特許第6491204号(P6491204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンクの特許一覧

特許6491204OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法
<>
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000017
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000018
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000019
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000020
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000021
  • 特許6491204-OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491204
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】OS適合を行うホールセンサにおける磁気制御場の温度補償方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/14 20060101AFI20190318BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G01D5/14 H
   G01B7/00 101H
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-526113(P2016-526113)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-535260(P2016-535260A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014073199
(87)【国際公開番号】WO2015063138
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年8月9日
(31)【優先権主張番号】102013222097.9
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100189360
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ,オリバー
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/045430(WO,A1)
【文献】 特開2007−309681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12−5/252
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を生成する磁場源(102)の磁場センサ(100)に対する相対位置を、前記磁場センサ(100)によって検出される少なくとも2つの磁場成分(By、Bz)から検出するための測定方法であって、
前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間の相対移動の方向(104)における第1の磁場成分(Bz)、および前記第1の磁場成分(Bz)に対して垂直な第2の磁場成分(By)を検出するステップと、
式(5)に基づいて、前記磁場源(102)の前記相対位置に対応する出力信号として使用される角度αOS_TKを算出するステップと、を含む方法。

ここで、
kc(T)は、熱により引き起こされる前記磁場の変動を補償するように適合される温度依存性の温度補償係数。
オフセット補正値(OS)は、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間の間隔値(d)の変動により受ける影響を、少なくするために設定される一定の補正値。
前記間隔値(d)は、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との相対移動中に、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間隔が最小になるときの前記磁場源(102)の位置に対応する値。
【請求項2】
前記温度補償係数kc(T)が関係kc(T)×km(T)=1から生成され、
km(T)が、熱により引き起こされる前記磁場の変動に対応する磁場係数である、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記磁場係数km(T)が、前記磁場源(102)の所与の温度Tに対して以下の関係、すなわち

によって計算され、ここで、
refは固定された基準温度であり、
TKmagnetは、温度あたりのパーセント単位の磁場変動に対応する、前記磁場源(102)の材料の一定の温度係数に対応する、
請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記温度補償係数kc(T)の値が、前記磁場源(102)の所与の温度Tに対して、温度補償ファイルに基づいて求められ
前記温度補償ファイルが、前記磁場源(102)の多数の温度と、前記磁場係数km(T)または前記温度補償係数kc(T)の多数の対応する値とを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記磁場源(102)の温度を検出するステップ、または、
前記磁場源(102)の予期される温度を、前記磁場センサ(100)の内部温度情報を使用することによって求めるステップ、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記磁場センサ(100)が2次元もしくは3次元ホールセンサを備え、かつ/または、
前記磁場源(102)が永久磁石を備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オフセット補正値(OS)の値が、前記磁場源(102)の所与の温度に対して、
前記移動方向における前記磁場源(102)の多数の位置に対する前記磁場成分の曲線を求めるステップ、
前記磁場源(102)の位置に対する前記曲線の第2の導関数を計算し、前記第2の導関数のゼロ位置を求めるステップ、および
ゼロ位置における前記線の関数値を、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間の最小の間隔の位置における関数値から減算して、前記オフセット補正値(OS)の前記値を計算するステップ、によって求められる
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記磁場センサ(100)は所定位置に固定されており、前記磁場源(102)は前記磁場センサ(100)に対して直線移動可能となるように配置されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
磁場を生成する磁場源(102)の磁場センサ(100)に対する相対位置を、前記磁場センサ(100)によって検出される少なくとも2つの磁場成分(By、Bz)から検出するための変位センサであって、
前記2つの磁場成分は、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間の相対移動の方向(104)における第1の磁場成分(Bz)、および前記第1の磁場成分(Bz)に対して垂直な第2の磁場成分(By)であり、
前記変位センサは、
少なくとも前記2つの磁場成分(By、Bz)をそれ自体が検出するように構成される前記磁場センサ(100)と、
式(5)に基づいて、前記磁場源(102)の前記相対位置に対応する出力信号として使用される角度αOS_TKを算出する出力信号ユニットと、を備える、変位センサ。

ここで、
kc(T)は、熱により引き起こされる前記磁場の変動を補償するように適合される温度依存性の温度補償係数。
ここで、オフセット補正値(OS)は、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間の間隔値(d)の変動により受ける影響を、少なくするために設定される一定の補正値。
前記間隔値(d)は、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との相対移動中に、前記磁場源(102)と前記磁場センサ(100)との間隔が最小になるときの前記磁場源(102)の位置に対応する値。
【請求項10】
記温度補償係数kc(T)が関係kc(T)×km(T)=1から生成され、
km(T)は、熱により引き起こされる前記磁場の変動に対応する磁場係数である、
請求項に記載の変位センサ。
【請求項11】
前記磁場センサ(100)が2次元もしくは3次元ホールセンサを備え、かつ/または、前記磁場源(102)が永久磁石を備える、
請求項または10に記載の変位センサ。
【請求項12】
前記磁場源(102)は、所定位置に固定される前記磁場センサ(100)に対して直線移動可能となるように配置されている、
請求項9から11のいずれか1項に記載の変位センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場源の磁場センサに対する相対位置を検出するための測定方法に関する。磁場の少なくとも2つの磁場成分が、磁場センサによって検出される。さらに本発明は、対応する変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による方法により、ホール効果に基づく磁気センサの出力信号に対する、熱により引き起こされる磁気制御場の変動の効果を補償することが、特に意図される。この出力信号は、2つの検出された磁場成分の比およびオフセット−傾斜適合(OS適合)から確立される。
【0003】
3次元(3D)ホールセンサの測定原理は、3つの空間方向における磁束密度ベクトルBの成分の確立に基づく。図1に示すように、磁場源102、たとえば永久磁石が、固定されるように配置される3Dホールセンサ100と平行に移動する。磁束密度Bの、移動方向104に延在する成分Bz、ならびに移動方向104に対して垂直な成分ByおよびBx(成分Bxは図1には示されていない)が検出される。3Dホールセンサ100が永久磁石102に対して好適なように配向される場合、2つの空間方向のみを検出すればよい。これは、磁場が第3の空間方向に対して何ら場の寄与をせず、結果としてゼロであるからである。評価はその場合、図1に示すように、磁束密度成分ByおよびBzに簡略化される。
【0004】
図2は、移動方向104における永久磁石102の位置に応じた、検出される磁束密度ByおよびBzの曲線の進展を示す。この移動方向104を、図1ではZ軸として示す。図1および図2における位置z=0は、ホールセンサ100と永久磁石102の相対移動中にこれらの間の間隔が最小の間隔値dに達する、永久磁石102の位置に対応する。間隔dは、永久磁石102がホールセンサ100の前に精確に位置付けられるときに達成される。
【0005】
磁束密度成分BzおよびByの値を参照して、磁束密度Bの値|B|、および放射方向の成分Byと束密度Bのベクトルとの間の角度αを、以下の式に従って計算することができる。
【0006】
【0007】
【0008】
式(1)および式(2)の結果としての、値|B|および角度αの計算の結果、ならびに成分ByおよびBzに関して図1に示した値を、図3および図4に示す。
【0009】
式(2)に従って計算可能な角度αは一般に、測定信号として使用される。特に、角度αの結果値は、変位比例出力信号OUTとして利用できるように線形化される。この出力信号の例を、位置zに応じたパーセント単位の信号として図5に示す。
【0010】
磁石の磁気制御場は、今日では常套のものである温度範囲(たとえば自動車産業においては−40℃から150℃である)にわたって、最大30%変動し得る。このため、式(2)に従い内部で逆正接の計算を行う3Dホールセンサの使用は、磁場に関してその温度が非依存性である結果、大いに有利である。
【0011】
式(1)および式(2)から帰結するように、制御磁石の温度依存性の磁場変動は、測定される磁束密度値ByおよびBzに同様に組み入れられる。特に式(2)は、温度非依存性を有する角度αの結果値をもたらす。これは、式(3)に示すように、By(T)に対するBz(T)の比率計算において磁束密度変動が縮減されるからである。
【0012】
ここで、km(T)は、磁場の温度係数であり、BzおよびByは、3Dホールセンサにおいて、たとえば20℃である所定の基準温度に対してZ方向およびY方向において確立される磁束密度に対応する。
【0013】
式(3)における縮減の結果、したがって、熱により引き起こされる制御磁石の磁場変動は、角度値αの結果値に対して何ら影響しない。
【0014】
欧州公開特許出願EP2159546A2は、2つの相互に垂直な磁場成分(R、A)を検出するホールセンサと永久磁石との間の直線的な相対移動を検出するための測定方法を開示している。ホールセンサの出力信号は、関係y=a+b・R/f・(c・R+d・A)に従って、準線形の位置測定曲線U=f(y)を形成する。ここで、Rは放射方向の場の成分、Aは軸方向の場の成分、Uは測定電圧、a、b、c、d、およびnは一定の係数である。この方法では、係数bを、たとえば温度センサによって、スケール係数として動的に適合させることができる。この結果、永久磁石の温度係数の補償が達成される。
【0015】
しかしながら、上記の従来の2Dおよび3Dホールセンサならびに測定方法は、これらが制御磁石とホールセンサとの間の間隔の変動に非常に敏感に反応するという欠点を有する。たとえば機械的振動にまたは熱により引き起こされる材料の膨張にさえ起因する、間隔の変動が、ホールセンサの測定の正確度に大きな影響を与え得る。
【0016】
従来の測定方法における、角度αに対する永久磁場と3Dホールセンサとの間の間隔dの効果を克服する、またはこれらを少なくとも最小化するために、独国公開特許出願DE102011115302A1に記載されているような、オフセット−傾斜適合(OS適合)を行う測定方法および対応する変位センサが開発された。
【0017】
内部で逆正接の計算を行う従来の3Dホールセンサと比較すると、OS適合を行う2Dまたは3Dホールセンサは、異なる計算方法を使用する。すなわち、測定信号または角度αの計算のために、検出された磁場成分Bzの磁場成分Byに対する直接の比は使用せず、代わりに、移動方向に延在する磁場成分Bzが、一定のオフセット値により比の形成前に補正される。このオフセット値OSにより結果的に、永久磁石102とホールセンサ100との間の様々な間隔d(z=0mmに対する)に対して、角度αに関する曲線の傾斜の同化がもたらされる。角度αの補正された値は、以下の式に従って確立される。
【0018】
【0019】
OS適合の効果を十分に得るために、オフセット値OSは一般に、磁場成分Bzの値の20%から60%で規定される。OS値は、DE102011115302A1に記載された方法のうちの1つによって確立することができる。したがって、詳細な説明はこの例では省略する。
【0020】
しかしながら、OS適合を行う評価方法の使用は結果として、制御磁石の磁場による逆正接の計算の温度挙動に対して、好ましくない影響をもたらし得る。磁場の温度Tに対する検出された磁場成分BzおよびByの値は、制御磁石の同じ熱的変動の影響を受けるが、比の計算における縮減による温度補償は、式(4)によるOS適合によってはもはや行われない。
【0021】
式(4)における個々の項の関係に応じて、最大12%の温度依存性の追加の誤差が生じる。この誤差は、3Dホールセンサの測定正確度にとっては容認できない。
【0022】
OS適合による評価挙動を完全に活用するためには、したがって、磁気センサの測定信号に対する磁気制御場の温度影響を補償することが、どうしても必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的はしたがって、上述の種類の測定方法および変位センサを改善して、可能な限り広い温度範囲によって温度非依存性の測定信号を生成することである。さらに、この測定信号については、磁場源と磁場センサとの間の間隔変動により受ける影響を、可能な限り少なくすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的は、独立特許請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明による方法および変位センサの有利な発展形態に関する。
【0025】
本発明は、測定された場の成分を逆正接の計算のために直接使用せず、代わりに、検出された磁場成分の値に対する制御磁石の温度の効果を補償し、この温度補償された磁場成分にOS適合法を適用するという考えに基づく。
【0026】
本発明のよりよい理解のために、付属の図面に示す実施形態を参照して、このことをより詳細に説明する。同じ構成要素は、同じ参照符号および同じ構成要素の呼称を使用して参照される。さらに、示され記載される様々な実施形態からの、いくつかの特徴または特徴の組合せも、それ自体、独立した解決法、進歩性のある解決法、または本発明による解決法であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明により自体の信号を評価可能な変位センサを示す図である。
図2】直線移動方向における永久磁石の位置zに応じた、図1による変位センサにより検出されるy方向およびz方向における磁場成分ByおよびBzの軌道を示す図である。
図3図2に示した磁場成分ByおよびBzならびに式(2)から計算される永久磁石の位置に応じた、磁場または磁束密度Bの値|B|の軌道を示す図である。
図4】直線移動方向Zにおける永久磁石の位置の関数としての角度α、およびそこから計算される線形化された角度α_linの軌道を示す図である。
図5】オフセット−傾斜適合が使用されるときの、図1による変位センサに関する特徴線の軌道を示す図である。
図6】本発明による、温度の関数としての、磁場源の材料の磁場係数km(T)に関する特徴線、温度補償係数kc(T)に関する特徴線、および温度係数km(T)と温度補償係数kc(T)との間の関係の、軌道を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を、以下でまず図1図7を参照してより詳細に説明する。以下では簡潔さのために、磁束密度を単に磁場と呼ぶ。
【0029】
本発明による変位センサ構成を、図1に示す。磁場センサ、たとえば3Dホールセンサ100が、所定位置に固定されるように装着される。一方、永久磁石102が、ホールセンサ100に対して直線移動可能となるように配置される。永久磁石102は、その北/南軸が移動方向104と平行に配向されるような磁極を有する。ただし原理的には、本発明の原理を、永久磁石102がその北/南軸が移動方向に対して横断方向に延在するような磁極を有する構成に適用することも可能である。永久磁石102を、たとえば約30mmだけ、図1に示すゼロ位置から2方向に変位させることができる。ホールセンサ100は、少なくとも2つの直交する磁場成分、すなわち、移動の線に沿って延在する成分およびこれに対して横断方向に延在する成分を検出する。角度αは、合計の磁場ベクトルBおよび移動方向104に対して垂直なものによって取り囲まれる角度として定義される。
【0030】
既に述べたように、角度αOSは、式(4)に従って、移動方向に沿って検出された磁場成分Bzおよび移動方向対して横断方向に検出された磁場成分Byから、OS適合を行う既存の測定方法において計算される。
【0031】
【0032】
本発明によれば、2つの検出された成分BzおよびByの比の逆正接は、式(4)に従って測定信号としては使用されない。代わりに、生成された成分BzおよびByの値に対する永久磁石102の温度影響が、出力信号が確立される前に補償される。
【0033】
第1の実施形態では、磁場センサ100によって永久磁石102の所与の温度Tに対して測定される、磁場成分Bz(T)およびBy(T)の温度補償された値は、温度依存性の温度補償係数kc(T)に基づいて確立される。角度αOS_TKの計算のために、好ましくは以下の式(5)が生成される。
【0034】
ここで、測定される磁場成分Bz(T)およびBy(T)には、温度補償係数kc(T)が乗算される。
【0035】
次いで、磁場成分の温度補償された値kc(T)×Bz(T)に、OS適合が適用される。式(5)に示すように、補償された磁場成分kc(T)×Bz(T)を、一定のオフセット値OSを加算することによって補正することができる。
【0036】
オフセット値OSを、特許出願DE102011115302A1に記載されているOS適合を行う方法のうちの1つによって確立することができる。たとえば、オフセット値を、磁場源102の所定の基準温度に対して、以下のステップにより確立することができる。すなわち、移動方向における磁場源102の多数の位置に対する磁場成分の曲線を確立するステップ、磁場源102の位置に対するこの曲線の第2の導関数を計算するステップ、この第2の導関数のゼロ位置を確立するステップ、および、ゼロ場所における曲線の関数値を、磁場源102と磁場センサ100との間の最小の間隔の位置における関数値から減算して、オフセット補正値の値を計算するステップ、である。
【0037】
温度補償係数kc(T)は、以下に記載するように、熱により引き起こされる磁場の変動を補償するように適合される。市販の磁石の磁場の温度挙動は、その材料に厳密に依存し、したがって比較的容易に記述可能である。通常は、磁石の温度挙動は、材料の温度係数TKmagnetによって記述される。温度係数TKmagnetは、固定された基準温度に対する温度の変化に応じた、磁束密度の値の相対変化について記述する。−0.1%/℃の温度係数TKmagnetはしたがって、温度が100℃(またはケルビン)増加した場合の、磁束密度Bの10%の低下に対応する。
【0038】
温度依存性磁場係数km(T)を、以下の温度係数TKmagnetおよび永久磁石102の温度Tの線形関数によって表すこともできる。
【0039】
ここでは20℃の基準温度が使用されている。
【0040】
NdFeB材料を備える磁石は、たとえば、典型的にはTKmagnet=−0.11%/℃である温度係数を有する。関数(6)は結果として、たとえば、そのような材料を備える制御磁石に関して、以下の磁場係数の温度依存性の値をもたらす。
温度 T: 磁場係数 km(T):
−40℃ km(−40℃) = 1.066
+20℃ km( 20℃) = 1.0
+120℃ km(120℃) = 0.89
【0041】
関数(6)は結果として、図6に示すように−40から+140℃までの温度範囲に関して、温度にわたって標準化された磁場の磁場損失B(T)/B(20℃)=km(T)をもたらす。
【0042】
磁石の温度情報が、3Dホールセンサ100に知られているかまたは別の場所から3Dホールセンサ100によってアクセス可能とされており(たとえば3Dホールセンサ100における内部温度測定)、かつ制御磁石の磁気特性も温度係数TKmagnetの形態で知られている場合、計算を拡張することにより温度依存性の磁場変動を補償することができる。
【0043】
このことは、追加の補償係数kc(T)に基づいて、磁気制御場の温度係数km(T)の温度依存性の減少または増加を計算することによって達成される。理想的には、以下の補償結果値が達成される。
km(T)×kc(T)=1 (7)
【0044】
次いで式(7)は、補償係数kc(T)に関して以下の関係を生成する。
【0045】
【0046】
図6は、永久磁石102の温度に応じた、磁場係数km(T)に関する特徴線108および温度補償係数kc(T)に関する特徴線110の進展を示す。図6では、補償要件(7)が112で示されている。
【0047】
補償係数kc(T)を3Dホールセンサ100において周期的に計算可能とするために、使用される制御磁石102の温度係数TKmagnetを、3Dホールセンサ100に通信するかまたは計算のためにセンサ100内に適切に格納しなければならない。磁石102の温度情報を、たとえば外部に直接または制御磁石102の近接した環境内において確立し、通信接続を介して3Dホールセンサ100によって利用可能とすることができる。別法として、3Dホールセンサ100内の内部温度情報を使用すること、および任意選択で、予期される磁石102の温度に関してこれを適合させることができる。
【0048】
図6は、計算の変形例の1つに過ぎない。他方で、磁気制御場に関する温度依存性の補償のための、他の計算方法が存在する。
【0049】
ここで実質上表そうとしているのは、要件(7)に従って温度依存性の磁気制御場を補正する計算方法が使用されているということである。
【0050】
式(5)による温度補償の効果を、以下のように示すことができる。測定された磁場成分Bz(T)およびBy(T)の値が、磁場係数によってBz(T)=km(T)×BzとしてまたはBy(T)=km(T)×Byとして表される場合、温度係数km(T)の縮減は理想的には式(5)からもたらされる。これを以下の式に示す。
【0051】
【0052】
BzおよびByは、所定の基準温度に対する磁場成分値であり、したがって温度非依存性である。この基準温度は、関係(8)によれば、温度補償係数kc(T)に関する20℃に対応する。
【0053】
関係km(T)×kc(T)=1は、OS適合および温度補償を行った角度αOS_TKの計算に関して、以下を生成する。
【0054】
【0055】
温度補償係数kc(T)はその場合、OS適合を行う逆正接の計算に基づく測定方法において、検出される磁場成分の値に対する制御磁石102の温度影響の縮減をもたらす。
【0056】
次いで、温度非依存性の出力信号OUTを、式(9)に従って角度αOS_TKの結果値から確立することができる。磁場源102と磁場センサ100との間の起こり得る間隔変動により、この出力信号OUTがさらに被る影響は、ごく小さな量である。
【0057】
式(11)はここでも、形態に関してはOS適合を行う3Dホールセンサの角度計算に関する元の式に対応するが、ここでは温度依存性の磁場変動が補償されている。
【0058】
磁石102の完全な温度挙動を直線方程式(line equation)の形態でまたは補正テーブルの形態で記述し、たとえば計算のために3Dホールセンサ内に格納することによって、より複雑な種類の温度補償係数kc(T)を通して温度補償のさらなる特定化を達成することができる。
【0059】
たとえば、磁場源102の所与の温度Tに対する温度補償係数kc(T)の値を、温度補償ファイルに基づいて確立することができる。この温度補償ファイルは、磁場源102の多数の温度、および磁場係数km(T)または温度補償係数kc(T)の多数の対応する値を含む。
【0060】
第2の実施形態では、OS適合を行うホールセンサにおける検出された磁場成分への温度影響の補償を、代替の計算によって実行することができる。すなわち、温度の影響は、測定された磁場成分Bz(T)およびBy(T)からの温度補償された値の確立による代わりに、温度依存性のオフセット補正値によって補償される。補償されたオフセット値OS(T)を、温度依存性の温度補償係数kc(T)に基づいて確立することができ、OS適合の一定のオフセット値には、係数1/kc(T)が乗算されている。次いで、温度補償およびOS適合を行った角度αOS_TKを、以下の式から確立することができる。
【0061】
【0062】
第2の実施形態では、要件(7)に従って温度依存性の磁気制御場を補正する計算方法も使用されている。第1の実施形態におけるように、このことから結果として、OS適合および温度補償を行う角度計算に関して、以下がもたらされる。
【0063】
【0064】
いずれの実施形態においても、比の項は、逆正接の計算の前に温度補償係数kc(T)によって補償される。本発明による計算は比較的単純な計算操作であるので、磁気制御場の温度補償方法を、OS適合を行う2Dまたは3Dホールセンサにおいて極めて単純な形で実行することができるとともに、一般的な種類の変位センサの精度を改善することができる。
【0065】
さらに、本発明による計算を、組み込まれたマイクロプロセッサを予め備えている2次元または3次元ホールセンサ内のセンサにおいて、事前に実行することができる。次いで、制御磁石の温度に依存しない直線変位測定信号を、このセンサによって直接出力することができる。別法として、デジタル式またはアナログ式で機能する、外部のアナログ式またはデジタル式の計算ユニットまたはプロセッサによる評価を、続いて行うことができる。
【0066】
当然ながら、本発明による原理を、電磁石などの他の磁場源に、および磁気抵抗センサまたは誘導センサなどの他の磁場センサに、当てはめることも可能である。さらに、様々な場の成分を検出するために、2次元または3次元ホールセンサの代わりに、2つまたは3つの個々のセンサを使用することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 ホールセンサ
102 永久磁石
104 永久磁石の移動方向
106 磁場ベクトルBの方向
108 曲線km(T)
110 曲線kc(T)
112 曲線km(T)×kc(T)=1
図1
図2
図3
図4
図5
図6