(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
p型半導体ダイの第1の対向表面及び第2の対向表面の双方の各々上にn型エミッタ/コレクタ領域とp型ベース接触領域との双方を含む電力半導体素子をスイッチングする方法であって、
オン状態において、前記エミッタ/コレクタ領域の間に外部電圧差が印加されると、前記エミッタ/コレクタ領域のうちのより正である方を前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの同じ1つ上の前記ベース接触領域と短絡することにより、該ベース接触領域を介してベース電流を流し、前記ベース接触領域の他方を介してベース電流を流さないことを備え、
前記第1の表面上の前記ベース接触領域は、前記半導体ダイ自体を通ることを除いて、前記第2の表面上の前記ベース接触領域に電気的に接続されておらず、
前記第1の表面上の前記エミッタ/コレクタ領域は、前記印加された外部電圧差を作用させない場合に、前記半導体ダイ自体を通ることを除いて、前記第2の表面上の前記エミッタ/コレクタ領域に電気的に接続されず、
ダイオード電圧降下未満のオン状態電圧降下を有する双方向スイッチングが達成される、方法。
n型半導体ダイの第1の対向表面及び第2の対向表面の双方の各々上にp型エミッタ/コレクタ領域とn型ベース接触領域との双方を含む電力半導体素子をスイッチングする方法であって、
オン状態において、前記エミッタ/コレクタ領域の間に外部電圧差が印加されると、前記エミッタ/コレクタ領域のうちのより負である方を前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの同じ1つ上の前記ベース接触領域と短絡することにより、該ベース接触領域を介してベース電流を流し、前記ベース接触領域の他方を介してベース電流を流さないことを備え、
前記第1の表面上の前記ベース接触領域は、前記半導体ダイ自体を通ることを除いて、前記第2の表面上の前記ベース接触領域に電気的に接続されておらず、
前記第1の表面上の前記エミッタ/コレクタ領域は、前記印加された外部電圧差を作用させない場合に、前記半導体ダイ自体を通ることを除いて、前記第2の表面上の前記エミッタ/コレクタ領域に電気的に接続されず、
ダイオード電圧降下未満のオン状態電圧降下を有する双方向スイッチングが達成される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
本出願の多数の創造的な教示が、現在の好ましい実施形態への具体的な参照によって説明されるであろう(限定目的ではなく例として)。本出願は、幾つかの発明を説明し、下の記述の全ては、請求項の範囲を制限するものとして一般的に理解されるべきでない。
【0015】
本明細書において開示される様々な創造的な実施形態の重要な一般原則は、電力パケットスイッチング電力変換器において、スイッチングが、高い非平衡キャリア濃度の条件下で動作する併合二重ベース双方向対向素子を使用することによって、相乗的に達成されるということである。最大限の効率性のために、各方向におけるダイオード電圧降下(シリコン中でおよそ1V)未満で、双方向伝導を提供する素子を使用することが好ましい。
【0016】
電力パケットスイッチング(PPS)変換器は、その独特の構造により、完全に双方向性の駆動素子を必要とする。PPS変換器の設計において、効率性が、他の変換器の設計における場合よりも鍵となる基準であり、これはPPS変換器がそのような高い効率性を既に達成するためである。(例えば85%の効率性で動作する設計において、非効率性の追加的な1%は軽微な問題だが、98%を達成している設計においては抜本的な差異を生み出す。)
効率性の1つの要素は、スイッチング素子における損失である。IGBT素子は、順方向「ダイオード電圧降下」電圧によって引き起こされる、オン状態の電圧差異に対して、本質的に責任がある(任意の抵抗損失に加えて)。FETは典型的にはダイオード電圧降下で悩まされないが、伝導率変調の不足に対応せねばならず、つまり、FETのオン抵抗は、ベース半導体の固有抵抗を下回ってはならない。
【0017】
本発明の創造的な素子は、IGBTのダイオード電圧降下の問題を克服し、また伝導率変調からの非常に低いオン抵抗も達成する。少なくとも部分的には、両側にベースコンタクトを有することからもたらされる能動的ターンオフの長所によって、スイッチング損失は低い。IGBTは、オープンベースをオフにし、これによりそれらの素子が非常に短いキャリア寿命を伴わざるを得なくなり、次いで、順方向電圧降下を増加させるため、本質的に遅いターンオフを有する。
【0018】
本出願は、PPS変換器のためのスイッチング素子の設計への新たな手引きを教示する。完全対称型二重ベースバイポーラを、高キャリア濃度の状態へ駆動することによって、オン状態電圧降下が非常に低くされる。これは、そのような大きな駆動電流は、ベース駆動回路に対してより大きな要求を負担させ、素子の有効ゲイン(ベータ値)を低減させるため、一般通念とは反する。
【0019】
完全対称型二重ベースバイポーラは、「コレクタ無し」の構造として実装され、この中でエミッタ及びベース構造は、半導体ウェハ(典型的には薄化ウェハ)の前面及び後面の両方に形成される。電流の瞬間的な方向に応じて、2つの対向するエミッタ拡散のうちの1つが、コレクタとして動作するであろう。大きな駆動電流が、コレクタとして作動していないエミッタへ印加されて、高い非平衡キャリア濃度、したがって低いオン状態電圧降下を達成する。
【0020】
個別に、ならびに様々な組み合わせで、(所与の電力レベルに関する)必要とされるベース駆動を低減する、多数の代替的かつ改善された素子構造が開示される。これらは、例えばヘテロ接合エミッタ、トンネル酸化物、ベースコンタクト下のフィールド形成領域、及びエミッタ及びベース深さの間の上下関係を含む。
【0021】
本発明は、とりわけ、双方向バイポーラトランジスタ(BTRAN)が、上下対称の、4端子3層垂直電流半導体素子であることを教示する。BTRANは最も好ましくはNPN素子として形成されるが、例えばPNP素子でもあり得る。
【0022】
BTRANは高レベル注入素子であり、したがって再結合は、低レベル注入素子の場合とは大きく異なって起こる。現在の好ましい例示的な実施形態は、高レベルキャリア注入を厚いベース領域と組み合わせる。1つの例示的な実施形態において、ベース領域は、例えば60μmであり得る。
【0023】
重要な認識は、高レベルの非平衡キャリア濃度の条件下での電圧降下は、小さい電流下での抵抗率が大きい場合でも、低いであろうということである。したがって、素子は、1ダイオード電圧降下未満の順方向電圧降下を達成しながら、高電圧(例えば、1200V以上)に耐えるよう、最適化され得る。
【0024】
開示される素子は、ダイオード電圧降下未満の、高い耐電圧性を有し、ならびに高い頑強さを伴う、完全な双方向性のスイッチングを提供することによって、電力パケットスイッチング(PPS)電力変換器構造と相乗的に結合する。開示される素子は、フル電流での低いオン抵抗を伴う、100%双方向性であり得る。
【0025】
参照のために、この形式のスイッチング双方向バイポーラにおいて、エミッタとして瞬時に作動している側を陽極、もう片方の側を陰極と呼ぶことができる。
[基本的な実装形態]
単純なNPN及びPNPの実装形態が、まず説明されるであろう。下に考察される、例示的な実施形態のこの型における改善が、より好ましいが、この種類は、基本的な概念及び原理をより明確に例証するために役立つ。
【0026】
図1AのNPNの例示的な実施形態において、p型半導体ベース層102Aは、N+エミッタ/コレクタ領域104Aを、上面及び下面上に有する。エミッタ/コレクタ端子106A及び106Bは、BTRANの反対側上で、それぞれのN+エミッタ/コレクタ領域104Aに接続される。同様に、ベース端子108A及び108Bが、BTRANの反対側上で、P型ベース/ドリフト領域102Aのそれぞれの外側部分に接続される。ベース端子108A及び108Bのそれぞれは、「オープン」の状態にしておき(例えば、何にも接続されていない)か、それぞれの端子106Aまたは106Bに短絡させる(例えば、108Aを106Aに、または108Bを106Bに)か、あるいは電源に接続し得る。
【0027】
図1BのPNPの例示的な実施形態は、N型エミッタ/コレクタ領域104AがP型エミッタ/コレクタ領域104Bになり、P型ドリフト領域102AがN型ドリフト領域102Bになる点を除き、
図1AのNPNの例示的な実施形態に類似する。
[動作方法]
図2はベース駆動回路の1つの実装形態の簡略図を示し、これは
図3A〜3Fと共に、BTRAN210の基本的な動作を例証するために使用され得る。
【0028】
図3Aは、1つの例示的なNPN BTRANに関する、例示的な等価回路を示す。ボディダイオード312A及び312Bは、例えば、上部及び下部P−N接合にそれぞれ対応し得る。例えば、
図1Aの例示的な実施形態において、これらは、エミッタ/コレクタ領域104A及びベース領域102Aの間の接合に対応し得る。スイッチ314A及び314Bは、それぞれのベース端子108A及び108Bを、それぞれのエミッタ/コレクタ端子106A及び106Bに短絡させ得る。
【0029】
1つの例示的な実施形態において、BTRANは、以下のように、各方向において動作の6つの段階を有し得る。
1)最初に、
図3Bで見られるように、エミッタ/コレクタ端子T1における電圧は、エミッタ/コレクタ端子T2に関して陽である。スイッチ314A及び316Aはオープンであり、ベース端子B1をオープンにしている。スイッチ314Bが閉じられ、ベース端子B2をエミッタ/コレクタ端子T2に短絡させる。これは、次いで、ボディダイオード312Bを機能的に迂回させる。この状態において、素子をオフにする。この状態において、素子の上側の逆バイアスされたP−N接合(ボディダイオード312Aによって表される)によって、電流は全く流れないであろう。
【0030】
2)
図3Cで見られるように、エミッタ/コレクタ端子T1における電圧は、エミッタ/コレクタ端子T2に関して陰にされる。P−Nダイオード接合312Aはここで順方向バイアスされ、ここでドリフト領域へ電子を注入し始める。順方向バイアスされたダイオードに関しては、電流が流れる。
【0031】
短時間、例えば数マイクロ秒の後、ドリフト層が良好に充電される。順方向電圧降下は低いものの、大きさにおいて0.7V超(典型的なシリコンダイオード電圧降下)である。1つの例示的な実施形態において、例えば200A/cm
2の典型的な電流密度での、典型的な順方向電圧降下(Vf)は、例えば1.0Vの大きさを有し得る。
【0032】
3)順方向電圧降下Vfを更に低減するために、ドリフト領域の伝導率が、例えば
図3Dのように、増加される。より多くの電荷キャリア(ここでは正孔)をドリフト領域へ注入し、それによりその伝導率を増加させ、順方向電圧降下Vfを減少させるため、ベース端子B2は、スイッチ314Bを開くことによって端子T2からの接続を断たれる。次いで、ベース端子B2は、スイッチ316Bによって、正電荷源に接続される。1つの例示的な実施形態において、正電荷源は、例えば+1.5VDCに充電されたキャパシタであり得る。結果として、サージ電流がドリフト領域へ流れ、それ故に正孔を注入するであろう。これは、次いで、上部P−Nダイオード接合312Aの、ドリフト領域への更に多くの電子の注入を引き起こすであろう。これは、ドリフト領域の伝導率を著しく増加させ、順方向電圧降下Vfを例えば0.1〜0.2Vに減少させ、素子を飽和させる。
【0033】
4)引き続き
図3Dの例示的な実施形態において続けると、電流は、ベース端子B2を通じてドリフト領域へ継続的に流れて、低い順方向電圧降下Vfを維持する。必要な電流の大きさは、例えば等価NPNトランジスタ318のゲインによって決定される。素子は高レベル注入状態で駆動されているため、このゲインは、ベース/ドリフト領域の厚さ、及びベース/ドリフト領域内のキャリア寿命等の低レベル状態因子によってではなく、むしろ例えば表面再結合速度等の高レベル再結合因子によって決定される。
【0034】
5)例えば
図3Eのように、素子をオフにするために、ベース端子B2の正電源からの接続を断ち、代わりにエミッタ端子T2に接続し、スイッチ316Bを開き、スイッチ314Bを閉じる。これは、ドリフト領域からの大きな電流の流出を引き起こし、次いで、素子を迅速に飽和から脱却させる。スイッチ314Aを閉じることは、ベース端子B1をコレクタ端子T1に接続させ、上部P−N接合312Aでの電子の注入を停止する。これらの動作の両方が、順方向電圧降下Vfを僅かに増加させる間、ドリフト領域から電荷キャリアを迅速に取り除く。ベース端子の両方が、スイッチ314A及び314Bによってそれぞれのエミッタ/コレクタ端子に短絡されるため、ボディダイオード312A及び312Bは両方とも機能的に迂回される。
【0035】
6)最後に、例えば
図3Fで確認されるように、最適な時間(例えば、1200V素子の場合、名目上2μ秒であり得る)で、フルターンオフが起こり得る。フルターンオフは、スイッチ314Bを開き、ベース端子B2の対応する端子T2からの接続を断つことによって開始し得る。これが、下部P−Nダイオード接合312Bからの空乏領域の形成を、それが逆バイアスになるにつれ、引き起こす。任意の残存電荷キャリアが再結合するか、または上部ベースで収集される。素子は伝導を停止し、順方向電圧を遮断する。
【0036】
ステップ1〜6の手順は、適切に修正される場合、反対方向において素子を動作させるために使用され得る。ステップ1〜6はまた、PNP BTRANを動作させるように修正され得る(例えば、全ての関連する極性を逆にすることによって)。
[両面上に深いエミッタを伴うBTRAN]
図4Aは、本発明に係る、エピタキシャルベースBTRANの、別の例示的な実施形態(この回路シンボルは、
図5Aにおいて確認できる)を示す。対照的に、
図4Bは、従来の、エピタキシャルベースバイポーラトランジスタ(この回路シンボルは、
図5Bにおいて確認できる)を示す。これら2つの素子は、BTRANの下面上の第2のベースコンタクト領域の存在をも越えて、それらの構造において著しく異なる。
【0037】
図6の例示的な実施形態において、ベースコンタクト領域636は、隣接する重度にドープされたN+エミッタ/コレクタ領域604に接続されておらず、比較的高い逆バイアスが、エミッタ/コレクタ領域604及びベース602の間にある、付近の逆バイアスされたコレクタベース接合にわたって印加される。逆バイアスされたコレクタベース接合の空乏領域は、下方のベースコンタクト領域636を、ベース602の残りから電気的に絶縁するであろう。
【0038】
十分に高い逆電圧が、関連する逆バイアスされたベースコレクタ接合にわたって存在するときに、素子の片側上のベースコンタクト領域636が、ベース602の残部から電気的に絶縁される、というこの状況は、例えば、以下のパラメータの組み合わせを通じて獲得することができる。
【0039】
1)十分に軽度にドープされたベース領域を有すること。この要件は、ベース領域のドーピング濃度がベースコレクタ接合の破壊電圧を決定するのに役立ち、かつN+エミッタ/コレクタ領域がより重度にドープされる(例えば、
図4Aで見られる)ため、容易に満たされ得る。
【0040】
2)N+領域をP+ベースコンタクト領域よりも深く延在させ、それにより逆バイアスされたベースコレクタ接合の空乏が、ベースコンタクト下の領域にわたって広がること。この条件は、例えば、P+ドーピング種をN+ドーピング種の導入から十分に長時間経った後に導入することによって、またはN+ドーピング種よりもより緩徐に拡散するP+ドーピング種を使用することによって、あるいはこれら2つの技術の組み合わせによって、満たされ得る。
【0041】
3)逆バイアスされたベースコレクタ接合の空乏領域が、関連するベースコンタクト領域の全てを絶縁する、セル幾何学形状を使用すること。この要件は、
図7Aにおいてその上面図が確認できる、従来のエピタキシャルベースNPNトランジスタにおいては満たされない。最大の電流密度に関して、ベースコンタクト領域は、
図7Aの素子中のエミッタ領域のそれぞれの両側上に存在するであろう。しかしながら、
図7Bの例示的なBTRANは、N+エミッタ領域中に開口部を有し、ここでP+ベースコンタクト領域が形成される。重度にドープされたN+エミッタ領域は、例えば、
図8A〜8Dで見られるように、必要とされる空乏領域を形成し得る接合で、各P+ベースコンタクト領域を取り囲む。
【0042】
図8Aにおいて、低い逆バイアスが、端子B2及びE2/C2にわたって存在する。別個の空乏領域が、それぞれの逆バイアスされたN+領域804の周囲に形成された。逆バイアスが増加するにつれ、例えば
図8Bのように、空乏領域が併合し始める。逆バイアスが継続して増加するにつれ、例えば
図8Cのように、空乏領域が広がる。
図8Dにおいて、エミッタ/コレクタ端子E2/C2、及びベース端子B2の間の逆バイアス電圧が、それが破壊電圧に近付くまで、増加し続けた。
[トレンチ絶縁]
図13Aは、それぞれの表面上の、エミッタ領域(NPNの場合N+)を隣接するベースコンタクト領域から横方向に分離する酸化物充填トレンチを示すことに留意されたい。この構造、及びその利点については、以下の項において更に説明されるであろう。
[トンネル酸化物]
高レベル非平衡キャリア密度の結果として、NPN BTRANにおいて、ベースからエミッタへの正孔の注入を最小限に抑えながら、エミッタからベースへの電子の注入を最大限にすることが、典型的に望ましい。一部の例示的な実施形態において、エミッタからベースへの高い電子注入、及びベースからエミッタへの低い正孔注入は、およそ、例えば10Å(1nm)であり得る、トンネル酸化物の使用で達成され得る。電子は典型的に、薄いトンネル酸化物を通り抜けて進むという確率を、正孔よりも遥かに高く有するであろう。
【0043】
1つの例示的な実施形態において、これは、エミッタ領域とエミッタコンタクトとの間にトンネル酸化物の薄層を提供することによって、達成され得る。
図13Aの例示的な実施形態において、トンネル酸化物の薄層1324は、N+エミッタ領域1304とポリシリコン層1322との間に存在する。ポリ層1322は、次いで、エミッタ金属被覆1326と接触する。酸化物1328は、金属被覆1326及びポリ1322を、ベースポリ層1332及び金属被覆1334から分離することに加えて、トレンチ1330を充填する。トレンチ1330中の酸化物1328は、エミッタ領域1304と、さもなければ隣接したコンタクト領域1336との間の、好ましくない同側のキャリア再結合を最小限に抑える。
【0044】
図13Bの例示的な実施形態において、N+エミッタ領域1304Bは、例えば
図13Aの例示的な実施形態におけるものより、著しく小さい。これが、トンネル酸化物層1324と共に、望まれない正孔注入及びエミッタ領域1304における再結合のための機会を低減し得る。
【0045】
N+エミッタ領域はまた、
図13Cの例示的な実施形態のように、完全に非存在であり得る。ポリ領域1322Bがエミッタとして作動することができ、ベース領域102Aとエミッタ1322Bとの間のトンネル酸化物層1324によって、望まれない正孔注入及び再結合から保護される。(
図13B〜13Cの例示的な実施形態は、通常両表面において同様に製作されるであろうそれぞれの素子の片側のみを示すことが、勿論理解されるであろう。)
高レベル状態電流ゲインの因子であり得る表面再結合速度は、金属コンタクトでの、主としてエミッタコンタクト上の再結合により、問題となり得る。一部の例示的な実施形態において、トンネル酸化物は、正孔のエミッタコンタクトへの到達を遮断することによって、NPN BTRAN中のこの再結合をほぼ排除するために使用され得る。
図14Aの例示的な実施形態において、トンネル酸化物1424Aは、エミッタ領域1404及びベース102Aの間に配置される。
図13Aのように、酸化物充填トレンチ1330は、N+エミッタ領域1404及びP+ベースコンタクト領域1336の間に配置される。N+エミッタ領域1404は、トンネル酸化物1424Aの上部に堆積されるため、N+領域1404は、単結晶基材の一部として形成されるよりもむしろ、例えば多結晶シリコンであり得る。
【0046】
図14Bの例示的な実施形態において、トンネル酸化物1424Bは、多結晶N+エミッタ領域1404のエッジに沿って、素子の表面まで続く。例えば
図14Aの酸化物充填トレンチの非存在下において、P+ベースコンタクト領域1436は、N+エミッタ領域1404周辺のトンネル酸化物1424Bと接触させないため、エミッタ領域1404からオフセットされる。この分離は、ベースコンタクト領域1436及びエミッタ領域1404の間の、望ましくない直接的な電気的接触を最小化することによって、
図14Aの酸化物充填トレンチと同様の目的を遂げる。これは、エミッタ及びベースコンタクト領域の間の、好ましくない同側キャリア流及び再結合を最小限に抑えるのに役立つ。
【0047】
しかしながら、
図14Bの例示的な実施形態は、
図14Aのものより幾分好ましさの程度が低い。
図14Aの例示的な実施形態において、側壁1330を伴う構造はより小型であり得、トンネル酸化物1424Aは、N+領域1404の下部にしかない。
図14Bの例示的な実施形態において、N+領域1404及びP+領域1436間の必然的な分離は、セルの大きさを増加させる。トンネル酸化物1424Bはまた、
図14Aの場合よりも、より広い表面積上に形成されねばならず、製作の複雑さを増加させる。
[ヘテロ接合エミッタを伴う素子]
他の例示的な実施形態において、電子正孔の識別は、ヘテロ接合エミッタ領域を用いて達成され得る。
図15の例示的な実施形態において、エミッタ領域1504は、例えば結晶質基材上の非晶質シリコンであり得る。非晶質シリコンは、結晶質シリコンの1.1Vのバンドギャップと比較すると、1.4Vのバンドギャップを有するため、エミッタ1504からベース102Aに注入される電子は比較的エネルギー性であり、ベース102Aからエミッタ1504に注入される正孔よりも、より多くの電子が、エミッタ1504Aからベース102Aに注入される。
[ベース駆動]
本発明に係るベース駆動回路は、本明細書において説明される動作を許容するために、好ましくは、BTRANの2つのベース端子のそれぞれに対して適用される。1つの例示的な実施形態において、例示的なBTRANベース駆動回路は好ましくは、BTRANがダイオードとしてオンになることと、最初のターンオン後の、非常に低い順方向電圧の飽和モードへの移行と、既に飽和ではないが未だオンである状態への移行して帰ることと、ターンオフ前の、テール電流の低減のための蓄積電荷低減の達成と、それに次ぐフルターンオフの達成及び順方向電圧の遮断とを可能にする。
【0048】
1つの例示的なNPNの実施形態において、
図9のもののようなベース駆動回路は、ベースB1及びベースB2の両方に対して適用することができ、例えば以下のように動作し得る。
【0049】
a.オープンベースB1:ベース端子B1は、自由に浮動することができ、反対端子T2からの負の電圧は遮断される。予想される浮動ベース電圧は、例えば0.7V〜20V未満の範囲であり得る。この状態において、反対ベース端子B2は、それぞれの反対端子T2に短絡される。
図9の例示的な実施形態において、ベースB1は、MOSFETスイッチS1及びS2をオフにすることによって、浮動のままにされ得る。
【0050】
b.端子T1に短絡されるベースB1:ベース端子B1は、例えば、スイッチS1をオフにし、スイッチS2をオンにすることによって、それぞれの端子T1に短絡される。反対ベース端子B2はオープンであり、反対端子T2からの正の電圧は遮断される。代替的に、ベース駆動は、反対端子T2が負のとき、BTRANが順方向にバイアスされたダイオードモードで伝導する間、この状態であり得る。この後者の状態において、名目順方向電圧降下Vfは、例えばシリコンダイオードの場合1V〜3Vの間であり得る。
【0051】
c.正バイアスに接続されるベースB1:ベース端子B1は、例えばスイッチS1をオンにし、スイッチS2をオフにすることによって、正電荷源に接続される。この状態において、BTRANが順方向にバイアスされた、飽和NPNバイポーラトランジスタモードで伝導する間、反対ベースB2はオープンである。名目順方向電圧降下は、例えばおよそ0.2Vであり得る。接続の直後に、大きな電流が正バイアスからベースB1に流れる。後続の電流フローはより低い。
【0052】
d.ステップ(c)の直後に、ベース端子B1は、例えばスイッチS1を開き、スイッチS2を閉じることによって、それぞれの端子T1に接続され、一方で反対ベース端子B2はオープンである。大きな電流が、ベース端子B1から端子T1に短時間流れる。これは、ドリフト領域中の電荷キャリアを急速に使い果たす。素子は飽和から出て、順方向にバイアスされたダイオードモードに戻る。
【0053】
e.ステップ(d)の直後に、ベース端子B1は、例えばスイッチS1をオフにし、スイッチS2をオンにすることによって、それぞれの端子T1に接続され、反対ベース端子B2は、同様の機序によってそれぞれの反対端子T2に短絡される。小さな電流が、それぞれの端子T1からベース端子B1に流れ、電荷キャリアがドリフト領域から一掃され、順方向電圧降下Vfを増加させる。
【0054】
f.ステップ(e)の直後に、ベース端子B1は、例えばスイッチS1及びS2をオフにすることによって開かれ、一方で反対ベース端子B2は、それぞれの反対端子T2に短絡されたままである。BTRANは、ベース端子B1及びそれぞれの端子T1の間のPN接合が逆バイアスにされるため、オフにされる。
【0055】
1つの例示的な実施形態において、スイッチS2は、例えばGaN MOSFETであり得る。スイッチS2は両方向において電圧を伝導及び遮断し、スイッチS2の確認する最大の正の電圧は+1.5Vであるため、GaN MOSFETがスイッチS2に関して好ましくあり得、これはGaN MOSFETのボディダイオードは、1.5V以下では電流を伝導しないからである。
【0056】
図10は、例えば上記のステップ(a)〜(f)の工程のような、
図11のもののようにPNPの例示的な実施形態のために修正された、本発明に係る工程中の、一部の例示的な電流及び電圧の図を示す。
【0057】
図11は、ベース−エミッタ短絡のための共通ソースMOSFET対を含むことができる、PNP BTRANベース駆動回路の1つの例示的な実施形態を示す。絶縁電源P1及びP2が、並列で、それぞれのキャパシタC1及びC2を伴って含まれる。1つの例示的な実施形態において、絶縁電源P1はエミッタE1に関して例えば−0.7Vであり得、絶縁電源P2は、エミッタE2に関して例えば−0.7Vであり得る。
【0058】
共通ソースMOSFET対(Q11、Q21)及び(Q22、Q12)が、それぞれのエミッタ−ベース対(E1、B1)及び(E2、B2)の間のベース−エミッタ短絡に関して好ましくは使用される。
【0059】
JFET、Q31及びQ32は、始動時に阻止電圧を増加させるために好ましくは使用され、次いで、変換器が運転している間は、好ましくはオフにされる。
MOSFET、Q41及びQ42は、素子がオンにされた後に、順方向電圧降下Vfを低減するために好ましくは使用される。
【0060】
図12は、NPN BTRAN1210のためのベース駆動回路の現在の好ましい例示的な実施形態を示す。2つの共通接地が示される。共通接地1222は、エミッタ/コレクタ端子T1及びベース駆動回路駆動ベースB1 108Aを共に接続する。共通接地1220は、エミッタ/コレクタ端子T2及びベース駆動回路駆動ベースB2 108Bを共に接続する。
【0061】
1つの例示的な実施形態において、このベース駆動回路は、3つのモードのうちの1つで、ベース端子B2 108Bを駆動し得る。受動オフモードにおいて、ベース端子B2 108Bは、エミッタ106Bに関して例えば約0.3V以下であるように、(例えばショットキーダイオードD
22によって)好ましくはクランプされ、エミッタ106Bよりも電圧において低くあることを許容される。受動オフモードにおいて、名目上オンであるJFET S
52のみがオンである。これが、例えば
図3Fのように、ベースB2 108Bが浮動することを許容する。
【0062】
ベース−エミッタ短絡モードにおいて、MOSFETスイッチS
42及びS
32のみがオンであり、それによりベースB2 108BをエミッタT2 106Bに短絡させる。1つの例示的な実施形態において、これが、BTRANが能動オフモードまたはダイオードモードのいずれかで動作することを許容する。
【0063】
NPN BTRANに関して、注入モードは、素子が能動オンモードのときに、それぞれのベース端子へ電流を注入する。これは、BTRANの順方向電圧降下をダイオード電圧降下、例えば0.7ボルト未満に引き下げる。一部の例示的な実施形態において、このステップは、順方向電圧降下Vfを例えば0.1〜0.2Vに引き下げ得る。スイッチS
42はオンであり、一方でスイッチS
32及びS
52はオフである。MOSFETスイッチS
12及びS
22は、スイッチモード電源構成における、ベース端子B2への適切な電流を生成するために、オンとオフとを制御される。電流の振幅は、インダクタL
1によって制御され得、電流は抵抗器R
1によって感知され得る。好適な制御システム(図示せず)が、ベース電流を制御するために、スイッチ、インダクタ、及び抵抗器を制御し、それにより低い順方向電圧降下Vfを生成する。
[製作]
1つの例示的な実施形態において、有利なことに、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)または水素化非晶質シリコンカーバイド(a−SiC:H)の堆積が、本明細書において説明されるヘテロ接合エミッタを有するBTRANを製作するために、使用され得る。この材料はスパッタされ得るが、より好ましくは、化学蒸着法(CVD)またはプラズマ増強CVDを用いて堆積される。これらの材料は高温処理によって変化されるため、エミッタ材料は、高温処理ステップが完了した後に堆積される必要がある。
【0064】
1つの例示的な実施形態において、トンネル酸化物は、本明細書において説明されるように、ベース及びエミッタ領域の間で製作され得る。ベース領域の露出面は、主に例えば二酸化シリコンである絶縁体の薄層を生長するために十分に長い間、酸化環境に曝され得る。1つの例示的な実施形態において、トンネル酸化物のこの薄層は、例えば10Å〜30Åの範囲であり得る。このような酸化ステップに続いて、非晶質または多結晶シリコンの層が、例えば低圧化学蒸着法(LPCVD)を用いて堆積され得る。一部の例示的な実施形態において、この後、例えば多結晶シリコンをドープするための砒素等のドーパントの導入が続き得る。
【0065】
本発明者は、物理的及び電気的性能が、BTRAN半導体ダイの両側においてほぼ同等に作製され得ることを認識した。全てのドーパント種が、ウェハの各側へ導入され、次いで単一の長時間高温拡散ステップが、好ましくは実行される。
【0066】
1つの例示的な実施形態において、長時間高温拡散ステップは、例えば1100〜1150℃の温度であり得る。長時間高温拡散工程は、最も好ましくは下に説明される2ハンドルウェハ工程と併せて用いられ得るが、2ハンドルウェハ工程と独立しても使用され得る。
【0067】
本発明に係るBTRANを製作するための現在の好ましい処理ステップは、マスキング作業、熱酸化、エッチング、不純物導入、化学蒸着法(CVD)、及び物理蒸着法(PVD)を含む。
【0068】
本発明に係る例示的な製作シーケンスは、最も好ましくは、高温ハンドルウェハ接合ステップ及び中温ハンドルウェハ接合ステップの両方を含む。これら2つのハンドルウェハは、好ましくは、同一のウェハの異なる側に、製作シーケンス中の異なる時点で、ならびに好ましくは異なる温度範囲において接着される。
【0069】
本創造的な工程の文脈における「高温」は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の、合金/アニール温度を超える任意の温度を意味し得る。1つの例示的な実施形態において、「高温」は、例えばおよそ450℃超の任意の温度を指し得る。
【0070】
本創造的な工程の文脈における「中温」は、例えば、ハンダの融解温度、及びアルミニウムまたはアルミニウム合金の合金温度の間の任意の温度を意味し得る(包含的)。1つの例示的な実施形態において、「中温」は、例えばおよそ240℃〜およそ450℃の間の任意の温度を指し得る(包含的)。
【0071】
本創造的な工程の文脈における「低温」は、例えば、およそ室温及びハンダの融解温度の間の任意の温度を意味し得る。1つの例示的な実施形態において、「低温」は、例えばおよそ25℃〜240℃の間の任意の温度を指し得る。
【0072】
1つの例示的な実施形態において、本創造的な工程に係るBTRAN製作シーケンスは、例えば以下のように進行し得る。
ステップ1からステップM:ウェハの片側において、熱酸化、幾つかの化学蒸着(CVD)作業、及び高温アニールから、コンタクトマスクステップに至るまで、全ての高温ステップを実行する。これは、ウェハの両側において所望される接合深さまで不純物を拡散させるよう企図された、比較的長時間の高温拡散ステップの手前で止まる。
【0073】
ステップM+1:素子ウェハの第1の側において、保護層(例えばCVD二酸化シリコン)または保護層のサンドイッチ(例えば、CVD二酸化シリコン、CVD窒化シリコン、及びCVD二酸化シリコン)を堆積する。保護層によって、第1の側への好ましくない変化を防ぐことができる。この保護層はまた、第1の側から材料を取り除くために後で用いられる薄化作業のための、停止地点としての役割も果たし得る。化学機械平坦化(CMP)が、堆積された保護層(または堆積された保護層のサンドイッチ)の上部表面を平坦にするために実行され得る。この時点での素子の見本が、例えば、
図16Aで見ることができる。
【0074】
ステップM+2:高温で、素子ウェハの第1の側にハンドルウェハ1を接着する。例えばシリコン、二酸化シリコン、シリコンカーバイド、またはサファイア等の、任意の容認可能な高温材料が、ハンドルウェハ1に関して使用され得る。ハンドルウェハ1は、素子ウェハの第1の側に接合されねばならない。シリコンがハンドルウェハとして使用される場合、シリコンのハンドルウェハの表面は、
図16Bで見られるように、高温で、保護層または保護層サンドイッチの上部に直接接合されるであろう。
【0075】
ステップM+3:第1の側の反対の第2の側から、素子ウェハを所望の厚さまで薄化する。これは、例えば研削、ラッピング、及び研磨の組み合わせによってなされ得る。
ステップM+4からステップN:素子ウェハの第2の側において、ステップ1からMを実行する。
【0076】
ステップN+1:素子ウェハの両側における所望のドーパント接合深さ及びドーパント分布を獲得するため、比較的長時間の高温拡散ステップを実行する。
ステップN+2からステップP:素子ウェハの第2の側において、コンタクトマスクからパッシベーション層堆積及びパッドエッチステップまでのステップを実行する。
【0077】
ステップP+1:中温で、素子ウェハの第2の側にハンドルウェハ2を接着する。ハンドルウェハ2は、例えば石英、ガラス、シリコン、シリコンカーバイド、及びサファイア等の、任意の容認可能な中温材料であり得る。1つの例示的な実施形態において、この時点での素子は、例えば、
図16Cで見られるもののようであり得る。
【0078】
ステップP+2:ハンドルウェハ1を取り除く。これは、例えば研削、ラッピング、化学機械平坦化(CMP)によってなすことができ、最も好ましくは、例えばステップM+1において堆積された「停止地点」の層まで、貫通することなく続けられる。このステップの結果として、素子ウェハは、例えば、
図16Dで見られるようなものであり得る。
【0079】
ステップP+3:停止層を取り除く(例えば、エッチングまたは化学機械平坦化(CMP)によって)。
ステップP+4からステップQ:素子ウェハの第1の側において、コンタクトマスクをパッシベーション堆積及びパッドエッチングステップを通じて実行する。この時点で、ウェハは従来のウェハ処理を完了した。
【0080】
ステップQ+1:何もせず、ウェハの片側にテープを適用するか、または基材上にウェハを据え付ける。
ステップQ+2:素子ウェハの第2の側からハンドルウェハ2を取り除き、例えば
図16Eのもののような構造がもたらされる。
【0081】
ステップQ+3から最後:素子の片側、または両側を鍍金する。最終的な処理は、適切に、ダイシング(チップの分離)及び試験を通じて継続する。
1つの例示的な実施形態において、素子の第1の側は、素子ウェハの第2の側からハンドルウェハ2が取り除かれる前に、鍍金され得る。
【0082】
1つの例示的な実施形態において、BTRAN製作は、両側を研磨された出発ウェハから開始され得る。高温接合ステップに続き、位置合わせマークが、接合されたウェハ積層体の両方の露出面上に、位置合わせアルゴリズムを用いて配置され得る。別の例示的な実施形態において、例えば、位置合わせ中ウェハを通して1つのウェハ表面が「見える」という特色を可能にする、赤外線アライメントによって、前面から後面までの位置合わせが獲得され得る。更に別の例示的な実施形態において、例えば、第2の表面上にマスクを存在する間ウェハの第1の表面に対して位置合わせする、機械的手段によって、前後の位置合わせが獲得され得る。これらの前後位置合わせ技術のそれぞれは、長所、及び関連する設備の費用等の短所を有する。
【0083】
1つの例示的なBTRAN製作の実施形態において、BTRANの両側での鍍金は、それぞれの表面において同一の金属及びパッドパターンを使用し得る。次いで、それぞれの表面上の所望の領域への接続が、パターン化層を用いて作製され得る。1つの例示的な実施形態において、下部表面へのコンタクトが、例えばセラミック上のパターン化金属被覆を用いて、ならびに上部表面へのコンタクトが、例えばパターン化銅リードフレームを用いて、作製され得る。両方の表面上で同じパッドマスクを使用できることで、製作が著しく簡素化され得る。
【0084】
1つの例示的な実施形態において、ダイの下部及び上部の両方へのコンタクトは、好ましくは、ハンダの層によって獲得され得る。ハンダは典型的には、パターン化領域上に堆積され、このパターン化領域もまた鍍金されており、ダイの各表面上に存在する。
【0085】
しかしながら、製造の見地からすると、BTRANダイの下部を、ハンダを用いて金属被覆されたセラミックに接着すること、及び大径ワイヤを、ダイの上部の金属被覆された領域に接合することは有利であり得る。
【0086】
しかしながら、1つの複雑な要素は、例えばニッケル等の鍍金された材料の広い領域が、薄いダイを割り得る、またはそうでなければ損傷し得る、残留応力を有することである。
【0087】
本出願は、とりわけ、3つの条件に供して、同一の金属及びパッドマスクが、BTRANの上部及び下部表面上において使用され得ることを教示する。
1)ダイの上部表面上に、適当な大きさの、必要とされる大径ワイヤ接合の必要な数を収容するために十分な接合パッドが存在する。
【0088】
2)ダイの下部に、低抵抗コンタクトの形成を許容するのに十分な、鍍金された領域が存在する。
3)オープンな、鍍金された領域のパターンが、ダイを損傷するのに十分なほど大きい応力をもたらなさない。
【0089】
したがって、BTRAN製作のための、ワイヤ接合及び鍍金された層にとって好適な(典型的には比較的大きい)オープン領域と、鍍金され得るが一般的には接合され得ない、より小さなオープン領域との組合せを有する、パッドマスクが、提案される。
【0090】
本発明に係る、BTRAN製作のためのパッドマスクの1つの例示的な実施形態を、例えば
図17において確認することができる。
図17において、大接合パッド1740は、例えば鍍金またはワイヤ接合のために使用され得る。1つの例示的な実施形態において、大接合パッド1740は、例えば80ミル×30ミルであり得、例えば12ミルの間隔で配置され得る。小接合パッド1738は、大接合パッド1740によって占められていない周辺の領域を埋めることができ、例えば鍍金用に使用され得る。1つの例示的な実施形態において、左チップ領域1742中の大接合パッド1740は、全てのパッド上の大径ワイヤを収容するために、右チップ領域1744中の大接合パッド1740からオフセットされ得る。
【0091】
図18A〜18Bは、本発明に係るBTRAN製作の別の例示的な実施形態を示す。
図18Aにおいて、例示的な金属被覆上に上塗りされた例示的なBTRANパッドマスクが示され、一方で
図18Bにおいては、例示的なパッドマスクのみが示される。
【0092】
BTRAN等の高電圧半導体素子のエッジ終端構造の設計は、その長期間の動作にとって極めて重要である。所与の条件の組において動作するように設計された終端構造は、終端構造の表面または近くでの、好ましくない正または負の電荷の存在下で、電圧操作能力の著しい低下を提示し得る。破壊電圧の著しい低下は、終端領域における正または負の電荷のいずれかの存在下で起こり得る(T.Trajkovicらの“The Effect of Static and Dynamic Parasitic Charge in the Termination Area of High Voltage Devices and Possible Solutions”において実証され、これは参照により本明細書に援用される)。
【0093】
本創造的なBTRAN製作方法はまた、(とりわけ)終端領域における電荷の存在による素子の破壊電圧の任意の低下を防ぐための、新規及び創造的な構造の使用を教示する。これらの創造的な構造の1つの例示的な実施形態は、例えば、
図19で見られるように、1つ以上のn型領域を含有するP+領域からなり得る。
【0094】
片方がもう片方の内部にあるという、2つのドープされた領域のこの組み合わせは、DMOSトランジスタのボディ及びソース、またはバイポーラトランジスタのベース及びエミッタに類似する。
【0095】
1つの例示的な実施形態において、本発明に係るBTRAN終端構造は、各ドーパント型毎の2つのマスクの使用を通じて製作され得る。別の例示的な実施形態において、本発明に係るBTRAN終端構造は、両方のドーパント型に、同一の開口部を通じて導入される単一のマスクを使用することによって、製作され得る。これらの場合のそれぞれにおいて、必要とされる開口部は、既存のマスキング層に添加され得、最終的なドーパント分布は、現行のドーパント導入及び拡散ステップを用いて獲得される。
【0096】
一部の例示的な実施形態において、本発明の創造的な双方向素子は、例えば
図20Aのように、素子の前後間で対称ではないパッド金属被覆を有し得る。
図20Bは、オフセットコンタクトパッドが、ダイ中の任意の地点から低い熱抵抗を有する領域への距離を著しく低減することによって、いかに熱分散を著しく向上させ得るかを示す。1つの例示的な実施形態において、各側上のコンタクトパッドは、例えば1270μmの間隔(x方向)で配置され得、ダイは、たとえば100〜200μmの厚さ(z方向)であり得る。1つの例示的な実施形態において、ダイの各側上のコンタクトパッドは、低い熱抵抗を有する領域への距離を最小限に抑えるためにオフセットされ得る。
図20C〜20Dは、パッド金属被覆の分画の択一的な実施形態を示す。
[利点]
様々な実施形態において、開示される本技術革新は、少なくとも以下の利点のうちの1つ以上を提供する。しかしながら、これらの利点の全てが、開示される発明の1つずつからもたらされるわけではなく、この利点の一覧は、様々な特許請求される発明を制限するものではない。
【0097】
・オン状態電圧降下が、ダイオード電圧降下未満である。
・双方向動作が、いずれかの方向において、同様の電気特性を伴って達成される。
・完全に平坦な平面素子を提供する
・双方向バイポーラトランジスタが、高い非平衡キャリア濃度の条件下で動作する。
【0098】
・高い耐電圧性。
・高い頑強さ。
・両側性双方向素子の製作を可能にする、創造的な製作技術。
【0099】
・各方向におけるダイオード電圧降下未満の、完全な双方向伝導。
・電力パケットスイッチング電力変換器中の完全な双方向スイッチングを可能にする。
・二重拡散型ベースが全く必要ない。
【0100】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、スイッチングのために双方向バイポーラトランジスタ(BTRAN)を使用する、電力パケットスイッチング電力変換器に関する方法、システム、回路、及び素子が提供される。4端子3層BTRANは、ダイオード電圧降下未満の順方向電圧で、いずれかの方向に、実質的に同等な動作を提供する。BTRANは、高い非平衡キャリア濃度の条件下で動作し、電力パケットスイッチング電力変換器のための双方向スイッチとして使用されるとき驚くべき相乗効果を有し得る、完全対称型併合二重ベース双方向バイポーラ対向素子である。BTRANは、高キャリア濃度の状態へ駆動され、オン状態電圧降下を非常に低くする。
【0101】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、電力パケットスイッチング電力変換器であって、キャパシタによって並列化されたリンクインダクタのいずれかの側にそれぞれの外線を接続することのできる2つの双方向スイッチを各々含む複数の相脚であって、各該双方向スイッチが、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1及び第2の第1導電型エミッタ領域、及びそれぞれ、該第1及び第2のエミッタ領域に近接する、第1及び第2の第2導電型ベースコンタクト領域を備える、相脚と、該双方向スイッチのうちの選択された1つまたは2つをオンにして、1つ以上の入力線から該インダクタにエネルギーを駆動し、次いで該スイッチの全てをオフにして、該インダクタの接続を断ち、次いで該双方向スイッチのうちの異なる選択された1つまたは2つをオンにして、該インダクタから1つまたは2つの出力線上へエネルギーを駆動することを繰り返す、制御回路と、制御回路が、該双方向スイッチのうちの1つをオンにするために選択すると、そのスイッチのベースコンタクト領域を駆動して、関連するエミッタ−ベース接合に順方向バイアスをかけ、多数キャリアが対向表面上の他方のエミッタ領域へ流れることを許容する、駆動回路と、を備え、駆動回路が、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これが半導体集合体中のオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それによりスイッチにわたる電圧降下を低下させる、電力パケットスイッチング電力変換器が提供される。
【0102】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、電力パケットスイッチング電力変換器であって、キャパシタによって並列化されたリンクインダクタのいずれかの側にそれぞれの外線を接続することのできる2つの双方向スイッチを各々含む複数の相脚であって、各該双方向スイッチが、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1及び第2の第1導電型エミッタ領域、及びそれぞれ、該第1及び第2のエミッタ領域に近接する、第1及び第2の第2導電型ベースコンタクト領域を備える、相脚と、該双方向スイッチのうちの選択された1つまたは2つをオンにして、1つ以上の入力線から該インダクタにエネルギーを駆動し、次いで該スイッチの全てをオフにして、該インダクタの接続を断ち、次いで該双方向スイッチのうちの異なる選択された1つまたは2つをオンにして、該インダクタから1つまたは2つの出力線上へエネルギーを駆動することを繰り返す、制御回路と、制御回路が、該双方向スイッチのうちの1つをオンにするために選択すると、そのスイッチのベースコンタクト領域を駆動して、関連するエミッタ−ベース接合に順方向バイアスをかけ、多数キャリアが対向表面上の他方のエミッタ領域へ流れることを許容する、駆動回路と、を備え、駆動回路が、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、ベータ値を、その小信号値の4分の1未満まで引き下げる、電力パケットスイッチング電力変換器が提供される。
【0103】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、電力パケットスイッチング電力変換器であって、キャパシタによって並列化されたリンクインダクタのいずれかの側にそれぞれの外線を接続することのできる2つの双方向スイッチを各々含む複数の相脚であって、各該双方向スイッチが、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1及び第2の第1導電型エミッタ領域、及びそれぞれ、該第1及び第2のエミッタ領域に近接する、第1及び第2の第2導電型ベースコンタクト領域を備える、相脚と、該双方向スイッチのうちの選択された1つまたは2つをオンにして、1つ以上の入力線から該インダクタにエネルギーを駆動し、次いで該スイッチの全てをオフにして、該インダクタの接続を断ち、次いで該双方向スイッチのうちの異なる選択された1つまたは2つをオンにして、該インダクタから1つまたは2つの出力線上へエネルギーを駆動することを繰り返す、制御回路と、制御回路が、該双方向スイッチのうちの1つをオンにするために選択すると、そのスイッチのベースコンタクト領域を駆動して、関連するエミッタ−ベース接合に順方向バイアスをかけ、多数キャリアが対向表面上の他方のエミッタ領域へ流れることを許容する、駆動回路と、を備え、駆動回路が、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これがオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それによりスイッチにわたる電圧降下をダイオード電圧降下の半分未満にまで低下させる、電力パケットスイッチング電力変換器が提供される。
【0104】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、電力パケットスイッチング電力変換器であって、キャパシタによって並列化されたリンクインダクタのいずれかの側にそれぞれの外線を接続することのできる2つの双方向スイッチを各々含む複数の相脚であって、各該双方向スイッチが、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1導電型エミッタ領域、及びそれぞれのエミッタ領域に近接する第2導電型ベースコンタクト領域を備える、相脚と、該双方向スイッチのうちの2つをオンにして、1つ以上の入力線から該インダクタにエネルギーを駆動し、次いで該スイッチの全てをオフにして、該インダクタの接続を断ち、次いで該双方向スイッチのうちの異なる2つをオンにして、該インダクタから1つまたは2つの出力線上へエネルギーを駆動する、制御回路と、駆動回路であって、制御回路が、該双方向スイッチのうちの1つをオンにするために選択すると、そのスイッチの対向面上のベースコンタクト領域を浮動させたままで、そのスイッチのベースコンタクト領域の最初の1つをそれぞれのエミッタ領域へ短絡させることによって、オンにすることを開始し、ベースコンタクト領域の該最初の1つを駆動して、関連するエミッタ−ベース接合に順方向バイアスをかけ、多数キャリアが対向表面上の他方のエミッタ領域へ流れることを許容し、それにより飽和モードに入り、ベースコンタクト領域の該最初の1つをそれぞれのエミッタ領域へ短絡させ、それにより飽和モードを出て、対向表面上のベースコンタクト領域をそれぞれのエミッタ領域へ短絡させることによって、オフにすることを開始し、ベースコンタクト領域の該最初の1つを浮動させることによって、オフにすることを完了する、駆動回路と、を備え、駆動回路が、該半導体集合体中において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、それによりスイッチにわたる電圧降下を低下させる、電力パケットスイッチング電力変換器が提供される。
【0105】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、双方向電力スイッチング回路であって、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1及び第2の第1導電型エミッタ領域と、それぞれ、該第1及び第2のエミッタ領域に近接する、第1及び第2の第2導電型ベースコンタクト領域と、制御回路が、該双方向スイッチのうちの1つをオンにするために選択すると、そのスイッチのベースコンタクト領域を駆動して、関連するエミッタ−ベース接合に順方向バイアスをかけ、多数キャリアが対向表面上の他方のエミッタ領域へ流れることを許容する、駆動回路と、を備え、駆動回路が、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これがオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それによりスイッチにわたる電圧降下を低下させる、双方向電力スイッチング回路が提供される。
【0106】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、電力パケットスイッチング電力変換器を動作させる方法であって、双方向スイッチの第1の配列を駆動して、キャパシタによって並列化されたリンクインダクタに電力を駆動することと、双方向スイッチの第2の配列を駆動して、該インダクタから出力線上へ電力を引き入れることと、を含み、各該双方向スイッチが、第2導電型ベース領域の対向面上の第1導電型エミッタ領域、及び該第2導電型ベース領域の該対向面上の第2導電型ベースコンタクト領域を備え、各該双方向スイッチを駆動することが、1つの該双方向スイッチの1つの該面が受動オフモードであることが所望されるとき、それぞれのベースコンタクト領域の電圧を、ショットキーダイオード電圧降下を加えたそれぞれのエミッタ領域の電圧以下に抑制することと、1つの該双方向スイッチの1つの該面が能動オフモードまたはダイオードモードであることが所望されるとき、それぞれのベースコンタクト領域を、それぞれのエミッタ領域に短絡させることと、1つの該双方向スイッチの1つの該面が能動オンモードであることが所望されるとき、少数電荷キャリアをそれぞれのベースコンタクト領域に注入することと、を含む、電力パケットスイッチング電力変換器を動作させる方法が提供される。
【0107】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、半導体素子であって、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1導電型エミッタ領域と、該第2導電型半導体集合体の該対向面上の第2導電型ベースコンタクト領域であって、該第1導電型エミッタ領域及び該第2導電型半導体集合体が、その間にヘテロ接合を形成する、第2導電型ベースコンタクト領域と、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これがオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それにより電圧降下を低下させる、駆動回路と、を備える、半導体素子が提供される。
【0108】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、半導体素子であって、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1導電型エミッタ領域と、該第2導電型半導体集合体の該対向面上の第2導電型ベースコンタクト領域と、各該第1導電型エミッタ領域と該第2導電型半導体集合体との間にあり、正孔と電子との間に示差を形成する、トンネル酸化物の薄層と、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これがオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それにより電圧降下を低下させる、駆動回路と、を備える、半導体素子が提供される。
【0109】
必ずしも全てではないが一部の実施形態によれば、半導体素子であって、第2導電型半導体集合体の対向面上の第1導電型エミッタ領域と、該第2導電型半導体集合体の該対向面上の第2導電型ベースコンタクト領域と、各該第1導電型エミッタ領域とそれぞれのエミッタ金属被覆との間にあり、正孔と電子との間に示差を形成する、トンネル酸化物の薄層と、該半導体集合体の内部において、選択されたベースコンタクト領域に十分な電流を印加して、非平衡キャリア濃度を発生させ、これがオフ状態平衡多数キャリア濃度の30倍超の大きさであり、それにより電圧降下を低下させる、駆動回路と、を備える、半導体素子が提供される。
[修正及び変形]
当業者によって認識されるように、本出願において説明される創造的な概念は、広大な範囲の用途に対して修正及び変形することができ、したがって、特許を取得した主題は、所与の具体的な例示的教示のいずれによっても制限されない。添付の特許請求の範囲の精神及びその広い範囲内に入る、そのような代替、修正、及び変形の全てが包含されることが意図される。
【0110】
一部の実施形態において、酸化物トレンチ1330は、ソース領域及び隣接するベースコンタクト領域の間に存在し得る。他の実施形態において、これは異なり得る。
一部のヘテロ接合の実施形態において、エミッタ/コレクタ領域は、結晶質シリコン基材上の非晶質シリコンであり得る。他の実施形態において、ヘテロ接合は異なって形成され得る。
【0111】
現在の最も好ましい実施形態において、ベースコンタクト領域は、ベースの大部分よりも重度にドープされる。しかしながら、他の実施形態において、これは異なり得る。
一部のヘテロ接合の例示的な実施形態において、ヘテロ接合は、例えば非晶質及び結晶質シリコンの間の接合によって提供され得る。他の実施形態において、ヘテロ接合は、例えば異なる材料によって提供され得る。更に他の実施形態において、ヘテロ接合は、例えば結晶質シリコン及び異なる結晶質半導体の間の、例えば結晶質−結晶質接合によって提供され得るが、但し、結果として生じる接合部電位が、注入効率を増加させるために十分に急峻であることを条件とする。
【0112】
1つの企図される代替的な実施形態において、より小さなエミッタ金属被覆の分画が、正孔再結合を低減し、それにより注入効率を増加させるために使用され得る。
ヘテロ接合BTRANの一部の例示的な実施形態において、ヘテロ接合エミッタ/コレクタ領域は、例えば非晶質シリコンであり得る。他の例示的な実施形態において、ヘテロ接合エミッタ/コレクタ領域は、例えば多結晶シリコンであり得る。更なる他の実施形態において、これは異なり得る。
【0113】
一部の実施形態において、1つのベースは、他方のベースよりも駆動され得る。
一部の実施形態において、高レベル非平衡キャリア密度における注入効率を増加させるための他の方法が、単独で、または本明細書において開示される創造的な技術と共に、使用され得る。
【0114】
一部の代替的な実施形態において、本明細書において説明される本創造的なBTRAN製作技術は、例えば双方向IGBT等の、他の両側性双方向素子に対して適用され得る。
一部の代替的な実施形態において、本発明の創造的な素子は、有利なことに、異なる種類の電力変換器に適用され得る。一部の代替的な実施形態において、本創造的な素子は、例えばマトリクスコンバータ用に使用され得る。他の代替的な実施形態において、本創造的な素子は、誘導電動機効率最適化及びソフトスタートのために使用されるように、例えば電圧低下レギュレータに対して適用され得る。
【0115】
一部の代替的な実施形態において、エミッタ領域は、トレンチ中に配置される凹型エミッタであり得る。他の代替的な実施形態において、ベースコンタクト領域は、トレンチ中に配置される凹型ベースコンタクト領域であり得る。
【0116】
一部の代替的な実施形態において、フィールド形成領域は、ベースコンタクト領域の下もしくはエミッタ領域の下、またはその両方存在し得る。
変形及び実装形態を示すために役立つ、追加的な一般的背景を、以下の出版物、T.Trajkovicらの“The Effect of Static and Dynamic Parasitic Charge in the Termination Area of High Voltage Devices and Possible Solutions”において確認することができ、それら全てが参照により本明細書に援用される。
【0117】
変形及び実装形態を示すために役立つ、追加的な一般的背景、ならびに以下に特許請求される本発明を伴って相乗的に実装され得る幾つかの特色が、以下の米国特許出願で見つけることができる。これらの出願の全てが、本出願と、少なくとも一部の共同所有、共同係属、及び共同発明者の要件を有し、これらの全てが、直接的または間接的にそれらの内に組み込まれる任意の材料と共に、参照により本明細書に援用される:
US 8,406,265、US 8,400,800、US 8,395,910、US 8,391,033、US 8,345,452、US 8,300,426、US 8,295,069、US 7,778,045、US 7,599,196、US 2012−0279567 A1、US 2012−0268975 A1、US 2012−0274138 A1、US 2013−0038129 A1、US 2012−0051100 A1、PCT/US 14/16740、PCT/US 14/26822、PCT/US 14/35954、PCT/US 14/35960、14/182,243、14/182,236、14/182,245、14/182,246、14/183,403、14/182,249、14/182,250、14/182,251、14/182,256、14/182,268、14/183,259、14/182,265、14/183,415、14/182,280、14/183,422、14/182,252、14/183,245、14/183,274、14/183,289、14/183,309、14/183,335、14/183,371、14/182,270、14/182,277、14/207,039、14/209,885、14/260,120、14/265,300、14/265,312、14/265,315、2013年2月15日に全て出願された、米国仮出願61/765,098、61/765,099、61/765,100、61/765,102、61/765,104、61/765,107、61/765,110、61/765,112、61/765,114、61/765,116、61/765,118、61/765,119、61/765,122、61/765,123、61/765,126、61/765,129、61/765,131、61/765,132、61/765,137、61/765,139、61/765,144、61/765,146、2013年3月13日に全て出願された、61/778,648、61/778,661、61/778,680、61/784,001、2013年4月23日に出願された、61/814,993、2013年4月29日に出願された、61/817,012、61/817,019、61/817,092、2013年6月24日に出願された、61/838,578、2013年7月1日に出願された、61/841,618、61/841,621、61/841,624、2013年12月11日に出願された、61/914,491、及び61/914,538、2014年1月8日に出願された、61/924,884、2014年1月9日に出願された、61/925,311、2014年1月16日に出願された、61/928,133、2014年1月17日に出願された、61/928,644、2014年1月21日に出願された、61/929,731、及び61/929,874、2014年1月27日に出願された、61/931,785、2014年1月28日に出願された、61/932,422、2014年1月30日に出願された、61/933,442、2014年6月3日に出願された、62/007,004、ならびにこれらの上記のいずれかについての全ての優先権出願が、参照により本明細書に援用される。
【0118】
本出願中のいかなる記載も、任意の具体的な要素、ステップ、または機能が、特許請求の範囲内に含まれねばならない本質的要素であることを示唆するとして解釈されるべきでなく、特許を取得した主題の範囲は、許容される請求項の範囲によってのみ定義される。更に、用語「means for」の後に分詞が続く場合を除き、これらの特許請求の範囲のいずれも、米国特許法第112条第6項の発動を意図するものではない。
【0119】
出願される特許請求の範囲は、可能な限り包括的であることを意図するものであり、いかなる主題も意図的に棄権、献呈、または放棄されない。