、組立体区切部15のうち下流側区切部15bが通過制限位置(図4の第4段階)から通過許容位置(図5の第5段階)に移動することで、1個の組立体31が下流側区切部15bよりも下流側に移動することが可能となる。そして、1個の組立体31が先端開閉部13に当接する位置まで移動しつつ、下流側区切部15bが通過許容位置から通過制限位置に移動する(図5の第6段階)。これにより、組立体区切部15から先端開閉部13に1個の組立体31を搬送する処理が完了する。
【0092】
次のS120では、検知部17におけるレーザー光発射部17aから発射されるレーザー光がレーザー光到達判定部17bに到達する前に遮光されているか否かを判定し、肯定判定する場合(遮光されている場合)には、S140に移行し、否定判定する場合(遮光されていない場合)には、S130に移行する。
【0093】
S120では、レーザー光発射部17aから発射されるレーザー光の一部でもレーザー光到達判定部17bに到達しない場合には、レーザー光が遮光されていると判定し(肯定判定)、レーザー光発射部17aから発射されるレーザー光の全てがレーザー光到達判定部17bに到達する場合に、レーザー光が遮光されていないと判定する(否定判定)。
【0094】
S120で否定判定されてS130に移行すると、S130では、先端開閉部13から検査テーブル25に1個の組立体31を搬送する処理を行う。具体的には、先端開閉部13が通過制限位置(図5の第6段階)から通過許容位置(図5の第7段階)に移動することで、1個の組立体31が搬送部5の最下流側端部(先端部)から検査テーブル25に移動することが可能になる。そして、1個の組立体31が搬送部5から検査テーブル25に移動した後、先端開閉部13が通過許容位置から通過制限位置に移動する(図5の第8段階)。これにより、先端開閉部13から検査テーブル25に1個の組立体31を搬送する処理が完了する。このあと、検査テーブル25は、自身が検査エリア(図示省略)に移動することで、1個の組立体31を検査エリアに移動させる。
【0095】
S130での処理が完了すると、再びS100に移行する。
S120で肯定判定されてS140に移行すると、S140では、回数カウンタCNを初期化する。具体的には、回数カウンタCNに「0」を設定する。
【0096】
次のS150では、本処理の起動前に作業者の設定操作によって設定された「噴射タイミング」に基づいて、気体噴射部19による気体の噴射(エアー噴射)を実行する。
例えば、まず、右側噴射部21のうち2個の右側噴射口21a,21cと、左側噴射部23のうち2個の左側噴射口23a,23cと、を用いて、予め定められた噴射時間(例えば、1.0sec)にわたり、気体の噴射動作を実行する。これにより、絡まり状態の第1付属部35に対して、鉛直方向を中心軸とする右回りの回転力を印加することができる。次に、右側噴射部21のうち2個の右側噴射口21b,21dと、左側噴射部23のうち2個の左側噴射口23b,23dと、を用いて、予め定められた噴射時間(例えば、1.0sec)にわたり、気体の噴射動作を実行する。これにより、絡まり状態の第1付属部35に対して、鉛直方向を中心軸とする左回りの回転力を印加することができる。
【0097】
つまり、S150にて気体噴射部19による気体の噴射を実行することで、絡まり状態の2個の第1付属部35に対して、まず「右回りの回転力」を加えて、その後「左回りの回転力」を加えている。このような回転力が印加されることで、絡まり状態の2個の第1付属部35は、右回りまたは左回りのいずれかの回転動作に伴い、絡まり状態を解消できる。
【0098】
次のS160では、回数カウンタCNを1加算する処理(CN=CN+1)を実行する。
次のS170では、S120と同様に、検知部17におけるレーザー光発射部17aから発射されるレーザー光がレーザー光到達判定部17bに到達する前に遮光されているか否かを判定し、肯定判定する場合(遮光されている場合)には、S180に移行し、否定判定する場合(遮光されていない場合)には、S130に移行する。このS170では、組立体31(第1付属部35)どうしの絡まり状態が解消されたか否かを判定している。
【0099】
S170で否定判定されてS130に移行すると、S130では、上述と同様の処理を行う。
S170で肯定判定されてS180に移行すると、S180では、回数カウンタCNが予め定められた許容回数Th(例えば、10回)以上であるか否かを判定しており、肯定判定する場合にはS190に移行し、否定判定する場合には再びS150に移行する。
【0100】
つまり、組立体31(第1付属部35)どうしの絡まり状態が解消せず(S170で肯定判定)、かつ、回数カウンタCNが許容回数Thよりも小さい場合(S180で否定判定)には、S150〜S180の処理が繰り返し実行されることで、エアー噴射が繰り返し実行される。
【0101】
また、組立体31(第1付属部35)どうしの絡まり状態が解消すると(S170で否定判定)、S130に移行して、再びS100に移行することで、次の組立体31を搬送する処理を実行する。
【0102】
さらに、組立体31(第1付属部35)どうしの絡まり状態が解消せず(S170で肯定判定)、かつ、回数カウンタCNが許容回数Th以上となった場合(S180で肯定判定)には、絡まり状態を解消できないと判断して、S190に移行する。
【0103】
S180で肯定判定されてS190に移行すると、S190では、異常発生通知処理を行う。具体的には、搬送装置1から外部装置(製造装置および検査装置など)に対して異常発生を通知する処理や、図示しないスピーカーから警告音を発する処理や、情報表示部11dに「組立体どうしの絡まり状態が解消しないこと」の通知メッセージを表示する処理などを実行する。異常発生が通知された外部機器は、作業員の操作の有無に関わらず緊急停止することで、組立体31が無駄に製造されることを抑制できる。また、スピーカーや情報表示部11dを用いて異常発生を通知することで、作業員に対して異常を通知することができる。
【0104】
S190での処理が完了すると、搬送制御処理が終了する。また、S120で否定判定されるか、S170で否定判定されると、S130を介して再びS100に移行することで、縦列領域B1に存在する複数の組立体31のうち先頭の組立体31の搬送制御処理を実行する。
【0105】
[1−5.組立体]
組立体31の構成について説明する。
本実施形態の組立体31は、全領域空燃比センサ(図示省略)の一部であるセンサ用ケーブル31として用いられる。
【0106】
図10は、組立体31としてのセンサ用ケーブル31の外観を示す説明図である。
図10に示すように、組立体31は、絶縁コンタクト部材41、複数(例えば、5本)の接続端子43、グロメット45、外筒37(第2付属部37に相当)、複数(例えば、5本)のリード線33、チューブ部材47、コネクタ部35(第1付属部35に相当)、金属端子49を備えている。
【0107】
絶縁コンタクト部材41は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔42を有する絶縁性材料を用いて形成された部材であり、コンタクト挿通孔42の内部には、板型のガス検出素子(図示省略)の後端部が配置される。ガス検出素子は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側に検出部(図示省略)が形成され、後端側に電極端子部(図示省略)が形成されている。
【0108】
複数の接続端子43は、それぞれ、ガス検出素子と絶縁コンタクト部材41(詳細には、コンタクト挿通孔42の内面)との間に配置されることで、ガス検出素子の電極端子部にそれぞれ電気的に接続される。また、接続端子43は、リード線33にも電気的に接続されている。
【0109】
外筒37は、絶縁コンタクト部材41およびグロメット45を内部に収容可能な筒型形状に形成されている。外筒37は、幅寸法(外径寸法)の異なる2つの部位(大径部37a、小径部37b)を備えるとともに、大径部37aと小径部37bとの間に、コネクタ部35に対向する係止面37cを有している。
【0110】
チューブ部材47は、複数のリード線33を束ねる樹脂製のチューブ部材である。
リード線33の端部のうち、接続端子43と接続される側とは反対側の端部は、コネクタ部35の金属端子49に電気的に接続されている。なお、リード線33は、センサ信号を送信するための信号経路の一部を形成する。
【0111】
コネクタ部35は、絶縁性材料を用いて形成された部材であり、外部機器のコネクタ(図示省略)に連結されることで、リード線33と外部機器とを電気的に接続するために備えられている。
【0112】
このように、組立体31は、リード線33を備えると共に、リード線33の一端に「絶縁コンタクト部材41、複数(例えば、5本)の接続端子43、グロメット45、外筒37」が固定され、リード線33の他端に「コネクタ部35」が固定されて構成されている。つまり、組立体31は、全領域空燃比センサのうち、ガス検出素子の電極端子部から外部機器を電気的に接続するためのセンサ用ケーブルとして用いられる。
【0113】
この組立体31は、外筒37の係止面37cが搬送部5に支持されつつ、コネクタ部35が下側となるように吊り下げられた状態で、搬送部5の上を上流側から下流側に向けて搬送される。
【0114】
[1−6.効果]
以上説明したように、本実施形態の搬送装置1においては、気体噴射部19が右側噴射部21と左側噴射部23とを備えている。このため、気体噴射部19は、絡まった状態の複数の組立体31(特に、第1付属部35)に対して、搬送部5による搬送方向における上流側から下流側を見たときの右側及び左側の両方から気体を吹きかけることができる。
【0115】
また、気体噴射部19においては、右側作用位置(図7に示す交点21a,21b,21c,21d)と、左側作用位置(図7に示す交点23a,23b,23c,23d)とが異なる位置となるように、右側噴射口21a,21b,21c,21dおよび左側噴射口23a,23b,23c,23dの気体の噴射方向が設定されている。このため、気体噴射部19における右側噴射部21および左側噴射部23のそれぞれから気体を噴射することで、絡まった状態の複数の組立体31(特に、第1付属部35)に対して鉛直方向を中心軸とする回転方向の外力(回転力)を与えることができる。このような回転力を与えることで、絡まった状態の複数の組立体31(特に、第1付属部35)を回転させることができ、その結果、絡まり状態を解消することができる。
【0116】
さらに、右側噴射部21および左側噴射部23が気体の噴射方向が水平方向よりも上向き方向となるように構成されているため、複数の組立体31(特に、第1付属部35)に対して下向きの外力ではなく水平方向よりも上向きの外力を与えることができる。これにより、上述の回転力に加えて、複数の組立体31(特に、第1付属部35)を左右方向に揺らすための外力や、複数の組立体31(特に、第1付属部35)を持ち上げるための外力を、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して与えることができ、絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0117】
よって、この搬送装置1によれば、隣接する組立体31どうしの絡まり状態が発生した場合であっても、組立体31どうしの絡まりを解消することで、絡まり状態に起因する組立体31の破損を抑制できる。
【0118】
なお、図6および図7に示すように、「付属部軌跡領域P」には、絡まり状態ではない正常状態の組立体31における第1付属部35が移動する軌跡領域(正常時付属部軌跡領域P1)のみならず、絡まり状態の組立体31における第1付属部35が移動する可能性のある軌跡領域(異常時付属部軌跡領域P2)が含まれている。
【0119】
次に、搬送装置1においては、気体噴射部19は、搬送部5のうち搬送方向の最下流領域A1に配置されている。
搬送部5のうち搬送方向の最下流領域A1は、組立体31を次の工程に移動させるための領域である。この最下流領域A1で、気体の噴射により組立体31どうしの絡まりを解消することで、搬送部5の途中で組立体31どうしの絡まり状態が発生しても、最下流領域A1でその絡まり状態を解消できるため、次の検査工程(検査エリア)に移行する際に、絡まり状態が維持されたままで次の検査工程に移行することを抑制できる。
【0120】
次に、搬送装置1においては、右側噴射部21は、複数の右側噴射口21a,21b,21c,21dを備えるとともに、各噴射口がそれぞれ異なる方向を向くように構成されている。また、左側噴射部23は、複数の左側噴射口23a,23b,23c,23dを備えるとともに、各噴射口はそれぞれ異なる方向を向くように構成されている。
【0121】
このように、右側噴射部21および左側噴射部23が、それぞれ、複数の噴射口を備えるとともに、各噴射口がそれぞれ異なる方向を向いていることで、より広い領域に対して気体を噴射することができる。これにより、より多くの絡まり状態に対応した気体の噴射状態を実現でき、より確実に組立体31(特に、第1付属部35)に対して気体による外力を与えることができる。よって、この搬送装置1によれば、組立体31どうしの絡まりを解消しやすくなり、絡まり状態に起因する組立体31の破損を抑制できる。
【0122】
次に、搬送装置1では、S150での処理における気体噴射部19による気体の噴射状態に関して、気体噴射部19は、右側噴射部21による気体の噴射時期と左側噴射部23による気体の噴射時期とが同時期となるように構成されている。詳細には、右側噴射部21のうち2個の右側噴射口21a,21cおよび左側噴射部23のうち2個の左側噴射口23a,23cは、気体の噴射時期が同時期に設定されている。また、右側噴射部21のうち2個の右側噴射口21b,21dおよび左側噴射部23のうち2個の左側噴射口23b,23dは、気体の噴射時期が同時期に設定されている。
【0123】
このように、右側噴射部21および左側噴射部23が同時期に気体を噴射することで、絡まった状態の複数の組立体31(特に、第1付属部35)に対して、より強い外力を与えることができる。本実施形態では、組立体31(特に、第1付属部35)に対してより強い回転方向の外力を与えることで、組立体31どうしの絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0124】
このような構成の搬送装置1によれば、組立体31どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体の破損をより一層抑制できる。
次に、搬送装置1は、付属部軌跡領域Pにおける右側作用位置(図7に示す交点21a,21b,21c,21d)および左側作用位置(図7に示す交点23a,23b,23c,23d)のうち少なくとも1つに組立体31が存在するか否かを判定する検知部17を備えている。検知部17は、レーザー光発射部17aと、レーザー光到達判定部17bと、を備えて、レーザー光到達判定部17bの判定結果に基づいて、組立体31が存在するか否かを判定するよう構成されている。
【0125】
そして、搬送装置1は、S120およびS180での処理において、検知部17による判定結果に基づいて、気体噴射部19による気体の噴射動作(S150)を実行するか否かを判定している。つまり、気体噴射部19は、検知部17を用いたS120およびS180での判定処理にて肯定判定(レーザー光が遮光されたと判定)されると気体の噴射動作を実行し、否定判定(レーザー光が遮光されていないと判定)されると気体の噴射動作を実行しないように構成されている。
【0126】
これにより、搬送中の組立体31のうち少なくとも一部が右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに到達したことを判定でき、組立体31(特に、第1付属部35)に対して気体による外力を与えるタイミングを適切に設定することができる。つまり、この搬送装置1は、搬送中の組立体31(特に、第1付属部35)が右側作用位置および左側作用位置のいずれにも存在してない状況下では、気体噴射部が無駄に気体を噴射することを抑制できる。
【0127】
また、組立体31のうち第2付属部37が、右側作用位置の鉛直方向上部領域および左側作用位置の鉛直方向上部領域とは異なる位置に存在する場合であっても、第1付属部35どうしが絡んだ状態の場合には、右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに第1付属部35が存在する状態となる。このため、検知部17による判定結果は、正常状態の組立体31における第1付属部35が右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つに到達したか否かのみならず、組立体31(特に、第1付属部35)どうしの絡まり状態が発生したか否かによっても変化する。
【0128】
このため、検知部17において「組立体31(または第1付属部35)が有り」と判定(肯定判定)された場合に、気体噴射部19が気体の噴射動作を実行することで、絡まり状態の組立体31(特に、第1付属部35)に対してより確実に気体による外力を与えることができる。
【0129】
よって、搬送装置1によれば、適切なタイミングで気体噴射部19が気体を噴射することができ、気体噴射部19が不必要なタイミングで無駄に気体を噴射することを抑制できる。また、搬送装置1によれば、組立体31どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体31の破損をより一層抑制できる。
【0130】
次に、搬送装置1においては、右側作用位置(図7に示す交点21a,21b,21c,21d)および左側作用位置(図7に示す交点23a,23b,23c,23d)は、いずれも異常時付属部軌跡領域P2とが重複している。右側作用位置および左側作用位置のうち少なくとも1つと異常時付属部軌跡領域P2とが重複する位置を異常時作用位置と定義した場合に、本実施形態の右側作用位置および左側作用位置は、いずれも異常時作用位置となる。つまり、検知部17は、異常時作用位置に組立体31(特に、第1付属部35)が存在する場合に肯定判定し、異常時作用位置に組立体31(特に、第1付属部35)が存在しない場合に否定判定するように構成されている。
【0131】
このような検知部17は、組立体31(特に、第1付属部35)どうしの絡まり状態が発生したか否かを判定することができる。このため、この検知部17にて肯定判定された場合に、気体噴射部19が気体の噴射を実行することで、絡まり状態の組立体31(特に、第1付属部35)に対してより確実に気体による外力を与えることができる。
【0132】
このような構成の搬送装置1によれば、組立体31どうしの絡まり状態をより一層解消することができ、絡まり状態に起因する組立体31の破損をより一層抑制できる。
次に、搬送装置1においては、組立体31は、センサ信号を送信するリード線33と、リード線33の端部に装着されるコネクタ部35と、を有して構成されるセンサ用ケーブル31である。
【0133】
センサ用ケーブルは、全領域空燃比センサの製造工程で形成される組立体であり、コネクタ部35が下側となるように吊り下げられた状態で搬送される。全領域空燃比センサの製造工程において、複数のセンサ用ケーブル31を縦列状態で搬送する場合、隣接するセンサ用ケーブル31どうしで互いのリード線33または第1付属部35が絡み合うことがある。
【0134】
このようなセンサ用ケーブル31の搬送装置として、本実施形態の搬送装置1を適用することで、隣接するセンサ用ケーブル31どうしの絡まり状態が発生した場合であっても、センサ用ケーブル31どうしの絡まりを解消することで、絡まり状態に起因するセンサ用ケーブル31の破損を抑制できる。
【0135】
[1−7.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
搬送装置1が搬送装置の一例に相当し、組立体31およびセンサ用ケーブル31が組立体の一例に相当し、搬送部5が搬送部の一例に相当する。
【0136】
気体噴射部19が気体噴射部の一例に相当し、右側噴射部21が右側噴射部の一例に相当し、左側噴射部23が左側噴射部の一例に相当する。右側噴射口21a,21b,21c,21dがそれぞれ右側噴射部の気体噴射口の一例に相当し、左側噴射口23a,23b,23c,23dがそれぞれ左側噴射部の気体噴射口の一例に相当する。
【0137】
S120またはS180を実行する制御部11および検知部17が判定部の一例に相当し、レーザー光発射部17aがレーザー光発射部の一例に相当し、レーザー光到達判定部17bがレーザー光到達判定部の一例に相当する。
【0138】
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0139】
例えば、上記実施形態では、気体噴射部19が、右側噴射部21による気体の噴射時期と左側噴射部23による気体の噴射時期とが同時期となるように構成されているが、気体噴射部はこのような構成に限定されることはない。例えば、気体噴射部は、右側噴射部による気体の噴射時期と左側噴射部による気体の噴射時期とが異なる時期となるように構成されるものであってもよい。
【0140】
具体的には、まず、右側噴射部21の右側噴射口21a,21b,21c,21dの全てが気体を噴射することで、組立体31を左右に往復するように揺動させて、その後、組立体31が右側から左側に向かって揺動する期間中に、左側噴射部23の左側噴射口23a,23b,23c,23dのうち少なくとも1個が気体を噴射することで、組立体31に対してより強い外力を与えることができる。このように、右側噴射部および左側噴射部が異なる時期に気体を噴射することで、組立体どうしの絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0141】
また、気体噴射部は、右側噴射部による気体の噴射時期および左側噴射部による気体の噴射時期に関して、「同時期とする場合」と「異なる時期とする場合」とを切り替え可能な構成であってもよい。つまり、「同時期とする場合」で気体の噴射を所定回数実行しても、組立体の絡まり状態を解消できない場合には、「異なる時期とする場合」に切り替えて気体の噴射を実行してもよい。このように、組立体に対する外力の印加形態を変化させることで、より多くの種類の絡まり状態に対応することが可能となり、組立体の絡まり状態を解消できる可能性を向上できる。
【0142】
また、上記実施形態では、気体噴射部(右側噴射部および左側噴射部)における気体の噴射方向が水平方向よりも上向きとなる構成について説明したが、気体の噴射方向はこのような方向に限られることはない。例えば、気体の噴射方向は、水平方向と同じか水平方向よりも上向きとなるように構成してもよい。このような構成であれば、複数の組立体(特に、付属部)に対して下向きの外力ではなく水平方向か水平方向よりも上向きの外力を与えることができる。これにより、少なくとも複数の組立体(特に、付属部)を左右方向に揺らすための外力を、絡まった状態の複数の組立体(特に、付属部)に対して与えることができ、絡まり状態を解消する能力を向上できる。
【0143】
また、上記実施形態では、図7に示す、右側作用位置のうち、交点21a,21cと、左側作用位置のうち、23b,23dが搬送方向における同位置に並んでいた。また、右側作用位置のうち、交点21b,21dと、左側作用位置のうち、23a,23cが搬送方向における同位置に並んでいた。しかしながら、このような構成に限られることなく、図7に示す、右側作用位置(交点21a,21b,21c,21d)および左側作用位置(交点23a,23b,23c,23d)の全てが搬送方向において異なる位置となっていても良い。
【0144】
また、上記実施形態では、右側噴射部21、及び左側噴射部23が複数設けられていたが、このような構成に限られることなく、右側噴射部21、及び左側噴射部23がそれぞれ1つずつ配置されていても良い。
【0145】
次に、上記実施形態では、判定部(検知部17)として、水平方向に向けて発射したレーザー光により組立体が存在するか否かを判定する構成について説明したが、判定部は、このような構成に限られることはない。例えば、鉛直方向(上下方向)や斜め方向に向けて発射したレーザー光により組立体が存在するか否かを判定する構成であってもよい。
【0146】
次に、上記実施形態では、右側作用位置(図7に示す交点21a,21b,21c,21d)および左側作用位置(図7に示す交点23a,23b,23c,23d)の全てが異常時付属部軌跡領域P2と重なるように(換言すれば、右側作用位置および左側作用位置の全てが異常時作用位置となるように)、気体噴射部19における気体の噴射方向が設定された形態について説明したが、このような構成に限られることはない。例えば、図7における正常時付属部軌跡領域P1のうち異常時付属部軌跡領域P2と重ならない領域に対しても、気体噴射部による気体の噴射が作用するように、気体噴射部における気体の噴射方向を設定しても良い。具体的には、上述の気体噴射部19に対して、上述の8個の噴射口の下側領域に他の噴射口を追加してもよいし、あるいは、上述の8個の噴射口のうち一部の噴射口の位置を変更してもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…搬送装置、5…搬送部、11…制御部、13…先端開閉部、15…組立体区切部、17…検知部、17a…レーザー光発射部、17b…レーザー光到達判定部、19…気体噴射部、21…右側噴射部、21a,21b,21c,21d…右側噴射口、23…左側噴射部、23a,23b,23c,23d…左側噴射口、31…組立体(センサ用ケーブル)、33…リード線、35…第1付属部(コネクタ部)、37…第2付属部(外筒)、37a…大径部、37b…小径部、37c…係止面、A1…最下流領域、P…付属部軌跡領域、P1…正常時付属部軌跡領域、P2…異常時付属部軌跡領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10