(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の重み係数は、外部から提供された天気予報および外部から提供されたクロック信号を除く、サーモスタットにおいてローカルで利用可能な情報のみを使用して判定される、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のサーモスタット。
前記HVAC作動状態は、比較的高いエネルギー消費によって特徴付けられる第1の状態と、比較的低いエネルギー消費によって特徴付けられる第2の状態とを含む、請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載のサーモスタット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
建造物の熱力学的挙動モデリングの分野に関連する、さまざまな方法、装置、システム、およびコンピュータ可読記憶媒体が本願明細書において記載される。建造物における環境特性を管理するHVACシステムを含む多くの現代のシステムにおいては、建造物の熱力学的挙動を予測することが望ましい。このような予測は、様々な明瞭かつ有益な用途を有し得る。現代のHVAC制御システムにおいて、このような予測は、所望の設定温度に到達させる、またはこれを維持するようにHVACシステムを正確に動作させるために日常的に使用され得る。また、このような予測は、需要応答(DR)事象時など、定期的に使用され得て、DR事象期間からDR事象期間外の期間へ移行されるエネルギーの量を最大限にする設定温度のスケジュール、またはいくぶん付加的もしくは代替的に最適であるスケジュールがより正確に識別される。
【0017】
熱力学的挙動の予測が適用される特定の用途に関わらず、多くの実施形態におけるこのような予測は、建造物の熱力学的モデルの使用によって容易となる。熱力学的モデル自体は、HVAC作動状態における変化などの刺激(stimulus)の適用に応じて、室内温度などの建造物に関連付けられた環境条件の軌道を特徴づける1つ以上の基底関数によって定義され得る。モデルの生成において、基底関数の各々についての重み係数が、HVAC作動状態における過去の変化から得られる過去の環境条件軌道を示すデータの履歴にフィッティングされ得る。ひとたびモデルが生成されると、モデルはその後、建造物の熱力学的挙動をシミュレーションするために使用され得る。
【0018】
なお、「熱力学的(thermodynamic)」の用語は、物理システムを特徴付けるために使用することができるすべての状態変数を含み得る。熱力学的変数の例としては、圧力、温度、気流、湿度、および粒子状物質が含まれるが、これらに限定されない。さらに、「モデル」の用語は、概してシステムの記述および表現をいう。記述もしくは表現は、数学的モデルの場合などにおいては、数学的言語を使用することができる。モデルのタイプおよび/またはモデルの特性の例としては、ルックアップテーブル、線形、非線形、決定性、確率的、静的、動的、ならびに集中パラメーターおよび/もしくは分布パラメーターを有するモデルが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
ここで図面を見ると、
図1Aは、知的ネットワークに接続された装置100(すなわち、「装置」)に含まれ得る概略的な装置構成部分の例を示す。装置100は、実施形態に係る、本願明細書において記載される熱力学的挙動予測処理のうちの1つ以上を実施するために使用され得る。装置のシステム内の1つ以上もしくはすべての装置100の各々は、1つ以上のセンサー102と、ユーザーインターフェイス構成部分104と、電源(たとえば、電力接続106および/またはバッテリー108を含む)と、通信構成部分110と、モジュール性ユニット(たとえば、ドッキングステーション112および交換可能モジュール114を含む)と、知能構成部分116とを含み得る。特定のセンサー102、ユーザーインタフェイス構成部分104、電源構成、通信構成部分110、モジュール性ユニット および/または 知能構成部分116は、装置100にわたって同じもしくは同様であり得る、または装置タイプもしくはモデルに応じて異なり得る。
【0020】
本願明細書に記載されるセンサー102は、物質、物理的現象、および/または物理量を測定および/または登録する装置またはシステムを概して含む。センサーは、測定を信号に変換し得て、信号は、オブザーバー、機器、および/またはシステムによって解釈され得る。センサーは、専用装置として実施され得る、および/または汎用コンピュータシステム上で実行されるソフトウェアとして実施され得る。例示であって限定ではないが、装置100における1つ以上のセンサー102は、たとえば、加速度、温度、湿度、水、供給電力、近接、外部の動き、装置の動き、音声信号、超音波信号、光信号、火、煙、一酸化炭素、全地球測位衛星(GPS)信号、または無線周波数(RF)もしくは他の電磁気信号もしくは電磁場を検知することが可能であり得る。したがって、たとえば、センサー102は、温度センサー、湿度センサー、危険関連センサーもしくは他の環境センサー、加速度計、マイクロフォン、カメラ以下の光学センサー(たとえば、電荷結合装置もしくはビデオカメラ)、能動もしくは受動放射線センサー、GPS受信機、または無線周波数識別検知器を含み得る。
図1Aは、単一のセンサーを有する実施形態を示しているが、多くの実施形態は複数のセンサーを含む。一部の例において、装置100は、1つ以上の一次センサーと1つ以上の二次センサーとを含む。一次センサーは、装置のコア動作(たとえば、サーモスタットにおける温度の感知、または煙検知器における煙の感知)の中心となるデータを感知し得る。二次センサは、エネルギー効率の目的またはスマート動作の目的に使用され得る、他のタイプのデータ(たとえば、運動、光、もしくは音)を感知し得る。一部の例において、平均的なユーザーは、二次センサの存在に気付かないことすらある。
【0021】
装置100における1つ以上のユーザーインターフェイス構成部分104は、視覚ディスプレイ(たとえば、薄膜トランジスタディスプレイもしくは有機発光ダイオードディスプレイ)および/または音声スピーカーおよび/または一部の他の通信媒体を介してユーザーに対して情報を提示するように構成され得る。ユーザーインターフェイス構成部分104は、タッチ画面、ボタン、スクロール構成部分(たとえば、可動もしくは仮想リング構成部分)、マイクロフォン、もしくはカメラ(たとえば、ジェスチャーを検知する)など、ユーザーから情報を受け取るための1つ以上のユーザー入力構成部分も含み得る。一実施形態において、ユーザー
インターフェイス構成部分104は、クリックおよび回転(click-and-rotate)環状リング構成部分を含み、ここでユーザーは、リングを回転させることによって(たとえば、設定を調節するために)、および/またはリングを内方向にクリックすることによって(たとえば、調節された設定を選択する、またはオプションを選択するために)、構成部分と対話することができる。他の実施形態において、ユーザー
インターフェイス構成部分104は、ジェスチャーを検知することができるように(たとえば、装置の電力もしくは警報の状態が変更されることを示すために)カメラを含む。
【0022】
装置100における電源構成部分は、電力接続106および/またはローカルバッテリー108を含み得る。たとえば、電力接続106は、装置100を線電圧源などの電源へ接続することができる。一部の例において、AC電源への接続106は、(たとえば、再充電可能な)ローカルバッテリー108を繰り返し充電するために使用され得て、これによってバッテリー108は、AC電力の切断または他の電力欠乏シナリオの事象において必要な場合に電力を供給するために後に使用され得る。
【0023】
装置100における通信構成部分110は、本願明細書において記載される他の装置もしくはポータブルユーザー装置など、装置100が中央サーバーもしくはリモートサーバーと通信することを可能にする構成部分を含み得る。通信構成部分100は、非限定的な例として、たとえば、Wi-Fi、ZigBee、3G/4G無線、CAT6有線イーサネット(登録商標)、HomePlugもしくは他の電力線通信方法、電話、または光ファイバーを介して装置100を通信させることができる。通信構成部分110は、無線カード、イーサネットプラグ、または他のトランシーバー接続を含み得る。一部の実施形態において、通信構成部分110は、中央サーバーとの通信を容易にし、装置100と中央サーバーと一部の場合における付加的な装置との間の情報を同期する。このような装置間のデータを同期する技術は、2012年9月22日に出願された、同一の譲受人によって譲受された米国特許出願第13/624,892号(顧客参照番号NES0231−US)においてさらに記載され、その内容はあらゆる目的のために全体が引用により援用される。
【0024】
装置100におけるモジュール性ユニットは、静的物理接続と交換可能モジュール114とを含み得る。したがって、モジュール性ユニットは、装置100を完全に再設置することなく(たとえば、配線を保存する)交換可能モジュール314をアップグレードする能力を提供することができる。静的物理接続は、建造物に取り付けることができるドッキングステーション112(インターフェイスボックスとも称され得る)を含み得る。たとえば、ドッキングステーション112は、ねじを介して壁に取り付けられ得る、または接着剤を介して天井に固定され得る。ドッキングステーション112は、一部の例において、建造物の一部を通って延在し得る。たとえば、ドッキングステーション112は、壁のシートロックを通って作られる穴を介して壁の後方の配線に(たとえば、120Vの線電圧ワイヤー)に接続され得る。ドッキングステーション112は、電力接続回路306および/またはAC−DC電力供給回路(AC-to-DC powering circuitry)などの回路を含み得て、ユーザーが高圧線へ露出しないように防止し得る。ドッキングステーション112は、暖房ユニット(建造物を暖房するための)、空調ユニット(建造物を冷却するための)、および/または換気ユニット(建造物の全体にわたって空気を循環させるための)など、HVACシステムの要素を作動させる(すなわち、オンおよびオフ)ための制御回路も含み得る、またはこの制御回路を代替的に含み得る。一部の例において、ドッキングステーション112は、たとえばサーモスタット装置が煙検知装置とは異なるドッキングステーションを含むように、装置のタイプもしくはモデルに対して専用のものである。一部の例において、ドッキングステーション112は、複数のタイプおよび/もしくはタイプの装置100にわたって共有され得る。
【0025】
モジュール性ユニットの交換可能モジュール114は、装置のセンサ102、プロセッサ、ユーザーインターフェイス構成部分104、バッテリー108、通信構成部分110、知能構成部分116などの一部もしくはすべてを含み得る。交換可能モジュール114は、ドッキングステーション112に取り付けられる(たとえば、プラグ挿入または接続される)ように構成され得る。一部の例において、交換可能モジュール114のセットは、交換モジュール114にわたって異なる能力、ハードウェア、および/またはソフトウェアを有して作られる。このため、ユーザーは、すべての装置構成部分を交換することなく、または装置100を完全に再設置することなく交換可能モジュール114を容易にアップグレードまたは交換することができる。たとえば、ユーザーは、限られた知能およびソフトウェア能力を有する第1の交換可能モジュールを含む低価格の装置から始めることができる。そして、ユーザーは、より性能の高い交換可能モジュールを含むように装置を容易にアップグレードすることができる。他の例として、ユーザーが地下にモデル♯1装置を有し、リビングルームにモデル#2装置を有し、モデル#3交換可能モジュールを含むようにリビングルームの装置をアップグレードする場合、ユーザーは、モデル#2交換可能モジュールを地下に移動させ、既存のドッキングステーションに接続することができる。そしてモデル#2交換可能モジュールは、たとえばその新しい場所を識別するために開始処理を始め得る(たとえば、ユーザーインターフェイスを介してユーザーから情報を要求することによる)。
【0026】
装置の知能構成部分116は、さまざまな異なる装置機能性のうちの1つ以上を支援し得る。知能構成部分116は、本願明細書において記載される有利な機能性の1つ以上を実行する、および/または実行させられるように構成およびプログラミングされた1つ以上のプロセッサを概して含む。知能構成部分116は、ローカルメモリ(たとえば、フラッシュメモリ、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ)に記憶されたコンピュータコードを実行する汎用プロセッサ、専用プロセッサもしくは特定用途向け集積回路、これらの組み合わせの形式で、および/または他のタイプのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア処理プラットフォームを使用して実施され得る。知能構成部分116は、非同期JavascriptおよびXML(Asynchronous Javascript and XML)(AJAX)もしくは同様のプロトコルを使用してクラウドサーバーから提供される命令を実行するJava(登録商標)仮想マシン(JVM)を実行することなどによって、中央サーバーもしくはクラウドベースのシステムによって遠隔的に実行もしくは管理されるアルゴリズムのローカライズ版もしくは相当物としてさらに実施することができる。例として、知能構成部分116は、場所(たとえば、家または部屋)が在室されている時を検知するとともに、特定の者によって在室されているのか、または特定の人の数および/もしくは集合によって在室されているのか(たとえば、1つ以上の閾値に対して)まで検知するように構成され得る。このような検知は、たとえば、マイクロフォン信号を分析すること、ユーザーの移動(たとえば、装置の前)を検知すること、ドアもしくはガレージドアの開閉を検知すること、無線信号を検知すること、受け取った信号のIPアドレスを検知すること、または時間ウインドウ内における1つ以上の装置の動作を検知することによって行なわれ得る。知能構成部分116は、特定の在室者もしくは物を識別する画像認識技術を含み得る。
【0027】
一部の例において、知能構成部分116は、望ましい設定を予測する、および/またはこれらの設定を実施するように構成され得る。たとえば、存在検知に基づき、知能構成部分116は、たとえば、家または特定の空間に誰もいない時に電力を節約する、またはユーザー選択に一致する(たとえば、一般的な自宅用選択またはユーザー固有選択)ように装置設定を調節し得る。他の例として、特定の人物、動物、または対象(たとえば、子供、ペット、または失われた対象)の検知に基づき、知能構成部分116は、人物、動物、もしくは対象がどこにいるかについての音声もしくは視覚表示器を開始することができる、または認識されていない人物が特定の条件下(たとえば、夜、もしくは光の無い時)において検知された場合にアラームもしくはセキュリティ機能を起動することができる。さらに他の例として、知能構成部分116は、ユーザー設定における時間毎、週毎、もしくは季節毎の傾向を検知し、これに従って設定を調節することができる。たとえば、知能構成部分116は、特定の装置が週日の午前6:30にオンされること、または最後の3時間にわたって装置設定が高い設定から低い設定へ徐々に調節されることを検知することができる。そして、知能構成部分116は、装置が週日の午前6:30にオンされること、または設定を長い期間にわたって徐々に下げ続けるべきであることを予測することができる。
【0028】
一部の例において、装置は、第1の装置によって検知された事象が第2の装置の動作に影響を与えるように互いに対話することができる。たとえば、第1の装置は、ユーザーがガレージ内へ引っ込んだことを検知することができる(たとえば、ガレージ内における動きを検知すること、ガレージ内の光の変化を検知すること、またはガレージドアが開かれたことを検知することによる)。第1の装置は、第2の装置がたとえば家温度設定、光設定、音楽設定、および/またはセキュリティアラーム設定を調節することができるように、第2の装置へこの情報を送信することができる。他の例として、第1の装置は、正面玄関にユーザーが近づいていることを検知することができる(たとえば、動作もしくは突然の光パターン変化を検知することによる)。第1の装置は、たとえば、一般的な音声もしくは視覚信号を提示させる(たとえば、ドアベルを鳴らすなど)、または場所固有音声もしくは視覚信号を提示させる(たとえば、ユーザーが在室する部屋内における訪問者の存在を知らせる)。
【0029】
図1Bは、実施形態に係る、設置、構成、およびアップグレードを容易にするために交換可能モジュール314(たとえば、ヘッドユニット)とドッキングステーション312(たとえば、バックプレート)とを有する知的ネットワークに接続された装置100を示す。上で記載したように、装置100は、壁に取り付けられ得て、円形の形状を有し得て、ユーザー入力を受け取るための外側回転可能リング120(これは、たとえばユーザーインターフェイス104の一部であり得る)を有し得る。外側回転可能リング120により、ユーザーは、新しい目標温度の選択などの調節を行なうことができる。たとえば、外側リング120を時計回りに回転させることにより、目標設定温度を高めることができ、外側リング120を反時計回りに回転させることにより、目標設定温度を下げることができる。建造物における温度を設定温度へ即時に変更するという望みを反映する既存の設定温度への変更は、本願明細書においては「即時設定温度」または「現在設定温度」への変更という。これは、建造物における未来の温度についての望みを設定温度が反映し得る、時間毎、日毎、週毎、月毎、もしくは他のスケジュールで提供され得る設定温度とは対照的である。このような設定温度は、本願明細書においては「予定された設定温度」または「設定温度の予定」という。
【0030】
装置100は、ディスプレイ124(これは、たとえばユーザーインターフェイス104の一部であり得る)を含むカバー122を有する。ヘッドユニット114は、バックプレート112に対して摺動する。ディスプレイ124は、装置100の現在の動作状態、リング120を介した直接的なユーザーと装置との対話、たとえば近接センサ102(受動赤外線モーションセンサなど)を介して感知されたユーザーの存在、リモートアクセス装置を介したユーザーと装置との遠隔対話などに応じて、さまざまな情報を表示し得る。たとえば、ディスプレイ124は、現在の設定温度を表わす数字を中央に表示し得る。
【0031】
一部の実施形態によれば、バックプレート112に対するヘッドユニット114の接続は、磁石、バヨネット、掛け金および止め具、一致する陥凹を有するタブもしくはリブ、またはヘッドユニット114とバックプレート112との合致部分に対する単純な摩擦を使用して実現され得る。一部の実施形態によれば、ヘッドユニット114は、バッテリー108と、通信構成部分110と、知能構成部分116と、ディスプレイドライバー126(これは、たとえばユーザーインターフェイス104の一部であり得る)とを含む。バッテリー108は、HVACシステム制御回路もしくは利用可能な場合には共通のワイヤのいずれかからの電力取り入れ(電力盗取(power stealing)および/もしくは電力共有とも言われる)を介して取得されたバックプレート112からの電力を使用する再充電回路(これは、たとえば、知能構成部分116の一部であり得る、および/またはバックプレート112に含まれ得る)を使用して再充電され得て、これは同一の譲受人によって譲受された同時係属中の2011年2月24日に出願された米国特許出願第13/034,674号(顧客参照番号NES0006−US)および第13/034,678号(顧客参照番号NES0007−US)、ならびに2011年10月6日に出願された米国特許出願第13/267,871号(顧客参照番号NES0158−US)においてさらに詳細に記載されており、これらのすべてはすべての目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。一部の実施形態によれば、バッテリー108は、再充電可能な単一セルリチウムイオン、もしくはリチウムポリマーバッテリーである。
【0032】
バックプレート112は、電子装置130と温度センサ132(これは、たとえばセンサ102のうちの1つであり得る)とをハウジング134内に含み、これらは換気口136を介して換気される。温度センサ132は、ヘッドユニット114が結合されていない場合であっても完全に機能するサーモスタットとしてバックプレート112を動作させる。ワイヤーコネクター138は、HVACシステムの構成部分を作動させるためのワイヤー、HVACシステムから電力を受け取るためのワイヤーなど、HVACシステムワイヤーへの接続を可能とするために設けられる。接続端子140は、ヘッドユニット114とバックプレート112との間の電気的接続を提供する雄型もしくは雌型プラグコネクターである。HVACへの接続および制御のためのさまざまな配置は、上記の米国特許出願第13/034,674号および第13/034,678号にさらに記載される。
【0033】
一部の実施形態において、バックプレート電子装置130は、MCUプロセッサと、HVAC制御回路を開閉するためのドライバー回路とを含み、これによって暖房および冷房などの1つ以上のHVAC機能をオンおよびオフする。また、電子装置130は、 一日のうちの異なる時間に効力を生じる一連のプログラムされた設定を記憶するために使用されるフラッシュメモリを含み、そのため、ヘッドユニット114がバックプレート112に取り付けられていない場合であっても、プログラムされた設定(すなわち、所望の温度)が実行され得る。一部の実施形態によれば、電子装置130は、電力取り入れ回路(これは、ヘッドユニット114に設けられるものに追加され得る、または代替され得る)も含み、HVAC共通電力ワイヤーが利用可能でない場合であってもHVAC制御回路から電力を得る。
【0034】
特定の実施形態における装置100は、知的ネットワークに接続された学習サーモスタットであり、ヘッドユニット、バックプレート、ユーザーインターフェイス、通信構成部分、知能構成部分などのさまざまな構成要素を含む。しかしながら、当業者は、本願明細書において記載されるさまざまな動作を行なう装置が
図1Aおよび
図1Bに示される構成部分の数よりも小さい数もしくは大きい数の構成部分で等しく良好に動作することを理解する。したがって、
図1Aおよび
図1Bにおける装置100の描画は、本質的には例示であって本挟持の範囲を限定するものではないものとして考慮されるべきである。
【0035】
図2は、実施形態に係る、本願明細書においてさらに記載される装置、方法、システム、サービス、および/またはコンピュータプログラム製品のうちの1つ以上を適用可能なスマートホーム環境200の例を示す。描かれるスマートホーム環境は建造物250を含み、建造物250は、熱力学的挙動が予測される、たとえば、オフィスビル、ガレージ、モバイルホーム、または他のタイプの収容空間を含み得る。なお、装置は、アパートメント、コンドミニアム、もしくはオフィス空間などの建造物250の全体を含まないスマートホーム環境にも統合され得ることが理解される。さらに、スマートホーム環境は、装置を実際の建造物250の外の装置を制御することができる、および/またはその装置に統合され得る。実際、スマートホーム環境におけるいくつかの装置は、必ずしも物理的に建造物250内にある必要はない。たとえば、プールヒーターもしくはイリゲーションシステムを制御する装置は、建造物250の外に置かれ得る。
【0036】
スマートホーム環境200は、壁254を介して互いに少なくとも部分的に分離された複数の部屋252を含む。壁254は、内壁または外壁を含み得る。各部屋は、床256および天井258をさらに含み得る。装置は、壁254、床256、または天井258に取り付けられ得る、統合され得る、および/または支持され得る。スマートホーム環境200内に組み込まれ得るさまざまな装置は、さまざまな有用なスマートホームの目的のいずれかを提供するために互いにおよび/またはクラウドベースのサーバーシステムを用いてシームレスに統合される知的マルチセンシングネットワーク接続装置を含む。知的マルチセンシングネットワーク接続サーモスタット202は、周囲の天候特性(たとえば、温度および/または湿度)を検知するとともに暖房、換気、および空調(HVAC)システム203を制御し得る。なお、本願明細書においてはHVACシステムの制御が記載されているが、同様の原理が、暖房システム、空調システム、湿度制御システム、もしくはこれらの任意の組み合わせなどの他の温度/湿度制御システムを制御するために等しく適用され得ることを認識すべきである。1つ以上の知的ネットワーク接続マルチセンシング危険検知ユニット204は、住居環境における危険物および/または危険状態(たとえば、煙、火、または一酸化炭素)の存在を検知することができる。1つ以上の知的マルチセンシングネットワーク接続入力インターフェイス装置206は、「スマートドアベル」とも称され得て、人がある場所へ接近したことまたはある場所から離れたことを検知すること、可聴機能を制御すること、人が接近したことまたは離れたことを音声もしくは視覚手段を介して伝えること、またはセキュリティーシステムの設定を制御すること(たとえば、セキュリティーシステムを起動もしくは停止すること)を行なうことができる。
【0037】
一部の実施形態において、スマートホームは、スマートメーターなどの少なくとも1つのエネルギー消費メーター218を含み得る。エネルギー消費メーター218は、建造物250内またはその周囲で装置によって消費されたエネルギー(電気、ガスなど)の一部またはすべてを監視する。エネルギー消費メーター218は、所与の期間にわたって消費されたエネルギーの量をメーター218の表面に表示し得る。所与の期間は、たとえば、1秒、1分、1時間、1日、1月、1秒未満の期間、1ヶ月よりも長い期間、または1秒と1ヶ月との間の期間であり得る。一部の実施形態において、エネルギー消費メーター218は、たとえば1つ以上の所与の期間にわたって消費されたエネルギーの量、任意の特定の時間もしくは任意の特定の期間中におけるエネルギーの価格などのさまざまな情報をメーター218が伝送することを可能にする通信能力(有線または無線)を含み得る。また、通信能力は、メーターがさまざまな情報を受け取ることも可能にし得る。たとえば、メーターは、HVACシステム203などのスマートホームにおける1つ以上の装置を制御する命令、任意の特定の時間もしくは任意の特定の期間中におけるエネルギーの価格などを受け取り得る。建造物250の中またはその周りにおける装置の制御を容易にするために、メーター218は、このような装置に有線もしくは無線で接続され得る。
【0038】
複数の知的マルチセンシングネットワーク接続壁照明スイッチ208の各々は、周囲の照明状況を検知することができ、部屋の在室状態を検知することができ、1つ以上の照明の電力状態および/または薄暗い状態を制御することができる。一部の例において、照明スイッチ208は、天井ファンなどのファンの電力状態もしくは速度をさらにまたは代替的に制御することができる。複数の知的マルチセンシングネットワーク接続壁プラグインターフェイス210の各々は、部屋もしくは包囲空間における在室を検知することができるとともに、1つ以上の壁プラグへの電力の供給を制御することができる(たとえば、家に誰もいない場合に電力が供給されないように)。スマートホームは、冷蔵庫、ストーブおよび/もしくはオーブン、テレビ、洗浄機、ドライヤー、照明(建造物250の内側および/もしくは外側)、ステレオ、インターコムシステム、ガレージドア開閉装置、床ファン、天井ファン、家全体ファン、壁空調、プールヒーター214、イリゲーションシステム216、セキュリティーシステムなどの複数の知的マルチセンシングネットワーク接続機器212をさらに含み得る。
図2の記載は特定の装置に関連付けられた特定のセンサおよび機能性を識別することができる一方、任意のさまざまなセンサおよび機能性(明細書の全体にわたって記載されるものなど)が装置に統合され得ることが理解される。
【0039】
処理および感知能力を含むことに加え、スマートホーム環境200内の装置の各々は、スマートホーム環境200内の任意の他の装置ならびにアクセス装置266および/またはリモートサーバー264などのスマートホーム環境240外の任意の装置とデータ通信および情報共有をすることができる。装置は、任意のさまざまな慣習的もしくは標準的な無線プロトコル(Wi-Fi、ZigBee、6L0WPAN、IR、IEE 802.1 1、IEEE 802.15.4など)を介して、および/または任意のさまざまな慣習的もしくは標準的な有線プロトコル(CAT6 Ethernet(登録商標)、HomePlugなど)を介して通信を送受信することができる。壁プラグインターフェイス210は、無線もしくは有線リピータとしての役割を果たし得る、および/または(i)ACコンセントに接続されてHomeplugもしくは他の電力線プロトコルを使用して通信する装置と(ii)ACコンセントに接続されない装置とのブリッジとして機能し得る。
【0040】
たとえば、第1の装置は、無線ルーター260を介して第2の装置と通信し得る。装置は、ネットワーク262などのネットワークへの接続を介して遠隔装置とさらに通信し得る。ネットワーク262を通じて、装置は中央(すなわち、リモート)サーバーまたはクラウドコンピューティングシステム264と通信し得る。リモートサーバーまたはクラウドコンピューティングシステム264は、装置と関連付けられた製造者、支援団体、もしくはサービスプロバイダーに関連付けられ得る。一実施形態において、ユーザーは、電話もしくはインターネットに接続されたコンピュータなどの他の通信手段を必要とすることなく装置自体を使用してカスタマーサポートに連絡することが可能であり得る。
【0041】
装置のネットワーク接続は、さらにユーザーが装置の近くに居なくともユーザーが装置と対話することができるようにし得る。たとえば、ユーザーは、コンピュータ(たとえば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、もしくはタブレット)または他のポータブル電子装置(たとえば、スマートフォン)266を使用して装置(たとえば、サーモスタット202)と通信することができる。ウェブページまたはアプリケーションは、ユーザーから通信を受け取って通信に基づいて装置を制御する、および/または装置の動作についての情報をユーザーに提示するように構成され得る。たとえば、ポータブル電子装置266がサーモスタット202との対話に使用されている場合、ユーザーは、サーモスタットの現在の設定温度を見て、ポータブル電子装置266を使用してそれを調節することができる。ユーザーは、この遠隔通信時には建造物内にあり得る、または建造物外にあり得る。ポータブル電子装置266とサーモスタット202との間の通信は、リモートサーバー264を介してルーティングされ得る(たとえば、ポータブル電子装置266が建造物250から遠隔にある場合)、または一部の実施形態においてリモートサーバー264を除いてルーティングされ得る。
【0042】
また、スマートホーム環境200は、壁プラグインターフェイス210によって粗くとも(ON/OFF)制御され得る、古い従来の洗浄機/ドライヤーおよび冷蔵庫などのさまざまな非通信レガシー機器240を含み得る。スマートホームは、IR制御される壁空調もしくは他のIR制御される装置などのさまざまな部分的に通信するレガシー機器242をさらに含み得て、レガシー機器242は、危険検知ユニット204もしくは照明スイッチ208によって提供されるIR信号によって、または一部の実施形態において、壁プラグインターフェイス210と通信する電力線などのソケットベースの通信プロトコルを使用することによって、制御され得る。
【0043】
特定の実施形態におけるスマートホーム200は、すべてが互いに通信するよう動作可能である、ならびにリモートサーバー264などのスマートホーム200の外部の装置もしくはシステムと通信するよう動作可能な複数のクライアント装置およびアクセス装置を含む環境である。しかしながら、当業者は、このような環境が
図2に示される構成部分の数よりも小さい数または大きい数の構成部分を有して等しく良好に動作し得ることを理解するであろう。異なる機能性を有するさまざまな要素を含むスマートホーム環境の1つの特定の例は、2012年9月21日に出願された米国特許仮出願第61/704,437号に詳細に記載され、そのすべての内容はあらゆる目的のために本願明細書の全体において引用により援用される。したがって、
図2のスマートホーム環境200の描画は、本質的に例示として考慮され、本教示の範囲を限定するものではない。
【0044】
図3は、実施形態に係る、
図1および/または
図2のスマートホームが統合され得る拡張可能な装置およびサービスプラットフォームをネットワークレベルで示す図である。
図2を参照して論じた知的ネットワークに接続された装置の各々は、1つ以上のリモートサーバーもしくはクラウドコンピューティングシステム264と通信することができる。通信は、直接的に(たとえば、無線キャリアへの3G/4G接続を使用して)、またはハブ化ネットワーク(単純な無線ルーターから、たとえば知的専用家全体制御ノードにまでおよぶスキームであり得る)を通じて、またはこれらの任意の組み合わせを通じて、ネットワーク262への接続を確立することによって可能となり得る。
【0045】
リモートサーバーもしくはクラウドコンピューティングシステム264は、スマートホーム装置から動作データ302を収集することができる。たとえば、装置は、定期的に動作データを送ることができる、または特定のインスタンスにおいて(たとえば、カスタマーサポートへ要求する時)動作データを送ることができる。リモートサーバーもしくはクラウドコンピューティングアーキテクチャ264は、1つ以上のサービス304をさらに提供することができる。サービス304は、たとえば、ソフトウェアアップデート、カスタマーサポート、センサデータ収集/記録、リモートアクセス、遠隔もしくは分散制御、または使用提案(たとえば、収集された動作データ304に基づいて性能の向上やユーティリティコストの減少などを行なう)を含み得る。サービス304に関連付けられたデータは、リモートサーバーもしくはクラウドコンピューティングシステム264に記憶され得る、およびモートサーバーもしくはクラウドコンピューティングシステム264は、データを検索して適切な時間に送信し得る(たとえば、規則的な間隔、ユーザーからの要求を受け取った時など)。
【0046】
記載された拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームの1つの顕著な特徴は、
図3に示されるように、制限なく、単一のデータ処理サーバー307(これは、リモートサーバー264に含まれ得る、またはそれとは別個であり得る)に集中し得る、またはいくつかの異なるコンピューティング主体間で分配される、処理エンジン306である。処理エンジン406は、装置の集合からデータを受け取る(たとえば、インターネットもしくはハブ化ネットワークを介して)、データをインデクシングする、データを分析する、および/または分析に基づいて、もしくは分析の一部として統計を生成するように構成されたエンジンを含み得る。分析されたデータは、抽出データ308として記憶され得る。分析の結果もしくは統計は、その後、結果を抽出するために使用されるopsデータを提供する装置、装置のユーザーに対してウェブページを提供するサーバー、または他の非装置主体に対して送信され得る。たとえば、使用統計、他の装置の使用と比した使用統計、使用パターン、および/またはセンサの読み取りをまとめた統計が送信され得る。結果または統計は、ネットワーク262を介して提供され得る。この態様において、処理エンジン306は、スマートホームから取得した動作データからさまざまな有用な情報を抽出するように構成およびプログラムされ得る。単一のサーバーは、1つ以上のエンジンを含み得る。
【0047】
抽出されたデータは、さまざまな有用な目的についてさまざまな異なる粒度において高度に有益なものとなり得て、その範囲は、家あたり、近隣あたり、もしくは領域あたりの装置の明示的なプログラム制御から(たとえば、電気ユーティリティについての需要応答プログラム)、家あたりに支援することができる推理(推測)抽象の生成(たとえば、家の所有者が休暇のために離れているという推理を引き出すことができ、セキュリティ検知設備の感度を高めることができる)や、政治もしくは公益目的に使用することができる統計および関連する推理抽象の生成に及ぶ。たとえば、処理エンジン306は、装置の個体群にわたる装置の使用についての統計を生成し、その統計を装置のユーザー、サービスプロバイダー、または他の主体(たとえば、統計に対する金銭的な補償を要求する、またはそれを提供し得るもの)へ送ることができる。具体的な例示として、統計は、慈善団体322、政府団体324(たとえば、食品医薬品局または環境保護局)、学術研究機関326(たとえば、大学研究者)、事業体328(たとえば、関連する機器に対する装置保証もしくはサービスを提供する)、またはユーティリティ会社330へ送信され得る。これらの主体は、エネルギー使用を減少させるプログラムを形成すること、障害のある機器に対して先制的に対処すること、高いサービス需要に対して準備すること、過去のサービス実績などを追跡すること、または現在知られているもしくは今後開発されるさまざまな有益な機能もしくはタスクのいずれかを行なうことにデータを使用し得る。
【0048】
図4は、実施形態に係る、処理エンジン306およびスマートホームの装置を特に参照した、
図3の拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームを示す抽象的な機能図である。スマートホームに位置する装置は無数のさまざまな異なる個々の性能および制限を有し得るが、これらすべては、各々がデータ消費部402(DC)、データ源404(DS)、サービス消費部406(SC)、およびサービス源408(SS)である点において、共通の特徴を共有するものと考えることができる。有利に、局所的および即時の目的を実現するために装置に必要となる必須の制御情報を提供することに加え、拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームは、これらの装置から流出する大量のデータを利用するようにも構成され得る。装置の即時の機能に対する装置自体の実際の動作を向上もしくは最適化することに加え、拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームは、さまざまな有用な目的を実現するために、さまざまな自動化された、拡張可能な、柔軟な、および/またはスケーラブルな方法で、データを「再利用(repurposing)」するように導かれ得る。これらの目的は、たとえば、使用パターン、装置効率、および/またはユーザー入力(たとえば、特定の機能性を要求する)に基づいて事前に定義され得る、または適応的に識別され得る。
【0049】
たとえば、
図4は、複数のパラダイム410を含むものとして処理エンジン306を示す。処理エンジン306は、一次もしくは二次装置機能を監視および管理する被管理サービスパラダイム410aを含み得る。装置機能は、ユーザーによる入力が与えられた装置の適切な動作を確保すること、侵入者が住居に居る、もしくは住居に侵入しようと試みていることを推測する(および、たとえばこれに対応する)こと、装置に結合された設備の故障(たとえば、光バルブが焼切れた)を検知すること、エネルギー需要応答事象を実施する、もしくはそれに応答すること、または現在もしくは予測された未来の事象もしくは特徴についてユーザーに警告することを含み得る。処理エンジン306は、装置の使用に基づいてユーザーの特徴(たとえば、人口学的情報)、要望、および/または興味のある製品を推測する広告/通信パラダイム410bをさらに含み得る。そして、サービス、プロモーション、製品、またはアップグレードが、ユーザーに対して提示され得る、または自動的に提供され得る。処理エンジン306は、ソーシャルパラダイム410cをさらに含み得る。ソーシャルパラダイム410cは、ソーシャルネットワークからの情報を使用する、ソーシャルネットワークに情報を提供する(たとえば、装置の使用に基づく)、および/またはソーシャルネットワークプラットフォームとのユーザーおよび/もしくは装置の対話に関連付けられたデータを処理する。たとえば、ソーシャルネットワーク上の信頼された連絡先へ報告されるユーザーのステータスは、光検知、セキュリティシステムの停止、もしくは装置使用検知器に基づいて、ユーザーが家にいる時を示すように更新される。他の例として、ユーザーは、装置使用統計を他のユーザーと共有することが可能であり得る。処理エンジン306は、課題/規則/コンプライアンス/報酬パラダイム410dを含み得る。 課題/規則/コンプライアンス/報酬パラダイム410dは、課題、規則、コンプライアンス規制、および/もしくは報酬についてユーザーに知らせる、ならびに/または課題が解決されたか、規則もしくは規制が守られているか、および/もしくは報酬が得られたかを判定するために動作データを使用する。課題、規則、または規制は、エネルギーを保存する努力、安全に生活する努力(たとえば、毒もしくは発癌物質への露出を減少させる)、お金および/もしくは設備寿命を維持する努力、健康を向上させる努力などに関連し得る。
【0050】
処理エンジン306は、外部ソースからの外部情報416を統合もしくは利用し、1つ以上の処理パラダイムの機能を向上させ得る。外部情報416は、装置から受け取った動作データを解釈すること、装置の近くの環境(たとえば、装置を囲む建造物の外側)の特性を判定すること、ユーザーが利用可能なサービスもしくは製品を判定すること、ソーシャルネットワークもしくはソーシャルネットワーク情報を識別すること、装置などの近くの主体(たとえば、緊急状態応答チーム、警察、または病院などの公共サービス主体)の連絡先情報を判定すること、家もしくは近所に関連付けられた統計的もしくは環境的な状態、傾向、もしくは他の情報を識別することなどに使用され得る。
【0051】
多大な範囲および多様性の利益は、記載された拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームによってもたらされ得る、およびその範囲内に適合し得て、通常のものから難解なものに及ぶ。したがって、1つの「通常のもの」の例において、スマートホームの各ベッドルームには、在室センサを含む煙/火/COアラームが設けられ得て、在室センサは、在室者が眠っているか起きているかを推測することもできる(たとえば、運動検知、顔認識、可聴音パターンなどによって)。深刻な火災事象が感知された場合、リモートセキュリティ/監視サービスもしくは消防署には、各ベッドルームには何名の在室者がいるか、およびこれらの在室者はまだ眠っているか(もしくは動けないか)、または在室者がベッドルームから適切に避難したかについて通知される。れは当然ながら記載された拡張可能な装置およびサービスのプラットフォームによって提供される非常に有利な性能である一方、利用可能となり得るより大きな「知能」の可能性を真に示し得る実質的により「難解な」例があり得る。恐らくより「難解なもの」の例では、火災時の安全のために使用されているベッドルーム在室データと同じデータは、近所の子供の成長および教育のソーシャルパラダイムのコンテキストにおいて処理エンジン306によって「再利用」もされ得る。したがって、たとえば、「通常のもの」の例において記載された同じベッドルーム在室および運動データは、特定のZIPコードにおける学童の睡眠パターンを識別および追跡し得る処理(適切に匿名化されている)のために収集され得るとともに利用可能とされ得る。学童の睡眠パターンについての局所的な違いが識別され得て、たとえば、地域の学校における異なる栄養プログラムに関連付けられ得る。
【0052】
図5は、実施形態による専用コンピュータシステム500を示すブロック図である。たとえば、クライアント装置100、スマートホーム環境200の要素、リモートサーバー264、処理エンジン306、データ処理サーバー307、または本願明細書に記載される他の電子構成部分のうちの1つ以上は、専用コンピュータシステム500として実施され得る。本願明細書において記載される方法および処理は、有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および/または本願明細書において記載される方法および処理の動作を行なうようにコンピュータシステムに指示するコンピュータプログラム製品によって同様に実施され得る。このようなコンピュータプログラム製品の各々は、コンピュータ可読記憶媒体上で表現される命令(コード)のセットを含み得て、命令(コード)のセットは、コンピュータシステムのプロセッサに対応する動作を行なうように指示する。命令は、連続的な順序で、または並行して(異なる処理スレッドによる)、またはこれらの組み合わせで実行するように構成され得る。
【0053】
専用コンピュータシステム500は、コンピュータ502と、コンピュータ502に結合されるモニター504と、コンピュータ502に結合される1つ以上の付加的なユーザー出力装置506(任意)と、コンピュータ502に結合される1つ以上のユーザー入力装置508(たとえば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチ画面)と、コンピュータ502内もしくはこれにアクセス可能な有形のコンピュータ可読記憶媒体512を含むコンピュータプログラム製品とを含む。コンピュータ可読記憶媒体512上に記憶される命令は、本願明細書において記載される方法および処理を行なうようにシステム500に指示し得る。コンピュータ502は、バスサブシステム516を介して複数の周辺機器と通信する1つ以上のプロセッサ514を含み得る。これらの周辺機器は、ユーザー出力装置506と、ユーザー入力装置508と、通信インターフェイス510と、有形のコンピュータ可読メモリの形態であるランダムアクセスメモリ(RAM)518および不揮発性記憶ドライブ520(たとえば、ディスクドライブ、光ドライブ、ソリッドステートドライブ)などの記憶サブシステムとを含み得る。
【0054】
コンピュータ可読記憶媒体512は、ランダムアクセスメモリ518へロードされ得る、不揮発性記憶ドライブ520に記憶され得る、またはそれ以外にコンピュータ502の1つ以上の構成部分にアクセス可能であり得る。各プロセッサ514は、Intel(登録商標)もしくはAdvanced Micro Devices, Inc.(登録商標)からのマイクロプロセッサなどのマイクロプロセッサを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体512を支援するために、コンピュータ502は、コンピュータ可読記憶媒体512と上記の構成部分との通信、およびコンピュータ可読記憶媒体512を支持する上記の構成部分間の通信を扱うオペレーティングシステムを実行する。例示的なオペレーティングシステムには、Microsoft CorporationからのWindows(登録商標)など、Sun MicrosystemsからのSolaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)などが含まれる。多くの実施形態において、および本願明細書に記載されるように、コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読記憶媒体(たとえば、ディスク、メモリチップなど)を含む装置(たとえば、ケースや読取り書込みヘッドなどを含むハードドライブ、ケースを含むコンピュータディスク、コネクターやケースを含むメモリーカードなど)であり得る。他の実施形態において、コンピュータプログラム製品は、命令セットもしくはコードモジュール自体を含み得る、およびコンピュータ可読記憶媒体上に具現化される。
【0055】
ユーザー入力装置508は、情報をコンピュータシステム502に入力する装置および機構のすべてのタイプを含む。これらは、キーボード、キーパッド、マウス、スキャナー、デジタル描画パッド、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン、音声認識システムなどの音声入力装置、マイクロフォン、および他のタイプの入力装置を含み得る。さまざまな実施形態において、ユーザー入力装置508は、典型的に、コンピュータマウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、無線リモート、描画タブレット、ボイスコマンドシステムとして具現化される。ユーザー入力装置508は、典型的に、ボタンをクリックするなどのコマンドを介してモニター504上に現れるオブジェクト、アイコン、およびテキストなどをユーザーが選択できるようにする。ユーザー出力装置506には、コンピュータ502からの情報を出力するためのすべての可能なタイプの装置およびメカニズムが含まれる。これらは、ディスプレイ(たとえば、モニター504)、プリンター、音声出力装置などの非視覚ディスプレイなどを含み得る。
【0056】
通信インターフェイス510は、他の通信ネットワークおよび装置に対するインターフェイスを提供し、有線もしくは無線通信ネットワーク522を介して他のシステム、WAN、および/またはインターネットからデータを受信する、およびこれらに対してデータを送信するためのインターフェイスとして機能し得る。通信インターフェイス510の実施形態は、典型的に、イーサネットカード、モデム(電話、衛星、ケーブル、ISDN)、(非同期)デジタル加入者線(DSL)ユニット、FireWire(登録商標)インターフェイス、USB(登録商標)インターフェイス、および無線ネットワークアダプターなどを含む。たとえば、通信インターフェイス510は、コンピュータネットワークまたはFireWire(登録商標)バスなどに結合され得る。他の実施形態において、通信インターフェイス510は、コンピュータ502の主回路基板上に物理的に統合され得る、および/またはソフトウェアプログラムなどであり得る。
【0057】
RAM518および不揮発性記憶ドライブ520は、実行可能なコンピュータコードもしくは可読コードなどを含む本発明のコンピュータプログラム製品の実施形態などのデータを記憶するように構成された有形のコンピュータ可読記憶媒体の例である。他のタイプの有形コンピュータ可読記憶媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、リムーバブルハードディスク、CD−ROMなどの光学記憶媒体、DVD、バーコード、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、バッテリーバックアップされた不揮発性メモリ、ネットワークに接続された記憶装置などを含む。RAM518および不揮発性記憶ドライブ520は、上述したような、本発明のさまざまな実施形態の機能性を提供する基本的なプログラミングおよびデータ構造を記憶するように構成され得る。
【0058】
本発明の機能性を提供するソフトウェア命令セットは、コンピュータ可読記憶媒体512、RAM518、および/または不揮発性記憶ドライブ520に記憶され得る。これらの命令セットもしくはコードは、プロセッサ514によって実行され得る。コンピュータ可読記憶媒体512、RAM518、および/または不揮発性記憶ドライブ520は、本発明に従って使用されるデータおよびデータ構造を記憶するリポジトリも提供し得る。RAM518および不揮発性記憶ドライブ520は、プログラムの実行時に命令およびデータを記憶する主ランダムアクセスメモリ(RAM)と定まった命令が記憶される読み取り専用メモリ(ROM)とを含む複数のメモリを含み得る。RAM518および不揮発性記憶ドライブ520は、 プログラムおよび/もしくはデータファイルの持続性(不揮発性)記憶部を提供するファイル記憶サブシステムを含み得る。RAM518および不揮発性記憶ドライブ520は、リムーバブルフラッシュメモリなどのリムーバブル記憶システムも含み得る。
【0059】
バスサブシステム516は、目的通りにコンピュータ502のさまざまな構成要素およびサブシステムが互いに通信することを可能とするメカニズムを提供する。バスサブシステム516は単一のバスとして概略的に示されているが、バスサブシステムの代替的な実施形態は、コンピュータ502内の複数のバスもしくは通信路を利用し得る。
【0060】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアでの実施のために、本願明細書において記載される機能を行なうモジュール(たとえば、手順、機能など)で方法が実施され得る。本願明細書において記載される方法の実施には、命令を明白に表現する任意の機械読取可能な媒体が使用され得る。たとえば、ソフトウェアコードがメモリに記憶され得る。メモリは、プロセッサ内もしくはプロセッサ外で実施され得る。本願明細書において使用される「メモリ」の用語は、長期、短期、揮発性、もしくは他の記憶媒体のうちの任意のタイプを言い、任意のタイプのメモリもしくは複数のメモリ、またはメモリが記憶される任意のタイプの媒体に限定されるものではない。
【0061】
また、本願明細書において記載されるように、「記憶媒体」の用語は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、および/または情報を記憶するための他の機械読取可能な媒体を含む、データを記憶するための1つ以上のメモリを表わし得る。「機械読取可能な媒体」の用語は、携帯可能もしくは固定記憶装置、光学的記憶装置、無線チャネル、ならびに/または命令および/もしくはデータを収容もしくは担持する記憶可能なさまざまな他の記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
【0062】
図6は、実施形態に係る、熱力学的挙動モデリングを実施するHVAC制御システム600の構成部分を示す。理解を容易にするために、システム600は
図1A、
図1B、
図2、および
図7を参照して説明されるが、システム600の実施形態は
図1A、
図1B、
図2、および
図7を参照して記載される例示的な装置およびシステムに限定されないことを理解すべきである。
【0063】
さまざまな実施形態に係るHVAC制御システム600は、HVACシステムを介して建造物の室内環境条件を知的に制御するためのさまざまなHVAC制御アルゴリズムを実施するように動作可能である。HVAC制御アルゴリズムのうちの1つ以上は、直接的もしくは間接的に、関連するHVACシステムの動作状態における建造物の環境的応答を予測する熱力学的予測に依存し得る。そして、熱力学的予測は、建造物の熱力学的モデルに少なくとも部分的に基づいて生成され得て、ここで熱力学的モデルは、HVAC作動状態の適用に応答して建造物の環境特性軌道を特徴付ける。特徴付けられた環境特性軌道は、室内温度および室内湿度を含むがこれらに限定されない、建造物に内在するさまざまな環境条件のうちの1つ以上の軌道であり得る。
【0064】
一部の実施形態に従うHVAC制御システム600は、HVAC制御要素610、熱力学的挙動予測要素620、および熱力学的モデル生成部630などのさまざまな構成部分を含む。これらの構成部分の各々は、物理的、論理的、もしくは通信可能に互いに結合され、一部の実施形態において、システム600の1つ以上の構成部分について本願明細書において記載される構造要素および/またはその機能性は、システム600の他の構成部分において同様に実施され得る。また、システム600の構成部分は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実施され得て、一実施形態においては、システム600の構成部分は、装置100において実施され得て、他の実施形態は、装置100以外の電子装置(たとえば、ポータブル電子装置266およびリモートサーバー264など、スマートホーム環境200に関連付けられた装置)において構成部分の一部もしくはすべてが実施され得ることからそこまで限定されない。
【0065】
HVAC制御要素610は、さまざまな理由のうちの1つ以上のために、建造物の熱力学的挙動の予測を取得して使用することを望み得るHVAC制御ロジックを含む。たとえば、サーモスタット202によって実施される1つ以上のHVAC制御アルゴリズムは、HVAC制御の正確性を高めるために建造物250の熱力学的挙動の予測に依存し得る。HVAC要素610は、さまざまな可能性におよぶHVACロジックを含み得て、たとえば、需要応答制御ユニット612、使用時間制御ユニット614、エアウェーブ制御ユニット616、および時間対温度制御ユニット618を含み、これらにおいて実施され得る。
【0066】
DR制御ユニット612は、DR事象について、たとえばHVAC203などのHVACシステムを制御するように動作可能であり得る。DR制御ユニット612は、このような制御を容易にするためのさまざまな制御ロジックを含み得て、一部の場合において、このような制御ロジックは、エネルギー消費をDR事象期間内(すなわち、エネルギー消費の減少が望まれる期間)からDR事象期間外の1つ以上の期間へ移行するようにHVACシステムを制御し得る。このような制御を行なう際に、DR制御ユニット612は、建造物の熱力学的挙動の1つ以上の予測に少なくとも部分的に依存し得る。DR事象に応答してHVACシステムを制御するためのさまざまな技術は、同一の譲受人によって譲受され、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/842,213号(参照番号NES0253−US)および同時に出願されて「Controlling An HVAC System In Association With a Demand-Response Event(需要応答事象に関連付けたHVACシステムの制御)」と題された米国特許出願第13/866,635号(参照番号NES0340−US)に記載されており、これら両方はあらゆる目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。
【0067】
使用時間(TOU)制御ユニット614は、動的なエネルギーの価格設定が存在する環境においてHVACシステムを制御するように動作可能であり得る。すなわち、消費者から見たエネルギーの単位あたりの価格は、一日の内で変化し得る。この場合におけるTOU制御ユニットは、動的な価格設定に従って1日のうちでエネルギーを効率的に消費しながら在室者の快適さの所望のレベルを実現するようにHVACシステムの制御を容易にするためのさまざまな制御ロジックを含み得る。このような制御を行なう際に、TOU制御ユニット614は、建造物の熱力学的挙動の1つ以上の予測に少なくとも部分的に依存し得る。使用時間HVACシステム制御を行なうためのさまざまな技術は、同一の譲受人によって譲受され、同時に出願され、「Automated Adjustment Of An HVAC Schedule For Resource Conservation(リソース確保のためのHVACスケジュールの自動調節)」と題された米国特許出願第13/866,578号(参照番号:NES0211−US)、および同一の譲受人によって譲受され、同時に出願され、「Controlling An HVAC System In Association With A Demand-Response Event(需要応答事象に関連づけたHVACシステムの制御)」と題された米国特許出願第13/866,635号(参照番号:NES0340−US)に記載されており、これら両方はあらゆる目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。
【0068】
エアウェーブ制御ユニット616は、HVACシステムの空調要素のための空気圧縮機およびファンを個別に制御するように動作可能であり得る。建造物の内部温度を所望の設定温度に到達させるように冷房する間、エアウェーブ制御ユニット616は、所望の設定温度に到達する前に圧縮機を切断もしくはオフし得て、他方でファンを特定期間にわたってオンにし続ける。このような場合においては、所望の設定温度を実現しながらも、HVACシステムによるエネルギー消費が減少し得る。このような制御を行なう際に、エアウェーブ制御ユニット616は、建造物の熱力学的挙動の1つ以上の予測に少なくとも部分的に依存し得る。HVACシステムの空調要素のための空気圧縮機およびファンを個別に制御するためのさまざまな技術は、同一の譲受人によって譲受された、2012年3月29日に出願された米国特許出願第13/434,573号(参照番号:NES0208−US)に記載されており、これはあらゆる目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。
【0069】
時間対温度制御ユニット618は、建造物の内部温度を所望の設定温度に到達させるためにHVACシステムに必要な時間を計算し、一部の実施形態においてユーザーに対して伝送するように動作可能であり得る。このような計算の使用は、ユーザーへの伝達に限らず、他のHVAC制御論理によっても使用され得て、制御ユニット618は、所望温度に到達するのに必要な時間の判定に限らず、特定の湿度レベルなどの他の室内環境特性に到達するのに必要な時間を判定するためのロジックも含み得る。室内環境特性に到達するのに必要な時間を判定する際に、時間対温度制御ユニット618は、建造物の熱力学的挙動の1つ以上の予測に少なくとも部分的に依存し得る。時間対温度制御を行なうためのさまざまな技術は、同一の譲受人によって譲受され、2011年1月4日に出願された米国特許出願第12/984,602号(参照番号:NES019−US)、および2012年9月30日に出願された米国特許出願第13/632,028号(参照番号:NES0124−US)に記載され、これら両方はあらゆる目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。
【0070】
なお、実施形態は、本願明細書において記載される特定の制御ユニットを含むHVAC制御要素610に限定されず、建造物の熱力学的挙動の予測に少なくとも部分的に依存する1つ以上のさまざまな制御装置を含み得ることを理解すべきである。このような予測を示す情報の取得を容易にするために、一部の実施形態においては、HVAC制御要素610、またはそこに含まれる1つ以上のユニットは、予測機関にわたり、建造物の熱力学的挙動の予測についての要求を熱力学的挙動予測要素620に伝送し得る。一部の特定の実施形態において、要求は、予期される室内温度プロフィール、予期される室内湿度プロフィール、または1つ以上の他の予期される室内環境特性を特徴付けるプロフィールについての要求を含み得る。要求は、要求を支持するさまざまな情報の一部もしくはすべてを含み得る、または情報を含み得ない。たとえば、要求は、予測機関にわたるHVACシステムの所望の制御を特徴付ける所望のHVAC制御軌道を含み得る。一部の実施形態におけるHVAC制御軌道は、たとえば、予測機関についての設定温度のスケジュールであり得る。
【0071】
熱力学的挙動予測要素620は、所望のHVAC制御軌道に少なくとも部分的に応答して建造物の熱力学的挙動を予測するように動作可能な演算ロジックを含む。熱力学的挙動予測要素620は、HVAC状態制御シミュレータ622および室内温度予測部624など、このような予測を生成するさまざまな演算ロジックを含み得る。
【0072】
HVAC状態制御シミュレータ622は、所望の環境条件(たとえば、所望の室内温度)および現在の環境条件(たとえば、現在の室内温度)に基づいてHVACシステムの1つ以上の段階の動作をシミュレーションするように動作可能である。HVAC段階の動作をシミュレーションする際に、HVAC状態制御シミュレータ622は、所望の環境条件(たとえば、所望の室内温度)を示す情報、および対応する現在の環境条件(たとえば、現在の室内温度)を示す情報を受け取り、HVAC段階制御ロジックのセットを適用し、1つ以上のシミュレーションされたHVAC作動状態を示す情報を判定および出力し得る。たとえば、温度制御シミュレーションにおいて、所望の室内温度が現在の室内温度よりも高い場合、HVAC状態制御シミュレータ622は、1つ以上のHVAC暖房段階の動作を示す情報を出力し得る。同様に、所望の室内温度が現在の室内温度よりも低い場合、HVAC状態制御シミュレータ622は、1つ以上のHVAC冷房段階の動作を示す情報を出力し得る。なお、実施形態はこれらの特定の例に限定されないことを認識すべきである。たとえば、HVACシステムは、ファン段階、第1および第2の暖房段階、緊急暖房段階、第1および第2の冷房段階、加湿器段階などのさまざまな段階のうちの1つ以上を含み得て、ここで段階は、個別に(もしくは互いに依存して)作動し得る。
【0073】
室内温度予測部624は、HVAC段階のシミュレーションされた動作状態状態に応答して現在の環境条件における予期される変更(たとえば、現在の室内温度における変更)を判定するように動作可能である。現在の環境条件における予期される変更を判定する際に、室内温度予測部624は、HVAC制御システムの影響下において熱力学的どのように建造物が挙動するかを特定する建造物の熱力学的モデルに依存し得る。一部の比較的単純な場合において、建造物の熱力学的モデルが1つのみ存在し得て、したがって室内温度予測部624は、建造物の環境条件における予期される変更を判定するためにその単一のモデルに依存し得る。しかしながら、他の場合においては、複数のモデルが存在し得て、この場合に室内温度予測部624は最も好適なモデルを使用し得る。たとえば、段階1暖房が作動している段階にモデルが対応付けられる、段階1冷房が作動している段階にモデルが対応付けられる、ならびに段階1暖房および作動中のファンにさらに異なるモデルが対応付けられるなど、異なるHVAC作動状態に異なるモデルが対応付けられ得る。したがって、最も好適なモデルは、HVAC状態制御シミュレータ622によって、およびHVAC状態制御シミュレータ622によって受け取られた1つ以上のシミュレーションされたHVAC作動状態を示す情報によって定義されるように、どのHVAC段階が作動されるかに応じ得る。なお、一部の実施形態において、たとえば、適用されたモデルが建造物の最近の挙動特性を正確に反映すること確実にするように、熱力学的モデルは時間の経過とともに修正され得ることを認識すべきである。
【0074】
現在の環境条件における予期される変更を判定する際に、熱力学的モデルに加え、室内温度予測部624は、さまざまな情報を取得および使用し得る。たとえば、室内温度予測部624は、予期される室外環境特性(たとえば、予期される室外温度)、予期される建造物環境特性(たとえば、建造物の予期される温度)、環境特性が判定される建造物にローカルな時間などの情報を取得および使用し得る。一部の特定の実施形態において、建造物の予期される熱力学的挙動を判定する際に、このような情報の一部もしくはすべてが熱力学的モデルとともに使用され得る。
【0075】
一部の特定の実施形態において、熱力学的挙動予測要素620は、所望の環境条件を示す情報として設定温度のスケジュール(T
schedule)を受け取り得る。スケジュールT
scheduleは、離散時間要素のベクトルとして実施され得て、ここで各要素はT
schedule(k)によって表される。熱力学的挙動予測要素620は、ベクトルT
scheduleによって定義された設定温度をHAC状態制御シミュレータ622に対して連続的に適用し得る。そして、HVAC状態制御シミュレータ622は、各設定温度について、適切なHVAC作動状態を判定する。HVAC作動状態は、離散時間要素U(k)のベクトルとして同様に実施され得て(各HVAC段階について)、ここで各要素は、対応するスケジュール要素T
schedule(k)の入力に応答してHVAC状態制御シミュレータ622によって連続的に出力される。そして、各離散時間要素U(k)は、室内温度予測部624に適用され得て、室内温度予測部624は、各要素U(k)について、室内温度の予期される変更T
indoor(k+1)を判定および出力する。室内温度の予期される変更T
indoor(k+1)を増分するたびに、HVAC状態制御シミュレータ622にフィードバックされ、HVAC状態制御シミュレータ622は、入力設定温度との比較のために予期される室内温度を判定し得る。ひとたびすべての時間ステップがシミュレーションされ、全予測期間がシミュレーションされると、離散したHVAC作動状態要素U(k)が集められ、予期されるHVAC動作制御起動が生成されるとともに、室内温度の予期される変更T
indoor(k+1)が集められ、予期される室内温度プロフィールが生成される。
【0076】
熱力学的モデル生成部630は、熱力学的挙動予測要素620によって使用される熱力学的モデルを識別するとともに一部の実施形態において生成するように動作可能な演算ロジックを含む。一部の実施形態において、熱力学的挙動予測要素620は、熱力学的モデル生成部630に結合される、またはそれ以外にこれと通信し得る。建造物の予期される熱力学的挙動を判定するように熱力学的挙動予測要素620が要求される状況において、熱力学的予測要素620は、熱力学的モデル生成部630から熱力学的モデルを要求し得る。建造物の環境特性軌道を特徴づけるために単一のモデルが使用される場合において、要求は、そのモデルの現在のバージョンを単に要求し得る。複数の異なるモデルが使用される場合において、要求は、熱力学的モデル生成部630が最も好適なモデルを識別もしくは生成することを支援するためにHVACシステムの作動状態を識別する情報を含み得る。
【0077】
上述のように、室内温度予測部624は、建造物の環境特性軌道を特徴付けるための建造物の熱力学的モデルを取得し得る。一部の特定の実施形態において、モデルは、HVACシステムの作動状態に応じた環境特性軌道に対する複数の基底因子の貢献を特徴付ける事前に選択された所定の複数の基底関数に基づいて構築され得て、基底因子の一部は直接的な物理的重要性を有し、その他は結合性の数学的な重要性を有する。基底関数は、たとえば、所与のHVAC段階からの効果、前サイクルからの効果、室外温度と室内温度との差、建造物温度と室内温度との差、および環境因子以外の因子による効果などを示すさまざまな関数のうちの1つ以上を含み得る。一部の特定の実施形態において、基底関数は、以下のうちの1つ以上を含む。
【0078】
(a)現在のサイクルの始めは大部分を占めるが最終的に消失する前サイクルからの初速度であって、(1−g(t
cycle))×rで表わされる。
【0079】
(b)ゼロで始まり、約2×t
steady-stateで最大に達し、その後ゆっくりと減少する所与の段階からの一次効果であって、g(t
cycle))×exp(−σt
cycle)で表わされる。
【0080】
(c)室外温度と室内温度との差の効果であって、T
out−T
inで表わされる。
(d)建造物温度と室内温度と差の効果であって、T
structure−T
inで表わされる。
【0081】
(e)太陽光の効果を近似する時刻(現地時間)の効果であって、sin(2πmod(t,1))で表わされる。
【0082】
(f)環境因子による影響を受けないエネルギー変化を表わす定数。
ここで、g(t
cycle)=1/(1+exp(−γ×(t
cycle−t
steady-state)))において、rはサイクルの始めにおける温度変化の初速度であり、σおよびγは定数である。簡単に
図7を見ると、
図7は、実施形態に係るg(t
cycle)の例を示す。さらに、tは現地時間の時刻であり、t
cycleは現在のサイクルの始めからの経過時間であり、t
steady-stateは定常状態の活動が早期のサイクルの活動を超え始めるサイクルの推定時間であり、T
inは室内温度であり、T
outは室外温度であり、T
structureは建造物温度であり、Uは、段階1暖房、段階2暖房、段階2冷房、予備暖房、ドリフト/HVACオフなどの活動的なHVAC段階である。なお、各段階は特定の状態に関連付けられ得ることを認識すべきである。状態は、相対的にエネルギー消費の高い第1の状態(たとえば、オン状態)と、相対的にエネルギー消費の低い第2の状態(たとえば、オフ状態)とを含み得て、ここで第1の状態は第2の状態と比してエネルギー消費が高く、第2の状態は第1の状態と比してエネルギー消費が低い。一部の実施形態において、状態は、必ずしもオンおよびオフ状態に限定されず、制御信号の異なる振幅を有する状態を含み得る。たとえば、HVAC作動状態は、オン状態の勾配を含み得る。
【0083】
これらの基底関数の一部もしくはすべては、熱力学的モデルを形成するさまざまな方法に組み合わされ得る。さらに、付加的もしくは代替的な基底関数が使用され得る。多くの実施形態において、各基底関数は重み付けされ、ここで特定の重み付けは、たとえばフィッティングアルゴリズム(後に説明する)によって動的に判定され得る。上記の基底関数の重み付けされたバージョンを含む1つの特定の熱力学的モデルは、以下のように表わされ得る。
【0084】
ΔT
iin=(1-g(t
icycle))×r+w
j1×g(t
icycle))×exp(-σt
icycle)+w
j2(T
iout-T
iin)+w
j3(T
istructure-T
iin)+w
j4×sin(2πmod(t
i,1)+w
j5
ここで、w
j1、w
j2、w
j3、w
j4、およびw
j5は、各基底関数に対応する重み係数であり、ΔT
i+1in=T
i+1in-T
iinである。
【0085】
動作時において、熱力学的挙動予測要素620は、建造物の熱力学的挙動をシミュレーションする前にさまざまな情報を取得し得る。たとえば、熱力学的挙動予測要素620は、重み係数w
j1、w
j2、w
j3、w
j4、およびw
j5についての値を熱力学的モデル生成部630から取得し、予測期間にわたる予期される室外温度T
outを遠隔の主体から取得し、定数σおよびγについての値を取得し得る。熱力学的挙動予測要素620が入力された所望の環境条件の時間シーケンスを通して進行するにつれ、予測期間中の所与の時間に予測された室内温度は、予測において後続の時間における熱力学的挙動を予測するためのT
iinなどの入力として使用され得る。
【0086】
一部の実施形態において、建造物の温度T
structureは、このような情報を検知するように動作可能な1つ以上のセンサー(たとえば、建造物の壁に結合された温度センサー)を使用して判定され得る。しかしながら、他の実施形態において、建造物の温度は、直接的に取得されず、評価され得る。建造物温度の評価において、初期建造物温度が特定の時間において室内温度に設定され得る。時間は、建造物内もしくは建造物周りの環境特性の移行時間として選択され得る。たとえば、時間は、一日のうちの暑い期間が涼しい期間へ移行する時間として選択され得る。これは、たとえば、特定の期間にわたる最高温度および最低温度を判定し、その期間にわたる平均温度を判定し、平均温度に達する時間を判定することによって判定され得る。いくつかの環境において、これは、午後11時、深夜、午前1時、午後11時と午前1時との間の時間、または午後11時より後もしくは午前1時より前であり得る。
【0087】
移行時間がひとたび判定されると、初期建造物温度がその時間の室内温度に設定され得て、そしてその後の複数の連続的な時間の各々について、重み付けされた以前の室内温度と室外温度との組み合わせとして建造物温度が判定され得る。重み付けは、建造物温度の評価において室内温度および室外温度が等しく考慮されるように互いに等しくなり得る、または互いに異なり得る。たとえば、建造物温度は、時間ステップnにおいて、最初にT
0structure=T
midnightinとし、そして深夜の後の連続的な時間について更新ルールT
istructure=(1-α-β)T
i-1structure+αT
iin+βT
ioutを使用することによって推定され得る。ここで、T
0structureは建造物の初期温度であり、T
midnightinは深夜の室内温度であり、αおよびβは0と1の間の定数である。
【0088】
なお、サイクルの始めの活動とサイクルの中間および最後の活動との間で区別が行なわれ、ここでサイクルは特定のHVAC作動状態に従ってHVACシステムが作動する期間であることを認識すべきである。サイクルの始めにおいて(たとえば、最初の5〜10分)、早期サイクル活動が起こる。この早期サイクル活動中は、温度変化の大部分が前サイクルから持ち越され、HVACは上昇を始める。サイクルの開始後(たとえば、10分後)、定常状態の活動が起こり、ここでHVAC効果は、温度が設定温度に移動して室外温度から離れるにつれて減少し、室外温度、建造物温度、および時刻の変化が温度プロフィールに大きく影響を与える。本願明細書において使用される「サイクル」は、考慮されるモデルについて対象となるエネルギー消費パラメーター(すなわち、作動段階)に対して特定のHVAC作動状態が効果を生じる期間をいう。たとえば、対象となるパラメーターが単に暖房がオンもしくはオフかであるというシナリオを考える。単純な単一段階HVACシステムにおいて、HVACがオンとなってオフとなる時間は、2つの異なる連続的なサイクルを表わす。しかしながら、暖房段階およびファンなどの複数の段階を有するより複雑なHVACシステムにおいては、ヒーターがオンとなって(ファン状態に関わらず)、その後にヒーターがオフとなる(ファン状態に関わらず)となる時間は、2つの異なる連続的なサイクルを表わす。このより複雑なシステムにおいて、特定のモデルについて対象となるパラメーターがヒーターの状態のみに関連付けられていることから、ファンの状態はサイクルの持続期間に影響を与えない。
【0089】
この挙動を捉えるために、g(t
cycle)が1/(1+exp(-γ×(t
cycle-t
steady-state))に等しくなるように設定され、ここでt
steady-stateは、前述のように、定常状態活動が早期サイクル活動を越え始めるサイクルにおける推定時間である。これは、単調な増加的ロジスティック関数(monotonic non-decreasing logistic function)であり、
図7に示されるように、サイクルの開始後にスムーズに増加する。
【0090】
なお、所与のサイクルの開始に伴う温度変化の初速度は、その形の大半が定常状態活動が開始する前に判定されることを理解すべきである。したがって、変数rは、サイクルの開始における温度変化の初速度として定義され得て、r
j=T
beginning of cycle j-T
end of cycle j-1となる。そして、各時間ステップiについて、変数rはr
i=r
j:iεjとして定義される。すなわち、任意の時点におけるrの値は、その点を含むサイクルの開始時のrの値であり得る。
【0091】
特定の実施形態におけるシステム600は、熱力学的挙動モデリングを実施し、さまざまな実施形態に係る、HVAC制御要素610、熱力学的挙動予測要素620、および熱力学的モデル生成部630などのさまざまな構成部分を含む。しかしながら、当業者は、本願明細書において記載されるさまざまな動作を行なうシステムは、
図6に示される構成部分の数よりも少ない数もしくは多い数の構成部分を用いても等しく良好に動作し得ることを理解する。したがって、
図6におけるシステム600の描画は本質的に例示であって本挟持の範囲を限定するものではないと考慮されるべきである。
【0092】
ここで
図8を見ると、
図8は、実施形態に係る熱力学的モデル生成部630を示す。熱力学的モデル生成部630は、HVAC作動状態の適用に応答して建造物の環境特性軌道を特徴付ける熱力学的モデルを識別および/または一部の場合において生成するように動作する。熱力学的モデル生成部630は、入出力ロジック632、モデルリターン制御部634、モデル記憶要素636、ならびにセンサー640、HVAC状態制御部642、およびクロック644に結合されたデータ取得ユニット638など、さまざまな構成部分を含む。熱力学的モデル生成部630は、データ記憶要素646、モデルフィッティングユニット648、およびモデルパラメーター記憶要素650をさらに含み得る。これらの構成部分の各々は、物理的、論理的、または通信可能に互いに結合され、一部の実施形態において、モデル生成部630の1つ以上の構成部分について本願明細書において記載される構造要素および/またはその機能性は、モデル生成部630の他の構成部分においても同様に実施され得る。また、モデル生成部630の構成部分は、ハードウェア、ソフトウェア、もしくはこれらの任意の組み合わせにおいて実施され得て、一実施形態においてはモデル生成部630の構成部分は装置100において実施され得て、他の実施形態は、構成部分の一部もしくはすべてが装置100以外の電子装置(たとえば、ポータブル電子装置266および/またはリモートサーバー264など、スマートホーム環境200に関連付けられた装置)において実施され得ることから、そこまで限定されない。
【0093】
熱力学的モデル生成部630は、熱力学的モデルについての要求に応答してモデルを識別および/または生成するように動作可能であり得る。ひとたびモデルが識別もしくは生成されると、熱力学的モデル生成部630は、モデルおよび/またはその構成部分を返し得る。たとえば、熱力学的挙動予測要素620から伝送されたモデルについての要求に応答して、モデル生成部630は、熱モデルを識別し、その熱モデルを予測要素620に伝送し得る。ここで、伝送されるモデルは、重み係数w
j1、w
j2、w
j3、w
j4、およびw
j5についての値など、モデルを特徴付ける1つ以上のモデルパラメーターを含み得る。一部の実施形態において、1つ以上のモデルは、要求が受け取られる時間に既に生成されたものであり得て、一部の状況において(たとえば、これらのモデルが未だ有効である場合、すなわち、リクエストを受け取る時間に対して比較的最近、たとえば24時間以内に取得されたデータに基づいて生成された場合)、既に生成されたモデルが返され得る。一部の実施形態において、要求は、モデルについて所望の特定性のレベルを示し得る。たとえば、モデルは、段階1および段階2のヒーターの両方が作動された時に作られたデータに基づいて生成されたものであり得る。要求は、段階1および段階2のヒーターが作動し、ファンも作動した場合に作られたデータに基づいて生成されたモデルを要求することを示し得る。要求に応じて、モデル生成部630は、既に生成されて要求されたレベルの特定性を満たし得る候補モデルを検索し得る。候補モデルが見付からなかった場合、新しいモデルが生成されて返される。1つの候補が見付かった場合、そのモデルが返され得る。複数のモデルが見付かった場合、最も限定的なモデルが返され得る。この特定の例において、既存のモデルは要求を満たすほど十分に特定的でない場合があり得て、この場合においては、要求に対して調整された新しいモデルが生成され得る。
【0094】
入出力ロジック632は、熱力学的モデル生成部630の構成部分を熱力学的挙動予測要素620などの他の構成部分に対して通信可能に連結するように動作可能なロジックを含む。したがって、入出力ロジック632は、熱モデルについての要求に対する応答を受け取り、解釈し、公式化し、伝送するように動作可能であり得る。
【0095】
モデルリターン制御部634は、モデルについての要求を分析すること、既存のモデルを検索すること、要求に応答して返す特定のモデルを識別すること、新しいモデルを生成するためにデータを取得するようにデータ取得ユニット638に指示すること、および新しいモデルについて重み係数をフィッティングさせるようにモデルフィッティングユニット648に指示することを含む、さまざまな動作を行なうように動作可能であり得る。モデルリターン制御部634は、入出力ロジック632、モデル記憶要素636、データ取得ユニット638、およびモデルフィッティングユニット648に結合され得る。
【0096】
モデル記憶要素636は、1つ以上の熱力学モデルとそのパラメーターを記憶し得る。たとえば、モデル記憶要素636は、特定のモデルで使用される基底関数、モデルにおいて使用される任意の定数の値、およびモデルにおいて使用される任意の重み係数の値を示す情報を含み得る。また、各モデルについて、モデル記憶素子636は、モデルの特定性レベルを示す情報を含み得て、ここで特定性レベルは、モデルを生成するために使用されたデータのタイプを示し得る。たとえば、特定性レベルは、モデルを生成するために使用されたデータに対してアクティブであった段階のタイプを示し得る。
【0097】
データ取得ユニット638は、熱力学的モデルの生成に使用するためのさまざまなデータを取得するように動作可能であり得る。たとえば、データ取得ユニット638は、室内温度、室外温度、室内湿度、在室など、感知された情報を受け取るための1つ以上のセンサー640に結合され得る。また、データ取得ユニット638は、時間経過に伴うHVAC作動状態(たとえば、暖房がオンとなっているか、段階2暖房がオンとなっているか、緊急暖房がオンとなっているかなど)を示すHVAC状態制御部642にも結合され得る。また、データ取得ユニット638は、センサー640およびHVAC状態制御部642によって受け取られた情報を較正するためのタイミング信号を提供し得るクロック644にも結合され得る。熱力学的モデル生成に使用され得るさまざまなタイプの情報は、同一の譲受人によって譲受され2010年9月14日に出願された米国特許出願第12/881,430号(参照番号:NES002−US)にさらに記載されており、全内容のすべてはあらゆる目的のために本願明細書に援用される。また、データ取得ユニット638は、データ取得ユニット638によって取得されるデータを記憶するように動作可能であり得るデータ記憶要素646にも結合され得る。
【0098】
モデルフィッティングユニット648は、基底関数の集合に関連付けられた基底関数重み係数を取得されたデータの一部もしくはすべてに対してフィッティングさせるように動作可能であり得る。これらの重み係数は、最小二乗フィッティングを含むがこれに限定されないさまざまなフィッティング技術のうちの1つ以上を使用してフィッティングされ得る。重み係数は、1日、3日、5日、7日、10日、14日、1から14の範囲の日数、または1未満であって14よりも大きい日数を含む任意の好適なデータの履歴を使用してフィッティングされ得る。重み係数をフィッティングする際に、モデルフィッティングユニット648は、モデルパラメーター記憶要素650に表現が記憶される1つ以上の基底関数を最初に識別し得る。たとえば、モデルフィッティングユニット648は、上記の基底関数のうちの1つ以上を識別および選択し得る。モデルを構築するために使用される基底関数がひとたび選択されると、上記の定数のうちの1つ以上など、これらの基底関数に関連付けられ得る任意の好適な定数が識別され、その値が判定され得る。そして、モデルフィッティングユニット648は、重み付けされた基底関数が建造物の過去の熱力学的応答を特徴付け、その後に建造物の未来の熱力学的応答を予測するために使用することができるように、取得データ要素646に記憶される適切な履歴データを判定し、この履歴データを使用して(ここで、適切なデータはモデル要求によって定義される)重み係数をその履歴データにフィッティングさせる。一部の実施形態において、モデルフィッティングユニット648は、現地の深夜から現地の深夜までなど、特定の期間のみにおいて生成されたデータを使用する。このような場合において、同じ基準に基づいているが同じ24時間の期間内に作られたモデルデータは互いに同一であり得ることから、モデルを生成する頻度は減少し得る。
【0099】
熱力学的モデル生成部630は、熱力学的モデルを識別、および/または一部の実施形態において生成するように動作し、入出力ロジック632、モデルリターン制御部634、モデル記憶要素636、データ取得ユニット638、データ記憶要素646、モデルフィッティングユニット648、およびモデルパラメーター記憶要素650などのさまざまな構成部分を含む。しかしながら、当業者は、本願明細書において記載されるさまざまな動作を行なうシステムは、
図8に示される構成部分の数よりも少ない数もしくは多い数の構成部分を用いても等しく良好に動作し得ることを理解する。したがって、
図8における熱力学的モデル生成部630の描画は本質的に例示であって本教示の範囲を限定するもではないものとして考慮されるべきである。
【0100】
図9は、実施形態に係る、関連付けられたHVACシステムの作動状態の起こり得る変化に対して予期される建造物の環境的応答を判定するための処理700の通信シーケンスを示す。理解を容易にするために、処理700は
図6から
図8を参照して記載されるが、処理700の実施形態は
図6から
図8を参照して記載される例示的なシステムおよび装置に限定されないことを理解すべきである。
【0101】
動作702において、HVAC制御要素610は、建造物の熱力学的挙動の予測についての要求を熱力学的挙動予測要素620に伝送する。一部の特定の実施形態において、要求は、予期される室内温度プロフィール、予期される室内湿度プロフィール、または1つ以上の他の予期される室内環境特性プロフィールについての要求を含み得る。要求は、要求を支援するさまざまな情報の一部もしくはすべてを含み得る、または全く含み得ない。たとえば、要求は、予測機関についての設定温度のスケジュールなど、予測機関にわたるHVACシステムの所望の制御を特徴付ける所望のHVAC制御軌道を含み得る。
【0102】
要求の受け取りに応答して、動作704において、熱力学的挙動予測要素620は熱力学的モデル生成部630から好適な熱力学的モデルを要求し得る。一部の実施形態において、要求は、モデルが適合するHVACシステムの1つ以上の段階の作動状態の表示など、モデルについての所望の特定性のレベルを示し得る。他の実施形態において、要求は、モデルを生成するために使用されるべき基底関数を合わせてもしくは代替的に示し得る。たとえば、一部の実施形態において、熱力学的挙動予測要素620によって使用される基底関数の数および選択は変更され得る、および/または熱力学的モデル生成部630は、いくつかの異なるモデルを記憶し得て、ここで異なるモデルにおいて異なる基底関数が使用される。このため、要求は、所与の時間においてどの特定の基底関数が熱力学的挙動予測要素620によって実施されているか、およびモデルを生成するのに使用される特定の基底関数を示し得る。
【0103】
熱力学的モデルについての要求の受け取りに応答して、動作706において、熱力学的モデル生成部630は、要求を満たす好適な熱力学的モデルを判定し得る。これは、最も好適なモデルについて既存のモデルを検索すること、および/または要求に応じて調整される新しいモデルを生成することを含み得る。
【0104】
ひとたび好適なモデルが識別されると、動作708において、モデルは熱力学的挙動予測要素620に返され得る。モデルを返す際に、任意の基底関数重み係数の値、基底関数と連動して使用される任意の定数の値、および一部の場合におけるモデルによって使用される基底関数の識別を示す情報など、さまざまな情報が伝送され得る。
【0105】
モデルの受け取りに応答して、熱力学的挙動予測要素620は、予測期間についての設定温度のスケジュールなど、モデルおよび所望のHVAC制御軌道に基づいて建造物の予期される熱力学的挙動を判定し得る。ひとたび予期される建造物の熱力学的挙動が判定されると、動作712において、これがHVAC制御要素610に返され得る。これは、たとえば、予期される室内温度プロフィール、予期される室内湿度プロフィール、予期されるHVAC動作軌道などのうちの1つ以上を返すことを含み得る。
【0106】
なお、
図9に示される特定の動作は、さまざまな実施形態に係る、関連付けられたHVACシステムの作動状態における起こり得る変化に対する建造物の予期される環境的応答を判定するための特定の処理を提供するものであることを理解すべきである。他の動作のシーケンスも代替的な実施形態に従って行われ得る。たとえば、本発明の代替的な実施形態は、上述の動作を異なる順序で行ない得る。また、
図9に示される個別の動作は、個別の動作に適するようにさまざまなシーケンスで行なわれ得る複数の下位動作を含み得る。さらに、付加的な動作が加えられ得る、または特定の用途に応じて既存の動作が取り除かれ得る。当業者は、多くの変更、修正、および代替を認識および理解する。
【0107】
図10は、実施形態に係る、好適な熱力学的モデルを判定するための処理を示す。理解を容易にするために、処理は
図6から
図9を参照して記載されるが、処理の実施形態は
図6から
図9を参照して記載される例示的なシステムおよび装置に限定されないことを理解すべきである。一部の実施形態において、および本願明細書に記載されるように、処理は動作706として実施され得る。しかしながら、本願明細書において記載される処理は動作706以外の動作において実施され得ることから、そこまで限定されないことを認識すべきである。
【0108】
動作706Aにおいて、熱力学的モデルについての要求が受け取られる。たとえば、熱力学的モデル生成部630は、熱力学的挙動予測要素620から伝送される熱力学的モデルについての要求を受け取り得る。
【0109】
動作706Bにおいて、時間情報、温度情報、およびHVAC作動状態情報が、HVACシステムが建造物の環境特性(たとえば、熱的環境)を制御する期間にわたって取得される。たとえば、データ取得ユニット638は、現地時間の時刻、現在のサイクルの開始からの経過時間、定常状態活動が早期サイクル活動を超え始めるサイクルにおける推定時間などの時間情報を取得し得て、ここでこのデータの一部もしくはすべては、内部もしくは外部クロック644から取得され得る。データ取得ユニット638は、室内温度、室外温度、建造物温度などの温度情報を取得し得て、ここでこのようなデータの一部もしくはすべては1つ以上のセンサー640から取得され得る。また、データ取得ユニット638は、たとえばHVAC状態制御部642から、HVAC作動状態情報を合わせてもしくは代替的に取得し得る。HVAC作動状態情報は、建造物の熱的環境をHVACシステムが制御する期間中にHVACシステムのどの段階が作動されたかを示し得る。
【0110】
動作706Cにおいて、複数の基底関数が識別され、ここでこれらの基底関数の重み付けされた組み合わせは、HVAC作動状態の変化に応答して建造物の室内温度軌道を特徴付ける。たとえば、前サイクルからの初速度、所与の段階からの一次効果、室外温度と室内温度との差の効果、建造物温度と室内温度との差の効果、時刻の効果、および環境因子による影響を受けないエネルギー変化を表わす定数を示す基底関数が識別され得る。
【0111】
動作706Dにおいて、基底関数に対応する複数の重み係数が判定され得る。たとえば、前述のw
j1、w
j2、w
j3、w
j4、およびw
j5などの重み係数が、これらを取得データに対してフィッティングすることによって判定され得る。
【0112】
動作706Eにおいて、重み係数を含む熱力学的モデルが返される。たとえば、重み係数w
j1、w
j2、w
j3、w
j4、およびw
j5の値を示す情報が、熱力学的モデル生成部630から熱力学的挙動予測要素620へ伝送され得る。
【0113】
なお、
図10に示される特定の動作は、実施形態に係る、好適な熱力学的モデルを判定するための特定の処理を提供するもであることを理解すべきである。他の動作のシーケンスも代替的な実施形態にしたがって行なわれ得る。たとえば、本発明の代替的な実施形態は、上記の動作を異なる順序で行ない得る。また、
図10に示される個別の動作は、個別の動作に適したさまざまなシーケンスで行なわれ得る複数の下位動作を含み得る。さらに、付加的な動作が加えられ得る、または既存の動作が特定の用途に応じて取り除かれ得る。当業者は、多くの変更、修正、および選択を認識および理解する。
【0114】
図8を参照して記載したように、熱力学的挙動予測要素620による使用のためにいくつかのモデルがモデル記憶要素636に記憶され得る。多くの実施形態において、特定の(たとえば、現地の)日においてモデルが最初に必要となった時、モデルが仕込まれ(すなわち、生成され)、そのパラメーターがモデル記憶要素636などのモデルキャッシュに記憶される。モデルがその後に後続の要求を満たすために使用される一方、一部の実施形態において、モデル記憶要素636に記憶されるモデルは、たとえば24時間後などの特定の期間の後には古くなり得る。一部の場合において、記憶されたモデルが有効である期間は、モデルを生成するために使用されたデータの期間に関連付けられ得る。ひとたびモデルが古くなると、モデル要求を満たすのにモデルが好適であり得ても、モデルは返されず、新しいモデルが生成され得る。
【0115】
上述のように、HVACシステムは、ファン、段階1暖房、段階2暖房などのいくつかの段階を含み得る。熱力学的モデルについての要求は、所望のレベルの特定性を示し得る。要求された基準を満たすモデルが存在する場合、このようなモデルが返され得る。それ以外に、要求された基準に特定的に調整される新しいモデルが生成されて返され得る。
【0116】
たとえば、一部の実施形態において、HVAC作動状態は、段階のバイナリー設定によって定義され得て、ここで各段階はバイナリーオン状態またはバイナリーオフ状態を有し得る。表1は、HVAC状態の例示的なシーケンスを示す。
【0118】
モデルについての要求を行なう際に、熱力学的挙動予測要素620は、「StageOneHeatがオンの時に有効である建造物についてのモデルをください」などの要求を行ない得る。しかしながら、このような要求の問題は、Fanが常に同時にオンであることからStageOneHeatのみがオンであるときに測定されたデータが無いことである。当然ながら、熱力学的挙動予測要素620は、Fanがオンであるかどうかを恐らく考慮することはない。このため、要求は、「StageOneHeatがオンであって他の段階を考慮しない場合に有効な建造物についてのモデルをください」など、実際にはより特定的であるべきである。しかしながら、この要求の問題は、表1に示すように、StageOneHeatがオンである場合のデータの一部は段階2加熱もオンである時に集められたものであり、StageTwoHeatデータがおそらくモデルを歪めることである。このため、モデルを要求する際には、熱力学的挙動予測要素620は、これらのスイッチの特定の設定に加え、どのスイッチを着にするかを指定すべきである。たとえば、熱力学的挙動予測要素620は、「StageOneHeatがオンであり、StageTwoHeatがオフであり、EmergencyHeatがオフであり、いずれの段階の設定も考慮しない場合に有効な建造物についてのモデルをください」などの要求を行ない得る。これらの複雑さから、モデルについての要求を行なう場合には、熱力学的挙動予測要素620は、考慮する段階のセットをマスクの形式で指定し得る。
【0119】
上記の最も具体的な要求の後、モデル記憶要素636には、以下から生成されるモデルが存在する。
【0120】
マスク:Fan−考慮しない;StageOneHeat−考慮する;StageTwoHeat−考慮する;EmergencyHeat −考慮する
作動状態:Fan−N/A;StageOneHeat−オン;StageTwoHeat−オフ;EmergencyHeat−オフ
任意の後続の要求「StageOneHeatがオンであり、段階2暖房がオフであり、EmergencyHeatがオフであり、いずれの他の段階の設定も考慮しない場合に有効な建造物についてのモデルをください」によって、同じモデルが得られ、再利用できる。
【0121】
この相当に厳密なモデルマッチングポリシーにおいては、いくつかの困難が生じる。第1に、「StageOneHeatがオンであり、すべての他のスイッチは考慮せず、これらをオフにしなければならない場合に有効な建造物についてのモデルをください」という任意の要求は、上記のモデルを使用することができない。なぜなら、これは、Fanがオンである場合に取られた一部のデータに仕込まれるためである。新しいモデルは、データのより小さい部分集合に対してフィッティングしなければならない。第2に、「StageOneHeatがオンであり、他のスイッチの設定を考慮しない場合に有効な建造物についてのモデルをください」という任意の要求もまた、このモデルを再利用することができない。なぜなら、モデルはStageTwoHeatがオンである場合のデータを使用していないためである。したがって、モデルは、利用可能なデータのすべてに仕込まれておらず、新しいモデルをより大きなデータの集合にフィッティングしなければならない。
【0122】
一部の実施形態において、モデルがフィッティング時に拡張され得る。上記の例を使用し、「StageOneHeatがオンであり、StageTwoHeatがオフであるが、FanまたはEmergencyHeatは考慮しない場合に有効な建造物についてのモデルをください」という要求は、同じモデルを再利用することができない。なぜなら、モデルはEmergencyHeatがオフであるデータに仕込まれているためである。このモデルについての要求において、熱力学的挙動予測要素620はEmergencyHeat設定については考慮せず、このため事前フィッティングされたモデルは十分に普遍化されていない。しかしながら、データから分かるように、EmergencyHeatオフにモデルがフィッティングされる場合、モデルフィッティングユニット648は、EmergencyHeatがオンである場合にデータが無いことに留意し得る。このため、「EmergencyHeatを考慮しない」という要求は、「EmergencyHeatがオフである場合」のモデルについてのより限定的な要求と全く同じ結果を得ることになる。したがって、モデルフィッティングユニット648は、モデルパラメーターを変更することなく、「EmergencyHeatをオフしなければならない」から「EmergencyHeatを考慮しない」へ早急に変更することができる。ここで、上記の第2の要求により普遍的なモデルを再利用することができる。当然ながら、新しいデータが集められてモデルが再フィッティングされる度に、再び同じ検証が行なわれ、EmergencyHeatがオフである場合のデータのみをが欲しいと指定するインスタンスについて熱力学的挙動予測要素620によって使用されるモデルにEmergencyHeatを伴う任意のデータが確実に入り込まないようにされる。
【0123】
一部の実施形態において、モデル定義は、フィッティング時に限定され得る。上記の例と同様に、「StageOneHeatがオンであって加湿については考慮しない」モデルについて要求が行なわれたと推定する。フィッティング時において、モデルフィッティングユニット648は、要求は加湿について考慮していないが実際は加湿は常にオフであることに留意し得る。フィッティングアルゴリズムがモデルにおけるその事実について留意する場合、「StageOneHeatがオンであり加湿をオフにしなければならない」という第2の後続の要求が同じモデルを再利用することができる。
【0124】
したがって、一部の実施形態において、モデルは、表2に示されるように各HVAC段階についてさまざまなビットを個別に追跡し続け得る。
【0126】
表2において、MaskEitherビットはフィッティングアルゴリズムへの入力であり、ここでモデル要求はこれをマスクパラメーターとして指定し得る。
【0127】
Onビットは、MaskEither=0の場合(すなわち、偽)、HVAC段階の設定が重要であると示し、Onは、ふぃっチングアルゴリズムへの入力としてモデル要求において指定され得る。
【0128】
Bothビットは、モデルフィッティングが完了した後のモデルフィッティングユニット648からの出力であり、モデルをフィッティングするために選ばれたデータを反映するように設定され得る。
【0129】
Onビットは、MaskEither=0(すなわち、真)であり、Bothビット=0(すなわち、全てのデータがオンまたはオフである)場合、このビットは、モデルをふぃっチングするために選ばれたデータを反映するためのモデルfひっちんぐユニット648からの出力でもある。
【0130】
ここで
図11を見ると、
図11は、他の実施形態に係る、好適な熱力学的モデルを判定するための処理を示す図である。理解を容易にするために、
図6から
図10を参照して処理が記載されるが、処理の実施形態は
図6から
図10を参照して記載される例示的なシステムおよび装置に限定されないことを理解すべきである。一部の実施形態において、および本願明細書に記載されるように、処理は動作706として実施され得る。しかしながら、本願明細書において記載される処理は動作706以外の動作において実施され得ることから、実施形態はそこまで限定されないことを認識すべきである。
【0131】
動作706AAにおいて、熱力学的モデルについての要求が受け取られる。たとえば、熱力学的モデル生成部630は、熱力学的予測要素620からこのような要求を受け取り得る。要求は、返されたモデルについての所望のレベルの特定性を示し得る。たとえば、要求は、モデルを調節したいHVAC段階およびこれらの段階の各々の作動状態を示すマスクを含む。
【0132】
動作706BBにおいて、要求を満たす任意の候補モデルについて、既存のモデルが検索される。たとえば、モデルリターン制御部634は、要求を満たす1つ以上のモデルについてモデル記憶要素636を検索し得る。このようなモデルは、所望のレベルの特定性または許容可能レベルの普遍性を有する場合に要求を満たし得る。
【0133】
動作706CCにおいて、検索の結果として、任意の候補モデルが見付かったかどうかが判定される。見付からなかった場合、処理は動作706DDへ続き、ここで新しい熱力学的モデルが生成される。新しい熱力学的モデルは、動作706Bから706Dを参照して論じた様に、たとえばモデルフィッティングユニット648を使用して生成され得る。さらに、新しい熱力学的モデルは、要求において示される特定性のレベルに基づいて生成され得る。
【0134】
ひとたび新しいモデルが生成されると、処理は動作706EEに続き得て、ここで新しいモデルが普遍化もしくは限定され得るかどうかが判定される。新しいモデルは、要求されたレベルの特定性を有するモデルを生成するために使用されるデータがより限定の小さいレベルを示すモデル要求も満たし得ると判定された場合、普遍化もしくは拡大され得る。同様に、新しいモデルは、要求されたレベルの特定性を有するモデルを生成するために使用されるデータがより限定的なレベルを示すモデル要求も満たし得ると判定された場合、限定され得る、もしくは縮小され得る。
【0135】
新しいモデルが普遍化もしくは限定され得る場合、処理は動作706FFへ続き得て、ここで新しいモデルが普遍化もしくは限定される。新しいモデルを普遍化/限定する際に、モデルが適用される異なるレベルの特定性を示す情報が、モデルに関連付けられ得る、およびモデル記憶要素636に記憶され得る。
【0136】
そして、処理は動作706GGへ続き得て、ここで新しいモデルが返される。たとえば、熱力学的モデル生成部630に伝送されたモデルについての要求に応答して、熱力学的モデル生成部630が新しいモデルを熱力学的挙動予測要素620に返し得る。
【0137】
動作706CCに戻り、モデル要求を十分に満たす利用可能な少なくとも1つの候補モデルがある場合、処理は動作706HHに続き得て、ここで複数の候補モデルがあるかどうかが判定される。モデルが1つのみある場合、動作706IIにおいてモデルが返され得る。そうでない場合、処理は動作706JJに続き得て、ここで候補モデルのうちの1つが返される。一部の実施形態において、最も限定的なモデルが返され得る。
【0138】
なお、
図11に示される特定の動作は、実施形態に係る、好適な力学的モデルを判定するための特定の処理を提供するものであることを理解すべきである。他の動作のシーケンスも代替的な実施形態にしたがって行なわれ得る。たとえば、本発明の代替的な実施形態は、上記の動作を異なる順序で行ない得る。また、
図11に示される個別の動作は、個別の動作に適したさまざまなシーケンスにおいて行なわれ得る複数の下位動作を含み得る。さらに、付加的な動作が加えられ得る、または特定の用途に応じて既存の動作が取り除かれ得る。当業者は、多くの変更、修正、および選択を認識および理解し得る。
【0139】
特定の詳細は、実施形態の完全な理解のために上の記載において与えられる。しかしながら、実施形態はこれらの特定の詳細が無くとも実施され得ることが理解される。たとえば、不必要に詳細にすることで実施形態を不明瞭なものとしないようにブロック図で示され得る。他の場合において、周知の回路、処理、アルゴリズム、構造、および技術が、実施形態の不明瞭化を避けるために不要な詳細を除いて示され得る。さらに、実施形態は、以下の同一の譲受人によって譲受された出願のうちの1つ以上に記載されるシステム、方法、装置などの一部もしくはすべてを含み得て、これらの各々はあらゆる目的のためにその全体が本願明細書において引用により援用される。上記の米国特許出願第13/842,213号、2012年9月13日に出願された米国特許出願第13/632,118号(参照番号:NES0119−US)、2012年9月30日に出願された米国特許出願第13/632,093号(参照番号:NES0122−US)、上記の米国特許出願第13/632,028号、2012年9月30日に出願された米国特許出願第13/632,041号(参照番号:NES0162−US)、2012年9月30日に出願された米国特許出願第13/632,070号(参照番号:NES0234−US)、上記の米国特許仮出願第61/704,437号(参照番号: NES0254−US)、2012年1月3日に出願されたPCT出願第PCT/US 12/20026号(参照番号:NES0185−PCT)、2012年1月3日に出願されたPCT出願第PCT/US12/00007号(参照番号:NES0190−PCT)、および2011年10月7日に出願された米国特許出願第13/269,501号(参照番号:NES0120−US)。
【0140】
上記の技術、ブロック、ステップ、および手段の実施は、さまざまな方法で行なわれ得る。たとえば、これらの技術、ブロック、ステップ、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実施され得る。ハードウェアによる実施については、演算処理装置は、1つ以上の特定用途向けIC(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、上記の機能を行なうように設計された他の電子ユニット、および/またはこれらの組み合わせにおいて実施され得る。
【0141】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として描画される処理として記載され得る。フローチャートは動作を逐次処理として記載し得るが、動作の多くは並列もしくは同時に行なわれ得る。加えて、動作の順序は再配置され得る。処理は動作が終了した時に終了するが、追加のステップは図には含まれ得ない。処理は、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに一致し得る。処理が関数に一致する場合、その終了は、呼出し関数もしくは主関数へ関数を戻すことに一致する。
【0142】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、記述言語、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、および/またはこれらの任意の組み合わせによって実施され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、記述言語、および/またはマイクロコードで実施される場合、必要なタスクを行なうためのプログラムコードもしくはコードセグメントは、記憶媒体などの機械可読記憶媒体に記憶され得る。コードセグメントまたは機械実行可能命令は、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、パッケージソフト、スクリプト、クラス、または命令、データ構造、および/もしくはプログラム文の任意の組み合わせを表わし得る。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメーター、および/またはメモリ内容を渡す、および/または受け取ることによって他のコードセグメントもしくはハードウェア回路に結合され得る。情報、引き数、パラメーター、データなどは、メモリ共有、メッセージの受け渡し、トークンの受け渡し、ネットワーク送信などを含む任意の好適な手段を介して渡され得る、転送され得る、または伝達され得る。
【0143】
本開示の原理は、特定の装置および方法に関連して上に記載されたが、この記載は例示のみであって本挟持の範囲に対する限定ではないことが明瞭に理解される。