(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491188
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】皮膚移植片採取用の吸収性基材
(51)【国際特許分類】
A61F 2/10 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
A61F2/10
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-502366(P2016-502366)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-512138(P2016-512138A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014027205
(87)【国際公開番号】WO2014152319
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】61/782,385
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/860,822
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508268713
【氏名又は名称】ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー,ジョン アール.
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0271320(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0286635(US,A1)
【文献】
特表2010−516387(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0035620(US,A1)
【文献】
特開2012−196478(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0209226(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚移植片を移植するための吸収性基材において、
複数の細孔を有するベース層であって、少なくとも1つの切除された皮膚移植片と接触しかつドナー部位から除去するために前記移植片を捕捉するように適合された少なくとも1つの接着剤部位を有するベース層と;
前記ベース層に周辺で接合されかつそれとの間にシールされた囲いを規定するシーリング部材と;
前記シールされた囲い内に配置された吸収性材料と、
前記囲いにおいて前記ベース層と前記吸収性材料との間に配置された少なくとも第1のウィッキング層と
を含み、
前記第1のウィッキング層が、前記第1のウィッキング層の表面に沿って横方向に流体を輸送するように適合された粒状構造を有し、第2のウィッキング層が、前記シーリング部材に隣接して配置され、前記第1及び第2のウィッキング層が接合されて前記吸収性材料を囲むシールを形成し、
前記ベース層の少なくとも一部分は前記吸収性材料と流体連通して、流体を捕捉することを特徴とする、吸収性基材。
【請求項2】
請求項1に記載の基材において、前記ベース層が、シリコーンなどの生体適合性材料を含み、かつ皮膚移植片採取装置の室内に位置決めされるように構成されており、前記ベース層が、複数の皮膚移植片を同時に捕捉するように構成されていることを特徴とする、基材。
【請求項3】
請求項2に記載の基材において、前記生体適合性材料が、シリコーン、シリコーンゲル、軟質シリコーン、親水コロイド、ヒドロゲル、ポリウレタン、ポリウレタンゲル、ポリオレフィン、ポリオレフィンゲル、水素化スチレン共重合体、水素化スチレン共重合体ゲル、ゲル発泡体およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、基材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の基材において、前記ベース層の前記少なくとも1つの接着剤部位の平均厚さが、500ミクロン(μm)〜1000ミクロン(μm)であり、および、硬度が、5ショアOO〜80ショアOOであるか、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする、基材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の基材において、前記基材が、さらに、前記少なくとも1つの接着剤部位に関連付けられた接着剤を含み、および、前記少なくとも1つの接着剤部位は、複数の接着剤部位を含み、各部位は、皮膚移植片採取装置によって隆起された対応する皮膚移植片に係合するように配置および構成されていることを特徴とする、基材。
【請求項6】
請求項5に記載の基材において、前記接着剤がアクリル接着剤を含むことを特徴とする、基材。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の基材において、前記ベース層が、さらに、複数の細孔を含んで、レシピエント部位から前記吸収性材料へ流体を輸送するための通路をもたらし、および前記ベース層は、さらに、発泡ポリマー、流体透過性のポリマー性材料、または繊維性材料を含むことを特徴とする、基材。
【請求項8】
請求項7に記載の基材において、前記ベース層は前記発泡ポリマー又は前記流体透過性のポリマー性材料ではなく繊維性材料を含み、前記繊維性材料が、平均直径が0.1マイクロメートル〜10マイクロメートルであるか、または平均直径が1ナノメートル〜100ナノメートルである複数のマイクロファイバーを含むことを特徴とする、基材。
【請求項9】
請求項8に記載の基材において、前記ベース層が、さらに、少なくともいくつかの前記捕捉部位間に配置された細孔のネットワークを含み、および前記細孔が、全体的に円形であり、かつその平均的な横断面寸法が1ナノメートル〜1ミリメートルに及ぶことを特徴とする、基材。
【請求項10】
請求項1に記載の基材において、さらに、前記囲いにおいて前記ベース層と前記吸収性材料との間に配置されかつ前記吸収性材料に流体を分配するように適合された少なくとも第1のウィッキング層を含むことを特徴とする、基材。
【請求項11】
請求項10に記載の基材において、さらに、前記囲いにおいて前記吸収性材料と前記シーリング部材との間に配置された少なくとも第2のウィッキング層を含むことを特徴とする、基材。
【請求項12】
請求項11に記載の基材において、前記第1のウィッキング層が、前記第1のウィッキング層の面に沿って流体を吸い上げるように適合された粒状構造を有し、および前記第2のウィッキング層が、前記第2のウィッキング層の面に沿って流体を吸い上げるように適合された粒状構造を有し;および、前記第1のウィッキング層の周辺部分が前記第2のウィッキング層の周辺部分に結合され、前記第1のウィッキング層と前記第2のウィッキング層との間の前記吸収性層を取り囲むウィッキング層の囲いを提供することを特徴とする、基材。
【請求項13】
請求項12に記載の基材において、前記吸収性材料が複数の吸収性層を含み、および前記複数の吸収性層が、前記第1のウィッキング層と前記第2のウィッキング層との間に流体連通されて位置決めされていることを特徴とする、基材。
【請求項14】
請求項13に記載の基材において、さらに、前記吸収性層間を流体連通させて配置された少なくとも1つの中間ウィッキング層を含むことを特徴とする、基材。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の基材において、前記吸収性材料が、流体を吸収するように適合されている親水性材料を含み;および前記シーリング部材が液不透過性であり、かつポリウレタンを含むことを特徴とする、基材。
【請求項16】
請求項2又は3に記載の基材において、さらに、前記基材から、溜まった流体を抜き取るために、減圧源に結合するための少なくとも1つのポートを含み;前記少なくとも1つのポートが、さらに、前記室内の前記吸収性材料または少なくとも1つのウィッキング層から外部流体レセプタクルまでの流体連通をもたらす弁または導管を含むことを特徴とする、基材。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に記載の基材において、さらに、皮膚移植片ハーベスター内にまたはレシピエント部位に位置決めする前に前記基材を取り扱うために、少なくとも1つの取り外し可能なバッキング、または皮膚移植片ハーベスター内に位置決めする前に前記基材を取り扱うために、前記ベース層に関連付けられた少なくとも第1の取り外し可能なバッキングと、レシピエント部位に位置決めする前に前記基材および関連の皮膚移植片を取り扱うために、第2の取り外し可能なバッキングとを含むことを特徴とする、基材。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の基材において、前記ベース層および前記吸収性材料が、一体的構造として形成されていることを特徴とする、基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年7月31日出願の米国仮特許出願第61/860,822号(「Absorbent Substrates For Harvesting Skin Grafts」)、および2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/782,385号(「Absorbent Dressing With Hybrid Drape」)の優先権を主張し、その開示全体を、参照することにより本書に援用する。
【0002】
本発明は、概して、治療システムに関し、より詳細には、限定されるものではないが、吸収性ドレッシング、皮膚移植片を採取および移植するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は人体の最大の器官であり、ヒトの全体重の約16%を占める。皮膚は環境との境界面を形成するため、生体防御において重要な機能を果たし、病原体および他の環境物質からの解剖学的障壁の役目を務める。皮膚はまた、半透過性の障壁を提供し、それにより、過度の流体の消失を防ぐ一方で必須栄養素が身体から消え失せないようにすることを保証する。皮膚の他の機能は、隔離、温度調節、および感覚を提供する。皮膚組織は、熱傷、外傷、疾患、および脱色を含む、多くの形態の損傷を被り得る。
【0004】
そのような皮膚損傷を修復するために皮膚移植片が使用されることが多い。皮膚移植は、皮膚区域が、人の身体の一領域から取り出されるか(自家移植片)、別の人間から取り出されるか(同種移植片)、または別の動物から取り出されて(異種移植片)、患者のレシピエント部位、例えば創傷部位に移植される外科的処置である。どの外科的処置とも同様に、皮膚移植はいくつかの危険性を伴う。合併症には、移植片不全、皮膚移植片の拒絶反応、出血、ドナーまたはレシピエント部位のいずれかにおける流体貯留や感染を含み得る。さらに、移植片を作り出すために自家移植片が人の身体の一領域から取られると、ドナー部位には、ある程度の外傷が生じる。レシピエント部位が大きな創傷であるか、またはその代わりに損傷された皮膚領域である場合、ドナー部位の外傷は、重要とし得る。
【0005】
ドナー部位の外傷を減らすために、多数の小さな移植片、例えば、いわゆる微小移植片(micrograft)を採取するための技術が開発されている。ドナー部位において、わずかな皮膚のみを除去し、かつ切除領域の周囲の健康な皮膚領域を残すことによって、不快感を減らして、移植用に大量の皮膚を獲得できる。微小移植片採取はまた、治癒時間を短縮し、かつ感染の危険性を低減させる。
【0006】
皮膚移植片の採取は、多くの異なる方法によって成し遂げられ得る。1つの一般的な皮膚移植片の採取技術は、吸引を行って、皮膚の表面部分、例えば表皮と、基底細胞層とを、下部の真皮から離すことを含む。吸引水疱の採取はまた、一般に、水疱の形成を促す熱源を含む。
【0007】
様々な装置は、微小移植片の生成および採取に利用可能である。例えば、Cellutome(商標)皮膚ハーベスターすなわち採取器は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能である。Cellutome(商標)システムは、減圧(真空)源、および任意選択的に加熱要素を提供するヘッドと、患者の皮膚の標的領域に配置されるように構成されたハーベスターとを含む。ハーベスターは、さらに、ヘッドとの封止係合を形成して、皮膚の標的領域が真空室(evacuated chamber)内に含まれるようにするように、適合される。Cellutome(商標)ハーベスターは、さらに、負圧の存在下で皮膚の水疱が隆起し得る複数の孔を有する少なくとも1つの整列プレートと;皮膚の水疱が室内に形成された後でそれらを切り取るための少なくとも1つの切取面を有する切取プレートとを含む。
【0008】
一般に、微小移植片ハーベスターは、装置から、切除された水疱を持ち上げるために支持体または基材に依存する。その後、基材はレシピエント部位に適用されるため、複数の微小移植片は、移植された組織として同化され得る。理想的には、移植片は、拡張して融合し、治癒プロセスを完了させる。
【発明の概要】
【0009】
皮膚移植片の移植の最中に流体を管理するための方法および装置が開示されている。本発明の一態様では、皮膚移植片を移植するための吸収性基材であって、少なくとも1つの切除された皮膚移植片に接触し、かつドナー部位から除去するために前記移植片に係合するように適合された面と;囲い内に配置された吸収性材料を少なくとも部分的に取り囲むシーリング部材とを有し;皮膚接触面の少なくとも一部分が多孔質であり、かつ吸収性層と流体連通して流体を捕捉する、吸収性基材が開示されている。
【0010】
本発明の一実施形態では、皮膚移植片を移植するための吸収性基材であって、少なくとも1つの切除された皮膚移植片に接触し、かつドナー部位から除去するために前記移植片に係合するように適合された面を有するベース層と;ベース層に周辺で接合されかつそれとの間に囲いを規定するシーリング部材と;囲い内に配置された吸収性材料とを含み、ベース層の少なくとも一部分が多孔質であり、かつ吸収性層と流体連通して流体を捕捉する、吸収性基材が開示されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、基材は、皮膚移植片採取装置の室内に位置決めされるように構成されたベース層を含み、かつ、任意選択的に、ベース層は、さらに、複数の皮膚移植片を同時に捕捉するように構成されている。
【0012】
吸収性基材のベース層は、好ましくは、生体適合性材料、例えば、シリコーン、シリコーンゲル、軟質シリコーン、親水コロイド、ヒドロゲル、ポリウレタン、ポリウレタンゲル、ポリオレフィン、ポリオレフィンゲル、水素化スチレン共重合体、水素化スチレン共重合体ゲル(hydrogenated styrenic copolymer gel)、ゲル発泡体およびこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む。いくつかの好ましい実施形態では、ベース層はシリコーンを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ベース層の皮膚移植片接触部分の平均厚さは、約50ミクロン〜約10ミリメートル、好ましくは場合によっては、約500ミクロン(μm)〜約1000ミクロン(μm)である。ベース層の皮膚移植片接触部分はまた、ハーベスターおよび/またはレシピエント部位の形状に一致するように、十分な可撓性を有する必要がある。例えば、ベース層の皮膚移植片接触部分の硬度は、約5ショアOO〜約80ショアOOとし得る。
【0014】
本発明の別の態様では、基材は、さらに、移植片を係合するために、ベース層の少なくとも一部に関連付けられた接着剤を含む。複数移植片または「微小移植片」のハーベスターと一緒に使用するとき、基材は、さらに、ベース層の皮膚接触面上に接着剤部位のパターンを含み、各部位は、皮膚移植片採取装置によって隆起させられた対応する皮膚移植片に係合するように配置および構成され得る。例えば、基材は、ベース層の皮膚接触面の少なくとも一部分に印刷された接着剤部位のパターンを担持する。いくつかの実施形態では、接着剤は、アクリル接着剤を含み得る。
【0015】
本発明の別の態様では、ベース層は、レシピエント部位から吸収性材料への流体輸送用の通路を提供するために、複数の開口部を含み得る。開口部(例えば、細孔)は互いに離間し得る。いくつかの実施形態では、開口部は全体的に円形である。開口部の平均的な横断面寸法は、約0.1ナノメートル〜約1ミリメートルに及ぶか、または好ましくは平均的な横断面寸法は、約1ナノメートル〜約100マイクロメートルに及び得る。他の実施形態では、細孔は細長くても、または格子のようでもよく、およびそれらの短径方向寸法は、約0.1ナノメートル〜約1ミリメートル、または好ましくは約1ナノメートル〜約100マイクロメートルに及び得る。
【0016】
本発明の別の態様では、ベース層はパターン化されて複数の皮膚移植片捕捉部位を規定し、およびベース層は、さらに、少なくともいくつかの捕捉部位間に配置された細孔のネットワークを含む。ここでも、細孔(捕捉部位間に配置された)は、円形でも、または細長くてもよく、および平均的な横断面寸法(または細長い細孔の場合には短径方向寸法)は、約0.1ナノメートル〜約1ミリメートルに及ぶか、または好ましくは約1ナノメートル〜約100マイクロメートルに及び得る。
【0017】
さらに本発明の別の態様では、基材はまた、囲い内に配置されかつ吸収性材料に流体を分配するように適合された少なくとも1つのウィッキング層を含み得る。例えば、基材は、囲い内のベース層と吸収性材料との間に配置された少なくとも第1のウィッキング層を含み得る。第1のウィッキング層の代わりにまたはそれに加えて、基材は、囲い内の吸収性材料とシーリング部材との間に配置された1つ以上の追加的なウィッキング層(例えば、第2のウィッキング層)を含み得る。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のウィッキング層は、ウィッキング層の面に沿って流体をウィッキングするすなわち吸い上げるように適合された粒状構造を有し得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、吸収性材料は複数の吸収性層であり、および追加的な吸収性層の1つ以上は、第1のウィッキング層と第2のウィッキング層との間に流体連通されて位置決めされている。基材はまた、吸収性層間を流体連通させて配置された少なくとも1つの中間ウィッキング層を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層の周辺部分は、第2のウィッキング層の周辺部分に結合されて、第1のウィッキング層と第2のウィッキング層との間の吸収性層を取り囲む、ウィッキング層の囲いを提供し得る。
【0019】
本発明の別の態様では、吸収性材料は、流体を吸収するように適合された親水性材料を含むことができ、およびシーリング部材は液不透過性である。例えば、シーリング部材は、不透水性のポリウレタン成分を含み得る。
【0020】
代替的な実施形態では、別個のベース層と吸収性材料ではなく、ユニタリーの吸収性構造を用い得る。例えば、この実施形態による吸収性基材は、少なくとも1つの切除された皮膚移植片に接触しかつドナー部位から除去するために前記移植片に係合するように適合された面を有する吸収性材料を含み得る。吸収性材料は、さらに、吸収性材料用の囲いを取り囲みかつ規定しおよび皮膚接触面を除いて実質的に吸収性材料を封止するシーリング部材を含み;および吸収性材料の皮膚接触面の少なくとも一部分は多孔質であり、流体を捕捉する。
【0021】
さらに本発明の別の態様では、基材は、さらに、減圧源に結合して、基材から、溜まった流体を抜き取るための少なくとも1つのポートを含む。ポートは、さらに、弁、例えば、逆止弁または一方向弁を含み、抜き取られた流体の逆流を防止し得る。ポートは、さらに、室内の吸収性材料または少なくとも1つのウィッキング層と外部流体レセプタクルすなわち受け器との間に流体連通をもたらす導管を含み得る。
【0022】
別の態様では、基材は、皮膚移植片ハーベスター内に位置決めする前に基材を取り扱うために、少なくとも1つの取り外し可能なバッキングを含み得る。基材は、さらに、レシピエント部位に位置決めする前に基材を取り扱うために、少なくとも1つの取り外し可能なバッキングを含み得る。例えば、基材は、皮膚移植片ハーベスター内に位置決めする前に基材を取り扱うために、ベース層に関連付けられた少なくとも第1の取り外し可能なバッキングと、レシピエント部位に位置決めする前に基材および関連の皮膚移植片を取り扱うために、第2の取り外し可能なバッキングとを含み得る。
【0023】
別の実施形態では、ベース層、接着剤、シーリング部材、第1のウィッキング層、第2のウィッキング層、吸収性層、および導管インターフェースを含む皮膚移植片の移植用基材が提供される。ベース層は、中心部分を取り囲む周辺と、周辺および中心部分を通って配置された複数のアパーチャとを含み、ベース層は、皮膚移植片移植部位とその部位を取り囲む組織とを被覆するように、適合されている。シーリング部材は、周辺および中心部分を有し、シーリング部材の周辺は、ベース層の周辺に近接して位置決めされて、シーリング部材の中心部分とベース層の中心部分とが囲いを規定するようにする。第1のウィッキング層および第2のウィッキング層は、それぞれ、囲い内に配置される。吸収性層は、第1のウィッキング層と第2のウィッキング層との間に流体連通されて位置決めされる。第1のウィッキング層の周辺部分は、第2のウィッキング層の周辺部分に結合されて、第1のウィッキング層と第2のウィッキング層との間の吸収性層を取り囲む、ウィッキング層の囲いを提供する。導管インターフェースは、シーリング部材に近接し、かつドレッシングと流体連通して位置決めされる。
【0024】
別の態様では、基材またはドレッシングおよび減圧源を含む、皮膚移植部位を排出するためのシステムが提供される。基材またはドレッシングは、部位に減圧をもたらすおよび/または部位から抜き取られた流体を貯蔵するように適合されている。基材またはドレッシングは、ベース層、接着剤、シーリング部材、第1のウィッキング層、第2のウィッキング層、吸収性層、および導管インターフェースを含む。ベース層は、中心部分を取り囲む周辺と、周辺および中心部分を通って配置された複数のアパーチャとを有する。ベース層の中心部分は、移植部位に近接して位置決めされるように適合され、およびベース層の周辺は、移植部位を取り囲む組織に近接して位置決めされるように適合されている。さらに、ベース層の周辺は、移植部位を取り囲むように適合され、およびベース層のアパーチャは、部位、および移植部位を取り囲む組織と流体連通するように適合されている。いくつかの実施形態では、接着剤は、ベース層のアパーチャに収納され得るかまたは予め組み込まれ、移植部位にベース層を配置すると、接着剤を放出するようにし得る(2部品の下部バッキングが同様に用いられて、基材が皮膚移植片ハーベスターに接合されると下部バッキングの第1の(内側)部分が取り除かれ、続いて、バッキングの第2の外側部分が取り除かれて、移植部位における周辺での接着を容易にするようにし得る)。シーリング部材は、周辺および中心部分を有し、シーリング部材の周辺は、ベース層の周辺に近接して位置決めされて、シーリング部材の中心部分とベース層の中心部分とが囲いを規定するようにする。第1のウィッキング層および第2のウィッキング層は、それぞれ、囲い内に配置される。吸収性層は、第1のウィッキング層と第2のウィッキング層との間に流体連通されて位置決めされ得る。導管インターフェースは、シーリング部材に近接しかつドレッシングと流体連通して位置決めされる。減圧源は、導管インターフェースと流体連通して結合されて、ドレッシングに減圧をもたらすように適合される。
【0025】
本発明の別の態様では、皮膚移植の最中に流体管理するための方法が開示されている。方法は、少なくとも1つの皮膚移植片を吸収性基材に接触させるステップであって、基材は、少なくとも1つの切除された皮膚移植片に接触しかつ係合するように適合された面を有するベース層、およびベース層に周辺で接合されかつそれとの間に囲いを規定するシーリング部材;および囲い内に配置された吸収性材料を含むステップと;レシピエント部位に基材を展開して、ベース層に係合された皮膚移植片が、レシピエント部位に接触するようにするステップと;基材をレシピエント部位に接触させた状態に維持して、移植片の移植および流体の除去を容易にするステップとを含み得る。
【0026】
別の態様では、本発明の方法は、レシピエント部位に吸収性基材を維持することを含み、およびさらに、レシピエント部位における過剰な流体を、基材の吸収性材料に抜き取ることによって、除去することを含み得る。方法は、ベース層に複数の細孔を設けて、レシピエント部位と基材内の吸収性材料との間に流体連通路をもたらし、かつ、任意選択的に、基材内に少なくとも1つのウィッキング層を展開して、レシピエント部位から捕捉された流体を吸収性材料の異なる領域に分配することによって、実施され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、減圧源に基材を結合して、流体の抜き取りを容易にするステップと、任意選択的に、吸収性材料から、溜まった流体を流体抜き取りレセプタクルへ排出するステップ、または吸収性材料と流体抜き取りレセプタクルとの間に一方向弁を展開するステップとを含み得る。
【0028】
説明に役立つ実施形態の他の態様、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することにより、明らかとなる。
【0029】
添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、本明細書のより完全な理解が得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、皮膚移植片の移植の最中に流体を管理するための吸収性基材の説明に役立つ実施形態の概略的で斜視的な底面図である。
【
図2】
図2は、
図1の吸収性基材の概略的で斜視的な上面図である。
【
図4】
図4は、本発明による吸収性基材の部分断面図である。
【
図5A】
図5Aは、ベース層および吸収性材料がユニタリーすなわち一体的構造である、本発明による別の吸収性基材の部分断面図である。
【
図6】
図6は、減圧源または外部流体排出レセプタクルに結合するためのポートを有する、本発明による吸収性基材の代替的な実施形態の概略的な側面図である。
【
図7】
図7は、吸収性基材と一緒に使用するための皮膚移植片ハーベスターの概略的で斜視的な上面図である。
【
図8】
図8は、ヘッド部品が取り除かれかつカッター機構が露出した状態の、
図6の皮膚移植片ハーベスターの概略的で斜視的な上面図である。
【
図9】
図9は、皮膚移植片を捕捉するように、本発明による吸収性基材がハーベスターに展開された状態の、
図6の皮膚移植片ハーベスターの概略的で斜視的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明に役立つ非限定的な実施形態の詳細な説明では、その一部をなす添付の図面を参照する。本明細書の範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用してもよく、および論理的、構造的、機械的、電気的および化学的な変更を行ってもよい。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細に関する説明を避けるために、説明では、当業者に公知の特定の情報に関する説明を省略し得る。以下の詳細な説明は、限定と取られるべきではなく、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0032】
本明細書では、用語「微小移植片」は、幅または長さが1ミリメートルに満たない、一層好ましくは、100ミクロン未満の皮膚移植片を含むものとする。微小移植片は、皮膚表面に対して平行な少なくとも1つの寸法が、1ミリメートルに満たない、好ましくは100マイクロメートル未満、一層好ましくは、いくつかの適用例では10マイクロメートル未満である、切除された皮膚セグメントである。最小の幅または長さは、好ましくは500マイクロメートル未満、好ましくは100マイクロメートル未満、または50マイクロメートル未満、または10マイクロメートル未満、または1マイクロメートル未満である。例えば、微小移植片は、皮膚表面に平行な平面において全体的に円形、卵形または長円形とし、および直径または長軸は、約1ミリメートル〜0.01マイクロメートル、または約100マイクロメートル〜約0.1マイクロメートル、または一層好ましくは約50〜1マイクロメートルに及び得る。微小移植片はまた、一般に、表皮を少なくとも通って延在し、かつ好ましくはいくつかの適用例では、基底細胞の少なくとも1つの層を含む深さ寸法を有し得る。深さは、約500マイクロメートル〜約0.1マイクロメートル、好ましくは約100マイクロメートル〜約1マイクロメートルに及び得る。
【0033】
本明細書では、用語「採取」は、皮膚移植片生成装置、例えば、吸引水疱微小移植片生成器などからの1つ以上の皮膚移植片の除去、ならびにそのような皮膚移植片の移植、および任意の中間ステップ、例えば皮膚移植片の培養、拡張、伸張、処理またはそうでなければレシピエント部位に移すための準備を含むものとする。
【0034】
用語「全体的に円形」および「円形」は、本明細書では、丸い、卵形の開口部を説明する、またはそうでなければ、主要寸法(幅または直径)が形状の短径方向寸法(幅または直径)の5倍未満である、形が閉じた多角形と交換可能に使用される。好ましくは、主要寸法は、短径方向寸法の3倍未満、または2倍未満である。
【0035】
本明細書では、用語「約」は、例えば、現実の世界での測定または取扱手順によって;これらの手順における故意ではないエラーによって;組成物または試薬の製造、供給源、または純度の差などによって生じ得る、数量におけるばらつきを指す。一般に、本明細書では、用語「約」は、述べた値の1/10だけ述べた値または値の範囲よりも大きいまたは小さいこと、例えば±10%を意味する。例えば、約30%の濃度値は、27%〜33%の濃度を意味し得る。用語「約」はまた、ばらつきが、従来技術で実施された公知の値を含まない限り、当業者に等価であると認識されるばらつきを指す。用語「約」が先行する各値または値の範囲はまた、述べた絶対値または値の範囲の実施形態を含むものとする。用語「約」によって修飾されても、されなくても、特許請求の範囲に列挙する定量値は、列挙した値の等価物を含み、例えば、そのような値の数量にばらつきが発生し得るが、当業者によって等価であると認識される。
【0036】
図面を参照すると、
図1は、底部から見る吸収性基材10の実施形態を示し、ベース層12および取り外し可能な周辺バッキング14を示す。ベース層12は、さらに、皮膚移植片を捕捉する複数の部位16を含む。ベース層12全体または部位16のみが処理され、例えば、接着剤が被覆され、ベース層表面の少なくとも複数の部分に粘着性を与えて、皮膚移植片の捕捉を助長し得る。ベース層はまた、多孔質であり、およびこの図示の実施形態では、複数の細孔18が、移植片捕捉部位16間に配置される。細孔18は、全体的に円形とし得るか、または1つ以上の寸法において細長いとし得る。あるいは、ベース層の全表面は、多孔質とし得るか、または線状または十字状の切開または開口部を網状に張り巡らしたものすなわちネットワークを含み得る。細孔18の形状またはサイズに関わらず、ベース層12の多孔性は、皮膚セグメントからベース層12を通る流体移動を可能にして、基材10によって吸収されるように、十分である必要がある。
【0037】
図2は、上部から見た
図1の吸収性基材10を示し、取り扱いのための、シーリング部材20および第2の取り外し可能な周辺バッキング22を示す。
図3は、同じ吸収性基材10の側面図を示し、ベース層12、シーリング部材20、および第1(底部)および第2(上部)の取り外し可能なバッキング14および22をそれぞれ示す。
【0038】
図4は、内部構造の一実施形態を示す吸収性基材の部分断面図である。ベース層16およびシーリング部材20は、吸収性材料24のための囲いを規定する。この図はまた、ベース層12の底面(例えば、皮膚接触面)に担持される複数の微小移植片4を概略的に示す。ベース層の複数の細孔18は、流体が浸入できるようにし、かつ吸収性材料24への通路を形成する。任意選択的に、1つ以上のウィッキング層を使用して、捕捉された流体を、吸収性材料の異なる部分に分配し得る。図示の実施形態では、第1のウィッキング層26はベース層に近接して配置され、および第2のウィッキング層28はシーリング部材28に近接して配置される。あるいは、ウィッキング材は、吸収性材料層と交互に層を形成し得るか(サンドイッチ式に)、または、ウィッキング材は、吸収性材料全体にわたって分配され得るか、またはそうでなければ吸収性材料に分散され得る。図示の実施形態では、第1および第2のウィッキング層26、28は、それぞれ、周辺で接合されて、吸収性材料を完全にまたは実質的に囲むシール30を形成し得る。
【0039】
さらに、
図4は、移植を必要とする患者の皮膚2の表面の皮膚移植片移植部位に適用された、使用中の基材10を示す。ベース層12の底面には、複数の捕捉された皮膚移植片4があり、これら皮膚移植片は、基材10が適用されると、皮膚2に接触して配置され得る。移植部位から吸収性材料24への流体の移動および抜き取りは、点線によって示す。
【0040】
図6は、ベース層12と、シーリング部材20と、負圧源46および/または流体抜き取りレセプタクル48に結合するためのポート40とを有する吸収性基材の別の実施形態を示す。ポート40は、さらに、導管42、1つ以上のフィルター47および/または逆止弁44を含むことができ、例えば、吸収性材料が飽和状態に達するかまたは飽和状態に近くなる場合に、吸収性材料から外部流体レセプタクルまたは廃棄物処理部位まで流体を抜き取る(および、任意選択的に、一方向に流す)ことができるようにする。
【0041】
図7は、本教示の様々な態様による吸収性基材と一緒に使用するための皮膚移植片ハーベスター50の概略図である。この説明に役立つ実施形態では、採取器50は、取り外し可能なヘッド部分52およびハーベスター本体54を含む。ハーベスター本体54は、皮膚移植片が獲得される患者の皮膚のドナー部位、例えば内腿に配置され、かつ、例えば、ストラップ56(仮想線で示す)を用いて適所に固定されるように適合されている。ヘッド52は、さらに、ベースユニット(図示せず)の電力源に結合されるように適合されたカップラー60によって給電されるヒーター(図示せず)を含み得る。ヘッド52はさらにシール63を含み、ヘッド52および本体54が接合されかつハーベスター50が、例えば、ハーベスター50をそのベースユニットに接続するカップラー60によって真空ポンプまたは他の減圧源に結合されると、シールは減圧室を形成できるようにする。ヘッド52は、さらに、減圧、熱またはそれら双方を加えることによって室内に皮膚の水疱が形成されるところを観察するために、1つ以上の窓58を含み得る。ひとたび水疱が形成されたら、ヘッド52は、例えば、減圧源を作動停止させかつ解除レバー62を作動させ、それにより、シール63を壊し、かつヘッド52がハーベスター本体54から持ち上げられることによって、除去され得る。
【0042】
本発明との関連で有用なハーベスターに関する追加的な詳細は、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/839,518号明細書;2012年1月9日出願の米国特許出願第13/346,329号明細書;同様に2012年1月9日出願の米国特許出願第13/436,318号明細書;2011年1月27日出願の米国特許出願第13/014,737号明細書;2010年8月6日出願の米国特許出願第12/851,656号明細書;2010年8月6日出願の米国特許出願第12/851,621号明細書;2010年8月6日出願の米国特許出願第12/851,703号明細書;および2010年8月6日出願の米国特許出願第12/851,682号明細書において見出され得る。上述の関連出願のそれぞれの内容全体を、参照することにより本書に援用する。
【0043】
図8は、ヘッド52が除去されかつ切取機構74が露出した状態の、
図7の皮膚移植片ハーベスター50の概略図である。ハーベスター本体54は、ベース部分70、スレッド(sled)72、およびアクチュエータハンドル80を含み得る。切取機構74は、ヘッド52がハーベスター本体54に接合されかつ作動されるときに熱によっておよび/または吸引を行うことによって皮膚の水疱が引かれる、最初は位置合わせされたすなわち整列した孔を備える複数のプレートを含み得る。ひとたび水疱が形成されたら、水泡は、切取機構74によって切り取られ得る。例えば、
図8に示す上部プレートの下側に、1つ以上の追加的なプレート、例えば、整列された孔を備えるカッタープレートおよび底部プレートが展開され得る。ハンドル80を作動させる(例えば、引っ張り上げる)ことによって、スレッド72は水平に動かされ、上部プレートの下側にあるプレートのうちの1つ、例えば「カッタープレート」(図示せず)も動き(スレッド72に対するそのリンク結合ゆえに)、それにより、整列した孔78を塞いで、隆起された水疱をドナーの皮膚から切り取る。
【0044】
図9は、本発明による吸収性基材10がハーベスター本体54に展開されて皮膚移植片を捕捉する状態の、
図7の皮膚移植片ハーベスター50の概略図である。図示の実施形態では、使用者(例えば、臨床医)は、シーリング部材20が上向きでかつベース層(図示せず)がカッター機構(
図8に示すような)の上部プレートに接触する状態でバッキング22を保持するハーベスターに、基材10を置く。基材をそのように置くことによって、ベース層はまた、皮膚の水疱と接触する。好ましい1つの実施形態では、基材は、水疱を皮膚移植片に切り取るようにカッター機構が作動される前に(上述の通り)、そのように位置づけられる。他の実施形態では、基材は、皮膚から既に切り取られた移植片を捕捉するために、切り取り後、ハーベスター上に配置され得る。どちらの場合も、その後、基材はハーベスター本体54から除去され、および
図4に示すようにレシピエント部位に適用され得る。
【0045】
図1〜4を参照して説明すると、ベース層12は、中心部分を取り囲む周辺と、周辺および/または中心部分を通って配置される複数の細孔18とを有し得る。ベース層12の細孔18は、任意の形状、例えば、円、正方形、星、卵形、多角形、スリット、複素曲線、直線形状、三角形、または他の形状などを有し得る。細孔18は均一なパターンを有してもよいし、またはベース層12上にランダムに分配されてもよい。各細孔18は直径を有する。いくつかの実施形態では、細孔18のそれぞれの平均直径は、約6mm〜約50mmとし得る。細孔18はまた、下記でさらに説明するように、ドレッシング124の透湿度(MVTR:Moisture Vapor Transfer Rate)を高めるようなサイズとし得る。
【0046】
あるいは、ベース層は、流体透過性とし得る、例えば、液体または蒸気のいずれかの形態において、高透水性の材料、例えばポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体または塩化ビニルとエチレンの共重合体、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンまたはポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、およびそれらの共重合体などで構成され得る。透水性材料の例は、ポリウレタンフィルム、例えばEnsure−ITドレッシング(Deseret Medical,Inc.)およびPOLYSKIN(登録商標)透明ドレッシング(Kendall Company、Boston,Massachusetts)を含む。
【0047】
高分子加工の最中に、マイクロサイズまたはナノサイズのボイド、例えば、平均幅が約0.1ナノメートル〜約1ミリメートルまたは約1ナノメートル〜約100マイクロメートルに及ぶボイドを残すために後で溶解または蒸発される混入物を組み込むなどの様々な技術を用いて、ポリマーフィルムの透過性または多孔性を高め得る。いくつかの実施形態では、平均幅が約0.1マイクロメートル〜約1ミリメートルのマイクロ細孔が望ましいとし得る。他の実施形態では、平均サイズが約0.1〜約100ナノメートル、好ましくは約1〜約100ナノメートルまたは約1〜約10ナノメートルのナノ細孔が、好都合とし得る。
【0048】
別の実施形態では、透過性または多孔質ベース層は、織りまたは不織(例えば、マット状)繊維から形成され得る。繊維状ベース層は、マイクロファイバーおよび/またはナノファイバーを含み得る。いくつかの実施形態では、平均直径が約0.1〜約10マイクロメートルのマイクロファイバーが望ましいとし得る。他の実施形態では、平均直径が約1〜約100ナノメートル、好ましくは約20〜約80ナノメートルのナノファイバーであるが、場合によっては、直径約1〜約20ナノメートルの繊維も好都合とし得る。
【0049】
さらに別の実施形態では、ベース層は、発泡材料、例えば高分子加工の最中に、化学的なおよび/または物理的な発泡剤を使用することによって形成される、連続または開放気泡のポリマー発泡体とし得る。発泡ベース層は、十分な連続気泡構造を有して、発泡ベース層の全厚を通して流体通路が形成され、流体の抜き取りを容易にするようにする必要がある。連続気泡の平均幅は、約1ナノメートル〜約1ミリメートル、好ましくは場合によっては約10ナノメートル〜約100マイクロメートル、または約100ナノメートル〜10マイクロメートルに及び得る。発泡ポリマーは、平方インチ当たり約1〜1000個の細孔、好ましくは場合によっては、平方インチ当たり約10〜100個の細孔を有し得る。好ましい発泡ポリマーは、空隙比が約10〜約90パーセント、または空隙比が20パーセント、30パーセント、40パーセントまたは50パーセントを上回るとし得る。
【0050】
本明細書では、用語「多孔質」は、アパーチャまたは孔だけでなく、上述のような透過性および連続気泡の発泡体構造も含むことを意図する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ベース層12は、好ましくは、本明細書で説明するように、皮膚移植片移植部位との流体シールをもたらすのに好適な軟質材料である。例えば、ベース層12は、シリコーンゲル、軟質シリコーン、親水コロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレン共重合体ゲル、ゲル発泡体、ポリウレタンおよびポリオレフィンなどの軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィン、または下記の接着剤でコーティングされた水素化スチレン共重合体を含み得る。ベース層12の厚さは、約500ミクロン(μm)〜約1000ミクロン(μm)とし得る。一実施形態では、ベース層12の硬度は、約5ショアOO〜約80ショアOOとし得る。ベース層12は、疎水性または親水性の材料を含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ベース層12は、疎水性コーティング材料とし得る。例えば、ベース層12は、メッシュまたは多孔質材料、例えば、疎水性材料を備える織りの、不織の、成形された、または押し出されたメッシュをコーティングすることによって、形成され得る。コーティング用の疎水性材料は、例えば軟質シリコーンとし得る。
【0053】
皮膚移植片を捕捉するおよび/または基材10を移植部位において患者に接着するために使用される接着剤17は、任意の医学的に容認できる接着剤とし得る。例えば、接着剤17は、アクリル接着剤、ゴム系接着剤、高粘着性シリコーン接着剤、ポリウレタン、または他の接着剤物質を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤17は、塗布量15グラム/m
2(gsm)〜70グラム/m
2(gsm)でアクリル接着剤を含む感圧接着剤とし得る。接着剤17は、連続的なまたは不連続な材料層とし得る。接着剤17の不連続性は、ベース層12の細孔18によってもたらされ得る。接着剤のアパーチャは、接着剤をベース層に適用した後、またはベース層に接着剤17をあるパターンでコーティングすることによって、形成され得る。
【0054】
基材10の接着強さを制御するために使用され得る要素は、ベース層12の細孔18の直径および数、ベース層12の厚さ、接着剤17の厚さおよび量、および接着剤17の粘着力を含み得る。接着剤17の量の増加は、一般的に、基材10の接着強さの増加に対応する。それゆえ、ベース層12の接着剤コーティング部分のサイズおよび形態、ベース層12の厚さ、および使用される接着剤の量および粘着力は、基材10に所望の接着強さをもたらすために、変更され得る。例えば、ベース層12の厚さは約200ミクロンとし、および接着剤層17の厚さは約30ミクロンとし、および粘着力は25センチメートル幅のストラップ当たり2000グラムとし得る。
【0055】
引き続き
図1〜4を参照して説明すると、シーリング部材20は、周辺および中心部分を有する。シーリング部材20の周辺は、ベース層12の周辺に近接して位置決めされ、シーリング部材20の中心部分とベース層12の中心部分とが囲いを規定するようにし得る。
【0056】
シーリング部材20は、組織部位6を被覆して、組織部位6と基材10のシーリング部材20との間に流体シールおよび密閉空間をもたらし得る。さらに、シーリング部材20は、組織、例えば組織部位6を取り囲む表皮106の一部分を被覆し、流体シールをもたらし得る。
【0057】
シーリング部材20は、流体シールを可能にする任意の材料から形成され得る。流体シールは、特定の減圧源または関連のシステムから与えられた減圧を所望の部位に維持するのに適切なシールである。シーリング部材20は、例えば、以下の材料:親水性ポリウレタン;セルロース系材料;親水性ポリアミド;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;親水性アクリル;親水性シリコーンエラストマー;例えば、MVTR(インバーテッドカップ(inverted cup)技術)が14400g/m
2/24時間、および厚さが約30ミクロンの、Expopack Advanced Coatings(Wrexham、United Kingdom)からのINSPIRE2301材;薄くてコーティングされていないポリマードレープ;天然ゴム;ポリイソプレン;スチレンブタジエンゴム;クロロプレンゴム;ポリブタジエン;ニトリルゴム;ブチルゴム;エチレンプロピレンゴム;エチレンプロピレンジエンモノマー;クロロスルホン化ポリエチレン;多硫化ゴム;ポリウレタン(PU);EVAフィルム;コ−ポリエステル;シリコーン;シリコーンドレープ;3M Tegaderm(登録商標)ドレープ;Avery Dennison Corporation(Pasadena、California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープ;例えば、Arkema(France)からのポリエーテルブロックポリアミド共重合体(PEBAX);または他の適切な材料の1つ以上を含み得る。
【0058】
シーリング部材20は、基材10によってもたらされた密閉空間を、蒸気は出ることができるが液体は出ることができないようにし得る。シーリング部材20は、例えば、24時間当たり少なくとも約300g/m
2の高MVTRの、可撓性の通気性フィルムとし得る。シーリング部材20は、厚さが約15ミクロン(μm)〜約50ミクロン(μm)の、ある範囲の医学的に好適なフィルムを含み得る。他の実施形態では、蒸気移動が低いまたは全くないドレープをシーリング部材として使用できる。
【0059】
囲い31には流体管理アセンブリが配置され、および第1のウィッキング層26、第2のウィッキング層28、および吸収性層24を含み得る。吸収性層24は、第1のウィッキング層26と第2のウィッキング層28との間に流体連通されて位置決めされ得る。第1のウィッキング層26は、第1のウィッキング層26の表面に沿って流体をウィッキングするすなわち吸い上げるように適合された粒状構造(図示せず)を有し得る。同様に、第2のウィッキング層28は、第2のウィッキング層28の表面に沿って流体を吸い上げるように適合された粒状構造(図示せず)を有し得る。例えば、第1および第2のウィッキング層26、28は、流体を吸い上げ得るか、またはそうでなければ、第1および第2のウィッキング層26、28のそれぞれの表面に沿って横方向に輸送し得る。第1および第2のウィッキング層26、28の表面は、第1および第2のウィッキング層26、28のそれぞれの厚さに対して垂直とし得る。第1および第2のウィッキング層26、28に沿った流体の吸い上げは、吸収性層24の表面領域にわたる流体の分配を高め、これにより、吸収効率を高め、かつ流体の閉塞に対して抗し得る。流体の閉塞は、流体が、吸収性層24にわたってより均一に分配されるのではなく、例えば、吸収性層24内の特定の個所に貯留することによって、生じ得る。第1および第2のウィッキング層26、28および吸収性層24のラミネート状の組み合わせは、上述の通り適合されて、閉塞に抗する開放構造を維持し、それにより、例えば、組織部位6との流体連通を維持し得る。
【0060】
基材10は、限定するものではないが、特定の組織部位の治療に所望される通りの任意の数のウィッキング層および吸収性層を含み得る。例えば、吸収性層24は、上述の通り第1のウィッキング層26と第2のウィッキング層28との間に流体連通されて位置決めされた複数の吸収性層24とし得る。さらに、少なくとも1つの中間ウィッキング層が、複数の吸収性層24間を流体連通させて配置されてもよい。上述の吸収性層24と同様に、複数の吸収性層24および少なくとも1つの中間ウィッキング層は、ウィッキング層の囲い内に位置決めされ得る。
【0061】
一実施形態では、吸収性材料または層24は、例えば、組織部位6からの流体を吸収するように適合された親水性材料とし得る。吸収性層184に好適な材料は、Luquafleece(登録商標)材、Texus FP2326、BASF 402c、Technical Absorbents(www.techabsorbents.com)から入手可能なTechnical Absorbents 2317、ポリアクリル酸ナトリウム超吸収剤、セルロース系材料(カルボキシメチルセルロース、およびCMCナトリウムなどのカルボキシメチルセルロース塩)、またはアルギン酸を含み得る。第1および第2のウィッキング層26、28に好適な材料は、本明細書で説明したように流体を吸い上げることができる粒状構造を有する任意の材料、例えば、Libeltex TDL2 80gsmなどを含み得る。
【0062】
基材10は、単一の箇所で製造されたプレラミネート構造、または上述の通り、単に互いに積み重ねられた個々の材料層とし得る。基材10の個々の層は、流体管理に悪影響を及ぼすことなく、例えば、溶剤型または非溶剤型接着剤を使用することにより、または熱溶接により、互いにボンディングされ得るか、またはそうでなければ固定され得る。
【0063】
一実施形態では、ベース層12とシーリング部材20とによって規定された囲い31は、抗菌層を含み得る。抗菌剤を添加することにより、ドレッシング10内での過度な細菌増殖の確率を低下させ、ドレッシング10を長期間適所に留まらせることができる。抗菌性材料は、例えば、
図1〜4に示すような基材10の一部として含まれる追加的な層、または基材10内の任意の好適な個所に配置された抗菌剤のコーティングとし得る。抗菌性材料は、例えば元素銀または同様の化合物を含み得る。
【0064】
代替的な実施形態では、ベース層および吸収性材料は、皮膚接触機能および流体吸収機能の双方をもたらす単一の一体的要素で置き換えることができる(ウィッキング材有または無で)。
図5Aおよび
図5Bは、吸収性ベース24A、任意選択的な上部ウィッキング層およびシーリング部材20を含むそのような基材10Aを示す。基材は、さらに、皮膚移植片を収集するために基材を患者の皮膚および/またはハーベスターに固定するために、発泡またはスポンジ面を有しない周辺部分を含み得る。上述の通り、バッキングは、取り扱いのために、この周辺部分の上側を覆って配置され得る。吸収性ベースは、皮膚に接触させて配置されると流体を引き付けて吸収することができる発泡ポリマー(例えば、スポンジ)としてもよく、および任意選択的に、さらに、上述のような減圧源に結合するためのポート40(仮想線で示す)を含み得る。
【0065】
これに関連して、別個のベース層の代わりに皮膚接触面を有する吸収性材料は、スポンジ材、例えば、弾性開孔構造ポリマー、例えばセルロース、コラーゲン、ゼラチン/アルギン酸、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ゼラチン/ヒアルロン酸塩またはキトサン/ヒアルロン酸塩、ポリビニルアルコール、およびポリアクリレートとし得る。スポンジ材は、流体輸送のために、相互接続した細孔のネットワークを有し、その平均的な横断面幅は、0.05ミリメートル(mm)〜約5ミリメートル(mm)、いくつかの実施形態では、一層好ましくは約0.1mm〜約1mmに及び得る。
【0066】
図5Bはまた、図示の実施形態のいずれかにおいて使用され得る本発明の別の特徴、すなわち、分割された下部バッキングを示す。基材がハーベスターに適用されて皮膚移植片を捕捉すると、バッキング14Aの内側部分は除去され得る。バッキング14Aの真下にある面は、ハーベスターに結合するための接着剤を含み、およびバッキング14Bの第2の部分は、移植まで適所に留まり、移植時に除去されて、皮膚と接触させるために面の別の部分(および任意選択的に接着剤)を露出させ得る。当然のことながら、バッキング14Aおよび14Bの機能(または位置)は、逆にできる。様々な他の配置構成を同様に用いて、採取時および移植時の双方において、基材を固定できるようにする。
【0067】
ここで
図6を参照して説明すると、減圧源に結合するためのポート40は、シーリング部材20に近接しかつシーリング部材20のアパーチャ(図示せず)を通して吸収性材料24と流体連通して、減圧源46から基材10へ減圧をもたらすように位置決めされ得る。ポート40は、医療グレードの軟質ポリマーまたは他の曲げやすい材料を含み得る。非限定的な例として、ポート40は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロシリコーン、またはエチレン−プロピレンなどから形成され得る。説明に役立つ非限定的な一実施形態では、ポート40は、DEHPフリーPVCから成形され得る。ポート40は、成形、キャスティング、機械加工、または押し出しによるなど、任意の好適な方法で形成され得る。さらに、ポート40は、統合ユニットとして形成されてもまたは個々の構成要素として形成されてもよく、かつ、例えば、接着剤、溶接または機械的な結合によって基材10に結合され得る。
【0068】
ポート40はまた、1つ以上のフィルター47、例えば、組織部位6から、密封された基材10の外へ臭気が通過しないようにする臭気フィルター、または疎水性フィルターを含み得る。フィルター47は、導管42内にまたは他の好適な個所に配置されて、減圧源46と基材との間の流体連通が、フィルター47を通して設けられようにする。別の実施形態では、フィルター47は、大気とまたは減圧源46と流体連通するアパーチャ(図示せず)などの、基材10の任意の出口箇所に位置決めされ得る。フィルター47はまた、移植片の移植部位6と流体連通する基材の任意の好適な個所に位置決めされ得る。
【0069】
例えば、臭気フィルター47は、Chemviron Carbon,Ltd.(Lancashire、United Kingdom)(www.chemvironcarbon.com)から製造されているものなどの織りの炭素布フィルターなど、炭素材を層または微粒子の形態で含み得る。疎水性フィルター47は、液体不透過性および蒸気透過性である材料、例えば、名称MMT−314でW.L.Gore & Associates,Inc.(Newark、Delaware、United States)で製造されている材料、または同様の材料で構成され得る。
【0070】
引き続き
図6を参照して説明すると、減圧源46は、基材10および密閉空間31に減圧をもたらす。減圧源46は、本明細書で説明するように減圧をもたらすための任意の好適な装置、例えば、真空ポンプ、壁吸込口、または他の減圧源などとし得る。減圧源に関する追加的な詳細は、例えば、2006年12月28日出願の米国特許出願第11/646,918号明細書、2007年6月4日出願の米国特許出願第11/810,027号明細書;2010年3月15日出願の米国特許出願第12/661,293号明細書;および2011年3月21日出願の米国特許出願第13/052,873号明細書において見出され得る。これら特許出願それぞれの開示全体を、参照することにより本書に援用する。
【0071】
本明細書では、「減圧」は、一般的に、治療が施されている組織部位における周囲圧力を下回り得る圧力を指す。一般に、この減圧は、大気圧を下回り得る。減圧はまた、組織部位における静水圧を下回り得る。他で指定しない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。組織部位に行われる減圧の量および性質は適用例に従って変動し得るが、減圧は、典型的には、−5mmHg〜−500mmHg、およびより典型的には、−100mmHg〜−200mmHgの治療範囲にある。
【0072】
送られる減圧は、一定であってもまたは変動してもよく(パターン化またはランダム)、かつ連続的にまたは断続的に送達され得る。用語「真空」および「負圧」を使用して、組織部位に適用される圧力を説明し得るが、組織部位に加えられる実際の圧力は、通常、完全な真空に関連付けられる圧力を上回り得る。本明細書での使用と一致して、減圧または真空圧の上昇は、一般に、絶対圧の相対的な低下を指す。減圧の上昇は圧力の低下に対応し(周囲圧力に対してより負になる)、および減圧の低下は圧力の上昇に対応する(周囲圧力に対してあまり負ではない)。
【0073】
内部ルーメンを有する導管42は、減圧源46と基材10とを流体連通させて結合され得る。導管インターフェース43は、ドレッシングと流体連通して結合され、かつ導管42と基材10とを接続するように適合されており、減圧源46との流体連通をもたらし得る。導管インターフェース43は、例えば、接着剤、溶剤型または非溶剤型ボンディング、溶接、または締まり嵌めによってなど、任意の好適な方法で、導管42に流体的に結合され得る。シーリング部材20のアパーチャ(図示せず)は、基材と導管インターフェース43との間の流体連通をもたらし得る。一実施形態では、導管42は、導管インターフェース43を使用することなく、シーリング部材20のアパーチャ(図示せず)を通して基材10に挿入されて、減圧源46との流体連通をもたらし得る。減圧源46はまた、基材10および/またはシーリング部材20と流体連通して直接結合され得る。導管42は、例えば、可撓性のポリマーチューブとし得る。導管42の遠位端部は、減圧源46に取り付けるための公知の継手のいずれか1つを含み得る。
【0074】
本明細書は、いくつかの説明に役立つ非限定的な実施形態に関連して利点を開示するが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本明細書の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代替、置換、および修正をなし得る。さらに、いずれか一つの実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能とし得る。