特許第6491191号(P6491191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6491191咽喉炎、嗄声及び関連の空咳、並びに口腔及び咽頭腔の炎症性疾患の治療用ロゼンジ剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491191
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】咽喉炎、嗄声及び関連の空咳、並びに口腔及び咽頭腔の炎症性疾患の治療用ロゼンジ剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/10 20060101AFI20190318BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20190318BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20190318BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190318BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   A61K36/10
   A61K33/06
   A61K47/02
   A61K9/20
   A61P11/04
   A61P29/00
   A61P11/14
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-505784(P2016-505784)
(86)(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公表番号】特表2016-515594(P2016-515594A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2014056437
(87)【国際公開番号】WO2014161811
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】13161902.5
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ボニ ユリア
(72)【発明者】
【氏名】プローマン ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ザウアーラント サンドラ
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/092835(WO,A1)
【文献】 独国実用新案第202006009570(DE,U1)
【文献】 特開2011−001321(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02361623(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1569192(CN,A)
【文献】 Planta Medica, 1994, Vol.60 No.6,p.527-531
【文献】 耳鼻咽喉科学会会報、2010, Vol.113, p.587-592
【文献】 臨床外科, 1999, Vol.54 No.5, p.664-666
【文献】 JOHNS, 2005, Vol.21 No.2, p.210-212
【文献】 Laryngo-Rhino-Otol., 1997, Vol.76, p.186-188
【文献】 J Pharmakol U Ther., 2008, Vol.17 No.4, p.107-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61K 9/00
A61K 33/00
A61K 47/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ミョウバンである収斂性活性物質、及び(b) アイスランド苔である粘滑剤の組み合わせを含む、ロゼンジ剤として調製された、口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療のための医薬製剤であって、アイスランド苔対ミョウバンの質量比が15:1から20:1までの範囲である、医薬製剤
【請求項2】
(a) ミョウバンである収斂性活性物質、(b) アイスランド苔である粘滑剤、及び(c) 少なくとも一種の更なるアジュバントからなる、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
0.1 mg〜50mgの量の収斂性活性物質を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項4】
痛みがあり、又は痛みを伴う口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療のための、請求項1から3の1項記載の医薬製剤。
【請求項5】
対症治療のための、請求項1から4の1項記載の医薬製剤。
【請求項6】
炎症及び/又は痛みを治療するための、請求項1から5の1項記載の医薬製剤。
【請求項7】
刺激性咳を治療するための、請求項1から6の1項記載の医薬製剤。
【請求項8】
嚥下困難を治療するための、請求項1から7の1項記載の医薬製剤。
【請求項9】
嗄声及び痛みにより制限された声を回復するための、請求項1から8の1項記載の医薬製剤。
【請求項10】
活性物質の局所投与のための、請求項1から9の1項記載の医薬製剤。
【請求項11】
(a) ミョウバンである収斂性活性物質、及び(b) アイスランド苔である粘滑剤の組み合わせを含む、ロゼンジ剤として調製された、口及び咽頭の領域中の粘膜の痛みのある刺激及び関連する刺激性咳を治療するための医薬製剤であって、アイスランド苔対ミョウバンの質量比が15:1から20:1までの範囲である、医薬製剤
【請求項12】
(a) ミョウバンである収斂性活性物質、(b) アイスランド苔である粘滑剤、及び(c) 少なくとも一種の更なるアジュバントからなる、請求項11記載の医薬製剤。
【請求項13】
0.1 mg〜50mgの量の収斂性活性物質を含む、請求項11又は12記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は(a) 少なくとも一種の収斂性活性物質、及び(b) 少なくとも一種の粘滑剤の組み合わせを含む医薬製剤並びに口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療及び口咽頭領域中の粘膜の痛みのある刺激及びそれと関連する刺激性咳の治療のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、口咽頭腔の刺激及び炎症性疾患、口腔乾燥及び咳の治療のための、吸引に適した製剤の形態の医薬組成物(その組成物は少なくとも一種の収斂性活性物質と少なくとも一種の第二の粘滑剤又はそのエキスの組み合わせを含む)に関する。
口粘膜は下層組織を保護するのに特に役立ち、機械的外傷(病変)並びに微生物及び毒性物質の侵入に対する自然バリヤーとして作用する。それは口腔を湿らせ、食物を湿潤してそれを消化され易くする。
喉頭腔/咽頭腔は粘膜(その必須成分は上皮である)で内張りされている。上皮は人体と消化物質との間の界面であり、複雑な物理化学的バリヤーを形成し、これは、粘液線毛装置により補足されて、病原に対する最初の防御を構成する。粘液は上皮を覆い、粘膜の付加的な保護を与え、その中でそれは栄養、水及びガスの交換を可能にするが、病原菌を排斥する半透過性バリヤーを形成する。粘液は上皮内細胞及び唾液腺により連続的に分泌される複雑な組成の粘弾性ゲルである。粘液の主成分は架橋による粘膜バリヤーの構造フレームワークを形成する大きく、かつ強く荷電された糖タンパク質である、ムチンである。
粘液線毛クリアランスに重要な因子は毛様体の数、それらの構造及び活性だけでなく、それらの協調された運動である。最適の機能が37℃かつ44mg/dm3の絶対湿度(100 %の相対湿度に相当する)で保証される。冷たい部屋の空気、乾燥した部屋の空気又は過熱された部屋の空気だけでなく、アルコール又はニコチンが粘膜の正常な機能に悪影響し、粘膜刺激、嗄声、咽喉炎及び空咳をもたらし得る。これらの状況下で、細菌の集落化が促進され、肺の感染症が生じ得る。
【0003】
しばしば、口咽頭腔の炎症性疾患が風邪及びインフルエンザ型感染症の二次症候としてまた生じる。これらは患者に不快である痛みの症候を頻繁に伴い、嚥下の困難を生じる。口腔の炎症、例えば、歯肉炎、口内炎又は口粘膜病変は冒された患者に不快である症候を有する。
典型的には、口咽頭腔の炎症性疾患は、例えば、口及び喉のリンス、スプレー剤又はロゼンジ剤の形態の、局所治療薬により治療される。重度の場合には、全身療法が、例えば、抗生物質を投与することにより、更に施される。
特に、1-ヘキサデシルピリジニウムクロリド(国際的一般名称:セチルピリジニウムクロリド (CPC))が口咽頭領域の炎症性疾患の局所治療に有益と判明した。それは、例えば、ロゼンジ剤中に使用される殺菌かつ殺真菌活性を有する四級アンモニウム化合物である。この活性物質の欠点は高用量で、かつ過剰に消費される場合に、それが特に幼児で、胃腸問題、呼吸困難及び増大されたメトヘモグロビン生成を生じ得るという事実である。
更に、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)-ヘキサヒドロ-5-メチル-5-ピリジンアミン(国際的一般名称:ヘキセチジン)はまた口、喉頭及び咽頭の粘膜の局所防腐薬又は消毒薬として有益と判明し、例えば、スプレー剤として、又は口洗浄液もしくはうがい液の形態で投与される。長期で、又は高用量で使用される場合、もう一度の胃腸障害が生じることがあり、又は味覚の刺激があり得る。
口咽頭腔の炎症プロセスの局所治療のためのその他の活性物質は収斂性活性物質、特に硫酸カリウムアルミニウム10水和物(国際的一般名称:ミョウバン)である。これは口中の外傷、歯肉炎又は粘膜の膨張及び出血を治療するのに従来使用される塩である。その収斂作用の結果として、それはまた微生物による集落化を低減し、膨張を減少するその作用により痛みを軽減し得る。欠点は収斂作用により生じられる口腔乾燥の感覚である。
天然源の活性物質、例えば、所謂粘滑剤又はそのエキス、例えば、アイスランド苔がまた使用される。これらの粘滑剤は水と合わされる時に粘液を生成する高濃度の多糖を含む。例えば、ロゼンジ剤又はスプレー剤の形態で口咽頭腔の炎症性疾患に使用されると、それらは保護層を形成し、粘膜を湿らせる。粘液のこの付加的な層が粘膜中の感受性の機械的受容体及び化学的受容体を外部の刺激から保護し、それにより刺激、例えば、掻き傷、嗄声及び刺激性咳を軽減する。一般に、これらの活性物質は単一製剤の形態で使用されるが、所望の成功を常に達成するとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故、本発明の課題は、上記された従来技術の欠点を少なくとも実質的に防止又は低減すべきである口咽頭領域の炎症性疾患の局所治療のための固体製剤の形態の医薬製剤を提供することである。
本件出願人は上記課題が少なくとも一種の収斂性活性物質(例えば、ミョウバン)と少なくとも一種の粘滑剤及び/又はそのエキス(例えば、アイスランド苔)の固定用量の形態の医薬製剤を製剤化することにより解決されることを今驚くことに見出した。この種の組成物は粉末混合物の圧縮により製造され、又は口咽頭腔の痛みのある疾患又は炎症性かつ痛みのある疾患の場合に局所適用に使用し得る硬質カラメルをベースとする、ロゼンジ剤の形態で特に好適である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は(a) 少なくとも一種の収斂性活性物質(astringent active substance)、及び(b) 少なくとも一種の粘滑剤(mucilaginous drug)の組み合わせを含む医薬製剤に関する。
上記組み合わせは口咽頭腔の炎症性疾患の予防及び治療、特に対症的予防又は治療に特に適している。上記組み合わせはまた上記疾患の一時的な単一又は補充治療に適している。
従って、本発明は更に口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療のための本発明の医薬製剤の使用に関する。
同様に、本発明は口咽頭領域中の粘膜の痛みのある刺激及びそれと関連する刺激性咳の治療のための本発明の医薬製剤の使用に関する。
同様に、本発明は(a) 少なくとも一種の収斂性活性物、及び(b) 少なくとも一種の粘滑剤の本発明の組み合わせ、並びに口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療におけるそれらの使用、及び/又は口咽頭領域中の粘膜の痛みのある刺激及びそれと関連する刺激性咳の治療におけるそれらの使用に関する。
少なくとも一種の収斂性活性物質及び少なくとも一種の粘滑剤をベースとする本発明の組み合わせの使用は、高度に有効であることに加えて、良く寛容され、それからの副作用が殆ど不在である製剤をもたらす。
本発明の組成物の活性の原理は純粋に物理的又は物理化学的方法に基づく。本発明の基礎的原理は一方で収斂性活性物質そして他方で粘滑剤をベースとする活性物質成分の制御された組み合わせに基づくが、本発明者らは上記疾患に関しての、一方で収斂性活性物質そして他方で粘滑剤の有効性が、本発明の組み合わせにより予期せずに増大されることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に使用される“組み合わせ”という用語は(a) 収斂性活性物質及び(b) 粘滑剤の中から選ばれた少なくとも2種の活性物質を記載し、それらはそれらを一緒に服用するのに適する相対比で存在する。
本明細書に使用される“粘滑剤”という用語は粘滑剤、これらの成分及びこれらのエキスを含む。こうして、例えば、本明細書に使用される“粘滑剤”という用語はアイスランド苔、その成分及びそのエキスを含む。
特に好適と判明した本発明に従って使用される粘滑剤は、アイスランド苔(Lichen islandicus)、コモンマロウ(Malva sylvestris・ウスベニアオイ)、ランス・リーフ(lance leaf)オオバコ(Plantago lanceolata・ヘラオオバコ)、マシュマロ(Althaea officinalis・ウスベニタチアオイ)及びフキタンポポ(Tussilago farfara)並びにこれらの混合物である。アイスランド苔が、特にエキスの形態で、使用されることが好ましい。
【0007】
本明細書に使用される“収斂性活性物質”という用語は、それらがタンパク質沈澱の結果として皮膚又は粘膜と接触する場合に乾燥している、止血かつ坑炎症性の活性を有する活性物質を含む。特に、ミョウバン、タンニン、ポリクレスレン及び硝酸銀又はこれらの混合物が収斂性活性物質として適している。ミョウバンが使用されることが好ましい。
本発明の一つの特別な実施態様は(a) 少なくとも一種の収斂性活性物質、(b) 少なくとも一種の粘滑剤、及び(c) 少なくとも一種のその他のアジュバントを含む先の請求項の一つに記載の医薬製剤に関する。
本明細書に使用される“医薬製剤”という用語は特に通常の固体医薬製剤、例えば、粉末圧縮により調製され、又は硬質カラメルをベースとする、ロゼンジ剤(トローチ剤)(lozenge)を含む。
好適なアジュバントは特に錠剤形成賦形剤及び充填剤、例えば、イソマルト、フラクトース及び/又はグルコースシロップ、二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール、ポリデキストロース又はキサンタンガム、甘味料、例えば、糖代替物、特にイソマルト、ソルビトール、ポリデキストロース、マルチトール又はイソマルチトール、甘味料、例えば、アスパルテーム、アセスルフェーム、シクラメート、サッカリン又はキシリトール、風味料、着色剤及び/又は安定剤、例えば、酒石酸又はクエン酸である。
使用されるアジュバントの質量基準の比率は夫々の場合に医薬製剤の合計質量を基準として、通常50質量%から99.5質量%まで、好ましくは75質量%から99質量%まで、特に好ましくは85質量%から95質量%までの範囲である。
本発明の医薬製剤の特別な実施態様において、アイスランド苔が粘滑剤として使用される。アイスランド苔がエキスとして使用されることが好ましい。
アイスランド苔の好適なエキスは、例えば、水抽出、アルコール抽出又は水−アルコール抽出及び任意のその後の乾燥により得られる。これらのエキスは通常主として粘滑剤生成性多糖類リケニン及びイソリケニンからなる。粘滑剤の増大された含量は純粋な薬物と較べて治療効果を改善する。粘滑剤の他に、エキスはわずかな抗菌作用を有する地衣酸を含む。その薬物と較べて、エキスの加工が一層容易である。
【0008】
本発明の医薬製剤の一つの特別な実施態様において、アオイ(mallow)が粘滑剤として使用される。アオイがここでエキスとして使用されることが好ましい。
アオイの好適なエキスは、例えば、水抽出、アルコール抽出又は水−アルコール抽出及び任意のその後の乾燥により得られる。これらのエキスは通常主として粘滑剤からなる。後者は架橋された個々の成分グルコース、アラビノース、ラムノース及びガラクトースから構成される。エキス中の含量は純粋な薬物中よりも何倍も高く、こうして治療効果を改善する。
本発明の医薬製剤は通常1mg〜500 mg、好ましくは10mg〜250 mg、特に好ましくは50mg〜200 mgの量の粘滑剤を含む。
使用される粘滑剤の質量基準の比率は夫々の場合に医薬製剤の合計質量を基準として、通常1質量%から50質量%まで、好ましくは2〜25質量%、特に好ましくは5〜10質量%の範囲である。
本発明の医薬製剤の一つの特別な実施態様において、ミョウバンが収斂性活性物質として使用される。
本発明の医薬製剤の別の特別な実施態様において、タンニンが収斂性活性物質として使用される。
本発明の医薬製剤は通常0.1 mg〜50mg、好ましくは0.5 mgから20mgまで、特に好ましくは1mgから10mgまでの量の収斂性活性物質を含む。
使用される収斂性活性物質の質量基準の比率は夫々の場合に医薬製剤の合計質量を基準として、通常0.01質量%から5質量%まで、好ましくは0.05質量%から2質量%まで、特に好ましくは0.1 質量%から1質量%までの範囲である。
本発明の好ましい実施態様は粘滑剤としてのアイスランド苔及び収斂性活性物質としてのミョウバンの組み合わせに関する。
【0009】
アイスランド苔は通常1mg〜500 mgの量、好ましくは10mg〜250 mgの量、特に好ましくは50mgから200 mgまでの量で使用される。
ミョウバンは0.1 mg〜20mgの量、好ましくは1mg〜15mgの量、特に好ましくは3〜10mgの量で通常使用される。
アイスランド苔対ミョウバンの質量比は通常5:1 から50:1まで、好ましくは10:1から25:1まで、特に好ましくは15:1から20:1までの範囲である。
アイスランド苔及びミョウバンの質量基準の比率は夫々の場合に医薬製剤の合計質量を基準として、通常0.5 質量%から50質量%まで、好ましくは1質量%から25質量%まで、特に好ましくは5質量%から15質量%までの範囲である。
本発明の医薬製剤はロゼンジ剤として調製されることが好ましい。好適なロゼンジ剤は、例えば、粉末圧縮により生成されてもよく、又は硬質カラメルをベースとしてもよい。
医薬製剤の合計質量は通常500 mgから5000mgまで、好ましくは750 mgから4000mgまで、特に好ましくは1000mgから3000mgまでの範囲である。
本発明の医薬製剤は通常1日20回まで、好ましくは12回まで、特に好ましくは1日8回まで投与される。
本発明の組み合わせは口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせは痛みがあり、又は痛みを伴う口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせはまた口咽頭腔の炎症性疾患の対症治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
【0010】
本発明の組み合わせはまた口咽頭腔の炎症性疾患における炎症及び/又は痛みの治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせはまた特に口咽頭腔の炎症性疾患における、刺激性咳の治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせはまた特に口咽頭腔の炎症性疾患における、嚥下困難の治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせはまた嗄声及び痛みにより冒されている声を回復するのに特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせは活性物質の局所(topical)投与に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせはまた口咽頭腔中の粘膜の痛みのある刺激及び関連する刺激性咳の治療に特に適している。従って、本発明の医薬製剤はまたこの使用に適している。
本発明の組み合わせは刺激され、かつ/又は炎症された口咽頭腔を和らげることを助け、咽喉炎を軽減する。
本発明の組み合わせは風邪により生じた症候の存在下で粘膜を再生することを助ける。
本発明の組み合わせは咽喉炎の治療を助ける。
本発明の組み合わせは喉の炎症及び刺激、例えば、乾き、痛みがあり、又は傷つけられた喉の症候を軽減することを助ける。
本発明の組み合わせは喉を更なる刺激から保護することを助ける。
本発明の組み合わせは刺激された粘膜の保護フィルムとして作用して細菌集落化を防止する。
本発明の組み合わせは口咽頭腔を和らげ、こうして咽喉炎及び空咳のサイクルを絶つことを助ける。
本発明の組み合わせは空咳の症候を減少することを助け、咳刺激を軽減する。
本発明の組み合わせは喉を和らげ、湿らせることを助け、こうして咳を軽減する。
本発明の組み合わせは嚥下困難を助ける。
本発明の組み合わせは嗄声を助ける。
本発明の別の特別な主題は口咽頭腔の炎症性疾患の予防又は治療における使用のための(a) 少なくとも一種の収斂性活性物質及び(b) 少なくとも一種の粘滑剤の組み合わせに関する。
本発明の別の特別な主題は口咽頭腔中の粘膜の痛みのある刺激及び関連する刺激性咳の治療における使用のための(a) 少なくとも一種の収斂性活性物質及び(b) 少なくとも一種の粘滑剤の組み合わせに関する。
【実施例】
【0011】
1. 製造実施例
様々な粘滑剤と連係した収斂性活性物質をベースとするロゼンジ剤の形態の本発明の医薬製剤の製造
種々の組成物を粉末圧縮又は硬質カラメルをベースとするロゼンジ剤の形態で製造する。圧縮されたロゼンジ剤につき、糖代替物、特にイソマルト、シルビトール又はポリデキストロースを好ましくは使用してもよく、硬質甘味ベースにつき、フラクトース及び/又はグルコースシロップを、無糖の別の糖代替物として使用してもよく、特に糖アルコール、好ましくはマルチトール又はイソマルチトールを使用してもよい。種々の量の甘味料(例えば、アスパルテーム、アセスルフェーム、シクラメート、サッカリン又はキシリトール)が添加されてもよい。その他の賦形剤及び活性物質をマトリックスに混入し、ロゼンジ剤をそれ自体知られている製造方法により製造する。
圧縮された粉末混合物の場合には、賦形剤をレシピに従って計量し、マトリックスと混合する。液体賦形剤又は活性物質の場合には、これらが更なる造粒工程により添加されてもよい。次いで粉末又は顆粒を圧縮してロゼンジ剤を形成する。賦形剤又は活性物質は一つ以上の層中で、選ばれたとおりに、一緒に、又は別々に圧縮されてもよい(1層、2層又は3層錠剤)。
硬質カラメルの場合には、原料をレシピに従って混合し、加熱された硬質カラメルベースに混合する。感熱性の賦形剤及び/又は活性物質、特に
−粘滑剤、好ましくはアイスランド苔
−収斂性活性物質、好ましくはミョウバン
−任意の風味料
−任意の着色剤
−任意の安定剤、特に酒石酸又はクエン酸
をロゼンジ剤の最終混合及び形成の直前に別の工程で添加する。
これらの方法を使用して、異なる量の収斂性活性物質及び粘滑剤を含む無糖ロゼンジ剤を、例えば、下記の表に示されるように、製造する。
表1:ミョウバン5mg及びアイスランド苔エキス80mgを含む粉末圧縮により製造された1層ロゼンジ剤
【0012】
【表1】
【0013】
表2:タンニン1mg及びアオイエキス150 mgを含む粉末圧縮により製造された1層ロゼンジ剤
【表2】
【0014】
表3:ミョウバン5mg及びアイスランド苔エキス80mgを含む粉末圧縮により製造された2層ロゼンジ剤
【表3】
【0015】
表4:ミョウバン5mg及びアイスランド苔エキス80mgを含む硬質カラメルをベースとするロゼンジ剤
【表4】
【0016】
2. 使用の実施例
口咽頭領域中の粘膜の痛みのある刺激を有し、また或る場合には関連する刺激性咳を有する30人の患者を付加的な全身療法を用いずに先の製造実施例に記載されたロゼンジ剤で治療した。10人の患者を表4に記載された製剤で治療し、6個までの錠剤を3日の期間にわたって投与した(グループA)。別の10人を6個までの錠剤で3日間にわたってミョウバン(ロゼンジ剤当り9mg)のみを含む通常の市販製剤で治療した(グループB)。別の10人を同様の治療プランに従ってアイスランド苔(ロゼンジ剤当り80mgのアイスランド苔エキス)を含む通常の市販の単一製剤で治療した(グループC)。
口及び咽頭の粘膜の炎症により生じた全ての症候が本発明の製剤を使用して軽減されたが、グループB及びCにおける製剤では個々の病気のみが軽減された。
グループBにおける非新規の製剤では、粘膜の炎症及び痛みの症候で改善が観察された。グループBで嗄声及び口腔乾燥並びにそれと関連する刺激性咳の症候の改善は殆ど又は全く観察されなかった。
グループCの非新規製剤による治療では、主として口及び咽頭の粘膜の炎症、口の乾燥及び嚥下困難と関連する刺激性咳で改善が観察された。
研究は本発明の製剤による治療による有意に増大された治療上の成功を実証する。収斂性活性物質と粘滑剤の組み合わせの使用により、本発明の組成物で治療された患者では、ほんの短い期間の治療の後に、刺激性咳だけでなく、炎症及び痛みの症候の有意な軽減が起こった。嚥下困難の迅速な軽減が適用により達成され、嗄声及び痛みにより制限されていた声の迅速な回復があった。加えて、患者は本発明の組成物の吸引感覚が非常に快適であることがわかった。前記症候の改善において、本発明の組成物は非新規単一製剤に対して重大な利点を有する。